表神者マクシモス

東方正教会の基本信条



ニケア・コンスタンチノポリス信経
   (洗礼のとき告白する最も基本的な信経です)
  431年のエペソ全地公会議(第三回)・第六回全地公会議で「コンスタンチノポリスでの第二回全地公会議の信経」として承認された信経。第二回全地公会議(381年)はカパドキア三教父やエルサレムのキリロス等が中心になり、聖霊論を軸として第一回全地公会議での議論をさらに深めました。この信経のベースは原ニケア信経と思われるが、大幅に増補改定されていてそのまま使用されてはいません。エルサレムのキリロスも有力な起草者候補です。 この信経は洗礼の時だけではなく、東方正教会の奉神礼・礼拝の中ではしばしば唱えられ、歌われ、信仰生活の中で血肉化されていきます。

(原)ニケア信経
 325年ニケアにおける第一回全地公会議にて採択。聖アタナシオスの奮闘により公会議はアリオスの異端を打ち破り、父と子は「同一本質」であると解明し、至聖三者(三位一体)の真理を擁護した。
カルケドン定理議定書
 451年カルケドン第四回全地公会議は、エウテュケス等の異端を退け、アレクサンドリア総主教パパ・キリロス、ローマ総主教パパ・レオの教説を確認して、イエス・キリストは真の人であり、真の神であることを宣言した。
(第六回)コンスタンチノポリス全地公会議の定理議定書
 第六回全地公会議にて681年に採択された信経。この公会議は「キリスト単意説」(実はカルケドンで論破された「キリスト単性論」のヴァリエーション)の誤りを明確にし、カルケドンで確認された真理を擁護・発展させた。表神者(証聖者)聖マクシモスの貢献によりイエス・キリストの中での神的意志と人的意志の調和と浸透が明らかにされた。また、在任中に異端説を唱えたローマのパパ・ホノリウス等を破門した。
第七回全地公会議の聖像(イコン)に関する定理議定書
 
ローマ(ビザンチン)皇帝によるイコノスクラスム(聖像破壊:表面的にはあたかも偶像崇拝に反対しているかに見えるが、根底にはキリストが人間性を取られたことの否定、肉体や物質的な物に対する軽視等、初代教会より受け継いだ真理への否定が潜んでいる)に対し、聖像(イコン)についての教会の教えを明らかにした。

ネオケサリアの奇跡者聖グリゴリイの信経
聖大アファナシイの信経

 教会は、上記の「信経」や「定理議定書」の他に、公会の審査を経てはいないものの、奇跡者グリゴリイの信経と、聖大アファナシイの名による信経も信仰の規範として尊重してきました。

・(百瀬訳)は百瀬神父著の「イエス・キリストを学ぶ」(中央出版)から、(DS)は「デンツィンガー・シェーンメッツァー文書資料集」(エンデルレ書店)から、(磯部訳)・ギリシャ語原典は磯部牧師訳編の「わたくしたちの『信条集』」(ナザレ企画)から引用。
・固有名詞は変えた場合もあります。また、一部用語を補いました。

・正教会訳は、「聖規則書」から、ひらかなに変えての引用。聖人の信経は「信仰の規範」から引用。句読点表記等は一部補いました。、