冬季セミナー 08
「聖書素朴な質問」に教区の7司祭が答える


西日本主教教区「冬季セミナー」が大阪正教会で2月11日(月)61名の参加で開催されました。10時半からニコライ神父様の司祷で感謝祈祷、その後ホールでセミナーに入りました。今回は「聖書の素朴な疑問」というテーマで教区の信徒の方々から聖書についての質問を集め、数の多いものから7つの質問が選ばれました。

質問の言葉を約めて数の多い順に記すと、

@旧約の神は怒り人を殺し、愛の神とはかけ離れている?
A聖書に聖神゜に対する罪は許されないとあるが、どんな罪?
B聖書の解釈はどのように?
C聖書と聖伝は共に大切と言われるが?
D「心の貧しい人は幸いである」心は豊かであるべき?
Eダヴィンチコードで、コンスタンチン帝は福音書の内容を歪曲、とあるが?
F黙示録は恐ろしくて不可解?

先ず及川神父様が午前の教話に続けて質問Fの説明、午後は質問Eから逆の順で教区6人の神父様に説明して頂きました。

教話「家庭での祈り」 パワェル及川信神父(九州)(写真)

聖セラフィムは、祈りは最も簡単な、神へと到る道であると説く。
「主イイスス・ハリストス神の子よ、われ罪人を憐れみたまえ」「主、憐れめよ」
名を呼ぶことは自分の中にその存在が立体的に立ち上がることである。神の名を呼ぶと心が安らかになり、神・聖神゜が自分の中に宿ることになる。また記憶する人の名を呼ぶことは、神の時の中に共に生きることになる。
一日の祈りとして、天主経、至聖神母経、信経を唱える。三つの祈りに私達の行うべき祈るべき、信ずべきことが要約されている。
昨年配布の家庭祈祷集、既出の記憶録、領聖予備規定を家庭に備え用いることを薦める。

質問F黙示録は恐ろしくて不可解?(及川神父)

「神゜と新婦とは言う、……渇く者は来たるべし。望む者は価なくして生命の水を取るべし」(黙示録22の17)恐ろしい様が多く語られるが、全体をよく読むと、悔改を求め、全ゆる人に罪の赦しと救いの到来を告げる希望の書、天啓の書である。

質問E イオアン小野貞治神父 京都

旧約は元々ヘブライ語で書かれ、幾度かの話合いの後、AD90年代にラビ達によるヤムニヤ会議で39文書が定められ、それが正典と呼ばれた。正教会の旧約はBC2世紀に出たギリシャ語訳(70人訳)を初代教会から受け継いでいて、ヘブライ語正典よりも多い50文書から成る。
新約27文書は福音書と使徒行実がAD70〜100年頃、七公書とパワェル14書簡はAD1世紀中頃に成立したと考えられる。これらは諸公会・聖師父達で話し合い、正典として確認された。聖師父達の著作がこれを裏付けている。コンスタンチン帝以前の写本も多数残っており、コンスタンチン帝が恣意的に書き換え福音書を歪曲したことは全くない。

質問D グリゴリイ小川公神父 徳島

正教会訳マトフェイ5・3では「神゜の貧しき者」となっているが、聖歌では「こころ」という語が用いられている。神(こころ)の貧しき者とは謙遜なる者を指す。傲慢な心を除き、飢え渇くような心でひたすら神を信じ、神の恩寵を待ち望む者のことである。

質問C イサイヤ酒井以明神父 豊橋

ルターは聖伝の中で早くから文書化され纏められた聖書以外は、口伝えのものも多く信用性が低いとし、信ずべきは聖書のみとした。正教会では、聖伝は神・聖神゜の導きの許に受け継がれて来て尊ぶべきものであり、聖書もそこから生み出された、そして聖書は聖伝の中で最も重要なもの、と位置付けている。

質問B ゲオルギイ松島雄一神父 名古屋

正教会では教会を離れて聖書を読んではならないと言う。しかし教会が解釈の基準書を持っている訳ではない。例えば、よきサマリヤ人の話(ルカ10の25〜37)では、彼は「見習うべき人間」か「ハリストス御自身」かという解釈の幅も有り得る。
「教会はハリストスの体であり、全てのものを全てのものの内に満たしているかた(聖神゜)が満ち満ちている」(エフェス1の23)ということを心に留めて種々の解説書を参考にするとよい。しかし究極は奉神礼であり、それが聖書の読み方を教えている。

質問A ニコライ・ドミートリエフ神父 神戸

3つの罪。1.神を信じない。2.悔改しない。3.自殺(神から預っている命を自分の所有物のように扱う。痛悔する機会がない)これらを一括すれば痛悔していない全ての罪である。昨年発行された家庭祈祷集を薦める。
「心を尽し霊を尽して主爾の神を愛せよ。……爾の隣を愛すること己の如くせよ」(マトフェイ22の37、39)どれが許されるかどうかではなく、痛悔し自分の中に愛があるかどうかが大切である。(マトシカ・スヴェトラナ通訳)
質問@ ダヴィド水口優明神父 大阪

神の厳しさ、優しさは新旧同じようにある。その個所を幾つか挙げて比べてみよう。
厳しさ 旧約 出エジプト32. 民数16.
新約 マトフェイ22. ルカ13、19.
優しさ 旧約 出エジプト34. イオナ4. イサイヤ54.
新約 マトフェイ14. イオアン3.
神の怒りは悔改せよというメッセージである。

(西日本主教教区冬季セミナー、2008年2月11日、大阪、神戸正教会信徒 イアコフ篠原修)