2005年度 西日本主教教区公会

去る六月十九日(日)ダニイル府主教座下臨席の下、西日本主教教区通常公会が京都ハリストス正教会生神女福音聖堂を会場として開催されました。

司祭会議・理事会(17・18日)

十七日(金)午後と十八日(土)午前の「教区専従教役者会議(司祭会議)」、午後の会計監査に続いて、教区理事会。昨夏の休職後も神戸正教会で月に二回聖体礼儀を執行下さっているワシリイ酒井満長司祭もオブザーバーとして参加されました。

理事会初めの訓示で府主教座下は、正教会の年間の暦が、パスハを中心として聖神降臨祭後何番目かで数えるサイクルと月日で定まっている祭日のサイクルがあることを示した後、年間の主日福音から「第三」「第十二」「第十六」「第二十二」「第二十六」「第三十」主日のものを取り上げられました。その上で、府主教座下は、教区理事会・公会に臨む心構えとして、第二十六主日の福音(ルカ12:16-24)のたとえに登場する金持ちの例をあげ、次のように説かれました。

「『自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者』を主は退けられた。一方で、現代社会にある教会にとって、金銭と関係なく活動することは出来ない。師父(教父)たちも、主が戒めておられるのは『金銭に捕らわれ、金銭の奴隷となること』と捉えて説いている。教会の維持・存続のための金銭について話し合うことは、愚かでないばかりかとても大切なことである。教会の維持・存続のため皆が力を併せ努力していく、その方策協議のため、各教会代表者諸兄にあっては今後も引続き協力を願いたい。(要旨)」

聖神降臨祭前晩祷は、五時三十分からゲオルギイ松島雄一司祭司祷、ファノラキス輔祭と陪祷、各教会理事と地元京都教会信徒の単音聖歌により献じられました。晩祷誦経はアレクシイ小野成信誦経者(高校一年)とペトル安田兄(中学一年)の少年コンビでした。

教区公会本会議(19日)

本会議当日の十九日は聖神降臨祭(五旬祭)にあたり、初めに府主教座下司祷、教区内七司祭、輔祭二名陪祷により聖神降臨祭聖体礼儀と聖神降臨主日晩課が献じられました。

また、二十日が祭日である初代京都の主教・聖アンドロニク祭を一日繰り上げてお祝いしました。昨年の教区公会は大阪開催であったため、昨年二月の聖像完成後、聖アンドロニク聖像を聖所中央に安置して京都正教会で祭日をお祝いするのは今年が初めてでした。

聖体礼儀に先立つ時課に際し、教区・正教基礎講座を受講されたシメオン増田一郎誦経者(名古屋)がダニイル座下により副輔祭に祝福されました。説教は昨夏神学校を卒業し神戸教会に赴任したパワェル松井貢治伝教者。聖歌指揮はキリール佐藤道雄兄(京都)。

十字架接吻時に際し府主教座下から、京都教会にロシア製二つ折り聖像が、参祷者全員に座下の小論集「聖神入門」、座下の復活祭期主日講話リーフレット八編、ロシア製胸掛け小聖像が、それぞれ下賜されました。

昼食を挟み午後二時三十分から聖堂にて教区公会本会議。副議長にパワェル及川信師とミハイル佐藤孝雄兄、書記にダワィド水口優師と松井伝教者が選任され、議事が進められました。初めに府主教座下は次の様に訓示を述べられました。

「今日、聖神降臨祭を祝い、この祭日に『聖神の息吹と躍動』を象徴する緑色の祭服を着るロシアの習慣にならい緑色の祭服を着て祈祷を献じた。衆知の通り、正教会では、毎週の聖体礼儀は『天の王慰むる者や〜』と聖神の導きを祈ることから始める。教会の様々な集会に際しても同様に聖神の導きにより集会全体が清め、堅められるように祈ってから始める。旧約・新約を通し、神(霊)・気はとても大切なものと位置付けられている。天地創造の初めに『神の神(霊)が水のおもてをおおっていた」ように、全ては神の充満・あふれと導きによって成されている。生神女マリヤは神によってイイススを宿され、イイススの死を福音書記者イオアンは『神を付せり』と表現している。『神は神(霊)である』ともイオアンは主の言葉を記している。先程の聖神降臨主日晩課の大ポロキメンで『何の神か…大いなる。爾は奇蹟を行う神なり』と讃えたのは、神の導きと力に他ならない。五旬節に使徒たちに『岐れたる舌、火の如き者』として降った神は、一致と多様性を表現している。各教会ではそれぞれ置かれている状況や課題は異なるが、聖神の導きを受け、その『一致と多様性』の中に教区の歩みを進めて頂きたい。(要旨)」

西日本教区では過年度、「OCJ西日本・冬季セミナー(二月、大阪)」はギリシャ哲学教授である輔祭パワェル中西裕一師(東京)を講師に迎えて開催。信徒奉仕者の学びの機会である「正教基礎講座(関西・東海、毎月一回)」は、二期目を迎えた関西講座は二クラスとなり「奉神礼@A」「要理」「聖書概論」の四科目、加えて東海講座が新たに昨年九月に開講し「奉神礼@」「要理」の二課目を毎月一回実施すると共に、インターネットを活用した通信講座として「正教会史」講座を実施してきています。加えて、「定例学びの会」を各地で計六回実施。また、十一月には、ダニイル府主教座下司祷、教区内全七司祭陪祷により「松山ロシア兵捕虜墓地百年祭パニヒダ」が献じられ、十月には「教区・教会代表者懇談会」を豊橋で開催しました。

新年度活動と役員

二〇〇五年度は、「OCJ西日本・冬季セミナー」、「正教基礎講座(関西・東海、毎月一回)」と「定例学びの会(六回)」を継続することに加え、昨夏全国公会で示された「全国的聖歌の取り組み強化」という指針に従い、七月三十一日に大阪教会を会場として、アメリカ正教会の聖歌研究者モロザン博士を講師に迎え、来日記念特別講演会「正教会聖歌『祈りの音楽』、その多様性と伝統」を開催します。また、正教基礎講座テキスト刊行二冊目は奉神礼を予定しています。

熱心な質疑応答を経て、夕五時過ぎに本会議終了。会計監査はエリセイ渡邊正三兄(京都)、アルセニイ三井治郎兄(豊橋)に留任願いました。

信徒会館に会場を移し、京都教会婦人会心尽くしの手料理による立食形式での夕食懇談会では、ダニイル座下こそ新幹線の時間の都合で六時前早々に教会を後にされたものの、旧交を暖めつつ新年度教会活動の情報交換や各教会信徒間交流についての話に花が咲き、多くの方々が七時過ぎまで舌鼓を打ちつつ歓談し、今年の西日本主教教区公会の全日程を終えました。     (司祭イオアン小野 記)