編集発行


第一号


         ぱんだね-東方正教研究会-
             が発足しました


 9月2日、「ぱんだね-東方正教研究会-」が発足しました。 かねてより、正教徒としての素養を高め、伝道にも役立つような企画を正教徒有志が模索していましたが、研究会を開こうということになり、第一回会合と第一回勉強会が実現しました。

 第一回会合(総会)で会の発足を確認!
    会合ではその他、会の名称、会の目的、活動内容、運営委員、
    今後のあり方などが検討され、インターネットの利用、会の案内文や
    伝道誌の発行についても話し合われました。


報告:第一回勉強会

【今回のテーマ
聖大ワシイリイ『修道士大規定』(序〜第八問)を読む

聖大ワシリイのイコン ・『ぱんだねー東方正教研究ー』の第一回学びの会は、名古屋ハリストス正教会信徒会館をお借りして、2000年9月2日(土)14:30〜17:30に開催しました

 ・テーマは「聖大ワシイリイ『修道士大規定』を読む」。
 (テキスト:平凡社『中世思想原典集成』第2巻ー盛期ギリシャ教父ー)

・参加者は開催地はじめ、各地から11名でした。

・呼びかけ人4名が分担し、報告・問題提起をして討論する形で進めました。 開催地の、名古屋ハリストス正教会管轄司祭の松島神父様に当日のご指導ご助言をお願いしました。 時間的制約、活発な論議のため、残念ながら序、第一問から第三問で終了せざるをえませんでした。

・今回の勉強会を踏まえて、当日ご助言をお願いした松島神父様から頂いた問題提起です。
 
     今回のぱんだねの会では、聖大ワシリーの「修道士大規定」の序文から第3問まで
    を、参加者の内容紹介という形で講読しました。テキストは平凡社の「中世思想原典
    集成」(「盛期ギリシャ教父」の巻)所載の邦訳を用いました。ここでは、発表者な
    らびに指導司祭から指摘されたポイントからいくつか、当日参加できなかった皆さん
    にご紹介したいと思います。それらのポイントについて、参加された方も含めて、改
    めて、皆さんの考察や研究の成果、また所感をご発言下さい。

    1,ワシリーがここで語る、また正教の師父たちが共有する、「完全」への、極めて
    高い水準の修徳の要請と、金口イオアンの復活祭の説教が高らかに歌い、これもまた
    正教の師父たちが共有する主の無償の恵みへの喜びに満ちた確信
    とを、どう理解するべきであるか。

    すなわち、修道士大規定邦訳187ページ10行目の「勝利者と競技に参加しなかった者
    に、同等の栄冠がふさわしいと考えるほどに無分別な審判者はいるであろうか。勝利
    者と競技に参加しなかった者に平等に戦利品を分配した将軍がいるだろうか」という
    峻厳な勧告と、金口の説教の「斎せし者及び齋せざりし者は今日楽しめ」という寛大
    な呼びかけとの間にあるトーンの大きな違いに、正教徒としてどう一貫性を見いだす
    べきか、ということである。
    (金口イオアンの復活祭説教は、明治訳で祈祷書所載のものと、小生の現代語訳が井
    上兄のサイトの正教会暦のなかにあります。
      http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/1125/pascha/index.html

    2,第2問への答えに、ワシリーは「理性」「理性的な能力」という言葉を用いてい
    るが、この含意は果たして、近代的な理性概念と共通なものであるか。

    3,人間の「完全」への道の中で第一に重要なものとされる神への愛と、その「成
    就」ととらえられる隣人への愛に関連して、「聖人たちが隣人への愛をこれほどまで
    (みごとに)成し遂げた(第4問回答末尾)」とあるが、正教の聖人たち、とりわけ
    エジプトのマリヤに代表される、生涯人々を離れ祈りと斎の生活に徹して聖性にあず
    かった聖人たちの存在をどう理解したらいいのだろう。正教が救いを教会という神の
    民の集いに育ってゆく、三位一体的共同性の回復ととらえ、頻繁な領聖を強調するこ
    とと、どう彼等の存在を折り合わせるのかということでもある。

    4、修道院での世俗を離れ徹底した自己放棄にもとづく修徳生活と、世俗社会で生き
    るクリスチャンの生活との関わり。どちらかだけが本物?どちらかが弛緩した不完全
    なもの、ないしは逃避的な逸脱?なのだろうか。これについてはこの夏アトス巡礼を
    果たされた中西兄のご体験を披瀝していただきたかったのだが、残念ながら時間切れ
    で十分果たせなかった。ぜひ、この場でよろしく。

    これらの問題点に、模範解答はないと思います。司祭が、お話ししたことも、司祭の
    これまでに学んできたことの中で、かろうじて皆さんにご紹介できることと言ってい
    いものです。これらの問題点について、理解が次第に深まってゆくこと自体が、信仰
    生活の深まりと言っていいのではないかとさえ思います。
    ぜひ、積極的なご発言を。

「ぱんだね」トピックス
  
次回の勉強会

11月18日(土)13:00から
場所:名古屋正教会信徒会館

【テーマ】
「聖金口イオアン聖体礼儀を読む」
     メーリングリスト

 会員の交流、連絡、意見交換のために「ぱんだねメーリングリスト」を開始しました。毎日活発に会員の意見交換がおこなわれています。
 今後、専門分野のMLも開始していこう、と検討しています。

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