聖公使徒の教 会 聖 規 摘 要 』


一.神品に関する聖規則

 
聖使徒規則第十五条
  若し司祭或は輔祭或は凡て教衆の名簿中に在る者己の主教の意に由らずして己の区域内を去り,他に移りて全く他所に転任する者には以後勤務す可からざるを命ず,就中己の主教の帰還す可き招きを聴かざるときは然りとす,若し此の不順を改めざれば彼処に於いて俗人として交際せらる可し。

同第十七条
  聖洗の後再婚を為し若くは妾を置きたる者は主教或は輔祭或は凡て聖位の名簿記せらるる者と為るを得ず。(第六公会の三条)

同第十八条
  寡婦若くは離別せられたる婦若くは淫乱婦若くは婢若くは女俳優を娶りたる者は主教或は司祭或は凡て聖位の名簿に記せらるる者と為るを得ず。

同第十九条
  姉妹二人若くは姪を娶りたる者は教衆の者と為るを得ず。

  此の使徒規則は未だ異教人たる時此の如き婚姻を為し領洗の後も尚此の不法の同室を為せし者の為に制定せられたり然れども領洗後此の如き夫婦の同室を為さざりし者はアレキサンドリアの聖フェオフィルの規則第五条に依るに教衆に加えわるるを得可し,何となれば異教的生活の罪は洗礼にて潔められたればなり

同第二十条
  若し教衆の者人の為に保証人と為る時は除黜せらる可し。

同第三十九条
  司祭及び輔祭は主教の意に由らずして何事も行う可からず,盖し主の人々は彼に委任せられ彼は其の霊魂の為に陳訴せんとす。

同第四十一条
  主教に教会の所有物を管理するの権を有す可きを命ず,盖し若し貴重なる人の霊魂にして之に委託せらるべくんば況や金銀に就ては彼に己の権を以て諸物を管理し司祭及び輔祭を以て要求する者には神を敬畏するの心と全く敬虔の心を以て施與す可きことを命ぜざるべからず,又(若し要すれば)自ら己及び旅行する兄弟等の必要の需めに使用し何事に於ても欠乏を忍ぶことを為さざる可し,盖し神の法は高壇に務むる者は高壇に由りて養わる可く定めたり,猶軍士が自ら給養しながら干戈を執て敵に対抗するを為さざるが如し。

同第六十一条
  若し信者邪淫若くは其他禁制せられたる事により告訴せられて定罪せられたる者は教衆に登庸せらる可からず。

同第八十一条
  我等言う主教或は司祭は民間の政治に干渉す可からず,乃ち間然なく教会の事務に従事すべし,故に或は説得して之を行わざらしむべく或は除黜せらる可し,盖し主の誡に依るに人ニ主に事うる能わざればなり。(マトフェイ六章二十四節)

第四聖全地公会規則第十八条
  悪謀を企て若くは徒党を作ることは犯罪として国法にても全く禁ぜらる,然らば矧んや神の教会に於ては宜く之を禁じて此の如きことあらしむるを致す可からず,故に若し教衆の者或は修道士たる者互に制約を為し若くはと問うを作り若くは主教或は己の同僚を陥れたること露顕する時は全く其位を除黜せらる可し。(第六公会三十四条)

第六聖全地公会規則第十四条
  我等の聖なる捧神諸父の規則は下の事に於いても守らるべし,即ち三十歳に満たざる者を司祭に按手す可からず,仮令最も能く其任に堪うる人たりとも規定の年齢に至るまで延期す可し,盖し主イイスス・ハリストスは三十歳に及んで領洗し始めて教誨せり,又同く輔祭にも二十五歳未満,女輔祭にも四十歳未満の者を立つ可からず。

同第十九条
  教会の司長は日々就中日曜日には神の書より真理の論説を抜渉し捧神諸父の定めたる区域と伝とを破らずして全教衆及び民を敬虔の道に教誨せざる可からず,若し聖書の言を講究する時は教会の光たり及び師たる者が其書に述べたるが如く之を解明し自ら言を造らず寧ろ之を以て満足すべし,これ自ら解明するの力足らずして正理に背かざらん為なり,盖し人々は彼の諸父の教に由て善にして択ぶべき事と無益にして忌む可き事を識別して益々己の生活を善に進め無知の病に苦しまず,乃ち教理を聴きて自ら悪を去るを励み厳罰を恐るるに由て己の救贖を営むべければなり。

同二十四条
  凡そ神品に属する者或は修士たる者は競馬場に往き或は猥褻なる舞戯に臨むを許さず,若し教衆の者婚宴に招かれたる時,人心を迷わすの舞戯始まる時は起て直ちに避く可し,蓋し我等の諸父の教我等に命ずること此の如し,若し此事に罪せられたる者あらば或は除黜せらるる可し。

カルファゲン聖地方公会規則第四十条
  又教役者及び輔祭にして其教会の巳むを得ざる事情に因り之を該教会の高位に登昇せんと欲する主教に聴従するを欲せざるときは其現職に於いても務む可からずと制定せり。

同第四十一条
  主教司祭輔祭或は凡そ教衆の者にして如何なる財産をも有せざる者,其立てられたる後己の主教職若くは教衆職を務むるの間に己の名を以て土地若くは別荘を贖うときは主の所有の窃盗者と見倣さる可しと制定せり,但し勧告を受けて之を教会に納付するときは此限に非ず,何人よりかの贈与に依り又親戚より遺言に因り彼等の所有に帰するものあらば己の意に従て之を処置す可し,又何物かを教会に献ぜんと欲し而して之を取り戻さんとせば教会の名誉を荷うに堪えざる者及び親與を絶たれたる者と認定せらる可し。

同第四十二条
  又司祭は己の主教の意に依らずして其叙聖せられたる教会の物品を売却す可からざる事と制定せり,又主教にも公会若しくは己の司祭に通知せずして教会の土地を売ることを許さず,是故に緊急の場合の外は主教たりとも協会の帳簿に記する物品を消費することを許さず。

同第四十五条
  主教,司祭及び輔祭は其一家の人を悉く正教の「ハリスティアニン」と為すに非ざれば之を立つ可からず。

聖大ワシリイ規則第十二条
  再婚者は規則にて(聖使徒規則十七条)全く教会の役者たることを禁ぜられたり。

同第十三条
  我等の諸父は戦場に於いてする殺戮は予の想像する如く貞節及び敬虔の防御者として凶殺者と為さず,然れども彼等が不浄の手を有する者として之に三年間聖機密を領する事を慎むべきを勧告するは可なるべし。

  聖アファナシイの修道士アンムンに興うる書を参看すべし,ワリサモン及びゾナルの等しく認むる所に依るに聖ワシリイの提起したる勧告は不便なると本条の初に述ぶる所乗る有とに依りて実施せられざりしと云う。

同第十四条
  利息を取る者若し其不正の利を貧者に施し且以後利欲の病を脱せんと欲するときは神品職に登庸せらるるを得べし。

アレキサンドリア大主教フェオフィル規則第七条
  按手を受けんとする者に就いての成規次の如くなるべし,聖役者の全会賛同して選挙し而して後主教は被選者を試み神品の同意を得人民も亦彼の事を證明するを得るに於ては,堂内に於て人民の面前にて主教の宣言を以て按手を行うべし,按手式は之を秘密にすべからず,蓋し教会平穏なるときは按手は堂内に於て聖徒の面前に於て施行すること当然なればなり,曾て異端者と交際したる者と意見を同うする者ある地方に於ては真正に正教を奉ずる聖役者の試験を経,主教の面前に於て彼が列席する人民に向い宣言するを以て按手を行い正道に違背するが如き事なきを致すべし。

聖使徒規則第五十五条
  若し教衆の者主教を侮辱うる時は除黜せらる可し,盖し爾の民の有司を誹る勿れ。(行實第二十二章五節)

同第五十六条
  若し教役者たる者司祭或は輔祭を侮辱する時は教会の親與を絶たれる可し。

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