聖 使 徒 規 則 』



聖 使 徒 規 則

第一条 主教は二人若くは三人の主教之を立つ可し。
(第一全地公会規則第4条、第七全地公会規則第3条、アンテオキヤ公会第12、23条、ラオディキヤ公会第6条、コンスタンティノプル公会第1条、カルケドン公会第13、49、50条)

第二条 司祭及び輔祭並に其他の教役者は一人の主教之を立つ可し。
(使徒規則第27、70条、第一全地公会第19条、トゥルリ公会第33条、第七全地公会第14条、ガングル公会第6条、ラオディキヤ公会第24、26、30条、聖大ワシリイ第51、89条)

第三条 若し主教或は司祭献祭のことに関する主の規定に反して高壇に他の或物品即ち或は蜂蜜水或は乳汁或は葡萄酒に代え他品より製したる飲料或は鳥或は獣或は野菜等を献じ、又定期に於て初穂或は葡萄を献ずるの外規定に反し献ずるあらば聖位を除黜せらる可し。高壇には聖奉献の時火燈に要する橄欖油及び乳香の外他物を献ずるを許さず。
(使徒規則第4条、トゥルリ公会第28、32、57、99条、カルケドン公会第57条)

第四条 其の他凡そ諸果実の新物は主教及び司祭の宅に贈る可し高壇に献す可からず。但し、主教及び司祭が輔祭及び他の教役者と之を分つ可きは勿論なり。
(使徒規則第3、38、41条、ガンクル公会第7、8条、カルケドン公会第37条、アレキサンドリヤの聖フェオフィル規則第57条)

第五条 主教或は司祭或は輔祭は敬虔を辞として己の妻を逐ふ可からず。若し逐ふ時は教会の親与を絶たる可し執拗して聴かざれば聖位を除黜せらる可し。

 註 凡そ神品たる者に妻を逐ふことを禁ずるはゾナルの説明するが如く結婚を嫌厭するが如き観あるに由るなり。然れども主教の娶らざる事は古来の傳にして第六全地公会は僅かにアフリカの或教会に於て此傳に違背するものあるを隠して直に該会規則第十二條を以て之を禁ぜり。
(トゥルリ公会第12、13、48条、第一全地公会第3条、ガングル公会第1、4、9、10条、カルケドン公会第4条)

第六条 主教或は司祭或は輔祭は世俗の煩務を担任す可らず。然らざれば聖位を除黜せらる可し。
(使徒規則第20、81、83条、第四全地公会第3、7条、第七全地公会第10条、カルケドン公会第16条)

第七条 若し主教或は司祭或は輔祭春分の前にイウデヤ人と共に「パスハ」聖日を祭る時は聖位を除黜せらる可し。
(使徒規則第64、70、71条、トゥルリ公会第11条、アンティオケヤ公会第1条、ラオデキヤ公会第37、38条、カルケドン公会51、73、106条)

第八条 若し主教或は司祭或は輔祭或は凡そ聖名簿中の者奉献を行う時領聖せざる時は其理由を具申す可し若し正当の理由なれば赦宥せらる可し。若し具申せざれば民間に害を醸すの因と為り奉献を行いし者に其不正にして行いたりとの疑惑を蒙らしめたる者として教会の親与を絶たるべし。
(アンキラ公会第1、2条、アレクサンドリヤの聖ペトル規則第10条)

第九条 凡そ聖堂に入りて聖書を聴聞するの信者にして祈祷及び聖、領聖の終に到るまで在らざる者は聖堂に不順を生ずる者として教会の親与を絶つ可きなり。
(トゥルリ公会第66、80条、アンティオケア公会第2条、サルディキヤ公会第11条)

第十条 若し教会の親与を絶たれたる者と祈祷する者は仮令私家に於てせしと雖ども親与を絶たる可し。
(使徒規則第11、12、32、45、48、65条、第一全地公会第5条、アンティオケヤ公会第2条、カルケドン公会第10条)

第十一条 若し教衆たる者にして教衆を除黜せられたる者と祈祷する時は自分も除せらる可し。
(使徒規則第28条、アンティオケヤ公会第4条、カルケドン公会第10条)

第十二条 若し教衆の者或は俗人にして教会の親与を絶たれ或は教衆に採用せらるるに堪えざる者去りて他市に往き紹介状なくして受けらるる時は其の受けたる者も受けられたる者も親与を絶たる可し。
(使徒規則第13、32、33条、第四全地公会第11、13条、トゥルリ公会第17条、アンティオケヤ公会第6、7、8、11条、ラオディキヤ公会第41、42条、サルディキヤ公会第9条、カルケドン公会第23、106条)

第十三条 若し既に親与を絶たれし者ならば詐りて神の教会を欺瞞する者として其の絶親を継続せらる可し。
(使徒規則第12、33条、トゥルリ公会第17条)

第十四条 主教は仮令多人に請わるると雖ども己れの教区を棄てて他に移転するを許さず唯敬虔の言を以て彼処に居住する者に鴻益を与うるを得可き正当の理由ありて之を行う時は此限に非ず、但し自己の任意に由らずして数多の主教の裁判に従い熱切の請求に由りて之を行う可きなり。
(使徒規則第33条、第一全地公会第15条、第四全地公会第5条、トゥルリ公会第20条、アンティオケヤ公会第13、16、18、21条、サルディキヤ公会第1、2、17条、カルケドン公会第48条)

第十五条 若し司祭或は輔祭或は凡て教衆の名簿中に在る者己の主教の意に由らずして己の区域内を去り他に移りて全く他所に転住する者には以後勤務す可らざるを命ず就中己の主教の帰還す可き招きを聴かざるときは然りとす。若し此不順を改めざれば彼処に於て俗人として交際せらる可し。
(第一全地公会第15、16条、第四全地公会第5、10、20、23条、トゥルリ公会第17、18条、アンティオケヤ公会第第3条、サルディキヤ公会第15、16条、カルケドン公会第54、90条)

第十六条 若し主教此の如き者に会すること有らんに之に科せられたる勤務の禁を顧みず教衆の員として之を受くる時は不順の師として親与を絶たる可し。
(使徒規則第15条、第一全地公会第15条、トゥルリ公会第17条、アンティオケヤ公会第3条)

第十七条 聖洗の後再婚を為し若くは妾を置きたる者は主教或は司祭或は輔祭或は凡て聖位の名簿に記せらるる者と為るを得ず。
(使徒規則第18条、第一全地公会第15条、トゥルリ公会第3条、聖大ワシリイ規則第12条)

第十八条 寡婦若くは離別せられたる婦若くは淫乱婦若くは婢若くは女俳優を娶りたる者は主教或は司祭或は輔祭或は凡て聖位の名簿に記せらるる者と為るを得ず。
(使徒規則第17条、トゥルリ公会第3、26条、聖大ワシリイ規則第27条)

第十九条 姉妹二人若くは姪を娶りたる者は教衆の者と為るを得ず。

   此の使徒規則は未だ異教人たる時、此の如き婚姻を為し、領洗の後も尚此の不法の同室を為せし者の為に制定せられたり。然れども領洗後、此の如き夫婦の同室を為さざりし者はアレキサンドリヤの聖フェオフィルの規則第五條に依るに教衆に加へらるるを得可し、何となれば異教的生活の罪は洗體にて潔められたればなり。
(トゥルリ公会第26、54条、ネオケサリヤ公会第2条、聖大ワシリイ規則第23、78、87条、アレクサンドリアの聖フェオフィル規則第5条)

第二十条 若し教衆の者人の為に保証人と為る時は除黜せらる可し。
(使徒規則第6、81条、第四全地公会第3、30条)

第二十一条 他人の脅迫に由りて閹割せられたる閹者若くは窘逐の時陰茎を截断せられたる者若くは生れながら閹なる者若し其職に堪ふる時は主教と為るを得可し。
(使徒規則第22、23、24条、第一全地公会第1条、二次公会第8条)

第二十二条 自ら閹割せし者は教衆に採用す可からず。盖し自殺人にして神の造物の敵なればなり。
(使徒規則第22、23、24条、第一全地公会第1条、二次公会第8条)

第二十三条 若し教衆の者自ら閹割すれば除黜せらる可し。盖し自ら己の兇行者なればなり。
(使徒規則第22、23、24条、第一全地公会第1条、二次公会第8条)

第二十四条 俗人にしてて自ら閹割せし者は三年間機密より絶たる可し。盖し自ら己の生命の謀害者なればなり。
(使徒規則第22、23、24条、第一全地公会第1条、二次公会第8条)

第二十五条 主教或は司祭或は輔祭にして邪淫若くは背誓若くは偸盗に罪せられたる者は聖位を除黜せらる可し但し教会の親與は絶たる可からず。盖し書に曰く一罪の為に二罰を科す可からずと(拿翁一章九節)其の他の教役者も亦然り。
(使徒規則第29、30条、第一全地公会第9条、トゥルリ公会第4、21条、ネオケサリヤ公会第1、8条、カルケドン公会第27条、聖大ワシリイ規則第3、32、51、70、82条)

第二十六条 結婚せずして教衆に加わりたる者にして婚配を為さんと欲する者は唯誦経者と唱歌者のみ之を行うを命ず。
(使徒規則第5、51条、第四全地公会第14条、トゥルリ公会第3、6、13、30条、アンキラ公会第10条、ネオケサリヤ公会第1条、カルケドン公会第16条、聖大ワシリイ規則第69条)

第二十七条 主教は司祭或は輔祭にして犯罪せし信者若くは侮辱を加へし不信者を殴打して之を威嚇せんと欲する者は聖位を除黜す可きを命ず。盖し主は毫も我等に此の事を教誨せず之に反して自ら打たれて人を打たず詬られて詬を反さず苦を受けて詞セを出さざりき(彼得前書二章二十三節)
(二次公会第10条)

第二十八条 若し主教或は司祭或は輔祭にして顕然たる罪の為め当然に除黜せられたる者曾て其の任ぜられたるの職務に干与せんとすれば全く教会より断絶せらる可し。
(第一全地公会第5条、第二全地公会第6条、第四全地公会第29条、サルディキヤ公会第14条、アンティオケヤ公会第4、12、15条、カルケドン公会第29、65条、聖大ワシリイ規則第88条)

第二十九条 主教或は司祭或は輔祭にして金銀を以て其位を得たる者は其者並に之を立てたる者共に除黜せられ且全く親与を絶たる可し猶ほ巫祝シモンは我ペートルにて絶たれたる如し。

   或抄本には巫祝シモンはペートルにて云々とあり。
(第四全地公会第2条、トゥルリ公会第22、23条、第七全地公会第4、5、15、19条、サルディキヤ公会第2条、最大ワシリイ規則第90条、ゲンナジイの書およびタラシイの書)

第三十条 世俗の官長を利用して教会に主教の権を得たる主教は除黜せられ且つ親与を絶たる可し凡そ之と交通する者も亦然り。
(第一全地公会第4条、第七全地公会第3条、ラオディキヤ公会第13条)

第三十一条 若し司祭たる者裁判を以て主教を敬虔及び正義に反する事に罪することなく己の主教を軽蔑して別に集会を為し別の高壇を建る時は権威を好む者として除黜せらる可し。盖し是れ権を僭竊する者なり。他の之に従いたる教衆も亦同く除黜せらる可し。俗人は教会の親与を絶たる可し。但し主教より一二三回説諭を為したる後に之を行う可きなり。
(第二全地公会第6条、第三全地公会第3条、第四全地公会第18条、トゥルリ公会第31、34条、ガングル公会第6条、サルディキヤ公会第14条、アンティオケヤ公会第5条、カルケドン公会第10、11条、二次公会第13、14、15条)

第三十二条 司祭或は輔祭にして主教より親与を絶たれたる者は其親與を絶ちし者の外他の主教にて親與に受けらる可らず但し其親与を絶ちし主教死すれば此限に非ず。
(使徒規則第12、13、16条、第一全地公会第5条、第二全地公会第6条、アンティオケヤ公会第6条、サルディキヤ公会第13条、カルケドン公会第11条)

第三十三条 凡そ他の主教或は司祭或は輔祭にして紹介状を有せざる者は之を受く可からず而して紹介状を示せば宜く之に就て審議すべし若し敬虔の伝道者ならば受く可し然らざれば之に其の需要する所の物を給与して之を親与に受く可らず。盖し欺騙を為す者多ければなり。
(使徒規則第12、13条、第四全地公会第11、13条、アンティオケヤ公会第第7、8条、ラオディキヤ公会第42条、カルケドン公会第23、106条)

第三十四条 凡そ民の諸主教は其の中の長たる者を知り之を首と認む可し而して己の権に超過することは何事も其評議に由らずして行う可からず各自、唯其の教区と之に従属するの地とに関係する事のみを行う可し。然れども長たる者も諸主教の評議に由らずして何事も行う可からず。盖し此の如くにして同心一意を為し而して神は主を以て聖神に於て父及び子及び聖神は讃栄せられんとす。
(第一全地公会第4、6、7条、第二全地公会第2、3条、第三全地公会第8条、第四全地公会第28条、トゥルリ公会第36条)

第三十五条 主教は漫りに己の教区の区域外に関し之に従属せざるの市府及び邑村に於て按手を行う可からず。若し其の市府若しくは邑村を管属する者の承諾なくして行いしを罪せらるる時は其者並にそれに立られたる者も除黜せらる可し。
(第一全地公会第15条、第二全地公会第2条、第三全地公会第8条、第四全地公会第5条、トゥルリ公会第17条、アンキラ公会第13条、アンティオケヤ公会第13、32条)

第三十六条 若し主教に按手せられたる者其の職務を受けずして其の委任せられたる民のことを慮らざれば其の職務を受くるに至るまで親與を絶たる可し。司祭及び輔祭も亦然り。若し又任處に赴き自己の意に由らず民の悪意に由て受けられざれば彼れは依然主教たる可し而して其の市府の教衆は此の如き不順の民を教誨せざるに由りて親與を絶たる可し。
(第一全地公会第16条、第四全地公会第29条、トゥルリ公会第37条、アンティオケヤ公会第17、18条)

第三十七条 一年に二次諸主教の会を為して互いに敬虔の定理のことを議し教会に起りたる争論を裁決す可し。第一地回は五旬節の第四週間に於てし第二回は十月十二日に於てす可し。

   其の後特別の事故に由りて公会の為めに別の時を定められたり。第一全地公会規則第五條及び第六全地公会規則八條を見る可し。
(使徒規則第34条、第一全地公会第5条、第二全地公会第2条、第四全地公会第19条、トゥルリ公会第8条、第七全地公会第6条)

第三十八条 主教は神に監視せらるる者として教会の諸物品を慮り之を管理す可し。然れども主教は其の中一物たりとも己の私有と為し若くは神に属するものを以て已の親族に與ふるを許さず。若し貧者あらば貧者として之に施與す可し。但し之を辞として教会に属するものを販売す可からず。
(使徒規則第41条、第四全地公会第26条、トゥルリ公会第35条、第七全地公会第11、12条、アンキラ公会第15条、アンティオケヤ第24条、アレクサンドリヤの聖フェオフィル規則第10条、アレクサンドリヤの聖キリル規則第2条)

第三十九条 司祭及び輔祭は主教の意に由らずして何事も行ふ可からず。蓋し主の人々は彼れに委任せられ彼は其の霊魂の為に陳訴せんとす。
(使徒規則第38、40、41条、第七全地公会第12条、ラオデキヤ公会第5条、カルケドン公会第6、7、32条)

第四十条 主教の私有の財産(若し主教私有物を有すれば)を明にし又主の物を明にし以て、主教死する時私有物を已の欲する者に己の欲する如く遺すの権利を保有し教会の名義を以て時として妻子若くは親族若くは僕婢ある主教の財産を耗費せざるを致すべし。是れ蓋し神と人の前に義なることなり。則ち教会も主教の財産の知られざるに由りて損耗を受けず又主教若くは其の親族も教会の為に財産を没収せられず或は其の親近の者訴訟を搆ひ以て其の逝去に不名譽の伴はざるを致す可し。
(使徒規則第38、41条、第四全地公会第22条、トゥルリ公会第35条、アンティオケヤ公会第24条、カルケドン公会第22、26条)

第四十一条 主教に教会の所有物を管理するの権を有す可きを命ず。蓋し若し貴重なる人の霊魂にして之に委托せらるべくんば況んや金銀に就ては彼に己の権を以て諸物を管理し司祭及び輔祭を以て要求する者には神を敬畏するの心と全く敬虔の心を以て施與す可きことを命ぜざるべからず又(若し要すれば)自ら已れ及び旅行する兄弟等の必要の需めに使用し何事に於ても欠乏を忍ぶことを為さざる可し蓋し神の法は高壇に務むる者は高壇に由りて養はる可く定めたり猶軍士が自ら給養しながら干戈を執て敵に対抗するを為さざるが如し。
(使徒規則第38、39条、第四全地公会第26条、第七全地公会第12条、アンティオケヤ公会第24、25条、アレクサンドリヤの聖フェオフィル規則第10、11条)

第四十二条 主教或は司祭或は輔祭にして賭博又は酒に耽る者は或は禁止す可し或は除黜せらる可し。
(使徒規則第42、54条、トゥルリ公会第9、50条、第七全地公会第22条、ラオデキヤ公会第24、55条、カルケドン公会第40、60条)

第四十三条 副輔祭或は誦経者或は唱歌者にして此の如き事を行ふ者は或は禁止す可し或は親與を絶たる可し。俗人も亦然り。
(使徒規則第42、54条、トゥルリ公会第9、50条、第七全地公会第22条、ラオデキヤ公会第24、55条、カルケドン公会第40、60条)

第四十四条 主教或は司祭或は輔祭にして負債者より利息を要求する者は或は禁止す可し或は除黜せらる可し。

第四十五条 主教或は司祭或は輔祭にして単に異端者と共に祈祷せし者は親與を絶たる可し。若し異端者に教会役者の如くに事を行ふを許す時は除黜せらる可し。
(使徒規則第10、11、45、64条、第三全地公会第2、4条、ラオデキヤ公会第6、9、32〜37条、アレキサンドリアの主教テモフェイの規程的回答)

第四十六条 主教或は司祭にして異端者の洗礼若くは其の献物を受けし者は除黜す可きを命ず蓋しハリストスとウェリアルと何の契か之れ有らん信者と不信者と何の干か之れ有らん(哥林多後書6:15)。

   此の使徒規則は其の使徒時代に神父及び子及び聖神又は神子の藉身に関する緊要の定理を壊傷せし如き異端者に関係す。別種の異端者に関する後代の定規は即ち左の規則なり。第一全地公会第十九條、ラオディキヤ公会第七條及び第八條、第六全地公会第九十五條及び大ワシリイ規則第四十七條
(使徒規則47、68条、第一全地公会第19条、第二全地公会第7条、トゥルリ公会第95条、ラオデキヤ公会第7、8条、聖大ワシリイ規則第1、47条)

第四十七条 主教或は司祭、正規に循ひて領洗せし者に復び施洗し若くは不虔者に涜されたる者に施洗せざる時は主の十字架及び其の死を蔑如し司祭を偽司祭と分別せざる者として除黜せらる可し。
(使徒規則第46〜50条、第一全地公会第8条、第二全地公会第7条、トゥルリ公会第84、95条、ラオデキヤ公会第32条、カルケドン公会第48、72条、聖大ワシリイ規則第1、47、91条)

第四十八条 若し俗人己の妻を逐ふて他の婦若しくは他人に離別せられたるの婦を娶る時は親與を絶たる可し。
(トゥルリ公会第87、93条、アンキラ公会第20条、カルケドン公会第102条、聖大ワシリイ規則第9、21、35、48、77条)

第四十九条 若し主教或は司祭主の規定に循ひ父及び子及び聖神に由らず乃ち三の無始者若くは三の子若くは三の撫恤者に由て施洗する時は除黜せらる可し。
(使徒規則第46、47、50、68条、第二全地公会第7条、トウルリ公会第78、84、95、96条、ネオケサリヤ公会第12条、ラオデキヤ公会第47、48条、カルケドン公会第45、48、72、110条、聖大ワシリイ規則第1、91条)

第五十条 若し主教或は司祭、惟一機密の三次の浸没を行はずして主の死に由てする一次の浸没を行ふ時は徐黜せらるべし。若し主は我が死に由りて施洗せよと云はずして往きて萬民を教え父及び子及び聖神の名に由りて洗を施すべし(馬太28:19)と云へり。
(使徒規則第46、47、49条、第二全地公会第7条、トゥルリ公会第95条、ネオケサリヤ公会第12条、聖大ワシリイ規則第1、91条)

第五十一条 若し主教或は司祭或は輔祭或は凡て聖位に在る者節制の功の為に非ず乃ち嫌悪の故に由り萬物甚で善なると神人を造る時之が男女を造りしことを忘れて婚姻を避け肉と酒とを絶ち此の如くにして妄りに造物を誹謗すれば或は悔改す可し或は聖位を除黜せられ且教会より斥ぞけらる可し。俗人も亦然り。
(使徒規則第53、66条、第四全地公会第16条、トゥルリ公会第13条、アンキラ公会第14条、ガングル公会第1、2、4、14、21条)

第五十二条 若し主教或は司祭罪悪中より反帰せし者を受けずして之を拒絶する時は聖位を除黜せらる可し。蓋し一の罪人悔改するあれば天に於て喜悦あり(路加15:7)と云ひしハリストスを憂悲せしむるに由る。
(第一全地公会第8条、トゥルリ公会第43、102条、聖大ワシリイ規則第74条)

第五十三条 若し主教或は司祭或は輔祭、祭に於て節制の功の為に非ず嫌悪して肉と酒とを食せざる時は除黜せらる可し蓋し自己の良心に烙かれて多人の誘惑の原因と為るに由る。
(使徒規則第51、66条、アンキラ公会第14条、ガングル公会第2、21条)

第五十四条 若し教衆の者酒店に飲食して認めらるる時は親與を絶たる可し但し途間巳むを得ざるに由りて旅舎に休憩するは此の限りに非ず。
(トゥルリ公会第9条、ラオデキヤ公会第24条、カルケドン公会第40条)

第五十五条 若し教衆の者主教を侮辱する時は除黜せらる可し。蓋し爾の民の有司を誹る勿れ(行実23:5)。
(使徒規則第31、39条、第四全地公会第8条、トゥルリ公会第34条、ラオディキヤ公会第57条、カルケドン公会第7条)

第五十六条 若し教役者たる者司祭或は輔祭を侮辱する時は教会の親與を絶たる可し。
(第一全地公会第18条、トゥルリ公会第7条、ラオデキヤ公会第20条、聖大ワシリイ規則第88条)

第五十七条
 若し教衆の者跛者若くは聾者若くは瞽者若くは足を傷ひし者を嘲笑する時は親與を絶たる可し。俗人も亦然り。

第五十八条 主教或は司祭にして教役者及び人民のことを慮らずして之を敬虔に教導せざる者は親與を絶たる可し。若し其の緩慢怠惰を改めざれば除黜せらる可し。
(トゥルリ公会第19条、サルディキヤ公会第11条、ラオデキヤ公会第19条、カルケドン公会第71、102、128条)

第五十九条 主教或は司祭或は輔祭若し教衆の要求する者に其の要求する物を給與せざる時は親與を絶たる可し。執拗して改めざれば己の兄弟の殺害者として除黜せらる可し。
(使徒規則第4、38、41条、ガングル公会第7、8条、カルケドン公会第37条、アレクサンドリヤの聖フェオフィル規則第8条)

第六十条 若し不虔者の偽書を聖書の如く聖堂に誦読し以て人民及び教衆の害を為す者あらば除黜せらる可し。
(使徒規則第85条、トゥルリ公会第63条、第七全地公会第9条、ラオデキヤ公会第59、60条、カルケドン公会第24条)

第六十一条 若し信者邪淫若くは姦淫若くは其他禁制せられたる事により告訴せられて定罪せられたる者は教衆に登庸せらる可からず。
(使徒規則第25条、第一全地公会第2、9、10条、第二全地公会第6条、トゥルリ公会第33条、アンキラ公会第12条、ネオケサリヤ公会第1、9条)

第六十二条 若し教衆の者イウデヤ人若くはエルリン人若くは異端者を畏れてハリストスの名を諱めば教会より斥ぞけらる可し。若し教会役者の名を諱めば教衆より除黜せらる可し。若し悔改すれば俗人として受けらる可し。
(第一全地公会第10条、アンキラ公会第1〜3、12条、アレクサンドリヤの聖ペトル規則第10、1条、アレクサンドリアの聖フェオフィル規則第2条)

第六十三条 若し主教或は司祭或は輔祭或は凡て聖位に在る者生命たる血あるの肉若くは獣に傷害せられたる牲畜若くは死したる獣畜の肉を食すれば除黜せらる可し蓋し律法(行実15:29)に之を禁ぜり若し俗人之を行はば親與を絶たる可し。
(トゥルリ公会第67条、ガングル公会第2条)

第六十四条 若し教衆の者主日若くは一土曜日(即ち大土曜日)を除くの外土曜日に禁食して認めらるる時は除黜せらる可し。俗人は親與を絶たる可し。

   主日及び土曜日に禁食を釋くの程度は教会の成規の定むる所にして通例禁食すること其の日の四分の三に至らずして聖体礼儀の後に葡萄酒、油及び食物を用うることを許さる。
(使徒規則第51、53条、第四全地公会第16条、トゥルリ公会第13、55条、アンキラ公会第14条、ガングル公会第18、21条)

第六十五条 若し教衆の者或は俗人イウデヤ人若くは異端者の会堂に入りて祈祷すれば聖位を黜除せられ且つ教会の親與を絶たる可し。
(使徒規則第7、45、70、71条、トゥルリ公会第11条、アンテオケヤ公会第1条、ラオデキヤ公会第6、29、33、37、38条)

第六十六条 若し教衆の者諍闘の時人を殴打し一撃にて之を殺せば其の粗暴の為め除黜せらる可し。若し俗人之を行はば親與を絶たる可し。
(使徒規則第27条、二次公会第9条、アンキラ公会第22、23条、聖大ワシリイ規則第8、54、55、56、57条、ニッサの聖グリゴリイ規則第5条)

第六十七条 若し人未だ許嫁せられざるの處女を犯す時は教会の親與を絶たる可し。其の者他の女を娶るを許さず仮令其の女貧賤たりとも己の選びたる者を娶らざる可からず。
(第四全地公会第27条、トゥルリ公会第92、98条、アンキラ公会第11条、聖大ワシリイ規則第22、25、26、30、69条)

第六十八条 若し主教或は司祭或は輔祭、人より二次按手を受くれば其者並びに按手せし者も聖位を除黜せらる可し。但異端者より按手を受けたること確然判明する時は此限りに非ず。蓋し此の如き輩より洗礼若くは按手を受けたる者は教会の信者若くは役者たる能はざればなり。
(使徒規則第46、47条、第一全地公会第8、19条、第二全地公会第4条、第三全地公会第5条、ライデキヤ公会第8、32条)

第六十九条 若し主教或は司祭或は輔祭或は副輔祭或は誦経者或は唱歌者にして「バスハ」前の聖四旬齋期若くは水曜日若くは金曜日に身体薄弱の妨あるに非ずして禁食せざる時は除黜せらる可し。俗人は親與を絶たる可し。
(トゥルリ公会第29、56、89条、ガングル公会第19条、ラオデキヤ公会第49〜52条、アレクサンドリヤの聖ディオニシイ規則)

第七十条 若し主教或は司祭或は輔祭或は凡て教衆の名簿中に在る者にしてイウデヤ人と共に禁食し若くは彼等と共に祝祭し若くは彼等より其の祭日の供物例へば淡餅の如き其他之に類するものを受くる時は除黜せらる可し。俗人は親與を絶たる可し。
(使徒規則第7、64、71条、トゥルリ公会第11条、アンテオケヤ公会第1条、ラオデキヤ公会第29、37、38条、カルケドン公会第51、73、106条)

第七十一条 若し「ハリスティアニン」たる者異教人の寺院若くはイウデヤ人の会堂に其の祭日に於て油を献じ若くは蝋燭を点ずる時は教会の親與を絶たる可し。
(使徒規則第7、64、70条、トゥルリ公会第11、94条、アンキラ公会第7、24条、アンテオケヤ公会第1条)

第七十二条 若し教役者たる者或は俗人聖堂より蝋若くは油を竊取する時は教会の親與を絶たる可し且つ五倍を以て其の取りたる所の物を償ふ可し。
(使徒規則第25、38、73条、アンテオケヤ公会第25条、二次公会第10条、ニッサの聖グリゴリイ規則第8条)

第七十三条 聖とせられし金或は銀の器物若くは帳は復た之を取りて私用に充つ可らず。蓋しこれ違法なり。若し此事に認めらるる者あらば親與を絶つを以て罰せらる可し。
(使徒規則第25、38、72条、二次公会第10条、ニッサの聖グリゴリイ規則第8条、アレキサンドリヤの聖キリル規則第2条)

第七十四条 信依す可き人々に告訴せられたる主教は必ず自ら主教等に召喚せられざる可らず若し出頭して首伏し若くは定罪せらるる時は懲罰を科す可し若し召喚せられて之に應ぜざれば再び之に主教二人を遣はして招く可し。若し之をも聴かざれば三次之に主教二人を遣はして招く可し。若し又之をも敬せずして出頭せざれば公会は己の見込に依りて彼に對する定断を宣告し以て之に裁判を避けて僥倖を得るを思はざらしむべし。
(使徒規則第34、37、75条、第二全地公会第6条、第四全地公会第9、17、19、21条、トゥルリ公会第8条、アンテオケヤ公会第14、15、20条、ラオデキヤ公会第40条、カルケドン公会第8、10〜12条)

第七十五条 主教に対するの證拠には異端者を受理す可らず又信者一名にても不充分なり。蓋し二三證者の口を以て言々確證有るを致す(馬太18:16)。
(第一全地公会第2条、第二全地公会第6条、カルケドン公会第59、131、132条)

第七十六条 主教は兄弟若くは子若くは其の他親族の者の歓を得るが為に己れの欲する所の者を主教の位に立つ可らず蓋し主教の後嗣を立て神に属するものを以て人間の慾情の犠牲に供するは正しからざるなり。蓋し神の教会は必ず之を継続の権下に置く可らず。若し之を行ふ者あらば其の叙任は無効の者たるべく自ら親與を絶つを以て罰せらる可し。
(使徒規則第1、30条、第一全地公会第4条、第七全地公会第3条、アンテオケヤ公会第19条、カルケドン公会第22、49条)

第七十七条 一目を失ひ若くは足を傷ひし者若し主教たるに堪ふる時は主教と為るを得可し。蓋し人を汚すものは身体の廃疾に非ずして霊魂の汚穢なればなり。

第七十八条 聾者及び瞽者は主教と為る可らず其の汚されたりと為すが為に非ず唯教会の事務に妨げなからんが為めなり。
(使徒規則第22、23、25、29、77、80条、第一全地公会第2、9、10条、第四全地公会第2条、トゥルリ公会第10、22、23条、第七全地公会第4、5、15、19条)

第七十九条 悪魔に憑られたる者は教衆に採用せらる可らず又信者と共に祈る可らず。之を脱すれば信者と共に受けらる可し若し堪ふるに於ては教衆にも採用せらるるを得可し。
(トゥルリ公会第60条、アレクサンドリヤの主教ティモフェイ規則第2〜4、14条)

第八十条 異教の生活より帰依して領洗せし者若くは不善の生行より反帰せし者を遽に主教に登庸するは不正なり。蓋し無経験の者他人の師と為るは正しからず。但し神の恩寵に由りて成るものは此の限に非ず。
(第一全地公会第2条、第七全地公会第2条、ネオケサリヤ公会第12条、ラオデキヤ公会第3、12条、サルデキヤ公会第10条、二次公会第17条、アレクサンドリヤの聖キリル規則第4条)

第八十一条 我等言ふ主教或は司祭は民間の政治に干渉す可らず乃ち間然なく教会の事務に従事すべし。故に或は説得して之を行はざらしむべく或は除黜せらる可し。蓋し主の誡に依るに人、二主に事ふる能はざればなり(馬太6:24)。
(使徒規則第6、20、83条、第四全地公会第3、7条、第七全地公会第10条、カルファゲン公会第16条、二次公会第11条)

第八十二条 家主の承諾を得ずして奴隷を教衆に登庸し以て其の主人を辱かしむるを許さず蓋し之に由りて家内の紊乱を生ずるに由る。若し奴隷は我等のオニシムの如く教会の職に任ずるに堪ふる者にして其の主、承諾して之に自由を與へ家より解放する時は登庸せらるるを得可し。
(使徒規則第6、81、83条、第四全地公会第4条、トウルリ公会第85条、ガングル公会第3条、カルケドン公会第64、82条)

第八十三条 主教或は司祭或は輔祭軍事に従事する者にして両職即ちロマの軍職と神品の職とを兼任せんと欲する者は聖位を除黜せらる可し。「ケサリ」の物は「ケサリ」に帰し神の物は神に帰す可し(馬太20:21)。
(使徒規則第6、81条、第四全地公会第3、7条、第七全地公会第10条、カルケドン公会第16条、二次公会第11条、聖大ワシリイ規則第55条)

第八十四条 凡そ義に依らずして王侯を侮辱する者は罰を蒙る可し。若し教衆の者なれば聖位を除黜せらる可し俗人は教会の親與を絶たる可し。
(使徒規則第55、56条)

第八十五条 凡そ爾等教衆に属する者及び俗人の尊び且聖と為す可き舊約の書は左の如し モイセイの五書即ち創世記、出埃及記、利末記、民数記、復傳律例書是なり、ナワィンの子イイススの書一巻、士師記一巻.ルフ記一巻、列王紀四巻、歴代志略(即ち日誌の残篇)二巻、エズドラの書二巻、エシフィリの書一巻、マッカウェイの書三巻、イオフの書一巻.聖詠一巻、ソロモンの書三巻即ち箴言、伝道之書.雅歌、是なり。預言者の書十二巻、イサイヤの書一巻、イエレミヤの書一巻、イェゼキイリの書一巻、ダニイルの書一巻なり。此外、爾等に注意すべきは爾等の若年輩碩学シラフの智慧書を学ばんこと是なり。我等の新約の書は左の如し。四福音書即ちマトフェイ、マルク、ルカ、イヲアンの書是なり。パウェルの書十四巻、ペートルの書二巻、イオアンの書三巻、イヤコフの書一巻、イウダの書一巻、クリメントの書二巻、及び我れクリメソト爾等主教の為に述べたる規律書八巻(但し此の書中深奥の意あるを以て衆人に公示するに及ばず)並びに我等使徒の行実なり。
   
 クリメントの作りたる使徒規則に関しては時世と神の旨に由りて更に新規則を制定するの必要を見るに至れり。則ち第六全地公会の規則第二條是なり。聖書として聖堂に誦読す可きに定められたる書に就いて尚左の規則あり即ちヲオディキヤ公会の第六十條カルファゲン公会の第三十三條、同く聖アファナシイの祭日論第三十九篇、神学者聖グリゴリイ及び聖アンフィローヒイの詩是なり
(使徒規則第60条、トゥルリ公会第2条、ラオデキヤ公会第60条、カルケドン公会第24条、聖大アファナシイの祭日について、神学者グリゴリイの聖書について)

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