生神女に奉る祈祷の規程



生神女に奉る祈祷の規程
第八調

   第一歌頌

(イルモス)イズライリは乾ける地の如く水を過(とお)り、エギペトの禍(わざわい)を免れてよべり、我が救世主及び神に歌わん。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 嗚呼言の母童貞女よ、我多くの誘惑(いざない)に囲まるる者は爾に走り附きて救を求む、諸罪諸難より我を救い給え。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 諸欲の攻撃は我を擾して、我が霊を深い憂悶(もだえ)に満つ。純潔なる童貞女よ、爾の子及び神の温柔を以て我を平安ならしめ給え。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 童貞女よ、我爾救世主及び神を生みし者に祈る、我を罪過及び艱難より救い給え、我爾に走り附きて、我が霊(たましい)我が思を爾に捧ぐればなり。
   今も何時も世々に、アミン。
 独一(どくいつ)の生神女、仁慈なる主の母よ、仁慈なる者として我霊体(れいたい)の病める者を顧みて、爾の神聖なる慮りを我に垂れ給え。


   第三歌頌

(イルモス)主天の穹蒼(おおぞら)の至上なる造成者、教会の建立者、冀望(きぼう)の極(かぎり)、信者の固、独(ひとり)人を愛する者よ、我を爾の愛に堅め給え。

    至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 神の母童貞女よ、我爾を我が生命の守護(まもり)及びおおいとして尊む。諸善の泉、信者の固(かため)、独(ひとり)讃美たる者よ、我を爾の港に導き給え。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 童貞女よ、祈る、吾が霊の紛擾(みだれ)、吾が憂の暴風(あらし)を鎮め給え、爾は、独至浄なる神の聘女(よめ)よ、平穏な首(かしら)たるハリストスを生みたればなり。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 万善の原因なる恩主を生みし者よ、衆人に諸恩の富を施し給え、爾は、神福なる者よ、能(よく)せざる所なければなり、蓋能力の堅固なるハリストスを生み給えり。
   今も何時も世々に、アミン。
 無てんなる童貞女よ、我苦しき病と甚しき欲とに悩まさるる者を援け給え、我爾を医治(いやし)の尽されぬ宝蔵とし識ればなり。


   第四歌頌

(イルモス)主よ、我爾が摂理の秘密を聆(き)き、爾の作為(わざ)を悟り、爾の神性を讃栄せり。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 嚮導師たる主を生みし神の聘女よ、我が諸欲の紛擾と吾が諸罪の暴風とを鎮め給え。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 凡そ爾を歌う者の仁慈なる救主を生みし者よ、我爾の慈憐の淵を呼ぶ者に慈憐を垂れ給え。
  光栄は父と子と聖神に帰す、
 至浄なる者よ、我等爾を神の母と識る者は爾の諸恩を楽しみて、感謝の歌を爾に奉る。
   今も何時も世々に、アミン。
 生神女、独一の永貞童女よ、至仁なる者として、我病と不能との床に偃(ふ)す者を援け給え。


   第五歌頌

(イルモス)主よ、爾の誡を以て我等を照せ、人を愛する者よ、爾の高き臂を以て爾の平安を我等に与え給え。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 楽(たのしみ)の原因を生みし潔(いさぎよ)き者よ、爾の潔浄(けつじょう)なる喜を与えて、吾が心を楽に満て給え。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 永遠の救と凡の智慧を超ゆる平安とを生みし潔き生神女よ、我等を諸難より救い給え。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 神聖にして永遠なる光を生みし神の聘女よ、爾の光照の輝にて我が諸罪の暗を散じ給え。
   今も何時も世々に、アミン。
 潔き者よ、爾の眷顧(かえりみ)を以て吾が霊の不能を医し、爾の祈祷を以て我に健康を与え給え。


   第六歌頌

(イルモス)我祷(いのり)を主の前に灌ぎ、我が憂を彼に告げん、我が霊は悪に満ち、我が生命は地獄に近づきたればなり。我イオナの如く祈る、神よ、我を淪滅(ほろび)より引き上げ給え。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 童貞女よ、爾の主及び子は己を死に服したる吾が性を死及び朽壊より救い給えり。求む、我を諸敵の懊悩(なやみ)より脱(のが)れしめんことを彼に祈り給え。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 童貞女よ、我爾を衆人の転達者、我が生命の堅固なる守護者、我等を患難より解く者、悪鬼の攻撃より防ぎ衛る者と識りて、常に祈る、我を害する諸欲より脱れしめ給え。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 童貞女よ、我等爾を堅固なる避所(かくれが)と、霊の全き拯救(すくい)、及び憂の中の慰籍(なぐさめ)として獲て、常に爾の光照を喜ぶ。嗚呼女宰よ、今も我等を諸欲諸難より救い給え。
   今も何時も世々に、アミン。
 我今病みて床に臥し、我が身には医治(いやし)なし。世界の神及び救主、諸病の医師を生みし慈憐なる者よ、爾に祈る、諸病の悩より我を起し給え。

 小 讃 詞
 「ハリスティアニン」等の辱(はじ)を得ざる転達、造物主の前に変らざる中保や、罪なる者の祷の声を退くる勿れ、仁慈なるに依りて、速(すみやか)に我等を助け給え、蓋我等切に爾に呼ぶ、生神女や、爾を尊む者に常に代りて、急ぎて祷り、切に願い給え。


   第七歌頌

(イルモス)昔ワワィロンに於てイウデヤより来りし少者は、聖三の信を以て、爐(いろり)の焔を踏みて歌えり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 救世主よ、爾は我等の救を成さんと欲して、童貞女の胎に入(い)り、彼を世界の転達者と彼を世界の転達者と為し給えり。吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 潔き母よ、爾が生みし仁慈なる主に祈らん。祈りて、信を以て、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると呼ぶ者の諸罪及び霊の汚より潔められんことを求め給え。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 救世主よ、爾を生みし童貞女を爾は之を呼ぶ者の為に救の宝蔵、不朽の泉、堅固なる柱、及び痛悔の門と為し給えり。吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
   今も何時も世々に、アミン。
 神の母、我等の為に救世主ハリストスを生みし童貞女よ、愛を以て爾のおおいに来り就く者の肉体の柔弱と霊の諸病を医し給え。


   第八歌頌

(イルモス)天使の軍の歌う所の天の王を崇めて、万世に讃め揚げよ。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 童貞女よ、爾の祐助(たすけ)を求めて、爾を歌いて世世に讃め揚ぐる者を棄つる勿れ。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 潔き童貞女よ、吾が霊の不能と肉体の諸病とを医し給え、吾が世世に爾を讃栄せん為なり。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 童貞女よ、爾は信を以て爾を歌いて、爾の言い難き産を讃め揚ぐる者に医治(いやし)の富を流し給う。
   今も何時も世々に、アミン。
 童貞女よ、爾は諸難の囲と諸欲の攻撃とを退け給う。故に我等は爾を万世に讃め歌う。


   第九歌頌

(イルモス)潔き童貞女よ、我等爾に依りて救われし者は爾を実に生神女と承け認(と)めて、無形の軍と偕に爾を崇め讃む。

   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 凡そ憂うる者の涙を拭いしハリストスを生みたる童貞女よ、我が涙の流れを厭う毋れ。
   至聖なる生神女よ、我等を救い給え。
 充満の歓喜(よろこび)を受けし童貞女よ、吾が心を歓喜に満てて、諸罪の憂いを除き給え。
   光栄は父と子と聖神に帰す、
 童貞女よ、敬虔に爾を生神女と承け認むる者を爾の光の光線を以て照して、無知の暗を散じ給え。
   今も何時も世々に、アミン。
 童貞女よ、我卑微なる者の諸病を医して、不能を変じて健康と為し給え。