付録 1


 八調の聖三の讃歌  光耀歌


斯の讃歌は聖大齋及び他の齋期に、「主は神なり」及び讃詞を歌はざる時、「アリルイヤ」を其諸句、「神よ、我が神は夜中より爾を慕ふ」及び其他を歌ふ時に歌はる。

 

知るべし、第一の聖三の讃歌の末辭は、月曜日には左の如し。

爾の無形軍の轉達に因りて我等を憐み給へ。

火曜日には、爾の前驅の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

水曜日及び金曜日には、主よ、爾の十字架の力にて我等を護り給へ。

木曜日には、爾の聖使徒及び成聖者ニコライの祈禱に因りて我等を憐み給へ。

他の二章の聖三の讃歌には、其末辭本文の如し。

   聖三の讃歌、第一調。

我等無形の軍の有形の象を以て、形より上なる屬神の意思に升せられ、聖三の歌に由りて三位の神性の光を受けて、ヘルワィムの如く惟一の神に呼ばん、聖、聖、聖なる哉吾が神や、云云

---------------------[八調の聖三の讚歌 1244]---------------------

光榮、我等衆天軍と偕に最高きに居る者に聖三の讃美を奉りて、ヘルワィムの如く呼ばん、聖、聖、聖なる哉吾が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、至善者よ、我等寤め興きて爾に伏拜す、全能者よ、天使の歌を以て爾に呼ぶ、聖、聖、聖なる哉神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

 

   光耀歌、第一調。

主よ、光を耀かし、 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 我が靈を諸の罪より浄めて、我を救ひ給へ。

光耀歌の中に日毎に左の詞を挿入す。第一次には、

月曜日に、爾の無形の者の轉達に因りて、

火曜日に、爾の前驅の祈禱に因りて、主よ、

水曜日及び金曜日に、爾の十字架の力にて、主よ、

木曜日に、爾の諸使徒、及び成聖者ニコライの祈禱に因りて、主よ、

第二次には、光榮に常に誦す、爾の諸聖人の祈禱に因りて主よ、

第三次には、今もに常に誦す、生神女の祈禱に因りて、よ、

 

   聖三の讃歌、第二調。

---------------------[八調の聖三の讚歌 1245]---------------------

至善者よ、我等地に在りて天上の軍に效ひて、凱歌を爾に奉る、聖、聖、聖なる哉吾が神や、云云

光榮、造られざる性、萬有の造成主よ、我等の口を開き給へ、我が爾の讃美を傳へて呼ばん爲なり、聖、聖、聖なる哉吾が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、主よ、爾は我を覺まして榻より起せり、我が智慧と心とを照し、我が口を開きて爾聖三者を歌はしめ給へ、聖、聖、聖なる哉吾が神や、生神女に因りて我等を憐みへ。

   光耀歌、第二調。

ハリストス神よ、爾の永在の光を遣し、 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 我が心の無形の目を照して、我を救ひ給へ。

 

   聖三の讃歌、第三調。

一性にして分れざる三者、三位にして同永在なる惟一者よ、我等爾神に天使の歌を奉る、聖、聖、聖なる哉吾が神や、云云

光榮、無原の父、同無原の子、同永在の神たる惟一の神性を我等ヘルワィムの如く勇敢を以て讃榮して曰ふ、聖、聖、聖なる哉我が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を

---------------------[八調の聖三の讚歌 1246]---------------------

憐み給へ。

今も、審判者俄に來りて、人人の行は顯れん、故に我等夜半に畏れて呼ぶ、聖、聖、聖なる哉我が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

   光耀歌、第三調。

ハリストス神よ、爾の光を遣し、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 我が心を照して、我

を救ひへ。

 

   聖三の讃歌、第四調。

爾の無形なる役者の歌を、我等死すべき者は勇敢を以て爾に奉りて曰ふ、聖、聖、聖なる哉我が神や、云云

光榮、至善者よ、天使の品位が天に於ける如く、我等人の班列は地に於て今畏を以て凱歌を爾に奉る、聖、聖、聖なる哉我が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、ハリストス神よ、爾の無原なる父と、爾と、爾の至聖なる神とを、我等ヘ

ルワィムの如く勇敢を以て讃榮して曰ふ、聖、聖、聖なる哉我が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

 

   光耀歌、第四調。

---------------------[八調の聖三の讚歌 1247]---------------------

主よ、爾の世界に光を耀かし、 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 幽暗に在る我が靈を諸の罪より潔めて、我を救ひ給へ。

 

   聖三の讃歌、第五調。

歌頌の刻、祈禱の時なり、我等熱切に惟一の神に呼ばん、聖、聖、聖なる哉我が神や、云云

光榮、無原なる三者よ、我等勇敢を以て爾の無形の軍を象りて、不當なる口にて呼

ぶ、聖、聖、聖なる哉我が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。』

今も、童貞女の胎に入りて、父の懐を離れざりしハリストス神よ、諸天使と偕に我等をも受け給へ、蓋我等呼ぶ、聖、聖、聖なる哉我が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

   光耀歌、第五調。

光を施す主よ、爾の光を遣し、 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 我が心を照して、我を救ひ給へ。

 

   聖三の讃歌、第六調。

ヘルワィム等は畏を以て前に立ち、セラフィム等は敬み慄きて、黙さざる聲を以て聖三の歌を奉る、彼等と偕に我等罪なる者も呼ぶ、聖、聖、なる哉我が神や、云云

---------------------[八調の聖三の讚歌 1248]---------------------

光榮、我が神よ、六翼の者は無形の口、黙さざる讃頌を以て爾に聖三の歌を呼ぶ、我等地上の者も不當なる口を以て爾に讃美を奉る、聖、聖、聖なる哉吾が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、聖三なる惟一者の神性を混淆せざる合一に於て讃榮して、我等天使の歌を呼ぶ、聖、聖、聖なる哉吾が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

 

   光耀歌、第六調。

主よ、爾の無形の者の轉達に因りて、爾の永在の光を我等の靈に遣し給へ。

第六調の光耀歌には、始の主よ、爾の無形の者の轉達に因りてに代へて、左の如く言ふべし。

火曜日に、主よ、爾の前驅の祈禱に因りて、爾の永在の光を我等の靈に遣し給へ。

水曜日及び金曜日に、主よ、爾の十字架の力にて、爾の永在の光 云云

木曜日に、主よ、爾の諸使徒、及び成聖者ニコライの祈禱に因りて、爾の永在の光、云云

 

第二次には、光榮に、主よ、爾の諸聖人の祈に因りて、爾の永在の光、云云

---------------------[八調の聖三の讚歌 1249]---------------------

第三次には、今もに、「主よ、生神女の祈に因りて、爾の永在の光を我等の靈に遣し給へ。

 

   聖三の讃歌、第七調。

天上の軍たるヘルワィム等に歌頌せられ、神聖なる光榮の中に諸天使に伏拜せらる

る神よ、我等地上に在りて不當なる口を以て爾に讃美を奉る者をも納れ給へ、聖、聖、なる哉吾が神や、云云

光榮、靈よ眠の如く怠惰を退け、審判者を讃美せんことを勵みて、畏を以て呼べ、聖、聖、聖なる哉吾が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、近づき難き神性、惟一の三者に、セラフィムの聖三の讃美を奉りて、畏を以て呼ばん、聖、聖、聖なる哉吾が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

   光耀歌、第七調。

主よ、我を起して爾を歌はしめ、聖なる者よ、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 我に爾の旨を行はんことを敎へて、我を救ひ給へ。

 

   聖三の讃歌、第八調。

我等心を天に擧げ、天使の品位に效ひて、畏を以て審判者の前に俯伏して、勝利の讃美をばん、聖、聖、聖なる哉吾が神や、云云

---------------------[八調の聖三の讚歌 1250]---------------------

光榮、ヘルワィム等は敢て爾を仰ぎ視ずして、環り飛びて、神聖なる聖三の歌を奉る、彼等と偕に我等も爾に呼ぶ、聖、聖、聖なる哉吾が神や、爾の諸聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。

今も、我等多くの罪に屈められ、敢て天の高きを仰ぎ視ずして、靈と體とを以て俯伏して、諸天使と偕に爾に歌を奉る、聖、聖、聖なる哉吾が神や、生神女に因りて我等を憐み給へ。

   光耀歌、第八調。

光なるハリストスよ、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 親ら我を照して、我を救ひ給へ。

 

 

          ~~~~~~

 

 

 

 

 

---------------------[八調の聖三の讚歌 1251]---------------------

 


 八調經中の坐誦讃詞


 

聖四旬齋内に之を歌ふ。

月曜日の早課に。第一の誦文の後に傷感の、第一調。

不法に於て妊まれたる我放蕩の者は敢て天の高きを仰ぐを得ず。唯爾の仁愛を恃み

て呼ぶ、神よ、我を潔め、我を救ひ給へ。

、主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。

   火曜日にも同句を誦す。

若し義者僅に救を得ば、我罪人は何處にか立たん。我終日の苦勞と暑とを忍

ばざりき。然れども神よ、我を第十一時の傭工に加へて、我を救ひ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、恩寵を蒙れる者よ、造物は爾の中に奇蹟の奇蹟を見

喜ぶ、蓋爾は天使の首品位の見るを得ざる者を種なく孕みて、言ひ難く生み給

り。生神女よ、彼に我等の靈の爲に祈り給へ。

第七歌頌に月課經の小讃詞なくば、致命者の坐誦讃詞を誦す。若しあらば、坐誦讃詞

と共に之を誦す。

   致命者の坐誦讃詞、第一調

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第一調 1252]---------------------

主よ、光榮なる受難者は爾より苦の報賞たる尊き榮冠にて飾られたり、蓋

瘡痍を忍ぶを以て不法の者に勝ち、神聖なる能力を以て天より勝利を獲たり。

神よ、彼等の祈禱に因りて我等に爾の大なる憐を與へ給へ。

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞、第一調。

 

救世主よ、急ぎて父の懐を我が爲に啓き給へ、我爾の洪恩の費されぬ富を見

て、放蕩に我が生を費せり。今我の貧しくなりたる心を棄つる毋れ、蓋我傷感

の情を以て爾に呼ぶ、主よ、我天及び爾の前に罪を獲たり、我を救ひ給へ。

、主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。

至りて義なる審判者よ、爾の審判座は畏るべく、審判は義なり、我が行は甚

惡し。慈憐なる主宰よ、爾憐みて我を救ひ、苦を免れしめ、山羊の分より脱れしめ

て、爾の右に立つに堪へさせ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、焚かれずして神性の火を孕み、種なくして生命の泉なる

主を生みし恩寵を蒙れる生神女よ、爾を崇め讃むる者を救ひ給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

聖なる者よ、爾等は善き軍士として、同心に信じて、苛虐者の威嚇を畏れざりき。

尊き十字架を任ひ、熱心を抱きてハリストスに來り、馳すべき程を盡して、天より勝利

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第一調 1253]---------------------

を獲たり。光榮は爾等を堅めし者に歸す、光榮は爾等に榮冠を冠らせし者に歸す、

光榮は爾等を以て衆に醫治を施す者に歸す。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞、第一調。

十字架の武器は昔敬虔なるコンスタンティン帝に、戰の時に敵に對して、信に由

る勝たれぬ勝と顯れたり。仇敵の軍は之に慄く、此れ信者の爲には救、パワェルの爲には誇と爲れり。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

   金曜日にも同句を誦す。

人を愛する主よ、我等爾の十字架の木に伏拜す。蓋爾は、萬衆の生命よ、其上に釘せられて、信を以て爾に就きし盗賊の爲に樂園を啓き、爾を承け認めて、主よ、我を憶ひ給へと呼ぶ者を福樂に勝へさせ給へり。救世主よ、彼の如く我等をもけ給へ、我等衆罪を犯せり、爾の慈憐に因りて我等を棄つる勿れと呼べばなり。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、恒忍なる言よ、牝羊は羔たる爾が十字架に

盗賊と共に釘せられて、戈にて脅を刺さるるを見て、母として呼びて云へり、我が子よ、の驚くべく畏るべき秘密は何ぞ、如何ぞ墓は像られぬ神を隠す、行はるる事は

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第一調 1254]---------------------

言ひ難し。吾が甘愛なる子よ、爾を生みし我を遺つる毋れ。

   第七歌頌に致命者讃詞

人を愛する主よ、祈る、聖なる者が爾の爲に受けし痛傷に由りて、我等の悉くの

痛傷を醫し給へ。

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞、第一調。

漁者は十字架の杖を以て辨論者の言語の緻密なる網を裂きて、異邦民に敬虔にして

爾眞の神を讃榮することを敎へたり。故に我等は爾彼等を堅めし主に歌を奉

て呼ぶ、光榮は父及び子に歸す、光榮は同一性の神に歸す、光榮は彼等を以て世界

を照しし神に歸す。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

全世界の睿智なる漁者、神より恩寵を受けし者よ、今も我等の爲に祈り給へ。

蓋我等呼ぶ、主よ、聖使徒に因りて皇帝と爾の城邑とを救ひ、我等の靈を圍め

る諸惡より解き給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、生神女よ、天上に母なき者を、爾は智慧と言とに

えて地上に父なく生み給へり。彼に我等の靈の爲に祈り給へ。

 

   第七歌頌に致命者讃詞。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第一調 1255]---------------------

我等皆ハリストスの致命者に祈らん、彼等は我等の救を求むればなり。皆信を以て

彼等に就かん、彼等は恩寵の醫治を流す、彼等は惡鬼の隊を退く、敎の守護者

なればなり。

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞、第一調

ハリストスよ、爾十字架に釘せられしに、暴虐は滅び、敵の力は踏まれたり、

天使に非ず、人に非ずして、主よ、爾親ら我等を救ひしに因る。光榮は爾に歸す。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

十字架の武器は昔敬虔なるコンスタンティン帝に、戰の時に敵に對して、信に由

る勝たれぬ勝と顯れたり。仇敵の軍は之に慄く、此れ信者の爲には救、パワェルの爲には誇と爲れり。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、至淨なる者よ、爾の轉達を有ちて、爾の祈禱に

て諸難より救はれ、爾の子の十字架にて遍く守られて、我等皆職として敬虔に

爾を崇め讃む。

 

   第七歌頌に致命者讃詞、「主よ、光榮なる受難者は」。月曜日の早課に載す、第一千二百五十三頁を看よ

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第一調 1256]---------------------

 

   月曜日の早課に、

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第二調。

我が不法は海の浪の如く我を打つ、我多くの罪に縁りて舟の如く淵に沈む。

主よ、我を痛悔を以て穏なる湊に向はしめて、我を救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

主よ、我は果なき樹なり、聊も痛悔の果を結ばずして、斫らるるを畏れ、彼の滅え

ざる火に慄く。故に爾に祈る、此の禍に先だちて我を反正せしめて救ひ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、慈憐の泉なる讃美たる生神女よ、我等に憐を垂れ、

罪なる人人を顧みて、恒の如く爾の力を顯し給へ。蓋我等は爾を恃みて、

天軍首ガウリイルに傚ひて爾に呼ぶ、慶べよ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

諸聖人は爾雲を以て天を覆ふ者を己の衣と爲して、世に在りて不法者より苦

を忍びて、偶像の迷を空しくせり。救世主よ、彼等の祈禱に因りて我等をも見えざ

る敵より脱れしめて救ひ給へ。

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第二調。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第二調 1257]---------------------

我を憐み給へとダワィドは言へり。我も爾に呼ぶ、救世主よ、我罪を犯せり、

痛悔を以て我が諸罪を潔めて、我を憐み給へ。

句、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

神よ、我を憐み、我を憐み給へと、ダワィドは二の罪の爲に泣けり、我は無數

の罪過の爲に爾に呼ぶ。彼は涙にて其褥を濡せり、我は一滴だに注がざりき。望

を失ひて祈る、神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、生神女よ、我保護を爾に求むる者を棄つる毋れ、我が

靈爾を頼めばなり、我を憐み給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

ハリストス神よ、爾は至善なる主として、爾の聖者を黄金よりも耀く者と爲し

、爾の克肖者の榮を顯せり。仁慈なる主として、彼等の祈禱を納れて、我等の生命

を平安ならしめ給へ。獨聖者の中に休ふ主よ、我等の禱を香爐の香の如く升らし

め給へ。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第二調。

主よ、爾が我等不當の者に爾の仁慈に因りて賜ひし生命を施す十字架を我等

祈禱の中に爾に捧ぐ。獨人を愛する主よ、生神女に因りて、皇帝と爾の城邑とを

救ひ---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第二調 1258]---------------------

て、平安を與へ給へ。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

主よ、敵が木の生ずる食を以てアダムを虜にせし如く、斯く爾は親ら十字架

の木と爾の苦とを以て敵を虜にせり、第二のアダムとして爾は殊に迷ひし者を尋

ね、殺されし者を生かさん爲に來りたればなり。神よ、光榮は爾に歸す。』

光榮、今も、十字架生神女讃詞、ハリストスよ、童貞女爾の母は爾十字架に懸け

られて死せし者を覩て、痛く泣きて曰へり、吾が子よ、此の恐るべき秘密は何ぞや、

衆に永遠の生命を賜ふ者は如何ぞ甘じて十字架に耻づべき死を以て死する。

   第七歌頌に致命者讃詞

主の受難者よ、爾等の血を呑みし地は福なり、爾等の體を受けし殿は聖なり、蓋

爾等は戰に於て敵に勝ち、ハリストスを勇ましく傳へたり。祈る、其至善の主な

るに因りて、彼に我等の靈の救はれんことを求め給へ。

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第二調。

爾の言ひ難き仁愛に因りて漁者を辯論者に超ゆる智者と爲し、之を傳道師として

全地に遣ししハリストス神、獨聖者の中に息ふ主よ、彼等に因りて爾の敎會

を堅め、信者に爾の祝福を降し給へ。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第二調 1259]---------------------

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

ハリストス神、獨仁慈にして人を愛する主よ、漁者は聖神の網を以て諸民を漁して

地の四極に爾に父及び聖神と共に伏拜せんことを敎へたり。彼等に因りて爾の

敎會を堅め、信者に爾の祝福を降し給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、生神女よ、我等爾を讃め揚げて呼ぶ、入らざる光の

雲よ、慶べ、爾は彼、光榮の主たる者を爾の手に抱き給へり。

   第七歌頌に致命者讃詞

使徒、致命者及び預言者、成聖者、克肖者及び義人等、善き戰を戰ひ、信を守

りし者よ、祈る、爾等は救世主の前に勇を有ちて、其仁慈なるに因りて、彼に

我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第二調。

仁慈なるハリストス神よ、我等爾の至浄なる聖像に伏拜して、我が諸罪の赦を求

む。蓋爾は其造りし者を敵の奴隷より救はん爲に、甘じて身にて十字架に升り

給へり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、世界を救はん爲に來りし我が救世主よ、爾

は衆人を欣喜に滿て給へり。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第二調 1260]---------------------

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

ハリストス神よ、爾は救を地の中に作し、十字架に爾の至浄なる手を伸べて、

萬民を集めて呼ばしむ、主よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、讃榮せらるる生神童貞女よ、我等爾を歌ふ、

蓋爾の子の十字架にて地獄は破られ、死は滅され、殺されし者は興きて生命を得、初

の樂たる福樂を受けたり。故に我等感謝の心を抱きて、ハリストス吾が神を權能

ありて獨大仁慈なる主として讃榮す。

 

   第七歌頌に致命者讃詞

動かざる石に基けたる諸聖者は苦しむる者と強く戰ひて、苦の榮冠を受けたり。神よ、彼等に因りて我等を救ひ給へ。

 

 

          ~~~~~~

 

 

 

 

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第二調 1261]---------------------

 

   月曜日の早課に、

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第三調。

畏るべき審判には我罪する者なきに攻められ、證する者なきに定罪せらる、蓋良心の書は啓かれ、隠れたる所爲は顯る。神よ、此の公衆の觀る所に我が行ひし事を糾さざる前に我を潔め、我を救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

吾が靈よ、罪過の中に在りて何の時に至るか、痛悔を延ばして何の時に至るか。

將來の審判を念に抱きて、ハリストス神に籲べ、心を知る主よ我罪を犯せり、

罪なき主よ、我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、人各救はるる處には、彼處に宜しきに合ひて趨り附く。

生神女よ、何にか他に爾の如き避所、我等の靈を庇ふ者あらん。

   第七歌頌に致命者讃詞

誰か聖なる致命者の勝たれぬ勇毅を奇とせざらん、誰か彼等の常に顯す勳功に驚

かざらん。蓋彼等は火に焚かれ、打撃せられ、猛獸に畀へられ、屠に付されて

仇敵に勝ち、諸王の甘言を忌み、迫害者の恐嚇を斥けたり。故に榮冠をもハリストス神、世界に大なる憐を賜ふ主より受けたり。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第三調 1262]---------------------

火曜日の早課に、第一の誦文の後に痛悔の坐誦讃詞。第三調

吾が靈よ、地上に在る時に痛悔せよ、蓋塵は墓に在りて歌はず、罪過より救はず

ハリストス神に呼べ、心を知る主よ、我爾の前に罪を犯せり、神よ、定罪せざる

先に我を憐み給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

我祈禱の時に痛悔せんことを約すれども、敵は強ひて我に不當の罪を行はんことを

勧む、神よ、彼より我を救ひ、我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、我等の避所及び能力たる生神女、世界の堅固なる扶助者

、獨祝福せられし者よ、爾の祈禱を以て爾の諸僕を凡の危難より庇ひ給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

至りて讃美たる受難者よ、爾等の忍耐の勇敢は惡敵の詭計に勝てり、故に爾等は永遠

の福を獲たり。眞理の證者よ、ハリストスを愛する人人の群を救はんことを主に祈

り給へ。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第三調

天使の軍は爾の量り難き權能と自由なる釘殺とを見て驚けり、如何にして見えざ

る者は人類を朽壞より救はんと欲して、身に傷を受けたる。故に我等爾生を

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第三調 1263]---------------------

施す主に呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の仁愛に歸す。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

十字架は地に建てられて天に摩れり、是れ木が此くの如き高度に至りしに非ず、萬有

を充つる爾が此の上に在りて斯く成れり。主よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、生神女よ、我等爾の子の十字架を能力の枝と

して獲て、此を以て諸敵の驕を墜し、愛を以て絶えず爾を崇め讃む。

   第七歌頌に致命者讃詞、

主よ、爾は受難者の記憶を輝せり、蓋全能者として彼等を爾の苦に效はん

爲に堅め給へり。彼等は勇ましくワェリアルの力に勝てり、故に諸病を醫す恩賜を

けたり。人を愛する主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈に平安を與へ給へ。

 

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第三調。

實見者使徒等よ、爾等は眞實の神聖なる傳道師及び敎會の敎師と爲れり、蓋偶像

の迷を踐みて、明に聖三者を傳へたり。福たる者よ、我等に大なる憐を賜は

んことを彼に祈り給へ。

句、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第三調 1264]---------------------

皆來りて、使徒等を敎導師として崇め讃めん、彼等は偶像の迷を虚しくし、人人を

生命の光に導き、聖三者を信ぜんことを敎へたればなり。故に我等信者は今彼等

の尊き記憶を行ひて、ハリストス我が神を讃榮す。

光榮、今も、生神女讃詞、童貞女よ、爾は耕作せられざる葡萄の樹として、至りて

美しき房、衆の靈體を樂しましむる救の酒を我等に流す者を生ぜり。故に我等常に

爾を諸福の縁由として讃美して、天使と偕に爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。

   第七歌頌に致命者讃詞

ハリストスの恒忍なる致命者はハリストスの全備の武具を衣、信の盾を執りて、

受難者に適ふが如く敵の軍を斃せり。蓋生命の望を抱きて、勇ましく暴虐者の

悉くの恐嚇と傷とを忍びたり、故に榮冠を受け給へり。

 

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第三調。

救世主よ、爾は十字架及び死の苦を受けんことを定めて、造物の間に之を忍び給へり。爾が己の身を十字架に釘するを許しし時、其時日は光線を隠せり。盗賊は之を視て、爾を神と承け認めて、爾に呼べり、主よ、我を憶ひ給へと、乃信じて樂園を受けたり。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第三調 1265]---------------------

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。神の羔よ、爾は松、杉、黄楊樹に擧げられたり、信を以て爾の自由なる釘殺に伏拜する者を救はん爲なり。ハリストス神よ、光榮は爾に歸す。光榮、今も、十字架生神女讃詞、洪恩なるハリストスよ、爾は十字架の上に甘じて耻づべき死を忍び給へり、爾を生みし者は之を見て心刺されたり。世の罪を任ひし獨至善にして人を愛する主よ、爾の至大なる慈憐に由りて、彼の祈禱を以て世界を宥めて救ひ給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

最光明なる燈、病む者の醫師、讃美たる聖受難者よ、爾等は信を以て耀く。蓋

殘虐者の苛虐を懼れずして、眞の十字架を勝たれぬ勝利と有ちて、偶像の邪敎

を滅し給へり。

 

 

          ~~~~~~

 

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第三調 1266]---------------------

   月曜日の早課に

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第四調。

主よ、我が卑微なる靈、罪中に一生を費しし者を顧みて、我を罪女の如くれて、救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

我現在の生命の海を渡りて、我が多くの惡の淵を思ひ、靈の嚮導師を有たずして

、ペトルの聲を以て爾に呼ぶ、ハリストスよ、我を救へ、神よ、我を救ひ給へ、爾

は人を愛する主なればなり。

光榮、今も、生神女讃詞、殿の至聖所に養はれ、信と睿智と純潔なる童貞とを

衣せられたる者に、天軍首ガウリイルは天より問安と慶べよとを攜へたり、祝福せら

れし者よ、慶べ、至りて榮せられし者よ、慶べ、主は爾と偕にす。

   第七歌頌に致命者讃詞

今日天使の軍は受難者の記憶に於て來りて、信者の意念を照し、恩寵を以て世界を

輝す。神よ、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を賜へ。

 

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第四調。

願はくは我等皆速にハリストスと偕に其婚筵の宮に入りて、ハリストス我が神の福

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第四調 1267]---------------------

たる聲を聞かん、天の光榮を愛する者は來りて、信を以て己の燈を燃して、智な

る處女と偕に之を受けよ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

靈よ、我等は如何に畏るべき時に於て審判者の前に立たんことを思へ。畏るべき

寶座は建てられ、各人の行ひは露さる、其時審判者は冀願を納れず、彼處に烈し

き火は爾の爲に備へられて、激浪の立つ海の若く一切を覆はんと欲するに似たり。

が靈よ、悉く此等を見て、終の前に歎息せよ。

光榮、今も、生神女讃詞、女宰たる眞の生神女よ、母として勇敢を以て爾の子

我等の神に禱りて、爾の帲幪の下に趨り附く民を護り給へ、彼は爾を能力と有ち、

爾人類の港、墻、及び惟一の轉達を頼とすればなり。

   第七歌頌に致命者讃詞。

ハリストス神よ、爾の敎會は全世界に在る爾の致命者の血を以て緋袞衣の如く

妝はれて、彼等を以て爾に呼ぶ、爾の民に爾の慈憐を降し、爾の居處に平安、

我等の靈に大なる憐を賜へ。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第四調。

爾は己の尊き血を以て我等を律法の詛より贖へり、十字架に釘せられ、戈

にて

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第四調 1268]---------------------

刺されて、人人に不死を流し給へり。我等の救世主よ、光榮は爾に歸す。

句、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

ハリストス我が神よ、爾を謗り、我等を嚇す諸敵が我等を服せしめざる先に速に

我等を助け給へ。獨人を慈む主よ、爾の十字架を以て我等と戰ふ者を滅し

給へ、我が諸敵が正敎者の信は生神女の祈禱に因りて如何なる力を有つかを悟ら

ん爲なり。

光榮、今も、

十字架生神女讃詞、純潔なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘じて十字架に釘せらるるを見し時、劔は爾の至聖なる靈を貫けり。至りて讃美たる者よ、我等に諸罪の赦を賜はんことを絶えず彼に祈り給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

主よ、爾の致命者は其苦に由りて爾我が神より不朽の榮冠を受けたり、爾の力を有ちて、苛虐者を斃し、惡鬼の不能なる強暴を破りたればなり。彼等の祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。

 

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第四調。

主宰ハリストスよ、爾は己の門徒を地の四極に光體と現して、幽暗に在る靈の

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第四調 1269]---------------------

爲に爾を知る智識を輝かし、彼等に由りて偶像の迷を昧まして、虔誠の敎を以て世界を照し給へり。其祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

主宰よ、モイセイがイズライリを奴隷より出し、紅の海を過らせて、爾の手を以

てファラオンを沈めしが如く、斯く爾の睿智なる門徒等は奇跡を以て苦き無神の海

を截り分ちて、人人を爾無原の言及び惟一仁愛の主に向はしめたり。

光榮、今も、生神女讃詞、生神童貞女、獨潔く獨讚美たる者よ、我等は爾より身を取り給ひし父の言、ハリストス我が神を識れり。故に絶えず爾を歌ひて崇め讃む。

   第七歌頌に致命者讃詞。

ハリストス我が神よ、爾の受難者は十字架を武器として、惡の魁たる敵の惡謀に勝ち、光體の如く輝きて、人人を導き、信を以て求むる者に醫治を與ふ。彼等の祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。

 

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第四調。

救世主よ、イウデヤ人爾を十字架に釘せしに、爾は、ハリストス我が神よ、此を---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第四調 1270]---------------------

以て我等を異邦の中より召し給へり。獨人を慈む主よ、爾は甘じて手を其上に伸べ、戈にて爾の脅の刺さるるを受け給へり、爾の多くの慈憐に由りてなり。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

ハリストスよ、我等今爾の至浄なる十字架を吾が靈の光と見て、此に伏拜して、欣ばしく爾に呼ぶ、此に擧げらるるを甘ぜし主よ、光榮は爾に歸す、此を以て萬物を照しし主よ、光榮は爾に歸す、此に縁りて我等絶えず歌を以て爾を讃榮す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、神の言よ、爾の至淨なる母は爾が十字架に擧げられしを見し時、母として哭きて云へり、吾が子よ、斯の新にして驚くべき奇跡は何ぞや、如何ぞ爾萬衆の生命は、慈憐の者として死者を活かさんと欲して、死を嘗むる。

    第七歌頌に致命者讃詞

受難者の尊き慶賀は敎會を天と爲し、天使等は人人と偕に祝ふ。ハリストス神よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。

 

          ~~~~~~

 

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第四調 1271]---------------------

   月曜日の早課に、

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第五調

審判者が坐し、諸天使が前に立ち、角の鳴り、燄の燃ゆる時、吾が靈よ、審判に曳かれて何をか爲さん。其時犯しし罪は爾の前に立ち、爾の隠なる諸罪は顯れん。故に終の至らざる先にハリストス神に呼べ、心を知る者よ、我罪を犯せり、我を憐み給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

靈よ、今世の事は暫時にして、來世の事は永遠なり。我審判所を見、寶座に坐し給

ふ審判者を見て、應答に慄く。是より急ぎて反正せよ、審判には赦なし。

光榮、今も生神女讃詞、生神女よ、我等は歡喜の聲を以て諸天使と偕に天の讃美、人人と偕に地の讃頌を奉りて、爾に呼ぶ、最濶き天の門よ、慶べ、獨地に生るる者の救よ、慶べ、恩寵を蒙りて、身を取りし神を生みし潔き者よ、慶べ。

   第七歌頌に致命者讃詞

主よ、爾の受難者は爾の苦の杯を慕ひて、人生の榮華を遺てて、諸天使の侶と爲れり。ハリストスよ、彼等の祈禱に由りて我等の靈に平安と大なる憐とを與へ給へ。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第五調 1272]---------------------

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第五調。

我多くの罪の牀に臥し、我が救の望は奪はれたり、蓋我が怠惰の眠は吾が靈に苦を招く。童貞女より生れし神よ、我を興し給へ、我が爾を歌ひて讃榮せん爲なり。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

我等皆警醒して、多くの油と光明なる燈とを以てハリストスを迎へん、婚筵の宮の内に入らん爲なり。蓋門の外に在る者は徒に神に呼ばん、我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、童貞女の驚くべき奥密は世界の爲に救と爲れり、蓋衆人の歡喜なる主は彼より種なく生れ、朽壞なくして身にて現れたり。主よ、光榮は爾に歸す。

   第七歌頌に致命者讃詞

ハリストス神よ、爾は聖致命者の奇跡を壞られぬ垣墻として我等に賜へり。彼等の祈禱に由りて諸敵の謀を破り、國の權柄を堅め給へ、爾獨仁慈にして人を愛する主なればなり。

 

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第五調。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第五調 1273]---------------------

我等信者は救世主及び贖罪主が、親ら知るが如く欲するが如く、甘じて十宇架に釘せられしを歌頌して讃榮せん。蓋彼は十字架に人人の罪を釘して、人類を迷より脱れしめて、國を獲しめ給へり。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

己の旨に由りて十字架を忍びて、人人を朽壞より解きたる救世主よ、我等信者は爾を歌頌して伏拜す、爾は十字架の力を以て我等を照したればなり。宏恩にして

仁愛なる主よ、我等爾を生命を施す者及び主として讃榮す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、生神女は主の十字架の前に立ちて、哭きて呼べり

、鳴呼哀しい哉吾が子よ、哀しい哉吾が眼の光よ、爾神の力を以て天を皮の如く

り、爾の命を以て海より水の泉を升せ給ふ者は如何にして十字架に伸べられたる。

   第七歌頌に致命者讃詞

主よ、爾は受難者を以て世界の爲に大なる保護者と爲し給へり、彼等に因りて諸慾は遠ざかる。救世主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第五調。

我等衆地上の者は睿智なる諸使徒を、言の實見者及び役者として、屬神の---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第五調 1274]---------------------

詩賦と歌頌とを以て讃め揚げん。蓋彼等は熱切に我等其聖にせられし記億を歌ひて

、其不朽體に伏拜する者の爲にハリストスに祈る。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

我等は同心に主の使徒等、全地の爲に光體と顯れし者を讃め揚げん。蓋彼等は敬虔にして諸民に傳敎し、我等を照して、性の合一なる位の分れたる聖なる三者を尊まんことを敎へ給ふ。

光榮、今も、生神女讃詞、婚姻に與らざる聘女童貞女よ、我等は諸天使と偕に絶え

ず爾を崇め讃む。蓋爾の子及び神は爾に藉りて我等に大なる事を爲せり。

彼は世の無き先に父より生れて、爾の胎内に入らんことを嘉し給へり、我等の族

を迷より解かん爲なり。

   第七歌頌に致命者讃詞

聖致命者の行を見て天軍は大に驚けり、如何にして死に屬する肉體に在りて、善く戰ひて、十字架の力を以て見えずして無形の敵に勝ちたる。今彼等は我等の靈の憐を蒙らんことを主に祈り給ふ。

 

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第五調。

救世主よ、髑髏の處は樂園と爲れり、蓋十字架の木は樹てられしのみにして、

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第五調 1275]---------------------

直に生命の葡萄の房たる爾を我等の樂の爲に生じたり。光榮は爾に歸す。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

我が救世主よ、爾の十字架の木は世界の爲に救と爲れり、蓋爾は甘じて

其上に釘せられて、地上の者を詛より救ひ給へり。衆人の歡喜なる主よ、光榮は爾

に歸す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、ハリストスよ、爾の母は爾が甘じて十字架に盗賊の間に懸れるを見て、母として心裂かれて言へり、罪なき子、仁慈に由りて人類を活かさんと欲する者よ、如何ぞ罪犯者の如く、非義に十字架に釘せられたる。

   第七歌頌に致命者讃詞

今日受難者の記憶は地に輝き、天にも光る、天使の會は祝ひ、人の族は共に歡ぶ。故に彼等は主に我等の靈の憐を蒙らんことを祈り給ふ。

 

          ~~~~~~

 

 

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第五調 1276]---------------------

   月曜日の早課に、

 

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第六調

我畏るべき日を思ひて、我が惡しき行ひの爲に泣く。如何ぞ我不死なる王に對を爲さん、如何ぞ我放蕩なる者は敢て審判者に目を注ぐを得ん。慈憐なる父、獨生の子、

及び聖神よ、我を憐み給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

仁慈なる主よ、悲哀の谷に、爾が定めんとする處に、爾が義なる審判を行はん爲に坐する時、我が隠なる事を責むる毋れ、我を天使等の前に辱かしむる毋れ。求む、神よ、我を宥め、我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、我等黙さず心と口にて聖なる天使よりも聖にして、至り

て光榮なる神の母を歌ひ、之を承け認めて生神女と爲す、其實に人體を取りし神を

生みて、恒に我等の靈の爲に禱り給へばなり。

 

   第七歌頌に致命者讃詞。

主よ、爾は常に諸義人の爲に光なり、蓋聖なる者は爾に照され、絶えず光體の如く輝きて、不虔者の燈を滅す。我が救世主よ、彼等の祈禱に因りて我が燈を輝かして、我を救ひ給へ。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第六調 1277]---------------------

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第六調。

主よ、我に智き處女の警醒を賜ひて、吾が靈の燈を爾の洪恩の油にて燃し給へ、我が天使の歌「アリルイヤ」を爾に歌はん爲なり。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

主よ、我等を憐め、我等を憐めよ、我等罪人何を言ふべきを知らず、唯此の祈禱を爾主宰に獻げて曰ふ、我等を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、讃美たる生神女よ、我等の爲に憐の門を開け、爾を恃む者に亡ぶることなく、爾に依りて禍を逭るるを得しめ給へ、爾はハリストスの民の救なればなり。

   第七歌頌に致命者讃詞

神よ、聖なる者は受難の勤勞を終へて、爾より勝利の尊貴を受け、不法者の謀を空しくして、不朽の榮冠を獲たり。彼等の祈禱に因りて我等に大なる憐を賜へ。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第六調。

獨人を愛する主よ、今日預言者の言は應へり。蓋視よ、我等は爾の足の立ちし處に伏拜し、木に縁る救を嘗めて、生神女の祈禱を以て罪に縁る苦を釋かるるを---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第六調 1278]---------------------

得たり。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

主よ、爾の十字架は聖にせられたり、蓋此に縁りて諸罪を病む者に醫治は行はる。

故に我等爾の前に俯伏す、我等を憐み給へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、ハリストスよ、爾を生みし永貞童女は爾が我等の爲に十字架に擧げられしを見る時、哀の劔を以て己の心と靈とを刺して、母として痛く哭けり。仁慈なる主よ、彼の祈禱に由りて我等を憐み給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

致命者が審判座の前に顯しし勇敢と其多種の劇しき苦難の忍耐とは苛虐者、及び諸王を驚かせり。其時無形の品位は立ちて、彼等の爲に備へられたる勝利の榮冠をれり。睿智者はハリストスを承け認むるを以て敵を斃せり。彼等を堅めし主よ、光榮は爾に歸す。

 

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第六調。

救世主よ、爾の門徒の中に來りて、彼等に爾の平安を賜ひし如く、我等にも來りて、我等を救ひ給へ。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第六調 1279]---------------------

救世主よ、爾の門徒は地の諸極に遣されて、敬みて魚の如く異邦民を漁し

て、爾の仁慈に攜へ來れり。ハリストスよ、彼等に因りて我等爾に呼ぶ、爾の民に大

なる憐を與へ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、聖なる女宰、ハリストス我が神の母よ、言ひ難く萬衆の造成主を生みし者として、聖使徒等と偕に常に彼の仁慈に我等を諸慾より救ひて、罪

の赦を賜はんことを祈り給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

主よ、爾の受難者の記憶はエデムの樂園の如く現れたり、蓋此の裏に萬物は喜ぶ。

ハリストスよ、彼等の祈禱に因りて我等に平安と大なる憐とを與へ給へ。

 

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第六調

ハリストス主よ、爾の十字架の木の樹てられしのみにして、死の基は動けり、蓋地獄は貪りて呑みし者を戰きて放てり。聖なる者よ、爾は其爲しし救を我等に顯し給へり、故に我等爾を讃揚す。神の子よ、我等を憐み給へ。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

主よ、イウデヤ人は爾萬衆の生命を死に定めたり、杖に由りて紅海を濟りし者は爾を十字架に釘せり、磐より蜜を吸ひし者は、爾に膽を進めたり。然れども爾は甘

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第六調 1280]---------------------

じて忍び給へり、我等を敵の奴隷より釋かん爲なり。ハリストス我が神よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、生神童貞女よ、爾の子、甘じて十字架に釘せられて、世界を迷より解き給ひしハリストス我が神に我等の靈を憐まんことを祈り給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞

審判所に於てハリストスを傳へて、不法者の恐嚇を畏れざりし者を主は奇異なる者

と爲せり、蓋彼等は苦を忍ぶを以て不法者の強暴を倒し、宜しきに合ひてハリストスより醫治の恩寵を受けて、絶えず我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。

 

          ~~~~~~

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第六調 1281]---------------------

   月曜日の早課に、

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第七調。

我が靈よ、痛悔の良薬を有ちて、近づきて俯伏し、歎息して呼べ、靈體の醫師、仁愛なる主よ、我を我が多くの罪より釋き給へ。神よ、我を罪女と、盗賊と、税吏とに加へて、我に不法の赦を與へて、我を救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

我税吏の痛悔に效はざりき、罪女の涙を得ざりき、是くの如き矯正を爲さざるに因りて望を失ふ。求む、ハリストス神よ、爾の慈憐を以て我を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。

光榮、今も、生神女讃詞、至聖なる童貞女よ、爾は光榮なるヘルワィムより尊し、蓋彼等は神の力に勝へずして、翼にて面を覆ひて奉事するに、爾は身を取りし言を親しく見て、抱き給へり。彼に我等の靈の爲に息めずして祈り給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

主よ、爾の聖者は地上に戰ひて、敵に勝ちて、偶像の迷を虚しくせり。故に爾人を愛する主宰、仁慈なる神、世界に大なる憐を賜ふ主より榮冠を受けたり。

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第七調。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第七調 1282]---------------------

罪女の涙及びペトルの涕泣を受け、深處より歎息せし税吏を義と爲しし救世主よ、我が行に由りて失望せし我をも憐みて救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

ペトルの違背を涙にて潔め、税吏の諸罪を歎息に由りて赦しし仁愛の主よ、我を憐み給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、祝讃せらるる生神女よ、爾は天軍に超えたり、蓋神の殿と爲り給へり、ハリストス吾が靈の救主を生みたればなり。

 

   第七歌頌に致命者讃詞

義人よ、慶べ、天上の者は樂しむべし、致命者が地上に戰ひて、敵を踐みたればなり。敎會は凱旋の歌を奉りて、獨戰ふ者の首にして勝利を與ふるハリストス神、世界に大なる憐を賜ふ主を祭るべし。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第七調

ハリストス神よ、敎會は杉、黄楊、及び松に於て爾に伏拜して呼ぶ、生神女に由りて吾が皇帝に勝利を與へて、我等を憐み給へ。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

我の爲に十字架に釘せらるるを忍び給ひしハリストス神よ,我が警醒の讃美を納れ

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第七調 1283]---------------------

て、我を救ひ給へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、生神童貞女よ、我等の爲に十字架に釘せられて、

の權を滅ししハリストス神に絶えず我等の靈を救はんことを祈り給へ。

 

   第七歌頌に致命者讃詞

聖なる者よ、爾等は迫害者の無神を忌み、苦の痛傷を顧みずして、ハリストスに

於ける信を守れり。故に仁愛なる神に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第七調。

言よ、爾は使徒等を以て爾の田疇の耕作者、偶像を斫る者と顯し給へり。故に彼等は爾主宰を諸民の中に傳へて、敬みて爾の宏大なるを顯せり。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

我等は讃美たる諸使徒、敎會の敎育者たる者の記億を行ひて、歌頌を以ててハリストスを讃め歌はん。蓋彼等は悔改の傳道を以て罪に溺れたる者を救へり。彼等は迷を逐ふ者、世界を照す者、全地の爲に祈禱する者なり。

光榮、今も、生神女讃詞、變易せざる言が肉體と成りて我等の中に居りしことの縁由なる者よ、慶べ、使徒と致命者との喜悦、我等信者の救なる潔き者よ、慶べ、

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第七調 1284]---------------------

ハリストス神の母よ、慶べ。

   

第七歌頌に致命者讃詞。

聖なる致命者よ、祈る、我等に諸罪の赦を賜ひ、我等を苦しき死及び將來の苦痛より救はんことを主に禱り給へ。

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第七調。

ハリストスよ、爾は己の十字架の木を火よりも明に、焰よりも力ある者と顯して、爾が甘じて其上に受けし死を歌ふ人人の罪を焚き、心を照す者と爲し給へり。ハリストス神よ、光榮は爾に歸す。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

無形の軍を司るハリストス神、吾が靈の怠惰を知る主よ、爾の十字架を以て我を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、生神童貞女よ、我等の爲に十宇架に釘せられて、の權を滅ししハリストス神に、我等の靈を救はんことを絶えず祈り給へ。

 

  第七歌頌に致命者讃詞。

主ハリストスよ、爾の致命者は爾の十字架の力を武器として、敵に勝ちて、偶像の迷を辱かしめたり。故に諸天使と偕に爾を歌頌し、爾を讃榮して、凱歌を歌ふ。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第七調 1285]---------------------

彼等の祈禱に因りて我等の靈に潔浄と大なる憐とを與へ給へ。

 

            ~~~~~~

 

 

   月曜日の早課に、

第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第八調。

主よ、慈憐なる眼を以て我が卑微を見よ、蓋我が生命は暫時にして終る、行に由りては我に救なし。故に祈る、主よ、慈憐なる眼を以て我が卑微を見て、我を救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

鳴呼靈よ、審判者の降臨と畏るべき日の時とを思ひて、己を備へよ、蓋矜恤を施さざりし者は審判せらるる時に矜恤を獲ざらん。故に終の前に呼べ、救世主よ、我を宥め給へ、爾獨罪なければなり。

光榮、今も、生神女讃詞、生命の神靈の門たる至りて潔き生神女よ、信を以て爾に趨り附く者を諸難より脱れしめ給へ、我等が我が靈の救を致す爾の至聖なる産を讃榮せん爲なり。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1286]---------------------

   第七歌頌に致命者讃詞。

聖なる致命者よ、爾等は靈智なる光體と現れたり、蓋信を以て迷の幽闇を散じ、爾等の靈の燈を盛に燃して、光榮を以て新娶者と偕に天の宮に入りたり。

求む、今我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

 

火曜日の早課に、第一の誦文の後に傷感の坐誦讃詞。第八調。

救世主よ、我淫婦の如く爾の前に俯伏して、赦罪を求む。香料に代へて心より涙を爾に捧げて、彼に於けるが如く我を宥めて、諸罪の潔浄を賜はんことを祈る。蓋我彼の如く爾に呼ぶ、我が行の濘より我を救ひ給へ。

、「主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ」。

吾が靈よ、彼の畏るべき日を思ひて警醒し、爾の燈を燃して油を備へよ、蓋何の時に、視よ、新娶者來ると言ふ聲の爾に至るを知らず。故に我が靈よ、愼め、恐らくは眠りて後五人の處女の如く門を叩きて外に留らん。乃警醒して待て、盛に燃ゆる燈を執りてハリストスを迎へん爲なり。然らば彼は爾を己の光榮の神聖なる殿に入れ給はん。

光榮、今も、生神女讃詞、我等信者は信の動かざる固、吾が靈の尊き賜たる生神女を歌を以て崇め讃む。爾の胎内に生命の石を入れし者よ、慶べ、四極の恃頼、

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1287]---------------------

憂ふる者の慰籍よ、慶べ、聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

今日斯の聖堂は天の光に照さる、蓋此の中に受難者を記憶して、天使の軍は喜び、

彼等と偕に義人の會も樂しむ。ハリストスよ、彼等の祈禱に因りて爾の世界に平安

と大なる憐とを降し給へ。

 

水曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第八調

盗賊は生命の首が十字架に懸れるを見て曰へり、我等と共に釘うたれし者は、若し

を取りし神に非ずば、日は其光線を隠さず、地も戰ひ慄かざらん。萬の事を忍ぶ

主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

爾の十字架は二人の盗賊の間に在りて義の權衡と爲れり、一人は謗の重きを以て地獄に降され、一人は罪を釋かれ輕くせられて、神學の智識に昇せられたり。ハリストス神よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、牝羊は羔及び牧者たる救主が非義に十字架に擧げられしを見て、痛く哭きて呼べり、至仁なる神、罪なき主よ、世界は爾に依りて救を獲て喜び、我は爾が大仁慈を以て釘うたるるを忍び給ふを見て心を灼けりと。

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1288]---------------------

我等忠信に彼に呼ばん、童貞女よ、我等に慈憐を垂れて、主の苦に伏拜する者に諸罪の赦を與へ給へ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

聖なる致命者よ、爾等は狭くして憂多き途の迷はざる旅行者たりき。蓋誘惑の激浪を陵ぎて、忍耐の磐、敬虔の基と顯れたり、故に無形なる役者の居所を獲たり。

ハリストス神に我等の靈の爲に祈り給へ。

 

 

木曜日の早課に、第一の誦文の後に使徒の坐誦讃詞。第八調。

崇め讃めらるる哉ハリストス我等の神よ、爾は漁者に聖神を遣して睿智者と爲し、

彼等を以て世界を漁し得たり。人を愛する主よ、光榮は爾に歸す。

、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。

我等は始より我が神の神聖なる門徒と爲りし者を歌はん。彼等は世界の光體、我が

救の敎導師として、幽暗の中に居る我等に光を輝かし、衆に光榮の日を顯せり。

故に偶像の迷を破りて、三位一體の神を傳へ給へり。此に由りて使徒等よ、爾等に

祈る、我等に諸罪の赦と大なる憐とを賜はんことをハリストス神に祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、天使に由りて世界の歡喜を受けし者よ、慶べ、爾の造成者

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1289]---------------------

及び主を生みし者よ、慶べ、神の母と爲るに勝へし君よ、慶べ。

   第七歌頌に致命者讃詞。

聖なる致命者よ、爾等は迫害者に敵して、勇ましく戰を終へ、肉體を地上に殺されて、生命を天上に獲給へり。

 

 

金曜日の早課に、第一の誦文の後に十字架の坐誦讃詞。第八調。

エデムの中の樹は死を生じ、全地の中の樹は生命を生ぜり。蓋不朽なる我等は第一の者の果を食ひて朽壞の者と爲れり、第二の者を獲て、不朽を樂しむ、爾十字架を以て神として人類を救ひ給へばなり。

、主我が神を崇め讃め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。

樂園の樹は先に我を裸體にし、敵は食を以て我を殺せり、十字架の樹は人人に永遠

の生命の衣を衣せたり。十字架が地に樹てられしに、全世界は喜に滿ちたり。

我等信者は其擧げらるるを見て、心を合せて神に呼ばん、爾の家は光榮に充ちたり。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、至浄なる者よ、爾は潔き爾の血より身を取りて、智慧に超えて爾より生れし主が罪犯者の中に木に懸れるを見て、心を傷め、母として哭きて呼べり、鳴呼吾が子よ、此の神聖なる言ひ難き攝理は何ぞや、

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1290]---------------------

爾は此を以て爾の造物を活かし給へり。我爾の慈憐を歌頌す。

   第七歌頌に致命者讃詞。

節制を以て燃ゆる諸慾を殺しし致命者はハリストスより恩寵を受けて、生くる時に

も終りて後にも病者より病を逐ひ、諸の異能を行ふ。實に至榮の奇迹なる哉、其白骨も醫治を流す。光榮は獨睿智なる造物主神に歸す。

 

           ~~~~~~

 

---------------------[八調經中の坐誦讚詞 第八調 1291]---------------------