受難週
聖大土曜日
聖大「スボタ」の早課
早朝定刻に及びて鐘を撞く。早課を始むること常例の如し。六段の聖詠の後に大聯禱。
「主は神なり」に讃詞、第二調。
尊きイオシフは爾の潔き身を木より下し、浄き布に裹み、香料にて覆ひ、新なる墓に藏めたり。
光榮、死せざる生命よ、爾死に降りし時、神の性の光にて地獄を殺せり。死せし者を地下より復活せしめし時、天軍皆呼びて曰へり、生命を賜ふ主ハリストス吾が神よ、光榮は爾に歸す。
今も、天使は香料を攜ふる女に墓の側に現れて籲べり、香料は死者に適ふ、ハリストスは朽壞に與らず。
(右歌ふ時司祭偏く爐儀を行ふ。此の時衆人火を點じたる獵燭を持つ。)
右列詠隊傷感の情を以て「ネポロチニ」(道に玷なく)を歌ひ始む、第五調に依る。聖詠の毎句の後に讃美詞一句を朗誦す。
第一段
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1155頁]---------------------
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の律を我に訓へ給へ。
道に玷なくして、主の律法を履み行ふ者は福なり。
讃美詞
ハリストスよ、爾は生命にして柩に置かれ給へり、天軍驚き懼れて、爾の謙遜を讃榮せり。
主の啓示を守り、心を盡して彼を尋ぬる者は福なり。
生命よ、如何に死し、如何に柩に居るか、亦死の國を壞り、死せし者を地獄より起すか。
彼等は不法を作さずして、主の道を行く。
イイスス王よ、我等爾を祟め、讃め、爾の葬と苦とを尊み敬ふ、爾は之を以て我等を朽壞より救ひ給へり。
爾は爾の命を固く守らんことを命ぜり。
地の尺度を定めしイイスス、萬有の王よ、爾死者を墓より起す者は今小き柩に居り給ふ。
嗚呼願はくは我が道は爾の律を守るに向はん、
吾がイイススハリストス、萬有の王よ、爾は何を尋ねて地獄に居る者に來りたる、
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1156頁]---------------------
豈人類を釋かん爲か。
其時我爾が悉くの誡を視て羞ぢざらん、
萬物の主宰は死者と見られ、死者の墓を空しくせし者は新なる墓に置かれ給ふ。
我爾が義の定を學び、心の直を以て爾を讃榮せん。
ハリストスよ、爾は生命にして柩に置かれ、爾の死にて死を滅し、世界に生命を流し給へり。
我爾の律を守らん、我を全く棄つる毋れ。
ハリストスよ、爾は罪犯者と偕に罪犯者の如く算へられて、我等衆人を古の誘惑者の罪犯より義ならしめ給へり。
少者は何を以て己の道を潔くせん、爾の言に循ひて己を修むるを以てす。
悉くの人より姿の美しくして、萬有の性を飾りたる者は華榮なき死者とて現る。
我心を盡して爾を尋ぬ、我に爾の誡を避くるを容す毋れ。
救世主よ、地獄は如何ぞ爾の降臨を忍び、爾の光の輝く電に目眩きて、昧まされて惱まざらん。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1157頁]---------------------
我爾の言を我が心に藏めたり、爾の前に罪を犯さざらん爲なり。
吾が甘愛なるイイスス、救を施す光よ、爾は如何に暗き柩に匿れたる、吁言ひ難く述べ難き寛忍や。
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の律を我に訓へ給へ。
ハリストスよ、智識の性と無形の軍とは爾が葬の言ひ難く迹べ難き祕密を訝る。
我我が口を以て爾が口の悉くの定を傳へたり。
鳴呼異なる奇蹟、鳴呼新なる業や、我に呼吸を賜ふ者は呼吸なく舁かれて、イオシフの手にて葬らる。
我爾が啓示の道を悦ぶこと諸の貨財を悦ぶが如し。
ハリストスよ、爾は柩にも入り、敢て父の懐をも離れざりき、是れ奇妙にして亦至榮なる事なり。
我爾の誡を考へ、爾の路を仰ぐ。
イイススよ、爾は最小き柩に容れられたれども、萬物より天地の眞の王と識られたり。
我爾の律を以て慰となし、爾の言を忘れず。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1158頁]---------------------
造物主ハリストスよ、爾が柩に置かれし時、地獄の基は動き、人人の墓は啓けたり。
爾の僕に憐を顯し給へ、然せば我生きて爾の言を守らん。
手にて地を保つ者は肉體殺され、今地の下に鎖されて、死者を地獄の鎖より脱れしむ。
我が目を啓き給へ、然せば我爾が律法の奇蹟を觀ん。
我が生命なる救世主よ爾は死して死者に降り、地獄の柱を折きて、朽壞より升り給へり。
我地に在りて族客なり、爾の誡を我に隱す毋れ。
今神の肉體は燈の光が斗の下に隱るる如く、地の下に隱れて、地獄に在る黒暗を逐ひ拂ふ。
我が靈恒に爾の定を望みて憊れたり。
神靈の軍は多く集まる、イオシフ及びニコディムと偕に爾容れられざる者を小き墓に葬らん爲なり。
爾は誇る者、詛はれし者、爾の誡に逆ふ者を抑へたり。
生命を施す吾がイイススよ、爾は甘じて死を受け、地の下に藏められて、我苦き罪
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1159頁]---------------------
に殺されし者を生かし給へり。
悔と辱とを我より除き給へ、我爾の啓示を守ればなり。
言よ、萬物は爾の苦に因りて變易せられたり、蓋爾が萬有を保つ者たるを知りて、爾と苦を分てり。
牧伯は坐して我を謀る、惟爾の僕は爾の律を考ふ。
悉くの者を食ふ地獄は、生命の石を腹に受けて、古世より呑みたる死者を吐けり。
爾の啓示は我の慰なり、爾の律は我の共議者なり。
ハリストスよ、爾は新なる墓に藏められ、神に適ふが如く死より復活して、人の性を新にし給へり。
我が靈塵に投げられたり、爾の言に循ひて我を生かし給へ。
主宰よ、爾はアダムを救はん爲に地に降り、地には彼を覓め得ずして、彼を尋ねて地獄にまで降れり。
我我が道を陳べしに、爾我に聞けり、爾の律を我に訓へ給へ。
言よ、全地は懼れて震ひ、太陽は爾の至りて大なる光が地に藏さるるを見て、其光線を藏せり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1160頁]---------------------
我に爾が命の道を悟らしめ給へ、然せば我爾の奇蹟を考へん。
救世主よ、爾は人として甘じて死し、神として死者を墓及び罪の深處より起し給へり。
我が靈は憂に依りて銷ゆ、爾の言に循ひて我を固め給へ。
鳴呼イイススよ、潔き者は母として泣き號びて、涙を爾の上に注ぎて籲べり、子よ、我如何に爾を瘞らん。
詭詐の道を我より遠ざけ、爾の律法を我に授け給へ。
爾は麥の種の如く地の懐に入り、多く實る穗を生じて、アダム以來の人人を起し給へり。
我眞實の道を擇び、爾の定を我が前に置けり。
今爾は日の如く地の下に藏れて、死の夜に蔽はれたり、然れども至りて明に輝き給へ、救世主よ。
主よ、我爾の啓示を戀へり、我に羞を得しむる毋れ。
救世主よ、月が日輪を隱す如く、柩も亦今爾肉體にて死せし者を隱せり。
爾我が心を廣めん時、我爾が誡の道を趨らん。
生命なるハリストスは死を嘗めて、死に屬する者を死より釋き、今衆に生命を賜ふ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1161頁]---------------------
主よ、爾が律の道を我に示し給へ、然せば我終に至るまで之に依らん。
救世主よ、爾肉體に顯れし新なるアダムは、昔猜に因りて殺されしアダムを、爾の殺さるるを以て生命に升せ給ふ。
我を悟らせ給へ、然せば我時の律法に遵ひ、心を盡して之を守らん。
救世主よ、神靈の品位は爾が臥せる死者たるを見て驚き懼れ、其翅にて己を蔽へり。
我を爾が誡の道に立て給へ、蓋我之を慕へり。
言よ、イオシフは木より爾死せし者を下して、今墓に置けり、然れども爾衆を救ふ神として起きよ。
我が心を爾の啓示に傾かしめ給へ、貪りに傾かしむ毋れ。
救世主よ、爾は天使等の歡喜たりしに、今肉體にて氣絶えし死者と見られて、其憂愁の所以となれり。
我が目を轉じて虚しきことを見ざらしめよ、我を爾の道に生かし給へ。
爾は木に擧りて、生ける人人を己と偕に擧げ、地の下に在りて、其下に臥す者を起し給ふ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1162頁]---------------------
爾の言を爾の僕に固めよ、彼爾の前に愼めばなり。
救世主よ、爾は肉體にて獅の如く眠り、肉體の殻を脱ぎて、小獅の如く死より起き給ふ。
我が懼るる侮を除き給へ、爾の定は仁慈なればなり。
爾アダムの脅骨を取りて是よりエワを造りし者は、脅を刺されて、潔浄を施す泉を流し給へり。
視よ、我爾の命を慕へり、爾の義を以て我を生かし給へ。
救世主よ、昔羔は私に獻祭せられしに、爾惡に與らざる者は公に獻祭せられて、萬物を浄め給へり。
主よ、願はくは爾の憐は我に至り、爾の言に循ひて爾の救は我に至らん。
孰か能く畏る可き誠に新なる形狀を言ひ顯さん、蓋造物を司る者は今苦を受けて、我等の爲に死し給ふ。
然らば我を侮る者には、我對ふるを得ん、我爾の言を恃めばなり。
天使等は驚きて呼べり、生命の寶藏は何如にして死者と見られ、神は何如にして墓に鎖さるる。
我が口より眞實の言を全く離す毋れ、我爾の定を恃めばなり、
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1163頁]---------------------
救世主よ、爾は戈にて刺されし爾の脅より生命を滴らせ、此を以て我を生かし給ふ。
然らば我常に爾の律法を守りて世世に至らん。
イイススよ、爾は木に舒べられて、人人を聚め、脅を刺されて、悉くの者に生命を施す赦を流し給ふ。
我自由にして往かん、爾の命を求めたればなり。
救世主よ、尊き者は尊き行を顯す、一には爾死せし者を尊く葬り、一には爾の畏るべき容に驚き懼る。
我諸王の前に爾の啓示を言ひて耻ぢざらん。
イイススよ、爾は甘じて死者として地の下に降りて、天より墜ちし者を復地より升せ給ふ。
我愛する所の爾の誡を以て慰とせん。
イイススよ、爾は死者として見られたれども、神なるによりて生ける者として、天より墜ちし者を復地より升せ給ふ。
我が手を愛する所の爾の誡に伸べて、
爾は死者として見られたれども、神なるによりて、生ける者として、我を殺
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1164頁]---------------------
しし者を殺して、殺されし人人を生かし給へり。
爾の律を考へん。
鳴呼彼の喜、鳴呼多くの樂や、爾は暗き淵に光を輝かして、此等を地獄に充て給へり。
爾の僕に賜ひし言を記憶せよ、爾我に之を恃まんことを命ぜしによる。
人を愛する主よ、我爾の苦を伏し拜み、爾の瘞りを讃め歌ひ、爾の權柄を尊み崇む。我此等を以て害を爲す諸慾より解かれたり。
爾が言の我を生かすは、斯れ我が患難の時には我の慰なり。
ハリストスよ、劍は爾に向ひて拔かれしに、強き者の劍は鈍り、エデムの劍は還さる。
誇る者は大く我を譏れり、然れども我爾の律法を離れざりき。
羊は羔の屠らるるを見て、刃に刺されて泣き、群をも偕に叫ばしめたり。
主よ、我爾が古世よりの定を記憶して自ら慰めたり。
ハリストスよ、爾は墓に葬られ、地獄に往きたれども、墓を罄し、地獄を空しくし給へり。
我惡人が爾の律法を棄つるを見て驚き懼る。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1165頁]---------------------
救世主よ、爾は甘じて地の下に降り、殺されし人人を生かして、之を父の光榮の中に升せ給へり。
我が旅する處に於て爾の律は我の歌となれり
三者の一は肉體に於て我等の爲に耻づべき死を忍びしに、日は懼れ、地は慄く。
主よ、我夜中爾の名を記憶し、爾の律法を守れり。
苦き泉よりするが若くイウダの支派より出でし者は、「マンナ」を賜ひし養育者イイススを坎に置けり。
是れ我が物となれり、我爾の命を守るに縁る。
審判者は審判せらるる者として審判者ピラトの前に立ち、十字架の木に死せんことを非義に定罪せられたり。
我謂へり、主よ、爾の言を守るは我の分なり。
傲慢なるイズライリ、殘忍なる民よ、爾等何を苦しみてワラウワを釋し、救世主を十字架に付したる。
我心を盡して爾に禱れり、爾の言に循ひて我を憐み給へ。
爾己の手にて土よりアダムを造りし者は彼の爲に性にて人となり、爾の旨に由り
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1166頁]---------------------
て十字架に釘せられたり。
我我が道を考へ、我が足を爾の啓示に旋らせり。
言よ、爾は父の命に從ひて、畏るべき地獄にまで降り、人類を復活せしめ給へり。
我爾の誡を守ること速にして遅からざりき。
鳴呼哀しい哉、世界の光や、鳴呼哀しい哉、我の光、吾が至愛なるイイススやと、童貞女は痛く泣きて籲べり。
惡人の網我を圍みたれども、我爾の律法を忘れざりき。
嫉妬、殘忍、傲慢なる民よ、ハリストスの復活するに及びて、其布と首巾にだに羞づ可し。
我夜半に興きて、爾が義なる定の爲に爾を讃榮せり。
來れ、不潔なる兇殺者門徒よ、我に爾の惡習、爾にハリストスを賣らしめし者を示せ。
凡そ爾を畏れて爾の命を守る者は、我之と儔たり。
愚にして瞽、殘忍にして不信なる者よ、爾は價を以て香料を賈らんと欲して、人を愛する者の爲をなせり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1167頁]---------------------
主よ、地は爾の憐にて滿ちたり、爾の律を我に誨へ給へ。
天の香料を賣りて幾何の價を得たるか、價の最貴き者に當る何物を得たるか、爾狂を得たり、詛はれたる「サタナ」よ。
主よ、爾は已に爾の言に循ひて善を爾の僕に行へり。
爾若し貧者を愛して、靈を潔めんと欲して費す所の香料の爲に憂へば、何如ぞ金の爲に光り輝く者を賣る。
我に善き明悟と智慧とを誨へ給へ、我爾の誡を信ずればなり。
鳴呼神の言や、鳴呼我が喜や、我何如にして爾が三日の瘞を忍ばん、今我が母たる心は裂かる。
我が苦の先に我迷へり、今は爾の言を守る。
神の聘女たる童貞女は籲べり、誰か我に水と涙の泉とを與へん、我が甘愛なるイイススの事を泣かん爲なり。
主よ、爾は善にして善を行ふ者なり、爾の律を我に誨へ給へ。
鳴呼山と陵と人人の群よ、涕を流して、皆我爾の神の母と偕に泣き號べ。
誇る者は謊を編みて我を攻む、唯我心を盡して爾の命を守らん。
童貞女は泣きて籲べり、救世主よ、我何の時にか爾永遠の光、我が心の喜と
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1168頁]---------------------
樂とを見るを得ん。
彼等の心は肥えたること脂の如し、惟我爾の律法を以て慰となす。
救世主よ、爾は角の截られたる石の如く截られたれども、生命の泉として、活ける流を流し給へり。
我が爾の律を學ばん爲に苦しみしは、我の爲に善なり。
我等は爾の脅が一の泉の如く流す所の二の河に飮ませられて、死せざる生命を獲るなり。
爾が口の律法は我が爲に金銀千千よりも貴し。
言よ、爾甘じて死者として柩に入りたれども生き、且吾が救世主よ、曾て預言せし如く、爾の復活を以て人人を興し給ふ。
光榮、言よ、我等は爾萬有の神を、爾の父及び聖神と共に讃め歌ひ、爾の神聖なる瘞を崇め讃む。
今も、生神女讃詞、潔き生神女よ、我等爾を讃め揚げ、信を以て爾の子、吾が神の三日の瘞を尊み崇む。
復第一の讃美詞を歌ふ、兩詠隊共に。
ハリストスよ、爾は生命にして柩に置かれ給へり、天軍驚き懼れて、爾の謙遜
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1169頁]---------------------
を讚榮せり。
次に小聯禱。高聲、蓋爾父と子と聖神の名は讃揚せられ、爾の國は讃榮せらる、今も何時も世世に。
第二段を始む。此の時司祭爐儀を行ふ。
第二段
左列詠隊傷感の情を以て讃詞を歌ふ。
爾生命を施す主、十字架に手を舒べて、敵の權柄を敗りし者を讃榮するは誠に當れり。
爾の手我を造り、我を設けたり、我に悟らせ給へ、然せば我爾の誡を學ばん。
爾萬物の造成主を讃榮するは誠に當れり、蓋我等爾の苦に藉りて朽壞を免れて、苦なきを得たり。
爾を畏るる者は我を見て、我が爾の言を恃めるを喜ばん。
救世主ハリストスよ、爾暮れざる光が肉體にて柩に入りしに、地は慄き、日は匿れたり。
主よ、我爾が定の義なるを知る、爾義を以て我を罰せり。
ハリストスよ、爾は生命を産む寢にて柩に寢りて、人類を罪の重き寢より興し給
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1170頁]---------------------
へり。
願はくは爾の憐は爾の僕に賜ひし言に循ひて我の慰とならん。
潔き者は曰へり、子よ、女の中我獨病なく爾を生めり、今爾の苦に縁りて堪へ難き病を忍ぶ。
願はくは爾の憐は我に至らん、然らば我生きん、蓋爾の律法は我の慰なり。
救世主よ、セラフィム等は爾が上には父と離れずして居り、下には死して地に臥すを見て驚き畏る。
願はくは誇る者は辱しめられん、蓋彼等故なくして我を攻む、我爾の命を考ふ。
言よ、爾釘せられしに、殿の幔は裂かれ、爾日たる者が地の下に入りしに、諸の光體は光を隱せり。
願はくは爾を畏れて爾の啓示を識る者は我に向はん。
始に一の指麾にて地球を建てし者は、人の如く氣絶えて、地の下に入りたり。天よ、此を見て驚き懼れよ。
願はくは我が心爾の律に玷なからん、我が羞を得ざらん爲なり。
爾己の手を以て人を造りし者は地の下に入りたり、全能の權を以て人人の群を墮落
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1171頁]---------------------
より起さん爲なり。
我が靈爾の救を慕ひて銷ゆ、我爾の言を恃む。
來りて、古の攜香女の如く、聖なる哭泣を死せしハリストスに獻らん、復彼等と偕に慶べよと聆かん爲なり。
我が目は爾の言を俟ちて銷ゆ、我謂ふ、爾何の時に我を慰めんか。
言よ、爾は誠に盡きざる香料なり、故に攜香女は死せし者に於ける如く、爾生ける者に香料を獻れり。
我は革嚢が烟の中に在るが如し、然れども爾の律を忘れざりき。
ハリストスよ、爾は瘞られて地獄の國を滅し、死にて死を殺し、地に生るる者を朽壞より釋き給ふ。
爾が僕の日は幾何かある、爾何の時に我を窘逐する者を審判せんか。
生命の河を流す神の睿智は柩に入りて、地獄の至り難き處に居る者を生かし給ふ。
誇る者は爾の律法に悖りて、我が爲に阱を掘れり。
我壞れたる人の性を新にせん爲に、甘じて肉體にて死に刺されたり。吾が母よ、哭きて心を割く勿れ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1172頁]---------------------
爾の誡めは皆眞實なり、彼等不義を以て我を窘逐す、我を助け給へ。
爾義の光は地の下に入り、地獄に在る黒暗を悉く逐い拂ひて、寢より起すが如く死せし者を起し給へり。
彼等幾んど我を地に滅せり、然れども我爾の命を棄てざりき。
今涕を以て二性の種、生命を産む者は地の懐に播かる、然れども生ひ出でて世界を喜ばしめん。
爾の憐に依りて我を生かし給へ、然せば爾が口の啓示を守らん。
アダムは神が樂園に歩みし時に畏れ、地獄に降りし時に歡ぶ、蓋彼の時は陷り、今は起さる。
主よ、爾の言は永く天に固められたり、
ハリストスよ、爾が身にて墓に置かれし時、爾を生みし者は涙の祭りを爾に獻りて籲ぶ、子よ、預言せし如く起きよ。
爾の眞實は世世に在り、爾地を立てしに、地卽立つ。
救世主よ、イオシフは敬虔にして爾を新なる墓に藏むる時、神に適ふ輓歌を爾に歌ひて、之に涙を交ふ。
爾の定に循ひて皆立ちて今に至る、蓋皆爾に務むるなり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1173頁]---------------------
言よ、爾の母は爾が釘にて十字架に付けられしを見て、堪へ難き哀の釘及び戈にて靈を刺し貫く。
若し爾の律法我の慰とならざりしならば、我は我が禍の中に亡びしならん。
母は爾萬有の甘味たる者が苦き飮料を飮ませらるるを見て、苦き涙にて面を霑せり。
我永く爾の命を忘れざらん、爾此を以て我を生せばなり。
至浄の者は爾が非義に屠らるるを見て、泣きて曰へり、言よ、我痛く刺され、心割かる。
我爾に屬す、我を救ひ給へ、我爾の命を求めたればなり。
イオシフ籲びて曰へり、言よ、我如何にして爾の愛す可き目と口とを閉ぢん、如何にして爾を死者に適ひて葬らん、我懼るる耳。
惡人は我を伺ひて滅さんと欲す、惟我爾の啓示を究む。
イオシフとニコディムとは今死せしハリストスに輓歌を歌ふ、セラフィム等も彼等と偕に歌ふ。
我凡その完全の限を見たり、惟爾の誡は廣きこと測り難し。
救世主、義の日よ、爾地の下に入りしに、爾を生みし月は爾の容を見るを得ず
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1174頁]---------------------
して、哀に因りて虧く。
我幾何か爾の律法を愛する、我終日之を考ふ。
救世主よ、地獄は爾生命を賜ふ主が其富を奪ひて、古世よりの死者を起すを見て懼れたり。
爾の誡を以て爾我を我が敵より智ならしめたり、蓋此れ常に我と偕にす。
言よ、日は夜過ぎて光を放つ、爾も宮より出づるが如く復活し、死過ぎて明に光り給ふ。
我の智識は我が都ての敎師に逾えたり、我爾の啓示を考ふればなり。
救世主よ、地は爾造物主を懐に受けて、戰き震ひ、其震にて、死者を寢より起す。
我の多識は老人に勝る、我爾の命を守ればなり。
ハリストスよ、今ニコディム及び尊き者は恭しく香料を爾に傳りて籲べり、全地よ、懼る可し。
我悉くの惡しき道に我が足を禁ず、爾の言を守らん爲なり。
光を造りし者よ、爾入りしに、日の光も爾と偕に入れり。造物は戰きて、爾が萬有の造成者たるを傳ふ。
我爾の定を避けず、爾我を訓ふればなり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1175頁]---------------------
削りたる石は屋隅の首石を蔽ひ、死す可き人は神を死す可き者の如く今柩に匿す、地よ、懼る可し。
爾の言は我が喉に幾何か甘き、我が口には蜜よりも甘し。
潔き者は泣きて籲べり、子よ、爾が愛せし門徒及び爾の母を見て、最甘き聲を出せ。
我爾の命を以て諭されたり、故に悉くの詐の道を疾む。
言よ、爾は生命を施す者として、十字架に舒べられて、イウデヤ人を殺さざりき、卽其死者をも復活せしめ給へり。
爾の言は我が足の燈、我が路の光なり。
言よ、爾は苦を受くる時、美しき姿も嘉き容もなかりき、然れども復活して輝き、神聖なる光にて人人を飾り給へり。
我爾の義なる定を守らんことを盟へり、卽之を成さん。
暮れざる光よ、爾肉體にて地に入りしに、日は見るに耐へずして、晝と雖光を失へり。
主よ、我痛く迫害せられたり、爾の言に循ひて我を生かし給へ。
救世主よ、日と月とは光を失ひて、黒き衣を着たる善智の僕に效へり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1176頁]---------------------
主よ、我が口の自由なる獻祭を受けんことを悦びて、我に爾の定を誨へ給へ。
イオシフは籲べり、爾死を受けたれども、百夫長は爾を見て神と爲せり。吾が神よ、我何如にして手を以て爾に觸れん、我懼るる耳。
我が靈は恒に我が手に在り、然れども我爾の律法を忘れず。
アダムは寢りし時死を脅より出せり、神の言よ、爾今寢りて、爾の脅より世界に生命を流し給ふ。
惡人は我が爲に網を張れり、然れども我爾の命を避けざりき。
仁慈の主よ、爾は暫く寢ねて、死せし者を生かし、復活して、古世より寢ぬる者を復活せしめ給へり。
我爾の啓示を永き嗣業として受けたり、蓋此れ我が心の樂なり。
生命を流す葡萄樹よ、爾は地より取られたれども、救の酒を流し給へり、我苦と十字架とを讃榮す。
我我が心を傾け、永く爾の律を行ひて終に迄らん。
救世主よ、何如に神靈の軍將は爾裸體にせられ、血に染められ、罪せられ、釘殺者の強暴を忍ぶ者を觀る。
我人の虚説を疾み、惟爾の律法を愛す。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1177頁]---------------------
聘定せられたる背逆なるエウレイの族よ、爾は殿の建てられしことを知れり、何爲れぞハリストスを罪したる。
爾は我の帲幪、我の盾なり、我爾の言を恃む。
爾は天を固め、地を奇妙に妝ひ、萬有を飾る者に辱の衣を着す。
不法の者よ、我を離れよ、我我が神の誡を守らん。
言よ、爾は鵜の如く脅を刺され、生命の流を滴らせて、爾の死せし諸子を生かし給へり。
爾の言に循ひて我を固め給へ、然せば我生きん、我が望に於て我を辱しむる毋れ。
昔イイススは異民を撃つ時日を停めたり、爾は黒暗の首を滅す時隱れ給へり。
我を助け給へ、然せば我救を得、恒に爾の律を顧みん。
慈憐なるハリストスよ、爾は父の懐を離れずして、甘じて人となり、地獄に降り給へり。
凡そ爾の律に離るる者は爾之を仆す、蓋彼等の謀は詭なり。
地を水に懸けし者は十字架に釘せられ、下されて、氣なき者として今地の中に臥す、地
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1178頁]---------------------
は之に耐へずして大く震ふ。
凡そ地の惡人は爾之を銕滓の如くに除く、故に我爾の啓示を愛せり。
夫を識らざる者は泣きて籲べり、鳴呼子よ、哀しい哉、蓋我王と恃みし者が今罪せられて、十字架に在るを見る。
爾を畏るるに因りて我が肉體慄き、我爾の定を懼る。
ガウリイルは飛び下りし時、斯く我に知らせたり、彼は吾が子イイススの國は永遠なりと曰へり。
我定と義とを行へり、我を我が窘逐者に付す毋れ。
噫噫シメオンの預言は應へり、蓋エンマヌイルよ、爾の劍は我の心を刺せり。
爾の僕を護りて善を得しめ給へ、誇る者の我を迫害せざらん爲なり。
嗟呼イウデヤ人よ、爾等は嫉に縁りて生命を施す主を殺せり、彼が死より起しし者にだに愧ぢよ。
我が目は爾の救と爾が義の言とを望みて消ゆ。
吾がハリストスよ、日は爾無形の光が墓に隱され、氣なきを見て、懼れて其光を失へり。
爾の憐に循ひて爾の僕に行ひ、爾の律を我に訓へ給へ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1179頁]---------------------
言よ、爾の無玷なる母は、爾測り難き無原の神が柩に在るを觀る時、痛く哭けり。
我は爾の僕なり、我に悟らせ給へ、然せば我爾の啓示を識らん。
ハリストスよ、爾の無玷なる母は爾の死せしを見て、憂ひて爾に謂へり、生命よ、死者の中に久しく淹まる毋れ。
主に事を行ふ時至れり、人爾の律法を毀てり。
光榮の日、死せざる主よ、兇暴なる地獄は爾を見て慄き、急ぎて其囚を放てり。
唯我爾の誡を愛すること金に愈り、純金に愈る。
大なる畏る可き顯見は今見らる、生命の原因なる者は衆人を生かさんと欲して、死を受け給へり。
我爾が悉くの命を承け認めて、皆之を正しとなし、悉くの詭の途を疾む。
主宰よ、爾脅には刺され、手には釘うたれて、脅より出でたる傷と原祖の手の不節制とを醫し給ふ。
爾の啓示は奇妙なり、故に我が靈之を守る。
曩にラヒリの子の爲に家の在る者皆泣けり、今童貞女の子の爲に門徒の會母と偕に泣き號べり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1180頁]---------------------
爾が言の啓發は光を施し、愚蒙の者を悟らしむ。
手を以て人を造り、亦猛獸の腭を毀りしハリストスの頬を手にて批てり。
我口を啓きて喘ぐ、爾の誡に渇けばなり。
ハリストスよ、我等信者は皆爾の瘞にて死より救はれて、今歌を以て爾の十字架と瘞とを崇め讃む。
光榮、三者讃詞、無原の神、常に偕にする言、及び聖神よ、吾が皇帝の權柄を固め給へ、爾至善なるに因る。
今も、生神女讃詞、生命を生みし無玷至淨なる童貞女よ、敎會の誘惑を防ぎて、平安を與へ給へ、爾至善なるに因る。
復第一の讃美詞を歌ふ、兩詠隊共に。
爾生命を施す主、十字架に手を舒べて、敵の權柄を敗りし者を讃榮するは誠に當れり。
次に小聯禱。高聲、蓋爾我等の神、ヘルワィムの光榮の座に息ふ者は聖なり、我等光榮を爾と、爾の無原の父と、至聖至善生命を施す爾の神とに獻ず、今も何時も世世に。
第三段を始む。此の時司祭爐儀を行ふ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1181頁]---------------------
第三段
右列詠隊傷感の情を以て歌ふ、第三調に依る。
吾がハリストスよ、萬族は爾の瘞りに歌を獻る。
我を顧み、我を憐み、爾の名を愛する者に行ふが如くせよ。
アリマフェヤの人は爾を木より下し、布に裹みて墓に瘞る。
我が足を爾の言に固め給へ、諸の不法の我を制するを許す毋れ。
吾がハリストスよ、攜香女は來りて、心を盡して香料を爾に捧ぐ。
我を人の迫害より救ひ給へ、然せば我爾の命を守らん。
造物よ、皆來りて、逝世の歌を造物主に獻らん。
爾が顔の光にて爾の僕を照し、爾の律を我に誨へ給へ。
我等皆心の中に攜香女と偕に、死者に於けるが如く生ける者に香料を傳らん。
我が目は水の流を注ぐ、人爾の律法を守らざるに縁る。
三重に福たるイオシフよ、ハリストス、生命を施す者の肉體を瘞れ。
主よ、爾は義なり、爾の定は正し。
「マンナ」を以て育はれし者は其恩者に踵を擧げたり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1182頁]---------------------
爾の命じたる啓示は義なり、全き眞實なり。
「マンナ」を以て育はれし者は救世主に膽及び醯を捧ぐ。
我が熱心は我を蝕む、我が敵爾の言を忘れしによる。
噫嘻諸預言者を殺しし者の狂と、ハリストスを殺す罪や。
爾の辭は孔清し、爾の僕は之を愛せり。
門徒は無智の僕として智慧の淵を付せり。
我微小にして卑しと雖、爾の命を忘れず。
詭詐なるイウダは救贖者を離れて、擄となるを免れざりき。
爾の義は永遠の義、爾の律法は眞實なり。
ソロモンの言に依れば、不法なるエウレイ人の口は深き隍なり。
悲と憂とは我に及べり、爾の誡は我の慰なり。
不法なるエウレイ人の曲りたる徑には荊あり、網あり。
爾が啓示の義は永遠なり、我を悟らせ給へ、然せば我生きん。
イオシフはニコディムと偕に死者の如く造物主を葬る。
我心を盡して籲ぶ、主よ、我に聽き給へ、然せば我爾の律を守らん。
生命を施す救世主よ、光榮は地獄を滅しし爾の權柄に歸す。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1183頁]---------------------
爾を籲ぶ、我を救ひ給へ、然せば我爾の啓示を守らん。
言よ、至浄の者は爾の臥すを見て、母に適ひて泣けり。
黎明に先だちて籲び、爾の言を恃む。
於戯吾が最樂しき春、鳴呼吾が最甘き子よ、爾の華美は何所にか入りたる。
我が目夜更に先だちて寤む、爾の言を究めん爲なり。
言よ、爾死せしに、爾の至淨なる母は慟哭せり。
主よ、爾の憐に依りて我が聲を聆き、爾の定に依りて我を生かし給へ
女等は香料を攜へて、神聖なる香料たるハリストスに傳らん爲に來れり。
惡を謀る者邇づけり、彼等は爾の律法に遠ざかる。
吾が神よ、爾は神聖なる力を以て、死にて死を殺し給ふ。
主よ、爾は邇し、爾が悉くの誡は眞實なり。
吾が神よ、誘ふ者は誘はれ、曾て誘はれし者は爾の智慧に藉りて免るる を獲たり
我昔より爾の啓示は、爾之を世世の爲に立てしを知れり。
主を賣る者は地獄の底、滅亡の井に下されたり。
我が阨を顧みて我を遁れしめ給へ、蓋我爾の律法を忘れず。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1184頁]---------------------
至りて禍なる狂へるイウダの途は荊なり、網なり。
我が訟を理めて我を護り、爾の言に循ひて我を生かし給へ。
言、神の子、萬有の王よ、爾を十字架に釘せし者は皆倶に滅ぶ。
救は惡人に遠し、蓋彼等は爾の律を求めず。
血を流す者は皆倶に朽壞の井に滅ぶ。
主よ、爾の恩澤は多し、爾の定に依りて我を生かし給へ。
神の子、萬有の王、吾が神、吾が造物主よ、如何にして爾は苦を受け給ひし。
我に窘逐者及び敵人は多し、惟我爾の啓示を離れず。
牝牛は犢の木に懸けられしを見て啼けり。
我悖る者を見て憂ふ、彼等爾の言を守らざればなり。
イオシフはニコディムと偕に生命を施す尸を瘞る。
視よ、我若何に爾の命を愛する、主よ、爾の憐に依りて我を生かし給へ。
童貞女は心刺され、熱き涙を流して籲べり。
爾が言の本は眞實なり、凡そ爾が義の定は永遠なり。
吾が目の光、甘愛なる吾が子よ、何爲れぞ今柩に匿るる。
牧伯は故なくして我を窘逐す、惟我が心爾の言を懼る。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1185頁]---------------------
母よ、泣く毋れ、我アダム及びエワを釋かん爲に此の苦を受く
我爾の言を悦ぶこと大なる利益を獲し者の如し。
我が子よ、我は此の苦を爾に受けしむる爾の極めて大なる慈憐を讃榮す。
我謊を疾みて之を忌み、惟爾の律法を愛す。
慈憐の主よ、爾は醯及び膽を飮ませられて、古の食ふ罪を釋き給へり。
我爾が義の定の爲に日に七次爾を讃榮す。
昔雲柱を以て其民を覆ひし者は十字架に釘せられたり。
爾の律法を愛する者には大なる平安あり、彼等に躓なし。
救世主よ、墓に來りし攜香女は香料を爾に捧げたり。
主よ、我爾の救を恃み、爾の誡を行ふ。
起きよ、慈憐の主、我等を地獄の淵より起す者よ。
我が靈爾の啓示を守り、我孔之を愛す。
復活せよ、生命を賜ふ者よ、爾を生みし母は涙を流して言ふ。
我爾の命と爾の啓示とを守る、蓋我が道は悉く爾の前にあり。
言よ、速に復活して、潔く爾を生みし者の哀を釋き給へ。
主よ、願はくは我が籲聲は爾が顔の前に邇づかん、爾の言に循ひて我を
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1186頁]---------------------
悟らせ給へ。
天軍は爾の死せしを覩て懼るること甚し。
願はくは我が禱は爾が顔の前に至らん、爾の言に循ひて我を救ひ給へ。
愛と畏とを以て爾の苦を尊む者に諸罪の赦を與へ給へ。
爾が我に其律を誨へん時、我が口は讃美を發せん。
鳴呼畏る可き奇妙の顯現や、神の言よ、何如にして地は爾を覆ふ。
我が舌は爾の言を迹べん、蓋爾が悉くの誡は義なり。
救世主よ、昔爾を抱きしイオシフは脱れ、今他の者は爾を葬る。
願はくは爾の手は我の助とならん、蓋我爾の命を擇べり。
吾が救世主よ、爾が至浄なる母は爾の殺されしことを悲しみて泣く。
主よ、我爾の救に渇く、爾の律法は我の慰なり。
諸神靈は爾萬物の造成主の奇異なる畏る可き瘞を見て驚き懼る。
願はくは我が靈生きて爾を讃榮せん、願はくは爾の定は我を助けん。
朝早く來りし攜香女は香料を柩に傾けたり。
我は亡はれたる羊の如く迷へり、爾の僕を尋ね給へ、蓋我爾の誡を忘れざりき。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1187頁]---------------------
爾の起くるを以て敎會に平安、爾の民に救を與へ給へ。
光榮、鳴呼三者、吾が神、父、子、聖神よ、世界を憐み給へ。
今も、童貞女よ、爾の諸僕を爾の子の復活を瞻るに耐ふる者と爲し給へ。
次に左の諸讃詞を歌ふ。第五調。
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
救世主よ、天使の軍は爾が死者の内に入れど、死の力を滅し、アダムを己と共に起し、衆を地獄より救ひ給ひしを見て驚けり。
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
墓の中に光る天使は攜香女に謂へり、女弟子よ、何ぞ香料を悲の涙に交ふる、墓を見て悟れよ、救世主は墓より復活せり。
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
攜香女は朝早く泣きて爾の墓に往きしに、天使其前に立ちて云へり、泣く時は過ぎたり、涙を止めて、使徒に復活を告ぐべし。
主よ、爾は崇め讃めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
救世主よ、攜香女は香料を攜へ、爾の墓に來りて泣きしに、天使之に謂へり、何ぞ生ける者を死者の中にありと思ふ、彼は神として墓より復活せり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1188頁]---------------------
光榮、三者讃詞、父と、其子と、聖神、一體の聖三者を拜みて、セラフィムと偕に呼ばん、聖、聖、聖なる哉主や。
今も、生神女讃詞、童貞女よ、爾は生命を賜ふ主を生みて、アダムを罪より救ひ、エワに悲に易へて喜を賜へり、爾より身を取りし神人は生命を落しし者を率いて、復生命に向はせたり。
「アリルイヤ、」三次。次に、小聯禱。
高聲、蓋ハリストス我等の神よ、爾は平安の王なり、我等光榮を爾と、爾の無原の父と、至聖至善生命を施す爾の神とに獻ず、今も何時も世世に。
本日の坐誦讃詞を歌ふ。第一調。
イオシフは尊き屍をピラトより求め得て、潔き布に裹み、神聖なる香料を傳り、新なる墓に藏めたり。故に攜香女は朝早く來りて籲べり、ハリストスよ、預言せし如く、我等に復活を示し給へ。
光榮
末辭、ハリストスよ、預言せし如く、我等に復活を示し給へ。
今も、又、
天使の會は、父の懐に坐する不死の者が死者の如く墓に置かれ、天軍の環りて、
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1189頁]---------------------
造成者及び主として讃榮する者が死者と偕に地獄にあるを見て、驚き懼れたり。
次に福音經の講説の誦讀あり、マトフェイ百十四端に就きて。「ハリストスの復活を見て」を歌はずして、直に第五十聖詠を誦す。其後規程を歌ふ、「イルモス」二次、讃詞十二句に。畢りて後復イルモス、兩詠隊共に。規程は第一歌頌より第六に至るまでは、イドルントの主敎修士マルコの作、「イルモス」は、一修道女名はカッシヤの作。第六歌頌より終に至るまではコスマ師の作。規程の冠詞は、今日も大「スボタ」を歌ふ。第六調。
第一歌頌
イルモス、昔逐ひつめし窘迫者を海の波にて匿しし主を、救はれし者の子は土の下に匿せり。然れども我等は童女の如く主に歌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
主吾が神よ、我逝世の詞と葬の歌とを爾に歌はん。蓋爾は其瘞にて我が生命の門を啓き、其死にて死と地獄とを殺し給へり。
吾が救世主よ、天上及び地獄の者は、爾が上は寶座に、下は柩に在るを見て、爾の死の爲に搖けり。蓋爾生命の源は悟り難くして死者と見られたり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1190頁]---------------------
人を愛する主よ、爾は普く爾の光榮を満たさん爲に地獄に降れり。蓋アダムの内に在る我が性は爾に隠れざりき、爾は葬られて、我敗壞せし者を改め給ふ。
第三歌頌
イルモス、造物は爾、全地を寄する所なくして水の上に懸けし者が、髑髏の處に懸かれるを覩て、大く懼れ、戰きて籲べり、主よ、爾の外に聖なるはなし。
主宰よ、爾は多くの預像を以て爾が瘞の形狀を示せり。今又神人として、夫の地獄に在りて、主よ、爾の外に聖なるはなしと呼ぶ者にも、爾の秘密を顯し給へり。
救世主よ、爾は手を開きて、先に分れたる者を合せたり。布に裹まれて、夫の墓に縛られて、主よ、爾の外に聖なるはなしと籲ぶ者を解き給へり。
容れられざる者よ、爾が柩に容れらるるも、封印せらるるも、爾の旨に因れり。
蓋爾は神に適ふ行を以て爾の力を、人を愛する主よ、爾の外に聖なるはなしと歌ふ者に顯はし給へり。
坐誦讃詞、第一調。
救世主よ、現れて女等に復活を傳ふる天使の輝光に縁りて、爾の墓を守る兵卒等
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1191頁]---------------------
は死せし若くなれり。我等爾朽壞を滅す者を讃榮し、爾墓より復活せし我等の惟一の神に伏拜す。
光榮、今も、同上。
第四歌頌
イルモス、アウワクムは爾が十字架に於ける神聖なる謙虚を先見して、驚きて籲べり、至善の主よ、爾は地獄に居る者と偕に在りて、全能者として強き者の權柄を斷ち給へり。
吾が救世主よ、爾太初に工を息ふを以て祝福せし第七日を今聖にせり。蓋爾は安息して、萬有を己に就かしめて、之を興し且新にし給ふ。
言よ、爾が上の性の力にて勝つ時、爾の靈は體より分れたり、蓋兩ながら爾の權を以て死及び地獄の縛を斷つ。
言よ、地獄は爾を迎へて、死す可き者が神成せられ、傷を被りし者が全能者たるを見て惱み、此の懼るべき形狀に因りて唖と爲れり。
第五歌頌
イルモス、ハリストスよ、イサイヤは我等の爲に仁慈に因りて行はれし爾が神聖なる顯見の暮れざる光を見て、夜中より儆醒して呼べり、死者は復活し、墓に在る者
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1192頁]---------------------
は起き、凡そ地に生るる者は歡ばん。
造物主よ、爾は麈に屬する者となりて、地に生るる者を新にす。言よ、布も柩も爾に在る祕密を顯す、蓋尊き議士は爾を生みし父、爾の内に奇妙に我を改むる者の旨を示す。
主宰よ、爾は死にて死す可き者を易へ、瘞にて朽つ可き者を易ふ。蓋爾は受けし所の性を神に適ひて朽ちざる者となし、死せざる者となす、爾の肉體は朽つるを見ざりき、、爾の靈は奇妙にして地獄に遺されざりしに因る。
吾が造成主よ、爾は婚姻に與らざる者より出で、脅刺されて、彼に因りてエワを新にせり。アダムと爲りて、性を生かす寢にて性に超えて寢り、全能者として死の寢及び朽壞より生命を起し給へり。
第六歌頌
イルモス、イオナは鯨の腹に包まれたれども、長く留められざりき。蓋爾苦を受け、瘞に付されし者を像りて、猛獸より出でしこと宮より出づる如く、爾の墓を守る者に呼べり、徒に虚しく守る者よ、爾等己の矜恤者を棄てたり。
言よ、爾殺されたれども、受けし所の肉體より分れざりき。蓋苦の時に爾の殿毀たれたれども、爾の神性と肉體との位は一たりき、二の中に爾一にして、
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1193頁]---------------------
子、神の言、神人あればなり。
アダムの犯罪は人を殺す者たれども、神を殺す者たらざりき。蓋爾の肉體の塵の性は苦を受けたれども、神の性は苦に與らざりき、卽爾は己の中に朽つべき性を易へて朽ちざる者となし、復活にて朽ちざる生命の源を啓き給へり。
救世主よ、地獄は人間の上に權を執れども、永く保つを得ず。蓋爾權能者は柩に置かれて生命を司る手にて死の鎖を敗り、古世より彼處に居る者に詐なき釋を傳へて、死者の中より初果となり給へり。
小讃詞、第六調
淵を閉ぢし者は死者として見られ、死せざる者は死すべき者の如く没藥及び布に裹まれて、墓に置かる。女等は之に香料を傳らん爲に來りて、痛く泣きて籲べり、此の「スボタ」は至りて讃美たる日なり、此の中にハリストスは寢ねて、三日目に復活せん。
同讃詞
萬有を保つ者が十字架に擧げられしに、萬物は其裸體にして木に懸れるを見て哭き、日は光線を隠し、星は光を失ひ、地は大く懼れて震ひ、海に走り、磐は裂け、
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1194頁]---------------------
多くの墓は啓け、聖人等の體は起きたり。地獄は下に呻き、イウデヤ人はハリストスの復活を讒するを謀れり。女等は籲ぶ、此の「スボタ」は至りて讃美たる日なり、此の中にハリストスは寢ねて、三日目に復活せん。
第七歌頌
イルモス、言ひ盡されぬ哉奇蹟や、爐に於て敬虔の少者を燄より救ひし者は氣絶えし死者として柩に置かる、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ者の救の爲なり。
戈にて脅を刺されたる者を受けし地獄は其心を刺され、神聖なる火に焚かれて呻く、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ者の救の爲なり。
富める哉柩や、己の中に寢れる如き造物主を受けて、生命の神聖なる寶藏と顯れたり、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ者の救の爲なり。
萬有の生命は死すべき者の法に因りて柩に置かるるに從ひて、之を復活の源と顯し給ふ、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ者の救の爲なり。』
ハリストスの神性は地獄に、柩に、エデムに於て一にして、父及び聖神と分れざる者たりき、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ者の救の爲なり。
第八歌頌
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1195頁]---------------------
イルモス、天よ、畏れて戰け、地の基は動くべし、蓋視よ、至高きに居る者は死者に加へられ、小き柩に置かる。少者よ、彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
至りて浄き殿は毀たれたれども、己と偕に圮れたる幕を起す、蓋至高きに居る第二のアダムは第一の者に降りて、地獄の底に至れり。少者よ、彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
門徒等は勇氣を失ひしに、アリマフェヤのイオシフは勇み奮ふ。蓋萬有の神の死して裸なるを見て、之を求め得て、葬りて籲ぶ、少者よ、彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
鳴呼新なる奇蹟や、鳴呼仁慈や、鳴呼言ひ難き寛忍や、至高きに居る者は甘じて地の下に封ぜられ、神は譌る者の如く讒せらる。少者よ、彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
第九歌頌
イルモス、母よ、我爾が種なくして孕みし子の柩に在るを見て泣く毋れ、蓋我起きて光榮を獲、神なるに因りて、常に信と愛とを以て爾を讃揚する者を光榮の中に高くせん。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1196頁]---------------------
無原なる子よ、我奇妙に爾を生む時、性に超えて苦を覺えずして讃美せられたり。今吾が神よ、我爾を氣絶えし死者と見て、痛く哀の劍にて刺されたり。求む、復活し給へ、我が讃揚せられん爲なり。
母よ、地は我が旨に依りて我を覆ふ、然れども地獄の門衛は我が血に染みたる復讐の衣を着たるを見て戰く。蓋我十字架に敵を敗りて、神として復活し、爾を讃揚せらるる者とせん。
造物は歡ぶべし、地に生るる者は皆樂しむべし、蓋仇なる地獄は虜にせられたり。婦は香料を執りて我を迎へよ、我アダムとエワとを其全族と共に救ひて、第三日に復活せん。
差遣詞、第二調、主我等の神は聖なり。三次。
「凡そ呼吸ある者」に四句を立てて、自調の讃頌を歌ふ。第二調。
今日柩は手に造物を保つ者を保ち、石は徳にて天を覆ふ者を覆ひ、生命は寢ね、地獄は戰き、アダムは縛より釋かる。神よ、光榮は爾の定制に歸す、爾は此を以て萬事を成し畢へて、我等に永遠の安息として、爾の至聖なる死よりの復活を賜へり。
觀る所の現は何ぞや、今の安息は何ぞや、世世の王は苦を以て定制を成し畢へ
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1197頁]---------------------
て、柩に安息し、我等に新なる安息を賜ふ。我等彼に籲ばん、地を裁判する神よ、起きよ、蓋爾量り難き大仁慈を有つ者は世世に王たり。
來りて、我等の生命が、柩に臥す者を生かさん爲に、柩に臥すを見ん。來りて、今イウダより出づる者の寢ぬるを見て、預言者の如く彼に籲ばん、臥して寢ぬること獅の如し、王よ、誰か敢て爾を起さん。然れども爾、我等の爲に甘じて己を付しし者は、己の意に從ひて起きよ。主よ、光榮は爾に歸す。
第六調、イオシフはイイススの屍を求め得て、之を其新なる墓に置けり、蓋彼には宮より出づるが如く墓より出づること適へり。死の權を敗りて、人人の爲に樂園の門を啓きし主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、第六調、大なるモイセイは此の日を奥密に前兆して曰へり、神は第七日を祝せりと、蓋此は祝せられし「スボタ」、此は安息の日なり。此の日に神の獨生子は其悉くの工を竣へ、嘗て定めし死に藉りて、肉體にて安息せり。復活を以て彼は舊の姿に囘りて、我等に永遠の生命を賜へり、獨仁慈にして人を愛する主なればなり。
今も、生神女讃詞、第二調、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。次に大詠頌を歌ふ。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1198頁]---------------------
規程を歌ふ時聖務者高壇に入る例あり。大詠頌を歌ふ前に、首聖務者は祭服を完装し、諸司祭は唯祭袍及び領帯を着し、大詠頌を歌ふに及びて高壇より出づ。詠隊最高聲を以て最後の「聖なる神、聖なる勇毅」を歌ふ時、首聖務者首に聖福音經を戴き、諸司祭の捧持する所の主の就寢聖像の下に在りて、西門を出で、聖堂を一周す。此の時諸輔祭前行して爐儀を行ひ、幇堂者蠟燭を持して之に先だつ。已に周りて聖堂に入り、聖王門の前に至りて、「聖なる神」の歌ひ畢るを俟つ、右終りて首聖務者高聲にして曰く、
睿智、肅みて立て。
次ぎて轉回して、就寢聖像を柩に擬する台上に安置し、其上に福音經を載す。
詠隊讃詞を歌ふこと一次。
尊きイオシフは爾の潔き身を木より下し、淨き布に裹み、香料にて覆ひ、新なる墓に藏めたり。
次に預言の讃詞、第二調。
ハリストスよ、爾は地極を保つ者にして、甘じて柩に保たれたり、人類が地獄に呑まるるを脱れしめん爲、又不死の神なるに因りて、復活して我等を生かさん爲なり。
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1199頁]---------------------
光榮、今も、同上。
提綱、第四十三聖詠、第四調、主よ、起きて我等を佑けよ、爾の憐に因りて我等を救ひ給へ。句、神よ、我等は己の耳にて聞けり、我が列祖は我等に述べたり。
イエゼキイリの預言書の讀。第三十七章。
主の手我に臨み、主は神を以て我を攜へ出して、谷の中に置けり、谷には人の骨盈ちたり。彼我を攜へて、其周圍を廻れるに、視よ、谷の面に骨甚多くあり、皆甚枯れたり。彼我に謂へり、人の子よ、此の骨生きんか。我曰へり、主神よ、爾之を知る。彼我に謂へり、此の骨に向ひて預言して、之に言へ、枯れたる骨よ、主の言を聽け。主神は是くの如く此の骨に謂ふ、視よ、我爾等の衷に生命の神を入れん、爾等卽生きん。我筋を爾等の上に置き、肉を爾等の上に生ぜしめ、皮を以て爾等を蔽ひ、我が神を爾等の衷に入れん、爾等卽生きん、且我が主たるを知らんと。我命ぜられし如く預言せり。我が預言する時、音あり、視よ、動あり、骨相近づきて、各其合ふべき骨に聯る。我觀しに、視よ、其上に筋あり、肉生じ、皮之を蔽へり、唯其衷に神なかりき。彼又我に謂へり、神に向ひて預言せよ、人の子よ、預言して神に謂へ、主神は是くの如く言ふ、神よ、四向の風より來りて、此の死せし者に嘘きて、其生くるを致せと。我彼の命ぜし如く預言せしに、神彼等の中に入り、彼等卽生きて、其足
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1200頁]---------------------
にて立てり、甚大なる群衆なり。主又我に謂へり、人の子よ、此の骨はイズライリの全家なり。視よ、彼等云ふ、我等の骨は枯れ、我等の望は亡び、我根より斷たれたりと。故に爾預言して彼等に謂へ、主神は是くの如く言ふ、我が民よ、視よ、我爾等の墓を啓きて、爾等を其墓より引き出し、爾等を攜へてイズライリの地に入れん。我が民よ、我が爾等の墓を啓きて、爾等を其墓より引き出さん時、爾等我の主たるを知らん、我我が神を爾等の衷に入れん、爾等卽生きん。我亦爾等を爾等の地に置かん、其時爾等我主の曾て之を言ひ、又之を成ししを知らん、主之を言ふ。
提綱、第九聖詠、第七調、主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。句、主よ、我心を盡して爾を讃め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
使徒はコリンフ書、百三十三端。其終は二〇六端に
兄弟よ、僅なる酵は盡くの溲麪を酸くす。故に爾等舊き酵を除け、新なる溲麪とならん爲なり、爾等酵なき者なればなり、蓋我等の逾越節羔なるハリストスは我等の爲に宰られたり。然らば我等祝ふに、舊き酵を以てせず、姦惡と詭譎との酵
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1201頁]---------------------
を以てせず、乃潔浄と眞實との酵なき餅を以てすべし。ハリストスは我等の爲に詛と爲りて、我等を贖ひて、律法の詛より免れしめたり、蓋録せるあり、凡そ木に懸れる者は詛はれたりと。是れアウラアムの祝福がハリストスイイススに由りて、異邦人に及ばん爲、我等信に由りて許約せられし聖神を受けん爲なり。
「アリルイヤ」、第五調、神は興き、其仇は散るべし、彼を惡む者は其顏より逃ぐべし。句、煙の散るが如く、爾彼等を散らし給へ。句、蝋が火に因りて融くるが如く、斯く惡人等は神の顔に因りて亡び、惟義人等は樂しむべし。
福音經はマトフェイ百十四端、「明日卽備節日の翌日」、終は番兵をして墓を固めしめたり。次に聯禱、「我等皆靈を全うして曰はん」。又聯禱、「我等主の前に吾が朝の禱を増し加へん」。其他常例の如し。并に發放詞。
其後就寢聖像に接吻す。就寢聖像なき處には他の救世主の聖像に接吻す。此の時左の讃頌を歌ふ。第五調。
來りて、恒に記憶すべきイオシフを讃美せん。彼は夜ピラトに至り、萬衆の生命を求めて曰へり、請ふ我に此の孤獨の者を與へよ、彼は首を枕する處なし。
請ふ我に此の孤獨の者を與へよ、兇惡の門徒は彼を死に付せり。請ふ我に此の
---------------------[聖大「スボタ」 早課 1202頁]---------------------
弧獨の者を與へよ、其母は彼が十字架に懸れるを覩て、泣き號び、母の情を以て籲べり、嗚呼哀しい哉我が子、嗚呼哀しい哉我が光、我が至愛の腹よ。蓋シメオンが神の殿に預言せしことは今應ひたり、劍は吾が心を貫けり。然れども悲を易へて爾が復活の喜と爲し給へ。ハリストスよ、我等爾の苦に伏拜す、ハリストスよ、我等爾の苦に伏拜す、ハリストスよ、我等爾の苦及び聖なる復活に伏拜す。
第一時課を誦すること常の如し。
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第三、六、九時課を常例の如く誦す。其中に讃詞は「尊きイオシフは爾の潔き身を」。小讃詞は「淵を閉ぢし者は死者として見られ」。第九時課の後に眞福詞。「我信ず一の神父全能者」。「神よ、我が自由と自由ならざると」。「天に在す我等の父よ」。高聲の後に小讃詞。主憐めよ、十二次。祝文、「至聖なる三者、一性の權柄」。并に發放詞。
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---------------------[聖大「スボタ」 早課 1203頁]---------------------
聖大「スボタ」の晩課及び聖體禮儀
定刻に及びて鐘を撞く。司祭祭服を着し、祝讃して後、誦經者常例の如く始めて、首誦聖詠を誦す。次に大聯禱。「主よ、爾に籲ぶ」を第一調に依りて歌ふ。「不法者は己の網に罹り」の句に至る時、他の司祭及び輔祭は拜を爲して退き、祭服を完装して奉獻禮儀を行ふ。歌ふ者八句を立てて、八調經の主日の讃頌三章及び挿句の一章を歌ふ。
主日の讃頌、第一調。
聖なる主よ、我が晩の禱を納れて、我等に罪の赦を與へ給へ、爾は獨世界に復活を顯しし者なればなり。
人人よ、シオンを廻り、之を圍みて、是の中に死より復活せし主に