大斎 第5週



第五週間の月曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞二及び生神女讃詞を歌ふ。

第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第三調。

兄弟よ、最美しき時は至り、節制の讃むべき日は輝けり。務めて己を浄めん、潔

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 689]---------------------

き者として造成主の前に現れて、彼の美しきを見るを得ん爲なり、彼を生みし獨潔き神の母の祈に因りてなり。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、生神女よガウリイルは爾の童貞の美しき及び爾の光明なる潔淨を奇として、爾に呼べり、我爾に適ふ何の讃美を捧げん、何を以て爾を名づけん、我訝りて驚く。故に命ぜられし如く爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。

 

第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェオドル師の作、第七調。

我等に今の日、ラザリの死よりの至榮なる復活を光明に前照する聖なる週間に至らしめし主よ、爾の諸僕に爾を畏るる畏を以て齋の途を全く終ふるを得しめ給へ。二次。

 

生神女讃詞、純潔なる童貞女よ、爾は至榮なるヘルワィムより尊し、蓋彼等は神の力に勝へずして、翼にて面を蔽ひて奉事を行ふ、爾は身を取りし言を親しく視て抱き給ふ。我等の靈の爲に絶えず彼に祈り給へ。

 

規程は月課經の、及び三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第三調。

   第一歌頌

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 690]---------------------

イルモス、「昔神妙の瞬にて水を一區に匯め」。

我等は聖なる齋の神聖なる耜を以て吾が思を耕作して、諸徳の穗を生ぜん、欣ばしく盡されぬ甘味を樂しみて、世世に飢えざらん爲なり。

無原なる父の永遠の言よ、我不當なる吾が靈を昧ます多年の諸慾を己の内に抱く者は、痛悔の心を以て爾の勝たれぬ力の前に俯伏して祈る、我を憐みて救ひ給へ。

善き齋は信を以て讃美を全能者に奉る者の心を養ひ、神を悦ばしむる思を増し、諸慾の淵を涸らし、傷感の雨を以て靈を潔む。

生神女讃詞、多名なる少女、聖なる童貞女、神の母マリヤ、信者の譽、詛を解く者、天の梯、測られぬ奇跡、焚かれぬ棘、耕作せられぬ地よ、慶べ。

 

   又フェオドル師の作、第七調。

イルモス、「ファラオンの全軍を海に沈めし」。

我等は生を施す木に伏拜して、是より齋の途に由りて喜びてハリストスの苦に往かん。

我等はハリストスに從ひて世を捨て、十字架を肩に任ひて、彼の神聖なる苦に效はん。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 691]---------------------

三者讃詞、我等衆三位に於て實在なる惟一の神性、父、子、及び聖神を歌頌せん。』

生神女讃詞、童貞を守りて測り難くイイスス救世主を生みし潔き者よ、彼に今爾の諸僕を憐まんことを祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾が光榮の中に諸天使と偕に萬民を審判する爲に來らん時、我等に善き答を爾に爲さんことを得しめ給へ。

イルモス、ファラオンの全軍を海に沈めし主に凱歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。

 

   第八歌頌

イルモス、「ワワィロンの爐が少者を焚かざりし如く」。

救世主よ、我蛇の有害なる誘に引かれ、毎日智慧を迷はされ、我が傷に傷を加ふる者は爾に呼ぶ、病む者の醫師よ、我を還して救ひ給へ。

昔齋して神に堅めらるるエリセイはソマンの婦の子を復活せしめたり。我等信者逸樂に殺されたる者は生を施す齋にて活かされん。

人を愛する主よ、爾は慈憐なるに由りて、昔涙と齋とを以て痛悔せしニネワィヤ人を救ひ給へり。我等爾に奉る行を有たざる者を爾の仁慈を以て宥め給へ。』

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 692]---------------------

生神女讃詞、産の後に不朽に止まりし純潔無なる者よ、祈る、我等爾の諸僕を朽壞より救ひ給へ、蓋我等は靈の一意を以て熱切に歌ふ、主の造物は主を崇め讃めよ。

   又、イルモス、「世界の造成主、ヘルワィムの爲に畏るべく」。

 

我等信者は節制の目標を有ちて、神の助を以て勇ましく聖なる前途を趨りて、榮冠を受けん。

ハリストスよ、我が多病なる靈の結果なきを見て、復忍びて、夫の詛はれたる無花果樹の如く我を斫る勿れ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃詞、一元の三者及び三位の惟一者、父、子、聖神よ、爾を歌頌する者を凡の誘惑と災禍より救ひ給へ。

生神女讃詞、神の山よ、慶べ、常に光明なる燈よ、慶べ、新なる天よ、慶べ、輝ける智慧よ、慶べ、主の殿よ、慶べ、讃美たる者よ、慶べ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、我爾の畏るべき審判を思ひて、畏れ慄きて呼ぶ、無量なる大仁慈を有つ主よ、我不當の者を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 693]---------------------

  我等主を讚め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、世界の造成主、ヘルワィムの爲に畏るべく、セラフィムの爲に奇異なる主を、司祭等と諸僕と諸義人の靈よ、歌ひ、崇め、世世に彼を讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「神に適ふ新なる奇蹟や」。

齋の恩寵は今神聖なる爵に傷感を盈てて、衆信者を集めて呼ぶ、喜を以て來り樂しみ、諸慾の醉を斥けよ、將來の慰を得ん爲なり。

審判は邇し、靈よ、醒せよ、良心を以て慮れ、善を行へ、爾を常に定罪せられざる者として守れ。蓋若し我等此處に在りて己を糺さば、彼處に、罪ある者が證者を要せずして定罪せらるる處に於て、敢て定罪せられざらん。

首領、能力、寶座、セラフィム、主制、權柄、ヘルワィム、天使、天使首よ、神に祈りて、我等が其旨に適ふ事を行ひて、齋の時を過ぐるを求め給へ、我等が主を悦ばせし僕として光榮を得ん爲なり。

生神女讃詞、ハリストスよ、爾を生みし童貞女が諸致命者、預言者、衆克肖者と偕に、我等、爾獨仁愛なる主宰、天軍の戰く主を怒らせたる諸僕の爲に常に祈るを納れ給へ。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 694]---------------------

   又、イルモス、「性に超えて母性に順ひて童貞女」。

我等齋の穏なる海を神の吹嘘に由りて渡りて、ハリストスの苦の港に到るを祈らん。

我ハナアンの婦に效ひて爾に呼ぶ、ダワィドの子神よ、我を憐みて、彼の女の如く、吾が弱りたる靈を醫し給へ。

三者讃詞、我等は神性の惟一にして、本質の三位なる神、父、子、聖神を歌頌せん。』

生神女讃詞、測り難き言を種なく孕みて、其身を取りたるを生みし童貞女よ、彼に我等の靈の救はれんことを切に祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

税吏を義と爲しし主よ、我を潔め給へ、蓋我呼ぶ、萬衆の審判者よ、我罪人をも憐みて、我が諸罪を赦し給へ。

イルモス、性に超えて母、性に順ひて童貞女、女の中に獨祝讃せらるる者を、我等信者は歌を以て生神女として崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次、第八調。

萬有の主宰よ、我は盗賊に遇ひし人に似たる者と爲りて、我が諸罪に陷りて、

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 695]---------------------

此等より無慙に傷つけられたり。祈る、我を醫さるるなく棄つる勿れ、サマリヤよりするにあらずして、至淨なる童貞女より來りしイイスス、救の名よ、我を憐み給へ。

致命者讃詞、聖なる者よ、我等何を以てか爾等を稱せん、ヘルワィムとせんか、ハリストス爾等の上に息ひたればなり、セラフィムとせんか、爾等絶えず彼を讃榮したればなり、天使とせんか、爾等肉體を捨てたればなり、能力とせんか、爾等奇跡を行へばなり。爾等の名は多く、恩賜は更に多し。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、恩寵を蒙れる者、聘女ならぬ母よ、天の者は爾を歌ひ我等も爾の究め難き産を崇め讃む。生神女よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

         ~~~~~~

 

 

   第六時課に預言の讃詞、第三調。

我等の不法は起きて我等を攻むるに因りて、主よ、起きて我等を援け給へ、蓋爾は我等の父なり、爾の外に我等他の者を知らず。

 

   提綱、第八十三聖詠、第四調。

---------------------[大齋第五週間月曜日 第六時課 696]---------------------

萬軍の主よ、爾の住所は何ぞ愛すべき。句、我が靈は厚く慕ひて主の庭を望む。

 

   イサイヤの預言書の讀。第三十七、三十八章。

主はアッシリヤ王の事に付きて是くの如く言ふ、彼は斯の城に入らず、斯に矢を發たず、干を執りて之に就かず、壘を築きて之を攻めざらん、彼は其來りし路より歸りて、斯の城に入らざらん、主之を言ふ。我斯の邑を衛りて、己の爲及び我が僕ダワィドの爲の故に之を救はんと。是に於て主の使出でて、アッシリヤの陣營の中に十八萬五千人を殺せり。夙に興きて之を視れば、皆屍と爲れり。アッシリヤの王センナヘリム退きて、行き歸りてニネワィヤに居りたり。一日彼己の神ナサラフの廟に禮拜せるに、彼の子アドラメレフとサラサルと劍を以て彼を殺し、自らアララトの地に逃げたり。彼の子、アソルダン繼ぎて王と爲れり。彼の日エゼキヤ病みて死せんとせり。アモスの子、預言者イサイヤ來りて彼に謂へり、主是くの如く言ふ、爾の家に遺命せよ、蓋爾死して生きざらん。其時エゼキヤ面を壁に向けて、主に祈りて曰へり、嗚呼主よ、求む、我爾の前に眞實を以て、全き心を以て行き、爾が視て善と爲す所を行ひしを記憶せよ。是に於てエゼキヤ大に哭けり、主の言イサイヤに臨みて曰へり、往きてエゼキヤに謂へ、爾の祖ダワィドの主神は是くの如く言ふ、我爾の祈りを聽き、爾の涙を見たり、視よ、我爾の日に十五年を加へ、且爾及

---------------------[大齋第五週間月曜日 第六時課 697]---------------------

び斯の城をアッシリヤ王の手より救ひて、斯の城を衛らん。

 

   提綱、第八十四聖詠、第八調、

主よ、爾の憐を我等に顯し、爾の救を我等に施し給へ、句、主よ、爾は已に憐を爾の地に施し、イアコフの俘を歸せり。

 

【注意】

大規程の木曜日の「カフィズマ」の事を知るべし、比の三「カフィズマ」は木曜日に略して預之を讀むべし、以下各其示されたる所に於て之を讀め。

           ~~~~~~

 

 

  第五週間の月曜日の晩課

 

第十八「カフィズマ」「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、聖詠經の順序の「カフィズマ」、第十のを誦す。

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて左の三章、及び月課經の三章を歌ふ。

   三歌經の讃頌、イオシフ師の作、第三調。

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 698]---------------------

我等が敢て亡ぶるなく反正して生きん爲に、我等に齋の時を賜ひし神の言ハリストスよ、我等衆に善く爾の喜に適ひて、篤き傷感を以て爾に奉事するを得しめ給へ、昔彼の善智なる尊き淫婦、香料と熱き涙の流とを以て諸罪の赦を得たる者の如し。

我瞽者の如く心より爾に呼ぶ、神の子よ、我が心の目を啓き給へ。信なるハナネヤの如く爾に呼ぶ、洪恩なる主よ、我を憐み給へ、蓋我甚しく逸樂を疾める靈を有つ、之を諸慾の幽暗より還して、今より潔く生くるを得しめ給へ、我が爾の大なる慈憐を讃榮せん爲なり。

又、フェオドル師の作、第八調。

今日我等に節制の光明なる恩寵は日よりも明に輝きて、吾が靈を照し、罪惡の諸慾を雲の如く拂ふ。故に我等皆趨り附きて、敬みて之を承け、喜びて其神聖なる途を徃き、其樂に飽かせられてハリストスに呼ばん、仁慈なる主よ、熱信に之を行ふ者を聖にし給へ。

   又月課經の三。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第八十五聖詠、第四調。

主よ、我を爾の路に導き給へ、然せば我爾の眞理に行かん、句、主よ、爾の耳を傾

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 699]---------------------

けて我に聽き給へ。

   創世記の讀。第十三章。

アウラムはハナアンの地に居り、ロトは近傍の邑に居りて、ソドムに幕を張れり。ソドムの人人は惡しくして、神の前に大なる罪人たりき。ロトのアウラムに別れし後、神アウラムに謂へり、爾の目を擧げて、爾の今居る處より北、南、東、海を觀よ、蓋凡そ爾が觀る所の地は、我之を永く爾及び爾の後裔に與へん、且我爾の後裔を地の沙の如く爲さん、若し人地の沙を數ふるを得ば、爾の後裔も數へられん、起ちて、縱横に斯の地を巡れ、蓋我之を永く爾及び爾の後裔に與へん、アウラムは幕を徙して、來りてヘウロンのマムブリイの橡の樹の傍に居たり、彼處に在りて主の爲に祭壇を築けり。

 

   提綱、第八十六聖詠、第四調。

主はシオンの門を愛すること、イアコフの悉くの住所に愈れり。句、彼の基は聖山に在り。

    箴言の讀。第十四、十五章。

主を畏るる寅畏は生命の泉より、死の罟より脱れしむ。民の多きは王の榮なり、民の寡なきは君主の禍なり。怒を遅くする者は多くの知識あり、氣の短き者は愚

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 700]---------------------

なることを顯す。温柔なる心は身の生命なり、娟嫉は骨の腐なり。貧しき者を虐ぐる人は其造成主を侮る、彼を敬ふ人は貧しき者を憐む。惡者は其惡の爲に棄てられん、義者は其死の時にも望あり。智慧は哲者の心に止まり、愚なる者の間にも己を顯す。義は國を高くし、不法は民を辱しむ。智なる僕は王の恩を蒙り、辱を來す者は其怒に遇ふ。怒は智者をも亡す。婉なる答は憤を止め、厲しき言は怒を激す。智慧ある者の舌は善き知識を施し、愚なる者の口は愚を吐く。主の目は何處にも在りて、惡人と善人と鑒みる。温柔なる舌は生命の樹なり、勒なき舌は靈の傷なり。

 

   挿句に自調、第七調。一次。

盗賊に遇ひし者の傷つけられし如く、斯く我諸罪に陷りしに由りて、我が靈は傷つけられたり。我誰にか趨り附きて醫さるるを得ん、唯爾靈と體との醫師にのみ、神よ、爾の大なる憐を我に沃ぎ給へ。

   又、自調、第四調。一次。

我等は始の犯罪に迷はされて、樂園の甘味と樂より恥づべき生命に引かれたり。蓋盗賊に遇ひし如く、罪過に由りて諸徳の尊くして譽むべき行を剥がれ、爾の救の敎に背きて、半死の者と爲れり。然れども爾、マリヤより現れて、苦に

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 701]---------------------

與らざる者にして己を苦に付しし主宰に祈る、我が罪に由りて成りたる傷を裹みて、爾の無量の慈憐、爾の醫治の慮を我等に沃ぎ給へ、爾は人を愛する主なればなり。

致命者讃詞、聖なる致命者の忍耐を受けし仁愛の主よ、我等よりも歌詠を受けて、彼等の祈に因りて我等に大なる憐を與へ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、讃美たる生神女よ、爾の諸僕を悉くの禍より護り給へ、我等が爾我が靈の倚頼を讃榮せん爲なり。

 

             ~~~~~~~

 

 

  第五週間の火曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

次に第十一、十二、十三の「カフィズマ」を誦す。第一の誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞二、及び生神女讃詞を誦す。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第三調。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 702]---------------------

我等は信の熱きを以て、節制に由りて不節制の慾を焚き、罪の淵を免れ、涙の流を以て永遠のを滅して呼ばん、至仁なる主よ、我等爾の前に罪を犯せり、我等を潔めて、大なる憐を賜へ。二次。

   生神女讃詞

言の神聖なる幕と爲りし獨純潔なる童貞女母、潔淨を以て諸天使に超えたる者よ、我衆人に超えて塵と爲りて、肉體の諸罪に汚れたる者を爾の祈に由りて、神聖なる水を以て潔めて、大なる憐を賜へ。

 

第三の誦文の後にフェオドル師の坐誦讃詞、第二調。

最尊き齋の恩寵は至榮なり、此を以て預言者イリヤは火の車を得、モイセイは石板を受け、ダニイルは奇異なる者と爲り、エリセイは死者を起し、少者は火を滅し、凡の人は神と親しき者と爲れり。我等は此に養はれて呼ばん、斯く行ひ給ひしハリストス我等の神は崇め讃めらる、光榮は爾に歸す。二次。

   生神女讃詞

嗚呼神の母よ、我患難の中に爾の有力なる祈を得て、望に超えて奇妙に我を攻むる者より救はる、蓋爾は熱心に爾に求むる者を圍む所の誘惑より常に急ぎて解き給ふ。故に我感謝して爾に呼ぶ、女宰童貞女よ、萬事に於て我に賜ひし扶助の爲

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 703]---------------------

に我が奉る微小なる感謝を受け給へ。

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す、第三調。

 

   第二歌頌

イルモス、天地よ、耳を傾けて、我が言を聽け、我地に於て神の奇跡を語らんとすればなり。

我等は絶えざる祈と、節制と、默想とを以て靈を神聖なる愛に飛ばさん。

我等衆不節制の崖より逃れて、節制の光と神聖なる神とに照されん。

靈よ、神聖なる諸徳の鹽を以て諸罪の腐敗を潔めて、神に就けよ。

生神女讃詞、ハリストスは獨爾恩寵を蒙れる者の中に息ひて、己の身を爾より取り給へり。

   又、第二調。イルモス、「民よ、我が神たる力の行爲」。

我等は浄き齋、祈、涙、神聖なる諸事の學習、及び其他の凡の徳を合せて、今主宰ハリストスに奉らん。

エワは木の果にて誘はれたり、吾が靈よ、見よ、若し蛇が爾に就きて逸樂の果を食はんことを勸めば、誘はるる勿れ。

三者讃詞、我惟一の神體の三位なる父、子、及び聖神、惟一の神性の權柄及び國、

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 704]---------------------

惟一の神を讃榮す。

生神女讃詞、潔き者よ、爾の産は畏るべし、蓋人と爲りし者は無原に父より生れ、末の時に夫なく爾より生れし神なり。

   我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我がハリストスよ、爾は血漏を患ふる婦を爾の衣の裾に捫るを以て醫せり。

信を以て爾の仁慈に捫る我をも諸慾より醫して、健なる者と爲し給へ。

イルモス、民よ、我が神たる力の行爲の徴に意を注ぎ、是に由りて我が萬有の惟一の神なるを識れ。

 

   第八歌頌

イルモス、「至高きに天使等より默さずして」。

兇惡者は毎日隠に我が前に網を張りて、我を執へて呑まんと欲す。イオナを鯨より救ひし救世主よ、其惡謀より我を脱れしめ給へ。

我等は齋に潔められて、諸徳の山に登らん、然らば神が我等の内に何をか言はんを明に聽かん。蓋彼は平安と光照と、靈の苦痛の醫治とを言はん。

主よ、我常に諸罪の暗に昧まされて、爾の奇跡を悟る能はず。故に光を施すイイススよ、吾が心の目を啓き給へ。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 705]---------------------

生神女讃詞、なる永貞童女よ、爾の洪恩の沃ぐを以て吾が心の慾の汚を洗ひ、我に涙の流を與へて、我が靈を潔め給へ。

   又、イルモス、「昔火の中にエウレイの少者に露を注ぎ」。

 

火は滅えず蟲は死せずと言へり、嗚呼吾が靈よ、恐嚇を畏れてハリストスに勤めよ、凡そ樂しむ者の住所のある處に喜を獲ん爲なり。

主よ、祈る、諸慾の熱に焼かるる吾が靈を爾の捫るを以て、ペトルの岳母の如く起し給へ、我が爾の旨に適ひて爾に奉事して、萬世に爾を讚美するを得ん爲なり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、我等信者は永在にして無原なる父、同無原なる子、及び同無原に父より輝きし神、一性の三位、惟一全能なる神を歌頌せん。

生神女讃詞、神の召し給ひしマリヤよ、爾は實に信者の潔浄なり、蓋爾に由りて豐に衆人に赦罪は賜はる。爾の子及び主に爾を歌ふ者の爲に絶えず祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、昔聾にして訥れる者に於てせし如く、我が靈の聾と爲りたる

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 706]---------------------

耳を啓き、我が舌を明になし給へ、我が爾の言を聞きて歌ひ、舌を以て世世に爾を崇め讃めん爲なり。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

 

イルモス、昔火の中にエウレイの少者に露を注ぎ、奇異にしてハルデヤ人を其中にきし主を歌ひて云はん、彼を祟め讃めて、世世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「我等は爾焚かれぬ棘及び聖なる童貞女」。

我等は智慧の中に滅されぬ火のを得て、熱切なる思を以て今痛悔の火に就きて、諸慾を焚かん。

昔齋する者の口の燃ゆる言は熱心より出でて、五行を動せり。靈よ、之に效ひて、善を以て生を送れ。

我が至りて不當なる靈よ、畏るべき審判を思ひて、爾の途を常に救世主の旨を行ふに向はしめよ。

生神女讃詞、光を生みし潔き者よ、逸樂の暗に昏まされたる吾が靈を照し給へ、我が愛と信とを以て常に爾を崇め讃めん爲なり。

   又、イルモス、「我等信者は、父より永遠に光れる言」。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 707]---------------------

我等は我が肢體を義の器としてハリストスに獻げ、言へる如く、潔き手を擧げて、怒なく疑なく祈を奉らん。

我がハリストスよ、爾は昔舟に門徒の前に立ちて、劇しく荒れたる海を靜めたり、我が思の暴風をも穏になし給へ。

三者讃詞、我惟一の神性に伏拜し、萬有の惟一の神の三位、父、子、及び聖神、永在の原始を歌ふ。

生神女讃詞、潔き者よ、爾は子を生み、童貞女よ、爾は乳にて養ふ、如何にして童貞と生産との二の事は一に合せられたる。神は此を爲せり、如何にと我に問ふ勿れ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我がハリストスよ、我盗賊たる諸慾にて靈の汚されたる者を醫して、盗賊の手に陷りし者に於けるが如く、爾の仁慈を我に沃ぎ給へ。

イルモス、我等信者は、父より永遠に光れる言を身にて測り難く孕みし者を、息めざる歌を以て崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次。第七調。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 708]---------------------

病める者及び失望せし者の醫師、荒らされざる港たる主よ、我が傷つけられたる卑微なる靈を顧み給へ、蓋爾は陷りし者を朽壞より起さん爲に來りし世界の救主なり。爾の大なる慈憐に由りて我俯伏する者をも起し給へ。

致命者讚詞、爾の受難者は法に戻る者の裁判場の中に歡びて呼べり、主よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、生神女讃詞、至淨なる生神女よ、我等爾を歌ひ、爾が生みし神言を讚榮して呼ぶ、光榮は爾に歸す。

   第一時課に第十四「カフィズマ」を誦す。

   第三時課に第十五「カフィズマ」、第六時課に第十六「カフィズマ」を誦す。

            ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第三調。

イアコフの神は我等の盾なり、憂の日に於て我等を扞ぎ衛る者なり。

   提綱、第八十七聖詠、第六調。

我少きより禍に遭ひ、幾ど消え亡せんとせり。句、主我が救の神よ、我晝夜爾の前に呼ぶ。

      イサイヤの預言書の讀。第四十章。

---------------------[大齋第五週間火曜日 第六時課 709]---------------------

主是くの如く言ふ、爾等神を以て誰に比べんか、如何なる像を以て彼を像らんか。偶像は工匠之を鋳、金工金を以て之を蔽ひ、銀の鎖を作りて之に着く、斯る物を供ふるを得ざる貧しき者は朽ちざる木を擇び、良匠を索めて、動くことなき偶像を造る。爾等知らざるか、爾等聞かざりしか、始より爾等に告げられざりしか、地の基より爾等悟らざりしか。彼は地球の上に坐する者なり、之に住む者は彼の前に蝗蟲の如し、彼は諸天を薄帛の如く布き、之を住ふべき幕の如く張れり。彼は侯伯を無に歸せしめ、地の審判者を虚しくならしむ。彼等僅に種えられ、僅に播かれ、其幹は僅に地に根ざししに、彼唯氣を彼等に嘘きたれば、彼等槁れて、旋風藁の如く彼等を吹き去れり。聖なる者言ふ、然らば爾等我を以て誰に比べ、誰と匹しくせん。爾等の目を諸天の高きに擧げて觀よ、誰か此等を造りたる、誰か此等の軍を數を以て曳き出す、彼は斯の衆を其名に循ひて呼ぶ、彼の能の多く、權の大なるに因りて一も缺くるなし。然らばイアコフよ、爾何ぞ言ふ、イズライリよ、爾何ぞ語る、云く、我が道は主より隱れ、我が訟は我が神より逝れりと。爾知らざるか、爾聞かざりしか、永遠なる主神、地の極を造りし者は、倦まず、疲れず、其知識は測り難し。彼は疲れたる者に力を予へ弱りたる者に強きを賜ふ。年少の者は疲れて惓み、壯年の者は

---------------------[大齋第五週間火曜日 第六時課 710]---------------------

甚衰ふ、唯主を頼む者は新なる力を獲ん。

 

   提綱、第八十八聖詠、第六調。

爾の呼聲を識る民は福なり。句、主よ、彼等は爾が顏の光の中に行かん。

   第九時課に第十八「カフィズマ」を誦す。

 

             ~~~~~~

 

 

  第五週間の火曜日の晩課

 

「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、第十九「カフィズマ」を誦す。「主よ、爾にぶ」に六句を立てて三歌經の讃頌三、及び月課經の三を歌ふ。

   三歌經の讃頌、イオシフ師の作、第八調。

 

信者よ、我等は愛を食と爲し、節制を以て諸慾を制して、我等の爲に十字架に擧げられ、戈を以て脅を刺されたる神の悦に適ひて生を送らん、永遠に更に甘美なる食を樂しみて、吾が靈の救主を讃榮せん爲なり。

我等は昔木に縁りて死を得、今は又十字架の木に縁りて生を得たり。故に信者よ、

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 711]---------------------

諸慾の動搖を殺し、萬衆の恩主の救を施す復活に至らんことを祈り、神聖なる行にて輝き、諸徳に飾られて、吾が靈の救主を讃榮せん。

   又讃頌、フェオドル師の作、第二調。

主よ、吾等は爾の生を施す十字架、及び我等の爲に爾の身に受けし聖なる苦、戈にて刺され、嘲られ、唾せられ、頬を批たれ、紫の袍と棘の冠とを着せらるるを崇め讃む、此等を以て爾は我等衆を詛より救ひ給へり。故に爾に祈る、我等に齋の時を平安に終ふるを得しめ給へ。

 

   提綱、第八十九聖詠、第四調。

主よ、爾は世世に我等の避所たり。句、山未だ生せず、爾未だ地と全世界とを造らざる先に爾は神なり。

 

   創世記の讀。第十五章。

主の言は夜異象の中にアウラムに臨みて曰へり、アウラムよ、懼るる毋れ、我爾を掩ひ護る、爾の褒賞は甚大ならん。アウラム曰へり、主宰、主よ、爾何をか我に與へん、我子なくして逝く、此のダマスクのエレアザルは我が家の宰なり。アウラム又曰へり、爾我に子を與へざりしに因りて、我が家に育へる者は我の嗣子と爲らん。主の聲直に彼に臨みて曰へり、此の者は爾の嗣子と爲らず、乃爾より出でんと

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 712]---------------------

する者は爾の嗣子と爲らん。是に於て彼を外に攜へ出して曰へり、天を仰ぎて星を數へよ、豈に之を數ふるを得んや。又曰へり、爾の子孫は是くの如くならん。アウラムは神を信ぜり、此れ彼に歸して義と爲れり。彼に謂へり、我は爾をハルデヤの地より引き出しし神なり、爾に斯の地を與へて嗣がしめん爲なり。彼曰へり、主宰、主よ、我が此を嗣がんこと、我何を以て之を知らん。主彼に謂へり、三歳の牝牛と、三歳の牝山羊と、三歳の牡羊と、山鳩及び鴿を我が爲に取れ。彼は皆此等を取りて、之を中より剖き、其剖きたる者を各相對はしめて置けり、唯鳥は剖かざりき。鷙鳥其死體の上に下る時は、アウラム之を逐へり。日の入る頃アウラム酣く睡りしが、大に暗きを覺えて懼れたり。時に主はアウラムに謂へり、爾確に知るべし、爾の子孫は他人の地に旅人と爲りて、其人人之を使ひ、之を惱し、四百年の間之を虐げん、然れども其事へたる民は、我之を鞫かん、其後彼等は多くの資産を攜へて斯の地に出でん。爾は安然として爾が先祖の所に往き、遐齢に至りて葬られん。

 

   提綱、第九十聖詠、第四調。

至上者の覆の下に居る者は、全能者の蔭の下に安ず。句、主に謂ふ、爾は我の避所なり。

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 713]---------------------

 

   箴言の讀。第十五章。

智者の唇は知識を廣む、愚者の心は是に反す。惡者の祭は主の惡む所、義者の祈は其悦ぶ所なり。惡者の途は主の惡む所、義の途を行く者は其愛する所なり。道を離るる者には嚴しき罰あり、譴責を惡む者は亡びん。地獄と沈淪とは主の目の前に在り、况や人の心をや。侮慢者は彼を誡むる者を悦ばず、智慧ある者に近づかざらん。心に樂あれば顔色喜ばしく、心に憂あれば氣塞ぐ。哲者の心は知識を求め、愚なる者の口は愚を以て糧と爲す。不幸の者の日は悉く哀し、心懽べる者は恒に宴樂に在り。些少の物を有ちて主を畏るるは、多くの寶を有ちて煩あるに勝れり。蔬菜を食ひて相愛するは、肥えたる牛を食ひて相恨むに勝れり。憤り易き人は爭を激し、怒を遅くする者は爭を止む。恒忍の人は訟を息め、惡者は愈之を起す。惰者の途は棘の籬に似たり、義者の途は平坦なり。

 

   挿句に自調、第五調、一次。

我不當の者は、爾の直き路に躓きて、諸慾に由りて坎に陷りたり、「レワィト」は司祭と偕に我を見て過ぎ去れり。唯爾は、ハリストスよ、我を憐みて、十字架の武器にて罪の書券を破り、苦なきを賜ひ、父と偕に坐する者と爲せり。故に我爾

 

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 714]---------------------

に呼ぶ、量り難き主よ、光榮は爾に歸す。

   又讃頌、第八調、一次。               

我はイエルサリムより下りて、其中に諸民の爲に録されたる爾の誡に離れ、イエリホンに適きて、其中に昔惡に縁りて爾より殺害の爲に爾の民に付されたる人民に效ひ、不順に由りて盗賊に於けるが如く靈を害する諸慾に遇ひたり。此等に傷つけられて半死の者と爲りたる我を、甘じて人の罪の爲に釘及び戈にて身に傷つけられ、イエルサリムに於て十字架を以て一般の救を成しし主よ、醫して、我を救ひ給へ。

致命者讃詞、主よ、爾の致命者は現世を忘れて苦を思はざりき、來世の生命を獲ん爲なり、故に之を嗣ぐ者と爲りて、諸天使と共に喜ぶ。彼等の祈に由りて爾の民に大なる憐を賜へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、主よ、日は爾義の日が木の上に懸かれるを見て光線を隱し、月も其光を晦冥に變ぜり、爾の至りて無なる母は心を刺されたり。

 

           ~~~~~~

 

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 715]---------------------

 

 

  第五週間の水曜日の早課

 

聖三の讃歌。

次に第二十、第一、第二の「カフィズマ」を誦す。第一の誦文の後に八調經の十字架の坐誦讚詞二、十字架生神女讃詞と共に誦す。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第八調。

アダムは不當に木の果を味ひて、不節制の苦き果を取れり、洪恩なる主よ、爾は木の上に擧げられて、彼を苦しき定罪より救ひ給へり。故に我等爾に呼ぶ、主宰よ、我等に害を爲す果を自ら禁じて、爾の旨を行ふを得しめ給へ、我等が慈憐を蒙らん爲なり。二次。

十字架生神女讃詞、至淨なる者よ、爾は潔き爾の血より身を取りて、智慧に超えて爾より生れし主が罪犯者の中に木に懸れるを見て、心を傷め、母として哭きて呼べり、鳴呼吾が子よ、此の神聖なる言ひ難き攝理は何ぞや、爾は此を以て爾の造物を活かし給へり。我爾の慈憐を歌頌す。

 

第三の誦文の後に坐誦讚詞、フェオドル師の作、第二調。

ハリストス神よ、我等は常に爾の無量なる仁慈に伏拜して、爾の至聖なる十字架

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 716]---------------------

の木を歌頌す、蓋爾は此の上に在りて敵の能力を空しくし、爾を信ずる者には之を記號として與へ給へり。故に我等感謝の心を抱きて爾に呼ぶ、衆に平安に生を送りて、敬虔に齋の時を終ふるを得しめ給へ。二次。

十字架生神女讃詞、牝羊は爾無なる牧者が木の上に擧げられしを見て、母として泣きて呼べり、子よ、恩を知らざる民は爾が其旅の時に雲を以て彼等を蔽ひしに報いて、爾を死に定めたり。哀しい哉我、夫なき者は子なき者と爲れり。求む、日よ、起きて輝き給へ、然らば我は地に生れし諸子の中に榮せられん。

 

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第八調。

   第三歌頌

イルモス、「主、天の穹蒼の至上なる造成者」。

義なる審判者よ、爾は十字架に己の手を舒べて、仇を定罪し給へり。今は、救世主よ、我放蕩にして爾恒忍なる主を悲しませ、諸罪にて定罪せられし者を救ひ給へ。

至仁なる救世主よ、我家畜の如き慾に從ふ度生を望み、爾の誡に離れて、疎く穢らはしき住民に奴隷とせられたり。今我還る者を納れて、我を救ひ給へ。』

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 717]---------------------

イイスス、獨人を愛する主よ、昔聾者の耳を啓きし如く、習慣に由りて聾者と爲りたる吾が靈の耳を啓きて、意を注ぎて救の言を聞くを得しめ給へ。

生神女讃詞、救の門、神に度る橋、「ハリスティアニン」等の轉達者、至淨なる女宰よ、度生の誘惑に圍まれて荒らさるる我を導き給へ。

   又、フェオドル師の作、第二調。

イルモス、「諸善を耕作し、諸徳を培養する神よ」。

 

ハリストスよ、爾は多くの慈憐に因りて十字架に升りて、我を諸慾の坎より引き出して、天に升せ給へり。

ハリストスよ爾は十字架に己の手を舒べて、爾に離れたる衆民を抱きて、爾の權柄の下に立たしめ給へり。

三者讃詞、三位の惟一者、永在なる三者、惟一の神性、父、子、及び義なる神よ、爾を尊む者を救ひ給へ。

生神女讃詞、母童貞女よ、地上の者は誰か宜しきに合ひて爾を讃美するを得ん、蓋爾は女の中に獨選ばれて、至福なる者と現れ給へり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイススよ不順に由りて爾を悲しませし我の爲に爾は十字架に擧げられ、

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 718]---------------------

脅を刺され、膽を嘗め給へり。

イルモス、諸善を耕作し、諸徳て培養する神よ、爾の慈憐に因りて、實を結ばざる我が智慧を實を結ぶ者と顯し給へ。

 

   第八歌頌

イルモス、「ハルデヤの窘迫者は怒に堪へずして」。

十字架に爾の首を俯して、甘じて眠り、罪の暗を散じたる義の光なるハリストスよ、我放心の坐睡に己を委ね、逸樂の慾の床に臥して寢ぬる者に眠らざる目を注ぎて、我を宥め給へ。

我洗禮に由りて富を爲す恩賜に飾られたる者は不當にして惡事の貧しきを好み、諸徳に疏くなりて、遠く惡の地に離れたり。求む、救世主よ、還して我を納れて、爾の十字架を以て萬世に護り給へ。

靈よ、諸慾の醉を退け、齋を以て潔を爲す涙の酒、心を樂しませ、逸樂を枯らし、肉慾のを滅す者を得よ。爾の爲に木の上に釘せられしハリストスと偕に釘せらるるを務めよ、然らば世世に活きん。

生神女讃詞、純潔なる神の母よ、吾が靈の傷及び罪の汚を爾の産の脅より注がるる泉を以て洗ひ、其流にて潔め給へ、我爾に呼び、爾に趨り附き、爾恩寵を

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 719]---------------------

蒙れる者に求むればなり。

   又、イルモス、「諸天に於て天使の聲を以て」。

 

身にては十字架に釘せられ、神性にては苦を受けざりしイイススを、諸天使及び我等地に生るる者は萬世に歌ふ。

ハリストスよ、爾は十字架に釘せられ、詛に當る恥づべき死を受けて、我等を朽壞より脱れしめて救ひ給へり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

鳴呼三者、聖、聖、聖なる惟一の神性、無原にして單一なる萬衆の不可思議なる神よ、我ヘルワィムの如く爾を歌ふ。

生神女讃詞、潔き者よ、萬族は爾に讃美を奉りて、欣ばしく爾を尊む、蓋爾は造成主を生み給へり、鳴呼畏るべき奇跡、至福なる産や。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾は一の事の爲に悉くの苦を忍び給へり、是れ我を救はん爲なり。我爾の十字架と、釘と、屠宰とを萬世に歌ふ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、諸天に於て天使の聲を以て讃榮せらるる神を、我等地に生るる者は

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 720]---------------------

崇め讚めて、萬世に歌はん。

 

   第九歌頌

イルモス、「天は懼れ、地の極は驚けり」。

萬有の王よ、爾本性にて苦に與らざる者が甘じて苦を受け、十字架に舒べられしを見て、日は其光線を隱し、全地は震ひて動けり。故に我爾に祈る、ハリストスよ、醫師として、我が靈の苦を醫し給へ。

我救の道を棄てて、地獄に送る途を行く、逸樂の深き暗、諸慾の攻撃、誘惑の暴風は我を繞る。故に我爾に祈る、ハリストスよ、獨大仁慈なる主として、爾の十字架を以て我を救ひ給へ。

我誘惑の暴風に圍まれ、諸慾の激浪に溺らされ、逸樂の颶風に劇しく打たるる者は齋の穏にして靜なる海に至れり。洪恩なる主よ、爾の十字架を以て我を其中に導きて、救に向はしめ給へ。

生神女讃詞、童貞女よ、爾は種なく、肉體の望なくして、萬有を造りし神の言を孕み、童貞を失はず、母の産苦を知らずして生み給へり。故に我等舌と心とを以て爾を生神女と承け認めて、崇め讃む。

   又、イルモス「無なる生神女よ、我等は神聖なる火」。

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 721]---------------------

我が救世主よ、爾は甘じて十字架に釘せらるるを忍び給へり、衆人を死より救ひて、之に生命を賜はん爲なり。

我は木に縁りて殺され、十字架の木に縁りて活かされたり、蓋吾がハリストスは之に釘せられて、我が敵を殺し給へり。

三者讃詞、我等父と偕に在る子、及び彼等と分れざる聖神に一意に伏拜す。』

生神女讃詞、至榮なる奇跡、驚くべき聲聞や、潔き者よ、如何ぞ爾は童貞女としを生み、母として童貞を守りたる。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイスス神よ、我爾の戈を歌ひ、爾の釘、海絨と、葦と、十字架とを歌頌す、蓋爾は此等を以て我を救ひ給へり。

イルモス、なる生神女よ、我等は神聖なる火に焚かれざりし爾の童貞を崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に自調、第三調。

我が靈よ、爾は諸徳の高きを棄てて、罪の深處に下り、兇惡なる盜賊に遇ひて、惡臭の傷に蔽はれ、倒されて、扶助なくして臥す。故に爾の爲に十字架に釘せら

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 722]---------------------

れて、甘じて傷を受けしハリストス神に呼べ、主よ、我の爲に慮りて、我を救ひ給へ。

又、第八調、主よ、我不當の者は盗賊の思に傷つけられて、死するばかりになれり、預言者の會は我が死するばかりになりて、人の術を以て醫されぬを見て去れり。故に我痛く病みて、謙卑の心を以て爾に呼ぶ、ハリストス神よ、慈憐の主として、爾の大なる憐を我に注ぎ給へ。

致命者讃詞、勝たれぬハリストスの致命者よ、爾等は苦しむる者の恐嚇を畏れずして、苦を以て樂と爲し、十字架の力を以て迷に勝ちて、永遠の生命の恩寵を受けたり。今爾等の血は我等の靈の爲に醫治と爲れり。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、言よ、純潔なる者は爾が身にて木の上に懸れるを見て、心刺され、泣きて呼べり、我が至愛なるイイスス、吾が子及び主よ、爾何處にか往く、ハリストスよ、我爾を生みし者を獨遺す勿れ。

第一時課に第三「カフィズマ」、第三時課に第四、第六時課に第五を誦す。

             ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第一調。

---------------------[大齋第五週間水曜日 第六時課 723]---------------------

主よ、爾の爲に苦を受けし諸聖人の苦難に因りて、我等の諸の病を醫し給へ。人を愛する主よ、爾に祈る。

   提綱、第九十一聖詠、第四調。

至上者よ、主を讃榮し、爾の名に歌ふは美なる哉。句、爾の憐を朝に宣べ、爾の眞を夜に宣ぶるは美なる哉。

 

   イサイヤの預言書の讀。第四十一章。

主是くの如く言う、我は始の主なり、終にも我同一の主なり。州島は見て懼れ、地の極は慄けり。彼等は近づきて集まり、各其隣を助け、其兄弟に謂ふ、勇めよ、彫刻師は金工を勵まし、鎚を以て平ぐる者は鐵碪を打つ者を勵まして、鑞著の事を言ふ、此れ善しと、且釘を以て堅くして、動くことなからしむ。然れども爾我が僕イズライリ、我が選びたるイアコフ、我が友たるアウラアムの裔よ、爾我が地の極より執り、其端より召して、爾は我の僕、我爾を選べり、爾を棄てざらんと言はれし者よ、懼れる毋れ、蓋我爾と偕にす、驚く毋れ、蓋我は爾の神なり、我爾を堅め、爾を助け、我が義の右の手を以て爾を支へん。視よ、爾に向ひて怒る者は皆恥を得、辱を蒙り、爾と爭ふ者は無きが如くなりて亡びん。爾彼等を尋ぬとも、彼等爾に仇する者に遇はざらん、爾と戰ふ者は無きが如く、全く無

---------------------[大齋第五週間水曜日 第六時課 724]---------------------

きが如くならん、蓋我主爾の神は爾の右の手を執りて爾に謂ふ、懼るる毋れ、我爾を助く。蟲なるイアコフ、人少きイズライリよ、懼るる毋れ、我爾を助く、主爾の贖罪者、イズライリの聖なる者之を言ふ。

   提綱、第九十二聖詠、第六調。

主は王たり、彼は威嚴を衣たり。句、主は能力を衣、又之を帯にせり。

 

   第九時課に第六「カフィズマ」を誦す。

         ~~~~~~

 

 

  第五週間の水曜日の晩課

 

「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、第七「カフィズマ」を誦す。

「主よ、爾にぶ」に自調の讃頌を誦す、二次。

諸句を「不虔者は己の網に罹り」の次句より始む。

第八調、我不當の者は我が思を以て盜賊に遇ひ、智慧をにせられて、甚しく傷つけられ、靈全く病み、諸徳を剥がれて生命の途に臥す。司祭は我が傷に惱みて

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 725]---------------------

醫されぬを見て、我を顧みざりき、「レワィト」も亦靈を害する病に忍びず、我を見て過ぎ去れり。爾ハリストス神、サマリヤよりするにあらずして、マリヤより身を取ることを嘉せし主よ、爾の仁愛を以て我に醫治を施して、爾の大なる憐を我に沃ぎ給へ。

句、我が聲を以て主にび、我が聲を以て主にり、

   復同上

句、我がを其前に注ぎ、我が憂を其前に顯せり。

致命者讃詞、如何なる徳、如何なる譽も、之を聖者に歸すべし。蓋彼等は爾天を傾けて降りし者の爲に己の首を劍の下に傾け、爾己をして僕の形を受けし者の爲に其血を流し、爾の謙遜に效ひて、死に至るまで降れり。神よ、彼等の祈に因りて、爾が惠の多きを以て我等を憐み給へ。

句、我が靈我の衷に弱りし時、爾は我の途を知れり。

 

   又讃頌、イオシフ師の作、第八調。

主よ、爾は己の聖なる門徒を靈智なる天と顯し給へり。彼等の聖にせられし轉達に由りて、我を地の諸惡より脱れしめ、節制に由りて常に我が良心の思を爾の苦に上せ給へ、爾は洪恩にして人を愛する主なればなり。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 726]---------------------

句、我が行く路に於て、彼等は竊に我が爲に網を設けたり。

我等皆齋の時を神聖なる行を助くる者と有ちて、全心を以て泣きて救世主に呼ばん、大仁慈なる主よ、爾の門徒に由りて、愛を以て爾を歌ふ者を救ひ給へ、爾は洪恩にして人を愛する主なればなり。

 

   又讃頌、フェオドル師の作、同調。

句、我右に目を注ぐに、一人も我を認むる者なし、

至りて讃美たる使徒、世界の祈者、病める者の醫師、壯健の守護者よ、我等齋の時を過ぐる者を何の法を以ても護り給へ、我等皆互に神聖なる和平を保ち、諸慾に智慧を擾さるるなく守りて、復活せしハリストスを勝利者と歌ひて、崇め讃めん爲なり。

 

又、大規程の讃頌、、グレチヤの「アルファワィト」(國字)に循ひて二十四章に分つ。クリトのアンドレイ師の作、第四調。

句、我に遁るる所なく、我が靈を顧る者なし。

我吾が一生を淫婦及び税吏と偕に費せり、我が犯しし諸罪の爲に年老ゆるに及びても猶痛悔するを得んか。萬有の造成主、病む者の醫師たる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 727]---------------------

 

   句毎に三拜を爲す。

句、主よ、我爾に呼びて云へり、爾は我の避所なり、生ける者の地に於て我の分なり。

我は甚しき怠惰に耽り、泥に伏し、ワェリアルの矢に射られ、我の内にある神の像に循ひて造られし者を汚す。怠慢者を起し、罪を犯しし者を援くる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我がぶを聽き給へ、我甚弱りたればなり。

我地上の者として地の事をのみ耕作して、人人の躓と爲れり、爾の命に由りて婚配を爲したれども、罪を以て吾が榻を汚せり。土より我を造りし者よ、爾の造物を棄つる勿れ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我を迫害する者より救ひ給へ、彼等は我より強ければなり。

我は吾が肉體の事を慮りて、吾が靈を殺す者と爲れり、逸樂と諸の不當なる事とに役して、惡鬼の嘲弄と立てられたり。惡鬼を逐ふ者よ、爾の慈憐を以て我を宥め給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讃榮せしめ給へ。

我、縱に衆に超えて罪を犯せり、故に棄てられたり、我は肉體の思を吾が靈

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 728]---------------------

に敵する者として有つ、此れ我を昏ます。幽暗に居る者の光、迷ふ者の嚮導師たる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。

預言者は言へり、主よ、吾が靈は生きて、爾を讃め揚げん、我迷ひし羊を尋ねて、爾の牧群に合せ給へ。我に痛悔の時を與へよ、我が歎息して爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。

ハリストス神よ、我爾の命に背きて罪を犯し、罪を犯せり。恩主よ、我に慈憐を垂れ給へ、我が内心の眼を開き、幽暗を逃れて、畏を以て呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、願はくは爾の耳は我がの聲を聽き納れん。

野獸は我を圍めり、主宰よ、此等より我を脱れしめ給へ。蓋爾は衆人が救を得、及び眞實を知るに至らんことを欲す、造成主として衆人と共に我をも救ひ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。

 

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 729]---------------------

 

恩主よ、我が爲に醫治と爲り給へ、我が贖罪主及び救主よ、我を退くる毋れ。我が不法の中に臥すを見て、全能者として我を起し給へ、我も我が歌を奉りて爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。

我無知の僕として、我に與へられたる「タラント」を藏して、地に埋めたり、故に不當なる者として定罪せられて、是より敢て爾に求むるを得ず。惡を懐はざる主として我を宥め給へ、我も呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

血漏を患ふる婦の爾の裾に捫るを以て苦の池を涸らしし主よ、我疑なき信を以て爾に趨り附く者に諸罪の赦を與へ、夫の婦の如く我を納れて、吾が病を醫し給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。

言を以て天地を造りし主よ、爾寶座に坐せんに、我等皆前に立ちて、爾に我が諸罪を告げん、彼の日の前に我を痛悔する者として納れ給へ。主よ、我が終まで亡びざ

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 730]---------------------

る先に我を救ひ給へ。

句、萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讃めよ。

惟一の救世主よ、慈憐の眼を以て顧みて、我に仁慈を垂れ、我が貧しき不當なる靈に醫治の流を賜ひて、之を我が行爲の汚より洗ひ給へ、我が歌はん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。

洪恩なる主よ、ワェリアルは我が卑微なる靈を執へんと謀りて、劍を備へ、我を爾の顔を知る知識の光照に疎き者と爲せり。能力の堅固なる者よ、我を其器の中より奪ひ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。』

我は律法と神聖なる書とを遺てて、全く諸慾に服役せり。我の爲に我に肖たる者と爲りし至善なる恩主よ、我を全く醫し給へ、諸慾を滅す洪恩なる者よ、我を反正せしめ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮にき足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とにき足れり。

 

 

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 731]---------------------

淫婦は涙を以て爾の至淨至尊なる足を濕して、衆に、趨り附きて己の諸罪の赦を受けんことを勸む。救世主よ、我にも彼の信を與へ給へ、我が呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

 

   以下の章には左の句を附唱す。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我が爲に謙りて、肉體を以て嬰児と爲りし主よ、我弱りたる不當の者に爾の仁慈の一滴を降して、我が靈の汚を潔め給へ。ハリストスよ、我病める者を汚より滌ひて醫し給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我らの神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主宰よ、爾に趨り附きて常に爾に勤めん爲に吾が靈を堅め給へ、蓋爾は我の帲幪と、守護と、避所、及び扶助なり。神の言よ、我に勇ましく爾に呼ぶを得しめ給へ、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイスス救世主及び仁慈なる神よ、我等の爲に壞られぬ墻と爲り給へ、蓋我等は誘はれて風習と行とを以て墮落せり。求む、恩主として爾の造物を起し、洪恩なる主として我等と和らぎ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 732]---------------------

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮に爾に歸す。

我は富を費しし蕩子と爲りて、今饑に苦しみて、爾の庇の下に趨り附く。仁慈なる父よ、彼の蕩子の如く我を納れて、筵に與るを得しめ給へ、我が爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

惡の魁は猜忌に因りて始めて造られし者より樂園を奪へり、木に懸れる盗賊は、我を憶ひ給へと言ひて、樂園を得たり。我も信と畏とを以て我を憶ひ給へと爾に呼ぶ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

神よ、ペトルに於けるが如く、我に手を舒べて、深處より引き上げ、種なく爾を生みし純潔なる母及び爾の衆聖人の祈に由りて、我に恩寵と慈憐とを與へ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す。光榮は爾に歸す。

我の罪を任ひし羔よ、我日日に爾を歌ふ者を納れ給へ。我靈と體とを全く爾の手に付して、夜に晝に宜しきに合ひて爾に呼ぶ、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

  光榮は父と子と聖神に歸す。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 733]---------------------

鳴呼至仁にして恒忍なる主よ、爾の慈憐は宣べ難し。鳴呼無垢なる洪恩の主よ、我を爾の顏より斥くる勿れ、我も感謝の心を抱きて、喜び且歌ひて爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

今も、生神女讃詞、鳴呼言ひ難き寛容や、鳴呼驚くべき至りて奇異なる産や、鳴呼如何にして童貞女は爾造物主及び神を嬰兒として己の手に抱く。彼より甘じて身を取り給ひし恩主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

   聖入。「穏なる光」。

 

   提綱、第九十三聖詠、第四調。

仇を報ゆる神よ、主、仇を報ゆる神よ、己を顯し給へ。句、地の審判者よ、起ちて驕慢の者に報い給へ。

 

   創世記の讀。第十七章。

アウラム九十九歳の時、主はアウラムに現れて之に謂へり、我は爾の神なり、爾我の悦を爲して、無なれ、我我が約を我と爾との間に立てて、甚爾を増さん。アウラム其面に俯伏せり。神又彼に告げて曰へり、我の爾と立つる約は、視よ、爾は衆くの民の父と爲らん、爾の名は是よりアウラムと呼ばれず、乃爾の名はアウ

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 734]---------------------

ラアムと爲らん、蓋我爾を衆くの民の父と爲せり、我太甚爾を殖し、諸民を爾より起さん、諸王は爾より出でん、我は我が約を我と爾及び爾の後の世世の子孫との間に立てて、永遠の約と爲さん、我は爾及び爾の後の子孫の神と爲らん、我は爾及び爾の後の子孫に此の爾が寓れる地、ハナアンの全地を與へて、永遠の業と爲さん、而して我は彼等の神と爲らん。神又アウラアムに謂へり、爾及び爾の後の世世の子孫は我が約を守るべし。

 

   提綱、第九十五聖詠、第四調。

新なる歌を主に歌へ。句、主に歌ひて其名を崇め讃めよ。

 

   箴言の讀。第十五、第十六章。

智慧ある子は父を悦ばせ、愚なる人は其母を藐ず。愚なる者の徑は智慧乏し、哲者は直き途を行く。相議ることあらざれば謀破る、議者衆ければ謀成る。人は其口の答に由りて喜樂を得、言を出して時に適ふは如何に善からずや。智者の生命の道は上に向ふ、下に在る地獄を避けん爲なり。驕る者の家は主之を毀ち、寡婦の地界を建てん。惡者の謀は主の惡む所、潔き者の言は其嘉する所なり。利を貪る者は其家を擾し、賄を惡む者は生きん。義者の心は答ふべきことを考へ、

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 735]---------------------

不虔者の口は惡を吐く。義者の途は主の悦ぶ所なり、之に由りて敵も親友と爲る。主は惡者より遠し、義者の祈を聽く。善を見る目は心を悦ばせ、嘉き音は骨を潤す。生命の敎誨を聽かんと欲する耳は智慧ある者の間に駐まる。誡命を棄つる者は己の靈を藐じ、譴責を聽く者は聰明を得。主を畏るる寅畏は智慧を敎ふ、謙卑は尊榮に先だつ。心に謀るは人に在り、舌の答は主に屬す。人の途は其目の前に悉く潔し、惟主は靈を量る。爾の作爲を主に託せよ、然らば爾の謀る所成らん。主は一切を己の爲に造れり、不虔者は惡しき日に滅びん。心の驕れる者は皆主の惡む所なり、手に手を執ると雖罰を免るるを得ず。善き途の始は義を行ふに在り、此れ神の悦ぶ所にして、祭を獻ぐるに勝れり。主を尋ぬる者は義と共に知識を得、誠に彼を尋ぬる者は平安を得ん。矜恤と眞實とに因りて罪は潔めらる、主を畏るる寅畏は惡より離れしむ。

 

次に「願はくは我がは香爐の香の如く」、以下先備聖體禮儀を行ふこと例の如し。

 

若し先備聖體禮儀を行はずば、「主よ、爾にぶ」に三歌經の讃頌三章、及び大規程の二十四章を歌ふ。挿句に本日の自調、二次、及び致命者讃詞。光榮、今も、生神女讃詞、其他。提綱、及び喩言の誦讀。

---------------------[大齋第五週間水曜日 先備聖體禮儀 736]---------------------

晩堂小課を私室に誦す、拜なし。聖三祝文の後にアンドレイの規程の小讃詞。

 

夜半課も同じ。

        ~~~~~~

 

 

  聖齋の第五週間の木曜日の早課

 

早朝鐘を鳴らす。我等聖堂に集まりて、司祭常例の如く始む。誦經者誦す、「天の王」、聖三祝文、「天に在す」、主憐めよ、十二次。光榮、今も、來れ我等の王神に叩拜せん、其他、第十九及び二十聖詠。常例の讃詞、及び聯。其後六段の聖詠を誦す。聖詠の後に、「アリルイヤ」及び本調の聖三の讃歌を歌ふこと常例の如し。第八の「カフィズマ」一を誦す。次に八調經の坐誦讃詞。并に克肖女マリヤの傳を二分して其一を讀む。第五十聖詠を誦す。歌頌を誦文せず。直に大規程を始め、傷感の情と聲とを以て之を緩誦して、讃詞毎に小拜を爲す。

大規程、クリトの大主敎聖アンドレイの作、第六調。

   第一歌頌

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 737]---------------------

イルモス、佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讃め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。

 

附唱、神よ我を憐み、我を憐み給へ。

我が不當なる度生の行を泣くは何より始むべきか、ハリストスよ、我が今の歎は何を以て起すべきか、惟求む、爾慈憐なるに因りて、我に罪の赦を與へ給へ。

禍なる靈よ、體と偕に來りて、萬有の造成主の前に罪を認め、今より後先の無知を斥けて、痛悔の涙を神に獻げよ。

 

我誡を犯すを以て首めて造られしアダムに效ひて、我が諸罪の爲に、己が神と永遠の國と福樂より遠ざけられしを覺えたり。

哀しい哉我が禍なる靈よ、爾は何爲れぞ首めて造られしエワに肖たる者と爲りし、爾は邪に見、太しく傷つき、樹に觸れて、敢て無知の食を食へり。

見るべきエワに代へて見るべかざるエワは我の内に起れり、是れ肉慾の情なり、我に甘きを進むれども、我味ふ時常に苦きを覺ゆ。

救世主よ、アダムは爾が一の誡を守らずして、義に依りてエデムより逐はれたり、我は常に爾が生命を施す誡を犯して、何の罰を受くべきか。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 738]---------------------

我カインの殺害に逾えたり、蓋我自由に罪惡の肉體を生かし、我が惡業を以て靈を撃ちて、之を殺す者となれり。

 

イイススよ、我アワェリの義徳に傚はざりき、爾に何時も、容れらるべき獻物をも、神を悦ばす行をも、潔き祭をも、無の生命をも獻ぜざりき。

禍なる靈よ、我等もカインの如く萬有の造成主に罪惡の祭、不潔の行と不當の生命とを獻げたり、故に我等定罪せられたり。

爾は陶工の如く土を形づくりて、我に肉と骨、呼吸と生命を賜へり。鳴呼我が造成主、我が贖罪主及び審判者よ、我痛悔する者を容れ給へ。

 

救世主よ、我は我が行ひし諸罪、及び殺害を爲す心中の思が盗賊の如く我に負はせし我が靈と體との傷を爾の前に顯す。

救世主よ、我罪を犯せりと雖、爾が人を愛する者なるを知る、爾は慈憐を以て罰し、熱愛を以て憐み、泣く者を顧み、父の如く走りて放蕩の者を召す。

救世主よ、我爾が門の前に俯伏する者を老ゆる時にだにも不當の者として地獄に墮す毋れ、乃人を愛する主なるに因りて、終の前に我に諸罪の赦を與へ給へ。

我は我が思を以て盗賊に遇ひし者なり、今全身彼等に打たれて、傷に蔽はれたり。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 739]---------------------

ハリストス救世主よ、爾親ら臨みて我を醫し給へ。

司祭は我を見て過ぎ、レワィトも我が禍の中に於て裸體なるを見て遺てたり。マリヤより光りしイイススよ、爾臨みて我に憐を垂れ給へ。

衆人の罪を任ひし神の羔よ、罪の重き負を我より卸して、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。

痛悔の時至れり、我爾我が造物主に來る、罪の重き負を我より卸して、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。

救世主よ、我を諱む勿れ、爾の顏より退くる勿れ、罪の重き任を我より卸して爾が慈憐なるに因りて、我に諸罪の赦を與へ給へ。

救世主よ、我が自由と不自由なる、顯れたると隱れたる、知ると知らざる諸罪を悉く赦して、神として我を潔めて救ひ給へ。

ハリストスよ、我幼少より爾の誡に背き、生涯諸慾に耽り、怠りて世を度れり。故に救世主よ、爾に呼ぶ、終の時にだにも我を救ひ給へ。

救世主よ、我は我が富を放蕩に費して、敬虔の果を有たず、乃飢を覺えて呼ぶ、憐深き父よ、急ぎて我に憐を垂れ給へ。

イイススよ、爾に伏し拜む、我爾の前に罪を得たり、我を憐み給へ、罪の重き

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 740]---------------------

負を我より卸して、爾が慈憐なるに因りて我に感涙を與へ給へ。

全能者よ、我と訟を爲して、我が行を量り、言を糾し、思を責むる毋れ、乃爾の仁慈に因りて、我が惡事を顧みずして我を救ひ給へ。

 

又克肖なる我が母エギペトのマリヤの規程、同調、同「イルモス」。其冠詞は、克肖なるマリヤよ、爾助け給へ。

 

附唱、克肖なる母マリヤよ、我等の爲に神に祈り給へ。

マリヤよ、神の照管に由りて上より爾に降されし輝ける恩寵を我に與へ給へ、我が諸慾の闇冥を逃れて、熱心に爾が生命の美しき行實を歌はん爲なり。』

爾はハリストスの神聖なる法に服して、專之に遵へり逸樂を貪る情を斷ちて、敬虔を盡して萬徳を一の如くに行へり。

 

アンドレイに、克肖なる神父アンドレイよ、我等の爲に神に祈り給へ。

光榮なるアンドレイよ、祈る、爾の祈に由りて、我等信と愛とを以て爾を歌頌する者を恥づべき諸慾より脱れしめて、今ハリストスの國に與る者と爲し給へ。

光榮、三者讃詞、永久の三者、一性に於て伏拜せらるる者よ、罪の重き負を我より卸して、慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 741]---------------------

生神女讃詞、生神女、爾を歌ふ者の憑恃及び轉達よ、罪の重き負を我より卸して、潔き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を納れ給へ。

 

   第二歌頌

イルモス、天よ、聽け、我傳へて、童貞女より身を取りて來りしハリストスを歌はん。

天よ聽け、我傳へん、地よ、我が神の前に痛悔して、彼を歌ふ聲を納れよ。

 

神吾が救世主よ、爾が慈憐なる目を以て我を視、我が熱心なる告解を納れ給へ。

 

救世主よ、我衆人に超えて罪を犯し、我獨爾の前に罪を犯せり、然れども爾神なるに因りて、爾の造物を憐み給へ。

慈憐なる主よ、諸惡の烈風は我を繞れり、然れども爾ペトルに於けるが如く、我にも手を舒べ給へ。

 

仁慈なる者よ、我も淫婦の如く涙を流す、救世主よ、爾の慈憐に因りて我を憐み給へ。

我諸慾の樂にて靈の美しきを黯くし、我が智慧を全く塵と爲せり。

我は我が始の衣、造物主が初に我が爲に織りし者を裂けり、故に裸體にして臥す。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 742]---------------------

我は襤褸の衣、蛇が詐を以て我が爲に織りし者を着て、自ら耻づ。

我樹の美しきを見て、心惑へり、故に裸體にして臥して、自ら耻づ。

諸慾の魁は悉く我が背に耕して、我が身に其不法を植えたり。

我は始めて造られたる我が美しきと華やかなるとを失ひ、今裸體にして臥して羞づ。

罪は我より神が先に織りし衣を剥ぎて、我が爲にも裘を縫ひたり。

我は無花果の葉の如くに羞の衣を衣て、我が縱なる諸慾の標と爲せり。

我邪侈にして快樂なる度生の不潔を以て汚され、且血に塗れたる辱づべき衣を衣たり。

救世主よ、我我が肉體の衣を汚し、爾の像と肖とに因りて造られし者を緇ませり。

我諸慾の苦と物體の壞とに從へり、故に今敵は我を攻む。

救世主よ、我世物を好み、財を貪ることを無慾より重じて、今重き任に壓せらる。

我汚れたる思の彩れる衣を以て肉體の偶像を飾れり、故に定罪せらる。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課743] ---------------------

我唯外面の飾に心を盡して、神の像に依りて造られたる内幕を輕ぜり。

我諸慾の醜きを我が中に寫し、快樂を恣にして智慧の美しきを殘へり。

救世主よ、我始の像の美しきを諸慾の中に埋めたり、爾彼の「ダラフマ」の如く尋ねて之を得よ。

我淫婦の如く爾に呼ぶ、我罪を犯せり、我獨爾の前に罪を犯せり、救世主よ、我よりも香膏の如く涙を納れ給へ。

我節制なきに因りて、ダワィドの如く罪に陷りて汚れたり、救世主よ、我をも涙にて滌ひ給へ。

我税吏の如く爾に呼ぶ、救世主よ、我を憐み、我を憐み給へ、蓋アダムの子孫の中何人も我の如く爾の前に罪を犯しし者なし。

我には涙も悔も傷感もなし、救世主よ、爾親ら神として我に此を與へ給へ。』

主よ、主よ、其時爾の門を我が爲に閉す毋れ、乃我爾の前に悔ゆる者の爲に之を開き給へ。

衆人の救を望む仁愛の主よ、爾我を召して、慈憐なるに因りて、我悔ゆる者を納れ給へ。

救世主よ、我が靈の歎息を聆き、我が目の涕を納れて、我を救ひ給へ。

生神女讃詞、至浄なる生神童貞女、獨衆人に讃頌せらるる者よ、我等が救を得んことを切に祈り給へ。

   又、イルモス、見よ、見よ、我は神、昔我が一の右の手及びび力にて我が民の爲に野に「マンナ」を降らし、石より水を出しし者なり。

見よ、見よ、我は神なりと、我が靈よ、斯く呼ぶ主に聽き、先の罪に離れて、主を懼れよ、其義にして且審判者及び神なるに因りてなり。

多罪の靈よ、爾は始のカイン及び彼のラメフと等しくなりしに非ずや、蓋惡事を以て甚しく肉體を傷め、無智の情を以て智慧を殺せり。

鳴呼靈よ、爾は凡そ律法の前に在りし者を目前に置きて、シフにもエノスにも傚はざりき、移住を以てエノフにもノイにも遵はざりき、乃義人の生命に遠ざかれり。

我が靈よ、爾は獨爾が神の怒の淵を開き、地の如くに全身と業事と生命とを溺らして、救の舟の外に止まれり。

ラメフは嘆きて呼べり、我我が痍の爲に人を殺し、我が傷の爲に童子を殺せりと、然れども爾は、我が靈よ、肉體を汚し、智慧を昧まして戰かず。

噫我何ぞ古の殺人者ラメフに傚ひたる、蓋我靈を人の如くに殺し、智慧を童子

 

--------------------- [大齋第五週間木曜日 早課 745] ---------------------

 

の如くに殺せり、又殺人者カインに傚ひて、快樂の情を以て我が體を兄弟の如くに殺せり。鳴呼靈よ爾は己の慾を以て塔を建て、城を築くことを企てたり、然れども造物主は爾の謀を止め、爾の造る所を地に仆せり。

我痍つけられたり、傷はれたり、視よ、是れ我が靈と體とを射たる敵の矢なり、視よ、是の瘡と膿汁と毀傷とは我が恣なる諸慾の我を撃ちたることを證して呼ぶ。

昔主は主より火を雨らして、怒を起すソドム人の不法を焚けり、然れども爾は、靈よ、「ゲエンナ」の火を燃せり、其中に爾焚かれん。

知れよ、見よ、我は神、心を糾し、思を制し、行を責め、罪を焚き、孤と、窘しめらるる者と、貧しき者との爲に裁判を行ふ者なり。

克肖女に、マリヤよ、爾惡の淵に溺るる時爾の手を仁慈なる神に伸べたり、彼は甚爾の反正を望みて、ペトルに於けるが如く、慈憐を以て爾に其神聖なる手を授け給へり。

マリヤに、爾は先の罪の道を離れて心を盡し愛を盡して、ハリストスに趨り附き、過られぬ野に住ひ、潔淨にして其神聖なる戒を行へり。

アンドレイに、鳴呼靈よ、我等は神及び主宰の仁愛を見、之を見る、故に終の前に涙を以て彼の前に俯伏して呼ばん、救世主よ、アンドレイの祈禱に由りて我等を憐み給へ。

三者讃詞、無原にして造られざる三者、別れざる惟一者よ、我悔ゆる者を納れ、罪を犯しし者を救ひ給へ、我は爾の造物なり。祈る、我を棄つる毋れ、乃我を宥めて、永火の定罪を免れしめ給へ。

生神女讃詞、至浄なる女宰、神の母、爾に趨り附く者の憑恃、暴風に遭ふ者の湊よ、爾の祈禱を以て、慈憐なる造物主、爾の子に其慈憐を我にも垂れしめ給へ。

 

   第三歌頌

イルモス、ハリストスよ、爾が誡の動かざる石に我が意思を固め給へ。

主は昔主より火を降らして、ソドムの地を焚けり。

 

靈よ、彼のロトの如く山に遁れ、急ぎてシゴルに匿れよ。

靈よ、燄を避けよ、焚かるるソドムを避けよ、神の火に滅さるるを避けよ。

救世主よ、我爾の前に罪を認む、我罪を犯せり、爾の前に罪を犯せり、然れども爾慈憐なるに因りて、我を宥め、我を赦し給へ。

--------------------[大齋第五週間木曜日 早課  747] ---------------------

ハリストス救世主よ、我獨爾の前に罪を犯し、衆人に超えて罪を犯せり、我を棄つる勿れ。

爾は善き牧者なり、我羔なる者を尋ねよ、我迷ひし者を棄つる勿れ。

爾は慕ふべきイイスス、爾は我の造物主なり、救世主よ、我爾に依りて義とせらるるを得ん。

三者讃詞、鳴呼三者、惟一者、神よ、我等を誘惑と試惑と危難より救ひ給へ。

生神女讃詞、神を容れし腹よ、慶べ、主の寶座よ、慶べ、我が生命の母よ、慶べ。

 

   又、イルモス、主よ、爾の誡の石に我が動ける心を固め給へ、爾獨聖にして主なればなり。

我爾死を滅す者の中に生命の泉を得て、終に先ちて、我が中心より爾に呼ぶ、我罪を犯せり、我を憐みて救ひ給へ。

救世主よ、我ノイの時の放蕩の者に傚ひて、彼等が洪水に溺るる定罪を繼ぎたり。

主よ、我罪を犯せり、爾の前に罪を犯せり、我を憐み給へ、蓋人の中には我が罪過を以て逾えざりし罪人なし。

靈よ、爾彼の殺父者ハムに傚ひて、面を避けて隣の羞を蓋ふことをせざりき。』

禍なる靈よ、爾はシムの幸福を嗣がざりき、赦罪の地に於てイアフェトの如く廣き領所を得ざりき。

我が靈よ、ハルランの地たる罪より離れて、アウラアムが嗣ぎし永生の不朽を流す地に往け。

我が靈よ、爾昔アウラアムが如何に父祖の地を離れて旅人となりたるを聞けり、其決心に傚へ。

太祖はマムブリイの橡の木の下に天使等を饗應して、老年に於て契約を獲物の如くに得たり。

憫なる我が靈よ、爾はイサアクが新なる燔祭として奥密に主に獻ぜられしを知りて、其決心に傚へ。

我が靈よ、爾はイスマイルが婢より生れし者として遠ざけられしを聞けり、慎め、恐くは爾も逸樂の爲に此くの如きことに逢はん。

靈よ、爾は古のエギペトの婦アガリに傚ひ、己の心に婢となりて、新なるイスマイルたる強暴を生めり。

我が靈よ、爾はイアコフに示されたる梯、地より天に至る者を知れり、何爲れぞ無難の上升たる敬虔を擇ばざりし。

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課749] ---------------------

 

 

世上に於て人人の間にハリストスの度生を象れる、神の司祭たる獨の王に傚へ。

靈よ、爾復歸りて、鹽柱と爲る毋れ、ソドム人の例は爾を畏れしむべし、上なるシゴルに逃れよ。

我が靈よ、罪の燄をロトの如く避けよ、ソドムとゴモラを避けよ、凡そ無智の望の火を避けよ。

主よ、我爾に呼ぶ、我を憐み、爾の天使等と偕に來りて、衆人に其行に循ひて報いん時我を憐み給へ。

主宰よ、爾を崇め歌ふ者の祈を斥くる毋れ、人を愛する主よ、憐を垂れ、信じて求むる者に赦を與へ給へ。

マリヤに、母よ、我は諸罪の大風と激浪とに圍まれたり、爾今親ら我を救ひて、神聖なる痛悔の湊に送り給へ。

マリヤに、克肖なる者よ、今も熱心の祈を慈憐なる生神女に獻りて、爾の祈禱を以て我が爲に神に入る門を啓き給へ。

アンドレイに、鳴呼アンドレイ、クリトの首座たる者よ、爾の祈禱を以て我にも債の赦を賜へ、蓋爾は痛悔の至りて善なる嚮導師なり。

三者讃詞、單一にして造られざる三者、無原にして三位に歌はるる性よ、我等信を以て爾の權柄に伏拜する者を救ひ給へ。

生神女讃詞、神の母よ、爾は時の外に父より生れし子を時の内に夫なくして生めり、異なる哉奇跡や、乳を以て養ひて童貞女に止まれり。

イルモス、「主よ、爾の誡の石に」。

   坐誦讃詞、イオシフ師の作、第八調。

神聖なる燈、救世主の使徒よ、度生の幽闇に在る我等を照し給へ、我等が今晝に在るが如く、行を美しくして、節制の光に由りて暗夜の諸慾を脱れて、喜びてハリストスの光明なる苦を見ん爲なり。

   光榮、又坐誦讚詞、第八調。

神に選ばれたる十二人の使徒よ、今ハリストスに祈を奉りて、我等衆が傷感の祈禱を行ひ、熱切に諸徳を修めて、齋の途を過ぐるを求め給へ、我等が斯くしてハリストス神の光榮なる復活を見るに至りて、彼に光榮と讃美とを奉らん爲なり。

   今も、生神女讚詞。

生神女よ、智慧に超えて言ひ難く爾より生れし悟られぬ神の子及び言に使徒等と

--------------------- [大齋第五週間木曜日 早課751] ---------------------

 

偕に祈りて、全地に眞の平安を與へ、我等爾の諸僕に終の前に諸罪の赦を賜ひて無量なる仁慈に因りて天國を得しめんことを求め給へ。

 

次に三歌頌、拜を爲さず、第八調。

   第四歌頌

イルモス、主よ、我爾が攝理の祕密を聆き、爾の作爲を悟り、爾の神性を讃榮せり。

節制を以て度生せし光照せられたるハリストスの使徒は神聖なる轉達を以て我等の爲に節制の時を易からしむ。

十二絃の樂器たる門徒の神聖なる會は救贖の詠歌を歌ひて、兇惡なる歌を亂せり。

至福なる者よ、爾等は屬神の雨を以て普天下を霑して、多神の旱を退けたり。』

生神女讃詞、謙卑なる性を高くせし主を生みたる純潔なる童貞女よ、高ぶりて度生して、今謙卑と爲りたる我を救ひ給へ。

又、同調。イルモス、「主よ、我爾の風聲を聞きて」。

使徒の至尊なる會、萬有の造成主に祈る者よ、爾を讃め揚ぐる我等を憐まんことを求め給へ。

ハリストスの耕作者として神の言を以て全世界を耕作せし使徒等よ、爾等は常に彼に實を捧げ給ふ。

使徒等よ、爾等は實にハリストスの愛する葡萄園と爲れり、屬神の酒を世界に流し給へばなり。

三者讃詞、無原にして同一なる、能力の限なき聖三者、父、言、及び聖なる神、神、光、及び生命よ、爾の牧群を護り給へ。

生神女讃詞、火のの寶座よ、慶べ、輝ける光の燈臺よ、慶べ、成聖の山、生命の匱、至聖なる幕よ、慶べ。

又、イルモス、主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。

義なる審判者よ、爾の造工を斥くる毋れ、爾の造物を遺つる毋れ、蓋我獨人として衆人に超えて罪を犯したれども、爾は、人を愛する者よ、萬有の主として、罪を赦す權を有ち給ふ。

靈よ、終は近づく、近づけども爾は愼まず、己を備へず、時は蹙まる、興きよ、審判者は已に近し、門に及べり、生命の日の過ぐるは夢の如く、花の如し、我等

 

--------------------- [大齋第五週間木曜日 早課753] ---------------------

 

何爲れぞ徒に心を煩はす。

鳴呼我が靈よ、醒めよ、爾が行ひし所爲を想ひ、之を爾が目の前に立てて、爾が涙の滴を注げ、勇みて爾の行と思とをハリストスに告げて、義とせられよ。』

救世主よ、凡そ世にある罪、或は行爲、或は惡は、我思と言と希望にて與からざるなく、志を以て、意念を以て、行を以て犯ししこと衆人に超えたり。

故に我罪せらる、我禍なる者は己の良心にて定罪せらる、世界に此より嚴しきはなし。吾が審判者、贖罪者、及び明察者よ、我爾の僕を宥め、釋き、救ひ給へ。』

我が靈よ、昔太祖の大なる者が見たる梯は、行を以て登り、知識を以て上る表なり。故に行と知識と明悟とを以て住まはんと欲せば、自ら改まれ。

太祖は必要に依りて晝の暑を堪へ、夜の寒を凌ぎて、日日に利を求め、群を牧し、勞を取り、勤を盡せり、二人の妻を獲ん爲なり。

二人の妻が行と明悟の知識とを示すを知れ、リヤは多くの子ある者として行を示し、ラヒリは多くの苦勞を以て獲られし者として知識を示す、蓋靈よ、苦勞に非ずしては、行も明悟も成らず。

我が靈よ、儆醒せよ、古の太祖の大なる者の如く勇め、然らば爾行と智慧とを得、神を見る知識と爲り、明悟を以て近づき難き闇冥を貫き、大なる寶を受けん。

我が靈よ、太祖の大なる者は十二の太祖を生みて、爾の爲に行を以て登るべき梯を奥密に顯して、子を以て階級を兆し、己が此の階級に行く歩を以て上に登るを兆せり。

禍なる靈よ、爾は憎むべきイサフに傚ひて、冢子の業、始の美を以て爾の誘惑者に與へて,父の祝福を失ひ、行と智慧とを以て再蹶けり、故に今痛悔せよ。』

イサフは戀愛に耽るに因りて、「エドム」と名づけられたり、彼は常に快樂に焚かれ、邪慾に汚されて、「エドム」と稱へられたり、之を解けば罪を好む靈の燃ゆるなり。

我が靈よ、爾は塵芥の中に坐して義とせられしイオフの事を聞きて、彼の勇に傚はざりき、凡そ爾が知る所、見る所、試みる所に於て堅固なる旨を守らずして、忍耐なきを顯せり。

先に寶座に在りし者は今塵芥の中に坐し、裸體にして全身に瘡痍を被れり、多くの子を有ち、名の著れし者は俄に子なく家なき者と爲れり、彼は塵芥を其宮と爲し、瘡痍を寶石と爲せり。

王の位を有ち、榮冠と紫衣とを着し、多くの産を有し、且義にして、財寶及び

 

--------------------- [大齋第五週間木曜日 早課755] ---------------------

 

畜群に富みたる人は遽に富と榮と國とを失ひて、貧しき者と爲れり。

若し彼、衆人に超えて、義にして無玷なる人が誘惑者の惡謀と網とを避けざりしならば、爾罪を愛する不當の靈よ、虞らざること爾に及ばば何をか爲さん。

我身を汚し、靈を穢し、全體に瘡を被らざるなし、ハリストスよ、爾醫師として我が痛悔に依りて兩の者を愈し、之を洗ひ、之を淨め給へ、我が救世主よ、之を雪よりも潔き者と顯し給へ。

言よ、爾釘せられて、爾の體爾の血を祭として衆人の爲に獻じたり、體を獻ぜしは我を改めん爲なり、血を獻ぜしは我を滌はん爲なり、靈をも付せり、我を爾の父に導かん爲なり。

仁慈なる者よ、爾は救を地の中に作せり、我等の救はれん爲なり。爾は甘じて木に釘せられたり、閉されしエデムは開かれたり、上なる者と下なる者、造物と凡の救はれし諸民は爾に伏拜す。

言よ、願はくは爾の脅より出でたる血は我を洗ふ者と爲り、共に流れたる水は赦罪の飮料と爲らん、我内外淨められて、爾が生活を施す言を傳料及び飮料として、之を傳けられ、之を飮まん爲なり。

我婚宴の宮の外に在りて婚宴と晩餐とに與るを得ず、燈は油なくして熄え、我が寢れる時に宮は閉され、晩餐は畢れり、我手足を縛られて外に投げられたり。

我が救世主よ、爾が生活を施す脅は敎會の爲に爵と爲れり、此より我等の爲に二様の流は出でたり、是れ赦罪及び明智なり、舊新兩約を象れる者なり。』

我が生命の時は短くして、苦勞と惡事とに盈つ、然れども我が痛悔を納れ、我を眞理に召して、我に敵の獲物及び食と爲るを免れしめよ。救世主よ、爾親ら我を憐み給へ。

我今徒に虚しくして言は驕慢、心は強暴なり、獨慈憐にして義なる審判者よ、我をファリセイと共に罪する毋れ、乃我に税吏の謙遜を賜ひて、我を彼の列に加へ給へ。

慈憐なる者よ、我罪を犯して、我が肉體の器を汚ししを知る、然れども我が痛悔を納れ、我を眞理に召して、我に敵の獲物及び食と爲るを免れしめよ。救世主よ、爾親ら我を憐み給へ。

慈憐なる者よ、我己を偶像と爲して、諸慾を以て我が靈を害へり、然れども我が痛悔を納れ、我を眞理に召して、我に敵の獲物及び食と爲るを免れしめよ。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課757] ---------------------

救世主よ、爾親ら我を憐み給へ。

我爾の聲を聞かざりき、爾律法者の書を犯せり、然れども我が痛悔を納れ、我を眞理に召して、我に敵の獲物及び食と爲るを免れしめよ。救世主よ、爾親ら我を憐み給へ。

マリヤに、克肖なる者よ、爾は肉體に在りて肉體なき者の度生を爲して、實に神より大なる恩寵を得たり。爾は切に爾を尊む者の爲に轉達す、故に我等爾に祈る、爾の祈禱を以て、我等を諸の誘惑より救ひ給へ。

マリヤに、マリヤよ、爾は大罪の淵に陷りたれども、其中に溺れざりき、乃善心を以て、行に依りて誠に全備なる徳に升りて、大に天使等の性を驚かせり。』

アンドレイに、至福なるアンドレイ、神父等の譽、クリトの飾なる者よ,至りて神聖なる三者の前に立ちて、爾の祈禱を以て、我等熱心に爾神聖なる轉達者を呼ぶ者が苦より救はれんことを絶えず祈り給へ。

三者讃詞、我爾、同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に大なる歌、最高き居所に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。

生神女讃詞、爾は生むにも、童貞を守るにも、二ながら天性の童貞女なり、爾より生れし者は天性の法を改め、生まざる腹は生む、神の欲する所には天性の順序渝へらる、彼欲することを行へばなり。

 

   第五歌頌

イルモス、人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。

我常に我が生命を夜の中に送れり、蓋罪の夜は我が爲に闇冥と深き霧たりき、然れども救世主よ、我を顯して晝の子となし給へ。

我不當の者はルワィムの如く、至上なる神の前に不法にして道に悖ることを行ひ、我が榻を汚ししこと彼が父の榻を汚ししが如し。

ハリストス王よ、我爾の前に痛告す、我罪を犯し、昔潔浄と貞潔との結果たるイオシフを賣りし兄弟の如くに罪を犯せり。

義なる靈は親族に縛られ、愛すべき者は主を象りて奴隷に賣られたり、惟爾靈よ、自ら己を全く罪惡に賣れり。

禍なる不當の靈よ、義なるイオシフ及び其貞潔の智慧に傚ひて、己を汚す毋れ、無知なる思を以て常に不法を行ふ毋れ。

主宰よ、昔イオシフは穽に在りたれども、爾の葬と復活とを象れり、我は何

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課759] ---------------------

の時に何をか斯くの如きを爾に獻げん。

靈よ、爾は昔モイセイの置かれたる筐が宮に在る如く河の波に漾はされて、ファラオンの謀の哀しむべき迹を遁れしを聞けり。

不當なる靈よ、爾昔貞潔の例たる新生の男子を殺しし産婆の事を聞きしならば、今大なるモイセイの如く智慧を哺ふ赤子と爲れ。

不當なる靈よ、爾はエギペト人を殴ち斃しし大なるモイセイの如くに「エギペト」の智慧を殺さざりき、然らば謂ふべし、爾如何ぞ痛悔を以て慾を脱れて野に居るを得ん。

大なるモイセイは野に居りき、靈よ、爾も往きて彼の度生に傚へ、爾も棘の中に神の顯るるを見ん爲なり。

靈よ、爾海を撃ちて淵を固むるモイセイの杖を思へ、是れ神聖なる十字架の兆たりき、此を以て爾も大なる事を行ふを得べし。

アアロンは淨くして雑なき火を神に獻げたり、然れどもオフニ及びフィネエスは、靈よ、爾の如く神に疎き不潔なる度生を獻げたり

主宰よ、我頑なるに依りて頑なるファラオンの如くなれり、靈と體とに於ては我イアンニイ及びイアムブリイなり、智慧に於ては失はれし者なり、祈る、我を援け給へ。

我不當の者は我が智慧を汚せり、主宰よ、爾に祈る、我が涙の浴盤に我を滌ひて、我が肉體の衣を雪の如く白くならしめ給へ。

救世主よ、我我が行を省みる時、我罪を以て衆人に超えたるを見る、蓋我知識ありて罪を犯せり、無知に由るに非ず。

主よ、爾の造物を宥め、宥めよ、我罪を犯せり、我を赦し給へ、蓋爾は獨性の浄き者にして、爾の外に不潔ならざる者なし。

救世主よ、爾は神にして我が爲に我が形を受け、奇迹を行ひて、癩者を醫し、癱瘋者を固め、血漏の婦の爾の衣に捫るを以て、其血を止め給へり。

不當なる靈よ、血漏を患ふる婦に傚ひて、趨り附きて、ハリストスの裾に捫れ、傷より援けられて、爾の信は爾を救へりと彼より聞かん爲なり。

靈よ、僂みたる婦に傚ひ、來りてイイススの足下に俯伏せよ、彼が爾を直くして、爾正しく主の道を行くを得ん爲なり。

主宰よ、爾深き井ならば、我が爲に爾の至浄なる脅より流水を出せ。我がサマリヤの婦の如く、之を飮みて復渇かざらん爲なり、蓋爾は生命の流を出し給ふ。

 

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課761] ---------------------

主宰主よ、願はくは我が涙は我が爲にシロアムと爲らん、我が心の目を滌ひて、中心に爾永遠の光を覩ん爲なり。

マリヤに、至りて福なる者よ、爾は比なき愛を以て生命の樹に伏拜せんことを願ひて、其望の適ふを得たり、祈る、我をも上の榮を受くるに堪ふる者と爲し給へ。

マリヤに、克肖なる者よ、爾はイオルダンの流を渡りて、疾なき安息を得たり、肉體の逸樂を逃れたればなり、爾の祈禱を以て我等にも是を逃れしめ給へ。』

アンドレイに、睿智なるアンドレイよ、我爾を牧者の中に至りて善にして選ばれたる者として、大なる愛と畏とを以て祈る、爾の祈禱に由りて我に救と永遠の生命とを得しめ給へ。

三者讃詞、三者よ、我等爾惟一の神を讃榮す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖神、單一の性、永遠に伏拜せらるる惟一者や。

生神女讃詞、無玷にして夫を知らざる母童貞女よ、世世を造りし神は爾の中に於て我が靈體を衣て、人性を己に合せ給へり。

 

   第六歌頌

イルモス、我心を盡して仁慈なる神に籲べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命を淪滅より援け給へり。

救世主よ、我切に我が目の涙と中心の歎とを爾に獻げて呼ぶ、神よ、我爾の前に罪を犯せり、我に憐を垂れ給へ。

靈よ、爾はダファン及びアワィロンの如く爾の主に離れたり、然れども最深き地獄より宥め給へと呼べ、地の淵が爾を覆はざらん爲なり。

靈よ、爾は牝牛の如くに暴れて、エフレムに似たる者と爲れり、鹿の如く爾の生命を網より救ひ、行と明悟とを以て智慧の翼とせよ。

靈よ、モイセイの手は、神が如何にして能く癩病の生命を白くし潔くするを我等に信ぜしむべし、爾癩病を患ふと雖、自ら望を失ふ毋れ。

救世主よ、我が諸罪の波は紅の海の波の如く轉じて俄に我を覆へり、昔エギペト人と其騎兵とを覆ひしが如し。

靈よ、爾の望は古のイズライリの如くに無知なり、蓋爾は愚にして、諸慾の快樂に飽くことを神聖なる「マンナ」より重ぜり。

靈よ、爾はハナネイの思の井を泉ある石より重ぜり、此の泉より出づる智慧の河は器の如く神學の流を注ぐ。

我が靈よ、爾は豕の肉と釜とエギペトの糧とを天の糧より重ぜり、古の無智

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課763] ---------------------

 

なる民の野に在るが如し。

救世主よ、爾の僕モイセイは杖を以て石を撃ちて、奥密に爾が生命を施す脇を象れり、我等皆是より生命の飮料を汲む。

靈よ、イイススナワィンの如く約地を探り、其如何なるを視て、法に適ふ行を以て此の中に住所を定めよ。

起ちて、イイススがアマリクを破りしが如く、肉體の慾を破り、常にガワオンの者たる誘の思にも勝てよ。     

靈よ、昔約櫃がイオルダンを渡りし如く、性に依りて流るる時を渡りて、約地を領する者と爲れ、神之を命ず。

救世主よ、爾曾て呼びたるペトルを救ひし如く、我をも速に救ひ給へ、爾の手を舒べて、我を猛獸より脱れしめ、罪の深處より引き出し給へ。

主宰、主宰ハリストスよ、我爾を見て穏なる湊と爲す、祈る、速に我を罪と失望との渡り難き深處より脱れしめ給へ。

救世主よ、我は爾が昔失ひし王の像ある「ダラフマ」なり。言よ、燈たる爾の前驅を燃して、爾の像を尋ねて之を獲よ。

マリヤに、マリヤよ、爾は慾の燄を熄さん爲に、靈にて燃えて、常に涙の流を注げり。祈る、此の恩寵を我爾の僕にも與へ給へ。

マリヤに、母よ、爾は地上に於て高尚なる度生を以て天の無慾を得たり。故に轉達して、爾を讃め揚ぐる者に、爾の祈禱に依りて、諸慾を免るるを得しめ給へ。』

アンドレイに、アンドレイよ、我爾をクリトの牧者及び首座、又全地の祈禱者と知りて、爾に趨り附きて呼ぶ、神父よ、罪の深處より我を引き出し給へ。

三者讃詞、我は單一にして分れざる三者、位に於て分れたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖神之を言ふ。

生神女讃詞、生神女よ、爾の腹は我等の爲に我が形を受けし神を生めり、其萬有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈禱に依りて義とせらるるを得ん爲なり。

   小讃詞、第六調。

我が靈よ、我が靈よ、起きよ、何ぞ眠る、終は邇づく、爾擾れん。故に寤めよ、在らざる所なく、充たざる所なきハリストス神が爾を宥めん爲なり。

   同讃詞

惡魔はハリストスの良藥の啓かれて、是よりアダムの爲に壯健の流るるを見て、苦しみ、傷つけられ、惱める者として泣きて、己の友に呼べり、我何をかマリヤの子に

 

-------------------- [大齋第五週間木曜日 早課765] ---------------------

 

爲さん、在らざる所なく充たざる所なきワィフレエムの者は我を殺す。

 

   次に眞福詞を歌ふ、毎句一拜。第六調。

句、主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。

ハリストスよ、爾は、我を憶ひ給へと十字架に在りて爾に呼びし盗賊を樂園の住者と爲し給へり、我不當の者にも彼の痛悔を得しめ給へ。

句、神の貧しき者は福なり、天國は彼等の有なればなり。

吾が靈よ、爾は昔マノエが神の使を見て、其約せし如く、胎の荒れたる妻より果を受けしことを聞けり、彼の敬虔に傚へ。

句、泣く者は福なり、彼等慰を得んとすればなり。

靈よ、爾はサムプソンの不節制に效ひて、爾の行の尊榮を削り、逸樂に耽るに由りて、貞潔にして福たる生命を異族に付せり。

句、温柔なる者は福なり、彼等地を嗣がんとすればなり。

先に驢馬の腮骨を以て異族に勝ちし者は今淫慾の逸樂の虜と爲れり。吾が靈よ、彼に效ふことと、其行と、弱きとを逃れよ。

句、義に飢え渇く者は福なり、彼等飽くを得んとすればなり。

ワラク及びイエッファイはイズライリの軍將及び士師と選ばれたり、彼等と偕に智慧の雄拔しきデワォラあり。靈よ、此等の功勞に感激して堅固に爲れ。

句、矜恤ある者は福なり、彼等矜恤を得んとすればなり。

吾が靈よ、爾はイアイリの勇氣を知る、其昔木の杙を以てシサラを刺し殺して、イズライリの救を爲ししを聞けり、此を以て爾の爲に十字架は像らる。

句、心の清き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。

靈よ、讃美の祭として、行をイエッファイの女より更に潔き女の如く捧げよ、肉慾を祭の如く爾の主の爲に宰れ。

句、和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。

吾が靈よ、ゲデオンの羊の毛を想ひて、天よりする露を承け、犬の如く首を俯して、文の研究に由りて律法より流るる水を飮め。

句、義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。

吾が靈よ、爾は司祭イリイの定罪を受けたり、蓋彼が不法を行ふ子を得たるが如く、爾は無知に由りて己に諸慾を得たり。

句、人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。

吾が靈よ、士師時代の「レワィト」は虐待に由りて死せし其妻を十二の族に分ち

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課767] ---------------------

 

たり、ワェニアミン族の忌はしき不法を責めん爲なり。

句、喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。

睿智なるアンナは禱る時唇動きて讃美を言ひたれども、其聲は聞えざりき、然れども孕まざる者にして、祈禱に適ふ子を生みたり。

句、主よ、爾の國に來らん時我等を憶ひ給へ。

アンナの産、アルマフェマに生れて主の家に養はれたる大なるサムイルは士師に算へられたり。吾が靈よ、彼に效ひて、他の者に先だちて己の行を審けよ。』

句、主宰よ、爾の國に來らん時我等を憶ひ給へ。

ダワィドは王の位に選ばれて、王に適ふが如く角より神聖なる香料を塗られたり。故に爾は、吾が靈よ、若し上なる國を望まば、香料たる涙にて塗られよ。

句、聖なる者よ、爾の國に來らん時我等を憶ひ給へ。

仁慈なる主よ、爾の造物を憐み、爾の手の造りし者を宥め、罪を行ひし衆人、及び衆に超えて爾の戒を犯しし我をも赦し給へ。

光榮、三者讃詞、我は無原に子を生みし父に伏拜し、無原に父より生れし子を讃榮し、同無原に父より出で輝きし聖神を歌ふ。

生神女讃詞、神の母よ、我等は性に超ゆる爾の産に伏拜して、爾の嬰兒の本性の光榮を分離せず、蓋彼は一位にして二性の者と承け認めらる。

 

   第七歌頌

イルモス、列祖の神よ、我等罪を犯し、不法を行ひ、不義を爾の前に爲し、爾が我等に誡めしことを守らざりき、行はざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。

我罪を犯し、不法を行ひ、爾の誡に背けり、蓋我罪の中に生れ、且我が瘡に復痍を加へたり、然れども爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。』

我我が心の祕密を爾我が審判者の前に顯せり、我が謙を視、我が憂を視よ、我が今己を罪するを顧みて、爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。

昔サウルは其父の驢を亡ひて、是に關する音信と共に俄に國を獲たり。靈よ、愼め、己を忘れて、畜類の慾を重ずること、ハリストスの國に超ゆる毋れ。

昔神の先祖ダワィドは姦淫の矢に傷つけられ、且殘忍なる殺害の槍を用いて、二倍の罪を犯せり、然れども爾は、我が靈よ、自ら恣なる慾を疾むこと、此の行よりも甚し。

 

-------------------- [大齋第五週間木曜日 早課769] ---------------------

 

昔ダワィドは不法に不法を加へたり、蓋殺害に姦淫を合せたり、然れども彼は速に二倍の痛悔を爲せり。靈よ、爾は猶大なる罪を行ひて、未神の前に痛悔せざりき。

昔ダワィドは畫を描くが如くに歌を記し、其中に己が犯しし行を顯して呼べり、我を憐み給へ、蓋我爾獨萬有の神の前に罪を犯せり、親ら我を浄め給へ。』

約匱が車に牽かれて、牛路を失ひし時、彼のオザは惟之に觸るるに依りて神の怒を蒙れり。靈よ、爾彼の愼なきを避けて、正しく神聖なる事を恭へ。

靈よ、爾はアワェサロムが如何にして天性に背きしを聞けり、爾は其醜き行、彼が父ダワィドの榻を汚ししを知る、然れども爾自ら彼の邪慾と快樂との情に傚へり。

靈よ、爾は己の奴隷ならざる位を爾の肉體に從はしめたり、蓋爾は他のアヒトヘルを敵の中に獲て、其謀を聽けり、然れどもハリストス親ら之を敗りて、爾に救を得易からしむ。

奇異なるソロモンは智慧の恩寵に滿たさるれども、曾て神の前に惡を行ひて、彼より離れたり。靈よ、爾自ら詛はるべき生命を以て之に似たる者と爲れり。

噫智慧を愛する者は快樂の慾に惹かれて淫婦に溺れ、神に離れて汚れたり。

靈よ、爾自ら心中に耻づべき邪慾を懐きて、彼に傚へり。

靈よ、爾は父の諭を聽かざりしロワォアム、又昔の反逆者たる極惡の僕イエロワォアムに齊しき者となれり、然れども彼等に傚ふを避けて、神に呼べ、我罪を犯せり、我に憐を垂れ給へ。

我が靈よ、爾は憎むべきことを以てアハフに傚へり、噫爾は肉體の不淨の住所及び諸慾の愧づべき器と爲れり、然らば爾の深衷より歎息して、爾の罪を神に告げよ。

昔イリヤは再イエザワェリの僕役五十人を焚き、又アハフを戒めん爲に、其不潔の預言者を滅せり、然らば靈よ、愼みて斯の二人に傚ふ毋れ、乃節制せよ。』

靈よ、天は爾の爲に閉され、饑饉は神より爾に遣されたり、昔アハフに其フェスワのイリヤの言を聽かざるが爲に行はれしが如し、然らば爾サレプタの嫠に傚ひて、預言者の靈を養へ。

靈よ、爾は慾を以て偶像と爲し、益憎むべきことを行ひて、甘じてマナッシヤの罪惡を己に屬せしめたり、然らば亦切に彼の痛悔に傚ひて、傷感の情を獲よ。』

我爾に俯伏して、涙と共に我が言を爾に獻ず、我罪を犯ししこと淫婦の罪に

-------------------- [大齋第五週間木曜日 早課771] ---------------------

勝り、不法を行ひしこと地上の衆人に勝れり、然れども主宰よ、爾の造物を憐みて、我を起し給へ。

我爾の像を埋み、爾の誡を破れり、我が美麗は昏くなり、燈は慾に因りて熄えたり、然れども救世主よ、憐を垂れて、ダワィドの歌ふ如く、救の喜を我に還し給へ。

悔改し、痛告し、祕なる事を顯し、知らざる所なき神に告げよ、惟一なる救世主よ、爾は我が祕密を知る、然れどもダワィドの歌ふ如く、爾の憐に因りて、親ら我を憐み給へ。

我が日は過ぎしこと覺むる者の夢の如し、故に我エゼキヤの如く我が榻に

泣きて、我が生命の年の延べられんことを願ふ、然れども靈よ、萬有の神に非ずば、何のイサイヤか爾の前に立たん。

マリヤに、爾は至浄なる神の母に呼びて、前に甚しく暴れたる諸慾の猛烈を制し、誘を爲す敵を辱めたり。祈る、今我爾の僕にも、憂に於て助を與へ給へ。』

マリヤに、克肖者よ爾はハリストスを愛し、彼を慕ひ、彼の爲に身を捨てたり、今彼に爾の諸僕の爲に祈り給へ、彼が我等衆人に憐を垂れて、彼を尊む者に平安を賜はん爲なり。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 772]---------------------

アンドレイに、神父アンドレイよ、爾にる、爾の祈を以て我を信の石に堅めて、神を畏るる畏を以て護り、我に痛悔を與へて、我を執へんと欲する諸敵の網より脱れしめ給へ。

 

三者讃詞、單一にして分れざる一體の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌はる。靈よ、爾も三一の生命なる萬有の神を歌ひて讃め揚げよ。

生神女讃詞、神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讃め、爾に伏拜す、蓋爾は分れざる三者の一なるハリストス神を生みて、親ら我等地に居る者の爲に天の住所を開き給へり。

 

   三歌頌、第八調。

   第八歌頌

イルモス、無原なる光榮の王、天軍の戰く主を、司祭よ、歌へ、民よ、萬世に讃め揚げよ。

使徒等よ、無形の火の熾炭として、吾が物質の慾を焚きて、今我の内に神聖なる愛の望を燃し給へ。

我等は言の嘉き音の角を尊まん、之に因りて敵の堅固ならざる墻は墜ちて、神を知

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 773]---------------------

る智識の壘は堅められたり

敵の宮と柱とを壞ちし主の使徒等、聖にせられし宮なる者よ、吾が靈の慾の偶像を壞ち給へ。

生神女讃詞、潔き者よ、爾は萬性に容れられぬ者を容れ、萬有を手に持つ者を抱き、造物を養ふハリストス、生命を賜ふ主を乳にて養ひ給へり。

 

   又三歌頌、同イルモス。

聖神の建設の智慧にて全敎會を立てしハリストスの使徒等よ、其中に世世にハリストスを崇め讃めよ。

使徒等よ、爾等は敎の角を吹きて、偶像の悉くの迷を仆して、ハリストスを萬世に讃め揚ぐ。

使徒等、善なる會聚、世界の監察者、天の住者よ、常に爾等を讃め揚ぐる者を患難より救ひ給へ。

 

三者讃詞、至りて光明なる三日の神元、一光榮一寶座なる神性、萬有の造成主たる父、子、及び聖神よ、我世世に爾を歌ふ。

生神女讃詞、人人よ、我等は至尊至高の寶座たる神の母、産の後の惟一なる母及び童貞女を絶えず歌頌せん。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 774]---------------------

又、イルモス、凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讃榮し、ヘルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讃めて、萬世に讃め揚げよ。

救世主よ、我罪人を憐み給へ、我が智慧を起して正しきに反らせ、悔ゆる者を容れ、呼ぶ者に慈憐を垂れ給へ。我爾の前に罪を犯せり、我を救ひ給へ、我不法にして世を送れり、我を憐み給へ。

車に乘るイリヤは昔諸徳の車に上りて、天に擧げらるるが如く、地の一切の物より上に升れり、我が靈よ、彼の升りしことを思へ。

昔エリセイはイリヤの衣を以てイオルダンの流を左右に分てり、然れども爾我が靈よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。

昔エリセイはイリヤの衣を受けて、主より二倍の恩寵を獲たり、然れども爾我が靈よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。

昔ソマンの婦は誠の心を以て義人を饗せり、爾靈よ、他邦の者をも旅行する者をも爾の家に入れざりき、故に哀哭して婚筵の宮より逐はれん。

不當なる靈よ、爾は常にギエジイの不潔の風に傚へり、已に老ゆるに及びても彼の貪を去れ、爾の惡業を離れて、地獄の火を脱れよ。

靈よ、爾オジヤに傚ひて、彼に倍する癩病を受けたり、不當の事を思ひ、不法の

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 775]---------------------

事を行へばなり、爾に有る所を棄てて、痛悔に趨り附け。

靈よ、爾は麻を衣、灰を蒙りて、神の前に痛悔せしニネワィヤ人の事を聞けり、然れども爾は彼等に傚はずして、頑なること、凡そ律法の前及び律法の後の罪人に超えたり。

 

靈よ、爾は如何にイエレミヤが不潔のに在りて、シオン城の爲に悲しみ歎きて、涙を求めしを聞けり、彼が悲歎の生命に傚へ、然らば救を獲ん。

イオナはニネワィヤ人の悔改を預知して、ファルシスに遁れたり、蓋彼は預言者として、神の憐を知りて、預言が僞にならざらん爲に熱中せり。

靈よ、爾は如何にダニイルがに在りて猛獸の口を塞ぎしを聞けり、如何にアザリヤと偕にありし少者が信を以て爐の燃ゆる焰を滅ししを知れり。

 

靈よ、我舊約より爾の爲に悉くの例を引けり、義人が神を喜ばしむる行に傚ひ、惡人の罪を是より避けよ。

義なる審判者救世主よ、我を憐みて、審判の時に義に遵ひて定められんとする火及び罰より脱れしめ、終の前に我を赦して、我に徳行と痛悔とを與へ給へ。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 776]---------------------

我盗賊の如く爾にぶ、我を憶ひ給へ、ペトルの如く痛く哭く、税吏の如く呼ぶ、救世主よ、我を赦し給へ、罪婦の如く涕を流す、我が痛哭を納れ給へ、昔ハナアンの婦より納れしが如し。

 

救世主、惟一の醫師よ、我が卑微なる靈の朽つるを醫し、我に膏藥と油と酒、痛悔の行と傷感と涕涙とを施し給へ。

我ハナアンの婦に傚ひてダワィドの子に呼ぶ、我を憐み給へ、我其衣に捫ること血漏の婦の如く、我泣くことマルファとマリヤとのラザリの爲にせしが如し。

 

救世主よ、我香料の如く涙の器を爾の首に傾けて、憐を求むる淫婦の如く爾に呼ぶ。我祈を奉りて、赦を賜はんことを願ふ。

仁慈なる救世主よ、爾の前に罪を犯ししこと我より多き者なし、然れども我をも納れ給へ、蓋我畏れて悔い、愛を以て呼ぶ、我爾獨爾の前に罪を犯せり、憐深き者よ、我を憐み給へ。

 

救世主よ、爾の造物を宥め、牧者として亡びし者を尋ね、迷ひし者を導き、狼より奪ひて、我を爾が羊の草塲の羔と爲し給へ。

仁慈なる救世主よ、爾が審判者として坐して、爾の畏るべき光榮を顯さん時、

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 777]---------------------

鳴呼其時如何なる畏あらんか、爐は燃え、悉くの者は爾の審判座の威嚴の前に戰かん。

 

マリヤに、マリヤよ、入らざる光の母は爾を照して、諸慾の闇冥より出せり。故に爾聖神の恩寵を受けて、中心に爾を讃め揚ぐる者を照し給へ。

マリヤに、母よ、神聖なるゾシマは爾に於て實に新なる奇跡を見て、之を奇とせり、蓋肉體に於て天使を見、其心大に驚きて、ハリストスを世世に讃め歌ふ。』

アンドレイに、クリトの尊き譽なるアンドレイ、痛悔の敎師、克肖者の光榮なる者よ、祈る、主の前に勇敢を有つ者として、爾の祈に由りて我に不法の縲縛を解かるるを得しめ給へ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、無原の父、同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる神、神言の父、無原の父の言、生活にして造成する神、三者惟一者よ、我を憐み給へ。

生神女讃詞、至浄なる者よ、紅の組織を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉體は爾が腹の中に織られたり。故に我等實に爾を生神女として尊み崇む。

   我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讚めん。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 778]---------------------

   復「イルモス」を歌ふ。

   三歌頌、第八調。

   第九歌頌

イルモス、潔き童貞女よ、我等爾に依りて救はれし者は爾を實に生神女と承け認めて、無形の軍と偕に爾を崇め讃む。

救の水の泉と顯れし使徒等よ、罪の渇に由りて弱りたる吾が靈を潤し給へ。』

主よ、我淪滅の海に漾ひて、已に沈めらるる者を爾の右の手を以て、ペトルの如くに救ひ給へ。

聖なる使徒よ、爾等は救を施す敎の鹽として、我が朽ちたる智慧を醫して、我より無智の幽暗を拂ひ給へ。

生神女讃詞、女宰よ、歡喜を生みし者として、我に涕泣を與へ給へ、我が之に因りて將來の日に於て神聖なる慰を得ん爲なり。

又、イルモス、「童貞女よ、我等萬族は爾天地の轉達者」。

 

至榮なる使徒の會よ、我等歌を以て爾等を崇め讃む、蓋爾等は全地の爲に光明なる燈と現れて、迷を散じ給ふ。

福たる使徒よ、爾等は福音の網を以て靈智の魚を捕りて、常に之を獻物として

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 779]---------------------

ハリストスに攜ふ。

使徒等よ、祈る、神に奉る爾等の祈の中に我等を記憶し給へ、我等愛を以て爾等を歌頌する者が凡の誘より救はれん爲なり。

 

三者讃詞、父と子と聖神よ、我等は爾三位の惟一者、一性の神、一能力なる無原の三者を歌ふ。

生神女讃詞、我等萬族は爾に由りて詛より救はれし者として、爾母及び童貞女を讃揚す、爾我等の爲に歡悦なる主を生みたればなり。

 

大規程のイルモス、種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讃む。

智慧は傷つけられ、肉體は衰へ、靈魂は疚み、言は弱り、生命は殺され、終は門に在り。我が禍なる靈よ、審判者來りて爾の行を糾さん時、爾何をか爲さん。

靈よ、我爾にモイセイが創世の傳を示し、之に次ぎて義者と不義者との事を述ぶる聖約の書を悉く示せり。吁靈よ、爾は此の中前の者に傚はず、後の者に傚ひて、神の前に罪を犯せり。

靈よ、爾の爲に律法は力なく、福音經は效なく、悉くの聖書は益なく、預言者

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 780]---------------------

と凡そ義人の事を述ぶる言とは徒然なり、爾の瘡は愈加はりて、此を療す醫師なし。

靈よ、我新約の書より爾の傷感を起す例を引く、故に義人に傚ひ、罪人を避け、祈、禁食、潔浄、無を以てハリストスの憐を迎へよ。

ハリストスは人と爲りて、盗賊と淫婦とを痛悔に招けり。靈よ、痛悔せよ、國の門は已に啓けて、痛悔するファリセイと税吏と姦淫者とは爾に先ちて此に入る。

 

ハリストスは我が肉體を取りて人と爲り、罪の外は凡そ人性に適ふことを自由に試みて、靈よ、爾に己の寛容の例と表式とを示せり。

ハリストスは博士を救ひ、牧者を召し、衆くの嬰兒を致命者と爲し、翁と老いたるとを榮せり。靈よ爾は彼等の行と生命とに傚はざりき、嗟審判に逢はん時爾禍なる哉。

主は四十日野に齋し、遂に飢ゑて、己の中に人の性を顯せり。靈よ、敵爾を攻めば、悶ゆる毋れ、乃祈と齋とを以て之を爾の足下より退かしめよ。

ハリストスは試みられ、惡魔は試み、石を示して餅と爲さんことを勸め、山に上せて、一瞬の間に世界の萬國を示せり。鳴呼靈よ、誘惑を畏れて、醒して常に

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 781]---------------------

神に祈れ。

野に居るを喜ぶ鴿、呼ぶ者の聲、ハリストスの燈は痛悔を傳へて呼べり、此の時イロドはイロディアダと共に不法を行へり。我が靈よ、謹みて不法者の網に陷る毋れ、乃痛悔を愛せよ。

 

恩寵の前驅は野に居り、イウデヤ及びサマリヤの人皆趨り附きて彼に聽き、己の罪を告げて、熱心にして洗を受けたり、惟爾靈よ、彼等に傚はざりき。

婚姻は貴く、牀はなし、蓋ハリストスはカナの婚姻に於て身にて食を食ひ、水を酒に變ずるを以て之を祝福せり。靈よ、彼が此の首の奇跡を顯ししは、爾が變易せん爲なり。

 

ハリストスは瘋者を固めて、之に其榻を取らしめ、の子たる少者を死より起し、百夫長の僕を醫し、サマリヤの婦に己を顯して靈よ、爾の爲に神を以て神に務むべきを象れり。

主は血漏の婦を其衣に捫るに因りて醫し、癩病者を潔くし、瞽者に見るを賜ひ、跛者と聾者と唖者とを治し、僂みたる婦を言にて醫せり、禍なる靈よ、是れ爾が救を得ん爲なり。

ハリストス言は諸病を醫して、貧しき者に福音を傳へ、不具の者を愈し、税吏と

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 782]---------------------

食ひ、罪人と語り、手の捫るを以て既に離れたるイアイルの女の靈を返し給へり。

税吏は救を獲、淫婦は貞潔の者と爲り、傲慢なるファリセイは罪に定められたり、蓋其一は呼べり、我を憐み給へ、其二は、我を浄め給へ、其三は誇りて呼べり、神よ、爾に感謝すと、其他無智の言を發せり。

ザクヘイは税吏たれども救を得たり、シモンファリセイは迷ひたれども、淫婦は罪を赦す權を有てる者より確なる赦を得たり、靈よ、爾も務めて彼に傚へ。』

鳴呼我が不當なる靈よ、爾は、淫婦が香料を盛れる器を執り、泣きて、之を其前罪の書劵を破りし救世主の足に塗り、首の髪にて之を拭ひしに傚はざりき。』

 

我が靈よ、爾は如何にハリストスが福音を傳へし城邑の詛はれしを知る、此の例に畏れよ、爾も彼等の如くならざらん爲なり、蓋主宰は彼等をソドムの民に比へて、地獄に定め給へり。

鳴呼我が靈よ、爾失望を以てハナアンの婦に下る者と顯るる毋れ、爾は其信の爲に、神の言に依りて其女の愈されしを聞けり。爾も彼の如く深き心よりハリストスに呼べ、ダワィドの子よ、我を救ひ給へ。

言を以て惡魔に憑らるる者を醫ししダワィドの子よ、憐を垂れて我を救ひ、我を

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 783]---------------------

宥め、盜賊に於けるが如く、我に慈憐なる言を告げて云へ、誠に爾に語ぐ、我我が光榮を以て來らん時、爾我と偕に樂園に在らん。

二の盗賊が共に十字架に懸れる時、一は爾を謗り、一は爾を神と承け認めたり。至りて慈憐なる者よ、信ぜし盗賊、爾が神たるを曉りし者に於けるが如く、我にも爾が光榮の國の門を啓き給へ。

イイススよ、爾が十字架に懸れるを見て、造物は戰き、山と石とは畏れて裂け、地は震ひ、地獄は空しくせられ、光は爾が身にて釘うたれたるを見て、日中に昏まされたり。

惟一の救世主よ、我に悔改に應ふ果を促す毋れ、蓋我が力は我の中に盡きたり。我に常に痛悔の心と謙遜の靈とを與へ給へ、我が之を嘉き祭として爾に獻げん爲なり。

我を知る我が審判者よ、爾が全世界を審判せん爲に天使等と偕に還來らん時、爾の憐の目を以て我を視、イイススよ、我悉くの人より多く罪を犯しし者を宥めて憐み給へ。

 

マリヤに、マリヤよ、爾が奇妙なる行實に依りて、天使の群も人の會も驚かざるなし、蓋爾は天性に勝ち、物體なき者に傚ひて度生せり、故に爾は肉體なき

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 784]---------------------

者の如く、爾の足にてイオルダンを渡れり。

マリヤに、克肖なる母よ、造物主の憐を爾を讃め揚ぐる者に垂れしめて、我等を四方より攻むる禍及び憂より脱れしめ給へ、我等が誘を脱れて常に爾の光榮を著しし主を崇め讃めん爲なり。

アンドレイに、尊きアンドレイ、至りて福たる神父、クリトの牧者よ、爾を讃め歌ふ者の爲に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊む者を忿怒と、憂愁と、傷害と、數へ難き罪禍より脱れしめ給へ。

 

三者讃詞、一性の三者、三位の惟一者よ、我等爾を歌頌して、父を讃榮し、子を讃美し、聖神に伏拜し、惟一の神性、眞なる神、生命、及び無窮なる生活の國を崇め讃む。

生神女讃詞、至りて潔き神の母よ、爾の城邑を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡の誘に勝ち、諸敵を敗りて之を從はしむ。

   復イルモスを歌ふ。

 

   光耀歌は常例の如し。

   挿句に自調の讃頌、二次。第八調。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 785]---------------------

吾が靈よ、爾は盗賊の途に當り、思はざる敵に遇ひて、己の諸罪に甚しく傷つけられたり。然れども尚時を有つ者として、傷感の情を以て呼べ、憑恃なき者の憑恃、失望せし者の生命たる救世主よ、我を起して救ひ給へ。

致命者讃詞、聖致命者よ、爾等は善く信の甲を衣、十字架の武器を執りて、剛健なる軍士と現れ、勇ましく暴虐者に敵し、惡魔の迷を倒し、勝利者と爲りて、榮冠を受け給へり。常に我等の爲にハリストスに吾が靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、純潔なる生神童貞女よ、爾の諸僕の聲を納れて、我等に諸罪の赦と平安とを賜はん爲に常に祈り給へ。

 

   第一時課に「カフィズマ」を誦せず。

   聖三祝文の後に凡ての時課に小讃詞、「我が靈よ、我が靈よ、起きよ」を誦す。

   第三時課に第九「カフィズマ」、第六時課に第十を誦す。

               ~~~~~~   

 

   第六時課に預言の讃詞、第六調。

仁慈にして寛忍なる全能者主よ、爾の慈憐を爾の民に垂れ給へ。

   提綱、第九十六聖詠、第六調。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 786]---------------------

主は王たり、地は歡ぶべし。句、多數の島は樂しむべし。

 

   イサイヤの預言書の讀。第四十二章。

天を造りて之を張り、地及び其産する者を闢き、斯の上に在る民に氣を賦へ、之を履む者に靈を賦ふる主神は是くの如く言ふ、我主は爾を義に召したり、我爾の手を扶けて、爾を守り、爾を民の約と爲し、異邦人の光と爲さん、瞽者の目を啓かん爲、俘囚を牢より、暗に坐する者を囹圄より出さん爲なり。我は主なり、是れ我が名なり、我は我が光榮を他の者に予へず、我が讃美を偶像に予へざらん。視よ、曩に預言せし所の者は己に成れり、我復新しき事を告げん、事の未發せざる先に我爾等に示さん。爾等海に浮ぶ者及び凡そ之に充つる者、諸島及び之に居る者は、新なる歌を主に歌ひ、地の極より讚美を彼に歌へよ。曠野及び其諸邑、キダル人の住める郷里は聲を揚ぐべし、磐巖に居る者は謳ひ、山の頂より呼ぶべし。光榮を主に歸し、其讃美を諸島に告ぐべし。主は勇士の如く出で、戰士の如く熱心を興し、呼びて戰の聲を揚げ、其敵に向ひて大能を顯さん。我久しく默し、忍びて己を抑へたり、今我産に臨む婦の如く號ばん、我一切を壞りて呑まん、山と陵とを荒し、其悉くの草を枯らし、諸の河を島と變じ、諸の池を涸らさん、我瞽者を其未識らざる路に往かしめ、其未見ざる徑を履ましめ、暗を其前に光と爲し、曲れるを直くせん、我此等

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 787]---------------------

の事を行ひて、彼等を棄てざらん。

 

   提綱、第九十七聖詠、第六調。

新なる歌を主に歌へ、蓋彼は奇跡を行へり。其右の手は彼の爲に勝を獲たり。句、凡そ地の極は我が神の救を見たり。

 

   第九時課に第十一「カフィズマ」を誦す。

          ~~~~~~

 

 

 第五週間の木曜日の晩課

 

首誦聖詠の後に「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、第十二「カフィズマ」を誦す。

「主よ、爾にぶ」に十句を立つ。

   自調の讃頌を歌ふ、二次。第八調。

神の言よ、我縱に我が始の犯罪に由りて諸徳の美しきを脱ぎたれども、爾の

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 788]---------------------

我に於ける寛容に因りて復之を衣たり。蓋爾は、大仁慈なる主よ、我甚しき患難に遇ひて、途に盗賊に踐まれたる者を棄てざりき、乃爾の至りて堅固なる力を以て我を保護して、扶助を得しめ給へり。

致命者讃詞、主の致命者よ爾等は凡の處を聖にし、凡の病を醫し給ふ、爾等に祈る、今も我等の靈が敵の網より救はれんことを祈り給へ。

 

   又讃頌。第一調。

主よ、爾は十字架に釘せられて、神聖なる戈を以てアダムの罪の書券を裂きたり。求む、言よ、我が縲絏を解き給へ、我が信を以て喜びて、今爾が衆人の救の爲に示しし齋の嘉く納るべき時に於て爾に讃美の祭を奉らん爲なり。

昔モイセイは齋の光に輝きて、神の光榮を見たり。吾が卑微なる靈よ、之に效ひて、仁慈に由りて爾の爲に十字架に手を舒べし主に行を以て、節制と祈とを以て奉事せよ、神聖なる樂を獲ん爲なり。

   又讃頌、第六調。

ハリストスよ、我等は爾が我等に於ける言ひ難き無量なる仁慈に由りて忍びし生を施す爾の十字架に伏拜し、此を以て靈を照して、絶えず爾を歌ひ、愼みて求む、主よ、我等に喜びて齋の途を終へ、我等を救ひし爾の苦に至りて、之を

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 789]---------------------

歌頌するを得しめ給へ。

   又月課經の四章。光榮、今も、十宇架生神女讃詞。

   聖入。「穏なる光」。

 

   提綱、第九十八聖詠、第七調。

主我が神を崇め讚め、其足に伏し拜めよ、是れ聖なり、句、主は王たり、諸民戰くべし。

 

   創世記の讀。第十八章。

主曰へり、ソドム及びゴモラの號呼は甚しくなり、彼等の罪は大に重し、故に我降りて、我に達れる彼等の號呼の如く行はるるかを見ん、否ずば、我之を知らんと。二人彼處より身を旋してソドムに往き、アウラアムは尚主の前に立てり。アウラアム近づきて曰へり、爾は義者を惡者と共に滅さんか、義者は惡者と均しくならんか、若し邑の中に五十人の義者あらば、彼等を滅さんか、五十人の義者の爲に、此れ其中に在らば、悉く其處を恕さざらんか、爾斯の言の如く、義者を惡者と共に殺すことを敢て爲さざらん、義者を惡者と均しくすることを敢て爲さざらん、全地を鞠く者は豈に公義を行はざらんや。主曰へり、若し我ソドムの邑の中に五十人の義者を見ば、彼等の爲に盡く其處を恕さん。アウラアム應へて曰へり、我は塵及び灰なれ

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 790]---------------------

ども、敢て我が主に謂ふ、若し五十人の義者の中五人缺けたらば、爾五人の缺けたるに因りて全邑を滅さんか、曰へり、我若し彼處に四十五人を見ば、滅さざらん。アウラアム又重ねて主に謂へり、若し彼處に四十人見えば若何、曰へり、四十人の爲に滅さざらん。又曰へり、主よ、怒る毋れ、我言はん、若し彼處に三十人見えば若何、曰へり、三十人の爲に滅さざらん。又曰へり、敢て主に謂ふ、若し彼處に二十人見えば若何、曰へり、若し彼處に二十人見えば滅さざらん。又曰へり、主よ、怒る毋れ、我今一たび言はん、若し彼處に十人見えば若何、曰へり、十人の爲に滅さざらん。主はアウラアムと言ひ竟りて去れり、アウラアムも亦其所に歸れり。

 

   提綱、第九十九聖詠、第六調。

全地よ、主にべ。句、樂を以て主に事へよ。

 

    箴言の讀。第十六、十七章。

譴責を受くる者は福に居らん、敎誡を守る者は智慧を獲ん。己の途を守る者は其靈を守るなり、己の生命を愛する者は其口を愼む。驕傲は滅亡に先だち、惡謀は傾跌に先だつ。卑き者と偕に謙るは、驕る者と偕に贓を分つに愈れり。愼みて事を

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 791]---------------------

行ふ者は益を獲ん、主を頼む者は福なり。心の智慧ある者は明哲者と稱へられん、

甘き言は知識を進む。明哲は之を有つ者の爲に生命の泉なり愚なる者の學識は愚なり。智者の心は其舌を達くし、其口に知識を益す。良言は蜜房の若し、靈には甘く、骨には醫なり。人の見て直しとする途にして、其終は死に至る途となる者あり。勞する者は己の爲に勞す、其口彼に迫ればなり。邪曲なる人は惡を掘る、其唇には燃ゆる火の若き者あり。譌る人は争を播き、密告する者は友を離れしむ。惡謀の人は其鄰を誘ひ、引きて善からざる途に入らしむ、彼其目を閉ぢて惡を謀り、其唇を蹙めて惡事を行ふ、、彼は諸惡の爐なり。義の途に在る白髪は榮の冕なり。怒を遅くする者は勇士に愈り、己を治むる者は城を取る者に愈る。籤は懐に置かる、惟事を決するは悉く主に在り。睦しくして一片の餅のみあるは、爭ありて宰れる畜の盈ちたる家に愈る。智き僕は羞を致す子を治め、且つ兄弟の中に在りて産業を分つを得ん。銀を試みる者は坩塙、金を試みる者は鑪、心を試みる者は主なり。惡者は不法の口に聽き、者は害を爲す舌に耳を傾く。貧しき人を嘲ける者は其造成主を侮るなり、人の災禍を喜ぶ者は罰を免れず、矜恤者は憐を獲ん。諸子の諸子は老者の冕なり、親は子の榮なり。嚴なる唇は愚なる人に適はず、況やを言ふ口は君たる者に適はんや。敎訓は之を用いる者に諸恩を施す、其向ふ所に於て利達を得ん。人の過を蔽ふ者は愛を求む、之を念はしむる者は友を離

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 792]---------------------

れしむ、一の譴責の智き人に徹るは、百回扑つことの愚なる人に徹るよりも深し。叛逆の者は唯惡事を求む、故に彼に向ひて殘忍なる使者は遣されん。愚なる者の愚妄を爲すに遇はんよりは、子を獵られたる牝熊に遇はん。惡を以て善に報ゆる者は、惡其家を離れざらん。爭の端は水の隙を破るが如し、故に爭の起らざる先に之を止めよ。惡者を義と爲し、義者を罪に定むる者は、二ながら主の惡む所なり。愚なる者の手に財あるは何の爲ぞ、智慧を市はん爲には彼に心なし。己の家を高くする者は壞を求む、敎訓に離るる者は禍に陷らん。朋友は何の時にも爾に在るべし、惟兄弟は患難の時に益を爲すべし。

 

以下常例の如く先備聖體禮儀を行ふ、其中に我等ハリストスの聖機密を領く。

 

【注意】

知るべし、若し至聖なる生神女の福音祭が斯の日に當らば、大規程の奉事は預め月曜日の晩に行ふ。祭日の奉事は易はる所なし。

~~~~~

 

 

---------------------[大齋第五週間木曜日 晩課 793]---------------------

 

 

 第五週間の金曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。次に第十三、十四、十五「カフィズマ」。

第一の聖詠誦文の後に八調經の十字架の坐誦讃詞二、及び生神女讃詞を誦す。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞。第一調。

ハリストスよ、爾は木の上に手を舒べて、爾の傷を以てアダムの傷を醫し給へり。故に我爾に祈る、救世主よ、詭譎の者が吾が靈に負はせし傷を醫して、我に祈と齋とを以て爾に奉事するを得しめ給へ。二次。

   十字架生神女讃詞

ハリストスよ、純潔なる母は爾が十字架に舒べられて死せしを覩て呼べり、父及び聖神と同無原なる吾が子よ、斯の爾の言ひ難き攝理は何ぞ、洪恩なる主よ、爾は此を以て爾の至淨なる手の造物を救ひ給へり。

   第三の誦文の後に坐誦讃詞、第六調。

十字架、祝福せられし木、世界を護る者、惡鬼を逐ふ者、爾を獲たる人人の萬事に於て勝たれぬ轉達なる者よ、我等に潔き良心を以て吾が靈をハリストスの前に直くして、齋の餘日を過ぐるを得しめよ。二次。

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 794]---------------------

   十字架生神女讃詞

至潔至尊なる童貞女、諸天使の光榮なる者よ、爾は己の子及び神の十字架の前に立ちし時、諸敵の之を辱しむるを見るに忍びず、心傷みて母として呼べり、嗚呼人を愛する主よ、如何ぞ衆人の強暴を忍ぶ。光榮は爾の恒忍に歸す。

 

   三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第一調。

   第五歌頌

イルモス、「己の降臨の光にて世界の極を照し」。

天を幔の如く張りたる至仁なるイイススよ、爾は十字架の上に手を舒べ給へり。故に爾に祈る、敵の誘惑に由りて仆されたる我を憐み給へ。

至仁なる主イイススよ、爾は十字架に寢りて、我等最下なる滅亡の處に臥す者に救の警醒を賜へり。故に我等熱信に爾を讃榮す。

救世主よ、爾の諸僕に心の潔浄に明にせられて、爾の苦の日及び生活を施す爾の復活を見て、爾の國の權能を歌ふを得しめ給へ。

生神女讃詞、純潔なる者は爾が十字架に擧げられしを見て、心刺されて呼びて云へり、主よ、爾は仁慈の洪恩の爲に苦を忍びて、衆に苦なきを與へ給ふ。

   又、フェオドル師の作。第六調。

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 795]---------------------

イルモス、「人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる」。

人を愛する主よ、爾己の手を十字架に舒べたるに、イウデヤ人は釘を以て之を打ちつけ、戈を以て爾の脅を刺せり。ハリストスよ、爾は一切を忍び給へり、我等が救はれん爲なり。

昔木の果を食ふに由りて死せしアダムは十字架の木に縁りて復生を得、此を以て樂園の中に洪恩の糧を樂しむ。

 

三者讃詞、聖三者よ、我は爾神性の惟一なる者、無原にして造られざる者、萬有の宰及び王たる者、至りて完全なる惟一者、神、光、及び生命、世界の造成主を歌頌す。

生神女讃詞、潔き者よ、爾の性に超ゆる産に於て明に性の法は解かる、蓋爾は種なくして永久の神、父より生れし主を生み給へり。

   我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主宰ハリストスよ、我等は爾の十字架、戈、及び釘を貴む、蓋爾は此等を以て我等を朽壞より救ひ、爾の苦にて我等を不死の者と爲し給へり。

 

イルモス、人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 796]---------------------

   第八歌頌

イルモス、「露を出す爐は天然に超ゆる奇跡」。

救世主よ、爾は釘を以て木に打ちつけられて、兇惡者の刺を鈍くし、汚辱の棘を冠らせられて、犯罪の棘を絶し給へり。故に我等歌ひて爾に呼ぶ、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

ハリストスよ、爾は十字架に手を舒べて、人類を爾を識る智識に集め、戈にて爾の脅の刺さるるを忍びて、我等の爲に救の泉を流して歌はしむ、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

洪恩なるハリストスよ、爾の慈憐の流を以て罪の傷に由りて汚されたる吾が心を潔め給へ。ハリストスイイススよ、我に傷感の河を流すを得しめ給へ、我が爾に呼ばん爲なり、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

生神女讃詞、童貞女よ、我等は爾を神性の「マンナ」を納るる聖なる壷、約匱と筵と燈臺、神の寶座と宮、及び神聖なる生命に度す橋と知りて歌ふ、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

又、イルモス、「我等は少者の歌に效ひて」。

ハリストスは十字架に釘せられ、我は活かされて、少者と偕に歌ふ、主の造物は

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 797]---------------------

主を崇めて、世世に彼を讃め揚げよ。

爾が十字架に釘せらるるに因りて滅亡より救はれたる世界は少者と偕に歌ふ、主の造物は主を崇めて、世世に彼を讃め揚げよ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、同一に讃榮せらるる三者、永在なる惟一者、父、子、聖神よ、信を以て爾を歌ふ者を救ひ給へ。

生神女讃詞、我潔き生神女の産に伏拜して、少者と偕に歌ふ、主の造物は主を崇めて、世世に彼を讃め揚げよ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、我は爾の十字架、爾が此を以て我を救ひし者を歌頌して、少者と偕に歌ふ、主の造物は主を崇めて、世世に彼を讃め揚げよ。

イルモス、我等は少者の歌に效ひて、彼等と偕にハリストスに歌はん、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚ぐべし。

 

   第九歌頌

イルモス、「生神女よ、燃ゆれども燒かれぬ棘は」。

イリヤは先づ祈と齋とを以て肉體を輕くして、主を微なる風の中に見たり。

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 798]---------------------

吾が靈よ、彼に效ひて、逸樂の麁きを遠ざけよ、慕ふ者を見ん爲なり。

至仁なる救世主よ、昔モイセイは蛇を木の上に擧げて、爾が十字架に擧げらるるを預象せり。爾は此を以て爾に伏拜する萬族を蛇の毒惡より救ひ給へり。救世主よ、我は怠惰の墓に臥し、頑固の石に壓せられて、爾の永在なる言を悟らず、爾を畏るる畏を感ぜず。大仁慈なる主よ、我を憐みて、爾の仁愛を以て救ひ給へ。

 

生神女讃詞、萬衆より上なる女宰よ、我を惡慾より上なる者と爲し給へ。神の恩寵を蒙れる潔き者よ、我爾眞の生神女を讃榮し、悟に超ゆる最尊き爾の産を歌ふ。

又、イルモス、「種なき胎の産は言ひ難し」。

 

爾は十字架に釘せられて、我を救ひ、死して、我を活かし給ふ。鳴呼慈憐や、鳴呼爾の仁愛や、主宰が僕の爲に恥づべき死を受くるを誰か見誰か聞きたる。主よ、光榮は爾の言ひ難き仁慈に歸す。

日は爾の釘せらるるを見る時晦みたり、蓋己の造成主の辱かしめらるるを見て、如何ぞ隱れざらん。衆造物も亦擾れて、釘する者に默して爾の事を呼べり、

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 799]---------------------

爾は身にて苦に與ると雖、萬有の神なり。

 

三者讃詞、獨一子の父、獨一の光の輝煌、獨一の神の聖神よ、鳴呼聖なる三者惟一者よ、我爾を讃揚する者を救ひ給へ。

生神女讃詞、純潔なる者よ、爾の産の奇跡は我を驚かす、如何ぞ爾は種なくして限られぬ主を孕みたる、言へ、如何ぞ母として生みて、童貞女に止まる。性に超ゆることを信を以て受けて、生れし者に伏拜せよ、蓋彼は欲する所を能す。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

爾の百體は各我等の爲に苦を受けたり、首は葦にて撃たるるを、頬は掌にて批たるるを、雙手は釘せらるるを、脅は戈にて刺さるるを、全身は十字架に擧げらるるを。我が救世主よ、光榮は爾の言ひ難き慈憐に歸す。

イルモス、種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に自調の讃頌二次。第八調。

盗賊と偕に十字架に釘せられて、爾の傷を以て人の性を醫ししハリストス神よ、

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 800]---------------------

我神靈の行劫及び無形の盜賊に遇ひ、彼等に徳を剥がれ、甚しく傷つけられて、律法者の一人にも醫さるるを得ざりし者を棄つる勿れ。蓋我半死にして僅に餘生を保つ者は只爾死者に生命を賜ふ者に恃頼を負はしむ。獨人を愛する主よ、我に爾の仁慈を滴らせて、我が傷を醫し給へ。

致命者讃詞、聖なる者よ、我等何を以てか爾等を稱せん、ヘルワィムとせんか、ハリストス爾等の上に息ひたればなり、セラフィムとせんか、爾等絶えず彼を讃榮したればなり、天使とせんか、爾等肉體を捨てたればなり、能力とせんか、爾等奇跡を行へばなり。爾等の名は多く、恩賜は更に多し。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

   光榮、今も、十字架生神女讃詞。同調。

鳴呼至榮なる奇跡、鳴呼新なる祕密、鳴呼畏るべき建畫やと、童貞女は爾病なくして奇異に生みし者が十字架に二人の盗賊の間に懸りたるを見て云ひ、且泣きて呼べり、哀しい哉至愛なる子よ、如何ぞ殘忍にして恩を知らざる民は爾を十字架に釘したる。

 

   第一時課に「カフィズマ」なし。第三時課に第十九、第六時課に第二十「カフィズマ」。

---------------------[大齋第五週間金曜日 早課 801]---------------------

   第六時課に預言の讃詞、第八調。

讃美たるハリストス我等の神、地に居る者を己に向はしめて、之を救はん爲に地を震はせ、己の仁慈と言ひ難き慈憐に因りて復之を堅むる主よ、生神女の祈に因りて我等を憐み給へ。

   提綱、第百聖詠、第四調。

我憐と審判とを歌はん、主よ、爾に歌を奉らん。句、なき道を思はん。

 

   イサイヤの預言書の讀。第四十五章。

主イズライリの聖なる者及び其造成主は是くの如く言ふ、爾等我に我が諸子の未來の事を問ひ、又我が手の工に付きて我に指示せんと欲するか。我地を造り、其上に人を作れり、我我が手は諸天を張り、我又其悉くの軍に法を予へたり。我義を以て彼を起せり、亦其悉くの途を平にせん。彼は我が邑を建て、我が俘囚を、贖の爲ならず、賞の爲ならずして釋さん、主サワオフ之を言ふ。主是くの如く言ふ、エギペトの勤勞、エフィオピヤの貿易、サワェヤの長高き人は、皆爾に歸し、爾に屬せん、彼等爾に從ひ、縲絏を以て來りて、爾の前に俯伏し、爾に求めて云はん、神は唯爾に在り、此の外に他の神なし。イズライリの神、救主よ、實に爾は隱れ在す神なり。彼等皆恥を得て辱しめられん、偶像を造る者も皆彼等と共に恥を以て退かん。

---------------------[大齋第五週間金曜日 第六時課 802]---------------------

惟イズライリは主に在りて永遠の救を以て救はれん、爾等は無窮の世に耻を得ず、辱を蒙らざらん。

 

   提綱、第百一聖詠、第四調。

主よ、我がを聽き給へ、願はくは我が呼ぶ聲は爾に至らん。句、爾の顔を我に匿す毋れ。

 

   第九時課には「カフィズマ」なし。

          ~~~~~~

 

 第五週間の金曜日の晩課

 

第十八「カフィズマ」を誦す。

「主よ爾にぶ」に十句を立てて、自調を歌ふこと二次、第六調

我イエルサリムより出づるが如く爾の神聖なる戒より離れて、イエリホンの慾に至り、度生の慮に惹かれて、盗賊の思に遇ひ、此等より子たる恩寵の衣を剥がれ、傷に蔽はれて、氣息なき者の如く臥す。司祭は來りて、傷を見て顧みざりき、

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 803]---------------------

「レワィト」も忌みて過ぎたり。唯爾、童貞女より言ひ難く身を取りし主ハリストス神よ、爾の救の脅より流したる血と水とを膏の如く我が傷に沃ぎ、之を醫して、慈憐なるに因りて、我を天上の會に合せ給へ。

致命者讃詞、主よ、爾の致命者は爾を諱まざりき、爾の戒より離れざりき。彼等の祈に因りて我等を憐み給へ。

次に至聖なる生神女の讚頌三章、之を七と爲して歌ふ。第六調。

童貞女よ、ガウリイルは世世の前の議定を爾に顯して、爾の前に立ちて、安を問ひて曰へり、種蒔かざる地よ、慶べ、焚かれざる棘よ、慶べ、量られざる深よ、慶べ、天に渡す橋、及びイアコフの見たる高き梯よ、慶べ、神聖なる「マンナ」の壷よ、慶べ、詛を釋く者よ、慶べ、アダムを喚び起す者よ、慶べ、主は爾と偕にす。

なる童貞女は天軍首に謂ふ、爾人の如く我に現れて、如何ぞ人に超ゆる言を言ふ、蓋神は我と偕にし、我の胎に入らんと曰へり、我に告げよ、如何ぞ我廣き住所及びヘルワィムに超ゆる成聖の處とならん。虚言を以て我を惑はす勿れ、蓋我欲を知らず、婚姻に與るなし、何爲れぞ子を生まん。

無形の者は曰ふ、神の欲する所には天性の順序勝たれて、人に超ゆる事は行はる。至聖至潔なる者よ、我の眞の言を信ぜよ。彼びて曰へり、今爾の言の如く

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 804]---------------------

我に成るべし、我は身なくして身を我より藉りし者を生まん、彼が結合に依りて、人を始の位に升せん爲なり、獨之を能する主なればなり。

光榮、今も、第二調、今日永久の奥義は顯れ、神の子は人の子と爲る、下なる者を受けて、我に上なる者を與へん爲なり。昔アダムは誤れり、神と爲らんと欲して得ざりき、神は人と爲る、アダムを神と爲さん爲なり。造物は樂しみ、萬性は祝ふべし、蓋「アルハンゲル」は恭しく童貞女の前に立ちて、悲哀に易へて慶賀を述ぶ。仁慈に因りて人と爲りし我等の神よ、光榮は爾に歸す。

 

若し先備聖體禮儀を行はずば、生神女の讃頌を八句に歌ふ。

   挿句に本日の自調、二次、及び致命者讃詞。

   光榮、今も、第四調。

生神女は曾て識らざりし言を聞けり、蓋「アルハンゲル」は彼に福音の宣示を述べたり、是に於て彼は正しく問安を受けて、爾永久の神を孕めり。故に我等も喜びて爾に呼ぶ、變易せずして彼より身を取りし神よ、世界に平安、我等の靈に大なる憐を賜へ。

   聖入。「穏なる光」。

   提綱、第百二聖詠、第四調。

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 805]---------------------

主は宏慈にして矜恤、寛忍にして鴻恩なり。句、我が靈よ、主を讃め揚げよ、我が中心よ、其聖なる名を讃め揚げよ。

 

   創世記の讀。第二十二章。

神はアウラアムを試みて彼に謂へり、アウラアムよ、アウラアムよ。彼曰へり、我此に在り。曰へり、爾の獨の子、爾が愛するイサアクを取りて、モリアの地に往き、彼處に我が爾に示さんとする一の山に於て、彼を獻じて燔祭と爲せ。アウラアム夙に興きて、其驢馬に鞍おき、二人の僕及び其子イサアクを取り、且燔祭の爲に薪を劈りて、起ちて行き、第三日に神が彼に示しし處に來れり。アウラアム目を擧げて、遙に其處を觀たり。是に於てアウラアム其僕に謂へり、爾等は驢馬と偕に此に止まれ、我及び子は彼處にまで往き、崇拜を爲して爾等に返らん。アウラアムは燔祭の薪を取りて其子イサアクに負はせ、手に火と刀とを執りて、二人共に往けり。イサアク其父アウラアムに謂へり、父よ。彼曰へり、子よ、何ぞ。曰へり、火と薪とは此に在り、燔祭の羊は何に在るか。アウラアム曰へり、子よ、神自ら燔祭の羊を見ん。二人共に進み行きて、神の彼に示しし處に到れり、アウラアム彼處に於て壇を築き、薪を列べ、其子イサアクを縛りて、壇に薪の上に置けり。アウラアム其手を伸べて刀を取り、其子を宰らんとせり。時に主の使天より彼を呼びて曰へり、アウラアムよ、アウラ

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 806]---------------------

アムよ。彼曰へり、我此に在り。曰へり、爾の手を童子に擧ぐる勿れ、何をも彼に爲す勿れ、蓋今我は爾が神を畏れ、爾の獨の子を我の爲に惜しまざりしを知れり。アウラアム目を擧げて、一の牡羊の其角林叢に繋りたるを視たり。アウラアム往きて牡羊を取り、之を其子イサアクに代へて、獻じて燔祭と爲せり。アウラアム其處を名づけて「イエゴワイレ」(主見たり)と云へり。是に縁りて今も尚人人言う、主の山に見れんと。主の使再天よりアウラアムを呼びて曰へり、主云く、我己を指して誓ふ、爾斯の事を爲し、爾が獨の子を我の爲に惜しまざりしに因りて、我祝して爾を祝し、増して爾の後裔を増し、之を天の星の如く、海濱の沙の如く爲らしめん、爾の裔は其敵の諸邑を嗣がん、又爾の裔に由りて地上の萬民は祝福を獲ん、爾我が言に遵ひたればなり。

 

   提綱、第百三聖詠、第四調。

主よ、爾の工業は何ぞ多き、皆智慧を以て作れり。句、我が靈よ、主を讃め揚げよ、主我が神よ、爾は至りて大なり。

 

   箴言の讀。第十七、十八章。

兄弟は患難の時に益を爲すべし、蓋此が爲に生る。智慧なき人は手を拍ちて其友の

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 807]---------------------

爲に保證を爲すを喜ぶ、惟己の口に火を蓄ふ。爭を好む者は罪を好み、其門を高くする者は亡を求む。邪曲なる心は福を獲ず、反覆の舌は禍に陷らん。愚なる子を生みし者は己の憂を生めり、愚者の父は喜ばざらん。樂しき心は藥の如く愈し、憂ふる神は骨を枯らす。惡者は懐に賄賂を取る、裁判の道を枉げん爲なり。智慧は哲き者の面に在り、愚なる者の目は地の極に在り。愚なる子は其父の憂と爲り、其母の累と爲る。義者を罪するは善からず、貴き者を其義の爲に扑つは善からず。智慧ある者は言寡し、哲き人は心静なり。愚なる者も默する時は智者と見られ、其口を閉づる者は哲者と見らるるを得。自ら恣なる者は己の欲する所のみを求めて、凡ての智なる事に戻る。愚なる者は明哲を好まず、唯己の知識を顯さんことを好む。惡者來れば藐忽隨ひて來り、耻來れば陵辱も共に來る。人の口の言は深き水の如く、智慧の泉は流るる川の如し。惡者を偏視して、裁判の時に義者を枉ぐるは善からず。

 

   以下先備聖體禮儀を行ふこと例の如し。

晩堂小課及び夜半課を私室に行ふ。

死者の本調の規程を納骨堂に歌ふ。

             ~~~~~~

---------------------[大齋第五週間金曜日 晩課 808]---------------------

 

 第五週間の、「スボタ」の早課

 

早朝鐘を鳴らして、「アカフィスト」の祈禮儀の始まるを報ず。衆聖堂に集まり、司祭祝讃して、早課を始む、大規程の木曜日の早課の始と同じ、七百三十七頁を看よ。六段の聖詠の後に「主は神なり」、第八調に依りて歌ひ、及び左の讃詞を緩唱すること、三次。第八調。

無形の者は命ぜられしことを奥密に智識に受けて、遄にイオシフの家に現れて、婚姻に與らざる者に言へり、天を傾けて降りし主は變易なく全くして爾の内に入り給ふ。彼が爾の胎内に僕の形を受けしを見て、我驚きて爾に呼ぶ、聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

次に第十六「カフィズマ」「主我が主に謂へり」を誦す。畢りて後に小聯。次に左の小讃詞を諧和の調を以て緩唱す。第八調。

生神女よ、我等爾の諸僕は禍より援けられしを以て、爾克く勝つ將帥に凱歌と感謝とを奉つる、勝たれぬ權能を有つに由りて、我等を諸の苦難より救ひ、爾を歌ひて呼ばしめ給へ、聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

此を歌ふ時輔祭は聖像及び序を逐ひて衆人の前に爐儀を行ふ、其次の時には聖像の外、

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 809]---------------------

唯聖務者及び詠隊の前に於てす。首に六同讃詞及び小讃詞を誦す。誦する時衆人起立す。同讃詞及び小讃詞は「アルファワィト」の數に循ひて凡て二十四。司祭至聖所に立ちて、高聲を以て之を誦す。

 

同讃詞一、首品の天使は天より生神女に慶べよと云はん爲に遣されて、此の無形の聲と共に、主よ、爾が身を取るを見て、驚きて立ち、斯く彼に呼べり、喜の耀かんとする所以の者よ、慶べ、詛の滅せんとする所以の者よ、慶べ。陷りしアダムを喚び起す者よ、慶べ、エワの涙を拭ふ者よ、慶べ。人の意念の登り難き巍崇よ、慶べ、天使の目にも見難き深邃よ、慶べ。王の座たるに因りて慶べ、萬物を載する者を載するに因りて慶べ。日を顯す星よ、慶べ、神が身を取る腹よ、慶べ。造物の新にせらるる所以の者よ、慶べ、我等が造物主に伏拜する所以の者よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞二、聖なる者は己れの潔淨を見て、毅然としてガウリイルに言ふ、爾が告ぐる所の奇異なる事は吾が靈の爲に受け難く現る、蓋爾は如何ぞ種なき降孕の産の事を言ひて呼ぶ、アリルイヤ。

同讃詞二、童貞女は悟られぬ奥祕を悟らんと欲して、奉事する者に呼べり、潔淨の胎より如何ぞ子の生るるあらん、我に言へ。彼は畏を以て斯く之に呼びて云へり、

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 810]---------------------

言ひ難き議定の祕密者よ、慶べ、默念を要する奥義を信ずる者よ、慶べハリストスの奇跡の始よ、慶べ、彼の敎の首要なる者よ、慶べ。神の降りたる天の梯よ、慶べ、地上の者を天に度す橋よ、慶べ。諸天使の大に榮する奇跡よ、慶べ、諸惡鬼の大に悲しむ痛傷よ、慶べ。言ひ難く光を生みし者よ、慶べ、何如にと何人にも敎へざりし者よ、慶べ。睿智者の智慧に超ゆる者よ、慶べ、信者の智識を照す者よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

 

小讃詞三、其時至上者の能は婚姻に與らざる者を妊孕の爲に蔭ひ、其胎を甘美なる田の如く、凡そ救を刈らんと欲する者の爲に善き實を結ぶ者と爲して、彼等に斯く呼ばしむ、アリルイヤ。

同讃詞三、童貞女は神を受けし胎を有ちて、エリサワェタの許に上りしに、其胎兒は直に彼の安を問ふを知りて、喜び躍りて、歌を以てするが如く生神女に呼べり、枯れざる枝の芽よ、慶べ、不死の果を獲たる者よ、慶べ。仁愛なる農夫を出す者よ、慶べ、我が生命の栽培者を生む者よ、慶べ。慈憐の豐なるを生ずる疇よ、慶べ、潔淨の充滿を載する案よ、慶べ。樂園を繁榮せしむるに因りて慶べ、靈の爲に港を設くるに因りて慶べ。祈の嘉く納れらるる香烟よ、慶べ、全世界の潔浄よ、慶べ。死すべき者に對する神の惠よ、慶べ、神に對する死すべき者の勇敢よ、慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 811]---------------------

聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞四、なる者よ、貞潔なるイオシフは婚姻せざる爾を見て、竊に婚姻したりと思ひて、己の内に疑の思の暴風を抱きて、心擾れたり、然れども爾が聖神に由る懐孕を知りて云へり、アリルイヤ。

 

復小讃詞「生神女よ、我等爾の諸僕」を歌ふ。次に「ネポロチニ」を誦文す、及び聯

復小讃詞、「生神女よ、我等爾の諸僕」。并に其次の同讃詞及び小讃詞六章を誦す。』

同讃詞四、牧者は天使等がハリストスの肉體に於ける降臨を歌ふを聞きて、之に牧師に於けるが如く急ぎ來りて、其無垢なる羔の如くマリヤの腹に養はれしを見て、歌ひて云へり、羔及び牧師の母よ、慶べ、靈智なる羊の牢よ、慶べ。見えざる敵を防ぐ者よ、慶べ、樂園の門を啓く者よ、慶べ。天の者が地の者と偕に喜ぶに因りて慶べ、地の者が天の者と偕に樂しむに因りて慶べ。使徒等の黙さざる口よ、慶べ、受難者の勝たれぬ勇敢よ、慶べ。信の堅固なる保固よ、慶べ、恩寵の輝ける印章よ、慶べ。地獄の剥がれたる所以の者よ、慶べ、我等が光榮を衣せられたる所以の者よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞五、博士は神妙に行く星を見て、其光に從ひ、之を燈の如く執りて、此に由りて權能の王を尋ね、詣り難き者に詣りて、歡びて彼に呼べり、アリルイヤ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 812]---------------------

同讃詞五、ハルデヤの諸子は童貞女の手に人を其手にて造りし者を見て、彼が僕の形を受けたりと雖主宰たるを悟りて、熱切に之に禮物を奉りて、祝福せられし者に呼べり、没せざる星の母よ、慶べ、奥密の日の曉よ、慶べ。迷の爐を滅しし者よ、慶べ、聖三者の祕密者を照す者よ、慶べ。殘忍なる暴虐者の權を空しくする者よ、慶べ、仁愛なる主ハリストスを顯しし者よ、慶べ。偶像の役事より釋く者よ、慶べ、惡業の濘より出す者よ、慶べ。火の敬拜を滅せし者よ、慶べ、諸慾のより救ふ者よ、慶べ。信者を貞潔に導く者よ、慶べ、萬族の樂よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞六、捧神なる傳道師と爲りし博士は爾に關する預言を應はせ、衆に爾ハリストスを傳へて、ワワィロンに歸り、イロドを虚言の者として遺せり、蓋彼は歌ふを知らざりき、アリルイヤ。

同讃詞六、救世主よ、爾はエギペトに眞實の光を耀かして、僞の幽暗を逐ひ給へり、蓋彼處の偶像は爾の力に勝へずして墜ちたり。此等より救はれたる者は生神女に呼べり、人人の矯正よ、慶べ、惡鬼の傾倒よ、慶べ。誘惑の權を踐みたる者よ、慶べ、偶像の虚誕を顯しし者よ、慶べ。無形のファラオンを溺らしし海よ、慶べ、生命に渇く者に飮ませし石よ、慶べ。幽暗に在る者を導く火の柱よ、慶

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 813]---------------------

べ、雲より廣き世界の帲幪よ、慶べ。「マンナ」に續ぐ糧よ、慶べ、聖なる甘味を頒つ者よ、慶べ。許約の地よ、慶べ、蜜と乳とを流す者よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞七、シメオンは今の迷の世より移らんとせしに、爾は赤子として彼に與へられたり、然れども彼に亦完全なる神として知られたり。故に彼は爾の言ひ難き睿智を奇として呼べり、アリルイヤ。

復小讃詞、「生神女よ、我等爾の諸僕」。第五十聖詠。規程は、本堂の、「イルモス」と共に六句に、及び至聖なる生神女の六句に。イオシフ師の作、其冠詞は、喜の器よ、獨爾に喜ぶことは適ふ。

(若し生神女の堂ならば、生神女の祭日の規程、「イルモス」と共に十二句に歌ふ。

「イルモス」は二次、讃詞は十段。)第四調。

 

   第一歌頌

イルモス、「我が口を開きて」。

潔き者よ、大なる天使首は爾をハリストスの活ける書、聖神に印せられし者と見て、爾に呼べり、喜を受くる器、原母の詛の之に由りて釋かるべき者よ、慶べ。

アダムの更新、地獄の滅亡なる童貞女、神の聘女よ、慶べ。萬有の王の宮たる

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 814]---------------------

純潔の者よ、慶べ、全能者の火のの寶座よ、慶べ。

萎まざる花、獨芳ばしき果を結びし者よ、慶べ。惟一の王の馨香を生ぜし者よ、慶べ、世界の救たる婚姻に與らざる者よ、慶べ。

潔浄の寶藏、我等が堕落より起きたる所以の者よ、慶べ。香氣を放つ百合の花、信者を馨らしむる女宰、芳ばしき香爐、價貴き香料よ、慶べ。

共頌、我が口を開きて、聖神に満てられ、言を女王母に奉り、樂しみ祝ひ、喜びて其奇跡を歌はん。

 

   第三歌頌

イルモス、「生神女、生活にして盡きざる泉よ」。

耕作せられざる地にして神聖なる穗を生ぜし者、生命の餅を載する活ける案よ、慶べ。生活の水の盡きざる泉たる女宰よ、慶べ。

なる犢を信者の爲に生みたる牝牛よ、慶べ、全世界の罪を任ふ神の羔を生みたる牝羊よ、慶べ。熱切なる潔浄よ、慶べ。

光明なる朝、獨日たるハリストス、光の居處を載する者よ、慶べ。暗を解き、昏き惡鬼を逐ひ盡したる者よ、慶べ。

獨の言の過りし獨の門、爾の産を以て地獄の柱と門とを壞ちし女宰よ、慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 815]---------------------

救はるる者の神聖なる入門たる神の聘女よ、慶べ。

共頌、生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讃め歌ふ者の靈を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。

 

小聯。高聲の後に小讃詞、「生神女よ、我等爾の諸僕」。

次に他の同讃詞及び小讃詞六章を誦す。

同讃詞七、造物主は我等彼に由りて造られし者に現れて、新なる造物を示し給へり。蓋種なき胎より生じて、之を元のまま不朽の者と護れり、我等が奇跡を見て、之を歌ひて呼ばん爲なり、不朽の花よ、慶べ、節制の榮冠よ、慶べ。光明に復活を形る者よ、慶べ、天使の度生を顯す者よ、慶べ。美しき果を結ぶ樹、信者の之に由りて養はるる者よ、慶べ、蔭の繁き樹、衆くの者の其下に蔽はるる者よ、慶べ。俘虜を釋く者を孕みし者よ、慶べ、迷へる者の嚮導者を生みし者よ、慶べ。

義なる審判者に轉達する者よ、慶べ、多くの罪の赦免よ、慶べ。裸體者の勇敢の衣よ、慶べ、凡ての望に超ゆる愛よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

小讃詞八、我等は奇異なる産を見て、智慧を世より離して天に移さん、蓋至高き神が地上に謙卑なる人と現れしは、殊に彼に呼ぶ者を高きに登せんと欲したればなり、アリルイヤ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 816]---------------------

同讃詞八、形どられぬ言は全くして下に在り、亦全くして上に離れざりき、蓋成りたることは處所の變遷に在らずして、神聖なる謙遜と神を孕みし童貞女よりの降誕なり。故に我等之に呼ばん、容れられぬ神の容處よ、慶べ、尊き奥密の門よ、慶べ。不信者の疑はしき風聞よ、慶べ、信者の確なる誇よ、慶べ。ヘルワィムの上に居る者の至聖なる輅よ、慶べ、セラフィムの上に居る者の至榮なる居處よ、慶べ。抗敵する者を一に集めたる者よ、慶べ、童貞と生産とを合せし者よ、慶べ。犯罪の釋かれたる所以の者よ、慶べ、樂園の開かれたる所以の者よ、慶べ。

ハリストスの國の鑰よ、慶べ、永遠の福の恃頼よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。』

 

小讃詞九、凡の天使の性は爾が人と爲りし大なる事に驚きたり、蓋神として近づき難き者を衆に近づき易く、我等と偕に居り、衆に歌はるる人として見たり、アリルイヤ。

同讃詞九、生神女よ、我等は多言なる辯舌家を爾の前に魚の如く無言なる者と見る、蓋彼等は如何に爾が童貞女に止まりて生むことを得たるを述ぶるに惑ふ。惟我等は奥密を奇として、信を以て呼ぶ、神の睿智の器よ、慶べ、彼の思慮の寶藏よ、慶べ。智識を誇る者を無智者と現す者よ、慶べ、能辯者を無言者と爲す者よ、慶べ。非理なる研究者の無能なるに因りて慶べ、虚説を作る者の衰へたるに因りて慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 817]---------------------

アフィニの編物を裂く者よ、慶べ、漁者の網をつる者よ、慶べ。無知の深處より引き出す者よ、慶べ、許多の者に智識を照す者よ、慶べ。救を望む者の舟よ、慶べ、生命の海を渡る者の港よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。』

小讃詞十、萬有を飾る主は世界を救はんと欲して、己の許約に由りて此に來り、牧者として神は我等の爲に我等に似たる人と現れ給へり、蓋同じき者を以て同じき者を召して、神として聽く、アリルイヤ。

復小讃詞、「生神女よ、我等爾の諸僕」。

 

   坐誦讃詞、第一調。

潔き童貞女よ、無形の天使等の大なる軍將はナザレトの邑に現れて、爾の王及び世世の主を爾に報じて云う、祝福せられしマリヤ、悟り難く言ひ難き深邃人人の喚起よ、慶べ。

   光榮、今も、同上。

 

   第四歌頌

イルモス、「光榮の中に神性の寶座に坐する」。

讃美たる童貞女よ、我等は歌の聲を以て爾に呼ぶ、繋くして聖神に霑されたる山よ、慶べ。燈臺よ、慶べ、衆敬虔者の感覺を樂しましむる「マンナ」を容るる壺よ、

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 818]---------------------

慶べ。

世界の潔浄たる至りて潔き女宰よ、慶べ。恩寵を以て衆を地より上らしむる梯よ、慶べ、爾を歌ふ衆人を實に死より生に度す橋よ、慶べ。

天より最高き者、爾の胎内に輙く地の基を容れし至浄なる童貞女よ、慶べ。爾の血を以て萬軍の王の爲に神聖なる緋衣を染めし臙脂貝よ、慶べ。

眞の立法者、衆人の不法を功なくして潔むる主を生みし女宰、測られぬ深邃、言ひ難き巍崇、婚姻に與らざる童貞女、我等が神成せられし所以の者よ、慶べ。』

童貞女よ、我等は爾世界の爲に手にて編まれざる榮冠を編みし者を歌頌して呼ぶ、衆人の守護と垣墻、防固と聖にせられし避所よ、慶べ。

共頌、光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。

 

   第五歌頌

イルモス、「萬物は爾が神妙の光榮に」。

生命の道を生みて、世界を罪の洪水より救ひし無の者よ、慶べ。神の聘女、畏るべき聲聞及び語言よ、慶べ、造物の主宰の居處よ、慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 819]---------------------

人人の力及び固、光榮なる成聖の處、地獄の滅亡、輝ける宮たる至りて潔き者よ、慶べ。天使等の歡喜よ、慶べ、信を以て爾に祈る者の扶助よ、慶べ。

言の火のの車たる女宰よ、慶べ。活ける樂園よ、慶べ、其中に生命の樹たる主ありて、彼の甘味は信を以て之を味ひ、先に朽壞に服せし者を活かす。

我等爾の力に堅められて、熱心に爾に呼ぶ、萬有の王の城邑よ、慶べ、光榮の事は爾に於て傳へられたり。截られざる山よ、慶べ、測られざる深邃よ、慶べ。

言の廣き居處たる至浄なる生神女よ、慶べ、神聖なる眞珠を生みし眞珠貝よ、慶べ。凡そ爾を常に讃美する者の神に於ける奇異なる和睦よ、慶べ。

共頌、萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。

   此に至りて本堂の規程を罷む。

 

   第六歌頌

イルモス、「神の信者よ、來りて、神の母の」。

言の無なる宮、衆の神成せらるる所以なる至りて潔き者よ、慶べ。諸預言者の傳、使徒等の譽よ、慶べ。

童貞女よ、爾より多神のを滅す露は滴りたり。故に我等爾に呼ぶ、活ける羊

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 820]---------------------

の毛、ゲデオンの預見せし者よ、慶べ。

見よ、我等爾に慶べよと呼ぶ。童貞女よ、我等患難と衆人の敵の誘惑との海に荒らさるる者の爲に穏なる港と爲り給へ。

歡喜の所以なる者よ、我等の思に恩寵を降して、爾に呼ばしめ給へ、焚かれぬ棘、常に信者を蔽ふ光明なる雲よ、慶べ。

次に四歌頌、其冠詞は、此れイオシフの歌。第六調。

 

   第六歌頌

イルモス、「誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる」。

苦を受けし致命者よ、爾等は石の如く地上に擲たれたれども、選ばれたる者として、敵の凡の造構を全く壞りて、活ける神の殿と現れたり。

致命者よ、我等は爾善き戰を終へし者に祈る、我等を善く齋の程を趨りて、諸徳を行ふを以て輝かん爲に堅め給へ。

大仁慈なる主宰よ、地より爾至仁の主に移りし爾の諸僕を、爾の神聖なる致命者の聖にせられし轉達に因りて、爾の國に與る者と爲し給へ。

生神女讃詞、獨讃美たる母童貞女よ、至聖なる言に祈りて、熱信に爾を歌ふ者に諸罪の赦と、神聖なる恩賜の分とを賜はらんことを求め給へ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 821]---------------------

   又、イルモス、第五調「主よ、爾は預言者を鯨より」。

我等は今日致命者の記憶を行ひて、敬虔に樂しみて主に歌を奉らん。

受難者よ、爾等は劍と火とを畏れずして、信に勇みて、此を以て苦しむる者に傷つけたり。

三者讃詞、父、子、及び聖神よ、我等は爾位にて三者なる主を歌頌し、性にて惟一なる主に伏拜す。

生神女讃詞、童貞女よ、爾は諸天使及び人人の常に讃美する者なり、我等の靈の救主ハリストスを生みたればなり。

句、神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。

ハリストス神の至榮なる受難者よ、爾等は生を死に易へて、喜びて天に住み給ふ。

句、彼等の靈は福に居らん。

死及び生を主るハリストスよ、信を以て世より移りし者を爾の諸聖人と偕に安ぜしめ給へ。

イルモス、主よ、爾は預言者を鯨より脱せり、我を諸罪の深處より引き上げて、拯ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 822]---------------------

 

小聯。復小讃詞「生神女よ、我等爾の諸僕」を歌ふ。

并に殘りたる同讃詞及び小讃詞六章を誦す。

 

同讃詞十、至淨なる生神童貞女よ、爾は童貞女及び凡そ爾に趨り附く者の爲に垣墻なり。蓋天地の造成者は爾の胎内に居りて、斯く爾を造り、且衆に敎へて爾に呼ばしむ、童貞の柱よ、慶べ、救の門よ、慶べ。心靈の再興の所以の者よ、慶べ、神聖なる仁善を與ふる者よ、慶べ。不法に於て妊まれたる者を新にせしに由りて慶べ、智慧の乏しき者を敎へしに由りて慶べ。意念の破壞者を空しくする者よ、慶べ、潔浄を播く主を生みし者よ、慶べ。種なき婚姻の宮よ、慶べ、信者を主に配合せし者よ、慶べ。童貞女の善良なる敎育者よ、慶べ、聖なる靈を聘女として主に攜ふる者よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

 

小讃詞十一、聖なる王よ、凡の歌、爾の洪恩の大數を述べんと欲する者は之を盡くす能はず。蓋我等若し砂の數の如き歌を爾に捧ぐとも、爾が我等に賜ひし諸恩に適ふことを一も行はず、故に爾に呼ぶ、アリルイヤ。

同讃詞十一、我等は聖なる童貞女を幽暗に在る者に現れたる輝ける燈と見る、蓋彼は無形の火を燃して、其輝煌を以て衆の智慧を照して、神聖なる智識に導く。故に衆は彼を尊みて斯く呼ぶ、無形の日の光線よ、慶べ、暮れざる光の

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 823]---------------------

輝煌よ、慶べ。靈を照す電よ、慶べ、雷の如く敵を畏れしむる者よ、慶べ。大なる光の光照を輝かすに因りて慶べ、多水の川を流すに因りて慶べ。洗盤の型を畫す者よ、慶べ、罪の汚を除く者よ、慶べ。良心を滌ふ盤よ、慶べ、歡樂を斟む爵よ、慶べ。ハリストスの馨香の馥氣よ、慶べ、奥密の樂の生命よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

 

小讃詞十二、衆人の罪債を解く主は古の罪債を赦す恩寵を賜はんと欲して、親ら彼の恩寵に離れたる者に來り、書券を裂きて、衆より聽き給ふ、アリルイヤ。

同讃詞十二、生神女よ、我等皆爾の産を歌ひて、爾を活ける殿として讃め揚ぐ。

蓋萬物を其手に持つ主は爾の腹に居りて、爾を聖にし、爾を榮し、衆に爾に呼ばんことを敎へ給へり、神及び言の住所よ、慶べ、至聖所より高き者よ、慶べ。聖神にて金装せられたる匱よ、慶べ、生命の盡くされぬ寶藏よ、慶べ。虔誠なる諸王の尊貴なる榮冠よ、慶べ、敬虔なる諸司祭の貴き譽よ、慶べ。敎會の動かされぬ柱よ、慶べ、國の壞られぬ墻よ、慶べ。勝利の旗の擧げらるる所以の者よ、慶べ、敵の墜さるる所以の者よ、慶べ。吾が體の醫治よ、慶べ、吾が靈の救よ、慶べ。聘女ならぬ聘女よ、慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 824]---------------------

 

小讃詞十三、鳴呼讃美たる母、衆聖者より最聖なる言を生みし者よ、今の奉獻を受けて、爾に呼ぶ衆人を凡の禍より救ひ、及び將來の苦より脱れしめ給へ、アリルイヤ。

   斯の小讃詞は三たび誦すべし。

 

次に復第一の同讃詞を誦す、「首品の天使は」。并に復小讃詞、「生神女よ、我等爾の諸僕」。

 

   第七歌頌

イルモス、「敬虔の者は造物主に易へて」。

我等爾を歌頌して呼ぶ、無形の日の輅よ、慶べ。熟したる葡萄の房、信を以て爾を讃榮する人人の靈を樂しまする酒を流す者を生ぜし眞の葡萄の樹よ、慶べ。

衆人の醫師を生みし神の聘女よ、慶べ。凋まざる花を發きたる奥密の杖たる女宰よ、慶べ、我等は爾に由りて喜に満たされて生命を續ぐ。

女宰よ、能辯の舌も爾を歌頌する能はず、蓋爾はハリストス王を生みて、セラフィムより高き者と爲れり。此の邑が諸の災厄より救はれんことを彼に祈り給へ。生神女よ、四極は爾を讃美讃揚して、愛を以て爾に呼ぶ、父の指にて言の録され

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 825]---------------------

たる卷軸なる至浄の者よ、慶べ。爾の諸僕が生命の書に録されんことを彼に祈り給へ。

生神女よ、我等爾の諸僕は祈りて吾が心の膝を屈む。潔き者よ、爾の耳を傾けて、諸の憂に沈めらるる我等を救ひて、爾の邑を凡の敵の攻撃より護り給へ。

   又、イルモス、第六調、「天使は敬虔なる少者の爲に」。

 

大仁慈なる主よ、爾の神聖なる致命者の光明なる會は今爾の暮れざる光の中に住む。ハリストスよ、彼等の祈に因りて衆に光照と諸罪の潔とを與へ給へ。

主よ、爾が我等に賜ひし節制の時は如何にか光明なる、其中に於て、至仁の主として、爾の聖なる受難者、爾の光明尊貴なる苦を慕ひし者の祈に由りて、我等の靈を宥め給へ。

主宰よ、度生の憂多き激浪を度りし爾の諸僕を生命の港に入れて、悉くの選ばれたる者と偕に呼ばしめ給へ、主吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

生神女讃詞、立法者を生みし永貞童女よ、彼に祈りて、今の時に善く神聖なる齋の行を習はんと欲せし者に諸の不法を免さんことを求め給へ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 826]---------------------

 

   又、イルモス、第五調、「光榮の寶座に坐して」。

爾の爲に苦を受くる致命者を勇敢の者と爲しし讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃めらる。

受難者を爾の前に祈する者として我等に賜ふ讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃めらる。

 

三者讃詞、性にては惟一、本質にては三者と識らるる讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃めらる。

生神女讃詞、種なく生れて、生みし者を童貞女に止まる者と爲しし讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃めらる。

句、地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我專ら之を慕ふ。

爾の聖人等の光榮の爲に猛獸を鎭め、火を滅しし讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃めらる。

句、主よ、爾が選び近づけし者は福なり。

度生の時に信を以て爾に奉事せし者を死より終なき生命に移しし神よ、爾は崇め讃めらる。

 

イルモス、光榮の寶座に坐して淵を臨む、讃美たる至榮なる神よ、爾は崇め讃め

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 827]---------------------

らる。

 

   第八歌頌

イルモス、「生神女の産は敬虔の少者を爐の中に守れり」。

潔き者よ、爾は言を胎内に受け、萬物を持つ主を抱き、其指麾にて全地を養ふ者を乳にて養ひ給へり。我等は彼に歌ふ、造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

至潔至聖なる童貞女よ、モイセイは爾の産の大なる祕密を棘の中に悟り、少者は焚かれずして火の中に立ちて、最明に之を預象せり。故に我等は萬世に爾を尊む。

光の居處たる少女よ、我等先に誘惑に由りて裸體にせられし者は爾の産に由りて不朽の衣を衣せられ、諸罪の暗の中に坐する者は光を見るを得たり。故に我等萬世に爾を歌ふ。

人人の救たる童貞女よ、爾に由りて死者は活かさる、爾は實在の生命を生みたればなり。先の唖者は能く言ふ者と爲り、癩者は潔められ、諸病は遠ざけられ、空氣中の惡鬼の大數は勝たる。

潔き者よ、爾は世界の爲に救を生めり、我等之に由りて地より高きに上げられた

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 828]---------------------

り。祝福せられし者よ、慶べ、爾は我等の爲に帲幪と能力、垣墻と保固なり。

故に我等歌ふ、造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

   又、イルモス、「ハリストスよ、爾は潔き者の爲により露を注ぎ」。

 

天上の靈智者は聖なる致命者の功勞を奇異と爲せり。洪恩なる主宰よ、彼等の祈に由りて、爾の慈憐を我等の中に豊にして奇異なる者と爲し給へ。』

神聖なる露に由りて火を踏みし主の奇異なる致命者よ、主宰に奉る爾等の熱心なる祈に由りて、我等を苦しむる火より脱れしめ給へ。

至仁なる言よ、正敎を抱きて我等より逝りし者に、勝利を得たる致命者の祈に由りて、天上の生命と聖なる光照とを得しめ給へ。

 

生神女讚詞、洪恩なる主よ、爾を生みし者と、聖なる致命者と、爾の使徒との祈に由りて、我等の靈を照して、靈の樂を以て世世に爾を讃榮するを得しめ給へ。

   又、イルモス、「萬物の造成主、諸天使の畏るる者を」。

 

致命者の聖なる會よ、愛を以て爾等を歌頌して、ハリストスを世世に讃め揚ぐる者を記憶し給へ。

劍にて斬られし致命者は喜びてハリストスを歌ひて、萬世に讃め揚ぐ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 829]---------------------

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃詞、聖三者は神妙に分れ、又惟一の神として分離なく止まり給ふ、我等彼を萬世に讃め揚ぐ。

生神女讃詞、童貞女は子を生みたり、蓋神は彼に藉りて人と爲り給へり、萬物は世世に彼を歌ふべし。

 

句、神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。

致命者は勇毅の柱と現れ、惡魔の滅亡を喜びて、ハリストスを歌ひて、世世に讃め揚ぐ。

句、彼等の靈は福に居らん。

主よ、信と望とを以て爾に移りし爾の諸僕にアウラアムの懐に入るを得しめ給へ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、萬物の造成主、諸天使の畏るる者を、人人よ、歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ」。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 830]---------------------

少女よ、我等信者は爾に由りて永在の歡喜に與る者と爲りて、爾に慶べよと呼ばん爲に、我等を誘惑と、敵ににせらるることと、其他罪を行ふ人人に多罪の爲に及ぶ所の諸の禍より脱れしめ給へ。

爾は我等の光照及び防固と顯れたり。故に爾に呼ぶ、没せざる星、世界に大なる日を入れし者よ、慶べ。閉されたるエデムを開きし潔き者よ、慶べ。爾の上に灌がれたる盡きざる香料を承けし器よ、慶べ。

我等敬虔を抱きて我が神の家に立ちて呼ばん、世界の女宰よ、慶べ。我等衆の女君たるマリヤよ、慶べ。獨女の中に無にして善美なる者よ、慶べ。人類を上なる生命に導く火の柱よ、慶べ。

慈憐なる主を生みし鴿たる永貞童女よ、慶べ。衆克肖者の譽、受難者の榮冠よ、慶べ。衆義人の神聖なる飾及び我等信者の救よ、慶べ。

ハリストス神よ、爾の嗣業を宥めて、今我等の悉くの罪を問ふこと勿れ、爾大なる慈憐に由りて人體を受けんことを欲せしを種なく地上に生みし者は我等の爲に爾に祈る。

   又、イルモス、「天使の品位すら見るを得ざる神は」。

 

致命者よ、爾等は光の如く、日の如く輝きて、敬虔の光線と光明なる奇跡とを

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 831]---------------------

以て全地を照して、多神の幽暗を散じたり。神よ、彼等の祈に因りて我等を憐み給へ。

致命者の勝たれぬ軍よ、我等衆を善く勤勞して齋の途を終へん爲に堅め給へ、我等が神聖なる度生の業を終へて、生命に與る者と爲りて樂しまん爲なり。

主よ、願はくは爾の畏るべき命に由りて我等より移りし者を爾の慈憐は迎へん。願はくは爾の仁慈は彼等を繞りて爾の顏の光の輝ける住所に導かん。』

生神女讃詞、生神女よ、爾は天使の聲を受けて言ひ難く父の議事の使者を生み給へり。求む、爾の諸僕が齋の時に捧ぐる聲を受けて、之を香爐の香の如く神の前に攜へ給へ。

   又、イルモス、「イサイヤ祝へよ」。

 

人人よ、今日致命者の慶賀を行ひて、彼等を導き、彼等に敵に對して勝利を賜ひしハリストスに歌を奉りて、彼を讃め揚げん。

讃美たる致命者よ、爾等は鐵搭にて裂かれ、劍にて寸斷せられて、愛を以てハリストスに合せられたり。故に今天に樂しみて、衆の爲に祈り給へ。

三者讃詞、性の惟一なる神よ、我爾を歌頌す、無原なる三者、生命を施す分れざる

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 832]---------------------

尊貴なる惟一者、生れざる父、生れたる言及び子、父より出づる聖神よ、我等爾を歌ふ者を救ひ給へ。

生神女讃詞、神の母よ、爾の産は智慧に超ゆ、蓋爾の孕は夫に由らず、産は童貞の産なり、生れし者は神なればなり。我等彼を崇め讃めて、爾童貞女を讃揚す。』

 

句、地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我專ら之を慕ふ。

人人よ、我等歌を以て萬有の王及び神の勇毅なる軍たる致命者を讃め揚げん、彼等勇ましく惡鬼の隊に勝ちたればなり、彼等を歌ひて、主宰を崇め讃む。』

句、主よ、爾が選び近づけし者は福なり。

ハリストスよ、爾が悉くの爾の造物を興して審判せん時、今も受けし爾の信なる諸僕を憐み、彼等が度生の日に行ひし諸罪を赦して、彼等を爾の諸聖人と偕に世世に安ぜしめ給へ。

イルモス、イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東、我等彼を崇めて、童貞女を讃め揚ぐ。

 

   差遣詞

古世よりの奥密は今日知らる、神の言神は慈憐に由りて童貞女マリヤの子と爲る、ガウリイルは福音の歡喜を告ぐ。我等皆彼と偕に呼ばん、主の母よ、慶べ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 833]---------------------

「凡そ呼吸ある者」に四句を立てて讃頌を歌ふ、第四調。

至聖なる童貞女よ、隠れたる奥密、天使等にも知られざる者は天使首ガウリイルに託せらる。彼は今爾獨無にして善美なる鴿、我が族の喚起なる者に來りて、爾に慶べよと呼ばん、其言に由りて神言を爾の胎内に受くる爲に己を備へ給へ。二次。

主宰よ、光明なる宮として、神女の潔き胎は爾の爲に備へられたり、降りて其内に入り、爾の造物、猜忌に由りて誘はれて敵の奴隷と爲り、始の善美を失ひて、爾の救の降臨を待つ者に恩惠を垂れ給へ。

純潔なる者よ、天使首ガウリイルは顯に來りて爾に呼ばん、詛を解き、陷りし者を起す童貞女よ、慶べ、獨神に選ばれたる者よ、慶べ、光榮の日の輅よ、慶べ。爾の腹に居らんと欲する無形の主を受けよ。

   光榮、今も、自調、第四調。

生神女は曾て識らざりし言を聞けり、蓋天使首は彼に福音の宣示を述べたり、是に於て彼は正しく問安を受けて、爾永久の神を孕めり。故に我等も喜びて爾に呼ぶ、變易せずして彼より身を取りし神よ、世界に平安、我等の靈に大なる憐を賜へ。

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 早課 834]---------------------

   大詠頌、并に發放詞。

 

           ~~~~~~

 

 

聖體禮儀に代式及び「アカフィスト」の規程の第三并に第六歌頌。提綱、第三調、生神女の歌、我が靈は主を崇め、我が神は神我が救主を悦べり。句、蓋其婢の卑しきを顧みたり、今より後萬世我を福なりと謂はん。使徒はエウレイ書三百二十二端。又生神女の、同書三百二十端。「アリルイヤ」、第八調、主よ、爾及び爾が能力の匱は爾が安息の所に立てよ。句、主よ、ダワィドと其悉くの憂とを記憶せよ。本日の福音經はマルコ三十五端。又生神女の、ルカ五十四端。領聖詞、我救の爵を受けて主の名をばん。

 

          ~~~~~~

 

 

 

 

---------------------[大齋第五週間 「アカフィスト」の「スボタ」 聖體禮儀 835]---------------------

 

 聖大齋の第五主日

 

奉事式は他の主日と同じ。其内に月課經の遇ふ所の聖人の奉事を歌ふ。又此の主日に克肖なる吾が母エギペトのマリヤの奉事を歌ふ例あり。

「スボタ」の晩課に首誦聖詠及び常例の聖詠誦讀の後に、「主よ、爾にぶ」に十句を立てて讃頌を歌ふ、八調經の復活の三、アナトリイの三、及び克肖女の三を四と爲して歌ふ。第六調。

 

讃美たる者よ、爾が先に犯しし不潔なる行の汚穢は爾に聖にせられし者を見ることを禁じたり。然れども爾の情感と神に照されたる良心とは爾が最善なる事に轉ずるを致せり。蓋爾は祝福せられし神女の聖像を見て、己の前の悉くの罪を痛悔して、毅然として尊き木に伏拜せり

常に記憶せらるる母よ、爾は欣ばしく聖なる所に伏拜して、彼處より諸徳の救を爲す途の備を受けて、勇ましく善き旅に進み、イオルダンの流を渉りて、熱心に前驅の居處に入り、度生を以て諸慾の烈しきを制し、勇敢にして肉體の膨脹を痩せしめたり。

福たる者よ、爾は野に入りて、靈より爾の諸慾の相を去りて、靈の内に神の

---------------------[大齋第五主日 「スボタ」の晩課 836]---------------------

肖を爲す諸徳の美しき像を描き、至りて光明なる者と爲りて、輙く水を渉り、神に祈する時地より離るるに至れり。至榮なるマリヤよ、今毅然としてハリストスの前に立ちて、我等の靈の爲に祈り給へ。

光榮、第四調、ハリストスよ、爾の十字架の力は奇跡を顯して、先に淫婦たりし者が齋の功を修むるを致せり、是に由りて彼は柔弱を去りて、勇ましく惡魔に敵せり。故に勝利の尊貴を蒙りて、我等の靈の爲に祈る。

   今も、本調の第一の生神女讃詞。

   挿句に八調經の讃頌

光榮、克肖女の、第二調、克肖なる者よ、爾は節制の劍を以て靈の誘惑と體の諸慾とを斬り、緘默の風習を以て思念の愆尤を制し、爾の涙の流を以て野を霑して、我等の爲に痛悔の實を生ぜり。故に我等爾の記憶を祭る。

今も、同調の生神女讚詞、「鳴呼新なる奇跡、古の悉くの奇跡に勝る者や」。

   復活の讃詞

又克肖女の、第八調、母よ、爾の内に神の像に由る者は確に救はれたり。蓋爾は十字架を執りてハリストスに從ひ、過ぎ易き體を輕じ、不死の者たる靈の爲に慮ることを行を以て敎へたり。故に克肖なるマリヤよ、爾の神は諸天使と

---------------------[大齋第五主日 「スボタ」の晩課 837]---------------------

偕に喜び給ふ。

生神女讃詞、「我等の爲に童貞女より生れ」。

 

   「主は神なり」にも右の讃詞及び生神女讃詞。

   其他の式は常例の如し。

 

         ~~~~~~

 

 

 第五主日の早課

 

常例の次第の後に三規程、復活の、生神女のと共に、六句に、三歌經の左の四句に、及び克肖女の四句に。

 

   富める者及びラザリの規程。第八調。

   第一歌頌

イルモス、「イズライリは乾ける地の如く水を過り」。

我は日日に奢り樂しむ富める者と偕に逸樂の富に委ねられたり。故に爾に祈る、救世主よ、我をラザリの如く火より救ひ給へ。

---------------------[大齋第五主日 早課 838]---------------------

救世主よ、我は彼の細布と、黄金と、金色の袍とを以て己を覆ひたる者の如く逸樂を衣たり。求む、我を彼の如く火に遣す勿れ。

昔富める者は富と逸樂とを以て過ぎ易き生命に於て樂しめり、故に苦に定められ、貧しきラザリは潤されたり。

生神女讃詞、聘女ならぬ母よ、諸天使と人人の會は絶えず爾を讃め揚ぐ、蓋爾は彼等の造成主を赤子として爾の手に抱き給へり。

 

   又克肖女の規程、四句に。第六調。

イルモス、「昔逐ひつめし窘迫者を海の波にて匿しし主を」。

近づき難き光たるハリストスの前に立つ克肖なる者よ、我愛を以て爾の光明にして神聖なる記憶を祭る者に光を降して、我を度生の悉くの誘惑より脱れしめ給へ。

身にてエギペト人に適きし像り難き永久なる主、一切を其存在の前に知る者は爾をエギペトより至りて光明なる星と顯し給ふ。

讃美たる尊き克肖者よ、爾は神聖なる戒を知らずして、神の聖なる像を汚せり、然れども爾の聖なる行を以て神成せられて、神の攝理に由りて復之を潔め給へり。

---------------------[大齋第五主日 早課 839]---------------------

生神女讃詞、鳴呼我が神よ、爾の慈憐は大なる哉、爾の寛容は言ひ難き哉、若何ぞ先に淫婦たりし者を、爾の母の祈に由りて、潔浄無なる者として天使等に肖たる者と爲したる。

 

   第三歌頌

イルモス、「主よ、爾は爾に趨り附く者の固」。

ハリストスよ、ラザリをより救ひし如く、我爾の不當なる僕をも「ゲエンナ」の火より脱れしめ給へ。

主よ、我は諸慾と逸樂とに富める者にして、諸徳の乏しきを以ては貧しきラザリなり、然れども我を救ひ給へ。

富める者は逸樂と諸罪とを以て紫袍と細布とを衣たり、故に火に付さる。』

生神女讃詞、純潔なる者よ、爾の祈を以て我に援助を賜ひて、甚しき誘惑の攻撃を防ぎ給へ。

又、イルモス、「造物は爾、全地を寄する所なくして」。

 

最尊き者よ、先に神性の力を以て地獄の門を壞ちし主、親ら生命の門たる者は、爾不當の行に由りて滅亡の門に近づきし者の爲に痛悔の門を啓き給ふ。』

恒忍にして慈憐なる主よ、爾は先に罪の器たりし者を、神聖なる十字架の器に

---------------------[大齋第五主日 早課 840]---------------------

伏拜するに由りて、惡鬼の悉くの器と凡の惡謀とに勝つ者と爲し給へり。』

衆人に生命を賜ふ主、先に衆人の爲に贖として己の血を流しし者は、爾至りて惡しき行の甚しき癩病を病める者を涙の洗を以て潔き者と爲し給ふ。』

生神女讃詞、童貞女よ、爾に於て行はれし事は凡の言に超ゆ、蓋父の言、一言を以て凡そ罪を犯す者に赦罪を賜ふ主は神に合ふが如く爾の内に入り給へり。

 

   坐誦讃詞、第八調。

至尊至福なる者よ、爾は齋の勤行を以て肉慾の悉くの動搖を制して、爾の靈の勇敢なる決心を顯せり。蓋主の十字架を見んと欲して、己を世の爲に釘せり、此に由りて熱心に天使の如き度生の望を遂げ給へり。愛を以て爾の聖なる記憶を尊む者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。

 

光榮、今も、生神女讃詞、我等は天の門及び約匱、至聖なる山、耀く雲、焚かれぬ棘、靈智の樂園、エワの喚起、全世界の大なる寶たる童貞女を歌はん。蓋彼の内に世界の爲に救と古の諸罪の赦免とは行はれたり。故に我等彼に呼ぶ、敬虔にして爾の至聖なる産に伏拜する者に諸罪の赦を賜はんことを爾の子及び神に祈り給へ。

---------------------[大齋第五主日 早課 841]---------------------

 

   第四歌頌

イルモス、「主よ、我爾が攝理の祕密を聆き」。

富める者は食を樂しみ、衣服を喜べるに、ラザリは其食卓の屑を以て腹を果たさんと欲せり。

犬は舌を以て貧しきラザリの腫物を舐りて、富める者より多く貧者を愍む者と爲れり。

救世主よ、昔ラザリは富める者の門の前に臥して、貧窮の厄に苦しめり、故に今榮せらる。

生神女讃詞、至浄なる者よ、爾が生みし主に爾を歌ふ者が兇惡者の奴隷より救はれんことを祈り給へ、爾は獨我等の轉達者なればなり。

   又、イルモス、「アウワクムは爾が十字架に於ける神聖なる謙虚」。

 

人を愛する主よ、爾は人の性の造成者、仁慈の泉、慈憐の富として、爾に趨り附きし者を憐みて、之を囓まんとする猛獸より出し給へり。

奇とすべきマリヤよ、爾は十字架を見んことを熱望して、十字架の光照に照され、十字架を以て爾に語りし主の神聖なる指麾に因りて世の爲に釘せられたり。

---------------------[大齋第五主日 早課 842]---------------------

克肖者よ、爾は先に衆くの者の爲に惡業の縁由、罪過の誘惑と爲りしに、日の如く輝きて、凡そ罪を行ふ者の爲に悔改の嚮導者と現れたり。

生神女讃詞、萬有の王の靈智の天たる潔き者よ、爾は天の者の智慧にも超えたり、蓋天性の法に由らずして、萬有の立法者及び造成者を生み給へり。

 

   第五歌頌

イルモス、「隱れざる光よ、何ぞ我を爾の顏より退けし」。

富める者はラザリがアウラアムの懐に在りて、光と光榮との中に樂しめるを見る時呼べり、父アウラアムよ、我火に定められて、舌の甚しく燒かるる者を憐み給へ。

アウラアムは富める者に謂へり、爾は在世の時に富を以て樂しめり、故に此に火の中にありて永遠に苦しみ、貧しきラザリは終なき樂を以て喜ぶ。

人を愛する主よ、我は度生の迷に富む者と爲りて、富める者の如く生命を逸樂の中に費せり、然れども爾の慈憐に祈りて、ラザリの救はれし如く、我が火より救はれんことを求む。

生神女讃詞、純潔なる者よ、祈る、母の勇敢を子の前に獲て、我等同族の者の爲に絶えず慮り給へ、蓋我等「ハリスティアニン」は獨爾を主宰の前に嘉く納れら

---------------------[大齋第五主日 早課 843]---------------------

るべき轉達として進む。

   又、イルモス、「ハリストスよ、イサイヤは我等の爲に仁慈に因りて」。

 

昔至榮なるモイセイはシナイ山に於て祕密にして神の背を見る光榮を獲て、驚くべき奥義を記せり。今マリヤは「マンナ」を受くる壼に形れる者の至淨なる聖像の前に熱心に俯伏して、天使の如き生を送る。

ハリストスよ、爾の殿を汚しし者は、聖詠に言へる如く、爾が居る所の室と爾が光榮の住所の處とを見んことを熱望せり。祈る、爾の殿と爲りし婚姻に與からざる者の祈に由りて、我を全能なる聖神の殿と爲し給へ。

肉體の釣にて衆くの者の目を捕へ、暫時の逸樂に由りて彼等を惡魔の食と爲しし者は、尊き十字架の神聖なる恩寵に由りて眞に捕らはれて、ハリストスの至りて甘味なる食と爲れり。

生神女讃詞、純潔なる者よ、預言者の會は爾に於ける祕密に敎へられて、神に感ぜらるる奥義の言を以て多方に爾を預言せり。此のマリヤは今「マンナ」を受くる壺に形れる爾の至淨なる聖像に伏拜して罪なる者の爲に神の前に轉達者と爲れり。

 

   第六歌頌

---------------------[大齋第五主日 早課 844]---------------------

イルモス、「救世主よ、我を浄め給へ」。

富める者は逸樂の度生を以て己を火の爲に定め、貧しきラザリは、此の生命の中に貧窮を擇びて、終なき喜を獲たり。

ラザリはアウラアムの懐に在りて永遠の生命を得て樂しみ、富める者は靈と體とを火の爲に定められて苦しむ。

富める者はラザリの爲に定められたり。人を愛する主よ、祈る、我不當の者を定罪せずして、ラザリの如く爾の光を獲しめ給へ。

生神女讃詞、潔き神の母よ、願はくは我等は爾の祈に由りて多くの罪より救はれて、爾より言ひ難く身を取りし神の子の神聖なる光照を受けん。

   又、イルモス、「今を限の罪の淵は我を圍めり」。

 

克肖なるマリヤよ、天使の軍は爾の内に彼等と同じき度生を見て喜びて、光榮を主に歸す。

暗黒なる惡鬼の群は爾の忍耐の力に驚く、爾は婦女にして裸體且獨身たるに、奇妙に彼等に勝ちたればなり。

至りて讃美たるマリヤよ、爾は日の如く輝きて、諸の奇跡を以て野を照せり。求む、我をも光を以て耀やかし給へ。

---------------------[大齋第五主日 早課 845]---------------------

生神女讃詞、童貞女よ、諸天使は爾の産の光榮に照されて、我等衆の爲に地に平安、人人に惠の臨みしを歌へり。

 

   小讃詞、第三調。

先に淫行に耽りたる者は今は痛悔に由りてハリストスの聘女と現れ、天使の度生に效ひて、十字架の武器を以て惡鬼を滅す。故に至榮なるマリヤよ、爾は天の國の聘女と現れたり。

   同讃詞

我等歌を以てハリストスの羊たる常に記憶せらるべきマリヤを歌はん。彼はエギペト人の中より出でたれども、彼等の迷を盡く捨て、己を尊き禮物として敎會に獻じ、節制と祈とを以て人性の度に過ぎて勤勞せり。故に至尊なるマリヤよ、爾は度生と行との爲にハリストスに擧げられて、天の國の聘女と現れたり。

 

   第七歌頌

イルモス、「昔ワワィロンに於てイウデヤより來りし少者は」。

昔イオフが塵芥と糞土に臥したる如く、斯くラザリは富める者の門の前に坐して呼べり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

---------------------[大齋第五主日 早課 846]---------------------

昔ラザリは無慈悲なる富める者の門の前に臥して、其食卓の屑を望みたれども、一人も彼に與へざりき、彼は之に代へてアウラアムの懐を得たり。

我がハリストスよ、祈る、我に無慈悲なる富める者の分を逃れしめて、我を貧しきラザリに合せて、感謝の心を抱きて爾に呼ばしめ給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

生神女讃詞、爾は童貞女の腹より身を取りて、我等の救の爲に現れ給へり。故に我等爾の母を生神女と知りて、感謝の心を抱きて呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   又、イルモス、「少者はワワィロンに於て爐のを懼れざりき」。

 

諸神父の中に至大なる睿智者ゾシマは野を巡り、克肖女を見るを得て呼ぶ、吾が先祖の神よ爾は崇め讃めらる。

父よ、何ぞ一も徳行なき不當なる婦を見ん爲に來りたると、克肖女は翁に問ひ、且呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

福たる者よ、爾は己の諸慾の動搖を殺して、今無慾の港に進みて呼ぶ、主吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

生神女讃詞、至浄なる者よ、爾は言ひ難く孕み、童貞女に止まりて、世界の爲に

---------------------[大齋第五主日 早課 847]---------------------

救なるハリストス吾が神を生み給へり。故に我等衆信者は歌を以て爾を讃め揚ぐ。

 

   第八歌頌

イルモス、「ハルデヤの窘迫者は怒に堪へずして」。

昔不當なる富める者は紫袍と、細布と、金色の衣とを衣て樂しめり。貧しきラザリは其門に苦しみ臥して、食卓より遺つる屑を以て腹を果たさんと欲したれども、一人も彼に與へざりき。故に彼は光榮の中にハリストスと共に王たり。

體に腐る瘡を病めるラザリは富める者の門に臥して、食卓の屑を食はんと欲したれども、一人も彼に與へざりき、唯犬は憐みて舌を以て其膿と腫物とを舐れり。故に彼は樂園に於て樂を得たり。

大仁慈なる主よ、昔富める者が日日に紫の衣を衣て逸樂に耽りたる如く、我も此の生命の逸樂と迷謬とに陷るを以て己を罪す。故に爾に祈る、ハリストスよ、永遠の火より我を萬世に脱れしめ給へ。

 

三者讃詞、三光の神性、獨一の耀ける光、惟一なる三位の性の無原なる父、父と一性なる言、及び共に王たる一性の神を、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ民よ、

---------------------[大齋第五主日 早課 848]---------------------

萬世に尊み崇めよ。

   又、イルモス、「天よ、畏れて戰け、地の基は動くべし」。

 

心腹の深きを試み、我等が存在の前に一切我等の事を識る救世主よ、爾に趨り附きし者を爾は罪惡の度生より出し給へり。故に彼は絶えず爾の仁愛に呼ぶ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

鳴呼爾の尊き變易、奇妙なる遷善や、鳴呼神聖なる愛、肉體の逸樂を惡みし者や、鳴呼燃ゆる神妙なる信や、至りて讃美たるマリヤよ、我等忠信に爾を讃めて、世世に尊み崇む。。

尊貴なるマリヤよ、爾は苦難の報、勤勞の褒賞を獲たり。爾は此の勞苦を以て殺害の敵を斃し、今諸天使と偕に默すなくハリストスに歌を奉りて、世世に彼を崇め讃む。

生神女讃詞、潔き者よ、萬世の主宰は、仁慈に由りて、爾の腹の中に二性を易へずして、我を全く新にし給へり。此に由りて我等は爾を我が救の縁由として、歌を以て萬世に讃め揚ぐ。

 

   第九歌頌

イルモス、「爾至上の神の母、婚姻に與からざる童貞女」。

---------------------[大齋第五主日 早課 849]---------------------

ハリストスよ、祈る、本性の神として、我を貧しきラザリと爲し、我が逸樂の慾を斷ちて、我を徳に富む者と顯し給へ、我が熱信に歌を以て爾を崇め讃めん爲なり。

人を愛する主よ、我惡に富み、心に無慈悲なる、信の貧しき者は爾の戒の門の前に仆れて臥す。祈る、仁慈愛憐の主として、昔の四日目の死者たる爾の友ラザリの如く我を起し給へ。

我等衆信者は主宰の譬を學べり、故に皆富める者の無慈悲を惡まん、苦を免れて、常にアウラアムの懐に在りて樂しまん爲なり。

生神女讃詞、我等は爾、見えざる神、萬物に歌はれ、爾に由りて常に我等に救を賜ふ主を手に抱きし者を熱信に崇め讃む。

   又、イルモス、「母よ、我爾が種なくして孕みし子の」。

 

潔き母、修齋者の尊榮、克肖者の譽よ、爾はハリストスの權能の力に堅められて、輙く野の勞苦を忍びたり、蓋神聖なる涙の流を以て遇ふ所の不潔の念を抹し給へり。

尊きマリヤ、節制者の飾、克肖者の固よ、獨光なるハリストスを生みし潔き童貞女は至りて輝ける光線を以て爾を照して、爾を諸敵の爲に畏るべき者と爲し、

---------------------[大齋第五主日 早課 850]---------------------

衆の爲に光明なる者と顯し給ふ。

爾は睿智にして一切地上の事を棄てて、聖神の尊き居處と顯れたり。熱信に爾の神聖なる記憶を行ふ者が世俗の苦難より救はれんことを惟一の贖罪主ハリストスに祈り給へ。

生神女讃詞、潔き童貞女、萬有の造成主の神靈の天なる者よ、爾は性に超えて性の法に由らずして、地上に新なる嬰兒、立法者にして日の老いたる者を生み給へり。故に我等信と愛とを以て爾を讃揚す。

 

   光耀歌は復活の、次に克肖女の。

至りて克肖なるマリヤよ、我等は爾を痛悔の規範として有つ。齋の時に我等に之を賜はらんことをハリストスに祈り給へ、我等が信と愛とを抱きて歌を以て爾を讃め揚げん爲なり。

生神女讃詞、諸天使の樂、憂ふる者の喜、「ハリスティアニン」等の轉達者たる童貞女、主の母よ、我等を守りて、永遠の苦より救ひ給へ。

 

   「凡そ呼吸ある者」に復活の讃頌、八調經の四、及びアナトリイの四。

次ぎて句を誦す、「主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ」。

   自調を歌ふ、第一調。

---------------------[大齋第五主日 早課 851]---------------------

神の國は飮食に在らず、乃義と、節制と、聖潔とに在るなり。故に富める者は其中に入るべきにあらず、己の財を貧しき者の手に納むる者は入らん。預言者ダワィドも之を敎へて言ふ、義人は毎日憐を施し、主を以て慰と爲し、光の中を行きて躓かざらん。此等皆我等の敎訓の爲に録されたり、我等が齋して善事を行はん爲なり、然らば主は地上の物に代へて我等に天上の物を賜はん。

 

光榮、同上。今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。大詠頌。并に發放詞。光榮、今も、福音の讃頌、及び第一時課。

              ~~~~~~,

 

聖體禮儀に本調の眞福詞。使徒の提綱は本調に据る。使徒はエウレイ書三百二十一端の半より。又克肖女の、ガラティヤ書二百八端。「アリルイヤ」は本調に据る。福音經はマルコ四十七端。又克肖女の、ルカ三十三端。領聖詞「天より主を讃め揚げよ」。

 

           ~~~~~~

 

 

---------------------[大齋第五主日 聖體禮儀 852]---------------------

 

 

 第五主日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に十句を立てて讃頌を歌ふ、八調經の傷感の、常調の四、及び三歌經の三。

   第一調

富めるハリストスよ、爾は貧しくなりて、人人を不死と光照とに富まし給へり。求む、我度生の逸樂に由りて貧しくなりたる者を諸徳に富まし、貧しきラザリに合せて、富める者の苦と我の前に在る「ゲエンナ」とを免れしめ給へ。』

主よ、我甚しく惡に富み、逸樂を愛して、生命の中なる慰を樂しみて、「ゲエンナ」の火に定められし者と爲れり。主宰よ、我靈にて飢ゑ、ラザリの如く棄てられて、神聖なる行の門の前に仆されたる者を憐み給へ。

   又讃頌、同調。

信者よ、我等熱心に尊き齋の第六の週間を始めて、主に枝の祭の前期の歌を奉らん。彼は光榮の中にイエルサリムに往きて、神性の力を以て死を死さん。故に我等敬虔に勝利の印章、徳行の枝を備へて、萬有の造成主に「オサンナ」を呼ばん。

---------------------[大齋第五主日 晩課 853]---------------------

   又月課經の三章。光榮、今も、生神女讃詞。聖入。「穏なる光」。提綱、第八調、神よ、爾は我に爾の名を懼るる者の嗣業を賜へり。其句と共に。聖齋の第一主日第三百七十三頁を見よ。其他常例の如し。

 

   挿句に本日の自調、二次。第一調。

救世主の我等を愛する旨は奇異なる哉、蓋未來の事を現在の如くに知りて、ラザリと富める者との度生を示せり。我等は兩の者の終を見て、彼の無慈悲と無慙とを避け、此の忍耐と堅固とに效はん、此と偕にアウラアムの懐に温められて呼ばん爲なり、義なる審判者主よ、光榮は爾に歸す。

致命者讃詞、主よ、衆聖人及び生神女の祈に因りて、爾の平安を我等に與へ、我等を憐み給へ、爾獨仁慈の廣き主なればなり。

光榮、今も、生神女讃詞、天の品位の歡喜、地上に人人の堅固なる轉達、至りて潔き生神童貞女よ、爾に趨り附く我等を救ひ給へ、我等神に亜ぎて爾に憑頼を負はせたればなり。

            ~~~~~~

 

---------------------[大齋第五主日 晩課 854]---------------------