大斎 第5週



第五週間の月曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞二及び生神女讃詞を歌ふ。

第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第三調。

兄弟よ、最美しき時は至り、節制の讃むべき日は輝けり。務めて己を浄めん、潔

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 689]---------------------

き者として造成主の前に現れて、彼の美しきを見るを得ん爲なり、彼を生みし獨潔き神の母の祈に因りてなり。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、生神女よガウリイルは爾の童貞の美しき及び爾の光明なる潔淨を奇として、爾に呼べり、我爾に適ふ何の讃美を捧げん、何を以て爾を名づけん、我訝りて驚く。故に命ぜられし如く爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。

 

第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェオドル師の作、第七調。

我等に今の日、ラザリの死よりの至榮なる復活を光明に前照する聖なる週間に至らしめし主よ、爾の諸僕に爾を畏るる畏を以て齋の途を全く終ふるを得しめ給へ。二次。

 

生神女讃詞、純潔なる童貞女よ、爾は至榮なるヘルワィムより尊し、蓋彼等は神の力に勝へずして、翼にて面を蔽ひて奉事を行ふ、爾は身を取りし言を親しく視て抱き給ふ。我等の靈の爲に絶えず彼に祈り給へ。

 

規程は月課經の、及び三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第三調。

   第一歌頌

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 690]---------------------

イルモス、「昔神妙の瞬にて水を一區に匯め」。

我等は聖なる齋の神聖なる耜を以て吾が思を耕作して、諸徳の穗を生ぜん、欣ばしく盡されぬ甘味を樂しみて、世世に飢えざらん爲なり。

無原なる父の永遠の言よ、我不當なる吾が靈を昧ます多年の諸慾を己の内に抱く者は、痛悔の心を以て爾の勝たれぬ力の前に俯伏して祈る、我を憐みて救ひ給へ。

善き齋は信を以て讃美を全能者に奉る者の心を養ひ、神を悦ばしむる思を増し、諸慾の淵を涸らし、傷感の雨を以て靈を潔む。

生神女讃詞、多名なる少女、聖なる童貞女、神の母マリヤ、信者の譽、詛を解く者、天の梯、測られぬ奇跡、焚かれぬ棘、耕作せられぬ地よ、慶べ。

 

   又フェオドル師の作、第七調。

イルモス、「ファラオンの全軍を海に沈めし」。

我等は生を施す木に伏拜して、是より齋の途に由りて喜びてハリストスの苦に往かん。

我等はハリストスに從ひて世を捨て、十字架を肩に任ひて、彼の神聖なる苦に效はん。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 691]---------------------

三者讃詞、我等衆三位に於て實在なる惟一の神性、父、子、及び聖神を歌頌せん。』

生神女讃詞、童貞を守りて測り難くイイスス救世主を生みし潔き者よ、彼に今爾の諸僕を憐まんことを祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾が光榮の中に諸天使と偕に萬民を審判する爲に來らん時、我等に善き答を爾に爲さんことを得しめ給へ。

イルモス、ファラオンの全軍を海に沈めし主に凱歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。

 

   第八歌頌

イルモス、「ワワィロンの爐が少者を焚かざりし如く」。

救世主よ、我蛇の有害なる誘に引かれ、毎日智慧を迷はされ、我が傷に傷を加ふる者は爾に呼ぶ、病む者の醫師よ、我を還して救ひ給へ。

昔齋して神に堅めらるるエリセイはソマンの婦の子を復活せしめたり。我等信者逸樂に殺されたる者は生を施す齋にて活かされん。

人を愛する主よ、爾は慈憐なるに由りて、昔涙と齋とを以て痛悔せしニネワィヤ人を救ひ給へり。我等爾に奉る行を有たざる者を爾の仁慈を以て宥め給へ。』

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 692]---------------------

生神女讃詞、産の後に不朽に止まりし純潔無なる者よ、祈る、我等爾の諸僕を朽壞より救ひ給へ、蓋我等は靈の一意を以て熱切に歌ふ、主の造物は主を崇め讃めよ。

   又、イルモス、「世界の造成主、ヘルワィムの爲に畏るべく」。

 

我等信者は節制の目標を有ちて、神の助を以て勇ましく聖なる前途を趨りて、榮冠を受けん。

ハリストスよ、我が多病なる靈の結果なきを見て、復忍びて、夫の詛はれたる無花果樹の如く我を斫る勿れ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃詞、一元の三者及び三位の惟一者、父、子、聖神よ、爾を歌頌する者を凡の誘惑と災禍より救ひ給へ。

生神女讃詞、神の山よ、慶べ、常に光明なる燈よ、慶べ、新なる天よ、慶べ、輝ける智慧よ、慶べ、主の殿よ、慶べ、讃美たる者よ、慶べ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、我爾の畏るべき審判を思ひて、畏れ慄きて呼ぶ、無量なる大仁慈を有つ主よ、我不當の者を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 693]---------------------

  我等主を讚め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、世界の造成主、ヘルワィムの爲に畏るべく、セラフィムの爲に奇異なる主を、司祭等と諸僕と諸義人の靈よ、歌ひ、崇め、世世に彼を讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「神に適ふ新なる奇蹟や」。

齋の恩寵は今神聖なる爵に傷感を盈てて、衆信者を集めて呼ぶ、喜を以て來り樂しみ、諸慾の醉を斥けよ、將來の慰を得ん爲なり。

審判は邇し、靈よ、醒せよ、良心を以て慮れ、善を行へ、爾を常に定罪せられざる者として守れ。蓋若し我等此處に在りて己を糺さば、彼處に、罪ある者が證者を要せずして定罪せらるる處に於て、敢て定罪せられざらん。

首領、能力、寶座、セラフィム、主制、權柄、ヘルワィム、天使、天使首よ、神に祈りて、我等が其旨に適ふ事を行ひて、齋の時を過ぐるを求め給へ、我等が主を悦ばせし僕として光榮を得ん爲なり。

生神女讃詞、ハリストスよ、爾を生みし童貞女が諸致命者、預言者、衆克肖者と偕に、我等、爾獨仁愛なる主宰、天軍の戰く主を怒らせたる諸僕の爲に常に祈るを納れ給へ。

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 694]---------------------

   又、イルモス、「性に超えて母性に順ひて童貞女」。

我等齋の穏なる海を神の吹嘘に由りて渡りて、ハリストスの苦の港に到るを祈らん。

我ハナアンの婦に效ひて爾に呼ぶ、ダワィドの子神よ、我を憐みて、彼の女の如く、吾が弱りたる靈を醫し給へ。

三者讃詞、我等は神性の惟一にして、本質の三位なる神、父、子、聖神を歌頌せん。』

生神女讃詞、測り難き言を種なく孕みて、其身を取りたるを生みし童貞女よ、彼に我等の靈の救はれんことを切に祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

税吏を義と爲しし主よ、我を潔め給へ、蓋我呼ぶ、萬衆の審判者よ、我罪人をも憐みて、我が諸罪を赦し給へ。

イルモス、性に超えて母、性に順ひて童貞女、女の中に獨祝讃せらるる者を、我等信者は歌を以て生神女として崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次、第八調。

萬有の主宰よ、我は盗賊に遇ひし人に似たる者と爲りて、我が諸罪に陷りて、

---------------------[大齋第五週間月曜日 早課 695]---------------------

此等より無慙に傷つけられたり。祈る、我を醫さるるなく棄つる勿れ、サマリヤよりするにあらずして、至淨なる童貞女より來りしイイスス、救の名よ、我を憐み給へ。

致命者讃詞、聖なる者よ、我等何を以てか爾等を稱せん、ヘルワィムとせんか、ハリストス爾等の上に息ひたればなり、セラフィムとせんか、爾等絶えず彼を讃榮したればなり、天使とせんか、爾等肉體を捨てたればなり、能力とせんか、爾等奇跡を行へばなり。爾等の名は多く、恩賜は更に多し。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、恩寵を蒙れる者、聘女ならぬ母よ、天の者は爾を歌ひ我等も爾の究め難き産を崇め讃む。生神女よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

         ~~~~~~

 

 

   第六時課に預言の讃詞、第三調。

我等の不法は起きて我等を攻むるに因りて、主よ、起きて我等を援け給へ、蓋爾は我等の父なり、爾の外に我等他の者を知らず。

 

   提綱、第八十三聖詠、第四調。

---------------------[大齋第五週間月曜日 第六時課 696]---------------------

萬軍の主よ、爾の住所は何ぞ愛すべき。句、我が靈は厚く慕ひて主の庭を望む。

 

   イサイヤの預言書の讀。第三十七、三十八章。

主はアッシリヤ王の事に付きて是くの如く言ふ、彼は斯の城に入らず、斯に矢を發たず、干を執りて之に就かず、壘を築きて之を攻めざらん、彼は其來りし路より歸りて、斯の城に入らざらん、主之を言ふ。我斯の邑を衛りて、己の爲及び我が僕ダワィドの爲の故に之を救はんと。是に於て主の使出でて、アッシリヤの陣營の中に十八萬五千人を殺せり。夙に興きて之を視れば、皆屍と爲れり。アッシリヤの王センナヘリム退きて、行き歸りてニネワィヤに居りたり。一日彼己の神ナサラフの廟に禮拜せるに、彼の子アドラメレフとサラサルと劍を以て彼を殺し、自らアララトの地に逃げたり。彼の子、アソルダン繼ぎて王と爲れり。彼の日エゼキヤ病みて死せんとせり。アモスの子、預言者イサイヤ來りて彼に謂へり、主是くの如く言ふ、爾の家に遺命せよ、蓋爾死して生きざらん。其時エゼキヤ面を壁に向けて、主に祈りて曰へり、嗚呼主よ、求む、我爾の前に眞實を以て、全き心を以て行き、爾が視て善と爲す所を行ひしを記憶せよ。是に於てエゼキヤ大に哭けり、主の言イサイヤに臨みて曰へり、往きてエゼキヤに謂へ、爾の祖ダワィドの主神は是くの如く言ふ、我爾の祈りを聽き、爾の涙を見たり、視よ、我爾の日に十五年を加へ、且爾及

---------------------[大齋第五週間月曜日 第六時課 697]---------------------

び斯の城をアッシリヤ王の手より救ひて、斯の城を衛らん。

 

   提綱、第八十四聖詠、第八調、

主よ、爾の憐を我等に顯し、爾の救を我等に施し給へ、句、主よ、爾は已に憐を爾の地に施し、イアコフの俘を歸せり。

 

【注意】

大規程の木曜日の「カフィズマ」の事を知るべし、比の三「カフィズマ」は木曜日に略して預之を讀むべし、以下各其示されたる所に於て之を讀め。

           ~~~~~~

 

 

  第五週間の月曜日の晩課

 

第十八「カフィズマ」「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、聖詠經の順序の「カフィズマ」、第十のを誦す。

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて左の三章、及び月課經の三章を歌ふ。

   三歌經の讃頌、イオシフ師の作、第三調。

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 698]---------------------

我等が敢て亡ぶるなく反正して生きん爲に、我等に齋の時を賜ひし神の言ハリストスよ、我等衆に善く爾の喜に適ひて、篤き傷感を以て爾に奉事するを得しめ給へ、昔彼の善智なる尊き淫婦、香料と熱き涙の流とを以て諸罪の赦を得たる者の如し。

我瞽者の如く心より爾に呼ぶ、神の子よ、我が心の目を啓き給へ。信なるハナネヤの如く爾に呼ぶ、洪恩なる主よ、我を憐み給へ、蓋我甚しく逸樂を疾める靈を有つ、之を諸慾の幽暗より還して、今より潔く生くるを得しめ給へ、我が爾の大なる慈憐を讃榮せん爲なり。

又、フェオドル師の作、第八調。

今日我等に節制の光明なる恩寵は日よりも明に輝きて、吾が靈を照し、罪惡の諸慾を雲の如く拂ふ。故に我等皆趨り附きて、敬みて之を承け、喜びて其神聖なる途を徃き、其樂に飽かせられてハリストスに呼ばん、仁慈なる主よ、熱信に之を行ふ者を聖にし給へ。

   又月課經の三。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第八十五聖詠、第四調。

主よ、我を爾の路に導き給へ、然せば我爾の眞理に行かん、句、主よ、爾の耳を傾

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 699]---------------------

けて我に聽き給へ。

   創世記の讀。第十三章。

アウラムはハナアンの地に居り、ロトは近傍の邑に居りて、ソドムに幕を張れり。ソドムの人人は惡しくして、神の前に大なる罪人たりき。ロトのアウラムに別れし後、神アウラムに謂へり、爾の目を擧げて、爾の今居る處より北、南、東、海を觀よ、蓋凡そ爾が觀る所の地は、我之を永く爾及び爾の後裔に與へん、且我爾の後裔を地の沙の如く爲さん、若し人地の沙を數ふるを得ば、爾の後裔も數へられん、起ちて、縱横に斯の地を巡れ、蓋我之を永く爾及び爾の後裔に與へん、アウラムは幕を徙して、來りてヘウロンのマムブリイの橡の樹の傍に居たり、彼處に在りて主の爲に祭壇を築けり。

 

   提綱、第八十六聖詠、第四調。

主はシオンの門を愛すること、イアコフの悉くの住所に愈れり。句、彼の基は聖山に在り。

    箴言の讀。第十四、十五章。

主を畏るる寅畏は生命の泉より、死の罟より脱れしむ。民の多きは王の榮なり、民の寡なきは君主の禍なり。怒を遅くする者は多くの知識あり、氣の短き者は愚

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 700]---------------------

なることを顯す。温柔なる心は身の生命なり、娟嫉は骨の腐なり。貧しき者を虐ぐる人は其造成主を侮る、彼を敬ふ人は貧しき者を憐む。惡者は其惡の爲に棄てられん、義者は其死の時にも望あり。智慧は哲者の心に止まり、愚なる者の間にも己を顯す。義は國を高くし、不法は民を辱しむ。智なる僕は王の恩を蒙り、辱を來す者は其怒に遇ふ。怒は智者をも亡す。婉なる答は憤を止め、厲しき言は怒を激す。智慧ある者の舌は善き知識を施し、愚なる者の口は愚を吐く。主の目は何處にも在りて、惡人と善人と鑒みる。温柔なる舌は生命の樹なり、勒なき舌は靈の傷なり。

 

   挿句に自調、第七調。一次。

盗賊に遇ひし者の傷つけられし如く、斯く我諸罪に陷りしに由りて、我が靈は傷つけられたり。我誰にか趨り附きて醫さるるを得ん、唯爾靈と體との醫師にのみ、神よ、爾の大なる憐を我に沃ぎ給へ。

   又、自調、第四調。一次。

我等は始の犯罪に迷はされて、樂園の甘味と樂より恥づべき生命に引かれたり。蓋盗賊に遇ひし如く、罪過に由りて諸徳の尊くして譽むべき行を剥がれ、爾の救の敎に背きて、半死の者と爲れり。然れども爾、マリヤより現れて、苦に

---------------------[大齋第五週間月曜日 晩課 701]---------------------

與らざる者にして己を苦に付しし主宰に祈る、我が罪に由りて成りたる傷を裹みて、爾の無量の慈憐、爾の醫治の慮を我等に沃ぎ給へ、爾は人を愛する主なればなり。

致命者讃詞、聖なる致命者の忍耐を受けし仁愛の主よ、我等よりも歌詠を受けて、彼等の祈に因りて我等に大なる憐を與へ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、讃美たる生神女よ、爾の諸僕を悉くの禍より護り給へ、我等が爾我が靈の倚頼を讃榮せん爲なり。

 

             ~~~~~~~

 

 

  第五週間の火曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

次に第十一、十二、十三の「カフィズマ」を誦す。第一の誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞二、及び生神女讃詞を誦す。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第三調。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 702]---------------------

我等は信の熱きを以て、節制に由りて不節制の慾を焚き、罪の淵を免れ、涙の流を以て永遠のを滅して呼ばん、至仁なる主よ、我等爾の前に罪を犯せり、我等を潔めて、大なる憐を賜へ。二次。

   生神女讃詞

言の神聖なる幕と爲りし獨純潔なる童貞女母、潔淨を以て諸天使に超えたる者よ、我衆人に超えて塵と爲りて、肉體の諸罪に汚れたる者を爾の祈に由りて、神聖なる水を以て潔めて、大なる憐を賜へ。

 

第三の誦文の後にフェオドル師の坐誦讃詞、第二調。

最尊き齋の恩寵は至榮なり、此を以て預言者イリヤは火の車を得、モイセイは石板を受け、ダニイルは奇異なる者と爲り、エリセイは死者を起し、少者は火を滅し、凡の人は神と親しき者と爲れり。我等は此に養はれて呼ばん、斯く行ひ給ひしハリストス我等の神は崇め讃めらる、光榮は爾に歸す。二次。

   生神女讃詞

嗚呼神の母よ、我患難の中に爾の有力なる祈を得て、望に超えて奇妙に我を攻むる者より救はる、蓋爾は熱心に爾に求むる者を圍む所の誘惑より常に急ぎて解き給ふ。故に我感謝して爾に呼ぶ、女宰童貞女よ、萬事に於て我に賜ひし扶助の爲

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 703]---------------------

に我が奉る微小なる感謝を受け給へ。

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す、第三調。

 

   第二歌頌

イルモス、天地よ、耳を傾けて、我が言を聽け、我地に於て神の奇跡を語らんとすればなり。

我等は絶えざる祈と、節制と、默想とを以て靈を神聖なる愛に飛ばさん。

我等衆不節制の崖より逃れて、節制の光と神聖なる神とに照されん。

靈よ、神聖なる諸徳の鹽を以て諸罪の腐敗を潔めて、神に就けよ。

生神女讃詞、ハリストスは獨爾恩寵を蒙れる者の中に息ひて、己の身を爾より取り給へり。

   又、第二調。イルモス、「民よ、我が神たる力の行爲」。

我等は浄き齋、祈、涙、神聖なる諸事の學習、及び其他の凡の徳を合せて、今主宰ハリストスに奉らん。

エワは木の果にて誘はれたり、吾が靈よ、見よ、若し蛇が爾に就きて逸樂の果を食はんことを勸めば、誘はるる勿れ。

三者讃詞、我惟一の神體の三位なる父、子、及び聖神、惟一の神性の權柄及び國、

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 704]---------------------

惟一の神を讃榮す。

生神女讃詞、潔き者よ、爾の産は畏るべし、蓋人と爲りし者は無原に父より生れ、末の時に夫なく爾より生れし神なり。

   我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我がハリストスよ、爾は血漏を患ふる婦を爾の衣の裾に捫るを以て醫せり。

信を以て爾の仁慈に捫る我をも諸慾より醫して、健なる者と爲し給へ。

イルモス、民よ、我が神たる力の行爲の徴に意を注ぎ、是に由りて我が萬有の惟一の神なるを識れ。

 

   第八歌頌

イルモス、「至高きに天使等より默さずして」。

兇惡者は毎日隠に我が前に網を張りて、我を執へて呑まんと欲す。イオナを鯨より救ひし救世主よ、其惡謀より我を脱れしめ給へ。

我等は齋に潔められて、諸徳の山に登らん、然らば神が我等の内に何をか言はんを明に聽かん。蓋彼は平安と光照と、靈の苦痛の醫治とを言はん。

主よ、我常に諸罪の暗に昧まされて、爾の奇跡を悟る能はず。故に光を施すイイススよ、吾が心の目を啓き給へ。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 705]---------------------

生神女讃詞、なる永貞童女よ、爾の洪恩の沃ぐを以て吾が心の慾の汚を洗ひ、我に涙の流を與へて、我が靈を潔め給へ。

   又、イルモス、「昔火の中にエウレイの少者に露を注ぎ」。

 

火は滅えず蟲は死せずと言へり、嗚呼吾が靈よ、恐嚇を畏れてハリストスに勤めよ、凡そ樂しむ者の住所のある處に喜を獲ん爲なり。

主よ、祈る、諸慾の熱に焼かるる吾が靈を爾の捫るを以て、ペトルの岳母の如く起し給へ、我が爾の旨に適ひて爾に奉事して、萬世に爾を讚美するを得ん爲なり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、我等信者は永在にして無原なる父、同無原なる子、及び同無原に父より輝きし神、一性の三位、惟一全能なる神を歌頌せん。

生神女讃詞、神の召し給ひしマリヤよ、爾は實に信者の潔浄なり、蓋爾に由りて豐に衆人に赦罪は賜はる。爾の子及び主に爾を歌ふ者の爲に絶えず祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、昔聾にして訥れる者に於てせし如く、我が靈の聾と爲りたる

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 706]---------------------

耳を啓き、我が舌を明になし給へ、我が爾の言を聞きて歌ひ、舌を以て世世に爾を崇め讃めん爲なり。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

 

イルモス、昔火の中にエウレイの少者に露を注ぎ、奇異にしてハルデヤ人を其中にきし主を歌ひて云はん、彼を祟め讃めて、世世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「我等は爾焚かれぬ棘及び聖なる童貞女」。

我等は智慧の中に滅されぬ火のを得て、熱切なる思を以て今痛悔の火に就きて、諸慾を焚かん。

昔齋する者の口の燃ゆる言は熱心より出でて、五行を動せり。靈よ、之に效ひて、善を以て生を送れ。

我が至りて不當なる靈よ、畏るべき審判を思ひて、爾の途を常に救世主の旨を行ふに向はしめよ。

生神女讃詞、光を生みし潔き者よ、逸樂の暗に昏まされたる吾が靈を照し給へ、我が愛と信とを以て常に爾を崇め讃めん爲なり。

   又、イルモス、「我等信者は、父より永遠に光れる言」。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 707]---------------------

我等は我が肢體を義の器としてハリストスに獻げ、言へる如く、潔き手を擧げて、怒なく疑なく祈を奉らん。

我がハリストスよ、爾は昔舟に門徒の前に立ちて、劇しく荒れたる海を靜めたり、我が思の暴風をも穏になし給へ。

三者讃詞、我惟一の神性に伏拜し、萬有の惟一の神の三位、父、子、及び聖神、永在の原始を歌ふ。

生神女讃詞、潔き者よ、爾は子を生み、童貞女よ、爾は乳にて養ふ、如何にして童貞と生産との二の事は一に合せられたる。神は此を爲せり、如何にと我に問ふ勿れ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我がハリストスよ、我盗賊たる諸慾にて靈の汚されたる者を醫して、盗賊の手に陷りし者に於けるが如く、爾の仁慈を我に沃ぎ給へ。

イルモス、我等信者は、父より永遠に光れる言を身にて測り難く孕みし者を、息めざる歌を以て崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次。第七調。

---------------------[大齋第五週間火曜日 早課 708]---------------------

病める者及び失望せし者の醫師、荒らされざる港たる主よ、我が傷つけられたる卑微なる靈を顧み給へ、蓋爾は陷りし者を朽壞より起さん爲に來りし世界の救主なり。爾の大なる慈憐に由りて我俯伏する者をも起し給へ。

致命者讚詞、爾の受難者は法に戻る者の裁判場の中に歡びて呼べり、主よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、生神女讃詞、至淨なる生神女よ、我等爾を歌ひ、爾が生みし神言を讚榮して呼ぶ、光榮は爾に歸す。

   第一時課に第十四「カフィズマ」を誦す。

   第三時課に第十五「カフィズマ」、第六時課に第十六「カフィズマ」を誦す。

            ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第三調。

イアコフの神は我等の盾なり、憂の日に於て我等を扞ぎ衛る者なり。

   提綱、第八十七聖詠、第六調。

我少きより禍に遭ひ、幾ど消え亡せんとせり。句、主我が救の神よ、我晝夜爾の前に呼ぶ。

      イサイヤの預言書の讀。第四十章。

---------------------[大齋第五週間火曜日 第六時課 709]---------------------

主是くの如く言ふ、爾等神を以て誰に比べんか、如何なる像を以て彼を像らんか。偶像は工匠之を鋳、金工金を以て之を蔽ひ、銀の鎖を作りて之に着く、斯る物を供ふるを得ざる貧しき者は朽ちざる木を擇び、良匠を索めて、動くことなき偶像を造る。爾等知らざるか、爾等聞かざりしか、始より爾等に告げられざりしか、地の基より爾等悟らざりしか。彼は地球の上に坐する者なり、之に住む者は彼の前に蝗蟲の如し、彼は諸天を薄帛の如く布き、之を住ふべき幕の如く張れり。彼は侯伯を無に歸せしめ、地の審判者を虚しくならしむ。彼等僅に種えられ、僅に播かれ、其幹は僅に地に根ざししに、彼唯氣を彼等に嘘きたれば、彼等槁れて、旋風藁の如く彼等を吹き去れり。聖なる者言ふ、然らば爾等我を以て誰に比べ、誰と匹しくせん。爾等の目を諸天の高きに擧げて觀よ、誰か此等を造りたる、誰か此等の軍を數を以て曳き出す、彼は斯の衆を其名に循ひて呼ぶ、彼の能の多く、權の大なるに因りて一も缺くるなし。然らばイアコフよ、爾何ぞ言ふ、イズライリよ、爾何ぞ語る、云く、我が道は主より隱れ、我が訟は我が神より逝れりと。爾知らざるか、爾聞かざりしか、永遠なる主神、地の極を造りし者は、倦まず、疲れず、其知識は測り難し。彼は疲れたる者に力を予へ弱りたる者に強きを賜ふ。年少の者は疲れて惓み、壯年の者は

---------------------[大齋第五週間火曜日 第六時課 710]---------------------

甚衰ふ、唯主を頼む者は新なる力を獲ん。

 

   提綱、第八十八聖詠、第六調。

爾の呼聲を識る民は福なり。句、主よ、彼等は爾が顏の光の中に行かん。

   第九時課に第十八「カフィズマ」を誦す。

 

             ~~~~~~

 

 

  第五週間の火曜日の晩課

 

「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、第十九「カフィズマ」を誦す。「主よ、爾にぶ」に六句を立てて三歌經の讃頌三、及び月課經の三を歌ふ。

   三歌經の讃頌、イオシフ師の作、第八調。

 

信者よ、我等は愛を食と爲し、節制を以て諸慾を制して、我等の爲に十字架に擧げられ、戈を以て脅を刺されたる神の悦に適ひて生を送らん、永遠に更に甘美なる食を樂しみて、吾が靈の救主を讃榮せん爲なり。

我等は昔木に縁りて死を得、今は又十字架の木に縁りて生を得たり。故に信者よ、

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 711]---------------------

諸慾の動搖を殺し、萬衆の恩主の救を施す復活に至らんことを祈り、神聖なる行にて輝き、諸徳に飾られて、吾が靈の救主を讃榮せん。

   又讃頌、フェオドル師の作、第二調。

主よ、吾等は爾の生を施す十字架、及び我等の爲に爾の身に受けし聖なる苦、戈にて刺され、嘲られ、唾せられ、頬を批たれ、紫の袍と棘の冠とを着せらるるを崇め讃む、此等を以て爾は我等衆を詛より救ひ給へり。故に爾に祈る、我等に齋の時を平安に終ふるを得しめ給へ。

 

   提綱、第八十九聖詠、第四調。

主よ、爾は世世に我等の避所たり。句、山未だ生せず、爾未だ地と全世界とを造らざる先に爾は神なり。

 

   創世記の讀。第十五章。

主の言は夜異象の中にアウラムに臨みて曰へり、アウラムよ、懼るる毋れ、我爾を掩ひ護る、爾の褒賞は甚大ならん。アウラム曰へり、主宰、主よ、爾何をか我に與へん、我子なくして逝く、此のダマスクのエレアザルは我が家の宰なり。アウラム又曰へり、爾我に子を與へざりしに因りて、我が家に育へる者は我の嗣子と爲らん。主の聲直に彼に臨みて曰へり、此の者は爾の嗣子と爲らず、乃爾より出でんと

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 712]---------------------

する者は爾の嗣子と爲らん。是に於て彼を外に攜へ出して曰へり、天を仰ぎて星を數へよ、豈に之を數ふるを得んや。又曰へり、爾の子孫は是くの如くならん。アウラムは神を信ぜり、此れ彼に歸して義と爲れり。彼に謂へり、我は爾をハルデヤの地より引き出しし神なり、爾に斯の地を與へて嗣がしめん爲なり。彼曰へり、主宰、主よ、我が此を嗣がんこと、我何を以て之を知らん。主彼に謂へり、三歳の牝牛と、三歳の牝山羊と、三歳の牡羊と、山鳩及び鴿を我が爲に取れ。彼は皆此等を取りて、之を中より剖き、其剖きたる者を各相對はしめて置けり、唯鳥は剖かざりき。鷙鳥其死體の上に下る時は、アウラム之を逐へり。日の入る頃アウラム酣く睡りしが、大に暗きを覺えて懼れたり。時に主はアウラムに謂へり、爾確に知るべし、爾の子孫は他人の地に旅人と爲りて、其人人之を使ひ、之を惱し、四百年の間之を虐げん、然れども其事へたる民は、我之を鞫かん、其後彼等は多くの資産を攜へて斯の地に出でん。爾は安然として爾が先祖の所に往き、遐齢に至りて葬られん。

 

   提綱、第九十聖詠、第四調。

至上者の覆の下に居る者は、全能者の蔭の下に安ず。句、主に謂ふ、爾は我の避所なり。

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 713]---------------------

 

   箴言の讀。第十五章。

智者の唇は知識を廣む、愚者の心は是に反す。惡者の祭は主の惡む所、義者の祈は其悦ぶ所なり。惡者の途は主の惡む所、義の途を行く者は其愛する所なり。道を離るる者には嚴しき罰あり、譴責を惡む者は亡びん。地獄と沈淪とは主の目の前に在り、况や人の心をや。侮慢者は彼を誡むる者を悦ばず、智慧ある者に近づかざらん。心に樂あれば顔色喜ばしく、心に憂あれば氣塞ぐ。哲者の心は知識を求め、愚なる者の口は愚を以て糧と爲す。不幸の者の日は悉く哀し、心懽べる者は恒に宴樂に在り。些少の物を有ちて主を畏るるは、多くの寶を有ちて煩あるに勝れり。蔬菜を食ひて相愛するは、肥えたる牛を食ひて相恨むに勝れり。憤り易き人は爭を激し、怒を遅くする者は爭を止む。恒忍の人は訟を息め、惡者は愈之を起す。惰者の途は棘の籬に似たり、義者の途は平坦なり。

 

   挿句に自調、第五調、一次。

我不當の者は、爾の直き路に躓きて、諸慾に由りて坎に陷りたり、「レワィト」は司祭と偕に我を見て過ぎ去れり。唯爾は、ハリストスよ、我を憐みて、十字架の武器にて罪の書券を破り、苦なきを賜ひ、父と偕に坐する者と爲せり。故に我爾

 

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 714]---------------------

に呼ぶ、量り難き主よ、光榮は爾に歸す。

   又讃頌、第八調、一次。               

我はイエルサリムより下りて、其中に諸民の爲に録されたる爾の誡に離れ、イエリホンに適きて、其中に昔惡に縁りて爾より殺害の爲に爾の民に付されたる人民に效ひ、不順に由りて盗賊に於けるが如く靈を害する諸慾に遇ひたり。此等に傷つけられて半死の者と爲りたる我を、甘じて人の罪の爲に釘及び戈にて身に傷つけられ、イエルサリムに於て十字架を以て一般の救を成しし主よ、醫して、我を救ひ給へ。

致命者讃詞、主よ、爾の致命者は現世を忘れて苦を思はざりき、來世の生命を獲ん爲なり、故に之を嗣ぐ者と爲りて、諸天使と共に喜ぶ。彼等の祈に由りて爾の民に大なる憐を賜へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、主よ、日は爾義の日が木の上に懸かれるを見て光線を隱し、月も其光を晦冥に變ぜり、爾の至りて無なる母は心を刺されたり。

 

           ~~~~~~

 

---------------------[大齋第五週間火曜日 晩課 715]---------------------

 

 

  第五週間の水曜日の早課

 

聖三の讃歌。

次に第二十、第一、第二の「カフィズマ」を誦す。第一の誦文の後に八調經の十字架の坐誦讚詞二、十字架生神女讃詞と共に誦す。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第八調。

アダムは不當に木の果を味ひて、不節制の苦き果を取れり、洪恩なる主よ、爾は木の上に擧げられて、彼を苦しき定罪より救ひ給へり。故に我等爾に呼ぶ、主宰よ、我等に害を爲す果を自ら禁じて、爾の旨を行ふを得しめ給へ、我等が慈憐を蒙らん爲なり。二次。

十字架生神女讃詞、至淨なる者よ、爾は潔き爾の血より身を取りて、智慧に超えて爾より生れし主が罪犯者の中に木に懸れるを見て、心を傷め、母として哭きて呼べり、鳴呼吾が子よ、此の神聖なる言ひ難き攝理は何ぞや、爾は此を以て爾の造物を活かし給へり。我爾の慈憐を歌頌す。

 

第三の誦文の後に坐誦讚詞、フェオドル師の作、第二調。

ハリストス神よ、我等は常に爾の無量なる仁慈に伏拜して、爾の至聖なる十字架

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 716]---------------------

の木を歌頌す、蓋爾は此の上に在りて敵の能力を空しくし、爾を信ずる者には之を記號として與へ給へり。故に我等感謝の心を抱きて爾に呼ぶ、衆に平安に生を送りて、敬虔に齋の時を終ふるを得しめ給へ。二次。

十字架生神女讃詞、牝羊は爾無なる牧者が木の上に擧げられしを見て、母として泣きて呼べり、子よ、恩を知らざる民は爾が其旅の時に雲を以て彼等を蔽ひしに報いて、爾を死に定めたり。哀しい哉我、夫なき者は子なき者と爲れり。求む、日よ、起きて輝き給へ、然らば我は地に生れし諸子の中に榮せられん。

 

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第八調。

   第三歌頌

イルモス、「主、天の穹蒼の至上なる造成者」。

義なる審判者よ、爾は十字架に己の手を舒べて、仇を定罪し給へり。今は、救世主よ、我放蕩にして爾恒忍なる主を悲しませ、諸罪にて定罪せられし者を救ひ給へ。

至仁なる救世主よ、我家畜の如き慾に從ふ度生を望み、爾の誡に離れて、疎く穢らはしき住民に奴隷とせられたり。今我還る者を納れて、我を救ひ給へ。』

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 717]---------------------

イイスス、獨人を愛する主よ、昔聾者の耳を啓きし如く、習慣に由りて聾者と爲りたる吾が靈の耳を啓きて、意を注ぎて救の言を聞くを得しめ給へ。

生神女讃詞、救の門、神に度る橋、「ハリスティアニン」等の轉達者、至淨なる女宰よ、度生の誘惑に圍まれて荒らさるる我を導き給へ。

   又、フェオドル師の作、第二調。

イルモス、「諸善を耕作し、諸徳を培養する神よ」。

 

ハリストスよ、爾は多くの慈憐に因りて十字架に升りて、我を諸慾の坎より引き出して、天に升せ給へり。

ハリストスよ爾は十字架に己の手を舒べて、爾に離れたる衆民を抱きて、爾の權柄の下に立たしめ給へり。

三者讃詞、三位の惟一者、永在なる三者、惟一の神性、父、子、及び義なる神よ、爾を尊む者を救ひ給へ。

生神女讃詞、母童貞女よ、地上の者は誰か宜しきに合ひて爾を讃美するを得ん、蓋爾は女の中に獨選ばれて、至福なる者と現れ給へり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイススよ不順に由りて爾を悲しませし我の爲に爾は十字架に擧げられ、

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 718]---------------------

脅を刺され、膽を嘗め給へり。

イルモス、諸善を耕作し、諸徳て培養する神よ、爾の慈憐に因りて、實を結ばざる我が智慧を實を結ぶ者と顯し給へ。

 

   第八歌頌

イルモス、「ハルデヤの窘迫者は怒に堪へずして」。

十字架に爾の首を俯して、甘じて眠り、罪の暗を散じたる義の光なるハリストスよ、我放心の坐睡に己を委ね、逸樂の慾の床に臥して寢ぬる者に眠らざる目を注ぎて、我を宥め給へ。

我洗禮に由りて富を爲す恩賜に飾られたる者は不當にして惡事の貧しきを好み、諸徳に疏くなりて、遠く惡の地に離れたり。求む、救世主よ、還して我を納れて、爾の十字架を以て萬世に護り給へ。

靈よ、諸慾の醉を退け、齋を以て潔を爲す涙の酒、心を樂しませ、逸樂を枯らし、肉慾のを滅す者を得よ。爾の爲に木の上に釘せられしハリストスと偕に釘せらるるを務めよ、然らば世世に活きん。

生神女讃詞、純潔なる神の母よ、吾が靈の傷及び罪の汚を爾の産の脅より注がるる泉を以て洗ひ、其流にて潔め給へ、我爾に呼び、爾に趨り附き、爾恩寵を

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 719]---------------------

蒙れる者に求むればなり。

   又、イルモス、「諸天に於て天使の聲を以て」。

 

身にては十字架に釘せられ、神性にては苦を受けざりしイイススを、諸天使及び我等地に生るる者は萬世に歌ふ。

ハリストスよ、爾は十字架に釘せられ、詛に當る恥づべき死を受けて、我等を朽壞より脱れしめて救ひ給へり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

鳴呼三者、聖、聖、聖なる惟一の神性、無原にして單一なる萬衆の不可思議なる神よ、我ヘルワィムの如く爾を歌ふ。

生神女讃詞、潔き者よ、萬族は爾に讃美を奉りて、欣ばしく爾を尊む、蓋爾は造成主を生み給へり、鳴呼畏るべき奇跡、至福なる産や。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾は一の事の爲に悉くの苦を忍び給へり、是れ我を救はん爲なり。我爾の十字架と、釘と、屠宰とを萬世に歌ふ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、諸天に於て天使の聲を以て讃榮せらるる神を、我等地に生るる者は

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 720]---------------------

崇め讚めて、萬世に歌はん。

 

   第九歌頌

イルモス、「天は懼れ、地の極は驚けり」。

萬有の王よ、爾本性にて苦に與らざる者が甘じて苦を受け、十字架に舒べられしを見て、日は其光線を隱し、全地は震ひて動けり。故に我爾に祈る、ハリストスよ、醫師として、我が靈の苦を醫し給へ。

我救の道を棄てて、地獄に送る途を行く、逸樂の深き暗、諸慾の攻撃、誘惑の暴風は我を繞る。故に我爾に祈る、ハリストスよ、獨大仁慈なる主として、爾の十字架を以て我を救ひ給へ。

我誘惑の暴風に圍まれ、諸慾の激浪に溺らされ、逸樂の颶風に劇しく打たるる者は齋の穏にして靜なる海に至れり。洪恩なる主よ、爾の十字架を以て我を其中に導きて、救に向はしめ給へ。

生神女讃詞、童貞女よ、爾は種なく、肉體の望なくして、萬有を造りし神の言を孕み、童貞を失はず、母の産苦を知らずして生み給へり。故に我等舌と心とを以て爾を生神女と承け認めて、崇め讃む。

   又、イルモス「無なる生神女よ、我等は神聖なる火」。

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 721]---------------------

我が救世主よ、爾は甘じて十字架に釘せらるるを忍び給へり、衆人を死より救ひて、之に生命を賜はん爲なり。

我は木に縁りて殺され、十字架の木に縁りて活かされたり、蓋吾がハリストスは之に釘せられて、我が敵を殺し給へり。

三者讃詞、我等父と偕に在る子、及び彼等と分れざる聖神に一意に伏拜す。』

生神女讃詞、至榮なる奇跡、驚くべき聲聞や、潔き者よ、如何ぞ爾は童貞女としを生み、母として童貞を守りたる。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイスス神よ、我爾の戈を歌ひ、爾の釘、海絨と、葦と、十字架とを歌頌す、蓋爾は此等を以て我を救ひ給へり。

イルモス、なる生神女よ、我等は神聖なる火に焚かれざりし爾の童貞を崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に自調、第三調。

我が靈よ、爾は諸徳の高きを棄てて、罪の深處に下り、兇惡なる盜賊に遇ひて、惡臭の傷に蔽はれ、倒されて、扶助なくして臥す。故に爾の爲に十字架に釘せら

---------------------[大齋第五週間水曜日 早課 722]---------------------

れて、甘じて傷を受けしハリストス神に呼べ、主よ、我の爲に慮りて、我を救ひ給へ。

又、第八調、主よ、我不當の者は盗賊の思に傷つけられて、死するばかりになれり、預言者の會は我が死するばかりになりて、人の術を以て醫されぬを見て去れり。故に我痛く病みて、謙卑の心を以て爾に呼ぶ、ハリストス神よ、慈憐の主として、爾の大なる憐を我に注ぎ給へ。

致命者讃詞、勝たれぬハリストスの致命者よ、爾等は苦しむる者の恐嚇を畏れずして、苦を以て樂と爲し、十字架の力を以て迷に勝ちて、永遠の生命の恩寵を受けたり。今爾等の血は我等の靈の爲に醫治と爲れり。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、十字架生神女讃詞、言よ、純潔なる者は爾が身にて木の上に懸れるを見て、心刺され、泣きて呼べり、我が至愛なるイイスス、吾が子及び主よ、爾何處にか往く、ハリストスよ、我爾を生みし者を獨遺す勿れ。

第一時課に第三「カフィズマ」、第三時課に第四、第六時課に第五を誦す。

             ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第一調。

---------------------[大齋第五週間水曜日 第六時課 723]---------------------

主よ、爾の爲に苦を受けし諸聖人の苦難に因りて、我等の諸の病を醫し給へ。人を愛する主よ、爾に祈る。

   提綱、第九十一聖詠、第四調。

至上者よ、主を讃榮し、爾の名に歌ふは美なる哉。句、爾の憐を朝に宣べ、爾の眞を夜に宣ぶるは美なる哉。

 

   イサイヤの預言書の讀。第四十一章。

主是くの如く言う、我は始の主なり、終にも我同一の主なり。州島は見て懼れ、地の極は慄けり。彼等は近づきて集まり、各其隣を助け、其兄弟に謂ふ、勇めよ、彫刻師は金工を勵まし、鎚を以て平ぐる者は鐵碪を打つ者を勵まして、鑞著の事を言ふ、此れ善しと、且釘を以て堅くして、動くことなからしむ。然れども爾我が僕イズライリ、我が選びたるイアコフ、我が友たるアウラアムの裔よ、爾我が地の極より執り、其端より召して、爾は我の僕、我爾を選べり、爾を棄てざらんと言はれし者よ、懼れる毋れ、蓋我爾と偕にす、驚く毋れ、蓋我は爾の神なり、我爾を堅め、爾を助け、我が義の右の手を以て爾を支へん。視よ、爾に向ひて怒る者は皆恥を得、辱を蒙り、爾と爭ふ者は無きが如くなりて亡びん。爾彼等を尋ぬとも、彼等爾に仇する者に遇はざらん、爾と戰ふ者は無きが如く、全く無

---------------------[大齋第五週間水曜日 第六時課 724]---------------------

きが如くならん、蓋我主爾の神は爾の右の手を執りて爾に謂ふ、懼るる毋れ、我爾を助く。蟲なるイアコフ、人少きイズライリよ、懼るる毋れ、我爾を助く、主爾の贖罪者、イズライリの聖なる者之を言ふ。

   提綱、第九十二聖詠、第六調。

主は王たり、彼は威嚴を衣たり。句、主は能力を衣、又之を帯にせり。

 

   第九時課に第六「カフィズマ」を誦す。

         ~~~~~~

 

 

  第五週間の水曜日の晩課

 

「我我が憂の中に主に呼びしに」に代へて、第七「カフィズマ」を誦す。

「主よ、爾にぶ」に自調の讃頌を誦す、二次。

諸句を「不虔者は己の網に罹り」の次句より始む。

第八調、我不當の者は我が思を以て盜賊に遇ひ、智慧をにせられて、甚しく傷つけられ、靈全く病み、諸徳を剥がれて生命の途に臥す。司祭は我が傷に惱みて

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 725]---------------------

醫されぬを見て、我を顧みざりき、「レワィト」も亦靈を害する病に忍びず、我を見て過ぎ去れり。爾ハリストス神、サマリヤよりするにあらずして、マリヤより身を取ることを嘉せし主よ、爾の仁愛を以て我に醫治を施して、爾の大なる憐を我に沃ぎ給へ。

句、我が聲を以て主にび、我が聲を以て主にり、

   復同上

句、我がを其前に注ぎ、我が憂を其前に顯せり。

致命者讃詞、如何なる徳、如何なる譽も、之を聖者に歸すべし。蓋彼等は爾天を傾けて降りし者の爲に己の首を劍の下に傾け、爾己をして僕の形を受けし者の爲に其血を流し、爾の謙遜に效ひて、死に至るまで降れり。神よ、彼等の祈に因りて、爾が惠の多きを以て我等を憐み給へ。

句、我が靈我の衷に弱りし時、爾は我の途を知れり。

 

   又讃頌、イオシフ師の作、第八調。

主よ、爾は己の聖なる門徒を靈智なる天と顯し給へり。彼等の聖にせられし轉達に由りて、我を地の諸惡より脱れしめ、節制に由りて常に我が良心の思を爾の苦に上せ給へ、爾は洪恩にして人を愛する主なればなり。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 726]---------------------

句、我が行く路に於て、彼等は竊に我が爲に網を設けたり。

我等皆齋の時を神聖なる行を助くる者と有ちて、全心を以て泣きて救世主に呼ばん、大仁慈なる主よ、爾の門徒に由りて、愛を以て爾を歌ふ者を救ひ給へ、爾は洪恩にして人を愛する主なればなり。

 

   又讃頌、フェオドル師の作、同調。

句、我右に目を注ぐに、一人も我を認むる者なし、

至りて讃美たる使徒、世界の祈者、病める者の醫師、壯健の守護者よ、我等齋の時を過ぐる者を何の法を以ても護り給へ、我等皆互に神聖なる和平を保ち、諸慾に智慧を擾さるるなく守りて、復活せしハリストスを勝利者と歌ひて、崇め讃めん爲なり。

 

又、大規程の讃頌、、グレチヤの「アルファワィト」(國字)に循ひて二十四章に分つ。クリトのアンドレイ師の作、第四調。

句、我に遁るる所なく、我が靈を顧る者なし。

我吾が一生を淫婦及び税吏と偕に費せり、我が犯しし諸罪の爲に年老ゆるに及びても猶痛悔するを得んか。萬有の造成主、病む者の醫師たる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 727]---------------------

 

   句毎に三拜を爲す。

句、主よ、我爾に呼びて云へり、爾は我の避所なり、生ける者の地に於て我の分なり。

我は甚しき怠惰に耽り、泥に伏し、ワェリアルの矢に射られ、我の内にある神の像に循ひて造られし者を汚す。怠慢者を起し、罪を犯しし者を援くる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我がぶを聽き給へ、我甚弱りたればなり。

我地上の者として地の事をのみ耕作して、人人の躓と爲れり、爾の命に由りて婚配を爲したれども、罪を以て吾が榻を汚せり。土より我を造りし者よ、爾の造物を棄つる勿れ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我を迫害する者より救ひ給へ、彼等は我より強ければなり。

我は吾が肉體の事を慮りて、吾が靈を殺す者と爲れり、逸樂と諸の不當なる事とに役して、惡鬼の嘲弄と立てられたり。惡鬼を逐ふ者よ、爾の慈憐を以て我を宥め給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讃榮せしめ給へ。

我、縱に衆に超えて罪を犯せり、故に棄てられたり、我は肉體の思を吾が靈

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 728]---------------------

に敵する者として有つ、此れ我を昏ます。幽暗に居る者の光、迷ふ者の嚮導師たる主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。

預言者は言へり、主よ、吾が靈は生きて、爾を讃め揚げん、我迷ひし羊を尋ねて、爾の牧群に合せ給へ。我に痛悔の時を與へよ、我が歎息して爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。

ハリストス神よ、我爾の命に背きて罪を犯し、罪を犯せり。恩主よ、我に慈憐を垂れ給へ、我が内心の眼を開き、幽暗を逃れて、畏を以て呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、願はくは爾の耳は我がの聲を聽き納れん。

野獸は我を圍めり、主宰よ、此等より我を脱れしめ給へ。蓋爾は衆人が救を得、及び眞實を知るに至らんことを欲す、造成主として衆人と共に我をも救ひ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。

 

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 729]---------------------

 

恩主よ、我が爲に醫治と爲り給へ、我が贖罪主及び救主よ、我を退くる毋れ。我が不法の中に臥すを見て、全能者として我を起し給へ、我も我が歌を奉りて爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。

我無知の僕として、我に與へられたる「タラント」を藏して、地に埋めたり、故に不當なる者として定罪せられて、是より敢て爾に求むるを得ず。惡を懐はざる主として我を宥め給へ、我も呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

血漏を患ふる婦の爾の裾に捫るを以て苦の池を涸らしし主よ、我疑なき信を以て爾に趨り附く者に諸罪の赦を與へ、夫の婦の如く我を納れて、吾が病を醫し給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。

言を以て天地を造りし主よ、爾寶座に坐せんに、我等皆前に立ちて、爾に我が諸罪を告げん、彼の日の前に我を痛悔する者として納れ給へ。主よ、我が終まで亡びざ

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 730]---------------------

る先に我を救ひ給へ。

句、萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讃めよ。

惟一の救世主よ、慈憐の眼を以て顧みて、我に仁慈を垂れ、我が貧しき不當なる靈に醫治の流を賜ひて、之を我が行爲の汚より洗ひ給へ、我が歌はん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。

洪恩なる主よ、ワェリアルは我が卑微なる靈を執へんと謀りて、劍を備へ、我を爾の顔を知る知識の光照に疎き者と爲せり。能力の堅固なる者よ、我を其器の中より奪ひ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。』

我は律法と神聖なる書とを遺てて、全く諸慾に服役せり。我の爲に我に肖たる者と爲りし至善なる恩主よ、我を全く醫し給へ、諸慾を滅す洪恩なる者よ、我を反正せしめ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮にき足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とにき足れり。

 

 

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 731]---------------------

淫婦は涙を以て爾の至淨至尊なる足を濕して、衆に、趨り附きて己の諸罪の赦を受けんことを勸む。救世主よ、我にも彼の信を與へ給へ、我が呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

 

   以下の章には左の句を附唱す。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我が爲に謙りて、肉體を以て嬰児と爲りし主よ、我弱りたる不當の者に爾の仁慈の一滴を降して、我が靈の汚を潔め給へ。ハリストスよ、我病める者を汚より滌ひて醫し給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我らの神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主宰よ、爾に趨り附きて常に爾に勤めん爲に吾が靈を堅め給へ、蓋爾は我の帲幪と、守護と、避所、及び扶助なり。神の言よ、我に勇ましく爾に呼ぶを得しめ給へ、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

イイスス救世主及び仁慈なる神よ、我等の爲に壞られぬ墻と爲り給へ、蓋我等は誘はれて風習と行とを以て墮落せり。求む、恩主として爾の造物を起し、洪恩なる主として我等と和らぎ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 732]---------------------

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮に爾に歸す。

我は富を費しし蕩子と爲りて、今饑に苦しみて、爾の庇の下に趨り附く。仁慈なる父よ、彼の蕩子の如く我を納れて、筵に與るを得しめ給へ、我が爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

惡の魁は猜忌に因りて始めて造られし者より樂園を奪へり、木に懸れる盗賊は、我を憶ひ給へと言ひて、樂園を得たり。我も信と畏とを以て我を憶ひ給へと爾に呼ぶ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

神よ、ペトルに於けるが如く、我に手を舒べて、深處より引き上げ、種なく爾を生みし純潔なる母及び爾の衆聖人の祈に由りて、我に恩寵と慈憐とを與へ給へ。主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

句、我等の神よ、光榮は爾に歸す。光榮は爾に歸す。

我の罪を任ひし羔よ、我日日に爾を歌ふ者を納れ給へ。我靈と體とを全く爾の手に付して、夜に晝に宜しきに合ひて爾に呼ぶ、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

  光榮は父と子と聖神に歸す。

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 733]---------------------

鳴呼至仁にして恒忍なる主よ、爾の慈憐は宣べ難し。鳴呼無垢なる洪恩の主よ、我を爾の顏より斥くる勿れ、我も感謝の心を抱きて、喜び且歌ひて爾に呼ばん爲なり、主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

今も、生神女讃詞、鳴呼言ひ難き寛容や、鳴呼驚くべき至りて奇異なる産や、鳴呼如何にして童貞女は爾造物主及び神を嬰兒として己の手に抱く。彼より甘じて身を取り給ひし恩主よ、我が終まで亡びざる先に我を救ひ給へ。

   聖入。「穏なる光」。

 

   提綱、第九十三聖詠、第四調。

仇を報ゆる神よ、主、仇を報ゆる神よ、己を顯し給へ。句、地の審判者よ、起ちて驕慢の者に報い給へ。

 

   創世記の讀。第十七章。

アウラム九十九歳の時、主はアウラムに現れて之に謂へり、我は爾の神なり、爾我の悦を爲して、無なれ、我我が約を我と爾との間に立てて、甚爾を増さん。アウラム其面に俯伏せり。神又彼に告げて曰へり、我の爾と立つる約は、視よ、爾は衆くの民の父と爲らん、爾の名は是よりアウラムと呼ばれず、乃爾の名はアウ

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 734]---------------------

ラアムと爲らん、蓋我爾を衆くの民の父と爲せり、我太甚爾を殖し、諸民を爾より起さん、諸王は爾より出でん、我は我が約を我と爾及び爾の後の世世の子孫との間に立てて、永遠の約と爲さん、我は爾及び爾の後の子孫の神と爲らん、我は爾及び爾の後の子孫に此の爾が寓れる地、ハナアンの全地を與へて、永遠の業と爲さん、而して我は彼等の神と爲らん。神又アウラアムに謂へり、爾及び爾の後の世世の子孫は我が約を守るべし。

 

   提綱、第九十五聖詠、第四調。

新なる歌を主に歌へ。句、主に歌ひて其名を崇め讃めよ。

 

   箴言の讀。第十五、第十六章。

智慧ある子は父を悦ばせ、愚なる人は其母を藐ず。愚なる者の徑は智慧乏し、哲者は直き途を行く。相議ることあらざれば謀破る、議者衆ければ謀成る。人は其口の答に由りて喜樂を得、言を出して時に適ふは如何に善からずや。智者の生命の道は上に向ふ、下に在る地獄を避けん爲なり。驕る者の家は主之を毀ち、寡婦の地界を建てん。惡者の謀は主の惡む所、潔き者の言は其嘉する所なり。利を貪る者は其家を擾し、賄を惡む者は生きん。義者の心は答ふべきことを考へ、

---------------------[大齋第五週間水曜日 晩課 735]---------------------

不虔者の口は惡を吐く。義者の途は主の悦ぶ所なり、之に由りて敵も親友と爲る。主は惡者より遠し、義者の祈を聽く。善を見る目は心を悦ばせ、嘉き音は骨を潤す。生命の敎誨を聽かんと欲する耳は智慧ある者の間に駐まる。誡命を棄つる者は己の靈を藐じ、譴責を聽く者は聰明を得。主を畏るる寅畏は智慧を敎ふ、謙卑は尊榮に先だつ。心に謀るは人に在り、舌の答は主に屬す。人の途は其目の前に悉く潔し、惟主は靈を量る。爾の作爲を主に託せよ、然らば爾の謀る所成らん。主は一切を己の爲に造れり、不虔者は惡しき日に滅びん。心の驕れる者は皆主の惡む所なり、手に手を執ると雖罰を免るるを得ず。善き途の始は義を行ふに在り、此れ神の悦ぶ所にして、祭を獻ぐるに勝れり。主を尋ぬる者は義と共に知識を得、誠に彼を尋ぬる者は平安を得ん。矜恤と眞實とに因りて罪は潔めらる、主を畏るる寅畏は惡より離れしむ。

 

次に「願はくは我がは香爐の香の如く」、以下先備聖體禮儀を行ふこと例の如し。

 

若し先備聖體禮儀を行はずば、「主よ、爾にぶ」に三歌經の讃頌三章、及び大規程の二十四章を歌ふ。挿句に本日の自調、二次、及び致命者讃詞。光榮、今も、生神女讃詞、其他。提綱、及び喩言の誦讀。

---------------------[大齋第五週間水曜日 先備聖體禮儀 736]---------------------

晩堂小課を私室に誦す、拜なし。聖三祝文の後にアンドレイの規程の小讃詞。

 

夜半課も同じ。

        ~~~~~~

 

 

  聖齋の第五週間の木曜日の早課

 

早朝鐘を鳴らす。我等聖堂に集まりて、司祭常例の如く始む。誦經者誦す、「天の王」、聖三祝文、「天に在す」、主憐めよ、十二次。光榮、今も、來れ我等の王神に叩拜せん、其他、第十九及び二十聖詠。常例の讃詞、及び聯。其後六段の聖詠を誦す。聖詠の後に、「アリルイヤ」及び本調の聖三の讃歌を歌ふこと常例の如し。第八の「カフィズマ」一を誦す。次に八調經の坐誦讃詞。并に克肖女マリヤの傳を二分して其一を讀む。第五十聖詠を誦す。歌頌を誦文せず。直に大規程を始め、傷感の情と聲とを以て之を緩誦して、讃詞毎に小拜を爲す。

大規程、クリトの大主敎聖アンドレイの作、第六調。

   第一歌頌

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 737]---------------------

イルモス、佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讃め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。

 

附唱、神よ我を憐み、我を憐み給へ。

我が不當なる度生の行を泣くは何より始むべきか、ハリストスよ、我が今の歎は何を以て起すべきか、惟求む、爾慈憐なるに因りて、我に罪の赦を與へ給へ。

禍なる靈よ、體と偕に來りて、萬有の造成主の前に罪を認め、今より後先の無知を斥けて、痛悔の涙を神に獻げよ。

 

我誡を犯すを以て首めて造られしアダムに效ひて、我が諸罪の爲に、己が神と永遠の國と福樂より遠ざけられしを覺えたり。

哀しい哉我が禍なる靈よ、爾は何爲れぞ首めて造られしエワに肖たる者と爲りし、爾は邪に見、太しく傷つき、樹に觸れて、敢て無知の食を食へり。

見るべきエワに代へて見るべかざるエワは我の内に起れり、是れ肉慾の情なり、我に甘きを進むれども、我味ふ時常に苦きを覺ゆ。

救世主よ、アダムは爾が一の誡を守らずして、義に依りてエデムより逐はれたり、我は常に爾が生命を施す誡を犯して、何の罰を受くべきか。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 738]---------------------

我カインの殺害に逾えたり、蓋我自由に罪惡の肉體を生かし、我が惡業を以て靈を撃ちて、之を殺す者となれり。

 

イイススよ、我アワェリの義徳に傚はざりき、爾に何時も、容れらるべき獻物をも、神を悦ばす行をも、潔き祭をも、無の生命をも獻ぜざりき。

禍なる靈よ、我等もカインの如く萬有の造成主に罪惡の祭、不潔の行と不當の生命とを獻げたり、故に我等定罪せられたり。

爾は陶工の如く土を形づくりて、我に肉と骨、呼吸と生命を賜へり。鳴呼我が造成主、我が贖罪主及び審判者よ、我痛悔する者を容れ給へ。

 

救世主よ、我は我が行ひし諸罪、及び殺害を爲す心中の思が盗賊の如く我に負はせし我が靈と體との傷を爾の前に顯す。

救世主よ、我罪を犯せりと雖、爾が人を愛する者なるを知る、爾は慈憐を以て罰し、熱愛を以て憐み、泣く者を顧み、父の如く走りて放蕩の者を召す。

救世主よ、我爾が門の前に俯伏する者を老ゆる時にだにも不當の者として地獄に墮す毋れ、乃人を愛する主なるに因りて、終の前に我に諸罪の赦を與へ給へ。

我は我が思を以て盗賊に遇ひし者なり、今全身彼等に打たれて、傷に蔽はれたり。

---------------------[大齋第五週間木曜日 早課 739]---------------------

ハリストス救世主よ、爾親ら臨みて我を醫し給へ。

司祭は我を見て過ぎ、レワィトも我が禍の中に於て裸體なるを見て遺てたり。マリヤより光りしイイススよ、爾臨みて我に憐を垂れ給へ。

衆人の罪を任ひし神の羔よ、罪の重き負を我より卸して、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。

痛悔の時至れり、我爾我が造物主に來る、罪の重き負を我より卸して、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。