大斎 第3週


 第三週間の月曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の當調の傷感の坐誦讃詞を誦す。

第二の誦文の後に坐誦讃詞、イオシフ師の作。第八調。

我等節制の火を以て諸慾の攻撃を悉く藁の如く燒き、今涙の流を以て彼の滅えざるを滅して、全地を審判せんとする者に呼ばん、慈憐なる主救世主よ、我等に諸罪の赦を與へて、定罪せられざる者として護り給へ。二次。

   生神女讃詞、

神の恩寵を蒙れる潔き童貞女、祝福せられし者よ、大仁慈に因りて爾より生れし主に、天上の軍と、諸天使長、及び悉くの無形の者と偕に常に我等の爲に祈りて、我等に終の前に諸罪の赦と潔浄、及び度生の更新を賜はんことを求め給へ、我等

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 480]---------------------

が慈憐を得ん爲なり。

 

   第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェドル師の作、第八調。

至聖至尊なる三者よ、我等第三週間に齋を行ふ者を安全に且定罪なく護りて、我等に善く吾が途を續けて、爾の凡ての誡を成就するを得しめ給へ、我等が斯く定罪せられずして至榮なる復活に至りて、爾に讃美の歌を奉らん爲なり。二次。

   生神女讃詞、同調。

信者の轉達、苦しめらるる者の喜、憂ふる者の大なる慰藉たる神の母、童貞女よ、爾の至聖なる腹より性に超えて生れ給ひし主に、諸天使及び首領と偕に常に我等の爲に祈りて、詰問の時に我等が畏るべき定罪より救はれんことを求め給へ。

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に預言者の歌頌を誦文す。第八調。

 

   第一歌頌

イルモス、「人人よ、イズライリを奴隷より釋きたる」。

神よ、慈憐を有つ主として、我放蕩に生命を費して痛悔する者を納れ給へ。我

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 481]---------------------

爾に呼ぶ、罪を犯せり、訴ふる者を要せず、自ら吾が恥づべき行を告ぐ。我天使の糧を置き、家畜に似たる者と爲りて、汚らわしき惡を食と爲せり。天の父よ、求む、吾歸る者を爾が傭人の一の如く納れ給へ。

我等衆信者は逸樂に送る夜を棄てて、急ぎて眞實の光に就かん、光明なる筵に勝ふる者と爲らん爲なり。

生神女讃詞、至聖なる殿、神の露を承けし羊の毛、不死の流の封ぜられし泉なる女宰よ、爾の牧群を諸の敵に勝たれぬ者として護り給へ。

 

   又、フェオドル師の作。同調。

イルモス、「我等はイズライリをファラオンの苦しき奴隷より」。

兄弟よ、我等は今三の週間に潔められて、昔三日に潔められしイズライリ民の如く、祈の山に至り、彼處より神聖なる聲を聞きて、ハリストスを歌はん。』

人人よ、來りて、サムプソンの如く齋に堅められて、彼の猛獸の如く腹の惡鬼を打たん、然らば我等を誘ふ諸慾のダリダは晒はざらん。

三者讃詞、聖なる神性よ、我へルワィムの如く爾を三位の者として歌ひ、三光と一光、三一の生命、生みし神、生まれし神、父より出づる活ける神たる神を崇め讃む。

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 482]---------------------

生神女讃詞、エワの喜悦たる潔き者よ、慶ベ、蓋爾の産に由りて彼の悲は息みたり。暮れざる光りの光明なる雲よ、慶ベ、爾よりハリストス神は輝き出でたり。』

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我等はダワィドの如く信と謙遜とを武器と爲して、彼のゴリアフの如き傲慢なる智識を斃して、共に又慾の千萬を斬らん。

イルモス、我等は、イズライリをファラオンの苦しき奴隷より脱れしめて。火の柱と光る雲とを以て導きし神に歌はん、彼光榮を顯したればなり。

 

   第八歌頌

イルモス、「神を傳ふる少者は爐の中に」。

我不當の者は淫婦と偕に父の富を費して、恩寵の前門より逐はれたり。父よ、祈る、無量の仁慈に由りて我を納れ給へ。

我等齋と祈との至りて潔き光に照されて、斯の輝煌の中を行かん、罪の暗を免れん爲なり。

大仁慈なるハリストスよ、無形の者の會は爾に祈り、へルワィムと諸聖人の品位とは祈る、我等の靈を救ひ給へ。

生神女讃詞、作られざる葡萄の房を孕みし生神女、我等の靈の恃頼なる童貞女よ、

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 483]---------------------

罪の醉に昧まされたる我を醒まし給へ。

 

   又、イルモス、「水の上に己の宮を建て」。

兄弟よ、來りて、父の寶、奇妙なる所有、凡そ主宰ハリストスに奉事せし者の母たる齋を樂しまん、蓋此は肉體を堅め、智慧と心とを照す。

靈よ、奇妙なるゲデオンに效ひて、ハリストスに於ける信望愛の諸徳を有ちて、出でて外族なる諸慾を殺せ、彼が三百人と偕にマディアムの族を滅ししが如し。

 

三者讃詞、惟一の神性よ、我爾を三者として崇め讃め、惟一者として歌ふ、全能の父、獨生の子、聖なる神、萬有を宰る權柄、獨一の性、獨一の國よ、我三位に於て爾に伏拜す。

生神女讃詞、爾を生みし者は産の時に性に超えて免れし病を爾の尊き苦の時に知りて、爾水の上に地を基けし主が甘じてイウデヤ人より十字架に釘せられしを見て苦しめり。

  我等の神よ光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主よ、爾が光榮の中に爾の軍の千萬と共に全地を審判する爲に來らん時、我を宥め、赦し、定罪より救へ、我を辱かしむる勿れ、永遠の火に定むる勿れ。

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 484]---------------------

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、水の上に己の宮を建て、沙を以て海の界を定め、一切を持つ主よ、日は爾を歌ひ、月は爾を讃め、造物は皆世世に爾萬有の造成主に歌頌を獻る。

 

   第九歌頌

イルモス、「山に於て立法者に火及び棘の中に」。

父よ、爾の愛より離れて、縦に逸樂の慾に役せし我、今歸る者を蕩子の如く納れ給へ、爾獨大仁慈の主なればなり。

我不當の者は果を結ばざる無花果樹と現れて、唯惡のみ、我が爲に火を貯へし者を行へり。主よ、祈る、爾我を果を結びて善き行を爾に奉る者と爲し給へ。』

吾が靈よ、惡と僞とを齋め、怒と憤と凡の罪とを禁ぜよ、蓋イイスス、我等の仁愛なる神は是くの如き齋を望み給ふ。

生神女讃詞、生神女よ、爾は我等の武器と垣墻、爾に趨り附く者の轉達なり。今も我等は爾のを求む、我が諸敵より救はれん爲なり。

   又、イルモス、「我等爾ハリストス我が神の」。

我等は潔き齋たる諸惡を禁ずることをハリストス我が神に悦ばるる禮物として捧げん。

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 485]---------------------

靈よ、昔エリセイが如何に諸預言者を養ひしかを知りて、節制を以て己を養ひて、ハリストスに感謝せよ。

三者讃詞、我三位にして惟一の神性たる爾、無原の父と、子と、生活の神とを讃め歌ふ。

生神女讃詞、神の母童貞女、天の王ハリストスの宮たる者よ、愛を以て爾を歌ふ者を爾の祈に由りて救ひ給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ダニイルは節制の勒を以て洞穴に猛獸を制せり、我等も齋して諸慾を制せん。

イルモス、我等爾ハリストス我が神の至りて無なる母、聖神に蔭はれたる者を崇め讃む。

 

   光耀歌、本調の。

   挿句に本日の自調、二次、第四調。

我は我が罪惡の甚しき汚を衣て、歡喜の宮より遠ざけられたり。神よ、爾の言ひ難き慈憐を以て我を蕩子の如く宥めて、我を憐み給へ。

致命者讃詞、聖なる致命者よ、誰か爾等が戰ひし善き戰を見て驚かざらん、如何

---------------------[大齋第三週間月曜日 早課 486]---------------------

ぞ肉體に在りて、ハリストスを承認し、十字架を武器として、肉體なき敵に勝ちたる。故に爾等は宜しきに合ひて惡鬼を逐ふ者、諸敵を退くる者と現れたり。我等の靈の救はれんことを絶えず祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、同調、滅えざる燈、義の寶座たる至りて潔き女宰よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

          ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第四調。

我等の靈の醫師、人の思念を知る仁慈なる主よ、我等柔弱にして罪に弱みたるに因りて、我等の傷を醫し給へ。

   提綱、第四十一聖詠、第四調。

我が生命の神にらん、我神に告げん、爾は我を護る者なり。句、神よ、我が靈爾を慕ふこと、鹿が水の流を慕ふ如し。

 

   イサイヤの預言書の讀。第八、九章。

主サワオフは、爾等彼を尊みて聖と爲せ、彼を畏れ、彼に慄け。彼イズライリの兩の家の爲には聖者と爲り、又躓の石と爲り、礙の磐と爲り、イエルサリムの居民の爲には機檻と爲り、網罟と爲らん。彼等の中多くの者は蹶き且仆れ、敗られ、又網

---------------------[大齋第三週間月曜日 第六時課 487]---------------------

せられて執へられん。證詞を束ね、啓示を我が門徒の前に封印せよ。故に我其面をイアコフの家より隠しし主を待ちて、彼を頼む。視よ、我及び神が我に與へし諸子は、シオン山に在す主サワオフよりイズライリの中に賜ひたる休徴なり、前兆なり。若し人爾等に告げて、巫覡、魔術者、囁く者、肚言する者に問へと云はば、答へて曰へ、民は己の神に問ふべきに非ずや、豈生者の爲に死者に問ふことを爲んと。律法と啓示とに問へ、若し彼等の言ふ所此の言に合はずば、其中に光なし。彼等地に徨ひて痛く苦しみ、且飢えん、飢うる時怒を放ちて、己の王及び己の神を譏らん。彼等上を仰ぎ、地を觀るに、視よ、禍災と暗と幽闇なり、彼等黒闇に逐はれん、然れども今幽闇の在る所には、恒に暗あることなからん。先の時には、ザワゥロンの地及びネファリムの地卑しめられたり、後の時には海に沿ひたる路、イオルダンの外の地、異邦のガリレヤ榮を得ん。幽闇の中を行く民は大なる光を見、死の地及び蔭に居る者に光は輝かん。爾民を増し、其喜を大にせん。彼が爾の前に樂しまんとするは、人の収穫の時に樂しむが如く、獲物を分つ時に歡ぶが如し。蓋彼の負へる軛と、彼を撻てる笞と、彼を虐ぐる者の杖とは、爾之をマディアムの日に於けるが如く折らん。蓋兵士の戰の時の軍装と、血に染みたる衣とは、皆焚かれ、皆火の燃料と爲らん。蓋嬰は我等の爲に生れ、子は我等に賜はりたり、權柄は其肩に在り、其名

---------------------[大齋第三週間月曜日 第六時課 488]---------------------

は奇妙なる者、議士、大能の神、永遠の父、和平の君と稱へられん。彼の權柄と彼の和平との増加はダワィドの位に其國に於て已むなからん、彼が審判と公義とを以て今より世世に至るまで之を理め、之を固めん爲なり。主サワオフの熱心は之を成さん。

 

   提綱、第四十二聖詠、第六調。

我我が救主我が神を讃榮せん。句、神よ、我を判き、我が訟を理めよ。

 

         ~~~~~~

 

 

 

 第三週間の月曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて讚頌を歌ふ、三歌經の左の三、及び月課經の三。

    讃頌、イオシフ師の作、第一調。

我等齋を愛せん、此れは靈の甚しき慾を神の行動にて枯らし、神聖なる行爲を行はん爲に堅め、智慧を天に升せ、我等が犯しし諸罪を赦さんことを轉達して、洪恩

---------------------[大齋第三週間月曜日 晩課 489]---------------------

なる神の之を賜ふを致す。

主よ、我生命を諸淫婦と共に放蕩に費しし不當の者は蕩子の如く傷感の情を抱きて呼ぶ、天の父よ、我罪を犯せり、我を潔めて救ひ給へ、我自ら爾より離れて、今神聖なる行に貧しくなりたる者を退くる毋れ。

   又讃頌、フェオドル師の作、第三調。

皆來て、聖詠に言へる如く和聲の鈸を以て尊き節制を歡び受けて呼ばん、蓋我等は斯の中に見えずして惡の魁たる蛇を裂かん。故に毅然としてハリストスに呼ぶ、救世主よ、我等に定罪なく爾の至聖なる十字架を見て伏拜し、聖詠と歌頌とを以て欣ばしく祝ふを得しめ給へ。

   又月課經の三。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第四十三聖詠、第四調。

我等は日日神を以て己の譽となし、永く爾の名を讃榮せん。句、神よ、我等は己の耳にて聞けり、我が列祖は爾が彼等の日に行ひし事を我等に述ベたり。

 

   創世記の讀。第六章。

ノイは義人にして、其世に於て完き人なりき、ノイは神の悦を獲たり。ノイ三子を生めり、シム、ハム、イアフェト是なり。時に地は神の前に亂れ、地は不義にて

---------------------[大齋第三週間月曜日 晩課 490]---------------------

盈ちたり。主神地を觀たるに、此れ壞れたり、凡の肉は地上に其道を亂したればなり。主神はノイに謂へり、凡の人の期は我の前に至れり、蓋地は彼等に因りて不義にて盈ちたり、視よ、我は彼等及び地を滅さん。爾松の木を以て己の爲に方舟を造れ、方舟の中に房を作り、瀝青を以て其内外を塗れ。斯く方舟を造るべし、舟の長は三百臂尺、其闊は五十臂尺、其高は三十臂尺。舟の上に窻を作れ、高一臂尺、舟の旁に門を設け、上中下の三層を舟の中に作れ。視よ、我洪水を地に起さん、凡そ天下に生命の氣ある肉體を滅さん爲なり、地に在る者皆死なん。然れども我爾と我が約を立てん、爾及び爾の諸子、爾の妻及び爾の諸子の妻は爾と偕に舟に入らん。又凡ての家畜、凡ての昆蟲、凡ての獸、凡ての肉體は、爾各其二を舟に攜へ入りて、爾と偕に養へ、皆牝牡なるべし。凡ての飛ぶ鳥は其類に從ひ、凡ての家畜は其類に從ひ、凡ての地に匍ふ者は其類に從ひて、各二爾の所に入るべし、爾と偕に養はれん爲なり、皆牝牡なるべし。爾は食ふべき凡の食品を取りて、爾の許に集めよ、是れ爾及び此等の物の糧と爲らん。ノイ悉く之を行ひ、凡そ主神の命ぜし如くに行へり。

 

   提綱、第四十四聖詠、第六調。

我爾の名を萬世に誌さしめん。句、我が心善言を湧き出せり。

---------------------[大齋第三週間月曜日 晩課 491]---------------------

   箴言の讀。第八章。

子よ、智慧は呼ばざるか、聡明は其聲を揚げざるか、彼は高き處に、路の旁に、街衢に立ち、邑に入る門に、門門の口に於て呼びて云ふ、人人よ、我爾等に呼び、我が聲人の諸子に向ふ。惡に染まざる者よ、詭譎に注意せよ、蒙昧の者よ、心を啓け。我に聽け、蓋我貴き事を言ひ、正しき事を唇より出さん、蓋我が舌は眞實を述ぶ、詐僞の唇は我の前に憎むべし、我が口の言は皆義にして、其内に一も詭計と邪曲とあるなし、是れ皆智者の爲に明にして、知識を得たる者の爲に正しきなり。爾等銀よりも我が敎を受けよ、精金よりも知識を得よ、蓋知慧は眞珠に愈れり、凡そ人の慕ふ所の者は之に比ぶべきなし。我智慧は明謀を建て、我知識と明哲とを招き致せり。主を畏るる寅畏は惡を惡むことなり、矜誇と傲驕と惡しき道と邪曲の口とは、我之を惡む。明謀と堅固と我に在り、良智我に在り、能力我に在り。我に由りて諸王は王たり、諸主は義を定む、我に由りて牧伯、諸、地上の審判者は世を治む。我を愛する者は、我之を愛す、我を求むる者は恩寵を得ん。富と榮とは我に在り、滅びざる寶と公義と亦然り、我が果は金よりも精金よりも愈り、我に由る利は精銀よりも多し。我は義の路を行き、公判の路徑の中を行く、我を愛する者に眞寶を得しめん爲なり、其府庫は、我之を充たさん。

 

---------------------[大齋第三週間月曜日 晩課 492]---------------------

   挿句に本日の自調、二次。第二調。

至仁なる父よ、爾が我に賜ひし諸恩は、我が無知悉く之を剥ぎたり。我爾より離れて、踈き住民に服役し、卑しき獸を牧ひて、此等の食をも腹を充す爲に得ざりき。故に爾の慈憐を知りて爾に趨り附きたり、爾の仁愛を以て我が裸體を蔽ひて、我を救ひ給へ。

致命者讃詞、聖なる諸致命者が我等の爲に祈り、ハリストスを歌ふに因りて、凡の迷は熄み、人類は信を以て救はる。

光榮、今も、生神女讃詞、同調、至聖なる童貞女よ、爾の童貞の腹より光は世に輝き、言に由りて言は生れ給へり。潔き者よ、我等の靈が敵の網より救はれんことを彼に祈り給へ。

 

 

          ~~~~~~

 

 

 

 

---------------------[大齋第三週間月曜日 晩課 493]---------------------

 

 

 第三週間の火曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞。

第二の誦文の後に坐誦讃詞、イオシフ師の作。第一調。

我等は齋と祈とを以て己を潔め、貧者を慮るを以て神に役事せん。今の反正の時に於て歎息し、熱き涙を流さん、「ゲエンナ」のの中にある永遠の涕泣を免れん爲なり。光榮をハリストスに歸せん、彼は正直の意志を以て反正する凡ての人の爲に痛悔を定めたればなり。二次。

生神女讃詞、至聖なる童貞女よ、爾が人體を取りし神造成主を抱きたる爾の神聖なる手を伸べて、我等が誘惑と、諸慾と、諸難より救はれんことを祈り給へ。我等愛を以て爾を讃め揚げて、爾に呼ぶ、光榮は爾の内に入りし主に歸し、光榮は爾より出でし主に歸し、光榮は爾の産を以て我等を釋き給ひし主に歸す。

 

第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェオドル師の作、第三調。

我等齋を以て樂しみ,歌頌を以て喜び、祈を以て諸慾を制し、ワェリアルの惡

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 494]---------------------

謀を踐みて、ハリストスに從ひて呼ばん、我等に爾の十字架を見るを得しめて、洪恩なる主として大なる憐を與へ給へ。二次。

生神女讃詞、神福なる生神女、聘女ならぬ母よ、我が病める靈を醫し給へ、我甚しく罪惡に惱まさるればなり。故に我が心の歎息を以て爾に呼ぶ、純潔なる者よ、我多く罪を犯しし者を納れ給へ、我が勇みて爾に呼ばん爲なり、神の居處よ、慶べ。

 

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第一調。

 

   第二歌頌

イルモス、見よ、見よ、我は神、我が權を以てモイセイに命じて、奴隷とせられたるイズライリ民を野に導き、我が能力を以て之を救ひし者なり。

至仁なる父よ、爾は洗盤を以て我を己の子と爲して、諸善の富を以て飾り給へり。然れども我は己の望にて果を結ばざる思念に服役せり、故に貧しくなれり。

主よ、慈憐なれ、慈憐なれ、慈憐なれ、義なる審判者よ、憐を以て我を判き給へ、ハリストスよ、大なる仁慈に由りて我が小き歎息を受けて、我を退くる勿れ。』

我等は不節制の汚らはしき衣を脱ぎて、節制の光明なる衣服を衣ん、斯く潔くな

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 495]---------------------

りて、救世主の輝ける復活に至らん。

生神女讃詞、救世主を生みし者よ、我を救ひ、我を救ひ給へ。潔き者よ、我が無量の惡が日日に我が望を失ひし不當なる靈に爲す所の憂患を見よ。

 

   又、フェオドル師の作。第三調

イルモス、「見よ、見よ、我は世界の救主」。

見よ、見よ、我は神として爾等に救を流せり、地上の者よ、皆節制を以て之を汲め。見よ、見よ、我は爾等に靈を樂しません爲に聖にせられし時を定め、齋の馳塲を與へたり。

三者讃詞、我等は三者を讃榮し、惟一の神たる無原の父、無原の獨一子、同寶座にして同永在なる聖神に伏拜す。

生神女讃詞、純潔なる者よ、絶えず救世主に祈りて、口と靈とを以て爾を生神女と承け認むる者を凡の患難より救はんことを求め給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主よ、爾は至大なり、爾の行事は奇異なり、蓋爾は昔齋に保護せらるるダニイルを洞穴に於て獅子に食はれぬ者と爲し給へり。

 

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 496]---------------------

イルモス、見よ、見よ、我は世界の救主、眞の光、生命の泉、神の子なり。

 

   第八歌頌

イルモス、「諸天使と悉くの軍とが造物者」。

我畏るべき寶座の前に立たん時を思ひて、歎きて泣く、知ると知らずして行ひし我が多くの惡に由りて苦を受くるに當ればなり。

モイセイは齋を以て潔浄と爲して、惟一の聖潔なる神を悟れり。吾が靈よ、齋を以て己を潔めよ、人を愛する神に近づかん爲なり。

我等は諸徳の母たる齋を愛し、諸慾を生む不節制を厭ひて呼ばん、天に在す父よ、我等を救ひ、爾の諸聖人の祈に因りて救ひ給へ。

生神女讃詞、潔き童貞女マリヤ、獨人類の轉達者なる者よ、爾が生みし審判者に審判の時に於て我定罪に當る者を宥めて救はんことを祈り給へ。

   又、イルモス、「神たる力を以ての中に」。

我等は齋の至りて光明なる恩寵を受けて、諸徳に輝きて、精修したる靈を示す温和なる面、温和なる風儀を有たん。

エリセイは齋して、ソマンの婦に童子を生ける者として與へたり。兄弟よ、此に由りて我等は齋が如何にか善、如何にか大にして、如何なる神の賜はりし恩寵たる

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 497]---------------------

を悟らん。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃詞、我等は父と偕に子及び聖神、三者に於て惟一者に伏拜して、塵の口を以て諸天使と偕に呼ぶ、至高きに光榮は三位一體の神に歸す。

生神女讃詞、獨神の恩寵を蒙れる者よ、爾は童貞女にして子を生む、大なる祕密、畏るべき奇跡なり、蓋爾は身を取りし神、世界の救主を生み給へり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

鳴呼兄弟よ、我等の中一人も煩悶及び怠惰に己を委ぬべからず、勤勞の時、慶賀の期なり、誰か睿智にして一日を以て萬世を求むるを得る。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、神たる力を以ての中にエウレイの少者に降りて、現れし主を、司祭等よ、崇めて萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「光を放つ雲、萬有の主」。

我は罪の海、失望の深處、思念の暴風、諸慾の颶風に陷りて呼ぶ、仁慈の淵よ、我を援けて、爾の慈憐を以て我に諸罪の潔浄を注ぎ給へ。

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 498]---------------------

信者よ、我等は齋にては體、節制にては神、涙にては靈を潔め、浄き者として欣ばしく浄き主を迎へて、贖罪主が我等の爲に忍びたる救の苦を見るを得ん。』

我税吏の如く歎息し、淫婦の如く泣き、盗賊の如く呼ぶ、洪恩なる主よ、我を憶ひ給へ。瞽者の如く爾に求む、神の子よ.吾が靈の目、詭譎なる誘惑者の惡に昧まされし者を啓き給へ。

生神女讃詞、我等信者は截られざる山、過られぬ門、天及び萬物より上なる者、イアコフの榮、純金の壷及び橋なる童貞女、造成主の母を崇め讃めん。

   又、イルモス「モイセイはシナイ山に於て棘の中に」。

 

我等は今の日日が衆聖日に殊なるを知りて、祈を神に奉り、潔き良心を以て屡膝を屈めて言はん、主よ、常に爾の諸僕の祈と冀願とを納れ給へ。

録されし如く、民は坐して食ひ飲み、起ちて躍りて、「ワェエルファゴル」の偶像に務めたり、視よ、饕餮の結果は如何に甚しき。惟我等は齋して、大なるモイセイの如く光榮を得ん。

 

光榮、至りて神聖なる三者、性に於て惟一にして分離せざる者は、位に於て分れて、一なる者は三と爲り給へり、是れ父と子と生活の神、萬有を護り給ふ神なり。

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 499]---------------------

生神女讃詞、子を生む童貞女、又夫に與らざる母の事を誰か聞きたる、マリヤよ、爾は奇跡を行ひ給ふ、然れども是れ如何に、我に言へ。我が神産の深きを窮むる勿れ、是の奥密は實に人の智慧に超ゆ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主よ、罪人に於ける爾の怒の忍び難きに由りて、誰か能く其威嚇に忍びん。無量の仁慈を有つ者よ、我が多くの罪惡を顧みずして、爾の慈憐を以て我を救ひ給へ。

イルモス、モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次。第七調。

主よ、我放蕩の者は爾の前に痛告す、我罪を犯せり、敢て目を天に擧ぐるを得ず、不當の者と爲りて彼處より離れたればなり。我天及び爾の前に罪を獲たり、既に爾の子と稱へらるるに堪へず、自ら之を告ぐ、我を訟ふる者又證明する者を要せず。我を顯すには放蕩あり、我を責むるには惡しき度生あり、我を辱かしむるには吾が裸體

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 500]---------------------

あり、此の恥辱に加へて吾が衣たる襤褸あり。慈憐なる父、獨生の子、聖なる神よ、我痛悔する者を納れて、我を憐み給へ。

致命者讃詞、爾の受難者は法に戻る者の審判塲の中に歡びて呼べり、主よ、光榮は爾に歸す。

光榮、今も、生神女讃詞、ハリストスよ、爾は言ひ難く童貞女より生れて、幽暗に在る者を照して呼ばしむ、主よ、光榮は爾に歸す。

          ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第七調。

主よ、爾は我等の救なり、憂の日に我等を扞ぎ衛る者なり。人を愛する主よ、爾の大なる慈憐に因りて我等を憐み給へ。

 

   提綱、第四十五聖詠、第四調。

萬軍の主は我等と偕にす、イアコフの神は我等を護る者なり。句、神は我等の避所なり、能力なり。

 

   イサイヤの預言書の讀。第九、十章。

主是くの如く言ふ、悉くの民、エフレムとサマリヤに居る者とは之を知らん、彼等は驕泰と頑梗なる心とを以て云ふ、瓦崩れたり、我等斫石を以て建てん、桑の木伐

---------------------[大齋第三週間火曜日 早課 501]---------------------

られたり、我等柏香木を以て之に易へんと。故に主はレチンの敵を擧げて彼を攻め、彼の仇たるシリヤ人を東より、フィリスティヤ人を西より起して攻めん、彼等は口を張りてイズライリを呑まん。然りと雖主の怒は息まず、其手は尚伸べられたり民は轉じて之ち撃つ者に向はず、主サワオフを求めず。故に主は一日の間に、首及び尾、椶櫚及び葦をイズライリより絶たん、首とは老いたる者、尊き者、尾とは誑を言ふ預言者なり。斯の民を導く者は之を迷はせ、彼等に導かるる者は亡びん。是の故に主は其少き者を歡ばず、其孤と寡とを卹まざらん、蓋彼等皆邪曲なり、惡を行ふ者なり、其口は皆を言ふ。然りと雖主の怒は息まず、其手は尚伸べられたり。蓋不法は火の如く燃え、荊と棘とを食ひ盡し、茂りたる林をきて、烟の柱は騰る。主サワオフの怒は地を焦し、民は火の薪の如くになり、人其兄弟を憐まざらん。右に攫めども仍飢ゑ、左に食へども仍飽かず、各其腕の肉を食はん、マナッシヤはエフレムを、エフレムはマナッシヤを食ひ、兩者共にイウダを食はん。然りと雖主の怒は息まず、其手は尚伸べられたり。禍なる哉、不義の法を立て、殘忍の定を録す者や、彼等は乏しき者の訟を受けず、我が民の貧しき者の權利を剥ぎ、寡婦の資産を奪ひ、孤兒の所有を掠む。爾等懲戒の日に於て、滅亡の遠くより來らん時、何を爲さんか、援助を得ん爲に誰に趨り就かんか、何處に爾等の富を遺さんか。我

---------------------[大齋第三週間火曜日 第六時課 502]---------------------

に頼らずして、彼等は俘にせられし者の間に屈み、殺されし者の間に仆れん。然りと雖主の怒は息まず、其手は尚伸べられたり。

 

   提綱、第四十六聖詠、第三調。

我が神に歌ひ歌へよ、我が王に歌ひ歌へよ。句、萬民よ、手を拍ち、歡の聲を以て神に呼べ。

 

          ~~~~~~

 

 

 

 第三週間の火曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて三歌經の三章、及び月課經の三章を歌ふ。

   讃頌、イオシフ師の作、第三調。

十字架を以て誘惑者を殺しし主よ、我誘はれて罪を行ふ者を彼の誘より脱れしめ、齋を以て潔めて、我に爾の望を行ふを得しめ給へ、我が悦びて爾主宰の尊き苦を見ん爲なり。

---------------------[大齋第三週間火曜日 晩課 503]---------------------

主よ、我逸樂の武器に傷つけられて、全く殺されたり。戈にて刺されたる主宰よ、洪恩なる主として、吾が卑微なる靈を醫して活かし給へ、我敵の矢に傷つけられたる者が瘳されて、爾の尊き苦に與るを得ん爲なり。

   又讃頌、フェオドル師の作、第二調。

主よ、願はくは我等は齋にて靈を照して、定罪なく喜を以て爾の十字架を見、畏と愛とを以て之に伏拜するを得ん。蓋十字架は爾仁愛なる主が我等の爲に甘じて受け給ひし自由なる苦を輝かす。

   又月課經の三章。光榮、今も、生神女讃詞。

 

   提綱、第四十七聖詠、第三調。

主は大にして、我が神の城邑に讚揚せらる。句、萬軍の主の城邑、我が神の城邑に。

 

   創世記の讀。第七章。

主神ノイに謂へり、爾及び爾の全家方舟に入るべし、蓋我爾を斯の世に於て我が前に義なる者と視たり。潔き畜類牝牡各七、潔からざる畜類牝牡各二、亦潔き天空の鳥雌雄各七、凡そ潔からざる鳥雌雄各二を爾と偕に取れ、種を全地に遣さん爲なり。蓋尚七日ありて、我四十日四十夜地に雨を降らし、凡そ我が造りし

---------------------[大齋第三週間火曜日 晩課 504]---------------------

生物を地の面より滅さん。ノイは悉く主神の彼に命ぜし事を行へり。

 

    提綱、第四十八聖詠、第二調。

我が口は睿智を出し、我が心の思は智識を出さん。句、萬民之を聽け。

 

   箴言の讀。第八、九章。

子よ、我に聽け、我が道を守る者は福なり。敎訓を聽きて智慧を得よ、之に離るる毋れ。我に聽く人、我の道を守りて常に我が門に待ち、我が戸の柱の側に立つ人は福なり、蓋我を得る者は生命を得、主より恩を獲るなり。我に對して罪を犯す者は己の靈を害ふ、凡そ我を惡む者は死を愛するなり。智慧は其家を建て、其七の柱を堅め、其畜を宰り、其酒を調和し、其席を設け、其諸僕を遣して邑の高き處より呼ばしめて云へり、無知なる者よ、此に來れ。智慧の乏しき者に謂へり、來りて、我が餅を食ひ、我が調和せし酒を飮め、無知を棄てて生命を得、聰明の途を行け。侮慢者を戒むる人は己に辱を得、惡者を責むる者は己に疵を得ん。侮慢者を責むる毋れ、恐らくは彼爾を惡まん、智者を責めよ、彼爾を愛せん、智者に傳授せよ、彼益智慧を獲ん、義者を敎へよ、彼知識に進まん。主を畏るる寅畏は智慧の始なり、聖者を知るは聰明なり。我に由りて爾の日は多くせられ、爾の生命の年は增さ

---------------------[大齋第三週間火曜日 晩課 505]---------------------

ん。

 

   挿句に本日の自調、二次。第二調。

主よ、我爾の像として造られて地上に居る者は放蕩に生活し、爾の賜の富を費して、子たる分に背きたれども、勇みて爾造物主を父と稱ふ。願はくは爾、己の獨生子が我の爲に身にて十字架及び死を忍ぶことを嘉せし主は我を諱まざらん。求む、人を愛する主よ、我を矯正して己に屬せしめ給へ。

致命者讃詞、致命者の會は窘逐者に敵して曰へり、我等は萬軍の王の兵士なり、爾等火及び種種の苦に我等を付すとも、聖三者の力を諱まざらん。

   光榮、今も、十字架生神女讃詞、同調。

救世主よ、不法の民が爾萬衆の生命を木に懸けし時、純潔なる牝羊、爾の母は前に立ちて、泣きて曰へり、鳴呼我が甘愛なる子、我が目の光よ、如何にして爾地を水の上に懸けし主は罪犯者の間に木に釘せらるるを忍びたる。

 

          ~~~~~~

 

---------------------[大齋第三週間火曜日 晩課 506]---------------------

 

 

 第三週間の水曜日の早課

 

聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の十字架の坐誦讃詞。

第二の誦文の後に左の坐誦讃詞を誦す、イオシフ師の作。第三調。

主宰よ、爾は十字架に擧げられて、木を以て罪犯のを滅し、甘じて殺されて、敵を殺し給へり。故に我爾に祈る、慈憐の主として、我が肉體の望を殺し、我が不當なる心を活かし、慾を殺す齋にて我を凡の汚より潔め給へ。

   光榮、同上。

   今も、十字架生神女讃詞。

洪恩なるハリストスよ、爾は甘じて十字架に釘せられて、恥づべき死を忍び給へり、爾を生みし者は之を見て心刺され、痛く苦しみて、母として泣けり。世界の罪を任ひし主よ、彼の祈に由りて、爾の大仁慈を以て、世界を憐みて救ひ給へ。

 

第三の誦文の後に坐誦讃詞、第二調

我等は齋の欣ばしき盛筵の時を過りて呼ぶ、至仁なる主よ、我等衆を平安に

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 507]---------------------

護りて、敵の凡の惡謀より脱れしめ給へ。獨大仁慈なる主よ、我等に爾の尊き十宇架、爾が世界に己の仁慈を賜ふ所の者に愛を以て接吻するを得しめ給へ。

 

   光榮、同上。

   今も、十字架生神女讃詞、同調。

ハリストスよ、童貞女爾の母は爾木に懸けられて死せし者を覩て、痛く泣きて曰へり、吾が子よ、此の畏るべき祕密は何ぞや、衆に永遠の生命を賜ふ者は如何ぞ甘じて十字架に恥づべき死を以て死する。

規程は月課經の、及び左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第三調。

 

   第三歌頌

イルモス、「主、爾を頼む者の堅固よ」。

我等の爲に十字架に釘せられし者と偕に釘せられて、我等は齋と祈と冀願とを以て我が肉の肢體を殺さん。

爾を十字架を以て罪の荊棘を根より絶しし主よ、我が智慧の棘の思を斷ち給へ。我等は齋を靈の武器と爲し、十字架の力に扶けられて、抗敵する惡鬼の軍に勝

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 508]---------------------

たん。

生神女讃詞、至浄なる者よ、言は爾より身を取りて出でて、慈憐の多きに因りて、原祖の堕落を矯正し給へり。

 

   又、フェオドル師の作。第二調。

イルモス、「木を以て罪を殺しし主よ」。

主よ、生命を施す爾の十字架は我の爲に救の印なり、蓋我は此を以て抗敵する者の力を空しくして、爾を全能の神として讃め歌ふ。

十字架の木は永遠の生命の爲に活かす果を世界に生ぜり、ハリストスよ、我等は之を味ひて死より救はる。

 

三者讃詞、我等は惟一の性の三位たる父、子、及び聖神を讃榮して、神性の惟一の權柄に伏拜す、蓋惟一の神は王として萬有を司り給ふ。

今も、生神女讃詞、潔き者よ、爾の産は畏るべし、蓋人と爲りし者は神なり、無原に父より生れ、末の時に爾より夫なくして生れ給ひし者なり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

洪恩なる主よ、十字架の恩寵の光線は已に世界に輝きて、我等衆を爾の神聖なる苦に呼ぶ、我等に熱信を以て之に伏拜するを得しめ給へ。

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 509]---------------------

イルモス、木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植え給へ、

 

   第八歌頌

イルモス、「敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに」。

十字架を以て幽暗の首領及び權柄に勝ちたる言、生命を施す主よ、權を以て全世界を審判する爲に來らん時、我が隱なる事を顯す勿れ、我が爾の多くの慈憐を讃榮せん爲なり。

恒忍にして義なる審判者よ、爾は審判座の前に立ちて審判せらるる時、爾の十字架を以て仇を定罪し給へり。故に畏を以て呼びて爾の仁愛を讃め揚ぐる者を永遠の定罪より救ひ給へ。

昔敬虔の少者は齋の火に錬られて、神聖なる露を以て實に最高きを滅したり。我等も齋して、悉くの慾の爐を滅さん、「ゲエンナ」のを免れん爲なり。』

生神女讃詞、婚姻に與らざる少女よ、神の睿智は爾より己の爲に殿を造りて、言ひ難き寛容を以て身を取り給へり、蓋爾獨無なる者は萬族の中より無なる言の居處の爲に選ばれたり。

   又、イルモス、「昔シナイ山に於て棘の中に」。

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 510]---------------------

言を以て萬物を持つハリストスよ、爾は我の爲に頬を批たるること、唾せらるること、十字架に釘せらるることを一切忍び給へり。我爾の仁愛の至大なるを萬世に崇め讃む。

ハリストスよ、爾は脅を刺されて羔の如く殺さる、我迷ひし羊を惡魔の網より救ひて、世世に爾の善き牢に入れん爲なり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讚めん。

三者讃詞、惟一の神性たる三者、分たれぬ性、分れたる三位、永在なる權柄、父と子と聖神よ、我等爾を萬世に崇め歌ふ。

生神女讃詞、潔き神の母、天の戸、救の門よ、爾を萬世に讃揚する衆「ハリスティアニン」の祈を納れ給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾の十字架を以て司祭等は誇り、諸王は堅められ、凡の信者は照さる、我に之を見て、伏拜して、世世に歌ふを得しめ給へ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

 

イルモス、昔シナイ山に於て棘の中にモイセイに童貞女の奇跡を預め示しし者を尊み歌ひ、崇め讃めて、萬世に讃め揚げよ。

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 511]---------------------

 

   第九歌頌

イルモス、「我等信者は影及び文なる律法に於て」。

仁愛なるイイススよ、モイセイは蛇を木の上に擧げて、爾が甘じて十字架に擧げられ、兇惡者の惡毒を醫して、人人を己に就かしめしを預兆せり。

ハリストスよ、爾を畏るる畏の火を以て我を潔め、爾を愛する神聖なる愛を吾が靈の中に燃し、爾の十字架を以て古の誘惑者が逸樂にて誘ひて昧ましし我が智慧を照して護り給へ。

兄弟よ、我等は汚らはしき思と惡しき行とを齋し、心を潔めて、神聖なる諸徳に擧り、下なる卑しき慮を退けん、淨き者として大なる「パスハ」を見ん爲なり。』

生神女讃詞、童貞女よ、本性の富める者は甘じて爾より我が貧しきを衣、見えざる者は我等に見らるる者と爲り、天上の會に歌はるる者は壞れたる像を新にし給へり、其慈憐に因りてなり。

   又、イルモス、「生神女よ、爾は屬神の活ける梯なり」。

十字架に手を伸べて、四極を己に屬せしめし神の子よ、我等衆爾に由りて父に入る門を得たる者は爾を崇め讃む。

ハリストスよ、不法の者は爾に棘を冠らせ、爾を批ちて、十字架に釘せり、普天

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 512]---------------------

下は此に由りて動き、我等は救はれて爾を崇め讃む。

三者讃詞、我等は爾三光の聖なる神性、萬有を持ちて、常に護り給ふ父、子、生活の神を默さざる歌を以て崇め讃む。

生神女讃詞、生神女よ、爾は神の輝ける雲なり、是より我等の爲に近づき難き光たるハリストス、義の大なる日は輝き出でたり。故に我等歌を以て爾を崇め讃む。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスの十字架よ、爾は我等の爲に光、聖なる旗、勝利の記號なり、爾我等に節制を樂しき者となして、爾に伏拜するを得しめよ。

イルモス、生神女よ、爾は屬神の活ける梯なり、神は此の上に立ち給ふ、我等此に因りて天に升るを得て、歌を以て爾を崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に本日の自調、二次。第二調。

我無智なる者は仁慈なる父の子たる貴きを有ちて、悟らざりき、惡しく恩寵の富を費して、自ら光榮を失へり。神聖なる糧に乏しくして、汚らはしき住民の客と爲り、彼より其靈を滅す田に遣されて、放蕩に生活して、獸と共に牧はれ、

---------------------[大齋第三週間水曜日 早課 513]---------------------

逸樂に役して飽くを得ざりき。故に還りて、洪恩慈憐なる父に呼ぶ、我天及び爾の前に罪を獲たり、我を憐み給へ。

致命者讃詞、ハリストスよ、爾の聖人の大數は爾に祈る、人を愛する主として我等を憐みて救ひ給へ。

   光榮、今も、十字架生神女讃詞。

至淨なる者よ、爾は己の子及び神が十字架に釘せらるる時、多くの苦を忍び、歎息して泣き、悲しみて呼べり、鳴呼甘愛なる子よ、アダムより出でたる地上の者を救はんと欲して、如何ぞ非義に苦を受くる。至聖なる童貞女よ、我等熱信に爾に祈る、彼を我等の爲に仁慈なる者と爲し給へ。

          ~~~~~~

 

 

   第六時課に預言の讃詞、第八調。

主よ、行爲の善果は我等に有るなし、人を愛する者よ、爾は仁慈なり、罪なき者よ、爾の手の造工を棄つる毋れ。

   提綱、第四十九聖詠、第四調。

讃美を以て神に獻ぜよ、爾の誓を至上者に償へ。句、諸神の神主は言を出して地を召す。

---------------------[大齋第三週間水曜日 第六時課 514]---------------------

 

   イサイヤの預言書の讀。第十章。

主はシオン山とイエルサリムとに悉く其事を成し畢る時云はん、我アツシリヤ王の傲れる心の實と、其仰ぎたる目の矜驕とを臨み視ん。彼言ふ、我我が手の力と我が智慧とを以て之を爲せり、蓋我は明哲なり、我諸民の界を除き、其財を奪ひ、勇士の如く、位に坐する者を下す、我が手諸民の富を獲たること、巣を取るが如し、其中に遺されたる卵を拾ふが如く、我是くの如く全地を拾へり、一も翼を動かし、或は口を啓き、或は喃喃する者なかりき。斧は之を執りて伐る者に對ひて誇るか、鋸は之を動かす者に對ひてるか、豈笞は之を擧ぐる者を攻めんや、豈杖は木ならざる者に逆はんや。此に縁りて主萬軍の主は其肥えたる者を瘠せしめ、其光榮の間に火を起すこと、盛なる火の如くならん。イズライリの光は火と爲り、彼の聖者は火と爲らん、此れ一日の間に其棘と荊とを焚き盡し、其榮えたる林と園とを靈より體に至るまで滅さん、彼は死せんとする病者の如くならん。其林の木の殘れる者は幾くもなくして、童子も之を數へて書すを得ん。當日イズライリの遺れる者と、イアコフの家の逃れたる者とは、復彼等を撻ちし者に倚らずして、誠を以て主イズライリの聖者に倚らん。

---------------------[大齋第三週間水曜日 第六時課 515]---------------------

 

   堤綱、第五十聖詠、第六調。

神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み給へ。句、神よ、潔き心を我に造り給へ。

          ~~~~~~

 

 第三週間の水曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に十句を立てて歌ふ、自調二次、及び致命者讚詞、并に其次の讃頌三章。

   自調、第四調。

我放蕩にして我が父の富を費し、空しくなりて、惡しき住民の地に入り、無言無知の獸に似たる者と爲りて、凡の神聖なる恩寵を褫がれたり。故に爾慈憐にして洪恩なる父に歸りて呼ぶ、神よ、我罪を犯せり、我痛悔する者を納れて、我を憐み給へ。

致命者讃詞、活ける祭、靈智なる全燔、主の致命者、全備なる屠殺、神を知り又神に知らるる羔、其牢に狼の入る能はざる者よ、我等も爾等と偕に靜なる水の

---------------------[大齋第三週間水曜日 晩課 516]---------------------

畔に牧せられて休はんことを祈り給へ。

 

   又讃頌、イオシフ師の作、第六調。

靈智なる日の光と顯れし見神者たる諸使徒よ、我が靈の爲に光照と諸慾の黒暗より脱るることとを求め給へ。至りて睿智なる傳道を以て世界を救ひし者よ、我等が齋と祈とを以て兇惡者に傷つけられし心を潔めて、救の日を見るを得んことを祈り給へ、我等が救はれて、熱信を以て常に爾等を尊まん爲なり。

慈憐なる父よ、我放蕩の者は惡しき地に離れて、爾が我に賜ひし富を惡しく費して、今善き行の飢に苦しみ、神の恩寵を褫がれて、罪犯の恥を衣て、爾に我罪を犯せりと呼ぶ、爾の仁慈を知ればなり。洪恩なるハリストスよ、爾を愛する諸使徒の祈に由りて、我を爾が傭人の一の如く納れ給へ。

 

   又讃頌、フェオドル師の作、同調。

救世主の諸使徒、全地の燈と恩者及び救者、諸天の如く神の光榮を傳ふる者、奇跡の星と醫治の休徴とに飾られたる者よ、熱切に我等の爲に主に祈を奉りて、我等のを清き香として享けて、我等衆に畏を以て生命を施す十字架を見て、之に接吻するを得しめんことを求め給へ。救世主よ、之に伏拜するに因りて我等に爾

---------------------[大齋第三週間水曜日 晩課 517]---------------------

の仁慈を遣し給へ、爾は人を愛する主なればなり。

   又月課經の四章。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第五十一聖詠、第四調。

我神の惠を恃みて永遠に迄らん。句、剛き者よ、何爲れぞ惡業を以て誇る。

 

   創世記の讀。第七章。

ノイ六百歳にして、地に洪水ありき。ノイ及び其諸子、其妻、其諸子の妻は、彼と偕に洪水に縁りて方舟に入りたり。潔き鳥、潔からざる鳥、潔き畜類、潔からざる畜類、獸、及び凡そ地に葡ふ者、牝牡各二、ノイに就きて方舟に入りたり、主神のノイに命ぜしが如し。

 

   提綱、第五十二聖詠、第四調。

神が其民の虜を返さん時、イアコフは喜び、イズライリは樂しまん。句、無知なる者は其心に神なしと謂へり。

 

   箴言の讀。第九章。

子よ、爾若し智慧あらば、己及び鄰の爲に智慧あるなり、若し暴慢ならば、爾獨之を負はん。詐譌に基く者は風を牧し、飛鳥を逐ふ、蓋彼は其葡萄園の途を離れて、其田の徑に迷ひ、水なき荒地、乾燥に定められし地を過ぎ、其手にて不作を歛む。愚

---------------------[大齋第三週間水曜日 晩課 518]---------------------

にして喧しく、拙くして何事をも知らざる婦は、其家の門の旁に、邑の高き處に在る座に坐り、直く己の途を過ぐる往來の人を呼びて云ふ、愚なる者よ、此に來れ、智慧の乏しき者に謂ふ、竊みたる水は甘く、密に食ふ餅は美き味ありと。彼處に在る者は死したる者にして、其客は地獄の深處に在ることを彼等知らざるなり。然れども爾速に離れよ、彼の處に留まる毋れ、彼に爾の目を注ぐ毋れ、蓋是くの如く爾は他の水を過ぎん。爾他の水を避けよ、他人の泉より飲む毋れ、爾の日の多くせられ、爾の生命の年の増さん爲なり。

   次に先備聖體禮儀を行ふ。

           ~~~~~~

 

 第三週間の木曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の使徒の坐誦讃詞。

第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、イオシフ師の作、第六調。

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 519]---------------------

世界の迷はざる光體、救世主の門徒よ、罪に縁りて瞽者と爲りし吾が靈を照し、我を神聖なる日の共與者、救の戒を守る者と爲して、我を彼の畏るべき幽暗より救ひ給へ、我が爾等を讃榮せん爲なり。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、聖なる女宰、ハリストス我が神の母よ、言ひ難く萬衆の造成主を生みし者として、聖使徒等と偕に常に彼の仁慈に我等を諸慾より救ひて、罪の赦を賜はんことを祈り給へ。

 

第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェオドル師の作、第六調。

世界を照す光體たる神聖なる諸使徒よ、爾等を歌ふ者を照し、齋の時の報として、彼等の爲にを奉りて、衆に潔き目を以て生命を施す十字架の木を見、汚なき口を以て之に接吻し、歌頌して、主よ、光榮は爾に歸すと呼ぶを得しめ給へ。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、世界の恃頼たる慈憐なる生神童貞女、獨祝福せられし者よ、我等は獨爾の威嚴なる轉達を求む、助なき民を憐みて、仁慈なる神に我等の靈が凡の患難より救はれんことを祈り給へ。

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 520]---------------------

規程は月課經の、又左の三歌頌、イオシフ師の作。并に歌頌を誦文す。第六調。

 

   第四歌頌

イルモス、「尊き敎會は浄き心より主の爲に祝ひ」。

信者よ、我等は齋、涙、祈、矜恤、善き傷感の情、正直なる思念、度生の潔浄を示さん、光榮を樂しむを得ん爲なり。

使徒よ、爾等は尊き敎會の穹蒼に至りて明に輝ける光體と現れたり。求む、我等の心を神聖なる神にて照し給へ。

我が神の睿智なる使徒よ、無形の火に燃されたる神聖なる熾炭として、我等の心の諸慾の物質を燒き給へ。

生神女讃詞、滅されぬ燈、至りて光明なる宮、セラフィムより上なる者、ヘルワィムのの輅たる純潔なる者よ、我を諸罪及び諸難より救ひ給へ。

 

   又、フェオドル師の作。同調。

イルモス、「主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き」。

救世主の諸使徒よ、爾等は神現の燈と顯れて、無知の夜を散じ、火の如き口にて宣べたる爾等の敎を以て敎會を輝かして、全地を照し給ふ。

諸使徒よ、爾等は各異なる地に往き、世界を周りて、衆を一の敎に聚め、天に到

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 521]---------------------

りて喜び祝ひ、我等衆の救はれんことを絶えずハリストスに祈り給ふ。

三者讃詞、我は父よりする子及び聖神、日よりする光と光線との如くなるを讃榮す。父より一は生れ、一は出づ、三位共に同無原にして、神聖なる三者、萬物に伏拜せらるる惟一の神なり。

生神女讃詞、子を生みて童貞を守りし潔き童貞女よ、爾は神及び人、一位に二性を有つ主を生みし者と現れたり。童貞女母よ、爾の奇跡は凡の聞と思とを驚かす。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主の諸使徒よ、願はくは我等は爾等の聖なる祈に因りて、生を施す十字架、世上の衆人の前に置かれて伏拜せらるる者を浄き目にて視、潔き口にて接吻するを得ん。

イルモス、主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。

 

   第八歌頌

イルモス、「ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲により露を注ぎ」。

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 522]---------------------

齋はモイセイを神を見る者と爲し、イリヤを火の車にて擧る者と爲せり。靈よ、務めて害を爲す思を禁ぜよ、下に引く誘惑を免れん爲なり。

我躓きて彌深く陷り、傷に傷を加ふ。洪恩なるハリストスよ、使徒の祈に由りて、吾が心の頑なるを醫し給へ。

世界に神の光を輝かす光體よ、我等の諸慾の雲を散じて、我等を光明なる復活の叩拜者、光榮の日を歌ふ者と爲し給へ。

生神女讃詞、神福なる童貞女よ、爾が昔預言せし如く、萬族は爾を讃揚す、蓋爾は獨人人の爲に爾より身を取りし福たる言を言ひ難く生み給へり。

 

又、イルモス、「爾の敬虔なる少者は爐の中に」。

諸使徒よ、爾等は敎の釣を以て迷の深處に漾ふ者を釣り、之を主の前に攜へて、主を崇め歌ひ、世世に讃め揚ぐる者と爲せり。

主よ、諸使徒の中に爾の力は大なり、蓋彼等の影及び手巾は病者を醫して、主を崇め歌ひ、世世に讃め揚ぐる者と爲せり。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃詞、我は無原にして子を生み聖神を出す父に伏拜し、父より生れし子を讃榮し、父より出でて父及び子と共に無原に輝き給ふ聖神を崇め歌ふ。

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 523]---------------------

生神女讃詞、童貞女よ、爾が言ひ難く生みし主に、其人を愛する主たるに由りて、絶えず爾に趨り附く者を諸難より救はんことを祈り給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

十二の聖使徒よ、我に定罪なく尊き十字架に伏拜して、主を崇め歌ひ、萬世に讃め揚ぐるを得しめ給へ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、爾の敬虔なる少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、三聖の歌を歌へり、崇めよ、歌へよ、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「天使の品位すら見るを得ざる神は」。

大仁慈なる神及び主よ、痛悔の良藥を我に傳けて、吾が心の傷を潔め給へ。我罪を得たり、爾の前に罪を得たり、爾の諸使徒の祈に因りて、我を宥めて救ひ給へ、爾は大仁慈の主なればなり。

我放蕩の者は無智にして不當なる慫慂に從ひて、全く己を失ひ、肉慾の逸樂に養はれて、救の糧を得ざりき。ハリストスよ、我を宥めて救ひ給へ。

靈よ、惡より潔まらず、害を爲す逸樂より己を離さずして、何ぞ齋して無益に

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 524]---------------------

喜ぶ、蓋獨我等の更新を欲する主は此くの如き齋を選ばざりき。

生神女讃詞、生神童貞女、光を生みし者よ、神聖なる光を以て我を照して、吾が靈より暗昧を逐ひ給へ、人の萬世が、爾の預言せし如く、讃揚する爾を我が讃揚せん爲なり。

 

又、イルモス、「種なき胎の産は言ひ難し」。

ハリストスの諸使徒よ、爾等は言に素朴にして、智識に聰明なる者と現れて、智者の言の羅織、辯者の論難を破れり、故に獨爾等は全世界の敎師と爲りたり。

ペトルが辯論するにプラトンは黙しパワェルが敎ふるにピファゴルは恥を得たり、他の使徒の會は福音して、エルリンの死せし説話を葬りて、世界をハリストスに奉事せん爲に興す。

 

三者讃詞、獨一子の父、獨一の光の輝煌、獨一の神の聖神よ、嗚呼聖なる三者惟一者よ、我爾を讃揚する者を救ひ給へ。

生神女讃詞、純潔なる者よ、爾の産の奇跡は我を驚かす、如何ぞ爾は種なくして限られぬ主を孕みたる、言へ、如何ぞ母として生みて、童貞女に止まる。性に超ゆることを信を以て受けて、生れし者に伏拜せよ、蓋彼は欲する所を能す。』

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 525]---------------------

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

願はくは我等皆潔き目と靈とを以て尊き十字架、至聖なる木、世界に救の華を發きし者を見て、伏拜するを得ん、爾等ハリストスの聖なる衆使徒の祈に因りてなり。

イルモス、種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讃む。

   光耀歌、本調の。

   挿句に自調の讃頌、二次。第六調。

我放蕩の者、子たる分を失ひ、奴隷と爲りて豕と共に養はれ、此等の食を以ても腹を充たすを得ざる者は、爾慈憐なる父に來り、惡しく出でし處に善く歸りて、痛悔を以て呼ぶ、父よ、我天及び爾の前に罪を獲たり、我歸る者に大なる憐を與へ給へ。

致命者讃詞、我が神は其選びたる聖者を奇異なる者と爲し給へり。彼の諸僕よ、喜びて樂しめ、彼は爾等の爲に榮冠と己の國とを備へたればなり。惟爾等に祈る、我等をも忘るる勿れ。

---------------------[大齋第三週間木曜日 早課 526]---------------------

光榮、今も、生神女讃詞、生神女よ、爾は實の葡萄の枝、我等の爲に生命の果を結びし者なり。女宰よ、爾に祈る、聖使徒及び衆聖人と共に我が靈の憐を蒙らんことを祈り給へ。

          ~~~~~~

 

 

   第六時課に預言の讃詞。第三調。

人を愛する主よ、若し爾不法を糾さば、若何ぞ我等に救の望あらん、祈る、主よ、慈憐なるに因りて、上より爾の佑助を爾の民に遣し給へ。

   提綱、第五十三聖詠、第四調。

神よ、爾の名を以て我を救ひ、爾の力を以て我を判き給へ。句、神よ、我がを聽き、我が口の言を聆き納れ給へ。

 

   イサイヤの預言書の讀。第十一、十二章。

主是くの如く言ふ、當日イエッセイの根は樹ちて諸民の爲にと爲り、異邦民彼に歸せん、彼の安息は尊榮と爲らん。當日主は復其手を伸べて、其民の遺餘、アッシリヤ、エギペト、ワワィロン、エフィオピヤ、エラム、センナアル、アラワィヤ、及び海の州島に遺りたる者を己に歸せしめん。彼は異邦民の爲にを樹て、イズライリの逐はれたる者を集め、イウダの散じたる者を地の四極より聚めん。エフレムの

---------------------[大齋第三週間木曜日 第六時課 527]---------------------

妬は息み、イウダに敵する者は絶たれん。エフレムはイウダを妬まず、イウダはエフレムを惱まさざらん。彼等西に飛びてフィリスティヤ人の肩を攫み、東の諸子を掠め、エドム及びモアフに其手を加へん、アムモンの諸子は彼等に順はん。主はエギペトの海汊を涸らし、其手を河に伸べ、烈しき風を以て之を撃ちて、七の小川と爲し、履を穿きて之を渉るを得しめん。時に其民の遺餘、エギぺトに遺らんとする者の爲に大路あらん、昔イズライリの爲に、其エギペトの地より出でし時に在りしが如し。當日爾言はん、主よ、我爾を祝讃す、爾曾て我を怒りたり、然れども爾は怒を息めて我て慰めたり。視よ、神は我の救なり、我彼を頼みて懼るる所なし、蓋主は我の力なり、我の歌なり、彼は我の救と爲れり。

 

   提綱、第五十四聖詠、第七調。

神よ、我がを聆き、我が願より匿るる毋れ。句、我に耳を傾けて我に聽き給へ。

 

          ~~~~~~

 

 

---------------------[大齋第三週間木曜日 第六時課 528]---------------------

 

 第三週間の木曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて三歌經の左の三章、及び月課經の三章を歌ふ。

   讃頌、イオシフ師の作。第五調。

救世主、眞の甘味なる者、昔神聖なる十字架の徴たる木を以てメルラの苦き水を甘くせし主よ、爾は甘じて十字架に擧げられ、膽を嘗め、脅を刺され、是より世界の爲に赦罪の水を流して、地上の合成を新にし給へり。故に我等は爾の言ひ難き力を讃榮して祈る、主よ、我等に齋の時に爾を畏るる畏、諸罪の赦、及び大なる憐を與へ給へ。

十字架に舒べられて爾より遠く離れたる者を聚めし言よ.我が思を諸慾の濘より上げ、我を凡の徳に富まし、我が心に爾を畏るる最潔き畏、我が靈に完全なる愛、我を肉慾の愛より離す者を與へ給へ、我が節制と、祈と、冀願とを以て今の日に爾の悦を獲て、爾の復活の光明なる日を見るに及びて、大なる憐を受けん爲なり。

 

   又讃頌、フェオドル師の作。第一調。

ハリストス言よ、尊き齋の第三の週間を過ぎたる我等に、生命を施す爾の十

---------------------[大齋第三週間木曜日 晩課 529]---------------------

字架の木を見、敬みて之に伏拜し、宜しきに合ひて歌ひ、爾の權柄を讃榮し、爾の苦を歌頌し、爾の光榮にして聖なる復活、アダムを復樂園に入るる奥密の「パスハ」に至るを得しめ給へ。

   又月課經の三章。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第五十五聖詠、第六調。

神よ、我を憐み給へ、蓋人我を呑まんと欲す。句、至上者よ、我が敵は毎日我を呑まんと覓む、

 

    創世記の讀。第七、八章。

ノイの在世六百年の二月、其月の二十七日に當り、是の日に淵の源皆潰れ、天の開けて、雨四十日四十夜地に注げり。⑬是の日にノイ及びノイの諸子シム、ハム、イアフェト、ノイの妻、及び其諸子の三人の妻は彼と偕に方舟に入りたり。又凡ての地の獸其類に從ひ、凡ての家畜其類に從ひ、凡ての地に匍ふ者其類に從ひ、凡ての飛鳥其類に從ひ、凡て生命の氣ある肉、牝牡各二、ノイに就きて方舟に入りたり、入る者は、凡ての肉の牝牡、主神のノイに命ぜし如く、ノイに就きて方舟に入りたり。是に於て主神は舟を其外より閉せり。洪水四十日四十夜地に在り、水増して舟を浮べ、舟は地の上に擧れり、水愈漫りて大に地に増し、舟は水の面に漂へり。

---------------------[大齋第三週間木曜日 晩課 530]---------------------

水甚大に地に漫りて、天下に在る高山を悉く掩へり、水其上に襄ること十五臂尺にして、悉くの高山を掩へり。凡そ地に動く肉、鳥、家畜、獸、地に葡ふ凡ての者及び人、皆死せり、凡そ生命の氣ある者、總て陸に在る者は死せり。斯く凡そ全地の面に在る生物は滅びたり、人より家畜、昆蟲