大斎 第2週


  第二週間の月曜日の早課

 

第一の聖詠誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞及び生神女讃詞

   第二の誦文の後に坐誦讃詞、第四調。

ハリストスイイススよ、祈る、犯罪の果にて靈の殺されたる我を、爾は洪恩なる主として、眞の齋と痛悔とを以て活かし、我に常に爾の尊き誡の直くして善なる途を行くを得しめ給へ、我が爾の神聖なる光榮を獲て、凡そ爾を愛する

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 381]---------------------

者と偕に爾の衆人に於ける仁慈を讃榮せん爲なり。

   光榮、同上。今も、生神女讃詞。

潔き者よ、諸慾の暴風に打たるる無智なる我は熱切に爾を呼ぶ、慈憐の淵を生みし者よ、我不當の者を滅亡に委ぬる勿れ、我には爾の外に恃頼なければなり。願はくは我爾を頼む者は諸敵の喜又笑と爲らざらん、蓋爾は萬有の神の母として、欲する所能せざるはなし。

   第三の誦文の後に坐誦讃詞、第六調。

主よ、我等復齋を續ぐ者を直くして聖にし、爾の律の光を以て我等を照して、我等に膝を屈めて爾に悦ばるるを捧ぐるを得しめ給へ。蓋爾は我等の父にして、我等は爾の諸子なり、畏を以て爾を歌ひ、爾の名を呼ぶ。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、救の始はガウリイルが童貞女に告げし言なり、蓋彼は慶ベよと聞きて、問安を避けず、サルラが幕に於けるが如く疑ふことなかりき、乃斯く言へり、我は主の婢なり、爾の言の如く我に成るべし。

規程は月課經の。又三歌頌、イオシフ師の作。預言者の歌頌を誦文す。第四調。

 

   第一歌頌

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 382]---------------------

イルモス、「童貞女より生れし主よ、祈る、強き軍たる」。

獨至善にして仁慈の泉たる神の羔、神として世界の罪を任ひし主よ、我諸罪の暴風にて沈めらるる者を救ひて、痛悔の港に向はしめ給へ。

潔き齋は罪に遠ざかること、諸慾に離るること、神に於ける愛、熱切なる祈、傷感の涙、貧者の爲の慮なり、ハリストスが聖書に戒めしが如し。

我等の靈の醫師、仁愛なる主よ、我罪の武器にて靈の傷つけられ、多くの惡を病める者に、恩主として、爾の睿智なる戒の良薬を傳けて、我を瘳し給へ。

生神女讃詞、の幕たる至聖なる童貞女よ、我惡慾の打撃に因りて汚されたる者を爾の仁慈の泉を以て潔め給へ。女宰よ、我に傷感の雨を與へて、我が深き罪を洗ひ給へ。

 

   又、フェオドル師の作。第六調。

イルモス、「佑け護る者顯れて、我が救と爲れり」。

兄弟よ、祭の後の喜として、光明なる齋の第二の週間を受けて、愛を以てハリストスを歌頌して、神聖に樂しまん。

今傷感の爲に齋の時を得て、痛く泣き、歎息して、手を擧げて惟一の贖罪主に向はん、我等の靈を救はん爲なり。

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課383]---------------------

三者讃詞、三位の惟一者、無原にして萬有の原因たる主、父、子、至聖なる神よ、親ら我等を救ひ給へ。

生神女讃詞、誰か父の法に依らずして子を生みたる、父は母なくして之を生み給ふ、至榮なる奇跡や、潔き者よ、爾は神及び人を生み給へり。

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我がハリストスよ、爾が審判の爲に來らん時、我如何ぞ爾の怒に堪へん、ハリストスよ、我爾の旨を行はず守らざりし者は彼處に於て何の答を爲さん。故に終の至らざる前に我を赦し給へ。

イルモス、佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讃め揚げし、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。

 

   第八歌頌

イルモス、「衆人の贖罪主全能者よ」。

我移り易き生命を過ぐる時、盗賊の思に遇ひ、傷つけられて腐れたり。病む者の醫師よ、爾の諸聖人の祈に由りて我に手を授け給へ。

諸罪の暴風は我が靈を擾す、イイススよ、ペトルに於けるが如く我を救ひ給へ。蓋我歌ふ、悉くの造物は主を歌ひて崇め讃めよ。

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 384]---------------------

我等は節制を以て諸慾を殺し、齋を以て神を天に向け、心の傷感を以て呼ばん、神よ、爾の前に罪を犯せり、洪恩なる主として赦し給へ。

生神女讃詞、童貞女よ、至上者は爾の腹に入りて、爾を天より廣き者と爲し、且悉くの造物は主を歌ひて崇め讃めよと呼ぶ者の爲に有能なる轉達者と爲し給へり。

 

   又、イルモス、「凡そ呼吸ある者と造物は」。

主よ、我が靈を諸慾の壓制に服せられぬ者と爲し給へ、我が自由に爾の旨を行ひて喜び、且つ世世に爾の權柄を讃榮せん爲なり。

我が靈よ、イサフの不節制を惡み、イアコフの善行に效へ、節制を以てワェリアルを欺き、諸徳に富める者と爲りて世世に歌へ。

我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、我は性に於て惟一の神を尊み、位に於て明に三位を歌ひ、位を異にすと雖分離せず、蓋神性は惟一なり、三位の權柄は惟一なり、父と、子と、聖神とは惟一の神なり。

生神女讃詞、潔き者よ、ハリストスは爾の光明なる腹より、新郎が宮より出づる如く、出でて、幽暗に居る者の爲に大なる光と爲れり、蓋義の日は輝きて世界を

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 385]---------------------

照し給へり。

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

水を飲みては一も無知の者と爲らざりき、ノイは酒に誘はれて裸體と現れ、ロトは之に由りて惡しき族を生む。鳴呼我が靈よ、彼等に效ふを避けて、ハリストスを歌へ。

 

イルモス、凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讃榮し、へルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讃めて、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「エワは不順を病みて、詛を入れたり」。

我等は怒の慾を齋し、譌なき愛を樂しみ、貧者に糧を食はせ、神聖なる恩寵に養はれて、涙を以て將來の定罪の涙を涸らさん。

不當なる靈よ、歎き、悲しみ、痛悔の結果を顯せ、今日は門の側にあり、偏頗なくして審判する主は坐して、各人に其行に應ふことを報い給ふ、録されしが如し。

我善き行を得ざりき、神聖なる洗禮の時に受けし衣を汚せり、無知の暗昧の中に徨ふ。主よ、今爾の顔の光を以て我望を失ひし者を直くし給へ。

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 386]---------------------

生神女讃詞、マリヤ萬有の女宰、我等の靈を釋く者を生みし童貞女よ、我凡の罪に服せられし者を釋き給へ、蓋爾は言に超えて實在の仁慈を生み給へり。

 

   又、イルモス、「種なき胎の産は言ひ難し」。

我等今ハリストスの軍士の如く勤勞せん、時は過ぎ去る、榮冠は戰ふ者の爲に備へらる、ハリストスは光榮を以て諸天使と共に全地を審判する爲に來らん時之を報いん。

我がハリストスよ、我全身傷つけられ、全身病む、我が膿みたる創、惡慾の囓みたる傷を瘳し給へ。願はくは我は癩病者の如く爾の聖なる聲を聞かん、我望む、潔まれ。

 

三者讃詞、獨一子の父、獨一の光の輝煌、獨一の神の聖神よ、鳴呼聖なる三者惟一者よ、我爾を讃揚する者を救ひ給へ。

 

生神女讃詞、純潔なる者よ、爾の産の奇跡は我を驚かす、如何ぞ爾は種なくして悟り難き主を孕みたる、言へ、如何ぞ母として生みて、童貞女に止まる。性に超ゆることを信を以て受けて、生れし者に伏拜せよ、蓋彼は欲する所を能す。』

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我が靈よ、齋は昔モイセイを神を見る者と爲し、イリヤをの車に乗る者と

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 387]---------------------

爲し、パワェルを奇異にして天に擧げられたる者と爲せり。故に我等も惡を齋せん、然らば無慾の高きに擧げられん。

 

イルモス、種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讃む。

 

   光耀歌は本調の。

   挿句に自調の讃頌、第五調。

と齋とは奇異なる器なり、此はモイセイを立法者と爲し、イリヤを祭に於ける熱心者と爲せり。信者よ我等此に居りて救世主に呼ばん、我等は獨爾の前に罪を犯せり、我等を憐み給へ。二次。

致命者讃詞、天の王の軍は祝讃せらるる哉、受難者は地に生れし者なれども、天使の位に至らんことを勉め、肉體を顧みずして、苦に因りて無形の者の尊貴を獲たり。主よ、彼等の祈に由りて我等の靈を救ひ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、讃美たる者よ、我等爾を神の母として爾に求む、我が靈の救の爲に祈り給へ。

---------------------[大齋第二週間月曜日 早課 388]---------------------

   第六時課に預言の讃詞、第五調。

我等の心を奥妙に造りし無なる主よ、我等が塵なるを記念し、我等を審きて地獄に定むる毋れ。

 

   提綱、第二十一聖詠、第六調。

主を畏るる者よ、彼を讃め揚げよ。句、我が神よ、我が神よ、我に聽き給へ、何ぞ我を遺てたる。

 

   イサイヤの預言書の讀。四、五章。

主是くの如く言ふ、彼の日遺れるイズライリの諸子の爲に、主の枝は嘉美尊貴に、地の實は秀絶光榮にして顯れん。其時シオンに遺れる者、イエルサリムに留まれる者、凡そイエルサリムに住居する爲に記録せられたる者は聖者と稱へられん、蓋主は審判の神と焚き盡す神とを以て、シオンの女の汚を滌ひ、イエルサリムの血を其中より浄めん。主はシオン山の遍き處の上、及び其諸會の上に、晝の時は雲と烟とを造り、夜の時は火の光を造らん、蓋凡の尊榮なる者の上には蓋あらん。又幕屋ありて、晝に暑を防ぐ陰と爲り、暴風と雨とを避けて匿るる所と爲らん。我我が愛する者の爲に歌を作り、我が愛する者の葡萄園の事を歌はん。我が愛する者は土肥えたる山に一の葡萄園を有てり、彼は之に籬を環らし、石を除き、擇びたる葡萄を

---------------------[大齋第二週間月曜日 第六時課 389]---------------------

種え、其中に塔を建て、酒搾を掘りて、嘉き葡萄の結ぶを俟てり、然るに其結びたる者は野葡萄なりき。今イエルサリムに居る者及びイウダの人よ、請ふ、爾等我と我が葡萄園との間を鞫け。我が葡萄園に我の爲したる外、何の爲すべき事かありし、我嘉き葡萄の結ぶを俟ちしに、胡爲れぞ野葡萄を結びたる。然らば我爾等に我が葡萄園に何を爲さんとするを告げん、我其籬を除きて、其食ひ荒らさるるに任せ、其垣を毀ちて、其踐みあらさるるに任せん、我之を棄てて、人之を剪ることなく、耜くことなからん、荊と棘とは其中に萌え出でん、我雲に命じて其上に雨を降らすことなからしめん。主サワオフの葡萄園はイズライリの家なり、其愛する所の植物はイウダの人なり。

 

   提綱、第二十二聖詠、第六調。

爾の杖爾の梃は是れ我を安ず。句、主は我の牧者なり、我萬事に乏しからざらん。

          ~~~~~~

 

---------------------[大齋第二週間月曜日 第六時課 390]---------------------

 

 

 第二週間の月曜日の晩課

 

首誦聖詠の後に第十八「カフィズマ」、「我我が憂の中に主に呼びしに」を誦す。

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて、三歌經の讃頌を歌ふ。イオシフ師の作。第八調。

嗚呼、靈よ、爾不當の者は怠りて善を行はず、唯常に好みて惡に止まりて、誰にか似たる者と爲りたる。審判は門の側に在り、痛悔して齋と祈とを以て己を潔めて爾の主宰に呼べ、我爾の敵に罪を犯せり、慈憐の主として我を憐みて赦を賜へ。

仁慈の海を有つハリストスよ、罪なき神として、我が罪惡の海を涸らし給へ。

我等の靈の恒忍なる恩主よ、我が心に傷感を與へて、不法の流れを除き給へ、我が爾の言ひ難き慈憐を歌ひて讃榮せん爲なり。

 

   又、フェオドル師の讃頌、同調。

今も我等に尊貴なる齋の時の一週を終へて、第二の週間の聖なる途に入ることを賜ひし主神よ、親ら我等が將來にも善く進まん爲に我が體と靈とに恩を施して、之を堅め給へ、我等が皆勇ましく途を終へて、喜を以て爾の復活の主たる日に至り榮冠を冠りて絶えず爾を崇め讃めん爲なり。

---------------------[大齋第二週間月曜日 晩課 391]---------------------

   又、月課經の三章。光榮、今も、生神女讃詞。

   提綱、第二十三聖詠、第一調。

主は勇毅能力あり、主は戰に能力あり。句、地と之に満つる者は主に屬す。

 

   創世記の讀。三、四章。

主神はアダム及び其妻の爲に皮の衣を作りて、彼等に衣せたり。神曰へり、視よ、アダムは我等の一の如くなりて、善惡を知れり、恐らくは今彼其手を伸ベて、生命の樹の果を取リ、之を食ひて永遠に生きん。是に於て主神は彼を樂園より出せり、其取りて造られし所の土を耕さん爲なり。アムを逐ひ出して、之を樂園の前に居らしめ、へルワィムと自ら旋るの劍とを置きて、生命の樹の途を守らしめたり。アダムは其妻エワを知れり、彼孕みてカインを生みて曰へり、我神に因りて人を得たり。又其弟アワェリを生めり。アワェリは羊を牧ふ者、カインは土を耕す者と爲れり。日を歴て後、カインは土の産する果を以て祭として神に獻げ、アワェリも其羊の首生子及び其脂膏を獻げたり。神はアワェリ及び其獻物を眷み。カイン及び其祭を顧みざりき。カイン甚憂ひて、其面は俯したり。主神はカインに謂へり、爾何ぞ憂ふる、爾の面は何ぞ俯したる、爾若し善を行はば、面を擧げざるか、若し善を行はずば、罪は門に伏す、彼は爾を己に引く、惟爾彼を制せよ。

---------------------[大齋第二週間月曜日 晩課 392]---------------------

   提綱、第二十四聖詠、第六調。

我を顧み、我を憐み給へ。句、主よ、爾に我が靈を擧ぐ。

 

   箴言の讀。三、四章。

主は誇る者に敵し、謙る者に恩寵を賜ふ。智者は尊榮を嗣ぎ、愚者は恥辱を嗣がん。諸子よ、父の訓を聆け、聰明を學ばん爲に耳を傾けよ、蓋我善き敎を爾等に授く、我が法を遺つる毋れ。我も我が父には從順なる子にして、我が母には獨の愛子たりき、父我を敎へて曰へり、我が言を爾の心に留め、我が誡命を守れ、然らば生きん。智慧を獲、聰明を獲よ、之を忘るる毋れ、我が口の言より身を轉ずる毋れ。智慧を離るる毋れ、然らば彼爾を守らん、彼を愛せよ、然らば彼爾を保たん。智慧は首たる者なり、智慧を獲よ、爾が凡の所有を以て聰明を獲よ。智慧を尊ベ、然らば彼爾を高く擧げん、若し彼に著かば、彼爾を尊からしめん、彼美しき飾を爾の首に加へ、榮の冠を爾に予へん。我が子よ聽け、、我が言を納れよ、然らば爾の生命の年多からん。我智慧の道を爾に示し、正しき諸途に爾を導く。行く時爾の歩は狭められず、趨る時も蹶かざらん。堅く訓を執りて離す毋れ、之を守れ、蓋此れ爾の生命なり。惡人の途に入る毋れ、不法の者の路を行く毋れ、之を避けよ、之を過ぐる毋れ、之を離れて去れ、蓋彼等は惡を爲さずば眠らず、人を仆すに至らず

---------------------[大齋第二週間月曜日 晩課 393]---------------------

ば寐ねざらん、彼等不義の餅を食ひ、暴虐の酒を飲めばなり。義人の途は旭日の如し、愈光りて日中にぶ。惡人の途は幽暗の如し、彼等は何に由りて躓かんを知らず。我が子よ、我が言を聽け、我が語る所に爾の耳を傾けよ、之を爾の目より離れしむる毋れ、之を爾の心の中に守れ、蓋此は凡そ之を得たる者の爲に生命にして、其全體の爲に醫なり。

 

   挿句に本日の自調の讃頌、第三調。

我等は屬神の齋を以て齋し、凡の網を裂き、罪の誘惑より脱れ、兄弟に罪債を赦さん、我等にも我が諸罪の赦されん爲なり。蓋斯く呼ぶを得ん、主よ願はくは我等のは香爐の香の如く爾が顔の前に登らん。二次。

致命者讃詞、諸預言者、ハリストスの使徒、及び致命者は一體の三者を歌はんことを敎へ、迷へる異邦民を照し、人の諸子を諸天使の侶と爲せり。

光榮、今も、生神女讃詞、同調、女宰よ、爾の卑微なる者を終に至るまで忘るる勿れ。生神女よ、爾の祈を以て我等爾の諸僕に將來の罰を免れしめ、現今の苦惱及び主の怒より脱れしめ給へ。

 

【注意】知るべし。此の第二週間の月曜日より晩堂課に於て、生神女の規程と共に、

---------------------[大齋第二週間月曜日 晩課 394]---------------------

ラザリの「スボタ」よりフォマの主日に至るまでに月課經に當る所の諸聖人の規程を歌ふを例とす。先に生神女の規程、後に月課經の規程を歌ふ。第三歌頌の後には月課經の小讃詞及び坐誦讃詞、第六歌頌の後には生神女の坐誦讃詞。規程の後には月課經の讃頌。

 

         ~~~~~~

 

 

 第二週間の火曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌を歌ふ。

第一の聖詠誦文の後に八調經の傷感の坐誦讃詞及び生神女讃詞。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞を誦す、第八調。

我等衆潔き齋の勒を以て諸慾を制して、完全なる信を以て務めて智慧を神を見ることに向はしめん、地上の生命の樂を輕んじて、天の生命と神聖なる光照とを得ん爲なり。

   光榮、同上。

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 395]---------------------

今も、生神女讃詞、我は我が惡しくして不法なる行の多きに因りて愁悶の淵に陷り、爲す所を知らずして今失望に圍まる。女宰生神女よ、爾我を救ひ、爾助け給へ、蓋爾は罪なる者の轉達と救を得しむる潔浄なり。

 

   第三の誦文の後に坐誦讃詞、第八調。

齋は奥密の筵を設けて、我等に豊に飽かんこととを勸む。我等は食の如く聖神の永存なる恩賜を食ひ、飲料の如く潔を爲す涙の流を飲み、樂しみて、絶えず神に讃美を奉らん。

 

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、至聖なる童貞女よ、我等を人人の凡の惡謀と惡業より救ひ給へ、蓋我等爾及び爾より生れし我が神に趨り附く者は爾を帲幪及び轉達として有つ。神の母よ、爾の子に我等を諸の災禍と憂愁より救はんことを祈り給へ。

 

規程は月課經の。又三歌頌、イオシフ師の作。并に預言者の歌頌を誦文す。第八調。

   第二歌頌

イルモス、見よ、見よ、我は爾等の神、世世の先に父より生まれ、人を愛するに因り

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 396]---------------------

て、末の時に夫なき童貞女に孕まれ、原祖アダムの罪を滅しし者なり。

靈よ、歎息し、流涕し、反正し、痛悔せよ、日は邇づけり、審判者は門の側にあり。己を應答に備へて呼べ、洪恩なる主よ、我爾の前に罪を獲たり、仁慈至善なる主よ、爾我を宥め給へ。

吾が靈よ、滅を爲す罪に飽くことを惡め、熱切に齋に飽くことをを樂しめ、救を爲す戒を食とせよ、此は爾の信に由りて爾に永遠の福の樂を得しめん。

天使、能力、首領、天使首、主制、寶座、權柄、へルワィム及びセラフィムよ、恩主及び神に祈りて、我等に債の赦と諸慾の潔浄とを賜はんことを求め給へ。

生神女讃詞、獨無原なる言、爾より變易なく身を取りし主を生みて、産の後に童貞女に止まりし聘女ならぬ聘女、純潔なる者よ、我等衆の爲に我が生命の滅亡より救はれんことを祈り給へ。

   又、フェオドル師の作。同調。

 

イルモス、「見よ、見よ、我は爾等の神、爾等の爲に」。

神よ、爾が痛悔の爲に定めし時は我等に善なり、我等之を見、之を知れり。唯洪恩なる主よ、此の時我等のを受けて、之を香爐の香の如く、嘉く納れらるる祭の如く爾が顔の前に登らしめ給へ。

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 397]---------------------

我幾何か罪を行ひしを思ひて、恐れ慄く、如何に我爾を迎へん、畏るべき主よ如何に爾に顯れん、如何に爾の偏頗なき審判の前に立たん。求む、洪恩なる主よ、爾が全地を審判せん時、我を憐み給へ。

 

三者讃詞、至りて完全にして至りて神聖なる三位の惟一者、生れざる父、獨生の子、父より出でて子に由りて現るる聖神、一性一體の神よ、我等衆を救ひ給へ。

生神女讃詞、母童貞女よ、爾の産の奇跡は言ひ難し、如何ぞ生みて童貞を守る、如何ぞ子を生みて夫の誘を知らざる。性に超えて我より神妙に生れし神の言の知るが如し。

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスよ、爾は痛悔して齋せしニネワィヤ人を彼等を戒めし怒より救へり。然れども淫行して飽かざるソドム人を火を以て焚きたり、求む、我を彼等の罰より救ひ給へ。

 

イルモス、見よ、見よ、我は爾等の神、爾等の爲に嘉く納れらるる初物、周年の日の十分の一を聖にして、之を我が民に諸慾の潔浄、救の始として與へたる者なり。

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 398]---------------------

 

   第八歌頌

イルモス、「神を傳ふる少者は爐の中に」。

歎息せし税吏を義と爲し、心より涙を流しし淫婦を憐み給ひし救世主よ、爾を歌ふ者の靈を救ひ給へ。

我等は齋を以て徳行の果を主に捧げ、有害なる思念を遠ざけん、神聖なる樂を得ん爲なり。

イイススよ、天使の品位、使徒の會、致命者の群は爾に祈る、爾の民に赦免を與へ給へ。

生神女讃詞、信者よ、我等は童貞女を截られざる山、輝く燈、天に渡す梯、神の居處として讃美せん。

 

   又、イルモス、「聖なる山に光榮を顯し」。

節制の嘉日に皆來りて、歌頌を奉り、神聖なる甘味の饗應を享くる者として、主を歌ひて萬世に讃め揚げん。

昔誰か神の人を殺したる、猛獸獅子なり、預言者の誘に由りて命に背きて食を受けし者を殺せり。故に吾が靈よ、慎め、恐らくは饕餮の蛇は爾を誘はん。』

我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 399]---------------------

三者讃詞、父と子と至聖神よ、我爾が性にて惟一者たるを歌ひ、位にて三者たるを尊み、爾の國の無原なる權能を世世に讃榮す。

生神女讃詞、生神女よ、爾は神の山と現れたり、ハリストスは其中に居りて、神聖なる諸殿を作りて歌はしむ、主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

人人よ、來りて、齋を潔浄の保護者及び無慾の母と尊みて、愛を以て之を受け、主を歌ひて萬世に讃め揚げん。

我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

イルモス、聖なる山に光榮を顯し、棘の中に火を以てモイセイに永貞童女の奥密を示しし主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「山に於て立法者に火及び棘の中に」。

善き齋は心を肥して、神妙に諸徳の實る穂を生ず。我等之を愛して、聖なる日の中に成聖を受けん。

仁慈なる主よ、我が多くの罪に因りて汚され、傷つけられ、定罪せられしを見て、爾の仁慈を以て宥めて、爾の諸聖人の祈に因りて我を救ひ給へ。

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 400]---------------------

鳴呼至りて不當なる靈よ、如何に答を爲さん、審判者が坐して、萬萬の天使が其前に立つ時、如何なる畏か爾に及ばん、故に務めて終に至らざる前に痛悔せよ。

生神女讃詞、婚姻に與らざる童貞女よ、我等は爾王の輅、光明なる雲、樹蔭の繁き山たる者に祈る、我等の靈の諸慾を醫し給へ。

 

   イルモス同上

我等は眞の齋を以て主に奉事して、食を節するが如く、舌、怒、譌、及び其他の慾を遠ざけん、潔く「パスハ」を見ん爲なり。

齋よ、爾は結果としてサムイルを得、爾は大なる勇者サムプソンを養ひ、爾は諸司祭諸預言者を完全ならしむ、尊き齋よ、爾我等を聖にせよ。

 

光榮、三者讃詞、主よ、爾の一元の三光の輝ける光線を以て我等の靈を照し、諸の誘惑より護りて、一意に爾三位一體の神を讃榮するを得しめ給へ。

生神女讃詞、生神女よ、爾は我等の武器及び墻垣なり、爾に趨り附く者の保護なり。我等今も爾の祈を求む、我等の諸敵より救はれん爲なり。

我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我等は聖神を齋の富める司筵者と有ちて、彼の恩賜に飽き、豊に樂しみて、彼を、

---------------------[大齋第二週間火曜日 早課 401]---------------------

我等の神として歌はん。

イルモス、山に於て立法者に火及び棘の中に預象せられたる、我等信者の救を爲す永貞童女の産を、黙さざる歌を以て崇め讃む。

   光耀歌、本調の。

   挿句に自調の讃頌、第五調。

吾が靈よ、何ぞ悶えて罪に役する、何ぞ弱りて醫師に趨り附かざる、視よ、今は嘉く納るべき時、視よ、今は實に救の日なり。起きて、痛悔の涙を以て爾の面を洗ひ、矜恤の油を以て燈を燃せ、ハリストス神よリ潔浄と大なる憐とを得ん爲なり。二次。

致命者讃詞、主よ、爾の受難者は天使の品位に效ひて、肉體なき者の如く苦を忍びて、一心に約せられし福の樂を恃頼として有てリ。ハリストス神よ、彼等の祈に由りて爾の世界に平安、我等の靈に大なる憐を與へ給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、生神童貞女よ、我等信者は職として爾を讃美し、爾を動かされぬ城、壞られぬ墻、堅固なる轉達者、及び我が靈の避所として讃榮す。

               ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第六調。

---------------------[大齋第二週間火曜日 第六時課 402]---------------------

寛容なる主よ、我等宜しきに合ひて爾を讃め歌ふ能はず、唯祈りて求む、我が不法と與に我等を滅す毋れ。

   提綱、第二十五聖詠、第四調。

主よ、我爾が居る所の室と、爾が光榮の住所の處とを愛せり。句、主よ、我を判き給へ、蓋我なくして行けり。

 

   イサイヤの預書書の讀。第五章。

主是くの如く言ふ、主サワオフの葡萄園はイズライリの家なり、其愛する所の植物はイウダの人なり。彼は之に義判を俟ちしに、視よ、血を流すことあり、之に義を俟ちしに、視よ、號呼あり。禍なる哉、爾等家に家を加へ、田に田を増して、他人に處を遺さざるに至る、獨爾等のみ地に居るべきが如し。主サワオフは我が耳に言へり、此の多くの家は荒れ果て、大にして美しき者には住む者なからん、十段の葡萄園は僅に一「バト」を出し、一「ホメル」の播きたる種は僅に一「エファ」を出さん。禍なる哉、夙に興きて醉を致す飲料を追ひ求め、夜の深くるまで酒を以て己を熱くする者や、彼等の宴には琴あり、瑟あり、鼗あり、笛あり、酒あり、惟彼等は主の功を顧みず、其手の作す所を思はず。此に縁りて我が民は意はざる時ににせられ、其尊き者は飢え、其富める者は渇きて苦しまん。此に縁りて地獄は廣まりて、度な

---------------------[大齋第二週間火曜日 第六時課 403]---------------------

く其口を哆けり、彼等の榮、彼等の富、彼等の賑、及び凡そ彼等を樂しましむる者は彼處に下らん。人は屈められ、貴き者は卑くせられ、驕れる目は降されん、惟主サワオフは審判に高く擧げられ聖なる神は義に於て其聖なることを顯さん。

 

   提綱、第二十六聖詠、第三調。

主は我が光り、我が救なり、我誰をか恐れん。句、主は我が生命の防固なり、我誰をか懼れん。

 

         ~~~~~~

 

 第二週間の火曜日の晩課

 

   讃頌、イオシフ師の作。第一調。

ハリストスよ、爾は十字架に爾の至浄なる手を伸ベて、四極を集め給へり。故に我爾に呼ぶ、我の散らされ、にせられて、諸慾に引かるる智慧を聚めて、我を爾の苦に與る者と爲して、節制を以て全く潔め給へ。

---------------------[大齋第二週間火曜日 晩課 404]---------------------

昔齋は少者を堅めて、焦す火より強き者と爲せり、録さるるが如し。我が卑微なる靈よ、齋して、己の中に主宰を愛する愛を燃せ、此を以て爾は有害なる諸慾を焚きて、將來の「ゲエンナ」を免るるを得ん。

   又、讃頌、フェオドル師の作、第三調。

齋の樂しき時なり、故に我等光明なる潔浄、潔き愛、熱切なる祈、及び其の他の徳に豊に飽きて、欣ばしく呼ばん、至聖なるハリストスの十字架、生命の甘味を生ぜし者よ、我等衆に潔き心を以て爾に伏拜するを得しめて、潔浄と大なる憐とを與へよ。

   又月課經の三章。

   提綱、第二十七聖詠、第六調。

主よ、爾の民を救ひ爾の業に福を降し給へ。句、主我が神よ、我爾に呼ぶ。

 

   創世記の讀。第四章。

カインは其弟アワェリに謂へり、野に適かん。彼等野に在りし時、カインは其弟アワェリを攻めて、之を殺せり。主神はカインに謂へり、爾の弟アワェリは何に在るか。彼言へり、我知らず、我豈に我が弟を守る者ならんや。主曰へり、爾何を爲ししか、爾が弟の血の聲は地より我にぶ、今爾は地より詛はる、地は其の口を啓きて、爾が弟の血を爾の手より受けたればなり。爾地を耕す時、地は其力を爾

---------------------[大齋第二週間火曜日 晩課 405]---------------------

に與へざらん、爾は地に徨ひて、慄く者と爲らん。カインは主神に謂へり、我が罪大にして、赦さるるを得ず、視よ、爾今日我を地の面より逐ひ出し、我爾の面より隠れて、地に徨ひて慄かん、凡そ我に遇ふ者は我を殺さん。主神は彼に謂へり、然らず、凡そカインを殺す者は七倍の罰を受けん。是に於て主神はカインに號を置けり、凡そ彼に遇ふ者の彼を殺さざらん爲なり。

 

   提綱、第二十八聖詠、第七調。

主は其民に力を賜ひ、主は其民に平安の福を降さん。句、神の諸子よ、主に獻ぜよ、光榮と尊貴とを主に獻ぜよ。

 

   箴言の讀。第五章。

我が子よ、我が智慧を聽け、爾の耳を我が聰明に傾けよ、謹慎を守り、爾の唇に知識を保たん爲なり。惡しき婦に聽く毋れ、蓋淫婦の唇は蜜を滴らせ、其口は脂よりも滑なり、然れども其終は菌蔯の如くに苦く、兩刃の劍の如くに利し、其足は死に下り、其歩は地獄に至る。爾其生命の途を知らんと欲すとも、其路の定なきに因りて、爾之を知るを得ず。是を以て諸子よ、我に聽け、我が口の言を棄つ

---------------------[大齋第二週間火曜日 晩課 406]---------------------

る毋れ。爾の途を彼より遠く離れしめよ、其家の門に近づく毋れ、恐らくは爾の健康を他人に付し、爾の年を殘忍なる者に付さん、恐らくは他人爾の能力にて飽かせられ、爾の勞苦は他人の家の爲と爲らん。終に至りて爾の身爾の體の衰弱せし時、爾號びて曰はん、何ぞ我敎を厭ひ、我が心譴を藐じ、我師の聲を聽かず、我を敎ふる者に耳を傾けざりし、我會の中衆の中に幾ど諸惡に陷れりと。子よ、爾己の池より、己の泉より流るる水を飲め。

 

   挿句に本日の自調の讃頌、第三調。

體にて十字架に釘せられて、己と偕に我等の舊き人を釘し、戈にて脅を刺されて、人を滅す蛇を刺し殺しし仁愛なる主よ、我が體を爾を畏るる畏に釘うち、爾を愛する愛を以て我が靈を刺し給へ、我が爾の苦を仰ぎ見て、節制を以て齋の定期を過ぎ、啻腹のみならず、罪の他の入門をも制して、我が先に行ひし諸罪の爲に爾に心の傷感と靈の痛悔とを奉りて、其赦を得ん爲なり。二次。

致命者讃詞、諸預言者、ハリストスの使徒、及び致命者は一體の三者を歌はんことを敎へ、迷へる異邦民を照し、人の諸子を諸天使の侶と爲せり。

   光榮、今も、十字架生神女讃詞、

純潔なる者よ、爾より生れし主が木に懸れるを見て、爾は哭きて呼べり、至りて愛せらるる吾が子よ、人の性を飾りたる爾の光明なる華麗は何處にか隠れたる。

---------------------[大齋第二週間火曜日 晩課 407]---------------------

 

         ~~~~~~

 

 

 

---------------------[大齋第二週間水曜日 先備聖體禮儀  420]---------------------

 

 第二週間の木曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の使徒の坐誦讃詞、生神女讃詞と共に。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、第三調。

捧神なる使徒よ、葡萄の樹たるハリストスは爾等を美しき葡萄の房、救の甘味を地に飲ましむる者として生育せり。故に祈る、我を逸樂の醉より救ひて、齋の神聖なる日に於て吾が靈に傷感の流を賜へ、我が救はれて生命を獲ん爲なり。

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、我は爾の慈憐の無量なる富、爾の權の勝たれぬ力を思念の中に入れて、爾の帲幪に趨り附き、悲に逼られ、痛く惑ひて、吾が心の深處より涙を流して呼ぶ、生神童貞女、獨世界の轉達なる者よ、我を助け給へ。

 

   第三の誦文の後に坐誦讃詞、第六調、

主よ、斯の神聖なる時に於て我等の爲に寛容の者と爲りて、我等に常に爾の前に心より涙を流して、靈の汚を洗ひ、聖なる戒に由る諸徳を生ずるを得しめ給へ、

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 421]---------------------

我等が皆斯く齋して、宜しきに合ひて爾の悦を獲て、爾の至尊なる苦を見るに勝ふる者と爲らん爲なり、世界の救の爲に勤勞せし爾の諸使徒の祈に由りてなり。光榮は爾に歸す。

 

   光榮、同上。

今も、生神女讃詞、至浄至尊なる童貞女母、生神女よ、慈憐の泉を豊に我等の上に傾けて、我等に諸罪の救を賜へ、爾は我等の轉達及び神聖なる帲幪なればなり。

規程は月課經の。又左の三歌頌、イオシフ師の作。第三調。

 

   第四歌頌

イルモス、「主よ、豈に爾は河に向ひて怒るか」。

我等は靈を滅す逸樂の醉を醒まして、齋に由りて傷感の飲料を以て慰めん。』

靈よ、不節制の食を齋して、天上の華麗を仰ぐを樂しめ、彼處の筵に與るを得ん爲なり。

救世主の神聖なる諸使徒、無形の火の熾炭たる者よ、我が諸慾の物質を焚き給へ。

生神女讃詞、爾の身よりハリストスに身を藉し給ひし潔き童貞女、生命を生みし者

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 422]---------------------

よ、我が身の諸慾を殺し給へ。

 

   又三歌頌、フェオドル師の作。第六調。

イルモス、「主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き」。

十二の使徒、ペトル、パワェル、イアコフとイオアン、アンドレイ、ワルフォロメイ、フィリップ、フォマとマトフェイとイアコフ、シモンとイウダよ、我等の救はれん爲にハリストスにを捧げ給へ。

聖なる使徒よ、爾等は神妙に生命の海に敎の網を投じて、先に一百五十三尾の魚を捕りし如く、奥密に異邦民を取りて、之を主に攜へ給へり。

 

光榮、三者讃詞、我は父よりする子及び聖神、日よりする光と光線との如くなるを讃榮す。父より一は生れ、一は出づ、三位共に同無原にして、神聖なる三者、萬物に伏拜せらるる惟一の神なり。

生神女讃詞、子を生みて童貞を守りし潔き童貞女よ、爾は神及び人、一位に二性を有つ主を生みし者と現れたり。童貞女母よ、爾の奇跡は凡の聞と思とを驚かす。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

使徒よ、爾等は言の光照に因りて世の光なり、ハリストスの爾等に言ひしが

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 423]---------------------

如し。求む、我等が宜しきに合ひて節制の途を過ぎて、主の復活に伏拜するを得んことを祈り給へ。

イルモス、主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き、爾が童貞女より生まれ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。

 

   第八歌頌

イルモス、「神たる力を以ての中に」。

我多くの罪に殺されて、度生の中に死したる靈を有つ。祈る、見神者たる救世主の門徒よ、爾等の生命を施す祈を以て我を活かし給へ。

我罪の暗に囲まれて、實に失望の地獄に近づけり。祈る、光榮の日の奥密の光線たる見神者よ、我を照し給へ。

慾に耽る靈よ、諸慾を制して救を得よ。蓋食の禁制は、若し諸罪の更新に伴はずば、嘉く納れらるる齋にあらず。

 

生神女讃詞、童貞女、神の母よ、モイセイは爾を火の中に燃ゆる棘として預見せり。祈る、我が諸慾の爐を滅し、我を「ゲエンナ」の火より脱れしめて救ひ給へ。

   又、イルモス、「凡そ呼吸ある者と造物は」。

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 424]---------------------

ハリストスよ、イアコフより十二族の列祖が出でし如く、爾に由りて世界に十二の使徒は現れたり、彼等に由りて凡の信者に言を以て生れて、爾を世世に讃め揚ぐ。

使徒よ、爾等は無形のファラオンの車を紅の海に於けるが如く奥密に沈めて、主の民を神智の地に引き出して、世世に歌はしむ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

 

三者讃詞、我は性に於て惟一の神を尊み、位に於て明に三位を歌ひ、位を異にすと雖分離せず、蓋神性は惟一なり、三位の權柄は惟一なり、父と子と聖神とは惟一の神なり。

生神女讃詞、潔き者よ、ハリストスは爾の光明なる腹より、新郎が宮より出づる如く、出でて、幽暗に居る者の爲に大なる光と爲れり、蓋義の日は輝きて世界を照し給へり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

ハリストスの奥密者及び同座たる諸使徒、常に熱切に罪なる我等の爲に祈る者よ、今も祈りて、我等が潔く齋の全期を過ぎんことを求め給へ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 425]---------------------

イルモス、凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讃榮し、へルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讃めて、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「モイセイはシナイ山に於て棘の中に」。

無形の泉の川たる諸使徒、潔き心を以て活ける水を流しし者よ、爾等の祈を以て我が罪の流を涸らして、我を救の途に向はしめ給へ。

至善なる嚮導師、大仁慈なるハリストスよ、罪の暴風は我が不當の靈を溺らす、ペトルに於けるが如く、我に右の手を伸ベ給へ、失望の深處が我を蔽はざらん爲、我が靈を滅す鯨の食と爲らざらん爲なり。

イイスス萬有の王よ、使徒の會は爾に祈り、天使の品位は爾に求む、慈憐の多きに因りて、爾の民に罪惡の赦、度生の更新、及び爾の國に屬することを賜へ。』

生神女讃詞、尊き成聖の匱たる母、潔き童貞女よ、童貞と産とは性に超えて爾の身に合せられたり。故に我信を以て爾に呼ぶ、我を全く聖にして、我を侵す諸慾の攻撃より救ひ給へ。

 

   又、イルモス、「種なき胎の産は言ひ難し」。

至福なる使徒よ、爾等は世に在りて肉體なき者の如く、肉體に在りて天使の如く、

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 426]---------------------

獨言を心の中に奉じて、異邦民をハリストスの惟一の敎に導き、神智を以て智者及び辯論者を愚なるが如く爲し給へり。

信の石及び基たるペトル、異邦民の傳道者及び敎師たるパワェル、ゼワェデイの二子、及び其他の八人よ、我等が勇ましく齋の途を過ぎんことを熱切にハリストスに祈り給へ。

 

光榮、三者讃詞、獨一子の父、獨一の光の輝煌、獨一の神の聖神よ、鳴呼聖なる三者惟一者よ、我爾を讃揚する者を救ひ給へ。

今も、生神女讃詞、純潔なる者よ、爾の産の奇跡は我を驚かす、如何ぞ爾は種なくして限られぬ主を孕みたる、言へ、如何ぞ母として生みて、童貞女に止まる。性に超ゆることを信を以て受けて、生れし者に伏拜せよ、蓋彼は欲する所を能す。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主の軍長たる至福なる使徒よ、爾等は神の力を以て諸王諸侯の前に出で、火をも劍をも聊も畏れずして、凡の迷に勝ちて、人人を救ひ給ふ。

イルモス、種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讃む。

---------------------[大齋第二週間木曜日 早課 427]---------------------

   光耀歌、本調の。

 

   挿句に自調の讃頌、二次。第八調。

齋の勤行は我等の爲に痛悔の時なり、又若し手を矜恤に伸べば、永遠の生命の中保者なり、蓋靈を救はん爲には求むる者に施すに若くはなし。齋に伴はるる矜恤は人を死より救ふ、我等之を慕はん、之と均しき者なし、我等の靈を救ふに足る者なればなり。

致命者讃詞、聖致命者よ、爾等は善く信の甲を衣、十字架の武器を執りて、剛健なる軍士と現れ、勇ましく暴虐者に敵し、惡魔の迷を滅し、勝利者と爲りて、榮冠を受け給へり。我等の爲にハリストスに我が靈の救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、生神女讃詞、同調、聖なる童貞生神女よ、我爾の庇に趨り附く、我爾に倚りて救を得んことを知る、爾は、潔き者よ、我を援くるを能すればなり。

          ~~~~~~

 

   第六時課に預言の讃詞、第一調。

地の極を保つ神よ、我等仆れし者を起し、背きし者を爾に嚮はしめ給へ、爾は

 

---------------------[大齋第二週間木曜日 第六時課 428]---------------------

人を愛する主なればなり。

   提綱、第三十三聖詠、第六調。

我曾て主を尋ねしに、彼は我に聆き納れて、我が都ての危きより我を免れしめ給へり。句、我何の時にも主を讃め揚げん。

 

   イサイヤの預言書の讀。第六章。

ヲジヤ王の死せし年、我主の高く且擧がりたる寶座に坐するを見たり、其衣の裾殿に満ちたり。セラフィムは彼を環りて立てり、各六の翼あり、二を以て其面を蔽ひ、二を以て其足を蔽ひ、二を以て飛べり。相呼びて曰へり、聖なる哉、聖なる哉、聖なる哉、主サワオフ、其光榮は全地に満つ。門の上は呼ぶ者の聲に因りて動き、堂は姻に満ちたり。我曰へり、禍なる哉我や、我亡びん、蓋我は唇穢れたる人にして、唇穢れたる民の中に居りて、我が目は王たる主サワオフを見たり。時にセラフィムの一我に飛び來り、其手に鉗を以て祭壇より取りくるけ炭を持ちて、我が口に触れて曰へり、視よ、此れ爾の唇に触れたれば、爾の不法は除かれ、爾の罪は潔められたりと。我主の聲を聽けり、曰く、我誰をか遣さん、誰か我等の爲に往かん。我曰へり、視よ、我有り、我を遣せ。彼曰へり、往きて此の民に謂へ、爾等耳にて聽けども悟らず、目にて視れども見ざらん、蓋此の民の心は頑になれり、其耳

---------------------[大齋第二週間木曜日 第六時課 429]---------------------

は聽くに慵く、其目を閉ぢたり、恐らくは目にて見、耳にて聞き、心にて悟り、轉じて我が彼等を醫さんと。我曰へり、主よ、此くの如くにして何の時にまで至らんか。曰へり、諸邑は荒れて之に居る者なく、家屋も亦人の居るなく、斯の地皆虚しくなる時にまで至らん。主は人人を遠く徒し、斯の地大に荒れん。

 

   提綱、第三十四聖詠、第六調。

我が主よ、起ちて、寤めて我が爲に判を行ひ給へ。句、主よ、我と争ふ者と争ひ給へ。

 

          ~~~~~~

 

 

 第二週間の木曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に六句を立てて左の讃頌三章を歌ふ。イオシフ師の作。第四調。ハリストスよ、爾は脅を刺され、木に懸けられて、我蛇に誘はれ、木の果を食ふに由りて殺されたる者に生命を流し給へり。故に我爾を讃榮して、爾の慈憐に祈る、我

---------------------[大齋第二週間木曜日 晩課 430]---------------------

傷感を以て齋の途を行く者に爾の苦と復活とに伏拜するを得しめ給へ。

救世主よ、爾は木に縁りて病を得たる初の人を樂園より逐ひ出し、人として木に釘せられて、彼を其中に入れたり。故に我爾贖罪主に呼ぶ、至仁なるイイスス、吾が靈の救主よ、今齋と痛悔と涙とを以て我を潔めて、我が諸の病を瘳し給へ。

   又讃頌、フェオドル師の作、第五調。

主よ、我等爾の生活を施す十字架を歌頌す、蓋此は世界の中に死を死して、生命の華を發けり、我等今も此を祈の中に爾に捧ぐ。人を愛する主よ、多くの慈憐に由りて、我等聖なる日に齋する者を固めて、諸慾に敵する力を與へ、世の誘惑に勝たしめ給へ。

   又月課經の三章。光榮、今も、生神女讃詞。

 

   提綱、第三十五聖詠、第四調

主よ、爾の慈憐は天に戻り、爾の眞實は雲に戻る。句、爾の義は神の山の如く、爾の判は大なる淵の如し。

 

   創世記の讀。第五章。

---------------------[大齋第二週間木曜日 晩課 431]---------------------

人の世系の書は是なり。神アダムを造りし日に、神の像に循ひて之を造り、彼等を男女に造りて、彼等を祝せり、彼等を造りし日に彼の名をアダムと名づけたり。アダムは年二百三十にして、其肖と其像とに循ひて子を生み、其名をシフと名づけたり。アダムのシフを生みし後の齢は七百歳にして子女を生めり。アダムの生存の齢は總て九百三十歳なりき、而して死せり。シフは年二百五にしてエノスを生めり。エノスを生みし後、シフ七百七年生存して子女を生めり。シフの齢は總て九百十二歳なりき、而して死せり。エノスは年百九十にしてカイナンを生めり。カイナンを生みし後、エノス七百十五年生存して子女を生めり。エノスの齢は總て九百五歳なりき、而して死せり。カイナンは年百七十にしてマレレイルを生めり。マレレイルを生みし後、カイナン七百四十年生存して子女を生めり。カイナンの齢は總て九百十歳なりき、而して死せり。マレレイルは年百六十五にしてイアレドを生めり。イアレドを生みし後、マレレイル七百三十年生存して子女を生めり。マレレイルの齢は總て八百九十五歳なりき、而して死せり。イアレドは年百六十二にしてエノフを生めり。エノフを生みし後、イアレド八百年生存して子女を生めり。イアレドの齢は總て九百六十二歳なりき、而して死せり。エノフは年百六十五にしてマフサルを生めり。エノフ神の悦を獲て、マフサルを生みし後、二百年生存して子女を生めり。エノフの齢は總て三百六十五歳なりき。エノフ神の

---------------------[大齋第二週間木曜日 晩課 432]---------------------

悦を獲て見えずなれり、蓋神彼を移せり。

 

   提綱、第三十六聖詠、第六調。

主を恃み、其道を守れ。句、惡者を妬む毋れ、不法を行ふ者を猜む毋れ。

 

 

   箴言の讀。第六章。

我が子よ、我が爾に戒むる所を行ひて自ら救へ。爾友の爲に惡者の手に陷りし時は、自ら弱る毋れ、爲に保證を爲しし爾の友にも勸めよ、爾の目に睡るを容す毋れ、爾の瞼に閉づるを容す毋れ、鹿が猟者の手より、鳥が捕ふる者の手より脱るるが如く己を救はん爲なり。怠惰者よ、蟻に往け、其の作す所を觀て智慧を得よ。彼は首領なく、有司なく、命ずる者なけれども、夏に其食を備へ、穡の時に其糧を歛む。或は蜂に往け、其如何に勤勞して、如何なる貴き工作を營むかを學べ。彼の勞は、諸王も下民も之を攝養の爲に用いる、彼は衆人に愛せられ、又賞せらる、其力は弱しと雖、其智慧は貴し。怠惰者よ、爾何時まで寢ねんか、何の時に眠より起きんか、爾暫く寢ね、暫く睡り、手を叉きて暫く偃さん、然る後爾の貧窮は行旅者の如く、爾の缺乏は盗賊の如く來らん。然れども爾怠らずば、爾の収獲

---------------------[大齋第二週間木曜日 晩課 433]---------------------

は泉の如く來り、缺乏は爾より遠く逃れん。邪なる人、惡しき人は虚僞の口を以て歩み、其目を以て眴し、足を以て意を示し、指を以て號を與ふ、其心に詭計を懐き、常に惡を謀り、争端を播く。此に縁りて其滅亡は突に來り、彼忽敗られて醫なからん。主の憎む者六あり、否、其前に穢はしき者七あり、驕る目、る舌、辜なき血を流す手、惡しき謀を圖む心、疾に惡に趨る足、を吐く妄證者、及び兄弟の中に争端を播く者なり。我が子よ、爾の父の法を守れ、爾の母の誡を棄つる毋れ。

 

   挿句に本日の自調の讃頌、第五調。

初めて造られし者は造世主に戒められたる智識の樹の果を齋せずして、不順より死の結果を獲て、生命の樹及び樂園の樂より遠ざかりたり。故に信者よ、我等は朽つべき糧と滅を爲す諸慾とを齋せん、神聖なる十字架より生命を獲て、善智なる盗賊と偕に始の生國に歸りて、ハリストス神よリ大なる憐を蒙らん爲なり。

二次。

 

致命者讃詞、至りて讃美たる致命者よ、爾等は凡そ地上の事を意とせずして、勇ましく己を苦に付し、望みし福を得て、天の國を嗣ぐ者と爲れり。仁愛なる神の前に勇を有ちて、世界の爲に平安、我等の靈の爲に大なる憐を求め給へ。

---------------------[大齋第二週間木曜日 晩課 434]---------------------

   光榮、今も、十字架生神女讃詞。

昔牝羊は己の羔が屠の爲に急ぎ行くを見て、熱切に之に從ひて、斯く彼に呼ベり、我が甘愛なる子ハリストスよ、何處にか行く、恒忍なる者よ何爲れぞ斯くの如く疾く走る。至りて愛せらるるイイスス、罪なき者、大仁慈なる主よ、我爾の婢に言を出せ、我が至愛なる子、洪恩なる神、世界に憐を賜ふ主よ、我不可思議に爾を生みし者を黙して棄つる勿れ。

          ~~~~~~

 

 

 第二週間の金曜日の早課

 

本調の聖三の讃歌。

第一の聖詠誦文の後に八調經の十字架の坐誦讃詞、生神女讃詞と共に。第二の誦文の後に左の坐誦讃詞、第四調。

我等は齋を以て地上の諸慾より擧りて、十字架に擧げられて世界を擧げし主を讃め揚げ、傷感の情の飲料を飲みて、永遠の審判者の前に立たんとする日と時とを思念

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 435]---------------------

の中に入れん。二次。

   十字架生神女讃詞。

ハリストスよ、聘女ならぬ爾の母は爾が十字架に擧げらるるを見て、歎き哭きて斯く云へり、吾が子よ、此の新なる驚くべき顯見は何ぞや、如何ぞ不法なる民は爾萬有の生命、我が甘愛なる光を十字架に釘する。

第三の誦文の後に坐誦讃詞、フェオドル師の作。第五調。

主よ、爾の十字架の恩寵は輝きて、全地を照し、惡鬼の力を滅し、今齋の進路を装飾す、斯の中に我等を堅めて、憐を垂れ給へ。二次。

   十字架生神女讃詞、同調。

産苦なく爾を生みし母は爾が木に擧げられしを見て、歎き哭きて呼ベり、哀しい哉甘愛なる子よ、我今爾が二の犯罪者の間に犯罪者の如く十字架に釘せらるるを見て、靈傷つけらる。

規程は月課經の。又左の三歌頌、イオシフ師の作。并に預言者の歌頌を誦文す。第四調。

 

   第五歌頌

イルモス、「ハリストスよ、不虔の者は爾の光榮を見ざらん」。

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 436]---------------------

主宰よ、爾は甘じて十字架に擧げられて、敵を墜し給へり。求む、我甘じて逸樂に由りて淵に墜されし者を爾の慈憐を以て引き上げ給へ。

十字架に伸べられて日を晦まし、全地を普く照ししイイススよ、我不當なる慾に靈の昧まされたる者を照し給へ。

ハリストスよ、我が思の浪を鎭めて、我に穏に齋の海を度りて、復活の港に至るを得しめ給へ。

生神女讃詞、我等浄めたる思を以て潔き童貞女、イアコフの榮たる者を尊みて、神聖なる行に飾られて、敬虔に彼を我が神の母として歌頌せん。

 

   又三歌頌、フェオドル師の作。第五調。

イルモス、「ハリストスよ、夜より寤めて」。

ハリストスよ、爾は釘せられて我を滅亡より救ひ、脅を刺されて我に不死を賜へり。我爾の言ひ難き仁慈を讃榮す、爾我を救はん爲に來りたればなり。』

主よ、爾は十字架に爾の手を伸ベて、無形のアマリクを殺して、爾の民を救ひ給へり。故に我等爾の權柄を歌ふ。

三者讃詞、我等は三位に於て惟一の神、惟一の實在なる元始、無原なる父と子と聖神とを歌頌せん。

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 437]---------------------

生神女讃詞、至浄なる者よ、天の容るる能はざる主を爾は孕みて生み給へり。嗚呼驚くべく言ひ難き奇跡や、故に我等皆爾を歌ふ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

我の爲に十字架を忍び、醋を飲みて、成れりと曰ひし主よ、我が齋の路を成りたる者と爲して、我を爾の復活を見るに勝ふる者と爲し給へ。

イルモス、ハリストスよ、夜より寤めて爾に伏拜する者を憐みて、平安を賜へ、蓋爾の誡は光なり、人を愛する主よ、此れ爾の諸僕の爲に醫治なり。

 

   第八歌頌

イルモス、「生神女の産は敬虔の少者を爐の中に守れり」。

爾は慈憐に因りて十字架に釘せられて、盗賊の爲に樂園を開き給へり。今我惡鬼の殘忍に破られて、甚しく靈に傷つけられし者の爲に爾の仁愛を以て痛悔の門を開きて、我を醫し給へ。

我等齋にて肉體を照し、諸徳にて靈を肥し、貧しき者を飽かせて、盡きざる富を天に買ひて呼ばん、造物は主を歌ひて、世世に彼を讃め揚げよ。

至仁なる救世主よ、造物は爾が十字架に釘せらるるを見て、爾の苦に因りて動けり。故に我、爾に祈る、洪恩なる主よ、常に蛇の攻撃に動かさるる我が智慧を

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 438]---------------------

爾の望の動かざる石に堅め給へ、

生神女讃詞、閉されたる神の門、獨主のみ過りし者よ、我を神聖なる途に向はしめて、我が爲に救の門を開き給へ。神の恩寵を蒙れる童貞女よ、我爾人類の獨の轉達者に趨り附く。

 

   又、イルモス、「萬物の造成主」。

至聖なる木、我がハリストスが其上に釘せられし者よ、我爾を歌ひて、萬世に崇め讃めん。

ハリストスよ、不法の者は爾をゴルゴファに十字架に釘して殺せり、然れども爾は生きて、我等を世世に救ひ給ふ。

  我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

三者讃調、聖三者は、神妙に分れ、又惟一なる神として分離せずして止まる、我等彼を世世に崇め讃む。

生神女讃詞、至浄なる者よ、爾を歌ふ者の爲にを奉りて、彼等が凡の誘惑及び災禍より救はれんことを求め給へ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

主よ、爾の十字架の力にて我を堅めて、勇ましく齋の途を終ふるを得しめ給

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 439]---------------------

へ。

我等主を讃め崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

 

イルモス、萬物の造成主、諸天使の畏るる者を、人人よ歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

 

   第九歌頌

イルモス、「童貞女よ、手にて斫られざる隅石」。

救世主よ、預言者は爾十字架に釘せらるるを以て磐の裂くるを致しし者を山たる童貞女より斫り分けられたる石として預見せり。祈る、我無感覺の石に壓せらるる者を洪恩なる主として援け給へ。

我が靈よ、罪惡を齋し、神聖なる愛を樂しみ、凡の善なる思の爲に門を開き、節制と祈とを以て惡の爲に入門を閉ぢよ。

爾の十字架を以て仇を定罪せし主宰、我が救世主よ、我定罪に當る者を救ひ給へ、慾に汚され、罪に昧まされたる我を「ゲエンナ」に定むる勿れ。

 

生神女讃詞、ハリストスよ、爾が光榮を以て世界を審判する爲に來らん時、我を憐み、爾を生みし者の祈に由りて、我が惡の暗を解きて、我を爾の天の國を嗣ぐ者と爲し給へ。

 

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 440]---------------------

   又、イルモス、「イサイヤ祝へよ」。

仁愛なる主よ、爾は一たび十字架に釘せられて復樂園を開き給へり。我は其中に喜びて生命を獲、不順に由る永遠の死を免る。故に爾を我が神として崇め讃む。

主よ、詛の器たる爾の生命を施す十字架は祝福の印記となりたり。爾を其上に見て、我等先に死せし者は生かされ、爾を歌ひて主宰として崇め讃む。

 

三者讃詞、無原にして尊貴なる三者よ、我爾性の惟一なる神を歌頌す。生命の原因たる分離せざる惟一者、生れざる父、生れたる言及び子、聖なる神よ、爾を歌ふ我等を救ひ給へ。

 

生神女讃詞、神の母よ、爾の生産は智慧に超ゆ、蓋爾の胎孕は夫に由らず、産は童貞女の産なり、生れし者は神なればなり。我等彼を崇めて、爾童貞女を讃め揚ぐ。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

尊き十字架、我の保固及び避所なる者よ、今の節制の時に我を照して樂しませ、我を潔めて誘惑より守れ、我が爾を讃榮して、主宰ハリストスを崇め讃めん爲なり。

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 441]---------------------

イルモス、イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東、我等彼を崇めて、童貞女を讃め揚ぐ。

   光耀歌は本調の。

   挿句に自調の讃頌、二次、第八調。

慾を殺す今の齋は罪に惱まさるる者を醫すことを約す。我等は神が録しし石板をモイセイより受けて、齋を神が賜ひし扶助者として尊み、石板を破りし不節制を齋より重ぜず、己の屍を野に斃しし者の共與者と爲らず、イウデヤ人の如く憂容を爲さずして、敎會に屬する者として喜び、ファリセイ人の如く顔色を損ふなくして、福音經に言へる如く己を飾りて、我等の靈の贖罪主ハリストスの十字架を以て誇らん。

致命者讃詞、聖なる者よ我等何を以てか爾等を稱せん、へルワィムとせんか、ハリストス爾等の上に息ひたればなり、セラフィムとせんか、爾等絶えず彼を讃榮したればなり、天使とせんか、爾等肉體を捨てたればなり、能力とせんか、爾等奇跡を行へばなり。爾等の名は多く、恩賜は更に多し。我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

   光榮、今も、十字架生神女讃詞、同調、

---------------------[大齋第二週間金曜日 早課 442]---------------------

斯の奇怪にして異常なる事は何ぞや、童貞女は母として主に呼べり、子よ、我が爾を生む時知らざりし鋭き疾は我が心を刺す、吾が目の光よ、我爾が十字架に釘せられしを見るに忍びず。求む、急ぎて起きよ、我が世界と共に爾の畏るべき定制を讃榮せん爲なり。

             ~~~~~~

 

 第六時課に預言の讃詞、第一調。

 

主よ、我等夜も晝も爾に俯伏して、我が靈に諸罪の赦を賜はんことを求む、我等が平安にして爾に伏拜し、爾人を愛する主を讃榮せん爲なり。

   提綱、第三十七聖詠、第四調。

主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。句、蓋爾の矢は我に刺さり、爾の手は重く我に加はる。

 

   イサイヤの預言書の讀。第七章。

オジヤの子なるイオアファムの子イウデヤの王アハズの時に當りて、シリヤの王レチンと、ロメリの子イズライリの王ファケイと往きてイエルサリムを攻め、之を取らんと謀りたれども、能はざりき。ダワィドの家に告げて云へるあり、シリヤ人はエフレムの地に陣を取れりと、之に由りて彼の心及び其民の心は動けること、林の木

---------------------[大齋第二週間金曜日 第六時課 443]---------------------

の風に動けるが若し。時に主はイサイヤに謂へり、爾及び爾の子イアスフ共に出でて、布を漂す野の路に、上池の樋口の處に往きて、アハズを迎へて、彼に謂へ、爾之を視且安ぜよ、此の烟れる燼餘の二の端たるレチンとシリヤ人、及びロメリの子の燃ゆる怒に因りて懼るる毋れ、爾の心を喪ふ毋れ。シリヤと、エフレムと、ロメリの子と爾に向ひて惡を謀りて云ふ、我等往きてイウデヤを攻め、之を破り、之を取り、タワェイルの子を立てて其王とせんと。然れども主神は是くの如く言ふ、斯の事行はれず、亦成らず、蓋シリヤの首はダマスク、ダマスクの首はレチンなり、エフレムは六十五年の後に敗れて國を成さざらん、又エフレムの首はサマリヤ、サマリヤの首はロメリの子なり。爾等或は信ぜず、是れ證を得ざるに因りてなり。主又アハズに告げて曰へり、爾は主爾の神に徴を求めよ、或は深き處、或は高き處に求めよ。アハズ曰へり、我求めず、主を試みざらん。イサイヤ曰へり、ダワィドの家よ、聽け、爾等人を煩はし、之を小き事として、亦我が神をも煩はさんと欲するか、故に主自ら爾等に徴を賜はん。

 

   提綱、第三十八聖詠、第六調。

主よ、我が祈を聆き、我が呼ぶ聲に耳を傾けよ。句、我言へり、我舌を以て罪を

---------------------[大齋第二週間金曜日 第六時課 444]---------------------

犯さざらん爲に、我が途を慎まん。

          ~~~~~~

 

 

 第二週間の金曜日の晩課

 

「主よ、爾にぶ」に十句を立てて歌ふ、左の自調二次、八調經の當調の致命者讃詞、及び月課經の四章。光榮、若し之あらば聖人の、若しなくば、八調經のダマスキンの死者讃詞。今も、本調の第一の生神女讃詞。

   自調の讃頌、第四調。

今は嘉く納るべき時、今は救の日なり、獨仁愛なる主よ、爾の多くの仁慈を以て吾が靈に臨みて、我が不法の重任を卸し給へ。

 

   提綱、第三十九聖詠、第四調。

願はくは爾の慈憐と爾の眞實とは常に我を護らん。句、我切に主を恃みしに、彼我に傾き給へり。

 

   創世記の讀。第五、六章。

---------------------[大齋第二週間金曜日 晩課 445]---------------------

ノイは年五百にして三子を生めり、シム、ハム、イアフェト是なり。人始めて地上に繁殖して、女子も彼等に生れたれば、神の諸子は人の女子の美しきを見て、其凡そ選べる者を妻と爲せり。主神曰へり、我が神は永く此の人人の中に居らざらん、彼等肉なればなり、惟彼等の日は百二十年なるべし。當時地に偉丈夫ありき、其後神の諸子は人の女子に入りて子を生みしが、此等も亦偉丈夫にして、古昔の名聲ある人なりき。主神は、人の惡の地に盈ち、各人日日に其心に惟慝しきことを圖るを見たり、是に於て神は地上に人を造りしことを悔いて、其心に憂ひたり。神曰へり、我が造りし人を我地の面より滅し、人より家畜、昆蟲、天空の鳥に及ばん、我彼等を造りしことを悔ゆればなり。惟ノイは主神の前に恩を獲たり。

 

   提綱、第四十聖詠.第六調。

我言へり、主よ、我を憐み、我が靈を愈し給へ。句、貧しき者乏しき者を顧みる人は福なり。

 

   箴言の讀。第六、七章。

我が子よ、爾の父の法を守れ、爾の母の誡を棄つる毋れ、常に之を爾の心に結び、之を爾の項に佩びよ、是は爾の行く時に爾を導き、寐ぬる時に爾を守り、寤

---------------------[大齋第二週間金曜日 晩課 446]---------------------

むる時に爾と語らん。蓋誡は燈なり、法は光なり、敎訓の譴は生命の途なり、爾を惡しき婦より、淫婦の舌の諂媚より守るを致す。爾は心の中に彼の美を戀ふ毋れ、爾の目に因りて捕はるる毋れ、彼は其瞼を以て爾を誘ふべからず、蓋淫婦の爲に人は僅に餅の一角あるのみに至る、姦婦は人の貴き靈を捕ふ。人火を懐に置きて、其衣を焚かれざらんや、人炭を蹈みて、其足を焚かれざらんや、人其鄰の妻に就くも亦是くの如し、之に捫る者は罪なしとせず。竊む者飢えて其靈を飽かせん爲に竊まば、人之を容さず、若し執へられば、其七倍を償ひ、其家の所有を悉く出さん。婦と姦淫を行ふ者は、是れ無知なり、之を爲す者は己の靈を滅す。彼傷と辱とを受けん、其耻は終に雪がれざらん、蓋妒忌は夫を怒らしむ、報ゆる日には彼寛さず、如何なる贖をも顧みず、多くの贈遺を爲すとも柔らがざらん。我が子よ、我が言を守れ、我が誡を爾の心に藏めよ。我が子よ、主を尊め、然らば堅固にならん、彼の外に他の者を畏るる毋れ。

 

    次に先備聖體禮儀を行ふ。

          ~~~~~~

 

 

---------------------[大齋第二週間金曜日先備聖體禮儀 447]---------------------

 

 第二週間の「スボタ」の早課

 

   「アリルイヤ」及び讃詞、第二調。

使徒、致命者及び預言者、成聖者、克肖者及び諸義人、善く戰を終へて信を守りし者よ、祈る、仁慈なる救世主の前に勇を有つ者として、彼に彼等の靈の救はれんことを祈り給へ。二次。

光榮、死者の讃詞、主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕を記憶して、其在世の時に行ひし諸罪を赦し給へ、罪なき者なければなり、唯爾は罪なし、且世を逝りし者に安息を賜ふを能す。

今も、生神女讚詞、言ひ難き光の聖なる母よ、我等天使の歌を以て爾を尊みて、敬虔に、崇め讃む。

   第十六「カフィズマ」「主我が主に謂へり」全文を誦す。

次に坐誦讃詞、八調經の致命者の三、死者の、及び生神女讚詞。次に「道になくして」二段に歌ふ。司祭は常例の如く寢りし者を記憶す。「カフィズマ」畢りて後歌ふ、「主よ、爾は崇め讃めらる」「聖人の群は」其他。光榮及び今もの後に寢りし者の爲に聯。祝文、「諸の靈神と諸の肉體との神」。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 448]---------------------

   次に坐誦讃詞、第五調。

我が救世主よ、爾の諸僕を義人等と偕に安ぜしめて、録しし如く、之を爾の庭に居らしめ給へ。爾の仁慈なるに因りて、其自由と自由ならざる、其凡そ知ると知らざる罪を恕し給へ、爾は人を愛する主なればなり。

   光榮、末節、

其凡そ知ると知らざる罪を恕し給へ、爾は人を愛する主なればなり。

   今も、生神女讚詞。

童貞女より世界に輝き、彼を以て光の諸子を顯ししハリストス神よ、我等を憐み給へ。

規程は月課經の、「イルモス」と共に六句に、及び本堂の聖人の四句に、蓋「イルモス」及び讃詞を句なくして誦す、「其時エドムの諸侯」より句を用いる。蓋始より第六歌頌に至るまでは、四句齋の凡ての「スボタ」に「アカフィスト」まで、預言者の歌頌を誦文せず。第六歌頌より三歌頌を始めて、月課經の本日の聖人の規程、及び三歌頌を歌ふ、預言者の歌頌をも誦文す。

   四歌頌、イオシフ師の作、第八調、

 

   第六歌頌

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 449]---------------------

イルモス、「我を主の前に灌ぎ」、

救世主よ、聖なる者は最多くの苦を以て干萬の敵を斃して、爾の多くの福を獲たり。求む、仁慈なる主として、彼等の祈に由りて我が多くの罪過を潔め給へ。

我等ハリストスの受難者を歌ひて、同心に彼等に呼ばん、主宰の苦に效ひし者よ、我等の靈の諸慾を醫して、惡しき習を齋まん爲に我等を堅め給へ。

救世主よ、爾は死を寢に變じ、墓に寢ぬるを忍びて、死者に生命を賜へり。求む、聖なる受難者の祈に因りて、世を逝りし者に選ばれたる者と偕に立つを得しめ給へ。

生神女讚詞、全能にして無垢なる言、身を取りし主を言ひ難く生みたる純潔なる少女よ、我に齋して凡の罪より離れん爲に力を授けて、我が汚を潔むる涙を與へ給へ。

 

   又、フェオドル師の作。第三調。

イルモス、「諸慾の深處は我を沈め」。

我等は敬虔に致命者の記憶を行ふ。致命者を愛する者よ、來りて喜び、歌を以て彼等を尊みて、彼等に勝利を賜ひしハリストスを崇め讃めん。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 450]---------------------

受難者よ爾等は先に傷の試を受け、其後石にて撃たれ、鋸にて解かれ、猛獸の食にへられ、ハリストスの羔として屠られたり、然れども爾等常に生く。』

 

光榮、三者讃詞、我三位を一性に合せ、一性を三位に分つ、斯く三位一性の神を承け認めて、同じくサワェリイ及びアリイの懸崖を避く。

今も、生神女讚詞、爾は産の後にも童貞女と現れたり、斯く童貞を守り、又子を生み給へり、神の母よ、爾に於て行はれし事は實に異常なる事なり。

  我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。

或は句、神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。

致命者讃詞、致命者よ、爾等の忍耐の血は斷えず我等の爲に主に祈る、故に今も我等が恥づべき諸慾を齋まんことを祈り給へ。

句、彼等の靈は福に居らん。

死者の讃詞、至りて洪恩なる主よ、萬萬の天使が前に立ちて、爾が全世界を審判する時、寢りし者に定罪せられずして爾の前に立つを得しめ給へ。

 

イルモス、諸慾の深處は我を沈め、逆風の狂暴は起りて我を攻む。救世主よ、急ぎて我を救ひ、預言者を猛獸より救ひし如く、我を淪滅より脱れしめ給へ。』

 

小讃詞、「ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に」。同讃詞「人を造りし主よ、

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 451]---------------------

爾は獨死せざる者なり」。(第四十三頁を看よ)

 

   第七歌頌

イルモス、「エウレイの少者は爐に在りて」。

至榮なる主の受難者よ、爾等は血の雨を以て迷のを滅し給へり。祈る、ハリストスに奉る祈を以て我等を將來の火より救ひ給へ。

獅子の口を塞ぎ、苦の火を忍びし受難者よ、爾等は天上の福樂を嗣ぎ給へり、我等にも之を得しめんことを恒に祈り給へ。

盛に神の光に照されたる勇敢なる受難者よ、世を逝りし信者の爲に罪の赦と、樂園に入ることと、生命に與ることとを求め給へ。

生神女讚詞、童貞女よ、我歌を爾に奉る、諸惡に制せらるる我を棄つる勿れ。潔き者よ、我に齋に由りて全き革新と善良なる度生とを與へ給へ。

又、イルモス、「爐のに露を注ぎ」。

受難者よ、爾等は苦しめらるる時苛虐者を驚かして、火と劔と猛獸とを慰と爲して、我が先祖の神を歌へり。

ハリストスの致命者よ、爾等は肢體を寸斷せられ、火に焚かれて、馨しき祭として神に捧げられたり。求む、常に我等の爲に彼に祈り給へ。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 452]---------------------

三者讚詞、三位に於て惟一なる神、父、子、聖神、單一の神性、尊き三者、無原の原始を讃榮す。

生神女讚詞、至聖なる女宰生神女よ、爾の諸僕の祈を納れて、之を萬有の神に捧げ給へ、我等を凡の誘惑より救はん爲なり。

句、地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我專ら之を慕ふ。

致命者讃詞、致命者の會よ天より臨みて、爾等を歌ふ我等を熱心に齋の時を終へん爲に祝福して聖にし給へ。

句、主よ、爾が選び近づけし者は福なり。

死者の讃詞、人人の行爲を知る主よ、信を以て爾に移りし者に、神として、自由と不自由との罪を宥して、彼等を安ぜしめ給へ。

イルモス、爐のに露を注ぎ、少者を焚かるるなく救ひし主、吾が先祖の神よ、爾は世世に崇め讃めらる。

 

   第八歌頌

イルモス、「爾の誡に熱中せし少者は」。

柔弱の肉體を以て種種の苦を忍びし受難者よ、爾等は病む者の爲に醫師と現れたり。故に我呼ぶ、我が傷める靈を齋の時に痛悔を以て醫し給へ。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 453]---------------------

哀しい哉我や、如何ぞ我が在世の日は怠惰の中に過ぎたる、視よ、終は近づきて、我善行の無き者を受けんことを急ぐ。善く馳すべき程を盡しし致命者よ、我に善き終のあらんことを祈り給へ。

血の滴りを以て無神の火を滅しし神聖なる受難者よ、此の生より移りたる者の爲に其行ひし諸罪の釋かるることと神聖なる永遠の安息とを求め給へ。』

生神女讚詞、潔き者よ、イエゼキイリは爾を過られぬ門、凡そ望を失ひし者の爲に痛悔の門を啓く者として預見せり。故に我爾に祈る、彼の安息に到らしむる途を我が爲に啓き給へ。

 

又、イルモス、「無原なる父より」。

受難者よ、爾等は多方の苦を種種に受けて、或者は焚かれ、他の者は鋸にて解かれ、又他の者は斬られて、樂しみて歌へり、ハリストスを崇め歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

至りて讃美たる致命者よ、爾等は己の血を以て四極を聖にし、其僅少なる滴を以て衆に醫治の流を注ぐ。故に爾等常に呼ぶ、ハリストスを崇め歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

   我等主なる父と子と聖神とを崇め讃めん。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 454]---------------------

三者讃詞、三位なる惟一者、父子生活の神、惟一の神性、惟一の權柄よ、天使の軍は爾暮れざる光を崇め讃む、我等地に在る者も爾を崇め歌ひて、萬世に讃め揚ぐ。

生神女讚詞、至浄なる者よ、視よ、我等萬族は爾の至大なるを見て、爾を福なりとす、蓋爾は性に超へて萬物の造成主神及び人を生み給へり。故に我等爾を崇め歌ひて、萬世に讃め揚ぐ。

 

句、神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。

受難者の會よ、救世主に祈りて、我等が今祈と節制とを以て潔く彼に奉事して救を得んことを求め給へ。主を崇め歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

 

句、彼等の靈は福に居らん。

主よ、復活の望を抱きて敬虔に寢りし者に永遠の生命の爲に起きて潔く爾を讃美し、聖詠者の如く爾を讃榮するを得しめ給へ。主を崇め歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

  我等主を讃め、崇め、伏し拜みて、世世に歌ひ讃めん。

 

イルモス、無原なる父より世世の前に生れし神、末の日に生神女に藉りて肉體を衣たる木を、完き人及び眞の神として崇め歌ひ、萬世に讃め揚げよ。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 455]---------------------

   第九歌頌

イルモス、「生神女よ、爾は性の法則に超えて」。

勇敢なる受難者、我等の心の光明なる嚮導師よ、爾等は神聖なる熾炭と現れて、無神の惡なる物質を焚き、劔を以て惡鬼の軍を斬り給へり。

勇敢なる受難者よ、爾等は苦の暗を過りて、無形の光に移れり。求む、罪惡に昧まされたる我が卑微なる靈を照し給へ。

至榮なる受難者は肉體の苦を病みたるに因りて、今は世を逝りし信者の爲に病なき安息と樂園の樂とを求む。

生神女讚詞、潔き女宰よ、爾の不當なる諸僕の爲に神聖なる扶助者と現れて、節制の時に我等のを世世を宰る主に捧げ給へ。

 

又、イルモス、「我等は爾不死の泉」。

ハリストスの受難者よ、爾等は神より火の如く地上に置かれて、凡の偶像の迷を焚き、四極に敬虔の燈を燃し給へり。

受難者よ、火も、屠殺も、刃輪も、百體の斷たるることも、鐵搭も、其他の劇しき苦も爾等をハリストスの愛より離さざりき。

 

三者讃詞、我敬虔の心を抱きて惟一の神性及び三位を歌ひて、位を異にすと

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 456]---------------------

雖、敢て神性を分離せず、蓋父子及び聖神は惟一の神なり。

生神女讚詞、純潔なる童貞女よ、我等は爾イエッセイの根及び太祖ダワィドより生ぜし華さきたる杖を崇め讃む、爾我等の靈を救ひ給へばなり。

句、地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我專ら之を慕ふ。

致命者の尊き大數よ、ハリストスに祈りて、我等が平安に齋の途を經て、彼の苦を見、之に伏拜するを得んことを求め給へ。

句、主よ、爾が選び近づけし者は福なり。

死者及び生者の神として、死を死し、己の復活を以て衆に生命を賜ふハリストスよ、移しし爾の諸僕をも安ぜしめ給へ。

イルモス、我等は爾不死の泉、諸聖者を以て人類に醫治を賜ふ者を常に崇め讃む、爾我等の靈を救ひ給へばなり。

   差遣詞

神として星を以て天を飾り、爾の諸聖人を以て全地を照しし萬有の造成主よ、爾を歌ふ者を救ひ給へ。

光榮、神として死者及び生者を司る救世主よ、爾の諸僕を選ばれたる者の居處に安ぜしめ給へ、蓋彼等は罪を行ひたりとも、爾より離れざりき。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 早課 457]---------------------

今も、諸天使の樂、憂ふる者の喜、「ハリスティアニン」等の轉達者たる童貞女、主の母よ、我等を護りて、永遠の苦より救ひ給へ。

 

「凡そ呼吸ある者」に本調の致命者讃詞。光榮、死者の安息の自調の讃頌。今も、生神女讚詞。

挿句にフェオファン師の當調の死者の讃頌。光榮、今も、生神女讚詞。

          ~~~~~~~

 

聖體禮儀に本調の眞福詞、六句に。聖入の後に讃詞、

「使徒致命者及び預言者」。「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕を記憶して」。光榮、「ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に」今も。「生神女、聘女ならぬ聘女、信者の救よ」。提綱、義人よ、主の爲に喜び樂しめ。句、不法を赦され、罪を蔽はれたる人は福なり。又、彼等の靈は福に居らん。本日の使徒は三百九端、又死者の爲に、フェサロニカ書二百七十端。「アリルイヤ」、「義人は呼ぶに」。句、「主よ、爾が選び近づけし者は」。福音經はマルコ六端、又イオアン十六端。領聖詞、「義人よ、主の爲に喜べ」。又、「主よ、爾が選び近づけし者は福なり」。

斯くの如く死者の安息の爲に聖大齋の三「スボタ」に於て(若し前駆、或は四十人の大致命者、或は福音祭の三祭日の内、一も此の「スボタ」に當らずば)奉神禮を行ふ。

---------------------[大齋第二主日「スボタ」 聖體禮儀 458]---------------------

 

 

               ~~~~~~

 

 

  聖大齋の第二主日

 

   斯の日我等の聖神父フェサロニカの奇跡者大主敎グリゴリイ

   パラマの記憶に左の奉事を歌ふ。至聖なる總主敎フィロフェイの

   作る所。

 

「スボタ」の晩課に十句を立てて讃頌を歌ふ、復活の三章、アナトリイの三章、聖人の左の四章。第二調。

我等は何の讃美の歌を以てか成聖長グリゴリイを歌頌せん、彼は神學の角、恩寵の火を噴く口、聖神の尊き器、敎會の動かざる柱、全地の大なる飾、睿智の河、光の燈臺、造物を照す光明なる星なり。

---------------------[大齋第二主日 「スボタ」の晩課 459]---------------------

我等は何の歌頌の花を以てか偉大にして奇異なる成聖長グリゴリイに冠らせん、彼は敬虔を護り、不虔を防ぐ爲に戰ひたる軍士、正敎の熱心なる守護者、大なる師傳及び敎導師、聖神の至りて美き音の琴、金光の舌、信者の爲に醫治の流を湧かす泉なり。

我等地上の者は何の口を以てか成聖長を讃め揚げん、彼は敎會の敎師、神聖なる光の傳道師、聖三者の奥密者、修道士等の大なる飾、行と明悟とを以て輝きし者、フェサロニカの譽、天上の至りて奇異なる潤膏者聖ディミトリイの同郷者なり。

光榮、第六調、克肖にして三福なる至聖神父、善き牧者、牧師長ハリストスの門徒、生命を羊の爲に捐てし我が捧神なる父グリゴリイよ、自ら今も爾の祈を以て我等に大なる憐を賜はんことを求め給へ。

   今も、本調の第一の生神女讚詞。

   「リティヤ」に本堂の讃頌。光榮、今も、生神女讚詞、

 

   挿句に八調經の讃頌。 

光榮、第八調、敎導に於て勇ましき爾の舌は心の耳に響きて、怠る者の靈を起し、爾の福音の言に因りて地より神に登す、梯は得らる。求む、フェサリヤの奇異

---------------------[大齋第二主日 「スボタ」の晩課 460]---------------------

なるグリゴリイよ、爾を尊む者を神聖なる光にて照さんことを絶えずハリストスに祈り給へ。

今も、生神女讚詞、「聘女ならぬ童貞女、言ひ難く身にて神を孕みし者」。「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。讃詞、「生神童貞女よ、慶べよ」、三次。

 

    其他徹夜の式。

 

               ~~~~~~

 

 

  第二主日の早課

 

六段の聖詠の後に「主は神なり」、

復活の讃詞、二次。光榮、聖人の、第八調。

正敎の燈、敎會の保固及び敎師、修士等の飾、神學師の中の勝たれぬ軍士、奇跡者グリゴリイ、フェサロニカの譽、恩寵の傅道師よ、我等の靈の救はれんことを常に祈り給へ。

今も、同調の生神女讚詞、「我等の爲に童貞女より生れ」。常例の聖詠誦文。本調の

---------------------[大齋第二主日 早課 461]---------------------

品第詞。「凡そ呼吸ある者」早課の福音經。「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。

光榮、「生命を賜ふ主よ、我に痛悔の門を啓けよ」。今も、「生神女よ、我を救の道に導けよ」。次に第六調。「神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み」。次に「我不當の者は多くの犯しし罪を念ひて」。

規程は八調經の復活の、「イルモス」と共に四句に、三歌經の四句に、聖人の六句に。第八調。

 

   第一歌頌

イルモス、「昔奇蹟を行ふモイセイの杖は」。

我等熱き涙を流して、蕩子の聲を以て爾衆人の父及び神の前に俯伏して呼ぶ、我等は爾より離れ、放蕩に服して罪を犯せり、我等の痛悔を納れ給へ。

我の爲に人と爲りし言よ、我は爾が我に賜ひし王たる良産を犯して、罪の趣味に由りて豕に役するに定められたり。求む、救世主よ、爾の慈憐に因りて我を憐み給へ。

主宰、人を愛する主よ、先に蕩子を受けし如く、趨り前みて、我膝を屈むる者を受けて、手に抱き、我に救の方法を與へて、傭人に代へて復爾の子と爲し給へ。』

生神女讚詞、神の恩寵を蒙れる童貞女よ、人の性は爾に由りて神現に與るを得た

---------------------[大齋第二主日 早課 462]---------------------

り、蓋爾は獨神及び人人の仲保者と爲れり。故に我等皆宜しきに合ひて爾を神の母として讃榮す。

 

   又聖人の規程、第四調。

イルモス、「我が口を開きて、聖神に滿てられ」。

神に感ぜらるる雄辮者、秀抜なる神學師、神言を宣ぶる舌よ、來りて一に合せられて、宜しきに合ひて屬神の雄辮者、神聖なるグリゴリイを歌頌せよ。

信の柱、敎會の軍士、フェサロニカの至りて善良なる牧師、實に成聖長の品位の装飾たる大なるグリゴリイは我より崇め讃めらるべし。

神聖なる神父グリゴリイよ、爾は幼兒の時より善良なる度生を望み、少き時より完全なる意志を愛して、爾と同名の者と風習の同じく、智慧の齊しき者と爲りたり。

生神女讚詞、純潔なる者よ、我が爲に生命の途と爲りて、我を神聖なる居處に向はしめ給へ、蓋我誘はれて、惡の淵に墜ちたり、爾の轉達を以て我を之より引き上げ給へ。

 

   第三歌頌

イルモス、「主、天の穹蒼の至上なる造成者」。

---------------------[大齋第二主日 早課 463]---------------------

我は我が行と、爾より遠く離れたると、爾の財寶を放蕩に費ししこととに畏れて、痛悔を以て爾我が父及び神に呼ぶ、罪を犯せり、我を救ひ給へ。

言よ、我地に罪を行ひて天を畏る、蓋萬民が爾の前に立ちて、爾の義なる審判を受けん時、我定罪せられん。

救世主よ、我放蕩の者は、爾より遠くありし時、暗くして汚らはしき思を抱けり。今は爾に呼ぶ、我罪を犯せり、罪を犯せり、熱切に爾の慈憐に趨り附く者を救ひ給へ。

生神女讚詞、童貞女よ、アダムの合性は神成せられたり、蓋爾の腹より神は肉體を有つ者として現れ給へり。彼に由りて我等昔神成の望に欺かれたる者は古の定罪より解かれたり。

 

    又、イルモス、「生神女、生活にして盡きざる泉よ」。

グリゴリイよ、我等爾の神聖なる敎の流を守る者は邪敎者の凡の惡謀より脱れて、爾の聖にせられし書を以て彼等の軍を遂ひ掃ふ。

福たる者よ、爾は心の中に實在の神の睿智を有ちて、邪敎者の虚しき智慧を破り、彼等の敗壞したる驕を顯に辱かしめたり。

睿智なる者よ、爾は朽つべき肉體の凡の逸樂を殺して、齋を以て爾の靈を活

---------------------[大齋第二主日 早課 464]---------------------

動せしめて、之を神學の神聖なる器と爲し給へり。

生神女讚詞、我知識を以て自由を以て恥づべき放蕩の度生を甚く愛せり。神の聘女、童貞女よ、祈る、爾の祈を以て神を愛する愛にて我を縛り給へ。

 

   小讃詞、第四調。

今勤行の時は顯れたり、審判は門の側にあり、故に起ちて齋し、傷感の涙と衿恤とを捧げて呼ばん、我等は海の砂より多く罪を行へり、求む、萬有の造成主よ、赦し給へ、我等が不朽の榮冠を受けん爲なり。

   坐誦讃詞、第四調。

睿智なる者よ、爾は邪敎者の迷を焚き、正敎者の敎を明に説きて、世界を照し給へり、故に勝利を得たる軍士、敎會の柱、眞の成聖長と現れたり。我等衆の救はれんことを絶えずハリストスに祈り給へ。

   光榮、同上。

今も、生神女讚詞、女宰よ、疾く我等の禱を受けて、之を爾の子及び神に捧げ給へ。純潔なる女君よ、邪敎者の毒惡の舌を制し給え。至浄なる者よ爾の諸僕に對して武器を執る無神の者の惡計を虚しくし、強暴を斃し給へ。

 

   第四歌頌

---------------------[大齋第二主日 早課 465]---------------------

イルモス、「主よ、爾は我の固、我の力なり」。

我不當の者は爾が我に賜ひし父の戒の富を逸樂に費して、神聖なる恩賜に貧しくなれり。主宰主よ、我罪を承け認めて痛悔する者を諱む勿れ。

人を愛する主よ、爾は我の貧しきを受けて、昔遠く爾より離れたる我を己に屬せしめ、我を聖にして樂を賜ふ。言よ、爾の神聖なる肉體は我を喚び起し、我を樂しましむ。

我等は神が惡鬼の爲に備へたる永遠の苦を免れん爲に絶えざる涙を以て蕩子の如く呼ばん、父よ、爾の前に罪を獲たり、求む、我等衆爾の仁慈に趨り附く者を納れ給へ。

生神女讚詞、父及び聖神と同無原なる言は法に超えて夫に與らざる童貞女より生れ給ふ、先の性を易へず、又我等より受けたる性を易へずして、二性の一子と爲りて、兩性の本質を守り給ふ。

   又、イルモス、「預言者アウワクムは爾至上者が」。

睿智なる父よ、爾は口を開きて、常に爾の心の中に養ひし神聖なる睿智を傳へて、虚しきワルラアムを無智頑愚なる者と現せり。

甘愛なる者よ、爾は日の如く性の法に循ひて地に入りたり、然れども朝に及びて

---------------------[大齋第二主日 早課 466]---------------------

ハリストスと偕に暮れざる日として輝き出でて、爾の祈を以て衆を眷み給ふ。

福たる者よ、神の恩寵は爾を正敎の者の譽と至大なる固、善なる牧師と第二の神學師、及び牧群の眠らざる保護者と現したり。

 

生神女讚詞、先に聾者の耳を啓きし主を生みたる神の母よ、我が靈の耳を啓きて、我に神聖なる言を聞きて、之を行ふを得しめ給へ。

 

    第五歌頌

イルモス、「隠れざる光よ、何ぞ我を爾の顔より退けし」。

我は神聖なる富と恩賜とを費して、獸を畜ふ地に來り、福に飢えて苦しむ。祈る、至善なる父よ、爾己の慈憐に由りて我を古の光榮と甘樂とに充たし給へ。』

放蕩に生を費して、蕩子の思を抱き、疑はざる信と心の痛悔とを以て仁慈なる父に趨り附かん、諸罪の赦を得ん爲なり。

吾が靈よ、遠き地に在りて久しく淹まる勿れ、疾く趨りて神及び父の前に罪を痛告せよ、生命を費して行ひし諸惡より解かるるを得ん爲なり。

 

生神女讚詞、至浄なる童貞女よ、我等は爾を輝ける雲、拜偶像の無智の暗を掃ひて、眞實の智識を以て世界を照す義の日を載する者として識る。

---------------------[大齋第二主日 早課 467]---------------------

    又、イルモス、「萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし」。

成聖長グリゴリイよ、爾は己の言の鎌と聖にせられし書とを以て荊棘の如き異端及び稗の僞の芽を刈りて、正敎の敬虔の種を播き給へり。

至りて睿智なるグリゴリイよ、爾の言及び尊き書は趨り附く者の爲に天の露、磐より湧く蜜、天使の餅、飲料、糧、甘味、樂、及び活ける水の泉なり。

地と海とは共に爾を敎導師、正敎の聖にせられし柱、神聖なる定理の尊き武器庫、睿智なる聖神學師、諸使徒と風習の侔しき者、其職に與る者として知る。』

生神女讚詞、無玷なる童貞女よ、我に傷感の流を與へて、吾が心の汚を滌ひ、爾が言ひ難く生みし洪恩なる神に捧ぐる聖にせられし祈を以て我に痛悔の方法を授け給へ。

 

    第六歌頌

イルモス、「我を主の前に灌ぎ」。

人を愛する主よ、我爾の次子たる者は遠き地に離れ、放蕩に生活して、爾の富を惡しく費し、爾の福を失へり。今爾吾が父及び神に來りて、赦を求む。

我は放縱なる旅行を爲して、豕を牧ふに定められたり、蓋爾が仁慈に由りて我に賜ひし富を費して、全く裸體と爲れり。祈る、爾吾が神として我を憐み給へ。

---------------------[大齋第二主日 早課 468]---------------------

人を愛する主よ、我放蕩の者は、天の前に罪を獲て、敢て目を擧げて無量の高きを見、又爾の子と稱へらるるを得ず。唯祈る、無量の仁慈を有つ主よ、我を功なくして救ひ給へ。

生神女讚詞、童貞女よ、爾の産は言ひ難く、爾の産のは悟り難し、蓋爾は智慧に超えて神を生めり、生みて後無玷の童貞を守り給ふ。故に我等皆宣しきに合ひて爾を眞の生神女として讃榮す。

 

   又、イルモス、「神の信者よ、來りて、神の母の此の神妙なる」。

グリゴリイよ、睿智なる王及び爾の言と、定理と、鋭き智識とに因りて無智なるワルラアムの虚しき驕と舌とは破られたり。

我等は神の神妙なる琴、神の奥義を明に傅ふる角、フェサロニカの首座、神學の舌を歌を以て尊まん。

神智なる神父グリゴリイよ、爾は昔民を導きし火の柱の如く、正敎の敵を焚き、信者の會を照し給へり。

 

生神女讚詞、純潔なる女宰よ、我が爲に穏静と爲り、慰藉の避所と爲りて、我が諸慾の暴風を鎮め、我を神聖にして常に穏なる港に導き給へ。

---------------------[大齋第二主日 早課 469]---------------------

   聖人の小讃詞、第八調。

神言者グリゴリイよ、我等爾睿智の聖にせられし神妙なる機關、神學の光明なる角たる者を同心に歌頌して祈る、神父よ、原始の智慧の前に立つ智慧として、我等の智慧を彼に向はしめ給へ、我等が呼ばん爲なり、恩寵の傳導師よ、慶べ。

 

   同讃詞

神言者よ、爾は地上に天使と現れて、神の言ひ難き事を人人に知らせたり。蓋人として、肉體に在りて、肉體なき者の言を以て我等を驚かして、爾に斯く呼ぶことを勸め給へり、暗味を散ぜし者よ、慶べ、光を輝かしし者よ、慶べ。造られざる神性を證明せし天使よ、慶べ、造られたる者且實に無知なる者の譴責者よ、慶べ。神の性を登られぬ崇高と言ひし者よ、慶べ、神の行爲を見窮められぬ深奥と言ひし者よ、慶べ。神の光榮を美しく述べし者よ、慶べ、惡業者の意志を闢除せし者よ、慶べ。日を顯しし燈よ、慶べ、神聖なる飲料を與ふる爵よ、慶べ。眞實を輝かしし者よ、慶べ、僞を暗くせし者よ、慶べ。恩寵の傳道師よ、慶べ。

 

    第七歌頌

イルモス、「昔ワワィロンに於てイウデヤより來りし少者は」。

---------------------[大齋第二主日 早課 470]---------------------

仁愛なる父よ、我敢て爾の子と稱へらるるを得ずして、爾の傭人の一の如くならんことを祈る。我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると呼ぶ我を諱む勿れ。』

我等先の行にて生命を汚し、先の良産を失ひし者は我が惟一の父及び神に趨り附かん、熱切なる痛悔を以て救を得ん爲なり。

我不當の者が服役せん爲に定められたる住民は殘酷なり、我が豕を牧ひて遇ひし饑饉は甚しくして忍び難し。惟我反正して求む、救世主よ、我を憐み給へ。』

生神女讚詞、獨生命を生みし生神童貞女よ、爾は殺されたる性を活かし給へり。故に我等信者は爾身にて我が先祖の神を生みし者を救として知る。

 

   又、イルモス、「敬虔の者は造物主に易へて」。

グリゴリイよ、爾の言及び書を學ぶ者は神の智識を悟り、神の屬神の睿智に滿てらるる者と現れて、造られざる恩寵と神の行爲とを敬虔に傳ふ。

成聖長よ、爾は邪敎者の劔及び矢を折り。ワルラアムの高慢と凡の異端者の力とを蜘蛛の網の如き者として、大なる石を以てするが如く破り給へり。』

グリゴリイよ、爾の言と定理と書とを以て敬虔の者の敎は印せられて、異端の強暴は破られ、正敎の壓せらるることは罷み、邪敎の力は空しくなりたり。』

生神女讚詞、我等諸慾の病に因りて枯れたる者は爾を實の醫治の泉と知り

---------------------[大齋第二主日 早課 471]---------------------

て、救と神聖なる流とを汲みて呼ぶ、純潔なる者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。

 

   第八歌頌

イルモス、「ハルデヤの窘迫者は怒に堪へずして」、

主宰よ、我等爾を信ずる者は爾の無量なる仁慈の富を知る。故に皆蕩子と偕に熱切に爾の前に俯伏す、罪を行ひて爾に趨り附きたる者を納れ給へ、蓋洪恩なる主よ、爾の仁愛に勝つを能する罪はなく、咎はなし。

主宰よ、爾は慈憐に因りて己を卑くして、爾の陷りたる諸子に近づき給へり。

蓋爾は、仁愛なる主よ、親ら陷りし者を迎へ、之に接吻し、之に救を賜ふ。若し下に墜つる者ありとも、爾は仁慈なるに因りて怒らず、人を愛する主なればなり。

嗚呼主宰よ、至りて畏るべき審判は我を待つ、蓋我は爾仁愛にして惡を懐はざる主を見て、爾に趨り附かず、蕩子の聲を以て爾に呼はらず、乃怠の中に生を送る。洪恩なる主よ、祈る、我に仁慈を垂れて、痛悔に由りて我を彼の定罪より脱れしめ給へ。

 

三者讃詞、我等は三の神ならずして、惟一の神の性を讃榮し、三の位、生れざ

---------------------[大齋第二主日 早課 472]---------------------

る父、父より生れし子、及び父より出づる聖神を尊む、斯の三位は實に惟一なる神なり。

 

生神女讚詞、至りて潔き童貞女、救の港なる者よ、我多くの禍に因りて傴み、悲愁の暴風に因りて溺らさるる者を爾の祈にて援けて、滅亡より救ひ給へ、我が宜しきに合ひて爾潔き生神女を熱切なる轉達者として萬世に讃榮せん爲なり。

 

   又、イルモス、「生神女の産は敬虔の少者を爐の中に守れり」。

睿智なるグリゴリイ、フェサロニカの首座、成聖長の品位の飾、神學師等と均しくして同心なる者よ、爾は今嚴に成聖長の光榮に装飾せられて、至りて洪恩なる主の寶座の前に立ちて、今も神に奉事す。

神は爾の靈の潔きを知りて、爾の未だ生れざる先に、敬虔なる王に明に爾が敎會の勝たれぬ軍士とならんことを告げ給へり、故に爾は規定の正式に因りて成聖長の品位の香料に印せられたり。

至榮なるグリゴリイ、フェサロニカの首座よ、ポリキンディンの會は爾の熟達と爾の睿智なる言とに由りて勝たれて難を受け、爾の朗なる神學の舌に由りて、強暴なる無智は姻の如く消ゆ。

---------------------[大齋第二主日 早課 473]---------------------

生神女讚詞、童貞女よ、神の言は諸慾に耽りたる人の性を、大仁慈に因りて、爾の内に於て全く新にして聖にし給へり。故に我等は爾に由りて救はれて、萬世に爾を讃榮す。

 

   第九歌頌

イルモス、「天は懼れ、地の極は驚けりり」。

神よ、我の爲に屠られたる爾の犢に由りて、吾が靈を喜と樂とに滿て給へ。我迷ひし者を納れ、殺されし者を生命に起し、我に救の衣、神聖なる不朽を衣せ給へ。

神より離れて、神聖なる恩賜を失ひたる靈よ、來りて、蕩子の如く反正して、熱切に呼ばん、天に在す至仁なる父よ、我等皆爾の前に罪を獲たり、爾の仁慈に趨り附く者を潔めて救ひ給へ。

主よ、多くの慈憐を有つ主として、我多くの逸樂の中に富を費しし者を諱む勿れ。我今趨り附きて、蕩子の聲を以て呼ぶ、我爾の前に罪を獲たり、爾の仁慈に趨り附く者を救ひ給へ。

生神女讚詞、女宰よ、我爾の僕は爾を救の港、嚮導、及び轉達者として有つ、願はくは神に奉る爾の至仁なる祈に由りて、我悉くの誘惑を免れん。蓋我は愛

---------------------[大齋第二主日 早課 474]---------------------

を以て我が一切の恃頼を爾に負はせたり、信を以て爾を崇め讃めん爲なり。

 

    又、イルモス、「凡そ地に生るる者は」。

グリゴリイよ、爾は神の鏡と爲れり、蓋像に循ひて造られしことを無玷に守り、且勇ましく智慧を以て肉慾を制する主と爲ししに因りて、肖に循ひて造られしことを得たり。故に爾は聖なる三者の至りて光明なる家と爲り給へり。

敬虔の王が爾を呼びしに、爾は翼ありて空中を飛ぶが如くに疾く來りて、彼を助け、聖神に滿てられて、強暴なるワルラアムと戰ひ、神の高きに對して無知なる不義のことを言ふ者に義に合ひて勝ち給へり。

至榮なる者よ、爾は無上の睿智に滿てられ、光を世界に輝かして、正敎の定理を證明せり。蓋爾は、睿智なる者よ、高尚なる智識を愛するに因りて、神を畏るる畏を孕みて、聖神の言を生み給へり。

生神女讚詞、神の母よ我等信者は同心に感謝の歌を爾に奉る。蓋爾は我等の古の詛を解き給へり、我等皆爾に由りて神の祝福、拯救、光照、慈憐、及び永遠の喜を受く。

 

    差遣詞は復活の。

---------------------[大齋第二主日 早課 475]---------------------

   光榮、聖人の。

諸神父の譽、諸神學師の口、温柔の居處、睿智の家、諸敎師の首長、言の海よ、慶べ。勤行の機關、明悟の深奥、人人の諸病を醫す者よ、慶べ。聖神の殿、死して生ける父よ、慶べ。、

   今も、生神女讚詞、

萬衆の女宰、萬衆より上なる者、衆天軍に超ゆる女宰よ、爾の權能の手を伸べて、世界を護り、爾に奉事する諸司祭に祝福し、爾に祈る修士等に赦免を與へ給へ。聖なる生神女よ、皇帝及び其政を翼くる者を平安にし、皇軍を戰の時に堅め、此の城邑を護り給へ。諸天使の女宰よ審判者が第二の畏るべき降臨に於て、坐して世界を審判する時、我等に天の國及び樂園の門を見るを得しめ給へ。

 

「凡そ呼吸ある者」に八句を立てて讃頌を歌ふ、復活の五章、及び左の三章、第一調。

成聖長グリゴリイよ、爾は世に福たる生命を終えて、今福たる者の會と共に喜び、温柔の者として温柔の地に居り、神より奇跡の恩寵の富を受けて、之を爾を尊む者に與へ給ふ。

---------------------[大齋第二主日 早課 476]---------------------

福たる者よ、爾は正敎の定理を植えて、邪敎の棘を斷ち、善く信の種を播きて、爾の言の雨にて之を潤し、熟練の農夫として百倍の穗を神に獻じ給へり。』

福たる者よ、天使及び人の會は爾の光明なる無玷の度生を奇とせり。蓋爾は己の意志を神の旨に協はしめて、堅固なる軍士及び修齋者、成聖長、神に悦ばるる奉事者、及び其親しき友と顯れたり。

 

句を誦す、主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。

   自調を歌ふ。第六調。

ハリストスよ、爾は諸罪の暗味を行く者に節制の時を以て光を輝かせり。求む、爾の苦の馨しき日をも我等に示し給へ、我等が爾に呼ばん爲なり、神よ、起きて、我等を憐み給へ。

光榮、同上。今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。大詠頌。發放詞。

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聖體禮儀に本調の眞福詞六句に、又聖人の第三歌頌四句に。提綱、第五調、主よ、爾は我等を保ち、我等を護りて、斯の世より永遠に至らん。句、主よ、我を救ひ給へ、蓋義人は絶えたり。使徒はエウレイ書三百四端。「アリルイヤ」、本調の。福音經は

---------------------[大齋第二主日 聖體禮儀 477]---------------------

マルコ七端。聖人には凡て成聖者の奉事。領聖詞、「天より主を讃め揚げよ」。

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 第二主日の晩課

 

「主よ、爾に籲ぶ」に十句を立てて讃頌を歌ふ、八調經の傷感の四、及び三歌經の左の、イオシフ師の作。第八調。

至りて義なる審判者よ、我爾の前に無數の罪を行ひて、無數の苦を待つ、切歯慰なき涕泣、火の「ゲエンナ」暗味、地獄等なり。求む、涙を與へて、我に此に由りて赦罪と我が惡事の釋かるることとを得しめ給へ。我齋して爾に呼ぶ、主宰ハリストスよ、大にして豊なる仁慈に由りて我を宥め給へ。

言よ、我犯罪の山に迷ひし者を尋ね、己の許に呼びて、我が靈の惡しき風習を遠く遂ひ、死せし者を復活かし、齋を以て潔め給へ。我絶えず泣きて呼びて云ふ、主宰ハリストスよ、大にして豊なる仁慈に由りて我を宥め給へ。

   又讃頌、フェオドル師の作。同調。

---------------------[大齋第二主日 晩課 478]---------------------

信者よ、我等は齋の第三の週間を始めて、尊き三者を讃め揚げ、欣ばしく節制の時を經て、吾が靈の内に肉慾を枯らし、神聖なる花を採りて、日日の首の爲に冠を編まん、我等皆榮冠を冠りて、ハリストスを勝利者として歌頌せん爲なり。

 

   又月課經の三章。光榮、今も、生神女讚詞。

「穏なる光」。聖入の後に提綱、第八調、「爾の顔を爾の僕に匿す毋れ」。(第百八十一頁を看よ)

 

   挿句に本日の自調、二次。第八調。

我不當の者は不順なる意志に由りて父の勒を吐き、罪惡の思を抱きて獸と偕に居り、放蕩に我が生命を費し、心を堅むる糧を得ずして、暫時慰むる逸樂を食と爲せり。祈る、至善なる父よ、爾の仁愛なる懐を我が爲に閉す勿れ、之を啓きて、蕩子の如く我を納れて救ひ給へ。

致命者讃詞、主の致命者よ、爾等は凡の處を聖にし、凡の病を醫し給ふ。祈る、今も我等の靈が敵の網より救はれんことを祈り給へ。

光榮、今も、生神女讚詞、同調、恩寵を蒙れる者、聘女ならぬ母よ、天の者は爾を歌ひ、我等も爾の究め難き産を崇め讃む。生神女よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。

---------------------[大齋第二主日 晩課 479]---------------------

 

   其他の式は常例の如し。

 

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