ゲオルギイ神父のハガキ通信 「さんしょ」


ハガキ通信「さんしょ」はお仕事や勉強に忙しい現代青年へのショートメッセージです。

バックナンバー

1.創刊号 2016年8月


 
 タイトル「さんしょ」は小粒でもぴりりと辛い…、あの山椒、昭和39年創刊の大阪教会青年会誌の名、おしゃれなロゴも丸ごといただきました。(ロゴは当時の伝教者、後に世界的なイコン画家となる故ペトル佐々木巌の作。) 「さんしょ」誌には吹田に新聖堂が成聖され新時代を迎えた青年信徒たちの熱い息吹が溢れています。青年会活動への意気軒昂な決意表明、素朴な身辺雑記から、アカデミックな大論文まで、多彩。執筆者にはお馴染みの名前も。
 前置きが長くなってしまいました。
 さて、聖書から一言。
 神さまに「食べるな」と禁じられていた木の実を取って食べてしまったアダムとエヴァ。「ヤバイ・・・」とエデンの園の木陰に隠れて怯えています。そこに神さまが何食わぬ顔で呼びかけます。 

「あなたはどこにいるのか?」(創世記3:9) 
神ならわかってるのになぜ?と思いませんか。
考えてみてください。

2.「食べるな」10月



神さまに「食べるな」と禁じられた木の実を食べてしまったアダムとエヴァ。「やばい」とエデンの園の木陰に隠れて怯えています。そこに神さまが何食わぬ顔で呼びかけます。
 「あなたはどこにいるのか?」(創世記第三章九節)
 神ならわかってるのになんで?と思いませんか。
 こどもの頃、親に隠れて何か悪さしたことありますよね。「やばい」と気付いた途端に、親からどんなに叱られるかと、ふるえ始めます。親の目を避け、「何食わぬ顔」(をしているつもり)。でも親なら子のオドオドした様子でお見通しです。しかし賢い親は怒鳴りつけません。気づいてないふりをして、しばらく待ちます。
 神さまもそうでした。何もかもお見通しなのに、「あなたはどこにいるのかナ?」。いさぎよく「ごめんなさい」と出てくれば、「しかたないやつだな、もうするなよ」と赦す気、満々です。でもエヴァは「蛇がそそのかしたんです」、アダムは「神さまあなたが造って添わせたこの女が、誘ったんです」と究極の責任転嫁。人類最初のしくじりでした。
 神の「どこにいるのか」は今も、私たち一人ひとりに問われ続けています。神を信じないならせめて自分に尋ねてみては、いかがでしょう。「私はどこにいるんだろう」と。この問いに正直に答えなかった時から、人はずっと、晴れ晴れと笑えません。 

3.「籠城」12月



 子供の頃、何かでスネて、部屋に鍵かけ「籠城」したことがあります。母が何度か「もう夕飯だよ、きげん直して出ておいで」と声をかけてくれますが、ますます意地を張って返事もしません。だんだんその声かけの間隔も長くなり、やがて居間からみんなでテレビでも見てるのか、どっと笑い声が聞こえてきます。悲しかった。
 ハリストスも「見よ、わたしは戸の外に立って、たたいている」(黙示録3:20)というお方です。神であるお方が人となって、私たちが閉じこもる「内側から鍵のかかった」(聖イサアク)心の戸口まで来て、「あけておくれ」と呼びかけ続けます。
 主はあの時の母のように、あきらめて引き帰しません。たとえ私が地獄に堕ちても、その火炎の中まで追いかけてきて、私を呼び続けます。もしその呼びかけが絶えてしまったら、どんなに悲しいでしょう。でもそんなことはあり得ません。主の愛は完全です。
 その完全な愛に甘え、私たちはいつまでスネ続けるのでしょう。クリスマス、こっそり鍵をはずし、笑い声のあふれる食卓をそっとのぞきに来ませんか。


4.「ダメの終わり」2017年2月



「あいつはもうダメだ」。私たちはしばしば、こう断定します。
「私はもうダメだ」。一度もそう思ったことのない人は少ないと思います。

 「もうダメだ」と投げ出してしまったら最後、私たちは「ダメな人」を軽蔑と無関心と孤独に放置し、「ダメな自分」を投げやりなふてくされと衝動に委ね、いっそうダメにしてゆきます。キリスト教はこれを「死の支配」と呼びます。死という究極の行き止まり、決定的な「ダメ」に閉じこめられ、人は、日々の小さな「ダメ」を跳ね返す力も希望も奪われて生きています。私たちの現実です。
 ハリストスは死より復活し、この究極の「ダメ」を粉砕しました。「もうダメという」生き方は「死」もろともに終わりを告げました。死が復活までの「眠り」へと変えられたように、私たちの罪や挫折は、神の赦しと恵みの中で、何度でもやり直せるものとなりました。私たちはもはや、死に閉じこめられてはおらず、「いのち」へと開かれています。

「ハリストス死より復活し、
死を以て死を滅ぼし、
墓にある者に 生命を賜えり」
という復活の賛歌の意味、
正教の信仰のエッセンスです。 

復活祭、今年は4月16日
(15日23:30開始)