なごや「聖歌」だより 17  

2003年8月号


目で見る聖歌 

会 話

みんなで一緒に!その2

 「会話」は正教会のお祈りの特徴の一つです。司祭(輔祭)と聖歌、誦経者と聖歌、また全員で歌う部分など、歌の会話が聖堂内を飛び交います。主教祈祷ではさらに複雑です。
 
 代表的なものが「連祷」で、司祭の「祈らん」(祈りましょう)という呼びかけに答えて「主憐れめよ」(憐れんで下さい)、祈りの結びに対しては「アミン」(はいそうです)と答えます。楽譜を見て機械的に歌ったのでは会話になりません。
 リレーのバトンタッチのように、気持ちの用意をして、スムーズに受け取って歌い出します。気持ちを一つにしようとすれば、自然に同じ音の高さで出たくなるし、司祭の祈るスピードに合わせて続けていきたくなりますす。
 指揮者が振る前から用意して構えていることがカンジンです。

聖堂中央の誦経者との掛け合いになるポロキメンやアリルイヤは聖体礼儀の一番華やかな部分です。教会中が福音に注目します。
 また聖変化「親しみの捧げ物」は聖体機密の中心ですが、至聖所の司祭の祈りと一体になって祈ります。
 正教会では天国はひとりぼっちの桃源郷ではありません。人と人、人と神が喜びのうちに集い、語り合い、天使も一緒に「聖、聖、聖なるかな」と歌います。聖体礼儀は地上の教会が天の教会と一緒になって歌い分かち合う喜びのひとときです。
 カチコチになって「決められたことを間違いなく歌」っても天国は見えません。まわりの人と気持ち合わせて、手をたずさえて一緒に天上の喜びをつくりましょう。そこには必ず聖神が働いてくださいます。












 さまざまな方向に会話が飛び交っています。聖歌が左右二つに分かれてアンティフォン形式で歌われれば、さらに変化が出ます。 アンティフォンと書いてない歌にも、本来は掛け合いで歌うと思われるものがたくさんあります。
 正教会の祈りの歌はとてもダイナミックです。