第五編
 
 主の前駆預言者授洗イオアンの総奉事



 晩課

 「主よ爾に籲(よ)ぶ」に讃頌(スティヒラ)、第八調。

福たる前駆イオアン、主宰の親しき友、イオルダンの水の中に手を以て彼の至浄なる頂上に触れし者よ、爾の聖なる転達を以て我が卑微なる霊に主を愛する愛を生長せしめ、我が諸慾の火を滅して、我を神の命を行ふに導き、我が心情を潔めて、爾を讃栄せしめ給へ。

妊まざる者の生産、潔浄なる母の出生、人人の装飾たる主の授洗者、讃美たる前駆イオアン、我が卑微なる霊の神聖なる守護者よ、爾の祈祷を以て我に慈憐を垂れしめて、我を蛇の悪謀及び攻撃より救ひ給へ。

至栄なる預言者よ、爾は神聖なる甘味に満てられて、凡そ信を以て爾に来る者を喜ばしめて、彼等の霊体の感覚を楽しませ、彼等の諸病と諸憂とを解き、誘感と患難とを免れしむ。

  光栄、第四調。

今日大なる前駆はエリサワェタの無結果の胎より出でて現れたり、此れ衆預言者より大なる預言者にして、他に斯くの如きはあらず、又起らざりき、蓋前駆たる燈台には至りて光明なる光は随ひ、声には言、新婦(はなよめ)を導く者には新娶者(はなむこ)は随へり。此れ選ばれたる民を主に備へ、水を以て潔めて聖神゜の潔(きよめ)に備ふる者、ザハリヤの萌芽(めばえ)、野の美(うるは)しき養成(やしなひ)、悔改の伝道師、諸罪の潔浄(きよめ)、地獄に在る者に死よりの復活を福音し、我等の霊の為に祈る者なり。

  今も、復活の生神女讃詞。

生神女よ、爾に因りて神の先祖と為りし預言者ダワィドは、爾に大なる事を為しし者に、爾の事を歌ひて呼べり、女王は爾の右に立てりと、蓋父なく爾より甘じて人の性を取りし神ハリストス、大にして裕なる憐を有つ主は、爾母を生命の中保者と現せり、是れ慾に朽ちたる己の像(かたち)を改め、山の中に迷ひし羊を獲て、肩に置き、父の前に携へ、己の旨に協(かな)はせ、之を天軍に合せて、世界を救はん為なり。

  聖入。本日の提綱(ポロキメン)。

  イサイヤの預言書の読 四十、四十一、四十五、四十八、五十四章

主是くの如く言ふ、慰めよ、我の民を慰めよ、―(第三巻百二十八頁二百二十八喩言をうつす)

  マラヒヤの預言書の読 三、四章

主全能者是くの如く言ふ、視よ、我我が使を―(第三巻百三十頁二百二十九喩言をうつす)

  ソロモンの智慧書の讀 四、五章

義人は早く死すとも安息に居らん、―(第三巻百三十一頁二百三十喩言をうつす)

  挿句(くづけ)に讃頌(スティヒラ)、第二調。

ハリストスの伝道師及び授洗者、神の使、使徒、致命者、預言者、前駆、燈、親しき友、諸預言者の封印、婦(をんな)の生みし者の中に最尊き者、旧新の恩寵の中保者、言の明なる声よ、爾の聖なる転達を以て我等の祈祷を慈憐なる神に向はしめ給へ。

句 祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為せり。

福たる前駆よ、爾はハリストスの地を行くを見る時呼べり、見よ、神の羔、世の罪を任ふ者なり。授洗者よ、爾を尊む者に諸罪の赦を賜はんことを彼に祷り給へ、爾は律法と恩寵との中保者として、実に彼の前に大なる勇敢(いさみ)を有てばなり。

句 子よ、爾も至上者の預言者と称へられん。

主の光栄なる預言者よ、爾に祷る、急ぎて我を諸の誘惑(いざなひ)より脱れしめ給へ、蓋残酷なる悪鬼は我を攻めて戦ひ、爾の僕の霊を小き鳥の如く捕へんと欲す、至福なる者よ、終に至るまで我を遺す勿れ、彼等が爾は我の避所(かくれが)なりと知らん為なり。

  光栄、第一調。

神を示す声、光の燈台、主の前駆、ハリストスを以て證せられし諸預言者の中に第一の者、世界の為に祈祷を為す者よ、特(こと)に爾の牧群を記憶して、其害なく救はれんことを求め給へ。

  今も、復活の生神女讃詞。

視よ、イサイヤの預言應ひて、童貞女は子を生めり、生みし後も生む前の如く童貞女なり、生れし者は神なるに因る、故に天性は改め易へられたり。嗚呼神の母よ、爾の諸僕が爾の堂に献ぐる祈祷を棄つる勿れ、恵深き主を爾の手に抱きし者として、爾の諸僕を憐みて、我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  讃詞(トロパリ)、第二調。

義人の記憶は讃美するに在り、爾には前駆よ、主の證は足れり、爾は実に諸預言者よりも尊き者と現れたり、蓋伝へられし者を流水に洗するにも勝ふる者と為れり。故に喜びて真実の為に苦を受けて、地獄に在る者にも、肉体に現れて世の罪を任ひ、我等に大なる憐を賜ふ神を福音せり。

  光栄、今も、生神女讃詞。

  早課

  「主は神なり」に讃詞(トロパリ)、同上。

  第一の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第四調。

今我等の為にザハリヤの芽は生じ、野の飾、及び諸預言者の畛域(さかひ)は信者の念(おもひ)と意(こころ)とを楽しましむ、蓋ハリストスの前駆、其降臨の偽なき證者は現れたり。故に我等は心を一(いつ)にして属神゜の歌を以て授洗者に呼ばん、真実の預言者及び伝道師よ、我等の救はれんことを祈り給へ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

神の聘女、ハリストス神の母よ、我等は爾の悟り難き産を讃栄して歌ふ、女宰生神女よ、我等は此を以て悪魔の誘惑(いざなひ)と凡の危難より救はれて、熱心に爾に呼ぶ、獨讃美たる者よ、爾の牧群を憐み給へ。

  第二の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第二調。

至善なる主よ、爾は大なる仁慈に因りて爾の造物を救はん為に、爾の降るを以て天を傾けて来り給へり、故に我等爾の畏るべき定制を歌ひて、爾に呼ぶ、ハリストスよ、獨慈憐なる主として、爾の前駆の祈祷に由りて、我等に諸罪の潔浄(きよめ)を與へ給へ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

「ハリスティアニン」等の熱切なる転達者生神女よ、常に爾の子に祈りて、其大なる仁慈を以て爾母童貞女の祈祷に因りて、我等を戦ふ敵の凡の悪事及び残害より救ひて、我等に諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。

  「主の名を讃め揚げよ」の後に附唱、前駆の誕生に、

救世主の前駆イオアンよ、我等爾を讃揚して、爾が胎の荒れたる者よりする至栄なる誕生を尊む。

  抜粋聖詠

祝讃せらるる哉主、イズライリの神 云々
 
  前駆の降孕に、同上。
  
  前駆の斬首及び聖首の発見に、抜粋聖詠、

神を畏れ、、其誡を極めて愛する人は福なり、云々

  讃揚詞の末辞は 皆爾の尊貴なる斬首を尊む。

  聖首の発見に 皆爾の尊貴なる聖首の発見を尊む。

  前駆の会聚に 皆爾の至尊なる会聚を尊む。

  多燭詞(ポリエレイ)の後に坐誦讃詞(セダレン)、第五調。

胎内より神の預言者と顕れ、素(もと)妊まざる者より出でたる世界の光明なる燈、ハリストスの授洗者、及び勝利を得たる苦難者、前駆イオアンを歌を以て讃め揚げん、蓋彼は主に我等の霊を憐まんことを祈り給ふ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

婚姻に與らざる聘女、至浄なる神の母、エワの悲を喜に転ぜし者よ、我等常に爾を歌頌して讃栄す、爾我等を始の詛より解きたればなり、讃美たる生神女よ、今も絶えず爾の子及び神に我等を救はんことを祈り給へ。

  品第詞(ステペンナ)、第四調の第一倡和詞(アンティフォン)。

  提綱(ポロキメン)。

子よ、爾も至上者の預言者と称へられん。

句 「祝讃せらるる哉主、イズライリの神。」

  「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

  第五十聖詠の後に讃頌(スティヒラ)、第一調。

預言者及び前駆イオアンよ、爾は神の羔及び言の伝道師と為りて、未来の事を預言し、四極に宣べ伝ふ、視よ、神の羔、世の罪を任ひて、衆に大なる憐を賜ふ者なり。

  規程(カノン)は生神女の六段、并に前駆の八段。第四調。

  第一歌頌

イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、強き軍たる我が霊の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌(かちうた)を爾に歌はん為なり。

前駆授洗者よ、爾は大なる日に先だつ星の如く、爾の光にて地を照し給へり、故に爾に呼ぶ、無数の罪に由りて甚しく昧まされて瞽(めしひ)と為りたる我が心をも照し給へ。

福たる者よ、昔爾は誕生を以て妊まざる胎を解きたり、故に爾に祈る、慾の為に荒れて結果せざる吾が霊を爾の祈祷を以て諸徳の果を結ぶ者と為し給へ。

至栄なる授洗者よ、爾はイリヤの能力を以て贖罪主に先だちて、彼の為に途を備へたり、祈る、吾が霊の途を彼に向はしめて、爾の祈祷を以て之に凡の誘惑(いざなひ)と諸慾の焔とを免れしめ給へ。

  生神女讃詞

光れる雲よ、吾が霊の多くの暗き雲を爾の光明なる転達を以て散じ給へ、我が爾より輝き出でたる日を見て、此の光に由りて暮れざる光に至らん為なり。

  第三歌頌

イルモス 強き者の弓は弱み、弱れる者は力を帯びたり、故に我が心は主の中に堅められたり。

福たる者よ、爾は凡の徳を行ひ、凡の悪を心より憎み、人人に悔改の途を示し給へり。

爾は身を取りし言の大なる前駆と現れたり、故に爾に祈る、我に無知なる慾を免れしめて、我を無慾に導き給へ。

前駆よ、爾は尚身に居る時に無形の者の度生を為し給へり、捧神者よ、之に效はん為に、爾の祈祷を以て我等を堅め給へ。

  生神女讃詞

母童貞女よ、犯罪に由りて不当の者となりたる世界は爾に由りて憐を蒙りたり、故に我等職として歌を以て歌頌して、爾を讃揚す。

  坐誦讃詞(セダレン)、第一調。

ハリストスの前駆よ、爾はイリヤの如く野に居りたり、至福なる者よ、吾が心を堅め給へ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

至浄なる者よ、ダワィドは爾潔き童貞女を女王として伝ふ、故に我爾に祈る、我を天の国の嗣業(よつぎ)と為し給へ、我が爾を讃揚せん為なり。

  第四歌頌

イルモス 洪恩なる主よ、爾は己の像を愛するに因りて、爾の十字架に上(のぼ)りしに、異邦民は融けたり、人を愛する主よ、爾は我の堅固(かため)と美誉(ほまれ)なればなり。

至栄なる前駆よ、我等は爾を至りて真実なる言を以て世界に真の春を預象する班鳩(やまばと)と知りて、爾を讃揚す。

前駆よ、我詭譎(きけつ)なる者の誘惑(いざなひ)に害(そこな)はれたる者を、旧新の中保者として全く改め給へ、我爾を歌ふ。

荒野に居りて無玷(むてん)なる生命を送りし前駆よ、凡の罪過に由りて荒れたる吾が智慧を爾の神聖なる祈祷を以て浄め給へ。

  生神女讃詞

童貞女よ、爾の子は我等の為に潔浄(きよめ)及び贖罪として知られたり、傷感の情を以て爾を讃揚する我等の霊を救はんことを彼に祈り給へ。

  第五歌頌

イルモス 仁慈なる主よ、爾の光を、我等に遣し、罪過の闇より我等を解きて、爾の平安を賜へ。

ハリストスの授洗者よ、我諸慾の焔に焚かるる者を爾の祈祷を以て湿して、之に害せらるるなく護り給へ。

至福なる者よ、爾の聖なる右の手の下に父の神聖なる右の手、爾の聖にせられし転達に由りて我等を詭譎者(きけつしゃ)の手より救ふ者は洗を受けたり。

前駆よ、全世界は爾を避所(かくれが)と堅固なる帲幪(おほひ)、及び大なる城垣(かき)として有つ、爾の祈祷を以て我等を凡の患難より救ひ給へ。

  生神女讃詞

潔き童貞女よ、神は爾をイアコフの栄として愛して、爾を以て凡そ先に罪過に昧まされし者を飾り給ふ。

  第六歌頌

イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風(あらし)は我を沈めたり、慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。

前駆よ、爾は流水の中に立ちて、衆人の罪を任ふ主宰に洗を授けたり、彼に我等の霊を憐まんことを絶えず祈り給へ。

前駆よ、爾は悔改の伝道師と現れたり、求む、有害なる罪に汚されて弱りたる吾が心に之を起さしめ給へ。

福たる者よ、爾は荒野に声を揚げて、人人の霊に来り給ふ言を伝へたり、故に凡の教会は黙さざる声を以て爾を讃揚す。

  生神女讃詞

神の聘女よ、爾の畏るべき産に由りて律法の預象は明になれり、女宰よ、我等今其成就したるを見て、宜しきに合ひて爾を尊む。

  小讃詞(コンダク)は奉事例に据る。若し奉事例になくば左の小讃詞を誦すべし。第八調。
 
前駆イオアンよ、我不当の者は爾真に凡の聖人より大なる者の前に、凡の不法者より多く罪を犯す、然れども我爾に歌を捧げて求む、主の前に勇敢(いさみ)を有つ者として、我を諸の災禍(わざはひ)より救ひて、爾に呼ばしめ給へ、恩寵の伝道師よ、慶べ。

  同讃詞(イコス)

神に賞せられし福たるイオアンよ、我喜びを抱きて歌を爾に捧ぐるを始む、然れども爾を記憶して訝り、畏れて何の言を言ふを知らず。前駆よ、爾自ら我を堅めて、宜しきに合ふ言を與へ給へ、歓喜(よろこび)の現れし所以(ゆえん)の者よ、慶べ、詛の亡びたる所以(ゆえん)の者よ、慶べ、地の四極の教師よ、慶べ、ハリストスの奇跡の伝道師よ、慶べ、天にまで至る高き良心よ、慶べ、全地を潔むる廣き潔浄よ、慶べ、聖なる三者を見しに因りて慶べ、物質を軽ぜしに因りて慶べ、日を示す星よ、慶べ、天下を照す光体よ、慶べ、ハリストスを知らしし者よ、慶べ、サタナを悪(にく)みし者よ、慶べ、恩寵の伝道師よ、慶べ。

  第七歌頌

イルモス 昔アウラアムの少者はワワィロンに於て爐の焔を踏みて、歌を以て呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

凡そ婦(をんな)の生みし者の中に大なる者と現れし預言者よ、爾の大なる祈祷を以て、我多く神の前に罪を犯しし者を大なる焔と永遠の幽暗(くらやみ)より脱れしめ給へ。

我は果を結ばざる無花果(いちじく)と現れて、斫(き)らるるを恐る、救世主の前駆よ、爾の転達を以て我を固めて、果を結ぶ者と為し給へ、我が爾を讃揚せん為なり。

前駆イオアンよ、衆人の贖罪主に奉る爾の勇ましき祈祷を以て、熱心に爾に趨り附く者に向ひて起す所の凡の敵の暴風(あらし)を鎮め給へ。

  生神女讃詞

童貞女よ、霊と舌とを以て常に爾を讃栄する爾の諸僕を凶悪者の攻撃及び悪鬼の服役より脱れしめ給へ。

  第八歌頌

イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焔の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讃めよ。

前駆よ、我怠惰(おこたり)の眠りに耽りて、悪の暗(やみ)に昧まされたる者を爾の光明なる祈祷を以て起して、晝に在るが如く美(うるは)しく諸徳を行ふを得しめ給へ。

誘惑(いざなひ)の暗(やみ)は我を囲み、諸慾の暴風(あらし)は我を擾(みだ)す、前駆よ、我に手を授けて、爾の祈祷を以て吾が霊の舟を痛悔の港に導き給へ。

世界の罪過を任ふ者を河水(かはみづ)の中に洗(せん)せし福たるイオアンよ、爾の祈祷の流れを以て我が悪の淵を涸らし給へ。

前駆よ、爾は言ひ難く爾より洗を受けしイイススの上に聖神゜の臨むを見、彼の為に證する父の声を聞けり、彼に我等を救はんことを祷り給へ。

  生神女讃詞

生神女純潔なる童貞女よ、我等の更新(あらため)の泉として、我蛇の攻撃に由りて害(そこな)はれし者を全く改め給へ、我が信と愛とを以て爾を讃揚せん為なり。

  第九歌頌

イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の産にて世界の為に祝福の華を發(ひら)けり、故に我等皆爾を崇め讃む。

主ハリストスは我が力我が歌なり、福たる前駆よ、彼に祈りて、我を諸慾と凡の悪鬼の攻撃とに勝たん為に堅めて、神の旨を行ふを賜はんことを求め給へ、我が愛を以て常に爾を讃揚せん為なり。

神聖なる前駆よ、爾はハリストスの神聖なる春を報ずる美(うるは)しき班鳩(やまばと)、嘉(よ)き音(ね)の燕(つばめ)と現れたり、爾に祈る、我を霊を害する冬と罪の暴風(あらし)より脱れしめんことを彼に祈り給へ。

神聖なる前駆よ、爾は母の胎内に喜び躍りて、童貞女より輝きし者を知らせたり、彼に祈りて、我を殺す肉慾の動きを殺して、吾が心を喜びに満てんことを求め給へ、我が爾を歌はん為なり。

生神女讃詞

善を愛する神を生みし善を愛する生神女よ、彼に祈りて、我を凡の悪より救ひ、彼を愛する心を燃やし、我に肉体の逸楽を悪(にく)ましめんことを求め給へ、我が歌を以て爾を讃め揚げん為なり。

  光耀歌

福たる前駆授洗者よ、爾は年老いたる妊まざる者及び翁司祭より生れて、光栄の日の現るる前に晨(あさ)の星の如く麗しく輝き出で、主が童貞女より人類の贖罪の為に生るるを伝へ給へり、故に我等愛を以て歌頌して、爾の最尊き(祭名)に伏拝す。

  生神女讃詞

至浄なる生神女よ、爾の子萬有の神を聖神゜に感ぜられて預言者は宣伝し、使徒は伝教し、致命者は明に承け認めたり、彼等と偕に我等爾に因りて古(いにしへ)の定罪を免れし者は爾を崇め讃む。

  「凡そ呼吸ある者」に讃頌(スティヒラ)、第四調。

婦(をんな)の生みし者の中に最(もっとも)大なる前駆よ、神の前に勇敢(いさみ)を有ちて、絶えず彼に祈りて、熱信に爾を籲(よ)ぶ我等を反正せしめて、痛悔の心を與へんことを求め給へ、我等が救はれて、常に爾を歌頌せん為なり。二次

母の胎内より預言者と名づけられし伝道師、前駆及び使徒よ、悪鬼に服して罪の奴隷と為りし我を、勇毅なる軍士として、二つの者より救ひ給へ、我が爾の亟(すみやか)なる佑助(たすけ)を伝へん為なり。

ハリストスの福たる授洗者よ、聖神゜の箕(み)として、吾が心より糠(から)の如き風習(ならはし)を掃(はら)ひて、我が善行を麦の如く神の倉に斂(をさ)め給へ、我が主宰の嘉(よ)く納れらるる糧と為らん為なり、爾の転達に由りてなり。

  光栄、第八調。

イオアンに馨香は適ひ、授洗者に美(うるは)しき歌は適ふ、蓋彼は我等の救の始を伝へて、腹の内に躍り、野の中に悔改せよと呼べり、彼は王の軍士、恩寵の前駆なり、羔を示し、救世主に我等の霊の為に祈り給ふ。

  今も、生神女讃詞。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷(いのり)を納れて、我等を諸の災禍(わざはひ)と憂愁(うれひ)より救ひ給へ。

  大詠頌、并に発放詞。

  聖体礼儀に真福詞、規程(カノン)の第三及び第六歌頌。

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