11月27日/12月9日

我が聖神゜父イルクツクの

     主教奇蹟者インノケンティイの祭日


大晩課

「主よ、爾にぶ」に八句を立てて讃頌を歌ふ、第六調。

度生に於て光榮なる人及び我等の神゜父成聖者インノケンティイを崇め讃めん。蓋主は其聖躯の不朽なるを以て大なる光榮を顕し、之を燈の如く臺上に置きて、其奇跡の光線にてイルクツクの牧群を照し給へり、義人の記憶が斯の群を離れずして、其名は世世に存し、諸民が彼の睿智を傳へ、聖なる教会が歌頌と属神゜の詩賦とを以て常に彼の讃美を歌はん為なり。二次。

ハリストスの新なる使徒、福音經を以て疎き諸族の地に適く者を崇め讃めん。彼は教を以てロッシヤの地の極を薫らせ、花の如くシビリの國の東に榮え、未だ恩寵の流に潤されざる諸民に天の智慧の言を降し給へり。二次。

古の蛇の傲慢に昧まされたる支那の暗黒なる國がイイススハリストスの國の光を入るる能はずして、ロッシヤの尊榮なる成聖者を接けんことを欲せざりし時、正教の皇帝の権下にある異教の諸族の内に、我が霊の為に祷り給ふ大なる成聖者インノケンティイの口に藉りて、ハリストスの聖なる教は増進せられたり。二次。

神゜父よ、爾の名は牧群に注がれたる最芳しき香料なり。爾の徳行の光線にて敬虔に爾の聖なる記憶を尊む人々は照され、己の聖者の中に奇異なるイズライリの神を讃榮する正教の諸邑諸方は耀かさる。彼に我が霊の救はれんことを祈り給へ。

昔預言者は呼びて言へり、義人は繁ること棕櫚の如く、高くなることリワンの柏香木の如し、彼は水辺に植えたる木の如くならんと、神゜父よ、預言者の口に倡へられたる主の眞實は爾の上に證せられたり。故に我等爾に祈る、至りて奇妙なる司祭首よ、爾の祈祷を以て此の都邑及び悉くの正教の「ハリスティアニン」等を護り給へ。

  光榮、第八調。

成聖者神゜父インノケンティイよ、爾の度生は爾の名に稱へり、爾は生涯無てんを以て輝きたればなり。爾は地上に旅客及び寄寓者の如く居り、聖なる三者に親しみて、爾の無てんなる心に父と子と聖神゜との為に住居を備へたり、故に爾の聖なる躯は柩の内にも不朽を以て榮え、神に護らるる爾の骨は一も折れざりき。我等信を以て多くの醫治に由りて榮せられたる爾の尊き聖躯に接吻して、爾に祈る、神の悦を獲たる役者、熱心なる牧師、司祭首の飾よ、爾が地上に聖を以て義を以て榮せし聖三者の前に今立ちて、恒に爾の牧群の平安と我等の霊の救とを祈りて、我等を彼の悦を獲たる者と為し給へ。

  今も、生神女讃詞。

  聖入。本日の提綱。喩言三篇。

イサイヤノ預言書の讀。(三十五章)。

主是くの如く言ふ、荒野と枯れたる地とは楽み、沙漠は喜びて百合の如く華を開かん。盛に咲きて喜び、祝いて歌わん。リワンの光栄、カルミルとサロンとの華美は彼に與へられん。彼等は主の光栄と我が神の大なる事とを見ん。弱りたる手を強くし、顫える膝を固くせよ。心の卑怯なる者に言へ、強くなれ、懼るる毋れ。見よ爾等の神は此に在り。復讎は来り、神の報は来らん。彼来りて爾等を救はん。其時瞽者の目は明き、聾者の耳は啓かん。其時跛者は鹿の若く躍り、唖者の舌は歌はん。蓋荒野に水涌き出で、沙漠に川流れん。水の幻像は変じて湖と為り、乾きたる地は水の源とならん。野犬の臥す所の棲處には、葦ととの茂る處あらん。彼處に大路あり。其道は聖なる道と名づけられん。不浄の者は之を過ぎざらん。此れ唯彼等の為に備えらる。是の道を行く者は未熟なりとも迷はざらん。彼處には獅無く、猛獣も之に登らず、彼處に於て之に遇はざらん。唯贖はれたる者は行かん。主に依りて救はれし者は帰り、歓び呼びてシオンに来らん。永遠の喜は其首の上に在り、彼等は喜と楽とを得ん、哀と歎とは離れ去らん。

  ソロモンの智慧書の讀。(三章)。

義人等の霊は神の手に在り、苦は彼等に触れざらん。無知者の目には彼等死せし者と見え、彼等の逝世は滅亡と思はれ、我等より離るることは無に帰すと思はれたれども、彼等は平安に在るなり。蓋彼等は人の目には罰せらるれども、彼等の望は不死を盈つ。彼等僅に罰せられて、多くの恩を蒙らん、蓋神は彼等を試みて、己に適う者と見たり。金が坩堝に試みらるる如く、神は彼等を試みて、彼等を完全なる祭祀として受けたり。応報の日に於て彼等は茎に走る火花の如く輝かん。彼等は諸族を審判し、諸民を主らん、彼等の上には主は世々に王たらん。主を恃む者は眞實を知り、愛に専なる者は彼に居らん、蓋主の恩寵は慈憐とは其聖者に在り、其慮は選ばれたる者に在るなり。

  ソロモンの智慧書の讀。(四章)。

義人は早く死すとも安息に居らん、蓋貴き齢は長寿に在るに非ず、年の数を以て量るに非ず。智慧は人の為に白髪なり、無てんなる生命は老年の齢なり。彼は神の悦を獲たる者として愛せられ、罪人の間に居りし者として移され、悪は其心を変ぜず、詭譎は其霊を誘はざらん為に挙げられたり。蓋不虔の習は善を昧まし、慾の動は淳良なる知識を亂す。彼は短き時に完全に至りて、長き年を満てたり、其霊主に悦ばれしに因りて、彼は急ぎて不敬虔の中より徙れり。然れども人々之を視て悟らず、主の恩寵と慈憐とは其聖者に在り、其慮は選ばれたる者に在ることを思はざりき。

  「リティヤ」に讃頌、第五調。

シビリの諸民よ、爾等の彊の内に平安を福音し、善事を福音せし司祭首インノケンティイの美しき足の跡に接吻せよ。彼は爾等の諸邑の一に新たなる神゜品の上位の始を置き、爾等の修道院の一に不朽を以て榮えたり、潤されたる園の榮ゆるが如し。彼より豊に恩寵の水は流れて、霊體の醫治に渇く者に價なく飲ましむ。

インノケンティイよ、爾はイルクツクの邑の光榮なり、爾はシビリの諸方の飾、正教会の誉、小ロッシヤの誇なり。爾は其中に芳しき百合の花として開き、其中に光明なる燈として燃され、其中にハリストスの國の子として生れ、其中より使徒として召されて、福音を以て王城の地より蒙古の界にまで至りて、在世にも死後にも昧みたる諸族を教へ給ふ。

インノケンティイよ、爾は地上の学校に天上の睿智の教師と為りて、地に在る事に非ずして、上に在る事を念と為すを教へ、少き者の智識の中に古の福音經の眞實を印して、自らは聖神゜に印せられたる抱神者と顕れ、神の前に行き、神の為に熱中し、神の面前に爾の聖なる記憶を尊む者の為に祈祷者として立ち給へり。

  光榮、第四調。

成聖者よ、爾に明智と聰慧との神゜は止まりて、爾に異教人を救ふ智識を賜ひ、謀略と勇毅との神゜は止まりて、爾に叡知なる皇帝の奇妙なる謀略に應ふを得しめ、超識と虔誠との神゜は止まりて、爾は此を以て新なる神゜と心とを求むる者に敬虔に聖なる三者を知るを教へ給へり。

 今も、生神女讃詞、「至りてきずなき者よ、爾の諸僕の祈祷を顧みて」。

  挿句に讃頌、第七調。

兄弟よ、善言の舌と尊榮なる度生とを以て我等に救の言を傳へし奇妙なる教導師を記念し、彼の生命の福たる終を鑑みて、其信に傚はん。司祭首の此の信は彼の朽つる者に不朽を衣せ、死する者に不死を衣せて、一般の復活の状を前兆す。

句、義人は繁ること棕櫚の如く、高くなること、リワンの柏香木の如し。

古の都城キエフより移されたる葡萄はシビリの地に其花を發き、海外に其枝を舒べて、諸民の醫治の為に實を結べり。信者よ、我等は彼の中に属神゜の楽を獲て、其恩寵の蔭より出でずして、霊體の諸病の醫治を受くるに至らん。

句、主は彼が悉くの骨を護り、其一も折れざらん。

諸民よ、来りて観よ、主は爾等の日に於て何如なる作為をか為したる、若し誰か爾等に是くの如きを傳へば、爾等信ずる能はざらん。然れども見て奇とせよ、何如にか主は其選びたる者の悉くの骨を護りて、其一も折れざらん、故に信ぜざる勿れ、乃信ぜよ。

  光榮、第八調。

成聖者神゜父インノケンティイよ、爾は己の高潔を以てハリストスの國の光榮を顕し、善き戦を以て其恩寵の力を宣べ、多くの奇跡を以て世に勝つ勝利たる聖なる信を輝かして、自らも司祭として救を衣たり、故に爾聖神゜より傅膏せられたる者の上に主の成聖は盛に著れたり。神の悦を獲たる役者よ、願はくは仁慈なる主は此の聖神゜を我等罪を犯しし者より取り上げずして、爾の祈祷に由りて我等の衷に之を新にせん。

  今も、生神女讃詞、「聘女ならぬ童貞女」。

餅の祝福に成聖者の讃詞、二次、及び「生神童貞女よ、慶べよ」、一次。

  成聖者の讃詞、第三調。

最光明なる教会の燈、爾の諸徳の光線にて諸方を耀かし、信を以て爾の柩に趨り附く者に施す多くの醫治にて神を榮せし成聖者神゜父インノケンティイよ、祈る、爾の祈祷を以て斯の城邑を凡てのわざわいと憂愁より護り給へ。

 

早課

「主は神なり」に聖人の讃詞、二次。

  光榮、今も、生神女讃詞。

  第一の誦文の後に坐誦讃詞、第五調。

神の人よ、爾は己の目に寐ね、己の瞼に眠るを容さずして、古より諸民を昧ます者の崩るる権柄の内に主の為に處所を得、イアコフの神の為にイウデヤに非ず、イエルサリムに非ずして、蒙古の彊の内に住所を基づくるにおよべり。故に爾はダワィドと顕れて、不信の地に信の堅き基を置き、ソロモンと為りて、爾の牧群の救を建つる睿智を顕し給へり。

  光榮、今も、

生神童貞女よ、我等は爾より身を取りし者が神なるを知れり、彼に我が都邑と几そ爾の子の名にて印せられたる者との救の為に祈り給へ。

  第二の誦文の後に坐誦讃詞、第四調。

寶なる膏が首にありて、髯即アアロンの髯に流れ、其衣の裾に流るるが如く、エルモンの露のシオン山に降るが如く、斯く聖神゜の恩寵は不朽にて榮せられたる爾の躯に恒に薫りて、信を以て爾の柩に趨り附く者に爾を榮する主の為に歓喜を飲ましむ。

  光榮、今も、

至浄なる者よ、成聖者及び衆聖人と偕に獨聖者の中に息ひ給ふ主に、我等衆萬世に爾を讃美する者を聖にせんことを祈り給へ。

  多燭詞の後に坐誦讃詞、第三調。

成聖者インノケンティイよ、行のきずなき者より幸福を奪はざる主は爾に恩寵と光榮とを賜へり、爾は斯の光榮を我等の地に入れたり。求む、天にも爾の祈祷を以て我等に爾及び神の悦を獲たる衆聖人と偕に永遠の光榮を獲しめ給へ。

  光榮、今も、

童貞女よ、我の為におほひと、轉達と、守護、及び令誉と為り給へ、爾は倚頼なき者の勝たれぬ力、冀望なき者の冀望なればなり。

  次に第四調の第一倡和詞。

  提綱、第四調。

聖人の死は主の目の前に貴し。句、我何を以て主の我に施しし悉くの恩に報いん。

次に「凡そ呼吸ある者」。福音經はマトフェイ十一端。

  福音經の後に讃頌、第六調。

主よ、願はくは我が口は讃美に満てられて、我爾の役者の光榮を歌はん。蓋爾は不朽と奇跡とを以て彼を榮し、彼を患難に遇ふ者の扶助者、病を患ふる者の速なる治療者、悲しむ者の撫恤者、彼の聖なる記憶を尊む者の熱切なる祈祷者と為し給へり。

規程、其冠詞は、インノケンティイは我等の霊の祈祷者なり。第八調。

  第一歌頌

イルモス、苦しむるファラオンを海に溺らし、イズライリを乾ける地にて導きしハリストスに歌はん、彼世々に光榮を顕したればなり。

てんなる司祭首よ、天より臨み観て、爾が右の手の異教民の地に植え付けし斯の葡萄に格りて、之を蔭ひ給へ、我等が敬虔に爾の数へ難き奇跡を讃榮せん為なり。

昔ワラアムの牝驢馬は途中に於て彼にイズライリを詛はん為に行くべからざるを暁らせたれば、彼はメソポタミヤより来りて、之を祝福せり。斯く愁ひたる旅客は疲れたる馬に暁らせられて、前に約せし尊榮を成聖者インノケンティイに帰したり。

我が神゜父インノケンティイよ、爾は足のえて百體にちゅうぶうを病める者の為に速なる治療者と顕れたり。求む、今も信を以て爾の常に醫を施し生活を與ふる不朽體に趨り附く者を棄つる勿れ。  生神女讃詞

至りて無てんなる童貞女よ、爾は父と同無原なる子を身にて生み給へり。彼に成聖者と偕に我等を其國の諸子、永遠の約の嗣と為さんことを祈り給へ。

  共頌は規定の如し。

  第三歌頌

イルモス、言を以て天を堅めし主よ、我が智慧と心とを堅めて、我等に霊の救の為に爾を歌ひて讃榮せしめ給へ。

霊智なる群の牧者よ、爾は第二の棘を顕して、爾の祈祷を以て火焔の中に聖堂を害なく護り給へり。此れ地には未榮せられざれども、天より多くの奇跡を以て明に聖なりと證せられたる爾の不朽體の息ひたる聖堂なり。

てんなる者よ、爾は唯信にのみ近づくべき者と現れたり、故に天然の法則を變じて、雪と霜とは爾の潔白を不潔の目、信ぜずして爾を見んと欲せし者より隠したり。爾は之に己の光榮を見るを許さずして、我等に潔き心を以て爾を讃榮するを教へ給ふ。

成聖者よ、爾は大く眼を患ふる翁を助けん為に疾く来りて、其痛める頭に触れて、彼の上に神の行為を顕したり。求む、爾の祈祷を以て我等の霊の眼をも明にし給へ。  生神女讃詞

生神女よ、我等爾を堅固にして動かざる倚頼なりと知る、故に之に頼りて祷る、此の城邑と「ハリスティアニン」等の諸邑諸方とを罪を犯す人々に及ぶ諸の禍より護り給へ、我等は諸罪を犯せども、爾の祈祷に因りて其赦を受くればなり。

  第三歌頌の後に坐誦讃詞、第三調。

我等の司祭長は是くの如き者たるべし、乃聖にして、悪に與らず、温柔にして、罪人に遠ざかり、常に永遠なる司祭長イイススハリストスの前に己の群の救の為に祷る者なり、蓋義者の熱切なる祈祷は幸福を獲ん為に多くの力あり。

  光榮、同調。

野の中に水は涌き、成聖者インノケンティイの不朽の體より醫療の泉は流る。永遠の歓喜は彼の首の上に在り、願はくは我等も其祈祷に因りてテ復活の暮れざる日に於て之を獲ん。

  今も、生神女讃詞。

少女よ、預言者は爾の事を呼びて云へり、視よ、東に向へる門なり、此は閉されて、何人も此より入るを得ざらん、獨主神は此より入りて、此の門永く閉されん。

  第四歌頌

イルモス、主よ、我爾が摂理の秘密を聆き、爾の作為を悟り、爾の神性を讃榮せり。

イイススはペトルの家に在りて熱を病める其岳母の手に触れたれば、熱忽退きたり。此くの如き徴は爾奇跡者を信ずる者にも随へり、蓋死の牀に臥したれども、生命の頼みを以て爾を呼びし病者は、唯爾が其脅に触るるに由りて熱病より醫されたり。

昔信ずる者はパワェルの手巾及びまえだれを身に加ふるに因りて醫されたり。新なる使徒よ、神は爾の手に由りても奇妙なる異能を行ひ給ふ、蓋爾の聖にせられし柩より取りたる塵及び燈明の油は瞽者の目を啓き、醫治を與ふ。

信に由る祈祷は甚しく病める者を救ひたり、故に彼は承け認めて云へり、醫師は助けられぬ者を起す能はず、然れども慈憐なる神゜父よ、爾を頼む希望は信を以て爾を援助の為に呼ぶ者に常に羞を得しめず。

  生神女讃詞

婚姻に與らざる童貞女は聖神゜に藉りてアウワクムが預見せし者を生み給ふ、其生みたる者に我等の霊の為に睿智なる牧師、逝世の後にも常に己の聖躯を以て我等の中に居る者と偕に祈り給ふ。

  第五歌頌

イルモス、ハリストスよ、願はくは無知の夜の後、爾の顔の光の中に、神智の日は我等朝の讃美を爾に奉る者の心に輝かん。

首より足に至るまで瘡に蔽はれて、其身の醫治を得ざる者は、愛を以て神の役者に於ける倚頼の流水に浴して、忽不浄の疾より潔められたり、昔ネエマンがエリセイの言に因りて、イオルダンに浴して、癩病より潔められしが如し。

成聖者インノケンティイよ、爾を求むる者に爾は疾く應ふる扶助者と獲られて、速に病の平愈を與ふ、是くの如く嘗て右の手を痛く病める婦に唯爾の聖なる名を呼ぶに因りて爾は其夢に現れて、之を健なる者と為し給へり。

信者の中に恩寵を知る智識を堅固にせん為に、爾は我等に、爾を仁慈なる教導師、愛憐の寶蔵、正教の教師、司祭諸長の誉、倚頼なき者の保護者、信を以て爾に趨り附く爾の諸子の救の為に恒に祷る者と識るを教へ給へり。

  生神女讃詞

至浄なる母よ、爾より生れし者に因りて地獄の門は壊られ、其閉は折かれたり。故に爾に祈る、爾の轉達を以て我等を永遠の死より脱れしめて、世界に贖罪の光を輝かしし爾の子の光の中に我等を住はせ給へ。

  第六歌頌

イルモス、光を衣の如く衣る慈憐の深きハリストス我が神よ、我に光明の衣を予へ給へ。

熱心なる扶助者よ、爾に趨り附きたる者は耻を得て離るることなかりき、即疾を患ふる者は醫され、産苦に苦しめる者は爾の慈憐に由りて速に苦を解かれ、瞽者は見るを得たり。洪恩なる父よ、我等にも、臨みて、爾の助を予へ給へ。

神゜父よ、爾は足の折れたるを痛く苦しめる者に再現れて、信ぜざる勿れ、乃信ぜよと言ひ、且杖にて爾の足の立ちし處を撃ちて、木に付けたる傷を以て不信に昧まされし者の霊の傷を愈し給へり、蓋彼は直に爾を慈憐なる醫師、病の牀より彼を起したる者と承け認めたり。

神の司祭首よ、爾は己の無てんなる手を以て苦しめる者に不死の糧を賜へり。嗚呼奇跡や、天上に暮れざる光に預る者にして、爾は逝世の後に七十年以上を経て、地上にも神聖なる機密の聖務者と現る、此を以て爾の牧群に常に離れずして、爾の助に趨り附く者と偕に居るを信ぜしむ。

  生神女讃詞

眞實の教師よ、我等を眞の教に導きて、至浄なる生神童貞女と偕に、彼より全世界の救の為に生れし主に我等の救の為に祈り給へ。

  小讃詞、第四調。

てんと同名なる牧師、蒙古の諸族の傳教師、イルクツクの牧群の光榮及び装飾を我等衆信者は愛を以て崇め讃めん、彼は此の地の保護者にして我が霊の祈祷者なればなり。

  同讃詞

神゜父よ、爾は天使の如き度生を以て挙りて、造られざる華美を仰ぐに至れり。今天上に之を楽しみて、爾は我等の救の為に祷りて、地上に斯く爾に呼ぶを教へ給ふ、順和なる南方に發きたる百合花よ、慶べ、小ロッシヤより神に獻ぜられたる属神゜の産の初子よ、慶べ。キエフの邑の榮及び誉よ、慶べ、地上の学校に天上の智慧を教へし教師よ、慶べ。地上の王の命令の睿智なる實行者よ、慶べ、天上の王の勇毅なる軍士よ、慶べ。蒙古の諸族の正教の傳道師よ、慶べ、シビリの地に神゜品の上位の始と為りし者よ、慶べ。イルクツクの牧群の飾よ、慶べ、野の薫よ、慶べ。爾の不朽を以て一般の復活を信ぜしむる者よ、慶べ、汲み盡されぬ奇跡の泉よ、慶べ。爾に選ばれたる地の保護者よ、慶べ、我が霊の祈祷者インノケンティイよ、慶べ。

  第七歌頌頒

イルモス、太初に地を基づけ、天を言にて固めし主、我が先祖の神よ、爾は世々に崇め讃めらる。

神゜父よ、身にて弱る者は爾より強固と醫治とを受け、神゜にて悲しみ、度生の患に苦しむ者は傷感の情を以て爾の聖にして光榮なる名を呼ぶに因りて霊の慰を得たり、蓋爾は其聖者の中に奇異なるイズライリの神を榮し給へり。

てんと同名なる神゜父よ、爾の光は人々との前に盛に輝くに因りて、彼等は爾の善き行と多くの奇跡とを見て、爾を以て異能を行ふ其聖者の中に奇異なるイズライリの神を讃榮す。  聖三者讃詞

神、聖なる三者よ、爾に榮せられし役者の祈祷に因りて、我等の霊の諸病を醫し給へ、傷感の情を以て彼が爾の前に轉達するを求むる者の為に彼は熱切に祷ればなり。

  生神女讃詞

生神女よ、爾の祈祷を以て我等の智識を信に順はしめ、心と霊とを完全に守り、體を無てんに護りて、我が主イイススハリストスの降臨に至らしめ給へ。

  第八歌頌

イルモス、無原なる光榮の王、天軍の戦く主を、司祭よ、歌へ、民よ、萬世に讃め揚げよ。

克肖者よ、爾は沈淪に入らしむる闊き路を棄てて、窄き門より天國に入りたり。彼處より常に信を以て爾を呼ぶ者を眷みて、我等をも十字架の易くして軽き軛を負ふが為に堅め給へ、我等が祝讃せらるる神の安息に入らん為なり。

爾は地上に天使と均しき度生を以て醫治の恩寵を得、實に爾の牧群の守護天使と現れて、之を多種の奇跡にて勇ましく信に堅め、先祖の祝讃せらるる神の潔き承認に護り給ふ。

神゜父よ、爾に由りて霊體の諸病より救はるる者の中に爾はハリストスの馨香と現れたり。故に爾に選ばれたる邑の住民は爾の聖なる記憶を讃榮して、爾を榮せし先祖の祝讃せらるる神を崇め讃む。  生神女讃詞

我等の戦は血肉に於てするに非ず、乃首領に於てし、権柄に於てし、此の世の暗昧の世君に於てし、天空に在る凶悪の諸神゜に於てするなり。女宰よ、我等を此等に勝つ者と為し給へ、我等が無てんなる牧師の範に效ひて、悪敵の悉くの火箭を滅すを得ん為なり。

  第九歌頌

イルモス、山に於て立法者に火及び棘の中に預象せられたる、我等信者の救を為す永貞童女の産を、黙さざる歌を以て崇め讃む。

神゜父よ、爾はパワェルの如くに異邦民の使徒と為れり、故に今神を見る高きに挙げられたり。睿智なる耕作者よ、爾は彼處に在りて神が爾の植え付けて潤しし者を生長せしめんことを祈り給ふ。

奇妙なる牧師よ、爾は救の冑を取り、神゜の剣を佩びて、爾の工作の為に出でて、異教の幽暗の中に敬虔の籬を造れり。至仁なる神に其爾の手を以て我等の中に造りし事を堅むるを祈り給へ。

名及び度生の無てんなる者よ、愛を以て爾に捧ぐる讃美の歌を納れて、爾の諸徳の光線に照されたる牧群を爾の祈祷にて蔽ひ、用に合ふ時に於て爾の恩寵の保護を以て急ぎて之を助け給へ。

  生神女讃詞

ヘルワィムより尊く、セラフィムに並なく榮ゆる童貞女よ、爾の諸僕の祷を棄てずして、爾の尊きおほひを以て吾が皇帝及び我等衆を蔭ひ、無てんなる牧師及び我等の祈祷者、奇異なるインノケンティイの記憶を敬虔に尊む人々を救ひ給へ。

  光耀歌、第一調。

光榮は爾神、爾の役者の度生と言との中に我等に救の光を顕しし主に帰す。光榮は爾恩主、爾の成聖者を以て我等に敬虔と眞實との光照を耀かしし者に帰す。光榮は爾慈憐なる主、爾の顔の光の中を行きし奇跡者インノケンティイの上に奇異なる仁慈を顕しし者に帰す。

  光榮、今も、生神女讃詞。

至浄なる生神女よ、爾の産に於て光は世界に輝けり。求む、我等の智慧を爾の子を知る智識にて照し、心に神聖なる戒を愛する愛を容れ、爾の祈祷を以て我等を信と善行とに堅め給へ。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、第八調。

インノケンティイよ、爾の奇跡の大なる数は我等の神の光榮の大なるを傳ふ、彼は天に於て霊智なる軍を以て黙すなく歌頌せられ、地に於て己の聖者の霊體を以て榮せらる。光榮なる成聖者よ、彼に我等の霊の救の為に祈り給へ。

人々よ、口を一にし心を一にして、異能を行ふ神、我等の日に於て其洪恩の奇異なるを顕しし主を讃榮せん。彼は昔其聖者の奇跡を以て我等の先祖に顕しし仁慈を、今も無てんなる牧師、新なる奇跡者、シビリの地に正教を固めし者、野を美しき花の如く飾りし者の不朽を以て輝かし給へり。

神゜父よ、我が諸父が爾の光榮を我等に知らせしに非ず、奇跡者よ、我等の翁が爾の奇跡を我等に傳へしに非ず、乃我等自ら爾の無てんなる躯を蔽へる神の能、爾を以て多くの休徴奇跡を行ふ者を見たり。我等の親族及び知己は爾の恩寵の助を蒙れり、我等も敬みて之を求めて、亦豊に之を受く。

昔屡預言者に藉りて、先祖に語りし神は、末の日に於て、其子に藉りて、我等に語り、其恩寵を以て今日に至るまでも我が教導師等に籍りて、我等に語り給ふ。彼等は在世の時に我等に信と望とを教へ、逝世の後に完全にして永く堕ちざる愛の事を信ぜしむ。

  光榮、同調。

慶べよ、神゜父インノケンティイ、無てんと同名の者、教会の固、恩寵の富、数へ難き奇跡の寶蔵、司祭首等の誉、牧師等の模範、被牧者の扶助者、疎き者及び親しき者の祈祷者、イルクツクの邑の飾、爾の修道院の装飾、聖なる教会の光榮や、此が為に祷りて、神が常に之を平安に護りて、其教を盛に輝かさんことを求め給へ。

  今も、同調。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のわざわいと憂愁より救ひ給へ。

  大詠頌

大詠頌の後に聖人の讃詞、光榮、今も、生神女讃詞。

 

聖體禮儀

眞福詞は聖人の規程の第三及び第六歌頌。

  提綱、第一調。

我が口は睿智を出し、我が心の思は智識を出さん。句、萬民之を聴け、全地に居る者皆之に耳を傾けよ。使徒の誦讀はエウレイ書三百十八端。「アリルイヤ」、第一調、諸聖人は光榮に在りて祝ひ、其榻に在りて歓ぶべし。句、斯の榮は其悉くの聖人に在り。

福音經の誦讀はイオアン三十六端。

領聖詞は「義人は永く記憶せられ」。