11月21日/12月4日

至聖なる我が女宰生神女永貞童女、

            マリヤの進殿祭


小晩課

「主よ爾にぶ」に讃頌、第一調。

イオアキム及びアンナは主より許約の果を受けて、今日神の母を嘉く納れらるべき祭として殿に進め、大なる司祭長ザハリヤは祝福して之を接けたり。二次。

聖者の聖なる者は神に善く享けらるる祭として宜しきに合ひて聖所に住まん為に進められたり。諸徳に妝はれたる童女等は燭を執りて先だちて、彼を聖にせられし器として主の前に攜へたり。

神の嘉する殿の門は開かるべし、蓋萬有の王の殿及び宝座は今日光栄を以て其内に入る。イオアキムは主の親ら己の母として選びたる者を主に奉る。

  光栄、今も、第八調。

至浄なる者よ、ダワィドは、爾の事を宣べて、爾が殿に進む嘉節を預見せり、讃美たる者よ、今日地の四極は此を祭りて、爾を讃栄す。蓋爾は、生命の言の母よ、産の前に童貞女にして、産の後にも不朽の者と止まる。女宰よ、今日ザハリヤは殿に於て楽しみて爾を接け、至聖所も喜びて爾我が生命の泉を容る。故に我等も歌頌して爾に呼ぶ、我等の為に爾の子我が神に祈りて、我等に大なる憐を賜はんことを求め給へ。

  挿旬に讃頌、第二調。

天の門よ、神全能者の無てんの幕たる童貞女を至聖所に入れよ。

句、彼の伴たる童女は彼に従ひて爾の前に進めらる。

童貞女の会よ、潔き童貞女を接けて、欣ばしく燭を執りて、彼を神萬有の王の新婦として至聖所に送れ。

句、彼等は楽しみ祝ひて導かれ、王の殿に入る。

神の言の宮は至聖所に居りて、神聖なる天使より神゜霊の糧を受く。

  光栄、今も、同調。

生神女よ、三光の光は爾を光栄の殿に燃し、天の糧を爾に遣はして、爾を偉大なる者と為す。

  讃詞、第四調。

今日神の恩恵は示され、人々の救は伝へらる、童貞女は明に神の殿に現れて、預めハリストスを衆人に知らしむ。我等も声を揚げて彼に呼ばん、造物主の思慮の成就なる者よ、慶べ。

 

大晩課

第一「カフィズマ」の第一段を歌ふ。

「主よ、爾にぶ」に八句を立てて讃頌を歌ふ、第一調。

信者よ、今日我等祝ひて、聖詠と歌頌とを以て主を歌ひて、其聖にせられし幕、生ける匱、容れられぬ言を容れし者を尊まん。蓋彼は身幼くして性に超えて主の前に進めらる、大なる司祭長ザハリヤは楽しみて彼を神の居所として接く。二次。

今日ハリストス我等の神の聖なる光栄の生ける殿、独女の中に祝福せられたる潔き者は律法の殿に進めらる、聖所に居らん為なり。イオアキム及びアンナは神゜を以て彼と偕に歓び、童女の会は聖詠を歌ひ、主を讃め揚げて、彼の母を尊む。

童貞女、神の母よ、爾は預言者の宣伝、使徒の光栄、致命者の令誉、悉くの地に生るる者の更新なり、蓋我等は爾に藉りて神と和睦するを得たり。故に我等、爾の祈祷を以て救はるる者は、皆爾が主の殿に進むを尊みて、歌を以て天使と偕に爾に呼ぶ、至浄なる者よ、慶べ。

  又讃頌、第四調。

聖にして無てんなる者は聖神゜に依りて至聖所の内に入れられ、聖なる天使を以て養はる。彼親ら我が聖なる神の至聖なる殿なり、其殿に入るを以て神は一切を聖にし、躓きたる人々の性を神成し給へり。二次。

童女等は喜びて燭を執り、今日霊智の燭に先だちて、恭しく之を至聖所に送る。斯くして彼より言ひ難く輝き出でて、神゜を以て無知の暗に坐する者を照さんとする光を預め示す。

讃美たるアンナは呼べり、ザハリヤよ、神の諸預言者が神゜を以て傳へし者を楽しみて接けて、之を聖殿に入れよ、神妙に養はれん為、彼が萬有の主宰の神゜聖なる宝座と、宮と、榻及び光れる居所と為らん為なり。

  光栄、今も、第八調。

神の聘女、女宰よ、爾は生れて後、聖にせられし者として至聖所に養はれん為に主の殿に来れり。其時ガウリイルも爾至りて無てんなる者に遣されて、爾に食を進めたり。天の者は皆驚きて、聖神゜が爾の中に居るを見たり。故に至浄至潔にして天上地下に讃栄せらるる神の母よ、我等の族を救ひ給へ。

  聖入。本日の提綱。喩言三篇。

  エギペトを出づる記の読。(四十章)。

主はモイセイに告げて曰へり、正月元日に爾證詞の幕を建て、其の中に匱を置き、帷幔を以て之を蔽い、又案及び其燈臺を攜へ入り、證詞の匱の前に香を焚かん為に金の香壇を置き、帷幔を證詞の幕の門に懸け、又傅膏を取り、幕及び其中の一切の物に傅りて、此れ及び其諸の器を聖にせよ、然らば聖と為らん、又祭壇を聖にせよ、然らば祭壇は至聖と為らん。モイセイは主神イズライリの聖なる者の命ぜし如く、皆之を行へり。雲は證詞の幕を蓋いて、主の光栄幕に盈ち、モイセイ證詞の幕に入ること能わざりき。雲其上に止まり、主の光栄幕に盈ちたればなり。

  列王紀の読。(第三巻八章)。

ソロモンは主の堂を作る工を竣えて、イズライリの衆長老をシオンに集めたり、主の約匱をダワィドの城、即シオンより攜へ上らん為なり。司祭等は主の約匱と、證詞の幕と、證詞の幕に在る諸聖器とを取れり。王及び衆イズライリは匱の前に行き、司祭等は主の約匱を舁きて、其處、即堂の内殿なる至聖所の中、ヘルワィムの翼の下に置きたり。蓋ヘルワィムは其翼を匱の所の上に舒べ、且ヘルワィムは上より匱及び其聖物を蔽へり。匱の内には二の約碑、即主が約を立てし時、モイセイがホリフに於て彼處に蔵めたる者の外、何者も有らざりき。司祭等聖所より出でて後、雲主の堂に盈ち、司祭等雲の為に立ちて奉事すること能はざりき、光栄は主神全能者の堂に満ちたればなり。

  イエゼキイリの預言書の読。(四十三、四章)。

主是くの如く言ふ、八日に至りて後、司祭等は爾等の燔祭と酬恩祭とを壇の上に献げん、而して我爾等を納れん、主神は之を言ふ。彼我を引きて聖所の東に向へる外の門に返れるに、門閉されたり。主我に謂へり、此の門は閉されて開かれざらん、何人も此より入るを得ざらん。蓋主イズライリの神は此より入りたり、此れ永く閉ざされん。君は其君たるに因りて、此の内に坐して、主の前に餅を食はん、彼は門の廊の路より入り、又其路より出でん。彼又我を引きて北の門の路より堂の前に至れり。我観しに、視よ、光栄は主の堂に満ちたり。

  「リティヤ」に讃頌。(ニコミディヤのゲオルギイの作)。

我が神の至栄至大なる事に因りて、今日上天は喜び、雲は楽を雨らすべし。蓋視よ、東に向ふ門は胎荒れて果なき者より許約に循ひて生れ、神の居所の為に献ぜられて、今日無てんの礼物として殿に攜へらる。ダワィドは喜びて、琴を弾ずべし、彼が曾て、王の女は進められ、其伴たる童女は彼に従ひて王の殿に入らんと曰ひし如く、今童貞女は神の幕に進められて、聖所の内に入り給へり、此に養はれて、世の無き先に測り難く父より生れし者、我が霊の救主の居所と為らん為なり。

  第四調

今日神を容るる殿たる生神女は主の殿に攜へられ、ザハリヤは之を接く。今日至聖所は欣び、天使の会は奥密に祝ふ。彼等と偕に我等も今日祭を為して、ガウリイルに従ひて呼ばん、恩寵を蒙れる者、慶べよ、大なる憐を有つ主は爾と偕にす。

信者皆来りて、独一無てんなる者、諸預言者より伝へられ、殿に進められ、世の無き前より預定せられたる母、末の時に現れし生神女を讃め揚げん。主よ、彼の祈祷に因りて、爾の平安と大なる憐とを我等に與へ給へ。

  光栄、今も、第五調。(レオント、マイストルの作)。

喜ばしき日、最尊き祭は輝けり、蓋今日生む前にも生む後にも童貞女たる者は主の殿に攜へらる。翁ザハリヤ、前駆の父は喜び、楽しみて呼ぶ、憂ふる者の轉達者は聖殿に近づけり、聖なる者として萬有の王の居所に献ぜられん為なり。父祖イオアキムは楽しみ、アンナは喜ぶべし、三歳の牝犢の如く、無てんなる女宰を神に献げたればなり。諸の母よ、共に喜べ、童女等よ、楽しめ、胎の荒れたる者よ、共に祝へ、蓋預定せられし女王は我等の為に天の國を啓き給へり、人々よ、喜びて楽しめ。

  挿句に讃頌、第五調。

天地は喜ぶ、霊智の天たる独一無てんの童貞女が尊く育はれん為に神の家に来るを見ればなり。ザハリヤは奇として彼に呼べり、主の門よ、我爾の為に殿の門を啓く、此の内に喜びて祝へ、蓋我認め且信ず、イズライリの救は今明に顕れん、世界に大なる憐を賜ふ神言は爾より生れん。

句、彼の伴たる童女は彼に従ひて爾の前に進めらる。

誠に神聖の恩寵たるアンナは恩寵より賜はりたる潔き永貞童女を楽しみて神の殿に攜へ、小女等を招きて、燭を執りて其前に行かしめ、且曰ふ、子よ、往きて、爾を賜ひし者の為に礼物及び馨しき乳香と為れ。入るべからざる所に入りて奥秘を識れ、世界に大なる憐を賜ふイイススの為に楽しく美しき居處と為るに己を備へよ。

句、彼等は楽しみ祝ひて導かれ、王の殿に入る。

神を涵るる殿たる至聖なる童貞女は神の殿の内に進められ、少女等は今燭を執りて彼に前行す。尊栄なる親の一ぐうイオアキム及びアンナは楽しみて、造成主を生みし者を生みたるを祝ふ。至りて無てんなる者は神聖なる幕の内に喜びて廻り、天使の手に養はれて、世界に大なる憐を賜ふハリストスの母と現れたり。

  光栄、今も、第六調。(セルギイアギオポリトの作)。

今日我等信者の会は集まりて、神゜を以て祝ひ、主の殿に攜へらるる神女童貞生神女、萬有の王ハリストス神の居所として萬族の中より預め選ばれたる者を敬虔に讃め揚げん。少女等よ、燭を執り前行して、永貞童女の尊き進を崇めよ、母たる者よ、一切の憂を除き、喜びて、神の母と為りたる、世界に歓喜を得しむる者に従へ。皆喜ばしく天使と偕に恩寵を蒙れる者に慶べよと呼ばん、彼常に我等の霊の為に祈ればなり。

餅の祝福に讃詞、第四調、「今日神の恩恵は示され」。三次。(小晩課に載す)。

 

【注意】徹夜堂課を行はざる所には、大晩課に讃詞を誦すること一次。

 

早課

「主は神なり」に讃詞、第四調。「今日神の恩恵は示され」。三次。

  「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第一調。

義なるイオアキム及びアンナの果にして、体の幼き者たる我が生命の養育者は神に至聖所に献げらる、聖にせられしザハリヤは之を祝福せり、我等皆信を以て彼を神の母として讃美すべし。

  光栄、今も、同上。

  第二の誦文の後に坐誦讃詞、第四調。

潔き者よ、爾は受孕の前に神に捧げられ、地に生れし後、父母の誓約に適ひて、礼物として今彼に献ぜられたり。實に神の殿たるに、爾は幼き時より光れる燭に伴はれ、神の殿に進められて、近づき難き神聖なる光の器と現れたり。独一なる神の聘女及び永貞童女よ、爾の進殿は誠に大なり。

  光栄、今も、同上。

右、至聖なる童貞女、神の選びたる少女よ、我等爾を讃揚して、爾が主の殿に入るを尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主は大にして、我が神の城邑に、其聖山に讃揚せらる。
左、シオン山は美しき高處にして、全地の喜悦なり。
右、神の城邑よ、光榮の事は爾に於て傳へらる。
左、爾は大王の城邑なり。 我等曾て聞きし如く、今見るを得たり、 萬軍の主の城邑、我が神の城邑に於てなり。 神は之を固めて永遠に至らん。 至上者は其住所を聖にせり。 能力と美好とは其聖所に在り。 爾が選び近づけて、爾の庭に居らしむる者は福なり。 是れは主の門なり、義人等之に入らん。 女王は爾の右に立てり、 オフィルの金を妝へり。 民中の富める者は爾の顔を拝まん。 諸王の女は爾の貴嬪の中に在り。 王の女の光榮は皆内にあり、 其衣は金を繍とせり。 彼は彩服を衣て王の前に進められ、 彼の伴たる童女は彼に従ひて爾の前に進めらる、 彼等は楽しみ祝ひて導かれ、王の殿に入る。 女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ、 爾の民と爾が父の家とを忘れよ。 王は爾の美しきを慕はん。 我爾の名を萬世に誌さしめん。 神よ、我等爾の仁慈を爾の堂の中に念へり。 故に諸民爾を讃榮して永遠に迄らん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。

  多燭詞の後に坐誦讃詞、第八調。

聖詠著者ダワィドは喜ぶべし、イオアキムはアンナと偕に祝ふべし、蓋彼等より聖なる果、光れるマリヤ、神聖なる燈は出でたり。彼喜びて殿の内に進むに、ワラヒヤの子は之を見て祝福し、歓びて呼べり、全世界の奇蹟よ、慶べ。

  光栄、今も、同上。

  品第詞、第四調の第一倡和詞。

  提綱、第四調。

女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。句、我が心善言を湧き出せり。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はルカ四端。

第五十聖詠の後に「生神女の祈祷に依りて」に代へて歌ふ、光栄、第二調。

今日大なる王の生ける殿は、彼の神聖なる居所に備へられん為に、殿に入る、人々よ、楽しめ。

  今も、同上。

次ぎて「神よ、爾の大なる憐に因りて」。

  讃頌、第四調。

今日神を容るる殿たる生神女は主の殿に攜へられ、ザハリヤは之を接く。今日至聖所は欣び、天使の会は奥密に祝ふ。彼等と偕に我等も今日祭を為して、ガウリイルに従ひて呼ばん、恩寵を蒙れる者、慶べよ、大なる憐を有つ主は爾と偕にす。

  祭日の規程二篇

第一の規程、ゲオルギイの作。第四調。「イルモス」と共に八句に、「イルモス」二次、讃詞六句に。其冠詞は、女宰よ、爾言に恩寵を與へよ。

  第一歌頌

イルモス、我が口を開きて、聖神゜に満てられ、言を女王母に奉り、楽しみ祝ひ、喜びて其進殿を歌はん。

純潔なる者よ、我等爾を承け認めて睿智の宝蔵及び恩寵の竭きざる泉と為す。女宰よ、求む、爾の智慧の滴を我等に注ぎ給へ、常に爾を讃め歌はん為なり。

至浄なる者よ、爾は諸天に超ゆる殿及び宮として神の殿に入り給へり、彼の来臨の時に其神聖なる居處と為るに備へられん為なり。

生神女は恩寵の光を放ち衆人を照して、歌を以て其光明なる慶賀を讃揚せん為に之を集め給へり、来りて此に與らん。

至栄にして意念の過ぎ難き門は、神の殿の門を啓きて、今我等、共に集まりし者に、其神聖なる奇蹟を楽しまんことを勧め給ふ。

第二の祭日の規程、ワシリイの作。第一調。同じく「イルモス」と共に八句に、「イルモス」二次、讃詞六句に。

  第一歌頌

イルモス、我等皆凱歌を以て、高き手にて神妙なる奇蹟を行ひて、イズライリを救ひし神に歌はん、彼光栄を顕したればなり。

我等今日集まりて、歌を以て生神女を尊み、神霊の祭を祝はん、蓋彼は殿に於て礼物として神に献ぜらる。

我等歌を以て生神女の光栄なる進殿を歌はん、蓋彼は神の殿にして、今日預言に應ひて、最貴き礼物として殿に献ぜらる。

てんなるアンナは、母として、殿に於て最貴き礼物を神に献じて喜べり、イオアキムは彼と偕に楽しみて祝ふ。

童貞女、神の聘女よ、昔先祖ダワィドは爾を歌ひて、ハリストス王、爾が生みし後其母たるに由りて赤子として養ひし者の女と名づけたり。

齢三歳なる生神女は主に進めらる、神の司祭ザハリヤは歓びて之を接けて、殿に居らしめたり。

童女等よ、燭を執りて祝へ、諸の母よ、爾等も今日倡へ起して、ハリストス王の殿に来れる女王母を讃め歌へ。

  光栄、聖三者讃詞。

一性なる三者、父と言と聖神゜よ、我等忠信に爾を萬有の造成者として讃栄し、敬虔に爾にぶ、神よ、我等を救ひ給へ。

  今も、生神女讃詞。

至浄なる者よ、王及び神は爾の血の赤きより成りたる紅の衣を着て、出でて、其慈憐に因りて全人類を新にし給へり。

共頌、両詠隊共に、ハリストス生る、崇め讃めよ、ハリストス天よりす、迎へよ、ハリストス地に在り、上れよ、地挙りて主に歌へよ、人々よ、楽しみて讃め揚げよ、彼光栄を顕したればなり。

(此の共頌は是の日より一月十四日に至るまで之を歌ふ)。

  第三歌頌

イルモス、生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讃め歌ふ者の霊を固め、彼等に爾の尊き進殿に依りて栄冠を冠らしめ給へ。

殿は今聘女の最美しき居處、童貞女の宮と顕れたり、神の生ける宮、清浄無垢にして一切の造物より光明なる者を受けたればなり。

至浄なる者よ、ダワィドは預め祭を始めて、我等と偕に楽しみ祝ひ、爾純潔なる者を光明に妝ひたる女王、殿に於て王及び神の前に立てる者と稱ふ。

婦より昔人類の中に罪は始まれり、亦婦より救贖と不朽とは生じたり、是れ今日神の殿に進めらるる生神女なり。

純潔なる者よ、天軍と衆人の会とは今日喜びて燭を執り、爾の前に行きて、爾が神の家に於て偉大なるを唱ふ。

  又

イルモス、第二の天を水の上に固め、地を水に基づけし全能のハリストス神よ、願はくは我が心は爾の旨に固められん。

我等祭を愛する者は祭を為し、神゜を以て共に喜びて、今日王の女、我が神の母の聖なる祭を祝はん。

イオアキムよ、今日喜べ、アンナよ、神゜を以て楽しめ、爾等は其生みたる三歳の少女を貴くして至りて無てんなる牝犢として主に進むればなり。

身にて三歳なる生神女マリヤ、神の居所たる者は、聖殿に攜へられ、童女等は燭を執りて之に先だつ。

神の無てんなる牝羔、潔き雌鴿、神を涵れし幕、光栄の聖所は聖なる幕に居らんことを擇べり。

身にて三歳、霊にて多歳なる、天より最宏く、天軍より最高き神の聘女は歌を以て讃栄せらるべし。

生神女が殿の入るべからざる所に入るを祝ひて、我等も今日心中に燭を執り、楽しみて童女等と偕に殿に近づかん。

神の司祭等よ、恩寵を以て義を衣、厳に出で迎へて、王及び神の女の為に至聖所に入る門を啓けよ。  光栄、聖三者讃詞。

父は光、其子は光、撫恤者なる神゜は光なり、聖三者は一の日よりするが如く輝きて、我等の霊を神妙に照して守り給ふ。  今も、生神女讃詞。

潔き者よ、諸預言者は爾を聖品の櫃、金の香爐、燈臺、及び案として伝へたり、我等も爾を神を涵れし幕として讃め歌ふ。

共頌、世の無き前に分離なく父より生れし子、末の日に種なく童貞女より身を受けしハリストス神に呼ばん、我等の角を高くせし主よ、爾は聖なり。

  坐誦讃詞、第四調。

ダワィドよ、今の祭は、爾が昔聖詠の書に、神の女及び童貞女として歌ひて、彼の伴たる童女は彼に従ひて、奥密に王の前に進めらると云ひて、示しし者の何なるを陳べて、之を全世界の神妙なる祭と為して、呼ばしめよ、生神女、救の轉達者は、我等の前に立ち給へり。

  光栄、今も、同調。

てんなる牝羔及び光明の宮たる生神女マリヤは楽しみて厳に神の家に進めらる、神の天使等は忠信に之を送り、衆信者は恒に之を讃美し、感謝の心を抱きて、絶えず大なる声を以て之に歌ふ、純潔なる者よ、爾は我等の光栄及び拯救なり。

  第四歌頌

イルモス、預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察してべり、主よ、光栄は爾の力に帰す。

神の家は今日過られぬ門を受けて、悉くの律法の奉事を絶つ、地に居る者に誠に真實は顕れたりとべばなり。

昔アウワクムが預見せし樹蔭繁き山、殿の内の入るべからざる所に入りたるを預言せし者は諸徳の花を發きて、地の極を覆ふ。

全地は至栄にして天然に超ゆる奇妙なる事を覯るべし、如何に童貞女は天使より糧を受けて、己の上に神の摂理の徴を顕す。

王及び神の純潔なる聘女よ、爾は殿と宮、及び生ける天と現れて、今日律法の殿に献ぜらる、神の為に守られん為なり。

  又

イルモス、預言者アウワクムよ、爾は神゜にて言が人体を取るを預見して、伝へて呼べり、年の邇づく時爾は識られん、期の届る時爾は現れん、主よ、光栄は爾の力に帰す。

預言者イサイヤヨ、我等に宣べよ、此の孕みたる童貞女は誰ぞ、此はイウダの根より出でたる枝、ダワィド王より生れたる者、聖なる種の光栄なる果なり。

童女等よ、手に燭を執りて、今神の殿に入る潔き生神女の進行を我等と偕に祝ひて、倡へ起して讃歌を献げよ。

イオアキム及びアンナよ、今楽しめ、爾等は神ハリストス萬有の王の将来の潔き母、爾等より生れし者を、三歳の牝犢の如く、殿に攜へて主に奉る。

尊き童貞女よ、爾は諸聖の至聖なる者として、聖殿に住はんことを望みて、之に居り、天使等と對談し、生命の養育者にして、奇妙に天より糧を受け給ふ。

イオアキム及びアンナは望に踰えて至浄なる童貞女を生み、敬虔にして之を神に奉らんことを約せしに、今之を行ひて、其生みし者を礼物として神の家に攜ふ。

至浄なる者よ、昔アアロンの杖は華を發きて、爾が神妙なる産を預象せり、是れ爾が種なく孕み、不朽に止まり、産みて後にも童貞女と現れて、萬有の神たる赤子を養はん事なり。

諸の童貞女は童貞女に、諸の母は母に、敬みて趨り附きて、生れし者を無てんの礼物として、生みし者を其果を神に献ぐる者として、我等と偕に尊め、斯く我等皆楽しみて祭らん。

  光栄、聖三者讃詞。

位にて三者、性にて惟一者たる真の神、天使と天使首との上品が造物の主宰として歌ひ、人々が信を以て常に伏拝する者を我等敬虔に讃栄す。

  今も、生神女讃詞。

至聖至潔なる者よ、身にて生みし爾の子及び神に、爾の諸僕を悪魔の多法の網及び襲ふ所の悉くの誘惑より救はんことを常に祈り給へ。

共頌、イエッセイの根より生ぜし枝及び其花なる讃美たるハリストスよ、爾は童貞女より出で給へり。形なき者且神よ、爾は夫に適かざる者より身を取りて、樹蔭繁き山より来給へり。主よ、光栄は爾の力に帰す。

  第五歌頌

イルモス、萬物は爾が尊き進殿に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至浄き殿にして、神の殿の内に入りて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。至浄なる童貞女は、至栄の聖物、聖にせられし献物の如く、今日神の殿に進められて、萬有の王、惟一の吾が神の居處として守らる、彼の親ら知るが如し。

至浄なる者よ、昔ザハリヤは爾の霊の美しきを洞察して、信を以てべり、爾は拯救、爾は衆人の歓喜、爾は我等の喚起なり、爾に藉りて近づかれぬ者は我の為に近づかるる者と現れん。

純潔なる者よ、爾の奇蹟は何ぞ悟り難き、爾の誕生は奇妙なり、爾の生長の状は奇妙なり、神の聘女よ、爾に於て一切奇妙にして至栄なり、人々の為に測り難し。

神の聘女よ、爾は多くの光ある燭臺の如く、今日主の家に輝けり、潔浄にして讃美たる生神女よ、爾は我等をも爾の奇蹟の尊き賜にて照し給ふ。

  又

イルモス、人を愛する主宰、ハリストス我が神よ、朝に爾が誡の定めの事を考ふる我等を永遠の明なる光にて照し給へ。

我等趨り附きて神の母を讃栄する正教の信者は皆光を持つべし、蓋彼は今日喜ばるる祭として主に献げらる。

女宰よ、今日先祖は楽しむべし、爾を生みし者も爾の父と偕に喜ぶべし、蓋彼等の果は主に献げらる。

我等皆信を以て祭りて、大名にして至栄なる無てんの牝犢、身にて神聖なる犢を生みし者を讃め歌はん。

潔き童貞女よ、今日神の家に於て爾が聖神゜に聘定せらるる事及び智慧に超ゆる爾の懐孕の前兆は徴さる。

我が神の光栄の門は啓かれて、婚姻を識らざる神の母を三歳の無てんなる牝犢として受くべし。

我等は最尊くして樹蔭繁き山たる永貞童女、神の母と為りし者を讃め歌はん、蓋彼は光にて地の涯を照し給へり。

  光栄、聖三者讃詞。

無原にして永在なる惟一の神、性の分れざる、光栄の同尊なる三者を我等崇め讃めて伏し拝まん。  今も、生神女讃詞。

神の母よ、我等危難の時に、爾の祈祷を穏なる湊、及び破られざるかきとして獲て、常にわざわいと憂愁とを免る。

共頌、和平の神、仁慈の父よ、爾我等に和平を賜ふ爾の大なる議事の使者を遣はし給へり。故に我等神を知る光に導かれて、夜過ぎて朝に爾人を愛する主を崇め讃む。

  第六歌頌

イルモス、神の信者よ、来りて、神の母の此の神妙なる至りて尊き祭を祝ひ、手を拍ちて、彼より生れし神を讃栄せん。

言を以て萬物を持つ者は義人の祈祷を聆けり、故に慈憐なる主として、彼等を産まざる疾より解きて、歓喜の原因を賜へり。

主は諸民に其救を示さんと欲して、今人々より婚姻に與らざる者を和睦及び改新の徴として受け給へり。

至浄なる者よ、爾は神の言ひ難き摂理の宝を蔵めたる恩寵の家として、殿に在りて不朽の楽に與り給へり。

神の聘女よ、殿は爾を王の冠の如く受けて、照されて、是より更に善き事に己を備へたり、爾に於て預言の應へるを見たればなり。

  又

イルモス、我預言者イオナに效ひてぶ、仁慈なる者よ、我が生命を淪滅より援けよ。世界の救主よ、我光栄は爾に帰すとぶ者を救ひ給へ。

信者よ、我等属神゜の祭を祝ひて、敬虔に神の母を崇め歌はん、彼は天の霊智者よりも聖なればなり。

信者よ、我等属神゜の詩賦を以て光の母を崇め讃めん、彼は今日神の殿に進む者として我等に現れたればなり。

汚なき牝羔、浄き雌鴿は神の家に住はん為に攜へられたり、無てんの者として、神の母と為らん為に預め定められたればなり。

神の殿、天の幕、黒暗に居る我等に其中より光を輝かしし者は、律法の殿に入り給ふ。

身にて幼孩、霊にて全備なる者、聖なるは神の家に入り給ふ、神聖なる恩寵にて養はれん為なり。

讃美たるハリストス神の母よ、爾の祈祷を以て我等爾に趨り附く者を凡の誘惑と霊の危険より脱れしめ給へ。

  光栄、聖三者讃詞。

父と子と義なる神゜、三位の惟一者、分れざる三者よ、爾の神聖なる権柄に伏拝する者を憐み給へ。

  今も、生神女讃詞。

至浄なる神の母よ、萬有の容るる能はざる者は爾の腹に容れられて、神と人との二性を有つ者として爾より出で給へり。

共頌、海の猛獣はイオナを受けしまま産児の如く腹より出せり。童貞女に入りて身を受けし言は其傷なきを守りて通れり、蓋自ら壊に従はず、生みし者をもそこなはずして守り給へり。

  小讃詞、第四調。

救世主の最浄き殿、至りて貴き宮、神の光栄の聖にせられし宝蔵たる童貞女は今日主の家に入れられて、聖神゜の恩寵を共に入らしむ。神の使等は彼を歌ひて曰ふ、此れ天の幕なり。

  同讃詞

我は神の言ひ難き神妙なる秘密の恩寵が童貞女に於て現れ、且明に成就せらるるを見て喜ぶ。惟何如にして選ばれたる潔き者は独見ゆると見えざる一切の造物より上なる者と現れしか、此の奇妙なる言ひ難き法を悟る能はず。故に彼を讃美せんと欲して、智慧と言とに於て甚懼る、然れども毅然として伝へ、崇めて曰ふ、此れ天の幕なり。

  第七歌頌

イルモス、敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇しく践みて、喜び歌へり、讃美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

視よ、今日我等の霊と意志と智慧とを恩寵にて照す欣ばしき春は地の極に輝けり。今日生神女の祝祭を奥密に楽しむべし。

天と地、天使の軍と人々の会は今日均しく女王神の母に尊栄を献りてぶべし、喜と救とは殿に入れらる。

至浄にして恒に讃美たる童貞女母よ、爾が神の殿に入りし時、文の律法は過ぎ去りて、影の如く消え、恩寵の光線は輝けり。

純潔なる者よ、天と地と地獄とは爾の産を造物主及び神として、之に順ひ、悉くの地上の者の舌は主我等の霊の救者現れたりと承け認む。

  又

イルモス、救世主よ、爐は露を注がれ、少者は楽しみて歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

我等祭を愛する者は今日祝ひて、至浄なる女宰を讃め歌ひ、宜しきに合ひてイオアキム及びアンナを尊まん。

ダワィドよ、聖神゜に藉りて預言して曰へ、童女等は爾に従ひて進められ、爾女王母の前に殿に進められん。

神の母のノ至聖所に入れらるる事を天使の軍は喜び、義人等の霊は楽しめり。

身にてハリストス神の母と為りし者は天の糧を受けて、智慧と恩寵とに益進みたり。

てんなるマリヤは聖にせられし器の如く、神の殿に在して、体と霊とを以て喜び給へり。

至浄なる者よ、爾の貞潔の父母は爾を攜へて殿の内所に入れたり、奇妙に養はれて、ハリストス神の居所と為らん為なり。

  光栄、聖三者讃詞。

我等は分れざる三者を崇め讃め、父と偕に言と至聖神゜とを惟一の神性として讃め歌はん。

  今も、生神女讃詞。

神の母よ、爾が生みし主に其本性の慈憐なるに因りて、爾を歌ふ者の霊を救はんことを祈り給へ。

共頌、偕に敬虔に養はれし少者は、不虔の命を顧みずして、火の嚇を恐れず、乃焔の中に立ちて歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

  第八歌頌

イルモス、少女、浄き童貞女よ、聴け、ガウリイルは至上者の原始の真の旨を伝へん、神を受けん為に己を備へよ、蓋爾に藉りて容れ難き者は死すべき者と偕に居り給へり。故に我喜びてぶ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

昔アンナは至浄き殿を神の家に攜へ来りて、信を以て司祭に呼びて曰へり、神より我に賜はりし子を今受けて、爾の造物主の殿に入れ、且喜びて彼に歌へ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

昔ザハリヤは神゜に藉りて洞察してアンナに謂へり、爾は生命の真の母、神の諸預言者が明に生神女と伝へし者を攜へ来れり、如何にして殿は之を容れん、故に我奇としてぶ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

アンナ之に對へて曰へり、我は神の婢なり、求む、信と祈祷とを以て我が産苦の果を受けよ、受けて後生れし者を之に賜ひし主に献げよ、故に我高声にぶ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

司祭之に謂へり、此れ誠に法に合ふ事なり、第我は神の家に進めらるる者の神妙に恩寵を以て聖所に勝れるを見て、甚異しむ、故に喜びてぶ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

アンナ之に謂へり、我爾の言ふ所を聴きて勇めり、蓋爾は童貞女の事に於て明に伝へし所を聖神゜に藉りて悟れり、故に至浄なる者を爾の造物主の殿に接けて、喜びて彼に歌へ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

司祭呼びて曰へり、光明なる燈、最大なる禧を殿に輝かす者は我等の為に燃されたり、諸預言者の霊は、神の家に行はるる至栄の事を観て、我と偕に喜びて、常にぶべし、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

  又

イルモス、諸天使と悉くの軍とが造物者及び主として畏るる者を、司祭よ、歌頌し、少者よ、讃栄し、人々よ、崇めて萬世に讃め揚げよ。

今日イオアキムは欣然として楽しみ、無てんなるアンナは許約に依りて彼に賜はりたる聖女を祭として主神に奉る。

聖なるダワィド及びイエッセイは崇められ、イウダは尊まる、蓋彼等の根より果として潔き童貞女、永在の神を生みし者は生ひ出でたり。

至浄にして生ける幕たるマリヤは今日神の家に進められ、ザハリヤは之を聖にせられたる主の宝として手に受く。

我等信者は司祭等の手にて祝福せられたる真の童貞女及び神の母を、救の門、神゜霊の山、生ける梯として尊まん。

諸預言者、ハリストスの使徒と致命者、天使の軍及び凡そ地に生るる者は、歌を以て、潔き童貞女を至上者の祝福せられたる母として尊まん。

てんなる潔き者よ、神妙に爾を生みし者は爾を浄き祭として殿に献げたり、爾は奇妙にして入るべからざる神の聖所に入りて住へり、言の居所に備へられん為なり。

我等主なる父と子と聖神゜とを崇め讃めん。

  聖三者讃詞

聖三なる父と子と聖神゜、分れざる惟一者、一切の造物を其手に持ち給ふ独一の神は萬世に歌はるべし。

  今も、生神女讃詞。

始なき言は身にて始められ、其嘉せし如く神及び人として童貞少女より生れて、其極めて大なる仁慈に因りて、我等曩に陥りし者を改め造り給ふ。

我等主を讃め、崇め、伏し拝みて、世々に歌ひ讃めん。

共頌、露を出す爐は天然に超ゆる奇蹟の象を顕せり、蓋受けし所の少者を焚かず、神性の火が入りし所の童貞女の腹を焚かざる如し。故に我等歌ひて呼ばん、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

第九歌頌に「ヘルワィムより尊く」を歌はずして祭日の附唱を歌ふ、諸天使は至浄なる者の進殿を観て驚けり、如何にして童貞女は至聖所に入りたる。次ぎて「イルモス」、「聖にせられざる者の手は」。左列の詠隊同じく此の附唱及び「イルモス」を歌ふ。毎讃詞にも祭日の附唱、両詠隊更之を歌ふ。

  第九歌頌

イルモス、聖にせられざる者の手は敢て神の生ける約櫃に觸るべからず、唯信者の口は黙さずして天使の生神女に告げし言を歌ひ、喜びてぶべし、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。二次。

諸天使は純潔なる者の進殿を覩て驚けり、如何にして光栄を以て至聖所に入りたる。

潔き生神女よ、爾は霊の輝ける潔浄を有ち、天より神の恩寵に満たされし者なるに因りて、常に永在の光を以て人々を照して、楽しみてばしむ、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

諸天使は童貞女の進殿を覩て驚けり、如何にして神妙に至聖所に入りたる。

潔き生神女よ、爾に於ける奇蹟は言の力に超ゆ、蓋我爾の身を言ひ難く罪の汚に與らざる者と承け認む。故に慎みて爾にぶ、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

諸天使及び人々よ、童貞女の進殿を尊まん、光栄を以て至聖所に入りたればなり。

潔き者よ、律法は奇妙に爾を預象して、幕と神聖なる壺、奇異なる約櫃と帷と杖、毀たれぬ殿及び神の門と為せり。故に訓へて爾に向ひてばしむ、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

諸天使は童貞女の進殿を覩て驚けり、如何にして神の悦に合ひて至聖所に入りたる。

ダワィドは爾が妝はれて神の右に立てるを見、徳の美しきに因りて爾を王の女と名づけ、歌を以て爾を讃栄せり、故に預言してべり、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

諸天使よ、諸聖人と偕に慶賀せよ、童女等よ、偕に歌頌せよ、神女が至聖所に入りたればなり。

ソロモンは爾が神を受けしを預見して、爾を王の榻、封印せられし活ける泉と名づけたり、此の泉より我等の為に浄き水は流れて、我等に信を以てばしむ、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

諸天使及び人々よ、歌を以て童貞女を讃め揚げん、神に宜しき所の如く至聖所に入りたればなり。

生神女よ、爾は我が霊に爾の恩賜の平安を賚ひ、職として爾を尊む者に生命を流し、親ら防ぎ、覆ひ、護りて、爾に向ひてばしむ、潔き童貞女よ、爾は實に萬衆に超えたり。

次ぎて右列の詠隊第二の規程の祭日の附唱を歌ふ、我が霊よ、主の殿に進められて、司祭等の手にて祝福せられし者を讃め揚げよ。後「イルモス」、「光を放つ雲」左列の詠隊も此の附唱及び「イルモス」を歌ふ。諸讃詞の前に同じく此の附唱を用いる。

  又

イルモス、光を放つ雲、萬有の主が雨の天より羊の毛に降るが如く降り、始なき者が身を取りて我等の為に人と為りし所以の者を、我等皆我が神の潔き母として崇め讃む。二次。

附唱 我が霊よ、主の殿に進められて、司祭等の手にて祝福せられし者を讃め揚げよ。

義なるイオアキム及びアンナより許約の果たる神女マリヤは出でて、善くけらるる香烟の如く、身にて幼き時に聖殿に進めらる、聖なる者として聖所に住まはん為なり。

性に藉りて幼孩たり、性に超えて神の母と為りたる者を歌を以て崇め讃めん、蓋彼は義なる者の属神゜の果として、今日主にけらるる馨香の如く律法の殿に進めらる。

我等信者は天使と偕に宜しきに合ひて生神女に慶べよとばん。最美しき聘女よ、慶べ、我等無智の黒暗に坐する者に主を輝かしし光明なる雲よ、慶べ、衆人の望よ、慶べ。

諸聖の聖なる潔き神の母マリヤよ、爾の祈祷を以て、我等忠信に爾の聖なる姿の肖像を拝む者を敵の網と、凡の異端と、憂愁より脱れしめ給へ。

萬物は天使ガウリイルと偕に生神女に適ふ歌を捧げてぶ、我等を古の詛より脱れしめて、不朽に與る者と為し給ひし至りて無てんなる神の母よ、慶べ。

童貞女よ、爾はヘルワィムより大に、セラフィムより高く、諸天より宏き者と現れたり、蓋萬有の容るる能ざる者を胎内に容れて、言ひ難く我が神を生み給へり。彼に我等の為に切に祈り給へ。

  聖三者讃詞

附唱 我が霊よ、三位にして分れざる神の権柄を讃め揚げよ。

三位の性、分れざる光栄、惟一の神性に於て天にも地にも常に歌はるる離れざる三者を我等讃栄して、敬虔に父と子と聖神゜とに伏拝せん。

  生神女讃詞

我が霊よ、天軍より尊貴光栄なる童貞女、至浄なる生神女を讃め揚げよ。

童貞女、神の母よ、信を以て爾の慈憐の下に趨り附きて、敬虔に爾の子を世界の神及び主として拝む者の為に祈りて、彼等を朽壊と、艱難と、諸の誘感より救はしめ給へ。

次ぎて両詠隊列を合せて、共に第一の規程の附唱「諸天使は至浄なる者の進殿」を歌ふ、後共頌、

イルモス、我奇異にして至栄なる秘密を瞻る、洞は天と為り、童貞女はヘルワィムの宝座と為り、芻槽は容れ難きハリストス神の臥し給ふ置き所と為れり、我等歌ひて、彼を讃め揚ぐ。

  光耀歌

昔預言者の会が壺と杖と石板、及び截られざる山として預象せし神女マリヤを我等信を以て崇め讃めん、蓋彼は今日至聖所に入れらる、主の為に養はれん為なり。三次。

「凡そ呼吸ある者」に四句を立てて讃頌を歌ふ。第一調。

燭を執る童女等は欣ばしく永貞童女を送りて、神゜に藉りて真に未来の事を預言す、蓋生神女は神の殿にして、幼き時に童貞女の光栄を以て殿に入れらる。

聖なる許約の光栄の果たる生神女は誠に萬衆に超ゆる者として世に現れたり、彼は恭しく神の殿に進められ、聖神゜に護られて、彼を生みし者の誓願を全くす。

童貞女よ、爾は主の殿に於て天の糧に養はれて、世界の為に生命の糧たる言を生み給へり、爾は彼の為に選ばれたる至りて無てんなる殿として、神゜に藉りて奥密に預め定められて、神父に聘定せられたり。

神の嘉する殿の門は啓かるべし、蓋今日イオアキムは光栄を以て萬有の王の殿及び宝座を此の内に入れて、主に其親ら己の母として選びし者を奉る。

  光栄、今も、第二調。

今日至りて無てんなる童貞女は殿に進めらる、神萬有の王、我等の生命の養育者の居所と為らん為なり、今日最潔き聖者は三歳の牝犢の如く、至聖所に入れらる。我等天使に效ひて彼に呼ばん、独女の中に祝福せられたる者よ、慶べ。

  大詠頌。發放詞。

 

聖体礼儀

真福詞は、第四調の規程の第三歌頌、第一調の、第六歌頌、共に八句に。聖入の後に祭日の讃詞。光栄、今も、小讃詞。

  提綱、第三調、生神女の歌。

我が霊は主を崇め、我が神゜は神我が救主を悦べり。句、蓋其婢の卑しきを顧みたり、今より後萬世我を福なりと謂はん。使徒の誦読は。エウレイ書三百二十端。「アリルィヤ」、第八調、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。

  福音經の誦読はルカ五十四端。

領聖詞、我救の爵を受けて、主の名をばん。「アリルイヤ」。三次。

本祭日若し主日に当らば、晩課、早課、及び聖体礼儀の奉事式皆八月二十八日の如し。第七百九十七頁を看よ。唯共頌には、「ハリストス生る、崇め讃めよ」。