8月1日/14日

尊貴にして生命を施す十字架の出行の祭日

又マッカワェイの七兄弟の聖教命者其母ソロモニヤ及び其師エレアザルの記憶(其奉事は月課經に載す)


晩課

常例の「カフィズマ」。

「主よ、爾にぶ」に讃頌、六句を立つ。十字架の三、及び聖人等の三。

  十字架の讃頌、第四調。

今日信者の敬虔なる大数は喜ぶ、蓋天の十字架は四極に現れて、近づき難き光を以て穹蒼を輝かし、空気を照し、地の面を飾る。ハリストスの教會は属神゜の詩賦を歌ひて、上より此を守る神聖にして霊妙なる十字架を尊みて奉事す。我等は其の力に堅められて、主宰に就きて呼ぶ、世界を平安にし、我等の霊を光照し給へり。

造物は歓びて祝ふべし、蓋今日十字架は天より四極に輝きて、地上を照し、散らされたる者を集む。今日人々は天使の品位と偕に楽しむ、蓋分を為す隔は十字架に由りて毀たれて、皆一に合せられたり。十字架は日よりも光明にして、恩寵を以て萬物を輝かし、熱信に之を尊む者を照して救ふ。

ハリストス王の尊き帝笏として世界に現れて、其末期を示さんとする神聖なる十字架は日の光よりも明に四極に輝く。此は地獄を虜にし、敵を斃し、悪鬼の倣慢を全く滅して、人類を地獄より引き出せり。此は今救世主の復活を示して、世界を平安にし、我等の霊を光照し給へと、呼ぶ者を救ふ。

  次に聖人等の讃頌。光榮、聖人等の。

  今も、第八調。(修士イオアンの作)。

ハリストス神よ、我等罪なる者は今日爾の尊き十字架に伏拝す。昔モイセイは己を以て之を預象して、アマリクを斃して勝ち、聖詠者ダワィドも爾の足台に伏し拝むを命じて、之を示せり。我等は不當の口を以て、爾其上に甘じて釘せられし者を歌頌して祈る、主よ、盗賊と偕に我等を爾の國に入るに勝へさせ給へ。

  挿句に八調經の讃頌。光榮、聖人等の。

  今も、第八調。

神よ、爾の預言者モイセイの言に、爾の生命の爾の目の前に懸れるを見んと言ひし所は應へり。今日十字架は挙げられて、世界は迷より釋かる。今日ハリストスの復活は新にせられて、地の四極は喜び、ダワィドの如く大聲の釟を以て歌を爾に奉りて言ふ、神よ、爾は救を地の中に作せりと、此れ十字架及び復活、爾人を愛する主が我等を救ひし所の者なり。全能の主よ.光榮は爾に帰す。

  聖人等の讃詞。

  光栄、今も、十字架の讃詞、第一調。

主よ、爾の民を救ひ、爾の業に福を降せ、我が皇帝に敵に勝たしめ、爾の十字架にて爾の住所を守り給へ。

 

早課

「主は神なり」に十字架の讃詞、二次。光榮、致命者の。今も、十字架の。常例の「カフィズマ」。八調經の坐誦讃詞。并に誦讀。規程は八調の一、四句に十字架の、六句に、第六調、及び致命者の、四句に、第八調。若し此の祭「スポタ」に當り、而してハリストス或は生神女の堂ならば本堂の規程を歌ふ、「イルモス」と共に四句に、次に十字架の、六句に、及び聖人等の、四句に。

共頌、「モイセイは杖を以て十字架の縦」。

十字架の規程、第六調。其冠詞は、信者の救たる十字架に伏拝す。

  第一歌頌

イルモス、イズライリは陸の如く淵を踏み渡り、追い詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。

我信者の救なる十字架に伏拝し、熱心に之に接吻し、之を抱きて呼ぶ、ハリストスの至福なる木よ、祈る、我が霊と智慧とを照し給へ。

諸慾と悪鬼とに勝つ十字架の記號は今日現れたり。故に我等衆信者は欣ばしく霊を照して、今之に接吻す。

尊き十字架は光を放ち、今日信を以て之に伏拝する者を照して、我等の霊と體とを聖にす。

生命を施す十字架は此處に見られて、諸恩の光線を放つ。我等之に就きて、光照と喜悦、赦罪と救贖を受けて、讃美を主に奉らん。

  生神女讃詞

至聖なる生神女、身にてハリストス我等の為に甘じて十字架に苦を受けし主を生みし者よ、謹みて爾を讃揚する者を爾の祈祷を以て救ひ給へ。

  次に致命者の規程

共頌、モイセイは杖を以て十字架の縦を象りて、徒歩にて行けるイズライリの為に紅の海を撃ち分ち、ファラオンの兵車に向ひては、勝たれぬ武器の横を記して、海を撃ち合せたり。故に我等ハリストス吾が神に歌はん、彼光榮を顕したればなり。

  第三歌頌

イルモス、爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。

昔剣は始めて造られしアダムの犯罪に因りて生命の福たる樹を護らん為に置かれたり、十字架は之に往く途を啓けり。

我等衆は目と面、霊と心を以て生命を施すハリストスの至聖なる十字架に伏拝す、蓋此を以て全世界は聖にせらる。

我等衆至聖なる十字架の木に伏拝して、敬畏を以て之に接吻する者は、聖書に言へる如く、神の殿及び彼の嗣たるなり。

十字架よ、我等信を以て爾の力に祈る者は爾を歌頌す、我等爾を歌ふ者を敵の網より脱して、衆人の救の湊に向はしめ給へ。  生神女讃詞

爾より先に、又世々の先に母なく神父より生れし子は、爾童貞女にして之を生めり。彼は身を以て十字架に釘せられて、罪を犯しし者を救ひ給ふ。

共頌、杖は秘密の預象として受けらる、蓋芽を出すに因りて司祭を指し示せり。嘗て實を結ばざる教會にも今十字架の木は華さきて、其権力及び堅固と為れり。

  聖人等の小讃詞、同讃詞、及び坐誦讃詞。

  光榮、今も、十字架の坐誦讃詞、第六調。

主よ、爾の十字架は聖にせられて、罪の中に弱りたる者の為に醫治と為る、故に我等爾に伏拝す、我等を憐み給へ。

  第四歌頌

イルモス、尊き教會は浄き心より主の為に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。

全地は歓喜を注ぐべし、林の諸木は楽しむべし、蓋今日四極に輝ける最尊き十字架にて聖にせられたり。

本死を致す器にして、世界に生命を施す者と現れ、敵に勝たれぬ武器と為りし至榮なる十字架よ、我等の心を照し給へ。

爾は神聖なる勝利、爾は我等の救の縁由、爾は信者の佑助及び神聖なる祭なり。嗚呼最尊き十字架よ、爾を歌ふ者を聖にせよ。

天は全地と共に楽しみ、苦難者、致命者、諸使徒、義人等の霊は今欣然として悦ぶ。蓋此處に見らるる生命を施す木は恩寵を以て衆信者を聖にして、之を救ふ。  生神女讃詞

童貞女母マリヤよ、爾は實に生神女と現れ、實に至上者の子、十字架に手を舒べて、世界を召し給ひし者を生み給へり。

共頌、主よ、我爾が摂理の秘密を聆き、爾の作為を悟り、爾の神性を讃栄せり。

  第五歌頌

イルモス、至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈祷を奉る者の霊を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。

我等歓喜を以て諸聖堂及び諸邑に安置せられたる此の至福なる十字架を挙げて伏拝せん、債の赦を受けん為なり。

今黒暗の魁たる凶悪の蛇は殺さる、神聖なる王の尊き帝笏たる生命を施す十字架の放てる光に堪へざればなり。

主の十字架は光る星の如く、光明なる眞珠の如く、輝く日の如く、地の四極を照す、我等之に接吻す。

諸氏よ、呼べ、諸族よ、歌頌祝讃して、今安置したる十字架の敗られぬ保固を賜ひし神に歌へ。我等衆信者は之に因りて諸福を受けて喜ぶ。

  生神女讃詞

潔き者よ、我等衆信者は爾を救の縁由と知りて、爾を讃揚す。蓋爾は永在の者を身にて生み給へり、彼は甘じて我等の為に十字架に釘せられたり。

共頌、嗚呼ハリストス王及び主が懸りたる木は三重に福なる哉。木を以て誘ひし者は爾に誘はれて墜ちたり、神我が霊に平安を賜ふ者は身にて爾の上に釘せられしに因る。

  第六歌頌

イルモス、誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を観て、爾の穏なる港に着きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。

神聖なる器とし、明なる燈として、今日諸聖堂、諸聖殿、及び諸邑に安置せらるる十字架を見て、之を歌頌せん。

死は殺され、朽壊は滅され、悪鬼の群は逃ぐ、今日勝利を與ふる畏るべきハリストスの十字架の安置せらるるを見て、敢て之に觸るるを得ざればなり。

我等は爾神、主、及び王を崇め讃む、爾我等に壊られぬ垣として十字架を賜ひしに因る。我等今喜を以て之に接吻して、諸難を免る。

  生神女讃詞

原母はエデムに於て食に因りて蛇の毒を塗られたり、童貞女は生命の首を生みて、世界に不朽と復活とを流し給へり。

共頌、イオナは海の猛獣の腹の中に手を十字形に伸べて、明に救を施す苦を象れり、三日の後に出でて、身にて釘うたれ、三日目の復生を以て世界を照ししハリストス神の天然に超ゆる復活を預象せり。

  小讃詞、第四調。

甘じて十字架に挙げられしハリストス神よ、爾が同名の新なる住處に爾の慈憐を賜へ。爾の力を以て我が皇帝を楽しましめて、彼に敵に勝たしめ給へ、彼は爾の援助として平安の武器、勝たれぬ旗を有てばなり。

  同讃詞

第三重の天に楽園に挙げられて、言ひ難き神聖なる言、人の舌を以て語る能はざる所を聞きし者は、何をかガラティヤ人に達して書する、書を愛する者の讀みて知れるが如し、曰く、我に在りては唯主の十字架、主が其上に苦を受けて諸慾を殺しし者の外に誇る所なしと。我等衆も此の主の十字架を堅く有ちて誇と為すべし、蓋此は我等の為に救の木なり、平安の武器、勝たれぬ旗なり。

  第七歌頌

イルモス、天使は敬虔なる少者の為に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を焼く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

信者よ、救の木、至聖なる十字架の安置せられたるを見て、伏拝せん、天使の衆軍も之を尊む、是れ我等の為に成聖と生命とを施せばなり。

生命を賜ふ主ハリストスの至聖なる十字架は勝利を施す者と現れて、悪鬼の大数を逐ひ、我等の皇帝を諸敵に勝つ者と為す。

我爾に生ける者に於けるが如く俯伏して呼ぶ、我が至聖なる十字架よ、爾我が霊と智慧、耳と目、唇と舌、及び呼吸を光照して、ハリストスの國の途に向はしめ給へ。

ハリストスよ、我等爾の権柄を歌頌讃榮し、之に伏拝して、崇め讃む。蓋爾は我等爾の諸僕に、盡されぬ楽、及び我が霊體の守護として、爾の神聖なる十字架を賜へり。  生神女讃詞

爐は爾の産を預象して三人の少者を焼かざりき。蓋神聖なる火は爾を焼かずして、爾の内に入りて、衆に歌はしむ、吾が先祖の神は崇め讃めらる。

共頌、不虔なる苛虐者の恐嚇と聞くに堪へざる神に於けるそしりとを吐く無智なる命令は民を擾せども、三人の少者は残忍の怒と滅亡の火とを懼れずして、露を送る風に涼しくせらるる焔の中に在りて歌へり、讃栄せらるる先祖と我等との神よ、爾は崇め讃めらる。

  第八歌頌

イルモス、天よ、畏れて戦け、地の基は動くべし、蓋視よ、至高きに居る者は死者に加へられ、小き柩に置かる。少者よ、彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

主よ、昔イアコフは其手を交へて、十字形に孫の上に按きて、之に祝福する時、爾の十字架を預象して、諸民に恩寵を知らしめたり。少者よ、主を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、彼を世々に尊み崇めよ。

ハリストスよ、爾の定制は測り難く、仁慈は言ひ難き哉、爾は肉體を取りて、之を苦に委ね、死を受けて、人々を詛より釋き、十字架に釘せられて、之を世々に不朽の泉と為し給へり。

我等は今日神聖なる勝利、生命の縁由、迷惑の滅亡.悪鬼の恐懼、諸敵の防禦、諸民と諸王との保護たる主の至聖なる十字架を讃め揚げん。

  生神女讃詞

童貞女はハリストスが葦を以て其首を撃たれ、釘を以て十字架に著けられ、戈を以て不朽の脇を刺され、膽を嘗むるを見て呼べり、美善なる言、人の諸子より至りて美しき者よ、爾の美麗は何にか在る。

共頌、聖三者と同数なる少者よ、神父造物主を崇め讃め、降りて火を露に變ぜし言を讃め歌ひ、萬有に生命を施す至聖神゜を世々に尊み崇めよ。

  第九歌頌

イルモス、天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至浄の者に藉りて人體を取りし言は人々に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讃め揚ぐ。

我等は神の誡に背き、其犯罪に由りて朽壊に服したり、故に死は人々の中に来れり。我等が今日接吻するハリストスの勝利の十字架に由りて不死は榮えたり。

視よ、至聖なる木、信者の堅き倚頼、詛の解脱、人々の喜悦、黒暗の魁の滅亡なる者は安置せられたり。信者よ、楽しみて之に伏拝せん。

愛すべき木は我等の為に祝福の始、信者の固、其垣及び堅固なる保護、詛の解脱、勝たれぬ武器と現れたり。主よ、之に伏拝する我等を光照成聖し給へ。

  生神女讃詞

成聖の殿及び門、神の寶座、光る雲及び燈、恩寵のひつなる至りて潔き者よ、謹みて爾の獨生の子の尊き十字架に伏拝する者を蔽ひて護り給へ。

共頌、生神女よ、爾は奥密なる楽園、耕作せられずしてハリストスを生育せし者なり、彼は地上に生命を施す十字架の木を植え給へり、故に今之を挙ぐる時、我等之を拝みて、爾を崇め讃む。

  光耀歌は八調經の。光榮、致命者の。

  今も、十字架の。

十字架は全世界の守護、十字架は教會の装飾、十字架は諸王の権柄、十字架は信者の保固、十字架は天使の光榮、及び悪魔の苦悩なり。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、六句を立つ。十字架の三、第一調。

尊き十字架は疑なき信を以て之に伏拝する衆の為に天に適く路を備へ、此の上に釘せられし主は愛を以て之を歌ふ者を無形なる軍の品位に合せ給ふ。

我等信を以て尊き十字架に伏拝して、此の上に釘せられし主宰を歌はん。其の指麾に因りて口と霊とを浄め、其霊智なる光に照されて、彼を讃め揚げん。

モイセイは昔十字架の形を記して、苦き水を甘くして、イズライリを助けたり。我等衆信者は謹みて奥密に此を我が心に畫して、常に其力に因りて救はる。

  聖人等の讃頌三。光榮、聖人等の。

  今も、十字架の。第四調。

温柔なるダワィドを助けて、異邦人に勝たしめし主よ。我等の信なる皇帝を佑けて、十字架の武器を以て我が諸敵を斃し給へ。仁慈なる者よ、我等の上に爾の古の慈憐を現して、衆に爾は實に神にして、我等が爾を恃みて勝つことを知らしめ給へ、我等に大なる憐を賜はんことを常に祈る爾の至浄なる母の祈祷に因りてなり。

大詠頌、諧和の聲を以て緩唱す。

此の時聖寶座に安置せる福音經は已に起して、上位に立てられ、其の處に盂に載せたる尊貴なる十字架は已に安置せられて、祭服を全装せる司祭は香爐を執り、聖寶座及び十字架の前に爐儀を行ふ、輔祭は燭を持ちて前行す。畢りて後司祭は尊貴なる十字架を盂と共に首に載き、北門を過りて、至聖所より出づ、輔祭は香爐を執り、二幇堂者は燭を持ちて前行す、王門の前に至り、立ちて聖三祝文の歌ひ畢るを侯つ。畢りて後司祭高聲にして曰く、睿智、粛みて立て。詠隊讃詞を歌ふ、「主よ、爾の民を救ひ」、三次。司祭首に尊貴なる十字架を戴けるまま王門に向ひて設けたる装飾せる經案の前に来りて、其の上に十字架を安置す。是に於て尊貴なる十字架の前に伏拝すること三次、之を為す時小聲に歌ふ、主宰よ、我等爾の十字架に伏拝し、爾の聖なる復活を讃榮す。詠隊同時に大聲を以て之を歌ふこと三次。次に尊貴なる十字架に接吻し。後又一次伏拝す。(司祭の後に衆皆同じく十字架に伏拝して、之に接吻す)。

  此の時讃頌を歌ふ、第二調。

信者よ、来りて、生命を施す木に伏拝せん。昔敵は逸楽を餌にして我等より福を奪ひ、我等を神より遠ざけられし者と為せり、今ハリストス光榮の王は甘じて其上に手を舒べて、我等を初の福に挙げ給へり。信者よ、来りて、聖なる木に伏拝せん、我等は之を以て見えざる敵の首を碎くに堪ふる者と為れり。諸族諸民よ、来りて、歌を以て主の十字架を尊まん。墜ちたるアダムの全き救なる十字架よ、慶べ、虔誠なる諸王は爾を以てほこりと為す、爾の力に因りて異民を制服すればなり。我等「ハリスティアニン」は今畏を以て爾に接吻して、爾の上に釘せられし神を讃榮して曰ふ、其上に釘せられし主よ、我等を憐み給へ、爾は仁慈にして人を愛する主なればなり。

  第五調

萬物は爾萬有の造成主及び造物主の裸體にして十字架に懸れるを見て、恐懼を以て變ぜられて哭けり。日は光を晦まし、地は震ひ、磐は碎け、殿の幔は裂け、死者は墓より起き、天軍は驚きて言へり、嗚呼奇蹟や、審判者は審判せられて、世界の救及び更新の為に甘じて苦を受く。

  第八調

今日造物の主宰、光榮の主は十字架に釘せられ、脅を刺さる。教會の甘味たる者は膽と醋とを嘗む、雲を以て天を覆ふ者は辣の冠を冠らせられ、侮辱の衣を衣せらる。手を以て人を造りし者は朽つべき手にて批たる、雲を以て天に服する者は頬を批たれ、唾及び傷、辱及び笞を受く。我の贖罪主并に神は、慈憐なるに因りて、我定罪せられし者の為に一切を忍ぶ、世界を迷惑より救はん為なり。

  光榮、今も、同調。

今日性の捫られぬ者は我に捫らる、我を苦難より解く者は苦難を受く。瞽に光を賜ふ者は不法の口より唾せられ、虜にせられし者の為に其肩を苔に予ふ。至浄なる童貞女母は彼を十字架に見て、痛く哀しみて曰へり、嗚呼吾が子よ、何ぞ之を為したる、衆人より美しき者は気息なく、華榮なく、美しき容なき者と現る。嗚呼吾が光よ、我爾の寝ぬるを見るに忍びず、心は裂かれ、利き剣は我が霊を貫く。我爾の苦を尊み歌ひ、爾の慈憐に伏拝す、恒忍の主よ、光榮は爾に帰す。

次ぎて聯祷、「神よ、爾の大なる憐に因りて」。又「我等主の前に吾が朝の祷を」。輔祭、睿智、司祭、発放詞。

第一時課に、十字架の讃詞、光榮、聖人等の、今も、時課の生神女讃詞。「天に在す」の後に十字架の小讃詞。最後の発放詞。

 

【注】此の日聖體禮儀の後、民間の聖堂及び修道院に於て聖水式を行ふこと左の如し、聖堂の中に(或は水辺に出でて)装飾したる案上に一盤水及び十字架を置き、司祭祝福の後聖三祝文及び第142聖詠「主よ、我が祷を聆き」を誦す、次ぎて「主は神なり」、第四調に据りて歌ふ。

  讃詞、第四調。

我等罪なる賤しき者は今熱心にして生神女に趨り附き、伏し拝み、痛悔して心の底よりばん、女宰よ、我等を、憐みて助けよ、我等多くの罪の為に亡ぶるに因りて速に至り給へ、爾の諸僕を空しく返す勿れ、我等獨爾を頼とすればなり。二次。

  光榮、今も、

生神女よ、我等不當の者は常に黙さずして爾の権能を宣べん、蓋爾が主の前に立ちて祷らずば、敦か能く我等を諸の禍より助けん、敦か能く我等を自由の者として今に至るまで護らん。女宰よ、我等爾より離れざらん、爾は常に爾の諸僕を凡の苦難より救ひ給へばなり。

  第五十聖詠、「神よ、爾の大なる憐に因りて」。

  次ぎて聖水式の諸讃詞を歌ふ、第六調。

天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讃め揚ぐる者を救ひ給へ。二次。

生神女よ、我等爾の子を讃め歌ひてぶ、至浄なる女宰よ、爾の諸僕を諸の禍より拯ひ給へ。

至りてきずなき者よ、爾は諸王、預言者、使徒、致命者の誉にして、世界の轉達者なり。

神の聘女たるマリヤよ、正教の諸民の方言は爾の至浄なる産を讃頌、讃美、讃榮す。

我がハリストスよ、祈る、爾を生みし者の祈祷に因りて、我不當の者にも債の赦を與へ給へ、爾慈憐なるに因る。

生神女よ、我爾に我が憑恃を負はしめたり、爾の祈祷を以て我を救ひ、我に諸罪の赦を與へ給へ。

生を施す主・救世主を生みし者よ、我を生かし給へ。讃美たる者、我等の霊の憑恃よ、爾の祈祷を以て我を救ひ給へ。

萬有の造成主を爾の腹に受けし至りてきずなき童貞女よ、爾の祈祷を以て我等の霊を救ひ給へ。

言に因りて、言に越えて言を生みし讃美たる生神女よ、彼に我等の霊を救はんことを祈り給へ。

女宰よ、爾の祈祷を以て、審判者たる爾の子をして、我衆人に超えて罪を犯しし者に慈憐を垂れしめ給へ。

我等は爾の祈祷に因りて救はれんことを祈りて、宜しきに合ひて爾にぶ、生神女、潔き永貞童女よ、慶べよ。

神の母よ、我に永遠の火と我が為に備へらるる苦を免れしめ給へ、我が爾を讃美せん為なり。

讃美たる女宰よ、求む、爾の諸僕の祷を却くる勿れ、我等が凡の危難を免れん為なり。

我等爾が聖なるおほひの下に趨り附く者を諸の疾と苦と禍より救ひ給へ。

神の母よ、霊妙なる奇蹟は爾に於て顕れたり、蓋我等の為に、我等に肖て、萬有の造成主及び我等の神は爾より生れ給へり。

生神女よ、爾の堂は諸病を施療する醫院及び悩まさるる霊を慰むる所と顕れたり。

救世主を生みし至聖なる生神女よ、爾の諸僕を禍と凡の危難より救ひ給へ。

至聖なる女宰よ、爾の諸僕を凡そ遇ふ所の恐嚇、凡の霊と體との悩より救ひ給へ。

童貞生神女よ、爾の祈祷を以て悉くの爾に趨り附く者を救ひて、凡の危難と憂患より脱れしめ給へ。

至浄なる生神女よ、爾の堂に趨り附く者は、敦か速に霊と體との醫を受けざらん。

悉くの聖人と天軍とに拝まるる鴻恩の主よ、爾を生みし者に依りて我を浄め給へ。

救世主よ、生命の望を以て死せし我等の兄弟の霊を宥めて、其諸罪を釋き赦し給へ。

世界の潔なる童貞女よ、慶べ、神妙なる「マンナ」の壺と光の純金の燈臺たる神の聘女よ、慶べ。

我等聖三の歌を唱へ、爾三位に於て惟一なる神を歌ひて、救を得んことを祷る。

  光榮、

嗚呼世界の救主、主宰及び君を生みし童貞女よ、彼に我等の霊を救はんことを祷り給へ。

  今も、

山よ、慶べ、棘よ、慶べ、門よ、慶べ、梯よ、慶べ、神聖なる筵よ、慶べ、衆人の佑助たる女宰よ、慶べ。

慈憐なる主よ、爾が至浄の母と諸聖人との祈祷に依りて、爾の慈憐を爾の民に垂れ給へ。

救世主よ、光榮なる天使首と天使と天軍との祈祷に因りて、爾の諸僕を固く護り給へ。

ハリストス我が救世主よ、光榮なる尊き爾の授洗、預言者、前駆の祈祷に因りて、爾の諸僕を護り給へ。

光榮なる爾の使徒と致命者と諸聖人との祈祷に因りて、爾の慈憐を爾の民に垂れ給へ。

生神女よ、光榮なる廉施者の祈祷に因りて、爾の諸僕を護り給へ、爾は世界の轉達及び保固なればなり。

  光榮、

我等父と子と聖神゜を讃榮して曰ふ、聖なる三者よ、我等の霊を救ひ給へ。

  今も、

末の日に言ひ難く孕みて己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讃め揚ぐる者を救ひ給へ。

  次ぎて

讃美たる生神女よ、我等の為に憐の門を開き、爾を恃む者に亡ぶることなく、爾に依りて禍をのがるるを得しめ給へ、爾はハリストスの民の救なればなり。

輔祭、主に祷らん。

司祭、蓋我が神よ、爾は聖にして云々

詠隊、「アミン」。

  次に左の諸讃詞、第六調。

今一切を聖にする時届れり、義なる審判者は我等を俟つ。霊よ、痛悔に向ひ、淫婦の如く涙を流してべ、主よ、我を憐み給へ。

今童貞女の最尊き堂に於て、水を以て醫治の泉を流ししハリストス、我等の霊と體との醫師よ、爾は祝福を灑ぐを以て弱れる者の諸病を拂ひ給ふ。

婚配を識らざる者よ、爾は童貞女として生み、聘女ならぬ母よ、爾は童貞女として止まれり。生神女マリヤよ、ハリストス我が神に我等が救はれんことを祈り給へ。

至聖なる生神童貞女よ、我等の手の造工を直くし、我等の諸罪の赦を求め給へ、我等が天使の歌を歌はん為なり、

聖なる神、聖なる勇毅、聖なる常生の者よ、我等を憐めよ。三次。

聖三粛文を歌ひ畢りて後、輔祭曰く、謹みて聴くべし。

司祭、衆人に平安。

詠隊、爾の神゜にも。

誦經、提綱、第三調。

主は我が光、我が救なり、我誰をか恐れん。句、主は我が生命の防固なり、我誰をか懼れん。

  使徒の誦讀はエウレイ書306端。

兄弟よ、聖にする者と聖にせらるゝ者とは、皆一の者より出づ、是の故に彼等を兄弟と称ふるを愧ぢずして曰く、我爾の名を我が兄弟に傳へ、爾を會中に詠はん。又曰く、我彼を頼まん。又曰く、視よ、我及び神が我に與へし諸子は此に在りと。夫れ諸子は肉と血とに属するが故に、彼も亦親しく之を受けたり、死を以て、死の権を秉る者、即悪魔を空しくし、死を畏るゝに因りて、生涯奴投に服せし者を釈たん為なり。蓋彼は天使等より受くるに非ず、即アウラアムの裔より受く。故に凡の事に於て兄弟に肖るべかりき、神の前に矜恤、忠信なる司祭長と為りて、民の罪を贖はん為なり。蓋彼親ら試みられて、難を受けしが故に試みらるゝ者にも能く助くるを為すなり。

司祭、爾に平安。

「アリルイヤ」、第六調、第一句、我が心善言を湧き出せり。第二句、我曰ふ、我が歌は王の事なり。

  福音書の誦讀はイオアン14端。

彼の時イイスス イエルサリムに上れり。イエルサリムに羊の門の側に池あり、エウレイの言にワィフェズダと曰ふ。之に傍ひて五の廊あり。此の中に多くの病者、瞽者、跛者、血枯るゝ者、臥して水の動くを待てり。蓋主の使、時ありて池に下りて、水を動かせり、水の動く後先づ池に入る者は、何の病を患ふるに論なく、愈ゆるを得たり。

次ぎて輔祭聯祷を誦す、

我等安和にして主に祷らん。

上より降る安和云々

全世界の安和、

此の聖堂、

教會を司る至聖なる會院、

我が今上皇帝

皇帝を助け、

此の都邑と(修道院に於て誦する時は、此の聖修道院)

気候順和、

航海する者、旅行する者、

此の水が聖神゜の能力と挙動と庇蔭とに藉りて聖にせらるるが為に主に祷らん。

此の水に永在三者の潔を為す挙動の降るが為に主に祷らん。

此の水が霊と體とを醫す者、凡の敵の力をる者と為るが為に主に祷らん。

主神がイオルダンの祝福を遣して、此の水を聖にするが為に主に祷らん。

凡そ神に佑助と守護とを求むる者の為に主に祷らん。

我等が一體の三者に藉りて、睿智の光に照さるるが為に主に祷らん。

主我等の神が我等を此の水を飲み、又注ぐに由りて、其國の子及び嗣と為すが為に主に祷らん。

我等諸の憂愁と忿怒と危難、

神よ、爾の恩寵を以て、

至聖至潔にして、

詠隊、主爾に。

司祭、蓋凡そ光榮尊貴伏拝は

詠隊、「アミン」。

輔祭、主に祷らん。

司祭左の祝文を誦す、

主我等の神、議定に大にして、行事に奇妙なる萬物の造成主、爾を愛し、爾の誡に遵ふ者の為に爾の許約と慈憐とを守り、凡そ憂に在る者の痛心の涙を受け給ふ主よ、蓋爾は是が為に僕の形を以て来り、虚しき像を以て我等を嚇すに非ず、乃眞の壮健を肉體に予へて曰へり、視よ、爾は壮健なり、復罪を犯す勿れと、又泥を以て目を醫し、之を洗はんことを命じて、言に因りて光の其内に入るを致せり。爾悪慾の巌を砕き、此の生命の海を涸らし、逸楽の重る波を鎮め給ふ主、我等に水と聖神゜とに因りて雪の如く光る衣を着るを賜ひし人を愛する王よ、爾親ら我等に此の水を飲み、及び灑ぐに因りて、諸慾の汚を滌ふ爾の祝福を遣し給へ。嗚呼仁慈なる主よ、祈る、我等の弱きを顧み、爾の慈憐を以て我等の霊と體との疾を醫し給へ、純潔にして至りて讃美たる我等の女宰生神女、永貞童女マリヤの祷と、生命を施す尊き十字架の力と、無形なる尊き天軍、光榮なる尊き預言者、前駆、及び授洗イオアン、光榮にして讃美たる聖使徒、克肖捧神なる吾が諸神゜父、我等の聖神゜父、大司祭首、及び世界の教師、大ワシリイ、神学者グリゴリイ、及び金口イオアン、我等の聖神゜父、アレキサンドリヤ總主教アファナシイ及びキリル、我等の聖神゜父トリミフントの奇蹟者スピリドン、我等の聖神゜父ミラリキヤの大主教、奇蹟者ニコライ、我等の聖神゜父、スロワェンの教師、亞使徒メフィディ及びキリル、聖大侯亞使徒ウラディミル、我等の聖神゜父、全ロッシヤの奇蹟者、ペトル、アレキシイ、イオナ、及びフィリップ、光榮なる聖大致命者凱旋者ゲオルギイ、光榮なる聖大致命者潤膏者ディミトリイ、凱旋の諸聖致命者、聖にして義なる神身の租父母イオアキム及びアンナ、光榮なる奇蹟者及び聖廉施者、コスマ及びダミアン、キル及びイオアン、パンテレイモン及びエルモライ、サムプソン及びディオミド、モキイ及びアニキタ、フアラレイ及びトリフォン、聖なる七致命者マッカワェイ、其母ソロモニヤ、其教師エレアザル、及び爾が悉くの聖人の轉達に因りてなり。

主よ、萬世一系の帝位を践む我が今上皇帝を護り給へ。三次。

我が皇后、皇太子、皇太子妃、及び皇族を護り給へ。

主よ、教會を司る至聖なる會院を救ひ、憐み、彼等に霊と體との壮健を賜ひ、並に此の爾に事ふる教務者に萬事に於て慈憐を垂れ給へ。主よ、爾が眞實の言を正しく傳ふる正教者の凡の主教品、及び悉くの神品、修道品、并に彼等の救を記憶し給へ。主よ、我等を悪む者、及び我等を愛する者、服役する我等の兄弟、此に立つ者、及び已むを得ざる故に因りて此に在らざる者、我等不當なる者に代りて祈るを託せし者を記憶し給へ。主よ、虜と為り、及び諸の憂に在る我

 

等の兄弟を記憶し、爾の大むなる憐に因りて彼等を憐み、諸の苦難より救ひ給へ。蓋ハリストス我等の神よ、爾は醫治の泉なり、我等爾と、爾の無原の父と、至聖至善にして生命を施す爾の神゜とに光榮を獻ず、今も何時も世々に。

詠隊、「アミン」。

司祭、衆人に平安。

詠隊、爾の神゜にも。

輔祭、爾等の首を主に屈めよ。

詠隊、主爾に。

司祭左の祝文を黙誦す、

甘じてイオルダンに洗を領けて水を聖にせし主よ、爾の耳を傾けて我等に聆き、凡そ我等、己の首を屈むるを以て僕たる状を顕す者に爾を降し、我等を此の水を飲み及び灑ぐに因りて、爾の成聖に満てらるるに堪ふる者と為し給へ。主よ、願はくは此は我等が霊體の壮健を為す者と為らん。

高聲、

蓋爾は我等の成聖なり、我等光榮、感謝、伏拝を爾と、爾の無原の父と、至聖至善にして生命を施す爾の神゜とに獻ず、今も何時も世々に。

詠隊、「アミン」。

次ぎて司祭雙手に聖架を執りて、十字形に水に祝福して、此を直線に水中に降し、復挙ぐ。之を行ふこと三次。是の時左の讃詞を歌ふこと同じく三次。第一調。

主よ、爾の民を救ひ、爾の業に福を降せ、吾が皇帝に敵に勝たしめ、爾の十字架にて爾の住所を護り給へ。

又左の讃詞を歌ふ、第二調。

至浄なる生神童貞女よ、我等の諸罪を問はずして、我等を爾の賜を受くるに堪ふる者と為し、信を以て爾の降福を受くる者に醫を與へ給へ。

次ぎて司祭聖十字架に接吻し、衆人も亦之に接吻す。此の際司祭聖水を衆人に灑ぎ、又高壇及び全堂に灑ぐ。時に詠隊左の讃詞を歌ふ、第四調。

聖なる廉施者よ、爾等は醫の泉を有ちて、凡の需むる者に醫を予ふ、竭きざる泉たる我等の救世主よりの至りて大なる賜を受けたればなり。蓋主は爾等使徒とrしき熱心者に謂ふ、視よ、我爾等に権を予へて、汚鬼を逐ひ、諸病諸疾を醫さしむと。故に爾等は善く其命に遵ひて生を度り、費なく受け、費なく與へて、我等の霊と體との病を醫し給ふ。

純潔なる者よ、爾が諸僕の祷を顧みて、我等を攻むる誘惑を鎮め、我等の凡の憂をのぞき給へ、我等獨爾を動なき確なる防固と有ち、爾の轉達を得たればなり。女宰よ、願はくは我等爾をぶ者は耻を承けざらん。速に我等の祷を聆き給へ、蓋我等信を以て爾にぶ、女宰、衆人の佑助と、歓喜と、おほひと、我等の霊の救なる者よ、慶べ。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のわざわいと憂愁より救ひ給へ。

聖水を灑ぎ畢りて聯祷を誦す、

神よ、爾の大なる憐に因りて我等を憐めよ、云云  又此の都邑と云云  主憐めよ、四十次。

司祭、「神我が救世主、地の四極」。

詠隊、「アミン」。

司祭、衆人に平安。

詠隊、爾の神゜にも。

輔祭、爾等の首を主に屈めよ。

詠隊、主爾に。

司祭高聲にして左の祝文を誦す、

主宰、大仁慈なる主イイススハリストス我等の神よ、云云

祝文の後に詠隊、「アミン」。并に発放詞。

 

【注】聖水式が早課に行はるる時は其式左の如し。

大詠頌、聖三祝文、及び讃詞、「主よ、爾の民を救ひ」の後に諸讃詞を歌ふ、「天使より慶べよを受けて」、及び其他、聖水式の次第の如し。式畢りて後、讃詞、「聖なる廉施者よ」等を歌ふ時、衆人上述の如く尊貴なる十字架に伏拝す。時課に、讃詞は十字架の、光榮、聖人の、今も、時課の生神女讃詞。聖三祝文の後に諸小讃詞を交互誦す。

聖體禮儀には、眞福詞は十字架の規程の第三歌頌、四句に、及び聖人等の第六歌頌、四句に。聖入の後に、讃詞は十字架及び致命者の、光榮、小讃詞は致命者の、今も、十字架の。聖三祝文。提綱は十字架の、第六調、「主よ、爾の民を救ひ、爾の業に福を降し給へ」。句、「主よ、我爾に呼ぶ、我の防固よ、我が為に黙す毋れ」。又致命者の、第四調、「地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我専ら之を慕ふ」。使徒誦讀は十字架の、コリンフ書125端。又聖人の、エウレイ書330端。「アリルイヤ」、第四調、「爾が古より獲たる爾の會を記憶せよ」。句、「神、我が古世よりの王、救を地の中に作せり」。又聖人の、「義人は呼ぶに、主は之を聴けり」。福音書の誦讀は十字架の、イオアン60端。又聖人の、マトフェイ38端。領聖詞は十字架の、「主よ、爾の顔の光を我等に顕し給へ」。又聖人の、「義人よ、主の為に喜べ」。順序の使徒及び福音經は預之を前日に誦し、或は第一の誦讀に合す。

【注】八月十四日若し主日に當らば、奉事式左の如し。

「スボタ」の小晩課には、讃頌は主日及び生神女の、常例の如し。

大晩課には、「カフィズマ」の後に、「主よ、爾にぶ」に、讃頌は主日の三章、東の一、十字架の三、及び致命者の三。光榮、十字架の、今も、生神女讃詞、調の第一、「リティヤ」には本堂の讃頌及び致命者の讃揚の讃頌。光榮、致命者の、今も、生神女讃詞。挿句には八調經の主日の讃頌。光榮、致命者の、今も、十字架の。餅の祝福に讃詞、「生神童貞女よ、慶べよ」、二次、及び十字架の、一次。次ぎて「願はくは主の名は崇め讃められて」、及び其他。

【注】若し徹夜堂課を行はずば、「主宰よ、今爾の言に循ひ」の後に主日の讃詞。光榮、聖人の、今も、十字架の。晩堂課には、「常に福にして」の後に十字架の小讃詞。

早課には、「主は神なり」に、讃詞は主日の、二次、光榮、致命者の、今も、十字架の。規程は主日の、「イルモス」と共に四句に、生神女の二句に、十字架の四句に、及び致命者の四句に。共頌は「モイセイは杖を以て十字架の縦」。第三歌頌の後に、致命者の小讃詞、及び坐誦讃詞、二次。光榮、今も、十字架の。第六歌頌の後に、十字架の小讃詞及び同讃詞。光耀歌は主日の、光榮、致命者の、今も、十字架の、「凡そ呼吸ある者」に、讃頌は主日の四、十字架の、光榮のと共に四、其諸句、「主我が神を崇め讃め」、「神我が古世よりの王」と共に。光榮、福音の讃頌、今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。大詠頌。復活の讃詞のみ。是に於て聖水式、十字架の伏拝、及び其他を行ふこと上に載する所の如し。

聖體禮儀には、眞福詞は、主日の四句に、十字架の第三歌頌、四句に、及び致命者の第六歌頌、四句に。聖入の後に、讃詞は主日、十字架、及び致命者の。次に小讃詞は主日の、光榮、致命者の、今も、十字架の。提綱、「アリルイヤ」、及び領聖詞は十字架及び致命者の。使徒及び福音經は順序の、十字架の、及び致命者の。