7月20日/8月2日

光栄なる聖預言者イリヤの祭日


小晩課

「主よ、爾にぶ」に讃頌、四句を立つ。第一調。

預言者よ、爾は神聖なる煇煌の三日の光に潔められたる智慧を以て、義判を宣べて、不虔の王を法を犯す者として責めたり、人を閉し、やもめを其子と共に養へり。求む、我等の霊の救はれんことを祈り給へ。二次。

神聖なる預言者よ、爾は神妙に神を見しに由りて、當然に預言者の品位と智慧とを以て尊くせられて、遠きを近きが如く預言し、王を其不義なるを以て責め、不潔なる司祭等を刃にて殺せり。ハリストス神に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

神聖なる預言者よ、不虔の王は爾の譴責に勝へずして、爾に言ふ、爾はイズライリを悩まし、且亂す者なるか。爾言へり、嗚呼王よ、我に非ず、乃爾及び爾の父の家なり、蓋爾を造りし神を棄てて、疎き者を納れたりと。ハリストスよ、爾の預言者の祈祷に由りて、我等を此くの如き迷より脱れしめて、我が霊を救ひ給へ。

  光栄、第六調。

神聖なる預言者イリヤよ、爾は不義を行ひし王を、其のナワゥフェイを殺し、葡萄園を奪ひしが為に責めて、毅然として曰へり、爾は義に背きてイズライリ人を殺ししに由りて、自らも斯く殺されん、犬は爾の血をめん、淫婦は爾の血にて己を滌はんと。ハリストスよ、爾の預言者及び役者の祈祷に因りて、此くの若き恐喝より我等を脱れしめて、我が霊を救ひ給へ、爾人を愛する主なればなり。

  今も、生神女讃詞。

  挿句に讃頌、第二調。

神聖なる預言者よ、爾は全能の主の為に熱中して、祈祷を以て天を閉せり、曰へり、雨と露とは我が口の言に由らずしては地に降るべからず。

句、司祭の中にモイセイ及びアアロンあり、彼の名を呼ぶ者の中にサムイルあり。

神聖なる預言者よ、爾は祈祷及び慈憐に由りて、復天を啓きて、渇ける民に豊に雨を賜ふ。

句、爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と為りて世々に迄らん。

神聖なる預言者よ、爾はやもめを其子と共に養ひ、祈祷を以て一握の麺及び少許(すこし)の油を増ししに、主の言に應ひて、桶の麺と瓶の油とは減らざりき。

  光栄、同調。

神聖なる預言者よ、爾は祈祷を以て火を天より降し、王をして信じて言はしめたり、誠に神は一なり、此れイリヤに傳へらるる神なり。

  今も、生神女讃詞。

至善なる女宰よ、爾の聖なる手を爾の子、人の霊を愛する造成主に舒べて、爾の諸僕に其憐を蒙らしめ給へ。

 

大晩課

「主よ、爾にぶ」に讃頌、八句を立つ。第一調。

フェスワのイリヤを火の車を以て地より移しし宏恩なる言よ、彼の祈祷に因りて我等忠信に爾を讃栄し、喜びて其神聖尊貴なる記憶を行ふ者を救ひ給へ。

神福なるイリヤよ、爾は昔地震の中にあらずして、微なる風の中に神の降臨、爾を照しし者を見たり。人に奇とせられ、神に感ぜらるる者よ、爾は駟馬の車に乗りて、奇妙に天を過れり。

睿智なるイリヤよ、爾は神聖なる熱心に燃えて、刃を以て不潔なる司祭等を殺し、言を以て天を停めて、地に雨ふらしめざりき、エリセイにうわぎを予ふるを以て、彼を二倍の神聖なる恩寵に満てたり。

  他の讃頌、第二調(大主教イオアンの作)

雙の燈は世界に輝けり、至りて光明なるイリヤ及びエリセイなり。一は神聖なる言を以て天の滴を停め、王を責め、火の車にて天に登れり。一は産を止むる水を治し、二倍の恩寵を受けて、イオルダンの流を分てり。彼等は今諸天使と偕に祝ひて、我等の霊の救はれんことを祈る。

フェスワのイリヤよ、空中の火の車は爾を旋風の中に天に於けるが如く挙げて、爾に奇蹟の燃ゆる恩寵を与へ、爾を不朽の者と為し、死を見ざらしめて、衆に終を傳へん時に至る。故に来りて、我等に矯正の道を教へ給へ。

諸教会の暮れざる光、神聖なる熱心にて燃ゆる預言者イリヤよ、爾は天の滴を停め、鴉に養はれ、王を責め、司祭等を殺し、天より火を降して二の五十夫長を燬き、やもめを一握の麺及び少許(すこし)の油を以て養ひ、其子を祈祷にて復活せしめ、水の中に火を燃し、徒歩にてイオルダンの流を濟り、火の車にて天に挙げられ、エリセイに二倍の恩寵を予へたり。我等の霊の救はれんことを絶えず神に祈り給へ。

  光栄、第六調。(ワィザンティイの作)。

正教者の會は来り、今日神言なる預言者の最尊き聖堂に集まりて、彼等を栄せしハリストス、我等の神に調和したる歌を献じ、且楽しみ祝ひて呼ばん、地上の天使及び天の人、大名なるイリヤよ、慶べ。神より二倍の恩寵を受けたる至りて尊きエリセイよ、慶べ。ハリストスを愛する人々の熱心なる保護者及び轉達者、霊と体との醫師よ、慶べ。忠信に爾等の極めて喜ばしき記憶を行ふ者を凡の敵の攻撃と包圍、及び悉くの患難より脱れしめ給へ。

  今も、生神女讃詞、「至聖なる童貞女よ、誰か爾を讃美せざらん」。

  聖入。「穏なる光」。本日の提綱。喩言。

  列王紀第三巻の読。(十七章)。

主の言預言者イリヤに臨めり、彼アハフに謂へり、我が其前に立てる主、萬軍の神、イズライリの神は活く、今より数年、我が口の言に由らずば、露も雨もなからん。主の言イリヤに臨みて曰へり、此より東に往きて、イオルダンの前なるホラファ川の畔に身を匿せ、爾其川の水を飲まん、我鴉に彼處に爾を養はんことを命じたり。イリヤ往きて、主の言に遵ひて行ひ、イオルダンの前なるホラファ川の畔に住めり。鴉は朝に餅と肉、夕に餅と肉を彼に運べり、川よりして彼水を飲めり。日を歴て後川涸れたり、地に雨なかりし故なり。主の言イリヤに臨みて曰へり、起ちて、シドンのサレプタに往きて、彼處に居れ、視よ、我彼處に一のやもめに爾を養はんことを命ぜり。彼起ちて、サレプタに往き、邑の門に至れば、彼處に一のやもめの薪を拾うを見たり。乃之を呼びて曰へり、器に少許(すこし)の水を持ち来りて、我に飲ましめよ。彼水を取らん為に往けるに、イリヤ後より呼びて彼に謂へり、又爾の手に餅の片を取り来りて、我に食はしめよ。婦曰へり、主爾の神は活く、我に餅なし、惟桶に一握の麺、瓶に少許(すこし)の油あるのみ、視よ、我二の薪を拾ひ、往きて我と我が子の為に調(ととの)へ、我等之を食ひて死なん。イリヤ彼に謂へり、懼るる毋れ、往きて爾の言の如く行へ、然れども先此を以て我の為に小き餅を作りて、我に持ち来れ、後爾と爾の子の為に作るべし、蓋主イズライリの神は斯く云ふ、桶の麺は竭きず、瓶の油は減らずして、主が雨を地に降らす日にばんと。婦往きてイリヤの言の如く行ひて、彼に与へたり、彼及び婦と其子と食へり。其日より桶の麺は竭きず、瓶の油は減らざりき、主がイリヤに因りて言ひし言葉の如し。此等の事の後、其家の主なる婦の子病に罹りしが、其病甚劇しくして、気息其中に絶ゆるに至れり。婦イリヤに謂へり、神の人よ、我と爾と何ぞ与らん、爾は我が罪を記憶せしめ、我が子を死なしめん為に我に来れり。イリヤ婦に謂へり、爾の子を我に与へよ。乃之を其手より取り、之を己の居る所の楼に攜へ登りて、己の牀に置き、主に呼びて曰へり、主我が神よ、豈爾は我が居る所のやもめわざわいを降して、其子を死なしめんや。而して三次子の上に伏して、主に呼びて曰へり、主我が神よ、願はくは此の子の霊は其中に返らん。主はイリヤの声を聴き納れたれば、此の子の霊其中に返りて彼生きたり。イリヤ子を取りて、楼より家に攜へ下り、之を其の母に与へて曰へり、視よ、爾の子は生く。婦イリヤに謂へり、今我爾が神の人にして、爾の口に在る主の言の真実なるを知れり。

  列王紀第三巻の読。(十八、九章)。

アハフ王の第三年に神の言フェスワのイリヤに臨みて曰へり、往きて己をアハフに示せ、我雨を地の面に降さん。アハフ イリヤを見し時、彼に謂へり、此れ爾、イズライリを亂す者なるか。イリヤ曰へり、我イズライリを亂すに非ず、乃爾と爾の父の家とは之を亂すなり、此れ爾等が主爾等の神を棄てて、ワアルの後に従ふを以てなり。今人を遣してイズライリの衆民、及びワアルの預言者四百五十人、森林の預言者四百人、イエザワェリの席に食ふ者をカルミル山に、我が許に集めよ。アハフはイリヤの言に遵ひて、イズライリの衆民に使を遣し、又諸預言者をカルミル山に集めたり。イリヤ衆民に近づきて曰へり、爾等何時まで両膝にて跛行するか、若し主は神ならば、彼に従へ、若しワアル神ならば、此に従へ。民は一言も彼に答へざりき。イリヤ民に謂へり、我一人存りて、主の預言者たり、ワアルの預言者は四百五十人、森林の預言者は四百人あり。二の犢を我等に与へよ、彼等は其一を選びて之を截り分ち、薪の上に載せて、火を加へざるべし、我も其一の犢を調へ、薪の上に載せて、火を加へざらん、而して爾等は爾等の神の名を呼べ、我は主我が神の名を呼ばん、火を以て應ふる神は、乃神なり。民皆答へて曰へり、斯の言善し。イリヤはワアルの預言者に謂へり、爾等一の犢を選びて、先之を調へよ、爾等衆多なればなり、爾等の神の名を呼べ、唯火を加ふる勿れ。彼等は犢を取りて之を調へ、朝より午に至るまでワアルの名を呼びて曰へり、我等に聴け、ワアルよ、我等に聴け。然れども声もなく、應もなかりき。彼等其造りたる壇の周囲に躍れり。午に及びて、イリヤ彼等を嘲りて曰へり、大声を挙げて呼べ、彼は神なればなり、彼考ふる所あるか、或は為す所あるか、又は旅に在るか、或は寝れるか、之を醒すべし。彼等大声に呼び、其例に循ひて、刀を以て己を斬り、衆くの者鞭を以て己を撃ちて、血其身に流るるに至り、尚預言して、晩の祭を献ぐる時にまで及べり、然れども声もなく、應もなかりき。遂にイリヤはワアルの預言者に謂へり、今退け、我も我が祭を献げん為なり。彼等退きて黙せり。イリヤ民に謂へり、我に近づけ。民皆彼に近づけり。イリヤはイズライリの諸子の十二族の数に循ひて、十二の石を取り、此の石を以て主の名に託して壇を築き、壇の四周に種子二「サタ」を容るべき溝を作り、壇の上に薪を陳べ、犢を截り分ちて、薪の上に載せて曰へり、四の桶に水を盈てて、燔祭と薪との上に沃げ。彼等斯く為せり。又曰へり、再之を為せ。彼等再之を為せり。又曰へり、三たび之を為せ。三たび之を為せり。水は壇の四周に流れ、溝は水にて盈ちたり。是に於てイリヤ天を仰ぎてびて曰へり。アウラアム、イサアク、イアコフの主神よ、我に聴き給へ、火を以て今日我に聴きて、此の衆民に爾は獨主イズライリの神、我は爾の僕にして、此れ皆爾に頼りて行ひしを知らしめ給へ、求む、斯の民の心を轉じて、爾に従はしめ給へ。時に主の火天より降りて、燔祭と薪と石と塵とを焚き盡し、溝の中の水をもり盡せり。民皆其面に俯伏して曰へり、実に主は神なり、彼は神なり、イリヤ民に謂へり、ワアルの預言者を執へて、其一人をも遁れしむる勿れ。乃之を執へたれば、イリヤ之をキッソン川に曳き下りて、彼處に之を殺せり。其後イリヤ アハフに謂へり、視よ、大雨の声あり、爾の車を備へて下れ、雨に遇はざらん為なり。イリヤ カルミル山に登り、地に伏して、其面を膝の間に容れて、主に祈れり。時に雲と風とは起り、天黒くなりて、大雨至れり。アハフ車に乗り、泣きてイズレエリに往けり。主の手イリヤに臨みたれば、彼其腰を束ねて、アハフの前に趨りて、イズレエリに入るにべり。アハフは其妻イエザワェリにイリヤの凡そ為しし事、及び其如何に刃を以て諸預言者を殺ししかを告げたれば、イエザワェリ使をイリヤに遣して曰へり、我明日の此の頃、爾の生命を彼等各人の生命の若くせん。イリヤ之を聞きて懼れ、起ちて、其生命の為に去りて、イウダの地なるワィルサワィヤに至り、其僕を彼處に遺して、自ら曠野に入りしこと一日程、杜松樹の下に坐し、己の為に死を求めて曰へり、主よ、我に足れり、我が生命を我より取り給へ、蓋我は我が諸父より善きに非るなり。乃偃して、杜松樹の下に寐ねたり。視よ、神の使彼に捫りて曰へり、起きて食ひ飲め。イリヤ目を注ぎて、其首の側に大麦の餅と一瓶の水あるを見たり。彼起きて食ひ飲みて、復寐ねたり。主の使再来りて、彼に捫りて曰へり、起きて食ひ飲め、蓋爾の前に遠き途あり。彼起て食ひ飲み、其食の力に依りて四十日四十夜行きて、神の山ホリフに至れり。彼處に彼一の洞に入りて宿れり。視よ、主の言彼に臨みて、主彼に謂へり、イリヤよ、爾何為れぞ此に居る。イリヤ曰へり、我は主神全能者の為に甚熱中せり、蓋イズライリの諸子は爾の約を棄て、爾の祭壇を毀ち、刃を以て爾の諸預言者を殺せり、惟我一人存れるに、彼等我が生命をも取らんことを求む。主曰へり、朝に出でて、主の前に山の上に立て、視よ、主は過ぎ行かん。主の前に當りて、大なる強き風、山を裂き、巖を砕く者ありしが、風の中には主在らず、風の後に地震ありしが、地震の中には主在らず、地震の後に火ありしが、火の中には主在らず、火の後に微なる風の声ありしが、彼處には主在り。イリヤ之を聞きて、うわぎを以て其面を覆ひ、出でて洞の側に立てるに、声ありて彼に謂へり、イリヤよ、爾何為れぞ此に居る。イリヤ曰へり、我は主神全能者の為に甚熱中せり、蓋イズライリの諸子は爾の約を棄て、爾の祭壇を毀ち、刃を以て爾の諸預言者を殺せり、惟我一人存れるに、彼等我が生命をも取らんことを求む。主彼に謂へり、往きて爾の途に返り、曠野を経てダマスクに至り、アザイルに膏を沃ぎて、シリヤの王と為せ、又アメッサの子イイウイに膏を沃ぎて、イズライリの王と為せ、又サファトの子エリセイに膏を沃ぎて、爾に代へて預言者と為せ。

  列王紀第四巻の読。(二章)

*(第三巻1920彼の日イリヤはサファトの子エリセイが牛を以て耕すに遇へり。イリヤ彼に近づきて、其うわぎを彼の身に投ぜり。エリセイ牛を棄て、イリヤの後に趨り往きて、彼に事へたり。

*(第4巻二章)

主がイリヤを旋風の中に天に於けるが如く升らしめんとする時、イリヤはエリセイと偕にガルガルに往けり。イリヤはエリセイに謂へり、此に止まれ、蓋主は我をイオルダンに遣せり。エリセイ曰へり、主は活く、爾の霊も活く、我爾を離れず。二人偕に行けり。預言者の門徒五十人往きて遙に立ちて望めり、彼等二人はイオルダンの濱に立てり。イリヤ其うわぎを取りて之を巻き、此を以て水を撃ちたれば、水は此旁彼旁に分れて、二人乾ける地を済れり。既に済りて、イリヤはエリセイに謂へり。我が取られて爾を離れざる先に、我が爾の為に何を為すべきかを求めよ。エリセイ曰へり、願はくは爾に在る所の神゜は二倍我に在らんことを。イリヤ曰へり、爾難き事を求む、然れども若し爾我が取られて爾を離るるを見ば、爾に是くの如く成らん、若し見ずば、成らざらん。彼等仍行きて語れる時、視よ、火の車及び火の馬現れて、二人を隔てたり、而してイリヤは旋風の中に天に於けるが如く升れり。エリセイ仰ぎて呼べり、父よ、父よ、イズライリの車及び其騎兵よ。遂に彼を見ざりき。エリセイ己の衣を執りて、之を二片に裂けり。エリセイはイリヤの身より堕ちたるうわぎを拾ひ、返りてイオルダンの岸に立ち、イリヤの身より堕ちたるうわぎを執りて水を撃ちたれども、水分れざりき。エリセイ曰へり、イリヤの神、彼親ら安にか在る。而して再撃たれば、水分れて、彼は乾ける地を済れり。

  「リティヤ」に本堂の讃頌。

  又聖人の、第四調。

福たる預言者よ、爾は神我の救主に因りて不朽に与る者と為れり。祈祷を以てイオルダンを分ちて、徒歩にて之を濟り、火の車を以て天に於けるが如く挙げられ、二倍の恩寵をエリセイに遺したり。故に我等爾に祈る、肉体にては挙げられたれども、神゜にては我等を離れずして、常にハリストスに我が霊の救はれんことを祈り給へ。

神聖なる預言者よ、爾は光る雲と顕れて、衆信者に神識の雨を滴らせ、凡そ信を以て爾の至聖なる堂に趨り附く者に豊に楽の酒を飲ましむ。故に我等爾に祈る、神聖なる預言者、神を見しイリヤよ、我が皇帝に敵に對する勝利、我が霊に大なる憐を賜へ。

神聖なる預言者イリヤよ、爾は主権者たる智慧に肉体を順はしめて、階段を登るが如く、心の路を熱切に神に向けたり。故に不義を行ひし王を責めて、神の怒の恐嚇を彼に述べたり。不潔不義なる司祭等を刃にて滅し、衆に教へて明に呼ばしめたり、誠に神は一なり、此れイリヤに傳へらるる神なり。

  光栄、第六調。

嗚呼不虔なる王の命や、嗚呼血と不法とを満つる齋や、兇殺を行はん為に齋を命ぜり、而して直にイズライリ人ナワゥフェイは殺されたり。預言者よ、爾は此の後何を言ひしか、主は斯く言ふ、爾は義に背きてイズライリ人を殺ししに由りて、斯く爾の血も灑がれ、淫婦は爾の血にて己を滌はんと。ハリストスよ、爾の預言者及び伝道師の祈祷に因りて、我等の霊を此くの如き恐嚇より脱れしめ給へ、爾人を愛する主なればなり。

  今も、「生神女よ、爾は実の葡萄の枝」。

  挿句に讃頌、第八調。

至妙なる預言者イリヤは智慧を神の光にて照して、極めて神聖なる者と為れり。不虔の王の不義なる審判を見て憤る、故に神の審判を以て之に恐嚇を宣ぶ。同じく妃をも其残酷にして貪婪なるに因りて神の審判に付せり。ハリストスよ、爾の預言者イリヤの祈祷に因りて、我等衆を救ひ給へ、爾慈憐なればなり。

句、司祭の中にモイセイ及びアアロンあり、彼の名を呼ぶ者の中にサムイルあり。

預言者よ、爾言へり、主よ、不虔者の道は利達を得ること何の時に至るか、爾彼等を植えたり、彼等は根を固めて、不法の果を結べり。実に彼等自らも己の不虔に由りて悪しく亡びん、彼等爾に呼ばん、然れども爾聆かざらん。何ぞ我に法に違ふ審判者の不虔を示したる。

句、爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と為りて世々に迄らん。

預言者の中に尊き大なるイリヤよ、爾の尊貴なる上升を祭る者を、爾の祈祷を以て、危難と憂患と甚しき誘惑より脱れしめ給へ、我等ハリストスの名を負へる人々が常に爾至栄なる預言者を尊みて讃美せん為なり。

  光栄、第六調。

ハリストスの傳道師たる預言者よ、爾は常に威厳なる寶座を離れざれども、病者毎に臨みて其の祷を聆く、至高きに奉事すれども、世界に福を降す。遍く栄せらるる者よ、我が霊の為に潔浄を求め給へ。

  今も、生神女讃詞、「至浄なる者よ、我の造成者及び贖罪者」。

  讃詞、第四調。

肉体に在る天使、諸預言者の基、ハリストスの降臨の第二の前駆、光栄なるイリヤは上よりエリセイに諸病を逐ひ、癩者を潔むる恩寵を遣せり。故に彼を尊む者にも醫治を流し給ふ。

  光栄、今も、生神女讃詞、「是れ古世より隠されて」。

 

早課

「主は神なり」に讃詞。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

  「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第一調。

神聖なる預言者よ、爾は風の翼に於けるが如く火の車に乗りて、今日奇妙に天に向ひて升り、上より二倍の恩寵とうわぎとをエリセイに遺し給へり。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

我等皆爾神の母、産の後にも実に童貞女と顕れし者に祈りて、愛を以て爾の仁慈に趨り附く。蓋我等罪なる者は爾を轉達者として有ち、爾獨至りて無てんなる者を患難の中に救として獲たり。

  第二の誦文の後に坐誦讃詞、弟三調。

至妙なる預言者よ、爾の神聖なる堂は饒に衆に醫治を流す。奇異なるエリセイと偕に、世界に平安、爾等を尊む人々に大なる憐を賜はんことをハリストスに祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

人各救を得る所には、彼處に義に合ひて趨り附く。生神女よ、爾我等の霊を蔽ふ避所たる者に優る何の避所かあらん。

  多燭詞の後に坐誦讃詞、第八調。

至りて尊き預言者よ、爾は睿智に熱中する者として、義に背く不義なる王を顕に責めて、之をして信じて呼ばしめたり、誠に神は一なり、此れイリヤに傳へらるる神なり。イエザワェリをも亦奪略貪婪の為に責めたり。ハリストスの降臨の預言者及び前駆、大名なるイリヤよ、ハリストス神に爾の上升を熱信に讃栄する者に罪の赦を賜はんことを祈り給へ。

  光栄、今も、生神女讃詞。

我等人の諸族は爾女の中に獨童貞女として種なく身にて神を生みし者を崇め讃む。蓋神性の火は爾の内に入り、爾は乳を以て赤子の如く造成者及び主を養へり。故に諸天使と人類とは宜しきに合ひて爾の至聖なる産を讃栄し、声を合せて爾に呼ぶ、熱切に爾の至聖なる産に伏拝する者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。

  品第詞、第四調の第一倡和詞。

  提綱、第四調。

爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と為りて世々に迄らん。句、主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、我が爾の敵を爾の足の台と為すに迄れ。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はルカ14

  第五十聖詠の後に讃頌、第四調。

嗚呼フェスワのイリヤよ、爾は不潔なる預言者を辱かしめて、火の車にて雲に挙げられ、光明の處に移されたり。言を以て天を閉しし者よ、斯く主に於ける爾の祈祷を以て我等の諸罪をも釋きて、我が霊を救ひ給へ。

規程は生神女の、「イルモス」と共に六句に。第八調、「イズライリは乾ける地の如く」。

又預言者の規程二篇、共に八句に。

  第一の規程、第二調、

  第一歌頌

イルモス、我等昔海に民を導きて、其中にファラオンを全軍と共に溺らしし主に凱歌を歌はん、彼光栄を顕したればなり。

我等はイリヤの諸奇蹟の噴火の力、其の尊貴なる火の如き舌の属神゜の能力を歌はん為に宜しきに合ひて集まれり。

捧神者よ、憐を垂れて、爾に在る神゜の行動にて不能なる舌の鈍きと声の調はざるとを解きて、爾の奇蹟を歌はん為に明にせよ。

言よ、爾は尊き爾の命に服する者に性に超ゆることを与へ、神゜を以て雨の門を順はしめて、定めたる言を行ふ。  生神女讃詞

童貞女より生れて、彼に由りて世界を新にし、我等に神聖なる生命を賜ひし主に我等凱歌を歌はん、彼光栄を顕したればなり。

第二の規程、其冠詞は、大なるイリヤに讃美を歌ふ。修道司祭パホミイの作。第八調。

  第一歌頌

イルモス、イズライリは乾ける地の如く水を過り、エギベトの禍を免れてべり、我が救主及び神に歌はん。

至妙なる預言者よ、爾は神聖なる手に鼓たるる楽器と顕れて、全知の神、衆に其行に由りて義なる報を予ふる者を歌頌せり。

神妙なる預言者よ、爾は迷惑を見るに忍びずして、不義を行ふ王を其不法の為に責めて、之に怒を満つる神の審判を告げたり。

恩寵の預言者及び前駆、神聖なるイリヤよ、爾は不虔の王アハフを法に背く者として責めて、不潔の司祭等を不義なる者として滅せり。

  生神女讃詞

我等信者はハリストスの母を歌頌の中に宜しきに合ひて歌ふことを務めん、蓋彼は衆の救世主、生及び死を主る者を生み給へり。

共頌、「我が口を開きて」。

  第三歌頌

イルモス、爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり。蓋我が神゜は楽しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。

預言者よ、如何にか美好なる饗應者、鴉に由りて爾に供養を為す者、獨恵を以て悉くの生ける者に飽かしむる者や。我等皆彼に呼ぶ、爾は我等の神なり、主よ、爾の外に聖なるはなし。

感謝は恩主及び管理者、言ひ難き慮を以てやもめと預言者とを養ひし者に帰す。我等皆彼に呼ぶ、爾は我等の神なり、主よ、爾の外に聖なるはなし。

雨を含む雲に雨ふることを停めし者は、サレプタに糧竭きたるに、食の残餘をして息めず滴らしめ給へり。故に爾呼べり、主よ、爾の外に聖なるはなし。

  生神女讃詞

爾は獨古世よりの衆に秀でて、性に超ゆる大事に勝ふる者と為れり、蓋萬物に容れられざる神を胎内に容れて、肉体ある者として生み給へり。故に我等皆爾を生神女として尊み崇む。

  又

イルモス、主、天の穹蒼の至上なる造成者、教会の建立者、冀望の極、信者の固、獨人を愛する者よ、我を爾の愛に堅め給へ。

預言者よ、凡そ信を以て爾の堂に趨り附く者を爾は恵を以て訓へ、衆に憐を垂れ給ふ。爾に助を請ふ者は之を受けざるなし。

神聖なる預言者よ、爾は不虔の王アハフを責めて、之を法に背きし者として、神の審判を以て定罪し給へり。

至りて神聖なる預言者よ、耻を知らざる妃イエザワェリは爾を殺さんことを謀れり、爾其不潔なる司祭等を義なる審判を以て死に定めたればなり。

  生神女讃詞

潔き女宰よ、我等爾を光栄の住所の處、又衆の生命を養ふ餅たるハリストスを受けし筵として讃め歌ふ。

  坐誦讃詞、第八調。

我等信者皆歌を以て奇蹟の泉、預言者の飾なるフェスワのイリヤを讃め揚げん。蓋彼は肉体と共に不死なる者にして、死者の如く死者の復活を信ぜしむ。故に神の前に勇ありて、信を以て求むる者に醫治を予へ、愛を以て彼の聖なる記憶を祭る者に諸罪の赦を賜はんことを切にハリストスに祈る。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

至浄なる生神女よ、我見ゆると見えざる敵に由りて種々の苦難に陥り、我が無数の罪の颶風に圍まれて、我の温き保讃及びおほひたる爾の仁慈の湊に趨り附く。故に至浄なる者よ、種なく爾より身を以て生れし主に、爾の諸僕、絶えず爾に祈祷する者の為に熱切に祈りて、宜しきに合ひて爾の光栄を崇め歌ふ者に諸罪の赦を賜はんことを常に求め給へ。

  第四歌頌

イルモス、主よ、我爾が摂理の音を聞きて、爾獨人を愛する者を讃栄せり。

睿智なる預言者よ、爾は悪業の根を絶つ者、徳行を植え附くる者と顕れたり。故に我等爾を讃揚す。

預言者よ、爾を養ひしやもめは言を以て爾に其子の死を責めて、其復活を促せり。

爾は三次の吹嘘を以て明に三者の光栄を徴して、母に其子を活ける者として賜へり。

嗚呼預言者よ、爾は何如にか熱したる。爾は神聖なる火を以て焚き、熱心を以て不法を行ふ王を責めたり。

  生神女讃詞

潔き者よ、我等爾種なく神を孕みし者に、常に爾の諸僕の為に祈らんことを求む。

  

イルモス、主よ、我爾の風声を聞きて懼れたり、蓋爾は永在の神にして、言ひ難き摂理を以て、童貞女より身を取りて出で給へり。ハリストスよ、光栄は爾の寛容に帰し、光栄は爾の力に帰す。

睿智者よ、主は爾に預言者の栄を冠らせて、未来を現在の如くに預言する恩寵を爾に賜へり。故に我等今言の成りたるを覩て、讃歌を以て常に爾を真の預言者として讃揚す。

ハリストス神よ、爾の預言者の霊は謙遜を以て大に飾りたる度に随ひて、更に又熱心の火に燃されて、不潔の司祭等を滅せり。

至妙なる預言者よ、鏡が除かれしに由りて、爾は面を合せてハリストスの前に立つ。彼處より憐を以て我等を顧み給へ、我等皆讃歌を以て爾を預言者として讃揚せん為なり。  生神女讃詞

至りて讃美たる者よ、我等爾を倚頼と、防固と、救の破られぬ垣として獲て、凡の凶悪より脱るるを得るなり。

  第五歌頌

イルモス、光を賜ひ、世々を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。

イリヤよ、先祖の律法は爾を最真実なる祈祷者、元行の性を變じて、水を以て聖なる祭物を焚く奇蹟者と顕したり。

至りて福たるイサヤよ、爾は真実の聖なる役者として、明に聖三の能力を徴して、罪なる穢はしき預言者を甚しく辱しめたり。

イリヤよ、爾は恩寵の言に縁りて司祭の職を行ひて、爾の罪なき手を以て忌はしき司祭等を殺せり、火の如く熱心に燃えたればなり。

  生神女讃詞

我等爾萬有の造成主ハリストスを生みし者に呼ぶ、潔き者よ、慶べ、我等に光を輝かしし者よ、慶べ、容れられざる神を容れし者よ、慶べ。

  又

イルモス、隠れざる光よ、何ぞ我を爾の顔より退けし、外の闇は憐なる我を掩へり。祈る、我を返して、我が途を爾の誡の光に向はしめ給へ。

預言者イリヤよ、爾は神聖なる恩寵の消えざる暁と顕れ、至りて神聖なる智慧を得て、敬虔の者を起して爾を歌はしむ。

至りて尊き預言者よ、誰か爾の神聖なる熱心を奇とせざらん、誰か此くの如き力を爾に賜ひしハリストスを歌はざらん。

至妙なる預言者イリヤよ、爾は神より預言の恩賜を以て飾られ、全く神に体合して、迷惑を責めて、イズライリ民を神を識るに導けり。

  生神女讃詞

暮れざる日を生みし生神女よ、我諸慾に昧まされたる者を全く照して、神聖なる光に満たしめ給へ。

  第六歌頌

イルモス、今を限の罪の淵は我を圍めり、主よ、主よ、預言者イオナの如く、我が生命を淪滅より引き上げ給へ。

奇異なる捧神者イリヤよ、爾は敬虔及び至りて正直なる度生の標準と為り、潔浄を栽うる者、天使等に效ふ者と為れり。

奇異なるイリヤよ、預言者を殺しし婦の怒は、爾雨の流を繋り及び釋く権を受けし者を懼れしめて、逃ぐるを致せり。

爾は膝を屈めて、智慧の高尚なる眼を挙げ、有力の祈を以て天を釋きて、地の畝を雨にて湿せり。  生神女讃詞

至りて讃美たる生神女マリヤよ、シナイに於て火に着きたれども焚かれざりし棘は爾永貞童女たる母を預像せり。

  又

イルモス、救世主よ、我を浄め給へ、我が不法多ければなり、祈る、我を悪の淵より引き上げ給へ、我爾に呼びたればなり、吾が救の神よ、我に聴き給へ。

至りて尊き預言者よ、爾の神聖なる堂に趨り附く衆人の為に祈祷の歌頌を神に捧げ給へ、我等が常に爾を大なる保護者として尊まん為なり。

預言者よ、人の智慧は宜しきに合ひて爾の度生を讃むるに堪へず、蓋爾はハリストスの顕栄を覩て、霊智なる品位よりも大なる者と為れり。

福たるイリヤよ、爾の預言に應ひて、萬有の主及び造成者は我等に現れて、衆人を己を知る知識に召し給ふ、人を愛しむ主なればなり。

  生神女讃詞

至りて無てんなるマリヤ、童貞の潔き器よ、我の智慧を慾の昏昧より潔めて、我が心を恩寵と義とに満たし給へ。

  小讃詞、第二調。

我が神の大なる業の預言者及び預見者、大名なるイリヤ、爾の言にて雨を降らす雲を停めし者よ、我等の為に獨人を愛しむ主に祈り給へ。

  同讃詞

預言者イリヤは人々の多くの不法、神の多くの仁愛を見て、心擾れ、怒りて、憐なき言を憐深き主に出して、義なる審判者よ、爾を拒む者に怒を発せよと呼べり、然れども仁慈なる主の心を拒む者に報ゆるには敢て動かざりき、獨人を愛しむ主は常に衆の痛悔を待ち給へばなり。

  第七歌頌

イルモス、神の聘女よ、山の上に於て火に焚かれざりし棘と、露を出ししハルデヤの爐とは、明に爾を像れり、蓋爾は神聖なる無形の火を有形の腹に焚かれずして受けたり、故に我等爾より生れし者に歌ふ、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

奇異なるイリヤよ、爾は霊妙の糧に縁りて神聖なる力を衣せられて、四十日の長き程を行けり。故にホリフに於て歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

イリヤよ、爾、神全能者の為に熱中する者に、大風にあらず、地震にあらず、畏るべき火にあらず、乃微にして温和なる風は主を顕せり。故に爾は温和なるイイススに歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

奇異なるイリヤよ、爾は大なるモイセイの如くに神の顕現及び預言の恩賜に堪ふる者と為りて、聖神゜を以て諸預言者と諸王とに膏し、且ファオルに於てハリストスの光栄を覩る者と為りて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。  生神女讃詞

至浄なる者よ、爾は末の時に於て、地上の者の新にせられん為に、性に超えて種なく身を以て始なき永久の主、父の子、睿智及び能力を生み給へり。故に我等爾より生れし者に呼ぶ、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

  又

イルモス、昔ワワィロンに於てイウデヤより来りし少者は、聖三の信を以て、爐の焔を踏みて歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

神聖なるイリヤよ、爾はイズライリ人、爾に来りし者を、五十夫長と偕に、不當の者として、天より火を降して燬けり。

最貴きイリヤよ、爾は神の顕見に照されて、至りて神聖なる預言者と為りて、ワアルの祭を全く虚しくし給へり。

至尊至福なる預言者イリヤよ、至聖神゜が爾に預言するを許ししに随ひて、爾は神の子の降臨の事を預言して誤らざりき。我等彼に歌ふ、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

不潔なる司祭等、イエザワェリに養はるる者の為に、不義の食は、神の審判及び預言者の手に由りて、実に當然に死の毒と為れり。

  生神女讃詞

神の母よ、我諸罪の深淵に圍まるる者を救ひて、諸敵の悪謀より脱れしめ給へ、我が救はれて爾の保護を讃美せん為なり。

  第八歌頌

イルモス、大く燃されたる烈しき火は敬虔なる少者の霊に合ふけがれなき体に懼れて退けり、盛なる焔の衰へし時、息めざる歌は歌はれたり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

預言者の責むる言に應ひて、アハフの憎むべき兇殺の罰として、其族は全く滅びたり。フェスワの人は噴火の心を以て生を施す者に歌を歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

イリヤよ、爾神の善良なる役者の為に火は天より雨りて、再五十人を燬けり。蓋爾は永遠の生命を有つ者に神に合ふ歌を唱へて呼べり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

ハリストス、童貞女の至りて神聖なる萌芽は、爾潔浄を栽うる者を其神妙に人体を取る秘密に与る者と為して、ファオル山に於て其肉体に在りて神性の悟り難き光を爾に顕せり、蓋爾は呼べり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。  生神女讃詞

神の母よ、爾は肉体に言を受け、之に地上の像を予へて、至上者の住はんことを嘉せし神の城と顕れたり。我等彼に歌ふ、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

  又

イルモス、天使の軍の歌ふ所の天の王を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

イリヤよ、神として一切を知る者は爾忠信なる者に将来の事を顕して、遠きにある者を近きが如く示し給ふ。

至福至尊なる預言者よ、爾は敬虔なる勇敢を以て爾の智慧を奮ひて、遠く離れたることを近きに在るが如く預言す。

神聖なる預言者よ、爾は己の智慧を凡の汚より浄めしに因りて、全く聖と為りて、衆人を神聖なる光に導き給ふ。  生神女讃詞

潔き神の母よ、爾が言に超えて生み給ひし言に、我等忠信に爾を尊む者の為に祈り給へ。

  第九歌頌

イルモス、日より前に光り輝きし神、肉体にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讃美たる至浄き生神女よ、我等爾を崇め讃む。

フェスワの人は他人が履まざる途を地上に行き終へて、衣を以てイオルダンの流を分ちて之を濟り、空中の御者として聖神゜に由りて天に上る奇妙の行(みちゆき)を為せり。

敬虔の熱心に燃さるるフェスワの人は火の状の車を以て上げられて、うわぎを墜せり、エリセイは受け且之を衣て、神聖なる恩寵を被る。

見神者と為りしフェスワの人はモイセイと偕に目未だ見ず、耳未だ聞かず、地上の人の心に未だ入らざる事、即身を取りし主全能者をファオル山に見る。

  生神女讃詞

古の厳しき定罪を除く者、原母を起す者、其族の神の親族と為りし所以の者、造物主に渡す橋たる生神女よ、我等爾を讃め揚ぐ。

  又

イルモス、潔き童貞女よ、我等爾に依りて救はれし者は爾を実に生神女と承け認めて、無形の軍と偕に爾を崇め讃む。

福たる預言者イリヤよ、爾は生を施す三者の無形の光に照されて、神に体合したり。故に我等皆爾を世界の為に神に祈る者として進む。

神聖なる預言者よ、我等爾を地上の天使及び天上の神の人と暁れり、主親らも言ひしが如し、イリヤよ、爾は厳しき人にして、罪を犯すイズライリ人を忍ぶ能はざるに因りて、我に升れ、我は下に降らん為なり。

神聖なる預言者よ、爾は地上に無形の者の如く住みたり、今は天に挙げられて、天使の會と偕に歓ぶ。福たる者よ、我等爾を歌ふ者を上より眷み給へ。

  生神女讃詞

潔き者よ、爾は萬有を保つ神を手に保ち、我等に似たる者と為りし養育者を養育す。爾の民を諸難より救はんことを彼に祈り給へ。

  光耀歌

イリヤよ、爾が火の状の駟馬の車にて天に登る時、光焔は全く爾を呑まざりき、蓋爾は塵に属する舌を以て火を下に引きて、雨を涸らせり。

  光栄、

火の車を以て天の穹蒼に上りし者よ、今忠信に爾の記憶を行ふ者を眷みて、光に邇き者として、霊智なる光を我等に与へ給へ。

  今も、生神女讃詞。

生神女よ、爾は神より世界に賜はりし諸善の所以と為れり。求む、今も寛容なる神に衆人の救の為に祈り給へ。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、六句を立つ、第八調。

奇異なる預言者よ、爾は徳行と潔き度生とを以て神に体合せし時、権を受けて、思念に随ひて造物を變易し、期望を以て雨の門を閉し、火を上より降し、不虔者を滅せり。我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

福たる者よ、爾は主に於ける熱心に燃されて、勇敢を以て不法の王等を責め、熱情を以て不潔なる司祭等を滅し、火を水の中に燃し、耕作せざる糧を流し、イオルダンの水を爾のうわぎにて截り分てり。我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

預言者よ、爾は地上に在りて実に天に在るが如き生命を顕しし時、爾の中の生命に富みて、気息を以て死せし童子を復活せしめたり、且死に超ゆる者と為りて、火の車に乗りて空中に上れり。我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  又讃頌、第一調。(ゲルマンの作)。

諸慾を専ら制せし熱心なるイリヤ、全世界の救の秘密者は今日空中に上れり。嗚呼尊き光栄や、諸預言者の最美しき飾なる者は之を受くるに堪へたり、蓋彼は行を以て己を肉体ある天使、無形なる人と顕せり。我等彼を讃め揚げて言ふ、睿智者よ、審判の日に我等を扶け給へ。

我等皆属神゜の歌を以てハリストスの預言者を讃め揚げん、蓋フェスワのイリヤは天に乗る者と為り、エリセイはうわぎと共に二倍の恩寵を神より受けたり。彼等は世界の輝ける燈と顕れて、常に我等の霊の為に祈る。

我等信者は今日ダワィドの如く歌を以て主の預言者、フェスワのイリヤ、高名なる熱心者を尊まん、蓋彼は舌を以て天を幔の如く閉し、豊作の地を不作に為せり。嗚呼至栄なる奇蹟や、地上の人は天に雨を降らすを許さざりき。嗚呼奇蹟や、朽つべき人は不朽を衣て、火の車を以て天に上れり、うわぎを以てエリセイに二倍の恩寵を賜ひ、王を責めて、不順の民を饑饉にて罰し、不潔なる司祭を悉く辱め、やもめの子を言にて復活せしめたり。ハリストス我等の神よ、彼の祈祷に因りて我等の皇帝を平安に護り、彼をして諸敵に勝たしめ給へ。

  光栄、第八調。

我等信者は歌を以て預言者の首たる者、世界の至りて光る燈なるイリヤ及びエリセイを尊みて、欣ばしくハリストスに呼ばん、慈憐なる主よ、爾の預言者の祈祷に因りて、爾の民に諸罪の赦と大なる憐とを与へ給へ。

  今も、生神女讃詞。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のわざわいと憂愁より救ひ給へ。

  大詠頌。発放詞。

 

聖体礼儀

真福詞は、第一の規程の第三歌頌、第二の第六歌頌。

  提綱、第四調。

爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と為りて世々に迄らん。句、主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、我が爾の敵を爾の足の台と為すに迄れ。使徒の誦読はイアコフ公書57端「アリルイヤ」、第四調、司祭の中にモイセイ及びアアロンあり、彼の名を呼ぶ者の中にサムイルあり。

福音經の誦読はルカ14端。領聖詞、義人は永く記憶せられ、悪評を懼れざらん。