七月七日

尊貴光榮なる預言者前駆授洗イオアンの誕生祭


小晩課

「主よ、爾にぶ」に四句を立てて讃頌を歌ふ、第四調。

ハリストスの降臨の光榮なる前駆、言の休兆の聲、悔改の大音の宣傳者、舊と新との神聖なる中保者と明に知らるる者よ、爾は荒れたる胎より生れて、我等の心の荒れたるを解き、果を結ばざる霊に信と眞實とに於て善き果を結ばしむる言を賜へり。我等愛を以て楽しみて爾の誕生を祭る。二次。

今胎の荒れたる者より節制の肥えたる犢は生れて、我等に童貞女より生れたる羔、世の罪を任ふ者を示す。野を愛する班鳩は明に現れて、無神の烈しき冬を閉づる神聖なる春を告ぐ。新娶者の親しき友たるイオアンは顕に来りて、我等の霊の救はれんことを祈り給ふ。

神聖なる許約に因りて生れし者よ、奇妙にして大なる天使首ガウリイルは、殿の内に祷れる爾の父に爾の生るることを福音せし時、其時信ぜずして逆ふ司祭を、録せる如く、爾の生るるに至るまでおうし及び聾(みみしい)と為せり。爾は、福たる前駆よ、生れて、父の舌の結(むすぼほれ)を解きたり、且我等衆の為に祈り給ふ。

   光榮、第八調。

イオアンに馨しき香は適ひ、授洗者に美しき歌は適ふ、蓋彼は我等の救の始を傳へて、腹の内に躍り、野の中に悔改せよと呼べり。彼は王の軍士、恩寵の前駆なり、羔を示し、救世主に我等の霊の為に祈り給ふ。

   今も、生神女讃詞。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のわざわいと憂愁より救ひ給へ。

   挿句に讃頌、第二調。

ザハリヤよ、爾の舌を解きて、明に呼べ、子は神の預言者、及び神聖なる言の前駆と為らん。

句、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為せり。

イオアンよ、爾は母の胎よりして神に成聖せられし者と現れたり、蓋人の中に孰も何處にも爾より大なる者は起らざりき。

句、子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん。

至りて福たる者よ、爾は神聖なる恩寵に因りて生れて、父の無言を解きたり、生みし者の無結果の鎖を解きしが如し。

   光榮、今も、第八調。

観よ、エリサワェタは童貞女マリヤに言ふ、我が主の母よ、何ぞ我に臨みたる、爾は王を孕めり、我は軍士を、爾は法を立つる者を、我は法を宣ぶる者を、爾は言を、我は天國を傳ふる聲を孕めり。

   讃詞、第四調。

ハリストスの降臨の預言者及び前駆よ、我等愛を以て爾を尊む者は如何に宜しきに合ひて爾を讃め揚ぐるを知らず、蓋爾の光榮尊貴なる誕生にて生みし者の無結果及び父の無言は解かれ、神の子が身を取ることは世界に傳へらる。

   光榮、今も、生神女讃詞。

是れ古世より隠されて云々

 

大晩課

首誦聖詠及び大聯祷の後に第一「カフィズマ」り第一段を歌ふ。

「主よ、爾にぶ」に八句を立てて讃頌を歌ふ、第四調。(修士イオアンの作)。

生れしイオアンはザハリヤのおうしを解く、蓋聲の来りしに、父にはおうしたること適はざりき、即先に信ぜざる者に舌を縛りし如く、此くの如く現れて後に父に釋を與ふることは宜しきに適へり。福音せられし者には言の聲、光の前駆は生れて、我等の霊の為に祈る。二次。

今日言の聲は不信の為に止めらるる父の聲を解き、且母の無結果の結を解きて、教会の多産を顕す。光の燈臺は来り、暁は萬有の更新及び我等の霊の救の為に義の日の現るるを示す。

  (アナトリイノ作)。

神の言が童貞女より生れんとするに、神の使は無結果の腰より出づ、婦の生みし者の中に大にして、諸預言者の至りて秀でたる者なり。蓋神聖なる諸事には至榮なる始端は適へり、是れ年齢に踰ゆる生産及び種なき受胎なり。我等の救の為に奇蹟を行ふ主よ、光榮は爾に帰す。

  (クリトのアンドレイの作)。

今日大なる前駆はエリサワェタの無結果の胎より出でて現れたり、此れ衆預言者より大なる預言者にして、他に斯くの如きはあらず、又起らざりき。蓋前駆たる燈臺には至りて光明なる光は随ひ、聲には言、新婦を導く者には新娶者は随へり。此れ選ばれたる民を主に備へ、水を以て潔めて聖神゜の潔に備ふる者、ザハリヤの萌芽、野の美しき養成、悔改ので傳道師、諸罪の潔浄、地獄に在る者に死よりの復活を福音し、我等の霊の為に祈る者なり。

ハリストスの授洗者イオアンよ、爾は胎内より預言者及び前駆と現れて、母の腹の中に躍りて喜べり。蓋女王が婢に来り、時に由らずして母なく父より輝きし主を、爾胎の荒れたる者及び翁より許約に遵ひて生るる者に攜ふるを見たり。彼に我等の霊を憐まんことを祈り給へ。

嗚呼至榮なる奇蹟や、天使がエリサワェタは孕みて子を生まんと言ふ言を信ぜずして、何如ぞ彼は生まん、蓋我老いたり、彼の胎は死せりと言ひて、不信の為におうしと為るに定められし者は、今日許約せられたる者の生るるを見て、おうしは解かれ、楽しみて呼ぶ、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為し、世界に大なる憐を賜へり。

至りて讃美たるイオアン、全世界の使徒、ガウリイルの福音、胎の荒れたる者の萌芽、野の美しき養成、新郎ハリストスの親しき友よ、彼に我等の霊を憐まんことを祈り給へ。

   光榮、第六調。(ワィザンティイの作)。

今日光の燈臺は光明なる星の如く神の言の降臨に先駆す。今日ザハリヤの舌、天使の命に因りて無言なりし者は明に言ふ。蓋無結果の者の胎より出でて、大なる勇敢を以て全世界の救を福音する聲の父には、斯く無言を守ること適はざりき。

   今も、同調。

エリサワェタは恩寵の前駆を妊み、童貞女は光榮の主を妊めり。二人の母が互に安を問ひし時、胎児は躍れり、蓋内に於て僕は主宰を讃美せり。前駆の母は訝りて呼べり、我何より此を得たるか、我が主の母我に臨めり。失望の民を救はん為に来りし大なる憐を有つ主よ、光榮は爾に帰す。

   聖入。本日の提綱。喩言三篇。

   創世記の讀。17章)。

神アウラアムに謂へり、爾の妻サラは、其名をサラと称うべからず、乃其名はサッラと為るべし、我彼を祝して、彼より爾に子を賜はん、我彼を祝して、諸民彼より出で、諸民の王等彼より出でん。アウラアム其面に俯伏して、其意に謂へり、百歳の人に豈子の生まるることあらんや、サッラも九十歳なれば、豈生むことをせんや。神アウラアムに謂へり、然り、爾の妻サッラ爾に子を生まん、爾其名をイサアクと名づけん、我は彼及び其後の子孫と約を立てて、永遠の約と為さん。時にアウラアム及びサッラは年老いたり。サッラ心に哂ひて曰へり、我は衰へ、我が主も亦老いたり、豈我に此の楽あらんや。主神はアウラアムに謂へり、何ぞサッラは心に哂ひて、我老いたれば果たして子を生むことあらんやと云ひたる。神には豈為す能はざる事あらんや。主神は其言ひし如くサッラを眷みたり。彼孕みて年老いたるアウラアムに子を生めり、主神の彼に言ひしが如し、八曰に至りて彼は其子に割礼を行へり、主神の彼に命ぜしが如し。アウラアムは其子イサアクの生まれたる時百歳なりき。サッラ曰へり、主神は我に笑を為せり、聞く者皆我と偕に歓ばん。又曰へり、誰かアウラアムに告げて、サッラは子に乳を哺ましむと云ふ者あらん、蓋我年老ゆるに及びて子を生みたり。子漸く長じて乳を断れたり、アウラアムは其子イサアクの乳を断るる日に大なる宴を設けたり。

   士師記の讀。13章)。

彼の日ダンの族の人、名をマノエと云ふ者あり、其妻は石婦にして子を生みしことなし。主の使此の婦に現れて、之に謂へり、視よ、爾は石婦にして子を生みしことあらず、然れども爾孕みて子を生まん、今慎みて、酒と諸醪とを飲む毋れ、凡そ不潔の物を食ふ毋れ、蓋視よ、爾孕みて男子を生まん、薙刀は其首に触れざらん、蓋其子は胎よりして神の「ナゾレイ」と為らん。婦来たりて其夫に告げて曰へり、神の人我に来れり、其容貌は神の使の容貌の如くにして甚だ尊し、彼曰へり、視よ、爾孕みて男子を生まん、今酒と諸醪とを飲む毋れ、凡そ不潔の物を食ふ毋れ、蓋其子は胎よりして死の日に至るまで神の「ナゾレイ」と為らんと。マノエ神に祈りて曰へり、主よ、願はくは爾が我等に遣しし神の人復来りて、我等に生れんとする子に為すべきことを教へん。主の使来りてマノエに謂へり。我が爾の妻に言ひしことは、彼皆之を慎むべし、葡萄より出づる者は、彼食ふべからず、酒と諸醪とを飲むべからず。マノエ主の使に謂へり、爾の名は何ぞ、爾の言の成らん時、我等爾を尊栄せん為なり。主の使彼に謂へり、爾胡為れぞ我の名を問へる、我が名は奥妙なり。遂に主の使はマノエ及び其妻に見えずなれり。

   イサイヤの預言書の讀。4041454854章)。

主是くの如く言ふ、慰めよ、我の民を慰めよ、神之を言ふ、司祭等よ、イエルサリムの心に語り、呼びて彼に告げよ、其服役の期已に終り、其罪已に釋かれたり、其諸の咎に因りて彼は主の手より倍して受けたりと。野に呼ぶ者の聲ありて云ふ、主の道を備へ、其径を直くせよ。シオンに福音する者よ、高き山に登れ、イエルサリムに福音する者よ、爾の聲を強くせよ、聲を揚げて懼るる毋れ。我主神、我はイズライリの貧しき者に聴きて、彼等を棄てざらん、我山に川を開き、谷の中に泉を出し、荒野を池と為し、乾ける地を水の源と為さん。天は上に歓ぶべし、雲は義を滴らすべし、地は啓けて慈憐を生じ、義も共に産すべし。歓の聲を以て之を宣べ、之を傳へよ、地の極に至るまで此の報信を弘めよ、主は其僕イアコフを贖へりと云へ。彼等曠野に於て渇かば、彼等の為に石より水を流さん。妊まず、生まざる者、楽しめ、産に苦しまざる者、聲を揚げて呼べ、蓋棄てられたる婦は、夫ある者に較ぶれば、更に多くの子あり。

   「リティヤ」に讃頌、第一調。

山よ、甘味を滴らせよ、邱よ、羔の如く躍れ、蓋エリサワェタより我等と偕に居らんとする主の前駆、其誕生を以て父の無言を解きたる者は生れたり。故に我等も彼に呼ぶ、ハリストスの授洗者よ、我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

神を示す聲、光の燈臺、主の前駆、ハリストスに證せられし諸預言者の中に第一なる者、世界の為に祈祷を為す者よ、特に爾の牧群を記憶して、其害なく救はれんことを求め給へ。

預言者及び前駆イオアンよ、爾は神の羔及び言の傳道師と為りて、未来の事を預言し、四極に宣べ傳ふ、視よ、神の羔、世の罪を任ひて、衆に大なる憐を賜ふ者なり。

   光榮、第五調。(クリトのアンドレイの作)。

諸預言者の畛域(さかい)及び使徒等の始端、地の天使及び天の人、言の聲、ハリストスの軍士及び前駆、許約に因りて躍りて、未だ生れざる前に義の日を傳へし者を、今日エリサワェタは生みて悦ぶ。老いたるザハリヤは奇として、おうしを械繋(かせ)の如くに解きて舎き、聲の父として最明に預言す、子よ、爾は至上者の預言者と稱へられん、蓋彼の面前に行きて、其道を備へんと。故に天使、預言者、使徒、軍士、前駆、授洗、悔改の傳道師、及び光に導く者よ、言の聲として、我等熱信に爾の記憶を行ふ者の為に常に祈り給へ。

   今も、同調。

最尊き童貞女よ、爾は殿及び門なり、宮及び王の寶産なり。我が贖罪主ハリストス、義の日たる主は其手を以て己の像に従ひて造りし者を照さんと欲して、爾に藉りて闇冥に眠る者に現れ給へり。故に讃め歌はるる者よ、彼の前に母の勇敢を獲たる者として、我等の霊の救はれんことを恒に祈り給へ。

   挿句に讃頌、第二調。

預言者よりする預言者、胎の荒れたる者の萌芽、婦の生みし者の中衆に超えたる者、野の居民、光榮なるイオアンを聖詠と歌頌と属神゜の詩賦とを以て讃詠して、彼に呼ばん、救世主の授洗者及び前駆よ、勇敢を有つ者として、爾の尊き誕生に於て、ハリストスに祈りて、世界に平安、我等の霊に大なる憐を賜はんことを求め給へ。

句、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為せり。

言の恩寵の聲、日の傳道師、許約に由りて胎の荒れたる石婦より今日生れし前駆イオアンは来れり。人々よ、喜べ、彼は我等に救の道を備へん為に来れり。世界の罪を任ひて、我等に大なる憐を賜ふ羔が猶母の腹に在る時に、彼は躍りて之を拝めり。

句、子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん。

母の腹よりして聖にせられ、預言の成就を受けし者は今日胎の荒れたる者より生れて、明に主の降臨を宣べて曰ふ、悔改せよ、蓋天國は邇づけり。

   光榮、第八調。(修道女カッシヤの作)。

今預言者イサイヤの聲は諸預言者の中に大なるイオアンの今日の誕生を以て應ひたり、蓋言へり、視よ、我、我が使を爾の面前に遣し、爾に先だちて爾の道を備へしめんと。此は天の王の軍士、先駆して實に我が神の為に径を直くせし者なり。彼は性に由りては人、度生に由りては天使なり、蓋全く潔浄と貞潔とを愛し、性に属することを性に違ひて避け、性に超えて勤労せり。我等信者皆彼の徳に效ひて.彼に我が霊の救はれんことを祈るを求む。

   今も、同調。

観よ、エリサワェタは童貞女マリヤに言ふ、我が主の母よ、何ぞ我に臨みたる、爾は王を孕めり、我は軍士を、爾は法を立つる者を、我は法を宣ぶる者を、爾は言を、我は天國を傳ふる聲を孕めり。

餅の祝福に讃詞、第四調、二次。(小晩課に載す)。及び「生神童貞女よ、慶べよ」、一次。

 

早課

「主は神なり」に前駆の讃詞、第四調、ハリストスの降臨の預言者及び前駆よ」、二次。

   光榮、今も、「是れ古世より隠されて」。

   「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第四調。

今我等の為にザハリヤの芽は生じ、野の飾及び諸預言者の畛域は信者の念と意とを楽しましむ、蓋ハリストスの前駆其降臨の偽なき證者は現れたり。故に我等は心を一にして属神゜の歌を以て授洗者に呼ばん、眞實の預言者及び傳道師よ、我等の救はれんことを祈り給へ。二次。

   光榮、今も、生神女讃詞。

生神女よ、イオシフは性に超ゆる爾の種なき懐孕を見て驚き、意を羊の毛に降りし雨、火に焚かれざりし棘、アアロンの花を發きたる杖に留め、爾の聘定者及び保護者として、司祭等に證して呼べり、童貞女は生む、生みて後にも猶童貞女に止まり給ふ。

   第二の誦文の後に坐誦讃詞、第八調。

ハリストスの降臨の始なる讃美たるイオアン、諸預言者の首よ、爾は實に奇妙に生れて、言の聲として呼べり、悔改せよ、天國は邇づけりと。故に授洗者及び使徒よ、爾は主の途を備へて、四極の為に恩寵の前駆と現れたり。愛を以て爾の聖なる記憶を祭る者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

   光榮、今も、生神女讃詞。

至聖なる童貞女、ハリストスの母よ、祈る、我が霊の甚しき諸慾を醫し、我に諸罪の赦を與へ給へ、我不當の者は無智に此等を行ひて、霊と體とを汚せり。悲しい哉我や、天使が我の霊を我が慾に耽りたる體より離す時、我何をか為さん、其時我の為に扶助者及び熱切なる轉達者と為り給へ、我爾の僕は爾を倚頼とすればなり。

   多燭詞の後に坐誦讃詞、第八調。

父は喜ぶべし、母は楽しめ、爾今日許約に因りて預言者、神の召したる前駆を地に生みたればなり。胎の荒れたる者は赤子なる授洗者を養ひ、ザハリヤは喜びて生れし者に謂ふ、大なる光の燈臺よ、爾が地に来るに因りて我の舌は解かれたり、實に至榮の奇蹟なる哉。二次。

   光榮、今も、生神女讃詞。

潔き生神女よ、我等恒に爾に感謝し、讃榮して爾に伏拝す。恩寵を蒙れる者よ、我等爾の産を歌頌して、已めずして呼ぶ、至りて慈憐なる童貞女よ、我等を救ひ、至善なる者として、畏るべき審判の時に悪鬼の我等を罪するを免れしめ給へ、我等爾の諸僕が辱を被らざらん為なり。


讃歌
右、救世主の前駆イオアンよ、我等爾を讃揚して、爾が胎の荒れたる者よりする至榮なる誕生を尊む。
  次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為し、
左、我等の為に救の角を其僕ダワィドの家に興せり。
右、主は眞實を以てダワィドに誓ひて、之に背かざらん、
左、我彼處に於て.ダワィドに角を長ぜしめ、我が膏つけられし者の為に燈を立てん。 其裔は地の力あり、 正直の者の族は、祝福せられて、 彼の前に在りて、聖を以て、義を以て、生涯彼に事へしめん。 子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん、 蓋主の面前に行きて、其道を備へ、 彼の民に其救は我が神の矜恤に因ることを知らしめん。 此の矜恤に因りて、東旭は上より我等に臨めり、 我等の足を平安の道に向はしめん為なり。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。

   品第詞、第四調の第一倡和詞。

   提綱、第四調。

子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん。句、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為せり。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はルカ三端、「彼の日ザハリヤの妻エリサワェタ妊みて」、「其イズライリに顕るる日に至るまで野に居りき」。

   第五十聖詠の後に讃頌、第二調。

母の腹よりして聖にせられ、預言の成就を受けし者は今日胎の荒れたる者より生れて、明に主の降臨を宣べて曰ふ、悔改せよ、蓋天国は邇づけり。

   規程二篇

第一の規程。修士イオアンの作。「イルモス」と共に八句に。第四調。

   第一歌頌

イルモス、童貞女より生れし主よ、祈る、強き軍たる我が霊の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん為なり。

日に先だつ美しき暁の如く、胎の荒れたる者の萌芽は今明に全世界に童貞女の産を傳へ、敬虔と恩寵との光を以て四極に輝く。

至りて讃美たるイオアンよ、ザハリヤは至聖神゜に感ぜられて、爾子に呼ぶ、爾は實に至上者の預言者と稱へられん、蓋ハリストスの面前に行きて、造成主の為に道を備へん。

ザハリヤはガウリイルの言を聞き、神聖なる告に順はざる者と現れて、無言を以て定罪せらる、然れども俄に此より解かる、言の聲たる前駆イオアンが生れたればなり。   生神女讃詞

神の城邑、萬有の王の神に適ふ居處、貴き寶たる至りて無てんなる生神女よ、爾の嗣業、常に爾を崇め讃めて熱信に爾の産を尊む者を護り給へ。

第二の規程。クリトのアンドレイの作。六句に。同調。

   第一歌頌

イルモス、昔ファラオンの奴隷より逃るるイズライリを導きて、野に養ひし我等の救主神に歌はん、彼光榮を顕したればなり。

翁の無言は律法の文の奥密なる像を具ふ、蓋恩寵来りしに、モイセイは黙せり。睿智の寶の現れし時に衆の黙すは宜しきに合へり。

天使は上より現れて、殿に於て香を焚く司祭の前に立ちて呼べり、翁よ、我奇異なる産の福音を爾に攜へたり、蓋爾は胎の荒れたる者より産の果たるハリストスの授洗者を受けん。

翁よ、何ぞ訝る、何ぞ立ちて、之を爾に言ふ者を信ぜざる、爾に告ぐる者は人の形を具ふと雖、天使なり、故に暫くおうしと為りて、言の聲の生るるに至れ。

ザハリヤの黙は録されたる律法の黙の像を具へ、我に悔改の傳道師を示して云ふ、胎の荒れたる者には呼ぶ聲なる子は賜はる。

嗚呼ハリストスの前駆の至榮なる諸事や、我等の縛を解きて、萬民を照しし主を、襁褓に裹まるる前に識りたる者は、今日エリサワェタより生れて、父の聲を解く。   生神女讃詞

爾、神の居處、及び属神゜の梯、神が降りて、形を受けて、我等の性を天に登せし者よ、我等皆爾を救の轉達者として崇め讃む。

共頌、「我が口を開きて」。

   第三歌頌

イルモス、ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾、父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。

主宰の降誕は童貞女に由りて行はれ、愛すべき僕の誕生は老いたる無結果の母に由りて行はる、宜しきに合ひて奇蹟は奇蹟に先だつ。

老婦にして無結果なる者は童貞女母に安を問ひて、實に其産に由りて神の旨を以て彼の無結果の縛の解かれたるを覚れり。

   生神女讃詞

婚姻に與らずして身を取りたる神を生みし者よ、我諸慾の攻撃に荒らさるる者を固め給へ、至浄なる者よ、爾の外に助くる者なければなり。

   又

イルモス、雷を強め、風を作る主よ、我を固め給へ、我が忠信に爾を歌ひて、爾の旨を行はん為なり、我等の神よ、爾と均しく聖なる者なければなり。

ハリストスよ、エリサワェタは先に無結果にして、異邦民よりする爾の教会を形れり、神妙に生みて、又嘗て無結果たりし者の多くの子あるを示す。

ハリストスの預言者及び傳道師よ、爾は主の道を直くし、径を備へて、人々に悔改の果を示し、又度生の途を教へ給へり。

前駆よ、エリサワェタは今日喜びて爾を老いたる手に抱きて、誇りて呼ぶ、主我等の神よ、爾と均しく聖なるはなし。   生神女讃詞

我等の為に歓喜なる救世者生命を施す主を生みし者よ、爾は原祖の悲を解きたり。至浄なる生神女よ、爾の牧群の救はれんことを切に祈り給へ。

   坐誦讃詞、第八調。

言の聲なる前駆は生れて、明にザハリヤの聲を解き、且律法の無結果を衆に示して呼べり、地上の者、悔改せよ、蓋視よ、イイススは来り現れて、衆人を始の詛より脱れしめんと欲して、洗禮を以て光照す。實に至榮の奇蹟なる哉。

   光榮、第四調。

ザハリヤの子は光明なる日の如く我等にエリサワェタの腹より輝きて、父の無言を解き、大なる勇敢を以て衆人に呼べり、主の道を直くせよ、蓋主は彼に趨り附く者を解きて救はんと。イオアンよ、爾が傳へし者に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

   今も、生神女讃詞。

潔き者よ、爾は神聖なる爾の産を以て、諸慾の中に朽ちたる地上の者の死すべき性を新にして、衆を死より不朽の生命に起し給へり。故に至榮なる童貞女よ、爾が預言せし如く、我等皆職として爾を讃美す。

   第四歌頌

イルモス、光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、軽き雲に乗るが如く、朽ちざる手に抱かれ来りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に帰すと呼ぶ者を救ひ給へり。

ハリストスよ、秘密は言ひ難き諸の秘密に先だちて、天然の法の改易を以て、人々の不能の解かるること、彼等の新にせらるること、又神成せらるることを前兆す。

イサイヤは肉體を以て生れんとする子の為に父より天使等と均しき地上の天使の遣されんことを預言して云へり、視よ、我 我が使を爾の面前に遣す、彼は呼ばん、ハリストスよ、光榮は爾の力に帰す。

我は僕として主宰に役せん為に生れたり、我が来りて、其降臨を傳ふるは、胎の荒れたる老婦が芽を出して、童貞女の産を預徴せしが如し。

   生神女讃詞

至りて神聖なる父の言が馨香の満つる家に於ける如く、甘じて聖なる生神女の内に入りしに、其胎は損はれず、病に與らざりき、彼はエムマヌイルたる神及び人を生みたればなり。

   又

イルモス、ハリストス神よ、我爾の光榮なる摂理を聞けり、爾は童貞女より生れ給へり、主よ、光榮は爾の力に帰すと、呼ぶ者を迷より救はん為なり。

前駆及び傳道師よ、爾の誕生に因りて悔改の門は啓けたり、蓋爾は獨傳道して呼べり、悔改せよ、天國は邇づけり。

前駆よ、爾の誕生に因りて、童貞は固められ、貞潔は勝ち、野は楽しみ、世界は祝ふ。

エリサワェタは喜び、ザハリヤは復言ふ、二人ながら老ゆるに及びて、イオアンの聲に由りて新にせられ、又光照せらる。  生神女讃詞

獨母たる童貞女女宰よ、律法者は昔爾を焚かれぬ棘として見、ダニイルは聖なる山として仰ぎたり。

   第五歌頌

イルモス、神は預言して云へり、我今起き、今光榮を獲、今高く挙がりて、童貞女より受けたる陥りし者を我が神性の霊智なる光に挙げん。

地は至りて眞實なる傳道師を出せり、此れ神゜の舌を以て衆人に、童貞女の子として物質の身を以て天より我等に臨み給ふ義を傳ふる聲なり。

主は爾を至りて眞實なるハリストスの燈として置けり、爾は衆を照し、唯彼に敵する者に耻を衣の如く衣せ、いつはりなく神の言及び子を傳へ給ふ。

前駆よ、造物皆爾の神聖なる誕生を楽しむ、蓋爾は地の天使及び天の人と現れて、我等に身を取りし天の神を知らせ給ふ。   生神女讃詞

父よりする者は爾より出で、永在にして分れざる神の言及び獨生の子は、季の日に童貞女及び聖神゜に由りて身を以て生れ給ふ。

   又

イルモス、主よ、爾の誡の光を我に耀かし給へ、我が神゜は朝早く爾に向ひて、爾を歌ふ、蓋爾は我等の神なり、我爾平安の王に趨り附く。

義の日よ、爾は星なる爾の授洗者イオアン、許約に由りて今日生れて、生みし者の聲を解きたる者を備へ給へり。

聖にせられし翁よ、告ぐる毋れ、逆ひて言ふ毋れ。蓋爾に言ふ者はガウリイル、天使首の中に第一にして、神の諸の秘密及び其我等に降ることを宣ぶる者なり。

翁よ、信ぜざる毋れ、爾は老年に於て子を生み、多くの者は其生るるに因りて悦ばん、蓋彼はイリヤの能力を以て来らんと許約する者は神なればなり。

預言者、傳道師、前駆、胎の荒れたる者より出でし萌芽、悔改の宣傳者、野の羊、光の燈臺よ、忠信に爾を尊む衆人の為に祈り給へ。   生神女讃詞

萬有の造成主の母女宰よ、我等爾を過られぬ門、焚かれぬ棘、爾より身を取りし者を象る石の截られたる山、手にて截られざる者として讃め歌ふ。

   第六歌頌

イルモス、我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり。慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。

爾は預言者として、母の腹に在りて神言を識り、母の舌を用いて、暗き宮の内に近づき難き光に照されて、神を讃榮す。

授洗者よ、爾は呼ぶ者の聲として、世界の救主に爾の誕生を歌ふ者の霊の無結果を解かんことを黙さずして祈り給へ。   生神女讃詞

天軍が畏なくして見る能はざる生神女よ、爾の潔き胎は近づき難き神性の居處と現れたり。

   又

イルモス、意念(おもい)の暴風は我に及びて、我を無量の罪の深處に下す、仁慈なる嚮導者よ、すみやかに我を助けて、預言者の如くに救ひ給へ。

今日野の居民たるイオアン、悔改の傳道師、恩寵の眞の證者、言の前駆、日に先だちて輝く星は生れ給ふ。

前駆よ、今日爾の誕生を以て斧は鍛へられて、無結果の霊に斫らるるを示す、今日諸徳の果を結ぶ霊は固めらる。

イオルダンはイオアンが荒れたる胎より生れしを聞きて、喜びて躍り、海は祝ひて浪たつ。

燈臺は光の来るに先駆して、神の羔たる救世主、全地を照す者、萬有より預祭に定められし者を傳へたり。   生神女讃詞

至りて無てんなる神の母、仁慈の淵を生みし者よ、爾の慈憐の海を以て我が諸慾の淵を覆ひて、我が霊に涙の雨を與へ給へ。

   小讃詞、第三調。

先に無結果なる者は今日ハリストスの前駆を生む。彼は凡の預言の充満なり、蓋諸預言者の傳へし者、此の者に彼はイオルダンに於て手を按せて、神の言の預言者、傳道者、共に亦前駆と現れたり。

   同讃詞

我等今主の前駆を讃め揚げん。エリサワェタは司祭に彼を荒れたる胎より生みたれども、種なきに非ず、蓋獨ハリストスのみ種なくして過られぬ所を過れり。無結果の者はイオアンを生めり、然るに夫なく生みしに非ず、惟潔き童貞女は父及び聖神゜の庇蔭に由りてイイススを生み給へり。然れども荒れたる胎よりせし者は種なくして生れし者の為に預言者、傳道者、共に亦前駆と現れたり。

   第七歌頌

イルモス、三人の少者はワワィロンに於て窘迫者の命令を空言と為して、焔の中に呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

嗚呼前駆よ、先に凡の地上の者の性は幽闇の中に在りしに、爾は暁として現れて呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

前駆よ、爾が胎の荒れたる者よりせし光榮なる誕生は凡の病める性を醫して歌はしめたり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

前駆よ、爾は胎の荒れたる者より生れたり、蓋律法が果を結ばざるに、眞の恩寵は来りて、衆をしてハリストスに歌はしむ、主我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。   生神女讃詞

祝福せられたる童貞女よ、我等爾に祈る者の為に祈り給へ、蓋我等皆爾を頼みて、爾に呼ぶ、女宰よ、爾の諸僕を棄つる勿れ。

   又

イルモス、アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焔よりも強く敬虔の愛に、かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讃めらる。

前駆よ、ザハリヤは暫時無言にして、文の無言を象り、爾の誕生に由りて復言ひて、至榮に神の恩寵を示す。

先に子なき至りて尊きエリサワェタは教会を象る、此れ嘗て祭のみありて、今は産を以て誇る。

今日前駆の誕生にて属神゜の斧は磨がる、此に因りて諸慾の発動は悉く斫られ、悔改の果は奥密に榮ゆ。

前駆イオアンよ、我等爾を舊新の轉達者、ハリストスの為に径を直くし、属神゜の箕を以て諸罪の禾場を浄むる者として尊む。

我等皆日なるハリストス我が神の前に行きし光榮なるイオアン、胎の荒れたる母より出でし者を、星、前駆、及び悔改の傳道者として歌ひ讃めん。

   生神女讃詞

生神童貞女よ、種なく爾の腹に入り、言ひ難き至極の謙遜に由りて生れて、我等の為に貧しくなりし者に、衆の為に息めずして祈り給へ。

   第八歌頌

イルモス、衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焔の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讃めよ。

モイセイは立法者にして役者たりき、イイススは新約の神なり。今両の者の轉達者として前駆は歌ふ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

野の腹より班鳩は来り、神の樹えたる林は今彼をハリストスの前駆として教会に送りて、歌はしむ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

捧神の人々、聖なる民よ、ハリストスの班鳩に效ひ、貞潔に世を送りて、欣びて歌へ、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。  聖三者讃詞

我等は三数の光に照され、造られざる惟一の神性を黙さざる口を以て尊みて、熱信に呼ばん、主の悉くの造物は壬を崇め讃めよ。

   又

イルモス、主宰よ、爾は智慧を以て萬有を合成し、親ら知るが如く、地の基を無量の水の上に固め給へり、故に我等皆歌ひて呼ぶ、主の造物は絶えず主を崇め讃めよ。

前駆よ、爾は生るる前、襁褓に裹まるる前に、ハリストス生命を施す者を識りて、彼を拝み、喜び躍るを以て之を示して、ハリストス我が神を歌ふ為に母の舌を假りて、爾の主と名づけ給へり。

今日地の四極は慶賀し、諸天使及び義者の霊は喜び、生ける者は楽しむ、死者は生れたるイオアンの彼等に来れるに由りて、彼より萬衆の救世主の事の福音を受けん。

今日イオルダンは、度生に於て天使とrしき者、主の道及び径を直くし、世界を洗せし者が胎の荒れたる老婦より生るるを聞きて、イオアンに似て、急流を以て喜び躍れり。

今日ザハリヤは預言者及び前駆の神に名づけられし名を簡に書して、無言にして呼べり、老いたる時に我に生れし者はイオアンと名づけらるべしと。許約に因りて生れし者には奇異なる名は宜しきに合へり。

   生神女讃詞

童貞女よ、爾の民は爾を確なる慰藉、耻を得ざる倚頼、破られざる垣、神聖なる轉達として有ちて、爾を讃栄し、救はれて熱切に呼ぶ、主の悉くの造物は常に主を崇め讃めよ。

   第九歌頌

イルモス、至浄なる童貞女よ、神の言ひ難き秘密は明に爾に於て行はる、蓋神は慈憐に由りて爾より身を取りて生れ給へり。故に我等爾を生神女として崇め讃む。

視よ、前駆の聲は結果なき荒れたる心に向ひて呼ぶ、今ハリストスの道を備へよ、彼光榮を以て臨めばなり。我等彼に順ひて、彼を崇め讃む。

前駆よ、爾昔至聖神゜に藉りて、明に世の罪を任ふ羔たる神の子を傳へし如く、爾の牧群の為に諸罪の赦を求め給へ。   聖三者讃詞

我等信者は三数の惟一者、一性の三者、神に適ふが如く我等を照し、暮れざる光の光線にて我等の霊を満たし給ふ神を熱信に歌ひて、崇め讃む。

   生神女讃詞

萬物の女宰たる者よ、爾の民に勝利を與へて、敵する者を教会に従はしめ給へ、我等が爾を生神女として崇め讃めん為なり。

   又

イルモス、権能者は我に大なる事を成せり、其名は聖なり、其矜恤は世々彼を畏るる者に臨まん。

司祭よ、神は爾に於て此の大にして至榮なる休徴を行へり、爾は年老いて子を生み、生殖の能已に枯れて前駆を生む。

胎の荒れたる者は聞きて、神を歌頌すべし、蓋視よ、エリサワェタは呼ぶ、我年老いて子を生み、生殖の能已に枯れて前駆を生む。

ザハリヤよ、楽しめ、今神の為に喜べ、蓋視よ、エリサワェタは乳を以て養ふ、彼は年老いて子を生み、生殖の能已に枯れて前駆を生めり。

胎の荒れたる者に年老ゆるに及びて果を與へ、翁及び預言者に、備へられたる民を主に進むる神聖なる前駆たる子を賜ひし神に光榮は帰す。

   生神女讃詞

父の懐に居る者は爾の内に入り、爾に苦なく害なく生れて、慈憐に由りて我等を父及び聖神゜に攜へ給へり。

   光耀歌

今日前駆の喜ばしき誕生は父の無言の憂及び生みし者の無結果を解き、衆に喜と楽とを示す。故に造物皆欣然として之を祭る。二次。

   生神女讃詞

至浄なる生神女よ、爾の子萬有の神を聖神゜に感ぜられて預言者は宣傳し、使徒は傳教し、致命者は明に承け認めたり。彼等と偕に我等爾に因りて古の定罪を免れし者は爾を崇め讃む。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、四句を立つ。第八調。

嗚呼至榮なる奇蹟や、神言の宣傳者イオアンは今日年老いたる母より出で、縛られたる舌を誕生を以て最明に言ふ者と顕す。嗚呼主宰よ、言ひ難き哉爾の慮。ハリストスよ、此を以て我等の霊を救ひ給へ、爾獨慈憐の主なればなり。

嗚呼至榮なる奇蹟や、婦の生みし者の中に最上なる預言者、イリヤの精神゜と能力とを以て主の道を直くせん為に来りし者は母の無結果の定罪を解く。嗚呼主宰よ、言ひ難き哉爾の仁慈。ハリストスよ、此を以て我等の霊を救ひ給へ、爾獨慈憐の主なればなり。

嗚呼至榮なる奇蹟や、ハリストスが人々の為に己を至りて卑くするを傳へし者は其聲にて彼を衆より最高き者と顕し、神聖の力を以て生みし者の無結果及びザハリヤの舌を解く。嗚呼主宰よ、大なる哉爾の諸奇蹟。ハリストスよ、此等に因りて爾の大なる前駆を尊む者を救ひ給へ。

嗚呼至榮なる奇蹟や、婦の生みし者の中に至りて上なる預言者及び前駆、諸預言者より最高き者、ハリストスの降臨の宣傳者、母の腹の内に喜び躍りし者は現る。嗚呼人を愛する主よ、至大なる哉爾の諸恩賜。ハリストスよ、此等に因りて我等の霊を救ひ給へ、爾は全能の主なればなり。

   光榮、第六調。(アナトリイの作)。

星の星たる前駆、神の至愛なるイオアンは今日荒れたる胎より地に生れて、ハリストスの暁、上よりの東を現す、信者が直き途を行かん為なり。

   今も、「生神女よ、爾は實の葡萄の枝」。

   大詠頌。發放詞。

 

聖體禮儀

眞福詞は、前駆の第一の規程の第三歌頌、四句に。第二の規程の第六歌頌、四句に。聖入の後、若しハリストス或は生神女の堂ならば、本堂の讃詞を誦す、次に前駆の讃詞。其後にハリストスの堂の小讃詞、光榮、前駆の、今も、生神女の堂の。若し生神女の堂ならずば、今も、ハリストスの堂の小讃詞。若しハリストスの堂にもあらずば、先づ前駆の讃詞を誦す。光榮、其小讃詞、今も、「ハリスティアニン」等の辱を得ざる轉達」。提綱、使徒及び福音経の誦読は唯前駆のを用いる。領聖詞も亦同じ。

   提綱、第七調。

義人は主の為に楽しみて、彼を恃まん。句、神よ、我が祷の時我が聲を聴き給へ。使徒の誦読はロマ書112端。「アリルイヤ」、第一調、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為せり。句、子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん。

福音經の誦読はルカ一端、我等の中に明に知られたる事、終は四端の中、其イズライリに顕るる日に至るまで野に居りき。

領聖詞、義人は永く記憶せられ、悪評を懼れざらん。

當日の常式の使徒及び福音経は、前日に誦読す。

知るべし、前駆イオアンの祭日若し主日に當らば、總べて主日のを先にす。