5月21日/6月3日

聖大帝亜使徒コンスタンティン

     及び聖太后亜使徒エレナの祭日


晩課

「主よ、爾にぶ」に祭日の讃頌三。

   次に聖人の讃頌五。第四調。

全能のイイスス、我が霊の救主よ、爾は我等の王に最堅固なる武器として、爾の尊き十字架を賜へり。彼は之に由りて義を以て地に王たり、敬虔を以て輝きて、爾の慈憐に因りて天の國を獲たり。彼と偕に我等は爾の仁愛なる摂理を讃榮す。

全能のイイスス、我が霊の仁愛なる救主よ、爾は諸王の王、諸主の主として、爾の敬虔なる役者にソロモンの智慧、ダワィドの温柔、使徒の正教を賜へり。故に我等は爾の仁愛なる摂理を讃栄す。

常に記憶せらるる王よ、爾はハリストスを承け認めて、神と為し、萬有の王、衆の恩者、凡の首領に勝り、凡の権柄に超ゆる主と為して、第一の者として自由に之に緋袞衣を順はしめたり。之に因りて、ハリストスを愛する者よ、仁愛なるイイスス、我が霊の救主は爾の為に國を治め給へり。

   光榮、第二調。(ワィザンティイの作)。

大権の王、最大なるコンスタンティンよ、爾は神より豊盛なる賜の最善き者を受けて、善く之に進歩せり。蓋成聖者シリワェストルより洗を受けて、至聖神゜の光に照されて、王の中に勝たれぬ者と現れ、全地及び王城を礼物として敬虔に爾の造成主に獻げ給へり。故に爾の記憶を行ふ衆人に諸罪の赦と大なる憐とを賜はんことを息めずしてハリストス神に祈り給へ、彼の前に勇敢を有てばなり。

   今も、祭日の。

   聖入。本日の提綱。喩言。

   列王紀の讀。(第3巻8章)。

ソロモンはイズライリの全会衆の前に當り、主の祭壇の前に立ちて、其手を天に舒べて曰へり、主イズライリの神よ、上は天に、下は地に、爾の若き神なし。若し天及び諸天の天爾を容るるに足らずば、况んや我が爾の名に託して建てたる此の家をや。然れども主イズライリの神よ、我が祈を眷みて、今日爾の僕が爾の前に祈る所の祈願と祈祷とを聴き給へ、願はくは爾の目は晝夜斯の家に、即爾が我の名は彼處に在らんと云ひし處に向ひて開かれん。求む、爾の僕が此の處に祈らん祈祷を聴き給へ。爾の僕及び爾の民イズライリが此の處に爾に祈らん時に、其懇願を聴き給へ、爾の居る所に、天に聴き、之を聴きて憐を垂れ給へ。

   イサイヤの預言書の讀。612章)。

我歓喜を以て主の為に歓び、我が霊は我が神の為に楽しまん、蓋彼は我に救の衣を衣せ、義の上衣を纏はせ、我に新娶者の如く冠を戴かせ、新婦の如く美飾を以て飾れり。蓋地が其芽を出し、園が播きたる者を生ずる如く、是くの如く主神は義と光栄とを萬民の前に顕さん。我シオンの故に縁りて黙さず、イエルサリムの故に縁りて息はずして、其義は光の如く出で、其救は燃ゆる燈の如くなるにばん。諸民爾の義を見、諸王皆爾の光栄を見て、爾に新なる名、主の口の稱へんとする者を名づけん。爾は主の手に在りて、光栄の冠と為り、爾の神の掌に在りて王の冕と為らん。人復爾を棄てられし者と稱えず、復爾の地を荒れたる者と稱えざらん、乃爾を我の悦べる者、爾の地を配偶したる者と稱えん、蓋主は爾を悦び、爾の地は配偶を得ん、年少者が處女と配偶する如く、是くの如く爾の諸子は爾と配偶せん、新娶者が新婦の為に悦ぶ如く、此くの如く爾の神は爾の為に悦ばん。

   イサイヤの預言書の讀。60章)。

イエルサリムよ、光り、光れよ、蓋爾の光は来り、主の光栄は爾の上に輝けり。視よ、暗は地を蔽い、昏黒は諸民を蔽わん、然れども爾の上には主輝き、其光栄は爾の上に顕れん。諸王は爾の光に来り、諸民は爾の上に升る所の輝煌に来らん。爾の目を挙げて周辺を視よ、彼等皆集まりて爾に来る、爾の男子は遠方より来たり、爾の女子は手に抱かれて攜へらる。其時爾見て喜び、爾の心は躍りて廣まらん、蓋海の富は爾に帰し、諸民の貨財は爾に来らん。衆多の駱駝、マディアム及びゲファの小駱駝は爾を蔽わん、彼等皆サワより来り、黄金と乳香と寶石とを攜へて、主の光栄を傳えん。キダルの羊は悉く爾に集まり、ナワェヲフの牡羊は爾に来り、納れらるべき祭として我が祭壇に登り、我が祈祷の家は栄せられん。雲の飛ぶが如く、鴿の其に帰るが如く飛び来る者は誰ぞ。然り、諸島は我を俟つ、ファルシスの舟は其先に在り、遠方より爾の諸子、亦彼等と偕に其金銀を、主爾の神、イズライリの聖者の名に因りて、攜へ至らん為なり、蓋彼は爾を栄せり。其時外人の諸子は爾の垣を築き、其諸王は爾に事へん、蓋我怒に於ては爾を撃てり、恩に於ては爾を矜まん。爾の門は常に啓かれ、晝も夜も閉されず、諸民の貨財の爾の中に攜へられ、其諸王の導かれて来らん為なり。蓋爾に事ふるを欲せざらん諸民と諸王とは亡び、此くの若き諸国は全く荒らされん。リワンの光栄は爾に来り、松と杉と黄楊樹とは共に来りて、我が聖所の處を飾り、我は我が足を置く所を栄せん。爾を苦しめし者の諸子は服して爾に来り、爾を藐りし者は皆爾の足下に拝し、爾を主の城、イズライリの聖者のシオンと稱えん。爾曾て棄てられ、憎まれて、爾を過ぐる者なきに至りしが、之に代へて我爾を永遠の華美、世々の歓楽と為さん。爾は諸民の乳を哺ひ、諸王の冨を食ひ、而して我が主爾の救者、爾の贖罪者、イアコフの全能者たるを知らん。

   「リティヤ」に本堂の讃頌。

   次に聖人の、第一調。

使徒とrしきコンスタンティン、衆王の基礎及び美誉よ、我等は職として爾の記憶を行ふ。蓋爾は聖神゜の光に照されて、ハリストスの全教会を明にせん為に、光明なるニケヤの邑に於て四方より信者の會を集め給へり。彼處には不虔者の驕傲は破られ、異端者の舌は弱りて、愚を顕し、正しき教は輝きて、正教の者の榮冠は高くなれり。故に爾は彼等より熱心なる正教者と讃栄せられて、衆王の父と傳へられたり、第一の者として神より緋袞衣を受けたればなり。是を以て我等忠信に爾の記憶を行ふ者は爾に祈る、我が霊の為に諸罪の潔浄を求め給へ。

   第二調。(ワィザンティイの作)。

至榮なるコンスタンティンよ、爾は人より召を受けしに非ず、乃神聖なるパワェルの如く、之を上よりハリストス神より蒙れり、蓋十字架の記號を天に見て、之を以て至りて善き獲として得られたり。之に由りて又見ゆると見えざるとの敵に對して勝たれぬ勝利者と現れたり。故に我等地上の者は宜しきに合ひて爾の記憶を尊みて、爾を熱心なる祈祷者として求む、勇敢を以て我等に光照と、潔浄と、大なる憐とを賜はんことを祈り給へ。

敬虔なるコンスタンティンの記憶は、傾くる香料の如く今日顕れたり、蓋彼はハリストスを慕ひて、偶像を棄て、地上に我等の為に十字架に釘せられし者に奉る聖堂を建て、天上に冀望の榮冠を受け給へり。

   第三調

諸王の美誉なる者よ、爾は少年の時を送りて、神聖なるパワェルの如く、上より神の恩賜を受け、十字架の完全なる武器を以て甚しき敵の強暴を斃し給へり。使徒とrしきコンスタンティンよ、我等の霊の救はれんことを主に祈り給へ。

   第四調

讃揚せらるるコンスタンティンよ、爾の神聖なる記憶に於て神に獻る讃美は塵土の口より歌はる。蓋爾は信じたる言の最端正なる軍士と現れて、拝偶像の虚無を辱かしめたり。今聖三者の光明の中に在りて、爾の祈祷を以て我等の思念を照し給へ。

   光榮、第五調。

王よ、教会は今日爾の権柄に飾られて、奥密に楽しみ、宜しきに合ひて爾の至尊なる記憶を讃め揚げて呼ぶ、熱心にパワェルに效ひて、ハリストスの十字架を任ひ、敵の網を破りし者よ、慶べ。君王の中に至りて秀でたる者、使徒と同尊なる者よ、慶べ、信者の堅固、諸王の防護よ、慶べ。福たるコンスタンティン、諸王の飾よ、勇を有つ者として我等の為に息めずして主に祈り給へ。

   今も、祭日の、或は生神女讃詞。

   挿句に讃頌、第二調。

コンスタンティンよ、爾は「ハリスティアニン」等の中に第一の王として、神より帝笏を受けたり、蓋地の中に隠れたる救を施す記號は爾に現れたり。爾は此を以て衆民をロマの足下に服せしめ給へり。福たる者よ、爾は生を施す十字架を破られぬ武器として有てり、此を以て爾は我等の神に攜へられたり。

句、我は民より選ばれし者を挙げたり、我我が僕ダワィドを獲たり。

世界の慕ふ所の君王、神より栄冠を冠りしコンスタンティンよ、爾を孕みし腹は實に福なり、爾を宿しし胎は實に聖にせられし者なり。爾は「ハリスティアニン」等の歓喜、ロマ人の光榮、孤子と寡婦との保護、貧者の富、迫害せらるる者の覆庇、憂患に在る者の慰藉、俘囚と為りし者の拯救なり。

句、故に神よ、爾の神は爾に歓の膏を傅けたり。

至愛なる子の母は渇望とハリストスを愛する愛とに感傷せられて、急ぎて、聖なるシオン、我が救世主が、我等を救はん為に甘じて釘せられし聖なる處に来り、彼處に十字架を執りて、歓びて呼べり、光榮は我が望みし所を我に賜ひし主に帰す。

   光榮、第八調。

至りて輝ける光、没せざる王星は不信より神を信ずる信に移りて、民と城邑とを聖にせん為に導かれ、天に十字架の象を見て、彼處より聴けり、此を以て爾の敵に勝てと。故に正教の諸王の父よ、爾は聖神゜より智慧を受けて、傅膏せられし司祭及び王にして、傅膏を以て神の教会を固め給へり。其柩を以ても醫治を流す王、使徒とrしきコンスタンティンよ、我等の霊の為に祈り給へ。

   今も、祭日の。

   讃詞、第八調。

主よ、諸王の中なる爾の使徒、爾の十字架の象を天に見、パワェルの如くに其召を人よりするに非ずして蒙りし者は、王たる城を爾の手に託せり。獨人を愛する主よ、生神女の祈祷に依りて、常に之を平安に護り給へ。

 

早課

「主は神なり」に祭日の讃詞、二次。

   光榮、聖人の、今も、祭日の。

   「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第三調。

光榮なる者よ、爾は新なるダワィドと為りて、上より帝王の位の傅膏を爾の首に受けたり、蓋永在の言及び主は聖神゜を以て爾に傅膏し給へり、彼より帝王の笏は爾に授けられたり。睿智者よ、我等の為に大なる憐を求め給へ。二次。

   光榮、今も、祭日の、或は生神女讃詞。

言の神聖なる幕と為りし獨一至浄なる母童貞女、潔浄を以て天使等に超えたる者よ、我塵土にして、肉體の罪悪を以て衆人よりも多く穢れたる者を、爾の祈祷の神聖なる水を以て浄めて、潔き者よ、我に大なる憐を垂れ給へ。

   第二の誦文の後に坐誦讃詞、第六調。

至りて敬虔なるコンスタンティン王よ、日及び萬物の造成者、十字架に懸りたる主は、爾を光明なる星として、天より星の十字架を以て引き寄せて、爾第一の者に帝王の権を授け給へり。故に我等爾を神智なる爾の母エレナと共に崇め讃む。二次。

   光榮、今も、祭日の、或は生神女讃詞。

生神女よ、ゲデオンは爾の受孕を預徴し、ダワィドは爾の産を述ぶ、蓋雨が羊の毛に降りし如く、言は爾の腹に降り、爾は、恩寵を蒙れる者よ、聖なる地として、世界の拯救、ハリストス我等の神を種なく生じ給へり。

   多燭詞の後に坐誦讃詞、第四調。

神に感ぜらるるコンスタンティンよ、爾の吉徴の記憶は我等に現れて、神を識る知識の光を以て四極を照す、蓋爾は諸王の中に敬虔なる者と現れて、天の王の法を守り給へり。故に爾の祈祷を以て我等を誘惑より救ひ給へ。二次。

   光榮、今も、生神女讃詞。

潔き者よ、爾は神聖なる爾の産を以て、諸慾の中に朽ちたる人々の死に属する性を新にして、衆を死より不朽の生命に起し給へり。故に我等皆職として爾が、至りて讃美たる童貞女よ、預言せし如く、爾を崇め讃む。

   品第詞、第四調の第一倡和詞。

   提綱、第四調。

我民より選ばれし者を挙げたり。句、故に神よ、爾の神は爾に歓の膏を傅けしこと、爾の侶に勝れり。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はイオアン36端。

50聖詠の後に、光榮、「神の戴冠者なる王等の祈祷に依りて、憐深き主よ」。今も、「生神女の祈祷に依りて」。次に「神よ、爾の大なる憐に因りて」。其後讃頌、「敬虔なるコンスタンティンの記憶は」。「リティヤ」に見ゆ、520頁)。

規程は祭日の、六句に、及び聖人の、八句に。

   聖人の規程、第八調。

   第一歌頌

イルモス、イズライリは乾ける地の如く水を過り、エギペトの禍を免れてべり、我が救主及び神に歌はん。

惟一なる天の王よ、爾の役者の祈祷に因りて、我が卑微なる霊を今我の内に王たる罪より釋き給へ。

福たるコンスタンティンよ、爾は上なる國を慕ふ者と為りて、萬有の王及び主宰を信じて、潔き念を以て之に奉事せり。

神智なるエレナよ、爾は神元の光に照されて、實に無智の闇を棄てて、熱心に萬世の王に事へたり。 生神女讃詞

神聖なる東の門よ、我に痛悔の門を啓き給へ。女宰よ、爾の轉達を以て死を致す罪の門より我を脱れしめ給へ。

   共頌は祭日の「イルモス」。

   第三歌頌

イルモス、主天の穹蒼の至上なる造成者、教会の建立者、冀望の極、信者の固、獨人を愛する者よ、我を爾の愛に堅め給へ。

神智なる王よ、爾は天の應報を獲んと欲して、召す者に従ひ、先祖より傳はりたる迷の闇を遺てて、聖神゜に因りて燈と為り給へり。

最尊きエレナよ、爾は親しくハリストスに著き、悉くの冀望を彼に負はせて、仁慈なる主が肉體を取りて、至浄なる苦を忍びし聖なる處に至り給へり。

神福なる者よ、爾は神聖なる愛に燃されて、救の武器、破られぬ勝利の記號「ハリスティアニン」等の冀望、尊き十字架、猜忌に因りて隠されたる者を顕し給へり。   生神女讃詞

至浄なる者よ、我聖なる度生に離れ、獣の如くなりて、全く定罪に服せし者を、爾は、審判者を生みし者として、我を凡の定罪より脱れしめて救ひ給へ。

   祭日の小讃詞及び同讃詞。

   次に坐誦讃詞、第八調。

爾は感覚を天に挙げ、星の美観に馴れて、此等より奥密に萬有の主を学べり。故に十字架の武器は中天に輝きて、此を以て勝ちて権を乗れと書せるに、爾は霊の目を啓きて、文を讀み、象を習へり。至尊なるコンスタンティンよ、愛を以て爾の聖なる記憶を祭る者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

   光榮、今も、祭日の、或は生神女讃詞。

神の母よ、爾は焚かれずして爾の胎に睿智及び言を孕みて、世界を保つ者を世界に生めり、萬有を載せ、衆を養ひ、造物を造りし者を爾の手に載せ給へり。故に至聖なる童貞女よ、我熱心に爾を讃榮して爾に祈る、我を諸罪より脱れしめ給へ。女宰潔き生神女よ、審判の日に於て、我が造成主の顔の前に立たん時に、爾の祐助を我に予へ給へ、爾は、讃美たる者よ、欲する所能せざるなければなり。

   第四歌頌

イルモス、主よ、我爾が摂理の秘密を聆き、爾の作為を悟り、爾の神性を讃榮せり。

コンスタンティンよ、主ハリストスは爾を、昔パワェルに於けるが如くに、天より執へて、斯の惟一の王を尊まんことを教へ給ふ。

福たる者よ、日なるハリストスは星の最光明なる記號を以て爾を照して、昧まされたる者の為に燈と顕し給へり。

福たるエレナよ、爾は風教にては神を愛する者、敬虔なる行にては神妙なる者たりき。故に我等熱信に爾を讃榮す。

我等が救はれて、悪魔の迷より脱れたる縁由の十字架の神聖なる勝利の徽號、多年隠れたる者を、爾今顕し給ふ。   生神女讃詞

義の日を生みし永貞童女よ、諸罪にて昧まされたる我が霊を照し給へ。

   第五歌頌

イルモス、主よ、我等夙に興きて爾にぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外他の神を知らず。

神智なる王よ、爾は夙に興きて、入らざる日及び主宰に向ひて、光に満たされたり。

エレナよ、爾は愛と完全なる慈憐とを緋袞衣の如くに衣て、今上なる國に入り給へり。

爾は道徳の行を以て神の悦を得て、無形なる品位に配せられたり。

   生神女讃詞

童貞女よ、蛇の誘惑に因りて肉體の逸楽に汚れたる我が霊を潔め給へ。

   第六歌頌

イルモス、我祷を主の前に灌ぎ、我が憂を彼に告げん、我が霊は悪に満ち、我が生命は地獄に近づきたればなり。我イオナの如く祈る、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。

コンスタンティンよ、爾は神妙に捧神なる諸神゜父の福たる會を集めて、彼等に因りて衆人の動ける心を堅めて、言を其父と同尊同座なる者として讃栄せしめたり。

エレナよ、爾は生活にして衆に生命を賜ふ主を信じ、憎むべき虚しき偶像の死を致す奉事を棄てて、欣ばしく天の國を受け給へり。

言よ、爾に依りて王たりし者は爾の手に導かれて、無智の最深き闇と厭ふべき無神の暴風とを避けて、欣ばしく敬虔の穏なる湊に送られたり。

   生神女讃詞

童貞女よ、凶悪者の噛むに由りて大く傷つけられて、甚しく病める我が心を醫し給へ。至浄なる者よ、我を爾に事ふるに勝ふる者と為して、爾の祈祷を以て我爾を恃む者を救ひ給へ。

   小讃詞、第三調。

今日コンスタンティンは母エレナと共に最尊き木、衆イウデヤ人の辱、敬信なる諸王の敵に對する武器たる十字架を現す、我等の為に大なる徽號、戦に於て畏るべき者は示されたればなり。

   同讃詞

信者よ、我等コンスタンティンを母と共に尊まん。蓋彼等は預言者の言を聞きて、松と杉と黄楊との合せられたる十字架、救を施す苦の器を認め、衆イウデヤ人を集めて、人々に義を獲しむる大なる記號、彼等の猜忌と憎悪とに因りて隠されたる者を示さんことを促ししに、遂に之を獲て顕したり。故に衆に對して勝利を獲る者と為り給へり、破られぬ武器、大なる徽號、戦に於て畏るべき者を戴きたればなり。

   第七歌頌

イルモス、エウレイの少者は爐に在りて勇ましくを践み、火を露に變じてべり、主神よ、爾は世々に崇め讃めらる。

コンスタンティンは爾の命を守りて、爾の法に遵へり、故に不法の者の軍を斃して、爾にべり、主神よ、爾は崇め讃めらる。

神妙なる者よ、爾は衆を淪滅の坑より引き出しし木、猜忌に由りて埋まれ、淪滅を致す悪鬼を世々に埋む者を我等に現はし給ふ。

エレナよ、爾は神聖なる行を以て爾の心を神の堂と為して、彼の為に又其肉體を以て我等の為に至浄なる苦を忍びし諸處に聖なる堂を建て給へり。

   生神女讃詞

我己の意に随ひて罪を行ひ、厭ふべき風習の奴隷と為りたる者は今爾の大なる慈憐に趨り附く、至聖なる生神女よ、我望を失ひし者を救ひ給へ。

   第八歌頌

イルモス、ハルデヤの窘迫者は怒に堪へずして、敬虔の者の為に爐を七倍熱くしたれども、上の力にて其救はれしを見て、造物主と救世主に呼べり、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

光榮なる者よ、爾は緋袞衣の如くに慈憐を衣、袍の如くに良善なる温柔を被り、榮冠の如くに諸徳の完全なる智慧に妝はれて、地より上なる國に移りて呼ぶ、司祭よ、讃め揚げよ、民よ、ハリストスを世々に尊み崇めよ。

光榮なるエレナよ、我等は爾が神智なる子と偕に神の國に楽しめるを見て、爾等の尊き祭を我等に示ししハリストスを讃め揚ぐ。蓋此は日の光線よりも多く我等を輝かして、熱信に歌はしむ、民よ、ハリストスを世々に尊み崇めよ。

光榮なるエレナ、婦女の美誉よ、爾の冀望と爾の神聖なる行為とは何ぞ奇妙なる、蓋爾は萬有の主宰が尊き苦を受けし諸處に至りて、美しき堂を以て之を飾りて呼べり、民よ、ハリストスを萬世に尊み崇めよ。

   生神女讃詞

生神女よ、祈る、多くの罪にて昧まされたる我が霊の目を照し、我の智慧と多種の逸楽にて亂れたる心とを平安にして、我を救ひ給へ、蓋我呼ぶ、司祭よ、讃め揚げよ、民よ、潔き者を萬世に尊み崇めよ。

   第九歌頌

イルモス、天は懼れ、地の極は驚けり、神は身にて人々に現れ、爾の腹は天より廣き者と為りたればなり、故に天使と人々の群は爾生神女を崇め讃む。

コンスタンティンよ、爾の尊き聖躯の安息する柩は、信を以て之に就きて、爾を讃め揚ぐる者の為に常に神聖なる醫治を流し、諸慾の闇を拂ひ、暮れざる光を以て彼等を照す。

福たるエレナよ、爾は聖潔に爾の生命を終へて、今諸聖人と偕に居りて、成聖と光照とを満つ。故に常に醫治の川を流し、諸慾を沈め、我等の霊を潤し給ふ。

無原なる不死の王よ、爾は昔地上に王と為すを嘉せし所の、熱心に爾を愛せし聖なるエレナと大なるコンスタンティンとを上なる國を受くるに堪ふる者と為し給へり。彼等の祈祷に因りて我等衆に憐を垂れ給へ。

   生神女讃詞

潔き童貞女よ、爾は萬有の王及び造成主を孕みて生み給へり、視よ、今女王として其右に立ち給ふ。故に爾に祈る、審判の時に我を左の分より脱れしめて、右の羊の数に加へ給へ。

   光耀歌

神より戴冠せられしコンスタンティン及び光榮なるエレナよ、爾等は實に醇正の教を以て全地を照しし燈と現れたり。我等歌を以て、爾等を榮せしハリストス、諸聖人の中に奇異なる主を崇め讃む。

   光榮、又、

大なるコンスタンティンは母と共に王の権を人よりするに非ずして、神の恩寵より受け、天より照されて、十字架の神聖なる勝利の記號を見たり、此を以て諸敵を破り、偶像の迷を滅して、世界に醇正なる教を堅め給へり。二次。

   今も、祭日の。

「凡そ呼吸ある者」に祭日の讃頌三。

   次に聖人の三。第八調。

睿智なるコンスタンティン、正教の泉、常に甘き流を普天下に飲ましむる者よ、慶べ、ハリストスの教会を養ふ果を生ぜし根よ、慶べ。四極の美誉たる至榮なる者、「ハリスティアニン」の諸王の第一の者よ、慶べ、信者の歓喜よ、慶べ。

睿智なる者よ、萬物の王は爾の心の柔順を預知して、爾無智の権下に在る者を霊妙に執へ、爾の思念を眞神の教の明悟を以て照して、至榮なる者よ、爾を世界に神聖なる行事の光線を放ちて、日の如く輝く者と顕し給へり。

讃美たる者よ、爾は選ばれたる地の如く、主の教を受けて、徳行の嘉き實、我等の思念を養ひて、爾の度生に效はしむる者を生じ給へり。睿智なるエレナよ、故に我等欣ばしく祝ひて、今日爾の記憶を祭る。

ハリストスよ、爾は爾の侶コンスタンティン及びエレナ、迷を悪みて、爾の美しきを慕ひたる者に霊妙に歓びの膏を傅けて、彼等先に爾の指麾に由りて、敬虔にして地に王たりし者を、言よ、爾の天の國に與る者と為し給へり。

   光榮、第八調。(總主教メフォディイの作)。

コンスタンティンよ、至當の者を豊なる恩賜にて飾る諸王の王及び神は親ら天より爾を、至榮なるパワェルの如くに、十字架の記號を以て執へて、此を以て爾の諸敵に勝てと言へり。爾は神智なる母と偕に之を尋ねて、望みし如く獲て、権を以て諸敵を敗北せしめたり。爾の母と偕に惟一人を愛する主に、我が皇帝、ハリストスを愛する皇軍、及び凡そ忠信に爾の記憶を行ふ者の為に祈りて、諸の災禍を免れしめ給へ。

   今も、祭日の。

   大詠頌。聯祷。發放詞。

 

聖體禮儀

眞福詞は、祭日の順序の歌頌、及び聖人の第六歌頌.四句に。

  提綱、第八調。

其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。句、諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作為を誥ぐ。使徒の詞讀はガラティヤ書200端。

若し本祭日五旬祭以内に在らば、使徒の誦讀は聖使徒行實49端。「アリルイヤ」、第一調、我は民より選ばれし者を挙げたり。句、主よ、王は爾の力を楽しみ、爾の救を歓ぶこと極りなし。

福音經の誦讀はイオアン35五端の半より。領聖詞、其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。