5月9日/22日

我が聖神゜父奇蹟者ニコライの尊貴なる

     不朽體をミラよりバル城に移しし祭日


晩課

第一「カフィズマ」の第一段を歌ふ。

「主よ、爾にぶ」に祭日の讃頌三。

   次に聖人の讃頌五。第八調。

光榮なる者よ、爾は最高き諸徳の天に升りて、ミラ城に奇蹟者と現れたり。ハリストスの福たる役者よ、爾は體にてはバル城に息ひ、神゜にては諸方に信者に臨み、衆を艱難より援けて、宜しきに合ひて尊敬を受けて、成聖者の中に讃榮せらる。我等今祈りて爾をび、熱切に言ふ、成聖者ニコライよ、衆人の救主に世界を平安にし、我等の霊を救はんことを祈り給へ。

祭を敬愛する者よ、集まりて、祈祷の歌を以て、我が保護者の尊き遷移を欣ばしく讃美せん。彼は奇蹟を以て四方を照し、憂ふる者を神妙に慰め、侵害せらるる者を援く。彼は慈恵を以て神の悦を獲たり、之に因りて百倍の酬を受け給へり。我等皆彼に呼ぶ、成聖者ニコライよ、衆人の救主に世界を平安にし、我等の霊を救はんことを祈り給へ。

爾は諸徳に依りて天使の居處に至りて、爾の主宰ハリストス、爾が嘗て慎みて役事せし主の前に立ち、柩より香膏を流して、爾の奇蹟を以て信者を助け、之を敬虔の者として神に導き給ふ。我等今爾をバルより呼ぶにあらず、即天上のイエルサリム、爾が使徒、預言者、成聖者と偕に喜びて祝ふ所より呼ぶ。捧神者ニコライよ、衆人の救主に世界を平安にし、我等の霊を救はんことを祈り給へ。

   光榮、第六調。

吁祭を敬愛する者よ、集まりて、讃歌を以て成聖者の飾及び諸神゜父の光榮、奇蹟の泉及び信者の大なる保護者を歌ひて曰はん、ミラの人の守護者、尊き座主、動かざる柱よ、慶べ、最明なる燈、奇蹟を以て世界の四極を照す者よ、慶べ、哀しむ者の神聖なる歓喜、侵害せらるる者の熱切なる轉達者よ、慶べ。至りて福たるニコライよ、今も信と愛とを以て常に爾の喜ぶべく祝ふべき記憶を尊む者の為に絶えずハリストス神に祈り給へ。

   今も、祭日の。

   聖入。本日の提綱。喩言三篇。

第一、箴言の讀、義人の記憶には誉伴ひ、其首には主の降福あり。

第二、箴言の讀、義人の口は智慧を流し、悪者の舌は断たれん。

第三、ソロモンの智慧書の讀、義人は早く死すとも安息に居らん。(三篇共に本書の末に載す)。

   「リティヤ」に讃頌、第二調。

神゜父ニコライよ、ミラ城は黙すとも、爾に照されし全世界と、香膏の香気と、奇蹟の多きと、爾に依りて救はれたる冤罪者とは讃美の歌を以てぶ。我等も、ミラの者と偕に歌ひて曰ふ、我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

   第四調

神゜父ニコライよ、爾は至聖神゜の香膏の器にして、嬉ばしき春の如くハリストスの神聖なる香を以て薫る、蓋爾は使徒等に效ふ者と為りて、爾の奇蹟の聲は全地に傳はる。爾は遠き者にも近きに在るが如く夢に現れて、非義の刑罰に定めらるる者を死より脱れしめ、爾を呼ぶ者を神妙に諸のわざわいより救ふ。故に我等常に爾を讃め揚ぐる者をも、爾の祈祷を以て我が遇ふ所の憂患より釋き給へ。

   第八調

克肖なる神゜父よ、爾の諸徳の果は信者の心を楽しませたり、蓋孰か爾の至極の謙遜、爾の忍耐、貧者に對する厚情、艱難に遭ふ者に對する慈憐を聞きて驚かさ゜らん。成聖者ニコライよ、爾は衆人を宜しきに合ひて教へたり。今爾は凋まざる榮冠を冠れり、我等の霊の為に祈り給へ。

聖なるニコライよ、爾は暫時の生命に於て主の誉を望みて趨りしに、主は天の眞の生命に於て爾を榮せり。故に彼の前に勇敢を獲て、我等の霊を救はんことを祈り給へ。

   光榮、第六調。

善にして忠なる僕、ハリストスの葡萄園の工人よ、爾は終日の苦労をも忍び、爾に託せられし「タラント」をも益せり、又爾より後に来りし者を猜まざりき、故に天の門は爾の為に啓かれたり。聖なるニコライよ、爾が主の歓楽に入りて我等の為に祈り給へ。

   今も、祭日の。

   挿句に讃頌、第四調。

至りて光明なる日の入らざる星、救を施す神の光榮を傳ふる属神゜の天、異邦民を照す神聖なる傳道師、智慧の水を流して信者の心に飲ましむる川たる最光榮なる成聖者ニコライを讃美すべし。

句、聖人の死は主の目の前に貴し。

至榮なる成聖者ニコライよ、爾は海を航りて、リキヤのミラよりバル城に臨めり。爾のは墓より上げられて、東より西に至り、爾を恭敬せん為に爾の墓に侍せし修道士等は、萬有の主宰の指麾に由りて、敬虔にして之に随へり。

句、爾の司祭等は義を衣、爾の諸聖者は悦ばん。

光榮なる成聖者ニコライよ、爾は航海を以て水を祝福して、バル城に至り、香膏を流して、醫し難き諸病を醫し、萬有の王及び救主に祈りて、彼處に在る者に避所と保護者及び救助者と為り給へり。

   光榮、第六調。

神の人及び忠なる僕、主の役者、慈愛を蒙れる者、選ばれたる器、教会の柱及び堅固、國の嗣よ、我等の為に主にびて黙す毋れ。

   今も、祭日の。

   讃詞、第四調。

光明なる祭の日は至れり、バルの城は喜び、彼と偕に全世界は歌頌と属神゜の詩賦とを以て祝ふ。蓋今日成聖者及び奇蹟者ニコライの多くの醫を施す尊き不朽體の遷移の聖なる祭は入らざる日の如く輝きて、光れる光線を以て、信者より誘感と艱難との幽暗を散ず。蓋彼等は熱心に呼ぶ、大なるニコライよ、我等の轉達者として我等を救ひ給へ。

   光榮、今も、祭日の

 

早課

「主は神なり」に祭日及び聖人の讃詞。

   「カフィズマ」の第一の誦文の後に祭日の坐誦讃詞、二次。

   第二の誦文の後に成聖者の坐誦讃詞、第四調。

主宰よ、爾は己の成聖者を四方に奇異なる者と為し、彼に奇蹟の恩寵を賜ひて、人々より諸病を退け、桎梏に在る者を拯ひ、諸悪に侵害せらるる者を援けしむ。我等は彼に祈りて呼ぶ、聖ニコライよ、我等を我が諸敵より救ひ給へ。二次。

   光榮、今も、祭日の、或は生神女讃詞。

至りて無てんなる者よ、我が不潔なる思情の多きを、不當なる意念の亂れたるを孰か能く言ひ出さん、我が無形の諸敵の攻撃と其凶悪とを孰か能く述べん。祈る、仁慈なる者よ、爾の祈祷を以て我を悉く此等より救ひ給へ。

   多燭詞の後に坐誦讃詞、第一調。

爾は完全なる度生を以て己を聖にして、至上の神の成聖者と現れ、彼に固められて、異端者の口を塞ぎたり。故に我等爾の遷移を欣ばしく祭りて、ハリストス神を崇め讃む。二次。

   光榮、今も、祭日の、或は生神女讃詞。

聘女ならぬ潔き生神童貞女、信者の獨の轉達及びおおいよ、我等衆倚頼を爾に負はしむる者をわざわいと憂愁と甚しき誘惑より脱れしめ、少女よ、爾に神聖なる祈祷を以て我等の霊を救ひ給へ。

讃歌
右、克肖なる神゜父(某)、修道士の教師、天使等の對話者よ、我等爾を讃美して、爾の聖なる記憶を尊む。
  次ぎて同詠隊又歌ふ。

右、我切に主を恃みしに、彼我に傾きて、我がぶ聲を聆き納れ給へり。
左、我が足を磐の上に立て、我が歩を固めたり。
右、我遠く離れて野に居りたり。
左、我は野に在る鵜(う)の如くなれり、 我が眠らずして坐するは、屋葢に在る孤鳥の如し。 我が膝は齋に依りて弱り、我が躯は肥えたるを失へり。 我が涙にて我の褥を濡す。 蓋犬の群は我を環り、悪者の党は我を圍めり。 彼等は其毒言を弓の如く張りて、 隠に無てんの者を射んと欲す。 我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右にあり、我が動かざらん為なり。 萬民我を圍みたれども、我主の名を以て之を敗れり。 我等へて其歯の獲物となさざりし主は崇め讃めらる。 主よ、願はくは爾が悉くの作為は爾を讃榮し、 爾の聖者は爾を崇め讃めん。 爾等主が其聖者を折ちて己に属せしめしを知れ。 其霊を贖ふ價は貴し。 主は其聖人の霊を護る。 諸聖人は光榮に在りて祝ひ、其榻に在りて歓ばん。 聖人の死は主の目の前に貴し。 主の諸聖人よ、主に歌へ、其聖を記念して讃榮せよ、其奇蹟を萬族の中に傳へよ。

  光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。 

   品第詞、第四調の第一倡和詞。

   提綱、第四調。

聖人の死は主の目の前に貴し。句、我何を以て主の我に施しし悉くの恩に報いん。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はイオアン35端の半より。

   第五十聖詠の後に讃頌、第六調。

神の嗣、ハリストスの友、主の役者たる聖ニコライよ、爾の度生は爾の名に適へり、蓋白髪と偕に智慧は光り、爾が面の麗しきは霊の順良を證し、言の慎やかなるは温柔を顕せり。爾の生命は光榮なり、寝も聖者と偕に在り、我等の霊の為に祈り給へ。

規程は祭日の、「イルモス」と共に六句に、及び聖人の、八句に。

   聖人の規程、第八調。

   第一歌頌

イルモス、人々よ、イズライリを奴隷より釋きたる我が奇異なる神に讃詠を獻りて、凱歌を歌ひて呼ばん、我等爾惟一の主宰を歌頌せん。

恩主ハリストスよ、我が多くの罪を記念せずして、我が口の歌を納れて、我の舌を解き給へ、我が爾の成聖者の不朽體の遷移の記憶に於て其貴き度生を歌はん為なり。

成聖者の位にて装はれたる神゜父よ、奇蹟を行ふ恩賜と忍耐の榮冠とを受けて、我等爾の遷移を讃美する者に諸罪の赦を賜はんことを神に祈り給へ。

ハリストスの群の牧師、福たる神゜父よ、爾は他の羊なるラティンの族に遣さる、衆を爾の奇蹟を以て感動せしめて、ハリストスに導かん為なり。彼に我等の為にも常に祈り給へ。   生神女讃詞

生神女よ、我等昔遠かりし異邦民は爾の産に由りて神に近づくを得たり、蓋爾は我を神成し、且己の血を以て古の詛より釋きたる者を生み給へり。

   又ニコライの規程、第四調。

   第一歌頌

イルモス、我が口を開きて、聖神゜に満てられ、言を女王母に奉り、楽しみ祝ひ、喜びて其奇蹟を歌はん。

光を施す主よ、爾に祈る、我が霊と心とを照し給へ。萬物の造成主よ、我に恩賜を賜ひて、歌を以て爾の最尊き役者、爾が此を以て世界を憂愁より解きし者を歌はしめ給へ。

爾は天の智慧を獲て、此を託せられし「タラント」として善く用いたり、蓋此を以て神に逆ふ迷を破りて、神聖なる教を人々に暁らせ給へり。

   生神女讃詞

神福なる者よ、永久の者は孕まれ、完全の者は新にせられ、子は童貞女より生る、爾は之を二性にして一位なる者と傳へ給へり。

共頌は祭日の「イルモス」。

   第三歌頌

イルモス、主、天の穹蒼の至上なる造成者、教会の建立者、冀望の極、信者の固、獨人を愛する者よ、我を爾の愛に堅め給へ。

風儀の質朴なる、性質の温柔なる、度生の天使と儔しき神福なるニコライよ、我等の為に獨人を愛する主に絶えず祈り給へ。

福たるニコライよ、何の城邑か爾を扶助者として有たざる、何の霊か爾の名を呼ばざる、或は何の處にか爾神゜を以て臨みて、奇蹟を以て衆を驚かさざる。

バルの城は爾の體を受けたれども、爾の神゜は天上のイエルサリムに在り。爾は彼處に預言者、使徒、成聖者と偕に祝ひて、我等の為に獨人を愛する主に祈り給ふ。   生神女讃詞

全世界に光を生みたる至浄なる女宰よ、我多くの罪にて昧まされし者の為に光照を求め給へ。獨神福なる者よ、諸慾の闇を遠く我より拂ひ給へ。

   又

イルモス、生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讃め歌う者の霊を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。

至りて聖にせられし神゜父よ、爾に於て悲しむ者は確なる慰藉を、昧まされし者は光を、禍に遭ふ者は憂愁の變易を獲たり。

光榮なる成聖者ニコライ、衆に醫治を賜ふ者よ、爾は神の口と為りて、仇なる狼の口より人々を脱れしめて、之を獻物として造物主に攜へたり。

   生神女讃詞

至浄なる神の母よ、爾より言に超えて身を以て生るるを嘉せし惟一なる言はニコライを己の役者と選びて、之を諸民の教師及び司祭首と立て給へり。

   祭日の小讃詞及び同讃詞。

   成聖者の坐誦讃詞、第一調。

至りて讃美たるニコライ、主の成聖者よ、爾の尊き不朽體の遷移は我等の為に光明なる祭と為れり。我等敬虔に之を讃榮し、喜びて爾、入らざる日の光、信者の飾なる者を尊む。二次。

   光榮、今も、祭日の。

   第四歌頌

イルモス、主よ、爾は爾の馬たる使徒に乗りて、爾の手に其轡を執れり、爾の乗るは、信を以て主よ、光榮は爾の力に帰すと歌ふ者の為に救と為れり。

至上の光に輝かさるる成聖者よ、我の心を照して、罪の闇を遠ざけ給へ、我が喜びて爾の聖なる遷移を歌はん為なり。

福たるニコライよ、爾は諸徳の階梯を登りて、全地に奇蹟者と現れたり、故にバルの人々はミラより爾の聖なる不朽體を受く。

聖ニコライよ、正教の司祭等は爾を以て誇と為し、ハリストスを愛する諸侯は戦に於て爾を扶助者として呼ぶ、我等不當の者も我が為に神に祈らんことを爾に求む。   生神女讃詞

生神女よ、天使の品位は爾の奥義の深きに驚き、悪鬼は爾の聖像に懼る、我等は之に伏拝して、爾神の母を尊む。

   又

イルモス、預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察してべり、主よ、光榮は爾の力に帰す。

神の聲なる者よ、爾は諸徳の最大なる熱心者として、原因なる神の光に與るを以て第二の光と現れ、其輝煌を以て昧まされし者を照し給ふ。

爾の救を施す祈祷を以て、爾の牧群を罪の颶風、患難、及び逆浪より逃れしめて、常に我等を穏なる湊に入れ給へ。   生神女讃詞

性の測り難き至上なる光、至りて慈憐に富める者を言ひ難く生みし純潔なる童貞女よ、我等貧しく為りたる者を神の恩賜に富ましめ給へ。

   第五歌頌

イルモス、光を施すハリストス神、創造の始の淵の暗を退けし主よ、我が霊の晦冥を散らして、言よ、我に爾が誡の光を與へ給へ、我が夙に興きて爾を讃栄せん為なり。

成聖者ニコライよ、爾はミラに座位を有ち、バルに體を移し、神゜を以て使徒等と偕に其後任者として天に居り給ふ。彼等と偕に我等爾の遷移を歌ふ者の為に祈り給へ。

衆「ハリスティアニン」の倚頼、侵害せらるる者の大なる保護者、病む者の醫師、悲しむ者の慰藉者、神の前に人々の為に轉達する者よ、我等の皇帝の為に平安を求め、我等を諸敵の攻撃より救ひ給へ。

聖ニコライよ、多くの慾に沈みて、諸罪に殺されたる我が霊を爾の祈祷を以て活かして、痛悔に向はしめ給へ、我が衆信者と偕に爾の遷移を讃栄せん為なり。   生神女讃詞

童貞女よ、天使の萬々セラフィムの大数が畏れ、霊智なる造物が戦く所の主を爾は赤子として養ひ給ふ。我等聖像に其爾の手に在るを見て、常に伏拝す。

   又

イルモス、萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。

多くの奇蹟を行ふを以て美しき足を獲て、衆に善事を福音し、神聖なる教を以て之を古の仇より釋き給ひし成聖者よ、我等を救ひ給へ。

福たるニコライよ、爾は神の善旨に依りて海の背に乗り、敬虔なる人々と共に多くの淵を踰えて、バル城に来り給へり。  生神女讃詞

神の母童貞女よ、我等爾を實に信者の盾として讃栄して、天使の如く爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる祝福せられたる者、畏るべき聲聞及び言語、萬物の主宰の奇異なる安息よ、慶べ。

   第六歌頌

イルモス、ハリストス神よ、祈る、預言者を最下なる深處より脱しし如く、我をも吾が諸罪より脱して、我が生命を理め給へ、爾人を愛する主なればなり。

成聖者ニコライよ、我等は器よりするが如く、爾の神聖なる堂より豊に體の壮健、霊の潔浄を受く。蓋疑なき信を以て爾を頼む者の為に爾は恩寵に依りて奇蹟を流し給ふ。

神゜父よ、爾はハリストスの至榮なる役者として、我等宜しきに合ひて爾の聖なる遷移を尊む爾の諸僕を、之を圍める諸の誘惑、甚しき災禍、憂愁、及び種々の悪より脱れしめ給へ。

ハリストスの役者、神゜父ニコライよ、我罪の寒気に苦しみ、世の風に打たるる者は爾の實體の肖像を他の日の如くに観て、爾の祈祷を以て温まらんことを願ふ。  生神女讃詞

地上の者の智識は天の秘密を暁らず、造物は造物主の智慧を窮めず、蓋童貞女よりする主の生るるは人の智識に踰ゆ。我等信を以て生神女に祈りて、諸罪の赦を受けん。

   又

イルモス、神の信者よ、来りて、神の母の此の神妙なる至りて尊き祭を祝ひ、手を拍ちて、彼より生れし神を讃榮せん。

多くの仁慈に由りて肉體に現れたる主の傳道師ニコライ、神の人々を救に導く諸民の教師よ、爾の教導を以て我等を救ひ給へ。

道として海を有ち、径として水を有ちし者よ、我等が生命の海を害なく済り、涙の水の径に由りて天國に至らんことを主に祈り給へ。

   生神女讃詞

天の王の門、其光榮の殿なる讃美たる童貞女よ、我等に慈憐の門を啓きて、爾の祈祷を以て我等を天の光榮の居處に入れ給へ。

   小讃詞、第三調。

成聖者ニコライよ、爾の不朽體は星の如く東より西に升り、海は爾の行くを以て聖にせられ、バルの城は爾に因りて恩寵を承く、蓋爾は我等の為に至りて勝れたる、奇妙にして慈憐なる奇蹟者と現れたり。

   同讃詞

人々よ、我等歌を以て今ミラの成聖者、牧者及び教師を歌はん、彼の祈祷に由りて光照せられん為なり。蓋視よ、彼は霊と體との潔められたる司祭首として、全く潔く、神゜に疵なき者、無てん至浄にして神に嘉く納れらるる祭をハリストスに獻ぐる者と現れたり。故に實に教会の轉達者、其守護者、且至りて勝れたる、奇妙にして慈憐なる奇蹟者と為れり。

   第七歌頌

イルモス、昔苛虐者はディルの野に捧神者を苦しめん為に爐を建てたり、其中に三人の少者は惟一の神を三位に歌頌して、歌ひて曰へり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

今日神の使等は喜び、悪魔の大数は哭く、蓋爾は人々を誘惑より救ひ、幽闇の悪鬼を遠ざけ給へり、故に宜しきに合ひて勝つ者と名づけらる。此に因りて我等主に呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

恙の悲に弱り、諸の病に疲れたる者は信を抱きて爾の柩に引かれ、爾の恩恵を受けて勇ましく去り、喜びて主に歌ふ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

福たる者よ、正教の人々の會は爾の前に立ち、教会の教師等は爾を以て誇り、諸王は爾を保護者として讃榮し、我等は爾に祈る、聖ニコライよ、我等を救ひ給へ、蓋我等主に歌ふ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   生神女讃詞

嗚呼我如何にして我が救主、諸天使が戦きて讃美する者を歌頌せん。祈る、母よ、爾我を導き、爾の愛を以て子の慈憐を我等に蒙らせて、爾を恃む者を救はしめ給へ、蓋爾は我等の為に彼に祈りて、我等を苦より脱れしめん。

   又

イルモス、敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく践みて、喜び歌へり、讃美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

事物の虚しきに因りて人の智慧は全く味を失ひたれば、爾の如き爾の言を以て之を愈して、主に歌はしめ給へ、讃美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

嗚呼爾が行ひし奇蹟は至榮なる哉、蓋爾は諸病を醫し、諸難より救ひて、衆人をして主に呼ばしめ給ふ、讃美たる吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   生神女讃詞

潔き神の母よ、爾は我等卑微なる者の保護者及び垣なり。我等爾の僕は常に主に呼ぶ、讃美たる吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   第八歌頌

イルモス、諸天使諸天よ、光榮の寶座に坐し、神として絶えず讃栄せらるる主を崇め讃め、彼を歌ひて、世々に讃め揚げよ。

天の使等は爾を役者として接け、預言者及び使徒は爾を同僚として迎へ、主は親ら爾を接け給ふ、我等罪人は爾に慈憐を請ふ。

聖ニコライよ、大なる権は神より爾に委ねられたり、海は従ひ、空気は聴き、諸民は服す、爾の至榮なる奇蹟を見ればなり。

救世主よ、爾は新しきイズライリなるハリストスの民にモイセイより更に光榮なる者として爾の成聖者ニコライを現し給へり、蓋彼は悉くの悪より我等を脱れしむ。  生神女讃詞

女宰よ、爾神の母として我が為に諸罪の潔浄を求めて、我失望の深處に沈みたる者に手を伸べ給へ、我が希望を起して、爾を萬世に讃め揚げん為なり。

   又

イルモス、生神女の産は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徴され、今已に應ひし此の産は全世界に勧めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げよ。

光榮なる者よ、爾はミラの地の芳しき花として生長し、爾を讃美する衆に芳しき薫として醫治の恩賜を施して歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げよ。

橄欖山が油を滴らす如く、神の恩寵の甘味を滴らせし者よ、爾は主の恩寵に由りて海を安全なる道として濟りて、我等をして熱切に主に呼ばしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げよ。   生神女讃詞

童貞女よ、爾は天上の品位を驚かして、生みて、永貞童女に止まる、蓋神性を變易せざる言を人として生み給へり。我等皆彼に歌ふ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げよ。

   第九歌頌

イルモス、祝讃せらるる哉、主、イズライリの神、我等の為に救の角を其僕ダワィドの家に興しし者よ、東旭は上より我等に臨みて、我等を平安の道に向はしめたり。

祝讃せらるる哉主、我等の神、蓋成聖者を諸方に榮し給へり、彼は奇蹟の流を注ぎて、ミラ及びラティンの地に諸病を醫し、ロッシヤにも其慈憐を顕し給ふ。

聖ニコラィよ、爾は尊き寝を以て寐ねて、信者を益せん為に肉體をバルに送り、爾の祈祷に由りて凡そ信を以て爾を呼ぶ者の為に眠らざる保護者と為り給へり。

祝讃せらるる哉天地の造成主、神全有者、無原にして全能なる父、世の先に其腹より生れたる子、一切を我等の為に行ひし言、及び父より出づる聖神゜や。聖なる三者よ、光榮は爾に帰す。   生神女讃詞

生神女よ、我言の巧なるを以て宜しきに合ひて爾を讃美するを得ず、蓋爾は天軍より更に大なり、萬物より最尊し、身にて神及び造成主を生み給へり。彼に審判の日に於て我等を憐まんことを祈り給へ。

   又

イルモス、凡そ地に生るる者は聖神゜に照されて楽しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。

爾の記憶は今日祭を成す、使徒の會、致命者の群、及び諸義人の霊は喜び、我等信者は歌を以て爾を讃栄して呼ぶ、ハリストスの成聖者よ、我等を諸の憂より救ひ給へ。

ハリストスの成聖者、睿智なるニコライよ、爾の至榮なる記憶は我等に耀きて、明に信者を照せり。故に爾に祈る、我等衆を記念して、爾の祈祷を以て諸敵の攻撃より救ひ給へ。   生神女讃詞

潔き神の母よ、我等の肉體の情慾を殺し、我等の諸慾の暴風を鎮め、思念の激浪を止め給へ。祝福せられたる至浄なる者よ、忠信に爾保護者を尊む者の心を固め給へ。

   光耀歌

至聖なるニコライよ、爾の奇蹟は大なる哉、爾が夢に神智なるコンスタンティンに現れて、無罪にして死に定められし三人の軍士を救ひし如く、斯く、至聖なるニコライ、主の成聖者よ、我等をも不慮の死及び永遠の亡滅より救ひ給へ。二次。

   光榮、今も、祭日の。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、四句を立つ、第一調。

神゜父よ、爾は動なく至高なる智慧を仰ぎ、奥密なる睿智の深處に目を注ぎて、爾の教を以て世界を富ませり。成聖者ニコライよ、我等の為に常にハリストスに祈り給へ。

神の人及び忠なる役者、其機密の宰、神の慈愛を蒙れる者、活ける柱、聖神゜に感ぜられし克肖者よ、ミラの教会は爾を奇とし、爾を神聖なる寶及び我が霊の祈祷者として受けたり。

   第二調

成聖者ニコライよ、ハリストス神は爾の牧群の為に爾を信仰の則、温柔の模と顕せり。孤子とヤモメの保護者よ、爾がミラに薫れるに、爾の神妙なる功徳は四方に光り輝けり。故に息めずして我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

神゜父ニコライよ、爾の聖躯の香合はミラを富ます、爾は彼處に在りて、非義に縛られて定罪せられし者を、夢に王に現るるを以て、死と械と獄より釋き給へり。祈る、其時の如く、今又常にハリストス王の前に轉達して、我等の霊の為に祈り給へ。

   光榮、第五調。

捧神なる神゜父の周年の祭に於て我等は歌の角を吹き、楽しみて祝ひ、歓びて慶賀せん。諸王諸侯よ、疾く来りて、夢の中に畏るべき現を以て王に無罪にして執はれたる三人の軍將を赦さんことを説得せし者を歌頌すべし。諸牧師諸教師よ、共に集まりて、善き牧者に熱心に效ひたる牧師を讃め揚げん。病を負ふ者は醫師を、艱難に在る者は救助者を、罪人は轉達者を、貧者は財寶を、悲しむ者は慰むる者を、旅する者は嚮導者を、航海する者は舵手を、衆人は諸方に於て熱心の扶助者たる大なる司祭首を讃め揚げて、斯く言はん、至聖なるニコライよ、勤めて我等を現世の諸難より脱れしめて、爾の祈祷を以て爾の牧群を救ひ給へ。

   今も、祭日の。

   大詠頌。聖三祝文の後に聖人の讃詞。光榮、今も、祭日の。

   聯祷。發放詞。

   第一時課、及び最後の發放詞。

 

聖體禮儀

眞福詞は、祭日の規程の順序の歌頌、及び聖人の規程の第三歌頌、四句に。

   提綱、第七調。

諸聖人は光榮に在りて祝ひ、其榻に在りて歓ぶべし。句、新なる歌を主に歌へ、蓋彼は奇迹を行へり。使徒の誦讀はエウレイ書335端。「アリルイヤ」、第二調、爾の司祭等は義を衣、爾の諸聖者は悦ばん。

福音經の誦讀はルカ24端。領聖詞、義人は永く記憶せられ、悪評を懼れざらん。