9月25日/10月8日

克肖なる我が神゜父
  ラドネヂの奇蹟者
  セルギイの祭日


小晩課

「主よ、爾にぶ」に讃頌、四句を立つ、第五調。

克肖なる神゜父、至福なるセルギイよ、爾は己の霊を体と共に潔めて、聖神゜の美しき居處と現れたり、彼は爾を四極に光栄なる者と為し給へり。我等集まりて、大なる奇蹟者、幽闇に居る者を照しし燈、修道士等の教導師を熱切に讃美す。

神福にして睿智なるセルギイよ、爾は敵の衆軍を縛る霊智なる縲絏と現れたり。故に神より凋まざる栄冠を冠らせられ、歓楽と喜悦と永遠の光栄とを受けたり。克肖者よ、彼に祈りて、世界に平安、我等の霊に大なる憐を賜はんことを彼に求め給へ。

克肖なる神゜父よ、爾は厳しき節制と潔き祈祷とを以て肉体の情を制し、勤労の汗を以て諸欲の熾炭を滅せり。故に光栄なるセルギイよ、ハリストスは天の恩賜を以て爾を飾りて、ロッシヤの諸方に奇蹟を以て光栄なる者と為し給へり。克肖者よ、彼に祈りて、世界に平安、我等の霊に大なる憐を賜はんことを彼に求め給へ。

  光栄、第六調。

修道士の大数は来りて、今日歌頌と詩賦とを以て敬虔の熱心者セルギイを崇め讃め、其尊貴にして多くの医を流す柩を繞り、愛を以て之に接吻して曰はん、至栄なるセルギイ、爾の郷国の最光明なる燈よ、慶べ、至りて浄き光に浄く合せられし者よ、慶べ、諸天使と偕に聖三者の前に立てる者よ、慶べ。彼に絶えず我等の霊に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。

今も、生神女讃詞、「生神女よ、爾は実の葡萄の枝」。

  挿句に讃頌、第六調。

睿智なるセルギイよ、爾は襁褓の中より神に献げられ、野の處を都邑の如く為して、此の中に衆くの修道士を集めたり、讃美たる三者を讃栄せん為なり。克肖者よ、彼に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

句、聖人の死は主の目の前に貴し。

神智なるセルギイよ、新に光照せられたるロッシヤの地は末の時に爾を生長せしめたれども、爾は古の聖人と均しき尊敬を受くるに勝ふる者と為り、宜しきに合ひて奇蹟の恩賜を獲たり。修道士の大数は爾の教に従ひて、正教の信を以てハリストスを歌頌讃栄す。彼に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

句、神を畏れ、其誡を極めて愛する人は福なり。

我等の神゜父セルギイよ、爾は徳行を以て己の為に最高き第宅に居處を備へ、実に神聖なる光明を観るに勝ふる者と為りて、其中に入りて聖なる三者を仰ぐ。彼に大なる憐を世界に賜はんことを祈り給へ。

  光栄、第八調。

克肖なる神゜父よ、爾は世上の華美と暫時の逸楽とを深く悪みて、修道士の度生を愛して、天使等と対話するに勝ふる者と為り、ロッシヤの地の最光明なる燈と為りて、奇蹟を以て日の如く輝き給ふ。祈る、我等衆爾の聖なる記憶を行ふ者を記念せよ、蓋我等は爾の諸子、爾の教に養はるる羊群なり、爾を扶助の為に呼びて、爾に由りて平安と大なる憐とを得んことを求む。

  今も、生神女讃詞。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のわざわいと憂愁より救ひ給へ。

  讃詞、第四調。

克肖なる我が神゜父セルギイよ、爾はハリストス神の真の軍士として、暫時の生命に於て大に諸欲に勝ち、諸徳を修め、祈祷、けい醒、禁食に於て爾の門徒の為に規範と為れり。故に至聖神゜は爾の中に入りて、其行動を以て美しく爾を飾り給へり。求む、聖三者の前に勇毅を有つ者として、爾が智慧を以て集めたる牧群を記憶し、約せし如く、忘るるなく爾の諸子を眷み給へ。

  光栄、今も、生神女讃詞、「是れ古世より隠されて」。

 

大晩課

第一「カフィズマ」の第一段を歌ふ。

「主よ、爾にぶ」に讃頌、八句を立つ、第六調。

克肖者よ、爾は世の(わずらい)を棄てて、己の十字架を負ひて、易らざる決心を以てハリストスに従ひ、野の處に住まひて、霊の諸欲を絶やし、肉の情を制し、倦まざるけい醒祈祷に由りて 諸病を医す恩賜を受けたり。諸天使の対話者、諸聖人の同住者、克肖なるセルギイよ、主に我等の霊を憐まんことを祈り給へ。

克肖なる神゜父よ、孰か爾の勤労と苦痛とを数ふるを得ん、或は何の舌か爾の困難なる度生、けい醒乾食(かんしょく)麁服(そふく)、地上の寝臥(しんぐわ)、霊体の潔浄、口と智慧との鎮静、真実の謙遜、不断の祈祷、思慮の善良、死の意念を言ひ顕すを得ん。我が神゜父セルギイよ、我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

克肖なる神゜父セルギイよ、爾は霊体の医師と現れて、病者に医治の流を注ぎ、預知の恩賜に飾られて、将来を現在の如くに預言せり。爾は祈祷を以て大侯を鎧はせて、夷狄に勝たしめたり。彼等は其の郷国を滅さんと誇りたれども、聖詠に言へる如く、自ら斫り砕かれて、其屍は地獄の口に落ちたり。

神智にして福たるセルギイよ、爾は暫時の光栄を棄て、曠野林岡に居りて、至聖三者の潔き家と為り、彼の力を以て諸聖堂を建て、修道士等に其救の為に居處を造れり。爾が幼少より慕へるハリストス神は爾の中に居り給へり。克肖なるセルギイよ、彼に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  又克肖者の讃頌、第二調。

克肖なるセルギイよ、爾は勇ましく現在の事を忍び、将来の事を楽しみて、衆に言へり、豈我等は徒に苦労するか、永遠の生命を獲んと欲するにあらずや、憂は苦けれども、楽園は甘し、労は苦しけれども、賞は永遠なり。嗚呼修斎者よ、怠る勿れ、僅少なる事を忍ばん、不朽の栄冠をハリストス神我が霊の救主より冠らせられん為なり。二次。

至福なるセルギイよ、爾は艱難を以て楽と為し、狭き路を往きて、爾の門徒に言へり、禁食の労を畏るる勿れ、畏るべき「ゲエンナ」の苦を免れん為なり。手は神に向ひて伸べらるべし、足は祈祷に立ちて堅めらるべし、朽つべき性を惜しむ勿れ、勤労を甘ずべし、勝利の栄冠をハリストス神我が霊の救主より冠らせられん為なり。

堅忍なるセルギイよ、爾は朽つべき衣服を顧みず、冬にも夏の如く温き衣を衣ずして言へり、我が滅びたる楽園の為に今柔かき衣を措き、昔違反の罪を衣たるに因りて、今衣を斥けん、不朽の衣の為に暫時の冬を意と為さざらん。兄弟よ、肉体を疲労せしめん、勝利の栄冠をハリストス神我が霊の救主より冠らせられん為なり。

  光栄、第六調。

我等の神゜父セルギイよ、爾は神の像に従ひて有つ所を残なく守り、禁食を以て智慧を有害の諸欲を制する司と立てて、神の肖に従ひて有つ所を力に應じて進歩せしめたり、蓋勇ましく性を節して、下なる者を上なる者に従はしめ、肉体を神゜に服せしめたり。故に爾は野の住者にして、修道士の首長、善途を行く者の嚮導師、徳行の端正なる軌範と現れたり。今爾天に在りて、鏡の朦朧は散じたれば、明に聖三者を仰ぎ見て、直に信と愛とを以て爾を尊む者の為に祈り給ふ。

今も、生神女讃詞、「至聖なる童貞女よ、誰か爾を讃美せざらん」。

  聖入。本日の提綱。喩言三篇。

  箴言の読。(3、8章)。

義人の記憶には誉伴ひ、其首には主の降福あり。智慧を求めたる人、聡明を得たる人は福なり、蓋智慧を市ふは金銀の宝を市ふに愈る、此れ宝石よりも貴し、都ての貴き物は之に比ぶるに足らず。其右の手には長寿あり、其左の手には富と栄とあり、義は其口より出で、律法と慈憐とは其舌に在り。嗚呼諸子よ、我に聴け、我貴き事を言はん。我の道を守る人は福なり、蓋我を得る者は生命を得、主より恩を獲るなり。是に因りて我爾等に呼び、我が聲人の諸子に向ふ、我智慧は明謀を建て、我知織と明哲とを招き致せり。明謀と堅固と我に在り、良智我に在り、能力我に在り。我を愛する者は、我之を愛す、我を求むる者は恩寵を得ん。悪に染まざる者よ、詭譎に注意せよ、蒙昧の者よ、心を啓け。又我に聴け、蓋我貴き事を言ひ、正しき事を唇より出さん、蓋我が舌は真実を述ぶ、詐偽の唇は我の前に憎むべし。我が口の言は皆義にして、其内に一も詭計と邪曲とあるなし。是れ皆智者の為に明にして、知識を得たる者の為に正しきなり。我爾等に真実を教へん、爾等の望は主に在りて、爾等神゜に満てられん為なり。

  箴言の読。1011章)。

義者の口は智慧を流し、悪者の舌は断たれん。義者の唇は悦ぶべきことを知り、悪者の口は戻れることを語る。詐偽の権衡は主の悪む所、正しき稱量は其悦ぶ所なり。驕傲来たれば耻辱も亦来る、謙る者と偕に智慧あり。正直者の端荘は彼等を導き、悖逆(もとれる)者の邪曲(よこしま)は彼等を滅さん。貨財は震怒の日に益なし、惟義は死より救わん。義者は死して痛惜を遺し、悪者の滅は俄にして喜悦を致す。無てん者の義は其途を坦にし、悪者は其悪に因りて跌れん。正直者の義は彼等を救い、不法の者は其不法に因りて執へられん。義人は死して後其望み絶えず、不法の者の望は亡ぶ。義者は艱難より救はれ、悪者は代りて之に陥る。二心の者は口を以て其を亡し、惟義者は知識に因りて救はる。義者幸福を獲る時は邑楽しみ、悪者亡ぶる時は歓あり。義者の祝福に因りて邑は高くせられ、悪者の口に因りてさる。智慧なき者は其を侮り、智慧ある人は緘黙(もだし)を守る

  ソロモンの智慧書の読。(3章)

義人等の霊は神の手に在り、苦は彼等に触れざらん。無知者の目には彼等死せし者と見え、彼等の逝世は滅亡と思はれ、我等より離るることは無に帰すと思はれたれども、彼等は平安に在るなり。蓋彼等は人の目には罰せらるれども、彼等の望は不死を盈つ。彼等僅に罰せられて、多くの恩を蒙らん、蓋神は彼等を試みて、己に適う者と見たり。金が坩堝に試みらるるが如く、神は彼等を試みて、彼等を完全なる祭祀として受けたり。応報の日に於て彼等は茎に走る火花の如く輝かん。彼等は諸族を審判し、諸民を主らん、彼等の上には主は世々に王たらん。主を恃む者は真実を知り、愛に専なる者は彼に居らん、蓋主の恩寵と慈憐とは其聖者に在り、其慮は選ばれたる者に在るなり。

  「リティヤ」に本堂の讃頌。

  又聖人の讃頌、第六調。

祭祀を敬愛する者及び修斎者の會は来り、信を以て集まりて、今日真の修斎者セルギイ、己の主宰の後に従ひて、楽を以て狭き路を行き、無欲の生を度りし者を尊みて、熱信に呼ばん、嗚呼至福なる克肖者の同住者及び修斎者の美誉や、我等の為に我が霊の憐を蒙らんことを主に祈り給へ。

克肖なる捧神者セルギイよ、爾はハリストスを愛する愛に因りて一切を棄て、野に入りて、見えざる敵の悪謀を聊も懼れざりき、蓋彼等は屡々爾に就きて、切歯して怒を示したれども、爾は祈祷を以て烟の如く彼等を散らせり。嗚呼無てんなる爾の霊、堅固なる爾の忍耐や、ハリストスに我等の霊の救はれんことを常に祈り給へ。

ロッシヤの聖にして大なる教会、正教の諸、修道士、及び俗人は、福音の泉の流に飲ませられて、善良なる牧者及び教師の厳なる祭に於て属神゜に楽しみ、其医を流す聖躯を繞りて、愛を以て之に接吻し、歌頌と讃美とを以て花の如く之を飾りて言ふ、福たるセルギイ、天の人、地の天使、聖神゜の居處よ、慶べ。衆くの者を救の道に向はしめし教師よ、慶べ、我が敬虔なる皇帝の美誉及び保固、神の至愛なる克肖者セルギイ、爾の郷国の光明なる燈、我等の霊の祈祷者よ、慶べ。

  光栄、第六調。

修道士の大数は来りて云々(小晩課に載す)

  今も、生神女讃詞。

至浄なる者よ、我の造成者及び贖罪者云々

  挿句に讃頌、第一調。

捧神者克肖なるセルギイ、我が霊の祈祷者よ、日よりも明なる爾の祭は至りて、信を以て爾に来る者を照して、不死を薫らせ、爾の聖躯より霊に不朽を流す。

句、聖人の死は主の目の前に貴し。

奇蹟者セルギイよ、爾は節制の轡を以て体の欲情を制し、地に在りて天の事に熱中し、肉体の一切の望を神゜に服せしめたり。故に今天の第宅に住ひて、我等の霊の為に祈り給へ。

句、神を畏れ、其誡を極めて愛する人は福なり。

福たる克肖者セルギイよ、爾は諸徳の基を置きて、舊き人を其欲と偕に脱ぎ、真実たるハリストスを衣たり、故に敵の衆軍を退けて、修道士等の教導師と為れり。我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  光栄、第八調。

我等の神゜父セルギイよ、修道士の大数は爾を教導師と尊む、爾の途に由りて実に直く行くことを知りたればなり。福たる哉爾、ハリストスに服従して、敵の力に勝ち、天使等と対話する者、克肖者及び義者の友と為りし者や。彼等と偕に主に我等の霊の憐を蒙らんことを祈り給へ。

  今も、生神女讃詞、聘女(よめ)ならぬ童貞女」。

  讃詞、(小晩課に載す)

 

早課

  聖人の讃詞、二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

  「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第八調。

神福なるセルギイよ、爾は全く聖にせられて捧神なる者と為り、世と其富貴の栄華、及び凡そ見るべき暫時の華美を顧みずして、謙卑と貧窮とを以て主宰ハリストスに随ひ、衆くの修道士を集めて、正教の教を以て之を照し給へり。故に逝世の後にも老いざる恩寵を受けて、柩に臥して不朽の者と止まる。愛を以て爾の聖なる記憶を尊む者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

造物主の至りて無てんなる聘女(よめ)、贖罪主の夫を識らざる母、撫恤者の住所なる讃美たる者よ、我不法の汚れたる居處、悪鬼の玩弄と為りし者を其凶悪より救ひて、諸徳の光明なる住所と為し給へ。光を施す至浄なる者よ、爾の祈祷を以て諸欲の雲を拂ひて、我を天上の暮れざる光に與る者と為し給へ。

  第二の誦文の後に坐誦讃詞、第三調。

神゜父よ、爾は恒に思念を天上に神に向けて、地上の事を措き、多くの苦難を以て爾の生命を光潔にし、凡ての神聖なる徳の居處と為りて、祈祷、冀願、禁食を以て主に近づけり。ハリストス神に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

童貞女よ、爾は耕作せざる葡萄樹として、美しき実たるハリストスを生長せしめ給へり、彼は我等の為に救の酒、衆人の霊体を楽しましむる者を流し給ふ。故に我等爾を萬福の縁由の者と讃美して、恒に天使と偕に爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。

  多燭詞の後に坐誦讃詞、第八調。

福たる者よ、爾は己の智慧を神聖なる望に馳せし時、下に引く一切の思念を棄て、野に入りて、諸徳の美しき花を發き、諸欲の荊棘を絶し、爾の勤労の果を生長せしめたり、故に天に在りて奪はれざる富の禾束を刈り給へり。克肖なるセルギイよ、愛を以て爾の聖なる記憶を尊む者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

恩寵を満ち被る者よ、凡の造物、天使の會、及び人の族は爾に因りて喜ぶ。爾は聖にせられし宮、霊智なる楽園、童貞女の誉なり、神は爾より身を取り、世々の先より在す我等の神は嬰児と為り給へり、蓋爾の胎を宝座となし、爾の腹を天より廣き者と為せり。恩寵を満ち被る者よ、凡の造物は爾に因りて喜ぶ、光栄は爾に帰す。

克肖者の記憶に總ての讃揚詞

  右列詠隊始めて歌ふ。

右、克肖なる神゜父セルギイよ、修道士の教師、天使等の對話者よ、我等爾を讃美して、爾の聖なる記憶を尊む。次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、我切に主を恃みしに、彼我に傾きて、我がぶ聲を聆き納れ給へり。
左、我が足を磐の上に立て、我が歩を固めたり。
右、我遠く離れて野に居りたり。
左、我は野に在る鵜(う)の如くなれり、 我が眠らずして坐するは、屋葢に在る孤鳥の如し。 我が膝は齋に依りて弱り、我が躯は肥えたるを失へり。 我が涙にて我の褥を濡す。 蓋犬の群は我を環り、悪者の党は我を圍めり。 彼等は其毒言を弓の如く張りて、 隠に無てんの者を射んと欲す。 我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右にあり、我が動かざらん為なり。 萬民我を圍みたれども、我主の名を以て之を敗れり。 我等へて其歯の獲物となさざりし主は崇め讃めらる。 主よ、願はくは爾が悉くの作為は爾を讃榮し、 爾の聖者は爾を崇め讃めん。 爾等主が其聖者を折ちて己に属せしめしを知れ。 其霊を贖ふ價は貴し。 主は其聖人の霊を護る。 諸聖人は光榮に在りて祝ひ、其榻に在りて歓ばん。 聖人の死は主の目の前に貴し。 主の諸聖人よ、主に歌へ、其聖を記念して讃榮せよ、其奇蹟を萬族の中に傳へよ。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。



  品第詞、第四調の第一倡和詞。

  提綱、第四調。

聖人の死は主の目の前に貴し。句、我何を以て主の我に施しし悉くの恩に報いん。

  福音經はマトフェイ四十三端。

  第五十聖詠の後に讃頌、第六調。

地に於ては天使、天に於ては神の人、世の美しき飾、徳を慕ふ者の教導師、修斎者の誉たる大なるセルギイを尊まん、蓋彼は主の宮に植えられ、柏香木の如く野に栄えて、聖を以て義を以て霊智なるハリストスの羊群を繁殖せしめたり。

規程は生神女の、「イルモス」と共に六句に、及び聖人の八句に。

  至聖生神女の規程、第六調。

  第一歌頌

イルモス、イズライリは陸の如く淵を踏み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。

潔き者よ、エワは園に於て禁ぜられし食を食ひて、詛を入れたり、爾は祝福の初穂たるハリストスを生みて、之を釋き給へり。

神聖なる電に藉りて真珠たるハリストスを生みし潔き者よ、爾の光の輝煌にて我が諸欲の幽闇と諸罪の紛擾とを拂ひ給へ。

イアコフは智慧の目を以て、爾より身を取る神、諸民の仰ぎ待つ者、爾の転達を以て我等を救ひ給ふ主を奥密に預見せり。

至浄なる童貞女よ、権を秉る者イウダの族より盡きたるに、爾の子及び神は、帥いる者として来りて、今実に地極に王と為り給へり。

克肖なるセルギイの規程、其の冠詞は、我が神よ、我にセルギイを讃美するを賜へ。第八調。

  第一歌頌

イルモス、昔奇迹を行ふモイセイの杖は、十字形に撃ちて、海を分ち、車に乗りて追ひ来るファラオンを沈め、徒歩にて逃るるイズライリ、神を讃め歌ふ者を救ひ給へり。

至りて富有なるセルギイよ、爾は甘じて我等の為に僕の形を受くるまで謙卑となりたるハリストスに效ひて、大に謙卑を愛し、けい醒と祈祷とを以て霊を害する諸欲を殺して、無欲の山に登り給へり。

克肖者よ、爾は涙の流を以て爾の霊を光る燈の如く飾りて、他のイサアクの如く己を捧げて、爾の心を祭として神に献じたり。

至福なるセルギイよ、爾は聖三者の熱心なる役者として、三日の光に照されて、悪鬼の軍を蜘蛛の網の如く敗り給へり。  生神女讃詞

純潔なる者よ、爾は天然の法に超えて、律法者神及び人を生み給へり。其仁慈なるに因りて、彼に我が不法を憶はざらんことを祈り給へ、蓋我等常に呼ぶ、主に謳はん、彼厳に光栄を顕したればなり。

  聖人の他の規程、第一調。

  第一歌頌

イルモス、死せざる主よ、勝を獲る爾の右の手は、神に適ふが如く、能力にて光栄を顕せり、其全能なるに因りて、敵を滅し、イズライリ人の為に新なる深水の路を開きたればなり。

神福なる克肖者セルギイよ、爾はハリストスの愛に固められて、教の言を以て、川の如く、豊に全地に飲ましむる者と顕れたり。故に我等愛を以て爾の記憶を讃揚す。

克肖なるセルギイよ、爾の手の降福は神の指麾と為れり、蓋爾の祈祷に因りて潤澤なき地は水を出せり。我等今之を汲みて、豊に医治を受く。

爾は幼少より全く神に捧げられて、諸徳を以て彼に近づき、地上の朽つべき者を遺てて、天の富を獲たり。  生神女讃詞

恩寵の泉よ、慶べ、梯及び天の門よ、慶べ、燈臺と金の壺と截られざる山、生を施す主ハリストスを世界に生みし者よ、慶べ。

共頌、「我が口を開きて」。

  第三歌頌

イルモス、爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。

純潔なる神の母よ、仁慈なる者は我が朽つべく死すべき身を言ひ難く爾の腹より取りて、之を朽ちざる者と為して、永遠に己に合せ給へり。

童貞女よ、天使の品位は神が爾より身を取り給ふを見て、駭き畏れて、黙さざる歌を以て爾を神の母として尊む。

神の母よ、預言者ダニイルは爾を神゜霊の山と見て驚きたり、石は此の山より手に依らずして截られて、悪鬼の宮を碎けり。

至浄なる童貞女よ、人の言も舌も宜しきに合ひて爾を讃美する能はず、蓋生を施す主ハリストスは甘じて爾より種なく身を取り給へり。

  又

イルモス、始に智慧にて天を堅め、地を水の上に建てしハリストスよ、爾が誡の石に我を堅め給へ、爾獨人を慈む主の外に聖なる者なければなり。

爾は己を善徳の軌範として爾の門徒に與へて、世俗の愛著より離れたる者の衆くの霊を救に就かしめて、楽園の楽を得しめ給へり。

至福なるセルギイよ、爾は善き果を結ぶ橄欖樹の如く神の家に栄えて、愛を以て爾を歌ふ者の霊に油を注ぎ給ふ、蓋彼等は信を以てハリストスに呼ぶ、爾獨人を慈む主の外に聖なる者なし。

神智にして福たるセルギイよ爾は寐ねざるけい醒を以て霊を害する諸欲を眠らせたり、故に天の第宅に入りて、医治の恩寵を受け給へり。

  生神女讃詞

無てんなる生神女よ、爾はヘルワィム及びセラフィムより上なる者と顕れたり、蓋爾は獨容れ難き神を爾の腹に受け給へり。故に我等信者皆歌を以て爾潔き者を讃揚す。

  他

イルモス、獨人の性の弱きを知りて、憐を以て之を衣たる者よ、我に上よりの力を帯びて、爾に呼ばしめ給へ、人を慈む主よ、爾の言ひ難き光栄の生ける宮は聖なり。

福たる者よ、爾は暫時の光栄を顧みずして、永遠の神聖なる光栄を嗣ぐ者と為るを得たり、蓋今世の一切の栄華を践みて、天使等と偕に最高き處に神の光栄を楽しむ。

克肖者よ、爾は祈祷の耜を以て爾の心の地を耕作して、之に爾の勤労の種を播き、霊智なる美しき麦と現れて、暮れざる日の居處に斂められたり。

克肖なる神父よ、爾は聖神゜の光照を被りて、光を施す生命に飾られ、求むる者に豊に與へて、愛を以て修道士等の相継ぎて至るを受く。

  生神女讃詞

純潔なる童貞女よ、凋まざる花は爾より開きて、其性の神聖なる香料を以て全人類を薫らせ給へり。彼は父と同無原の者にして、爾に依りて時に従ふ者と為れり。

  坐誦讃詞、第四調。

至福なるセルギイよ、爾は実に朽つべき暫時の者を棄てて、霊を全うしてハリストスに従ひ、困難と勤労と厳重なる節制とを以て肉体なき者の如く生命を送れり。ハリストス神に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

潔き生神女よ、爾はヘルワィム及びセラフィムより上にして、天及び地より廣く、見ゆると見えざる造物に并なく超ゆる者と現れたり、蓋諸天の容るる能はざる者を爾の腹に容れ給へり。彼に爾の諸僕の救はれんことを祈り給へ。

  第四歌頌

イルモス、尊き教会は浄き心より主の為に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。

至浄なる童貞女よ、我等爾に依りて救はれし者は、爾純潔なる者を歌頌して、敬虔に歌ひて呼ぶ、讃美たる哉神を生みし永貞童女や。

至福なる童貞女よ、爾は幽暗に居る者の為に輝き給ふ暮れざる光を身を以て生みて、爾永貞童女を歌ふ者に歓喜を流し給へり。

至聖なる永貞童女よ、爾に依りて恩寵は栄え、律法は熄みたり、蓋爾潔き者は我等に赦罪を賜ふ主を生み給へり。

至浄なる者よ、エデムの食は我を死せし者と為し、爾より現れし生命の樹は我を復活せしめて、楽園の楽を嗣ぐ者と為せり。

  又

イルモス、主よ、爾は我の固、我の力なり、爾は我の神、我の喜なり、爾は父の懐を離れずして、我等の貧しきに臨み給へり。故に預言者アウワクムと共に爾に呼ぶ、人を慈む主よ、光栄は爾の力に帰す。

奇異なる神゜父セルギイよ、爾は至聖神゜の堂、生命の水の満ちたる川、教会の動かざる基、修道士等の保堅と為れり。

光栄なるセルギイよ、爾は預言者の如く涙の滴を以て日々に爾の褥を濡して、欲の海を涸らし盡すに至れり。故に我等爾の尊貴なる聖にせられし記憶を尊む。

克肖なるセルギイよ、鏡の朦朧なること実に解かれたるに、爾は面を合せてハリストスを見るを得たり、蓋之を見んと欲する熱望は爾を世より離せり。

  生神女讃詞

仁慈なる神よ、爾を生みし者の祈祷に由りて、我等に諸罪の潔浄を、爾の世界に平安を與へ給へ。

  他

イルモス、アウワクムは先知の目にて爾、神の恩寵に覆はるる山を見て、イズライリの聖なる者が我等を救ひ改めん為に爾より出づるを預言せり。

至福にして睿智なるセルギイよ、爾は神聖なる光に照されて、天の歓喜に入りたり、蓋地上に於て実に潔き度生を以て造物主の悦を為して、彼に呼べり、人を慈む主よ、光栄は爾の力に帰す。

霊を害する諸欲を経て、閑静の深處に入り、未肉体を解かれざる先に死せし幼童を復活せしめて、失望せる父に喜悦を與へたり、故に奇として造物主に呼べり、人を慈む主よ、光栄は爾の力に帰す。

光栄なる睿智者よ、爾は霊の智慧を天に馳せ、心の情を治め、地上の者の為に敬虔の規範と為りて、天に逝く途を示し給へり。  生神女讃詞

至浄なる者よ、天使首は天より現れて、爾に歓喜を福音して曰へり、至浄なる童貞女よ、神は身にて爾より出でん、愛を以て爾に向ひて、人々の扶助者よ、光栄は爾の力に帰すと歌ふ者を救はん為なり。

  第五歌頌

イルモス、至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈祷を奉る者の霊を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す真の神を知らしめ給へ。

讃美たる者よ、爾は潔浄を以て輝きて、主宰の神聖なる居處と現れたり、蓋爾は獨神の母と為りて、彼を赤子として爾の手に抱き給へり。

潔き者よ、爾は至りて美しき爾の霊の無形の華美を有ちて、神の聘女(よめ)と為り、貞潔に封印せられて、潔浄の光を以て世界を照し給へり。

爾を潔き神の母と承け認めざる不虔の會は泣くべし、蓋爾は諸罪の暗を拂ふ神聖なる光の門として我等に現れ給へり。

  又

イルモス、隠れざる光よ、何ぞ我を爾の顔より退けし、外の闇は憐なる我を掩へり。祈る、我を返して、我が途を爾の誡の光に向はしめ給へ。

睿智者よ、爾は禁食に倦まずして、逝世に至るまで厳重に之を守り、此に由りて永遠の福楽を受くるに勝ふる者と為れり。

克肖なる神゜父セルギイよ、爾は常にけい醒して智慧を神に向けて、霊を害する諸欲を眠らせ、嘉き実の束を穫りて、敬虔に爾を讃め揚ぐる者を養ひ給ふ。

克肖なるセルギイよ、爾の生命は光明なり、神聖なる諸徳と、祈祷と、禁食と、人を慈む主ハリストスを愛する愛とを以て四極に知らるる者と為れり。

  生神女讃詞

至浄なる者よ、我等爾を垣として有ちて、爾の保護に守られ、爾の神聖なる光栄を以て誇と為して、爾を讃揚す、爾は我等の霊に楽と喜とを流し賜へばなり。

  他

イルモス、和平の神、仁慈の父よ、爾我等に和平を賜ふ爾の大なる議事の使者を遣し給へり。故に我等神を知る光に導かれて、夜過ぎて朝に爾人を愛する主を崇め讃む。

至尊なる神゜父よ、爾は舊びたる人を罪の欲と共に褻れたる衣の如く脱ぎて、ハリストスに似たる新なる者を衣給へり。

天使と等しき高尚なる爾の度生を以て欲の械を壊りて、上より奇蹟の恩賜を受けたるセルギイよ、我等の諸罪の潔を求め給へ。

  生神女讃詞

童貞女よ、爾の産を以て世界の為に祝福たるハリストスを輝かして、爾は衆人の原母なるエワの詛を空しくし給へり。故に我等喜びて、舌と心とを以て爾を実に生神女と承け認めて崇め讃む。

  第六歌頌

イルモス、誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を観て、爾の穏なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。

母童貞女よ、預言者の中に大なるモイセイは約匱と、案と、燈臺と、壺とを以て爾を預象して、至上者が爾より身を取ることを形りて示せり。

嗚呼女宰よ、爾の産の果に触れて、死は殺され、アダムの定罪の朽壊は虚しくせらる、蓋爾を歌ふ者を朽壊より脱れしむる生命を爾生み給へり。

讃美たる童貞女よ、律法は弱り、影は去れり、蓋爾より神及び救主の生るるに因りて、智慧と意念とに超ゆる恩寵は我に現れたり。

  又

イルモス、救世主よ、我を浄め給へ、我が不法多ければなり、祈る、我を悪の淵より引き上げ給へ、我爾に呼びたればなり、吾が救の神よ、我に聴き給へ。

神゜父よ、絶えず救世主に祈りて、爾の聖なる記憶を行ふ者に諸罪の赦を賜ひて、衆を楽しましむる祝ふ者の聲のある天国を得しめんことを求め給へ。

神゜父セルギイよ、爾はハリストスに固められて、堅固なる智慧を以て凶悪者の一切の悪謀を網の如く裂きて、至りて光明なる燈として世界に現れ給へり。

常に記憶せらるる克肖なるセルギイよ、神聖なる光に照され、今天使等と偕に天に居りて、信を以て爾の記憶を尊む者を憶ひ給へ。

  生神女讃詞

神の母よ、爾は神父の同永在同一性の子を変易なく爾の見ゆる子として種なく産みて、陥りし人の性を実に高くし給へり。

  他

イルモス、海の猛獣はイオナを受けしまま産児の如く腹より出せり。童貞女に入りて身を受けし言は其傷なきを守りて通れり、蓋自ら壊に従はず、生みし者をもそこなはずして守り給へり。

神゜父よ、爾は慈憐を以て上より爾の牧群を照して、爾の祈祷を以て皇帝に勝利を與へ、正教者の角を高くす。我等よりは微少なれども爾に奉る祷を受け給へ。

睿智者よ、諸の病を医す恩寵及び汚鬼を制する権はハリストスより爾に賜はりたり、蓋爾神聖なる軍士は勝利の栄冠を萬有の王より受け給へり。

  生神女讃詞

母童貞女よ、預言者の全會は神より教へられて、神言が言ひ難く爾に孕まるる神聖なる秘密を唱へたり、爾真実の原因たる光を生みたればなり。

  小讃詞、第八調。

克肖者よ、爾は熱心にハリストスを愛して、易らざる望を以て彼に従ひ、肉体の一切の逸楽を悪みて、日の如く爾の郷国に輝けり、故にハリストスも奇蹟の恩賜を以て爾を富まし給へり。爾の光明なる記憶を尊む我等を記念して、爾に呼ばしめ給へ、神智なるセルギイよ、慶べ。

  同讃詞

神゜父よ、爾は福音の聲を聞きて、肉体の一切の思念を棄て、富及び栄を塵と見て、肉体なき者の如く諸欲と戦ひて、肉体なき者と並び立つ尊栄を得たり。爾は睿智の恩賜を受けたり、求む、之を歌を以て爾に斯く歌ふ者に與へ給へ、克肖なる捧神者セルギイ、天の人、地の天使よ、慶べ。聖神゜の居處よ、慶べ、祈祷に由りて神の與へたる賜を受けし者よ、慶べ。熱切に聖三者に奉事して、彼より現生及び逝世の後に栄せられし者よ、慶べ。貞潔に堅く立ちて、凡の欲を践みし者よ、慶べ、幼少よりハリストスに従ひし者よ、慶べ、爾に趨り附く者の救の転達者よ、慶べ。盛に光れる燈、修道士の大数をハリストスに導きたる者よ、慶べ、爾の郷国の誉よ、慶べ、預言の恩賜に飾られて、将来を現在の如くに預言せし者よ、慶べ。爾の祈祷を以て敵に勝つを致す者よ、慶べ、我が皇帝の誉及び保固なる者よ、慶べ、爾の祈祷を以て彼及び我等を害なく諸敵より守りて、爾に呼ばしめ給へ、神智なるセルギイよ、慶べ。

  第七歌頌

イルモス、天使は敬虔なる少者の為に炉に露を出さしめ、ハルデヤ人を焼く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

炉は三人の少者を焼かざるを以て爾の産を預象せり、蓋神聖なる火は爾を焼かずして、爾の中に入りて、衆をして呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

至りて無てんなる母よ、爾が預言せし如く、四極は爾を讃美し、爾の光明なる光及び恩寵に照されて、歌ひて呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

神の母よ、極めて凶悪なる蛇は毒害の歯を以て我を噛みたり、然れども爾の子は之れを折き、我に力を予へて呼ばしむ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

獨神福なる者よ、爾は性の潔浄なり、蓋ヘルワィムの肩に坐する神を爾の手に抱きて呼べり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

  又

イルモス、昔ワワィロンに於て火は神の降臨に慙ぢたり、故に少者は炉に在りて、花園に歩むが如く祝ひて歌へり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

克肖者よ、神聖なる恩寵は誘惑の炉に於て露を爾に注ぎたるに、爾は聖三者を愛する熱愛に焼かれて呼べり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

光栄なるセルギイよ、爾は世俗を軽んじて、地上に肉体なき者の如く生を度りて、天使等と並び立つに勝ふる者と為れり。故に奇異なる者よ、我等信を以て爾を尊む。

神智者よ、爾は生命の海を渡りて、穏なる湊に入り、生命の海に漾ふ者の為に救済の舵手と為りて、彼等をして歌はしむ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。  生神女讃詞

童貞女よ、イエッセイの根より出でたる杖は最美しき花を開きて、爾の子を信ずる者の為に救の果を結びて、彼等をして歌はしむ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

  他

イルモス、生神女よ、我等信者は爾を見て属神゜の炉と為す、蓋先祖の尊まれて崇め讃めらるる神は、三人の少者を救ひし如く、斯く爾の腹に於て全世界を改め給へり。

至福なる者よ、爾は神の指麾に因りて地上に他の天と現れたり、蓋肉体に在りて天使の如く生を度れり、故に神智者よ、爾は霊智なる牧群を養ひ給へり。

福たる克肖者セルギイよ、我等爾の諸子は爾を神の前に堅固なる祈祷者及び転達者、正教の保護者、悲しむ者の慰藉者、衆人の扶助者と有ちて、諸の艱難より救はる。  生神女讃詞

アダムの潔き女子よ、慶べ、蓋爾より牧者は出でて、実に我全き人を衣給へり、是れ悟り難き慈憐の為に尊まれて崇め讃めらるる先祖の神なり。

  第八歌頌

イルモス、ハリストスよ、爾は敬虔なる者の為に焔より露を注ぎ、義人の祭の為に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讃め揚ぐ。

純潔なる者よ、爾の子は爾女王として金繍の衣を妝ひて、聖神゜の光に照さるる者を己の右に立て給へり。我等彼を萬世に讃め揚ぐ。

一の望にて世界を建てたる主は、我が性を改めんと欲して、爾の至浄なる胎より身を取り給ふ。我等彼を萬世に讃め揚ぐ。

童貞の光明に輝きし至浄なる者よ、爾は言が我人に合せらるるを以て神の居處と為り給へり。故に我等爾を萬世に歌ふ。

潔き者よ、金色の燈臺は爾を預象せり、蓋爾は近づき難き光、己の智慧にて萬物を輝かす者を言ひ難く受け給へり。故に我等爾を萬世に歌ふ。

  又

イルモス、ハルデヤの窘迫者し怒に堪へずして、敬虔の者の為に炉を七倍熱くしたれども、上の力にて其救はれしを見て、造物主と救世主に呼べり、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

至福なるセルギイよ、爾の光明なる祭は、爾を保護者及び修道士の軌範として有つ者を属神゜の喜悦と歓楽、芳薫と光照とに満てたり。

爾は息めざる祈祷を以て神に升りて、彼處より三日の光に照されたり。故に修斎者の會を集めて、之に新なる度生を以て救の敵に勝つを教へて、之をして、ハリストスに呼ばしむ、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、彼を世々に尊み崇めよ。

セルギイよ、爾は地上に在りて禁食に厳正なること、祈祷に倦まざること、誘惑に堅忍なることを示して呼べり、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、彼を世々に尊み崇めよ。  

生神女讃詞

潔き神の母よ、我が霊の罪の<きず>と汚とを、爾より生れし者の脇より出でたる流に触れしめて、之を浄めて医し給へ、蓋我爾に呼び、爾に趨り附き、爾神の恩寵を蒙れる者に祈る。

  他

イルモス、露を出す炉は天然に超ゆる奇蹟の象を顕せり、蓋受けし所の少者を焚かず、神性の火が入りし所の童貞女の腹を焚かざる如し。故に我等歌ひて呼ばん、悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。

我等熱切に歌ひて爾に祈る、克肖者よ、我が皇帝に敵に対する勝利、教会に堅立、世界に平安を賜はんことを祈り給へ。

聖神゜の恩寵は爾の中に入りて、爾を以て悪鬼を遠ざくる者と為し、修道士等の教導師と顕して、彼等をして呼ばしむ、悉くの造物は主を崇めて、世々に彼を讃め揚げよ。

克肖なる神゜父よ、遠くより三日の光を輝かして、爾を歌ふ者に光照と救贖とを與へ、世界に平安を賜へよ、蓋彼等は爾の記憶に於て呼ぶ、悉くの造物は主を崇めて、世々に彼を讃め揚げよ。  生神女讃詞

讃美たる者よ、天使等の歌に讃栄せらるる主、富める言は、爾イアコフの栄を選びて母と為して、我等の為に貧しくなり給へり。故に我等歌ひて呼ぶ、悉くの造物は主を崇めて、世々に彼を讃め揚げよ。

  第九歌頌

イルモス、天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至浄の者に藉りて人体を取りし言は人々に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讃め揚ぐ。

純潔なる者よ、イアコフより出づる神性の光線にて光れる星は爾に由りて幽闇に蔽はるる者に輝けり、此れハリストス、人体を取りし神言なり。我等彼に照されて、天軍と偕に爾を讃め揚ぐ。

神福なる者よ、我爾の能力と恩寵とに固められて、中心より切に歌を爾に奉れり。潔き童貞女よ、之を納れて、不朽の財宝の中より爾の光朋なる恩賜を分ちて、我に報い給へ。

童貞女よ、爾は明に神の機と現れたり、言は斯の中に肉体の衣を織りて、我の形を神成し、之を衣て、凡そ潔き思念を以て爾を讃め揚ぐる者を救ひ給へり。

  生神女讃詞

純潔なる生神女よ、爾の言ひ難く悟り難き産に由りて今死者に復活は賜はりたり、蓋生命は爾より肉体を衣て衆に輝きて、死の患を退けたり。

  又

イルモス、天は懼れ、地の極は驚けり、神は身にて人々に現れ、爾の腹は天より廣き者と為りたればなり、故に天使と人々の群は爾生神女を崇め讃む。

克肖なるセルギイよ、爾は属神゜の光に満てられて、遠くより輝く燈として、我等に神゜霊の光線を注ぎ、且至聖なる三者の居處と現れ給へり。

睿智なるセルギイよ、ハリストスは爾を実に大なる教師としてロッシヤの諸方に賜はりたり。爾は誠実なる治理を以て爾の郷国に導きて、蜜よりも甘き教を流す、我等信者は器よりするが如く饒に之を斟む。

克肖者よ、爾は霊を害する諸欲に勝ちて、真の牧師の如く、ハリストスの霊智なる群を牧して、常に聖神゜の恩寵を以て之を養ふ。

  生神女讃詞

恩寵を蒙れる者よ、我等は聖詠を以て爾を歌頌して、黙すなく爾に慶べよと呼ぶ、蓋爾は衆に喜悦を流し給へり。

  他

イルモス、生神女よ、燃ゆれども焼かれぬ棘は爾が潔き産の象を顕せり。祈る、今も我等を攻め圍む誘惑の炉を撲ち滅して、常に爾を崇めさせ給へ。

睿智なるセルギイよ、爾はハリストスの愛に照され、諸徳に輝きて、爾の霊の美麗を汚さざりき、年老いて諸神゜父の處に移りて、天使等と偕に神の前に立ち給ふ。

言よ、爾の役者セルギイの祈祷に因りて、我等の諸罪を潔めて、心の目を照し給へ、我等皆明に爾の神聖なる輝ける光を見て、爾を崇め讃めん為なり。

  生神女讃詞

嗚呼驚くべき爾の奇蹟や、蓋爾は、生神童貞女よ、言ひ難く神言を生みて、世々及び歴代より神、萬有を造りし主の中に隠されたる秘密と現れ給へり。

  光耀歌

神゜父よ、爾はダワィドの言ふ所の棕櫚の如く繁りて、至聖神゜の居處と現れたり、彼は爾を全地に光栄なる者と為し給へり。克肖なるセルギイよ、我等信を以て爾の至尊なる記憶を貴む者の為に常にハリストスに祈り給へ。二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

生神童貞女よ、我等黙さざる歌を以て爾を讃美す、蓋爾は聖三者の一を生みて、変易なき永在なる言を爾の神聖なる手に抱き給へり。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、四句を立つ、第四調。

克肖者よ、神聖なる召は爾に至りしに、其時爾一切の肉体の思を神゜に従はせ、厳正なる斎に固められて、炉に試みられたる黄金の如く光れる者と現れ、至聖神゜の居處と為りて、修道士の大数を集めて、爾の教訓を以て、天に登らしむる梯に於てするが如く、彼等を諸徳の高きに登せ給へり。セルギイよ、爾の記憶を尊む我等を記念して、我が霊を救ひて照さんことを祈り給へ。二次。

至栄なるセルギイよ、今日爾の光明なる大に祝ふべき記憶は輝きて、修斎者の大数、克肖者の會を呼び集む。此の日に於て天使等は三位に伏拝せらるる我が神を讃栄し、人々は爾の聖躯の聖にせられたる柩に趨り附きて、医治の恩賜を受け、我等は爾に栄冠を冠らせしハリストス、我が霊の救主を崇め讃む。

至福なる捧神者神゜父セルギイよ、爾は預言者の言へる如く、涙を以て褥を滌ひ、爾の目に寐ね、瞼に眠るを容さずして、爾が幼少より愛せしハリストスに中心の熱望を顕し、凡の徳を修め給へり。故に我等爾を栄せしハリストスを崇め讃めて爾を讃揚す。

  光栄、第二調。

克肖なる神゜父よ、爾は幼少より節制禁食を堅く守りて、聖神゜の器と為れり、故に奇蹟の恩賜を受けて、人々に暫時の事物を軽ぜんことを教へ、今言ひ難き光にて輝き給ふ。睿智なるセルギイよ、爾の転達を以て我等の意念を照し給へ。

  今も、生神女讃詞。

神の母よ、我が盡くの恃を爾に負はしむ、我を爾の覆の下に守り給へ。

  大詠頌、發放詞。

 

聖体礼儀

真福詞は、第一の規程の第三歌頌、第二の第六歌頌。

  提綱、第七調。

聖人の死は主の目の前に貴し。句、我何を以て主の我に施しし悉くの恩に報いん。使徒の誦読はガラティヤ書二百十三端。「アリルイヤ」、第六調、神を畏れ、其誡を極めて愛する人は福なり。

  福音經の誦読はルカ二十四端。

領聖詞、義人は永く記憶せられ、悪評を懼れざらん。