第八調

 


スボタの小晩課

「主よ、爾によぶ」に主日の讃頌三章を歌ふ、其の第一は二次。第八調。

句、我が霊主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

ハリストスよ、我等晩の歌と震智の務めとを爾に献つる、爾復活を以て我等を救ひ給ひしに因る。

主よ、主よ、我等を爾の顔より退くる毋れ、復活を以て我等を救ひ給へ。

聖なるシオン、諸教会の母、神の住所よ、慶べ、爾は始めて復活に由りて罪の赦を受けたればなり。

   光栄、今も、生神女讃詞、定理歌、第八調。

生神女よ、我等如何に爾を讃美せん、至りて祝福せられし者よ、如何に爾の産の悟り難き秘密を歌頌せん。蓋世々の造成主、我等の性を造りし主は己の像を憐みて、己を究め難き卑微に降し給へり。父の無形の懐に在る者は爾潔よき者の胎内に入り、元の如く本性の神に止まりし主は変易なく爾婚姻に与らざる者に由りて肉体と成り給へり。故に我等は彼全き神及び全き人に其の両性に於て伏拝す、蓋彼の内には実に二つの性あり。我等は其二つの性の本質の悉く二様なるを伝へて、其の二つの性に属する二つの行び二つの望みを尊む。蓋彼は神父と一性なるに因りて、神として自主に望み且行ひ、我等と一性なるに因りて、人として自主に望み且行ふ。至りて福たる潔よき者よ、我等の霊の救はれんことを彼に祈り給へ。

次ぎて「穏なる光」。其の後提綱、主は王たり、彼は威厳を衣たり、三次.句、主は能力を衣、又之を帯にせり。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。

司祭聯祷を誦せずして、我等直ちに左の讃頌を歌ふ。

   挿句に主日の讃頌、第八調。

天より降りしイイススは十字架に上り、死せざる生命は死の為に来り、真の光は黒暗にある者に顕れ、衆人の復活は陥りし者に臨めり。我等の光及び救世主よ、光栄は爾に帰す。

   又至聖なる生神女の讃頌、三章。第八調。

句、我爾の名を萬世に記さしめん。

讃美たる生神女よ、慶べ、信者に生命を流す泉よ、慶べ、萬衆の女宰、造物の祝讃せらるる女君よ、慶べ、純潔至栄なる者よ、慶べ、至りて無てんなる者よ、慶べ、宮よ、慶べ、神聖なる居所よ、慶べ、潔よき者よ、慶べ、母童貞女よ、慶べ、神の聘女よ、慶べ。

句、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。

至浄なる神の母よ、慶べ、信者の頼みよ、慶べ、世界の潔めよ、慶べ、爾の諸僕を凡ひの憂ひより脱れしむる者よ、慶べ、人々の生命を施す慰めよ、慶べ、守護者よ、慶べ、爾を呼ぶ者の転達よ、慶べ、神の神聖なる居處及び聖なる山よ、慶べ。

句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。

生神女、ハリストスの母よ、慶べ、人々の惟一の頼み及び護りよ、慶べ、隠れ家よ、慶べ、光の輝ける燈台よ、慶べ、聖にせられし燈灯よ、慶べ、宮よ、慶べ、楽園よ、慶べ、神の居所よ、慶べ、爾に趨り附く者の為に活水を流す泉よ、慶べ。

   光栄、今も、生神女讃詞、定理歌。

生神童貞女よ、天の容るる能はざりし主は爾の腹に狭みなく入り給へり。爾は、

言ひ難き言に因りて、潔よき者と止まりて、聊かも童貞を汚さざりき。蓋爾は独り女の中に母及び童貞女なり、爾独り至浄なる者は子として生命を施す主を乳にて養ひ、眠らざる眼を爾の手に抱きたり。然れども彼は父の懐を離れざりき、世の先より在すが如し、乃ち彼は神として上には全く諸天使と偕に在り、下には爾に依りて全く人々と偕に在りき、且言ひ難くして遍き處に在るなり。至聖なる女宰よ、正しく爾を潔よき生神女と承け認むる者の救はれんことを彼に祈り給へ。

次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に主日の讃詞。光栄、今も、其の生神女讃詞、並びに発放詞。

 

スボタの大晩課

「主よ、爾によぶ」に十句を立てて主日の讃頌を歌ふ、第八調。

句、我が霊を獄より引き出して、我に爾の名を讃栄せしめ給へ。

ハリストスよ、我等晩の歌と霊智の務めとを爾に奉る、爾復活を以て我等を救ひ給ひしに因る。

句、爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。

主よ、主よ、我等を爾の顔より退くる毋れ、復活を以て我等を救ひ給へ。

句、主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が声を聴き給へ。

聖なるシオン、諸教会の母、神の住所よ、慶べ、爾は始めて復活に由りて罪の赦を受けたればなり。

   又讃頌、アナトリイの作。同調。

句、願はくは爾の耳は我が祷りの声を聴き納れん。

世々の前に神父より生れ、末の時に婚姻に与らざる童貞女より甘じて身を取りし言は十字架に釘せられ、死を忍びて、己の復活を以て昔殺されし人を救ひ給へり。

句、主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬萬為なり。

ハリストスよ、我等は爾の死よりの復活を讃栄す。爾は此を以てアダムの族を地獄の苦しめより釋き、神として世界に永遠の生命と大いなる憐みとを賜へり。

句、我主を望み、我が霊主を望み、我彼の言を恃む。

ハリストス救世主、神の独生の子、十字架に釘せられて、三日目に墓より復活せし主よ、光栄は爾に帰す。

句、我が霊主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

主よ、我等は爾甘じて我が為に十字架を忍びし者を讃栄す、全能の救世主よ、爾に伏拝す。人を愛する主よ、我等を爾の顔より退くる勿れ、乃ち我等に聴きて、爾の復活を以て我等を救ひ給へ。

   又生神女の讃頌、アモレイのパワェルの作。第四調。

句、願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐みは主にあり、大いなる贖ひも彼にあり、彼はイズライリを其の悉くの不法より贖はん。

神の母よ、天の品位は爾を讃栄す、蓋爾至浄なる者は父及び聖神と偕に永在する神、意志を以て無より天使の軍を造りし主を生み給へり。正しく爾を生神女と讃め歌ふ者の霊を救ひて照さんことを彼に祈り給へ。

句、萬民よ、主を讃め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讃めよ。

女宰よ、我爾を成聖の泉、聖神に輝かさるる純金の約櫃として、爾の前に俯伏して祈る、慾に眈る我が不当なる霊を照らし、我を悪鬼の甚しき苦しめより脱れしめて、我に躓きなく救ひの道を行かしめ給へ。

句、蓋彼が我等に施す憐みは大いなり、主の真実は永く存す。

実座は立てられ、書は披かれ、行ひは露れ、各人が己の重任を荷ひ、裸体にして前に立ちて、神の憤り及び其の義なる審問に慄く時、女宰よ、其の時我を憐みて、罪なる我を凡その定罪と諸々の苦しみより脱れしめ給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞。

天の王は人を愛するに因りて地に現れ、人と偕に在せり、蓋浄き童貞女より身を取り、人の性を有ちて生れし者は、二の性にて一の位ある独一子なり。故に我等彼が実に全き神及び全き人なるを伝へて、ハリストス吾が神を承け認む。夫を識らざる母よ、我が霊の憐みを蒙らんことを彼に祈り給へ。

次ぎて「穏なる光」、本日の提綱、「主は王たり」。其の他常例の如し。

   挿句に主日の讃頌、第八調。

天より降りしイイススは十字架に上り、死せざる生命は死の為に来り、真の光は黒暗にある者に顕れ、衆人の復活は陥りし者に臨めり。我等の光及び救世主よ、光栄は爾に帰す。

   他の讃頌

句、主は王たり、彼は威厳を衣たり。

我等は死より復活せしハリストスを讃栄す、蓋彼の受けたる霊と体とは苦しみの時に相分れたり、其の至浄なる霊は地獄に降りて、之を虜にし、我が霊の救主の聖なる体は墓に在りて朽壊を見ざりき。

句、故に世界は堅固にして動かざらん。

ハリストスよ、我等聖詠と詩賦とを以て爾の死よりの復活を讃栄す。爾は此を以て我等を地獄の苦しめより解きて、神として永遠の生命と大いなる隣みとを賜へり。

句、主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。

鳴呼萬有の測り難き主宰、天地の造物主よ、爾は十字架の苦しみを忍びて、我に苦しみなきを流せり、葬りを受け、光栄の中に復活して、全能の手を以てアダムを偕に復活せしめ給へり。光栄は爾の三日目の復活に帰す、爾は此を以て我等に永遠の生命と諸罪の潔めとを賜へり、独り慈憐の主なればなり。

   光栄、今も、生神女讃詞。

聘女ならぬ童貞女、言ひ難く身にて神を孕みし者、至上なる神の母よ、爾の諸僕の祈祷を受け給へ。衆に諸罪潔めを予ふる純潔なる者よ、今我等の祈願を納れて、我等皆救はれんことを祈り給へ。

次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、

   主日の讃詞、第八調。

恵み深き主よ、爾は高きより降り、三日の葬りを受けて、我等を苦しみより釋き給へり。吾が生命と復活なる主よ、光栄は爾に帰す。

   光栄、今も、生神女讃詞。

我等の為に童貞女より生れ、十字架に釘うたるるを忍び、神なるに因りて死にて死を滅し、復活を顕しし仁慈なる主よ、爾の手にて造りし者を棄つる毋れ。慈憐の主よ、爾が人を愛する愛を顕して、我等の為に祈祷する所の爾を生みし生神女を受け給へ、吾が救主よ、望を失ひし人々を救ひ給へ。

其の他、並びに発放詞。

 

スボタの晩堂課

至聖なる生神女に奉る祈祷の規程、第八調。

   第一歌頌

イルモス、我等其民をして紅の海を過らせし主に歌はん、彼独り巌そかに光栄を顕したればなり。

附唱、至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。

兄弟よ、敬みて来りて、我等信者は新なる歌を聖なる生神女に奉りて、今彼の偉大なるを崇め讃めん。

潔よき童貞女よ、昔モイセイは、見神を以て智慧を照されて、棘の中の霊妙なる現れを見て、是れ爾が性に超ゆる神に合ふ孕みの預象なりと明らかに悟れり。

   光栄

生神女よ、我爾の前に吾が心の汚れを悔い、我が罪過の為に涙を流して祈る、我を覆ひて、主宰ハリストスの前に我が転達者と為り給へ。

   今も

潔よき童貞女よ、我爾を尊み、愛を以て爾の覆ひの下に趨り附き、畏れを以て伏拝して祈る、爾の耳を我に傾けて、我が祈祷の声を聴き給へ。

   第三歌頌

イルモス、主よ、爾は爾に趨り附く者の固め、爾は昧まされし者の光なり、我が神は爾を歌ふ。

至りて無てんなる者よ、昔太祖の見たる梯は爾を預象せり、蓋諸天使の此に縁りて地に降ることは神が爾に縁りて我等に降るを示せり。

イウダの族よ、楽しめ、イアコフが預言せし如く、其の族より救ひなるイイススハリストスは生じたり。至浄なる者よ、爾は彼を生みて光栄を得たり。

   光栄

至浄なる生神女、我等の頼み及び援けなる者よ、我罪に由りて望みを失ひて、爾を救ひの港として得たり、故に我を痛悔に向はしめ給へ。

   今も

至栄なる女宰よ、我爾を主宰の前に転達者として獲て、信を以て我が悉くの頼みを爾に負はしめて求む、我を宥め給へ。

   第四歌頌

イルモス、言よ、預言者は樹蔭繁き山たる惟一の生神女より爾が身を取らんと欲するを神妙に見て、畏れを以て爾の力を讃栄せり。

金繍の衣に装はるる如く、童貞の華美に飾られたる父の聘女よ、爾は恩寵を受けて、神の子の母と現れ姶へり。

生神女よ、ハリストス言は爾真のシオンたる者を甘じて己の為に神聖なる居處に択びて、全世界を新にし給へり。

   光栄

言の美しき宮、王の婚筵の殿よ、慶べ、悉くの無形の者の誉れよ、慶べ、人々の佑けよ、慶べ。

    今も

神の母生神童貞女よ、爾の子の聖像を斥くる者は神より離れて亡び、之を尊む者は救はる。

   第五歌頌

イルモス、光を施すハリストス神、創造の始めの淵の闇を退けし主よ、我が霊の暗闇を散らして、言よ、我に爾が誡めの光を与へ給へ、我が夙に興きて爾を讃栄せん為なり。

我等は神聖なるガウリイルと偕に立ちて、忠信に生神女に呼ばん、聖なる童貞女、恩寵を蒙れる者よ、慶べ、主は爾と偕にす、彼は爾に依りて悲しみを斥けて、喜びを与へ給へり。

潔よき童貞女よ、ゲデオンは爾の至浄なる産を預見せり、蓋神言は父の神性に離れずして、雨の如く爾の腹に降りて、聖神に由りて身を取り給へり。

   光栄

神の母童貞女よ、爾は世界の扶助者、罪なる人々の転達者なり、爾は信と愛とを以て爾に趨り附く者を化して、之を救ひて、其の多くの罪を釋き給ふ。

   今も

潔よき神の母よ、爾は萬物より先に父より生れし子、年に由らずして無原なる者を種なく聖神に由りて生み給へり。我等皆彼の形の肖を尊む。

   第六歌頌

イルモス、人を愛する主よ、我多くの罪に圍まれて、爾の洪恩に趨り附く者をけて、預言者の如く我を救ひ給へ。

婚姻に与らざる童貞女よ、我等は爾を童貞の鏡及び神の浄き居處として歌を以て崇め讃む。

神の聘女よ、神は潔よくして霊妙に爾の胎内に身を取れ給へり、新なる巻物に父の指にて書されしが如し。

    光栄

潔よき童貞女よ、我等は爾の覆ひを潔めと確かなる頼み及び護りとして穫たり、女宰よ、爾の諸僕を辱かしむる勿れ。

     今も

神の聘女よ、爾の転達を以て我等を諸慾の烈しき嵐より脱れしめて、穏静なる港に向はしめ給へ。

次に主憐めよ、三次。光栄、今も、

   小讃詞、第八調。

生神女よ、我等爾の諸僕は禍ひより援けられしを以て、爾克く勝つ将帥に凱歌と感謝とを奉ル。勝たれぬ権能を有つに因りて、我等を諸々の苦難より救ひ、爾を歌ひて聘女ならぬ聘女よ、慶べと呼ばしめ給へ。

   第七歌頌

イルモス。昔ワワィロンに於て火は神の降臨に慙ぢたり、故に少者は炉に在りて、花園に歩むが如く祝ひて歌へり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

童貞女よ、爾は我等の喜びの中保者と現れ給へり、故に我等は愛を以て感謝の栄冠を奉りて、爾を崇め讃めて呼ぶ、祝福せられたる潔よき者よ、慶べ。

至りて無てんなる者よ、爾は樹蔭繁き神の聖なる山、高き山、神聖なる光照に輝かされたる山、神の居ることを嘉せし山なり。

   光栄

生神女よ、爾の慈憐に勝つ罪はなし、蓋爾は母の勇みと望みとを有ちて、爾の祈祷を以て我等の諸罪を釋き、凡その乱れを治め給ふ。

   今も

生神女よ、爾は聖三者の一位、変易せずして肉体に合せられて、二性の者と為りたる主を生み給へり。我等は其形の肖尊む。

   第八歌頌

イルモス、聖なる山に光栄を顕し、棘の中に火を以てモイセイに永貞童女の奥密を示しし主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。

生神童貞女、我神の母よ、爾は諸罪を焚く神聖なる焼炭の香炉として預言者に現れ給へり。

生神童貞女よ、ダニイルは爾を大いなる山と預見せり、是より尊き石なるハリストスは肉体を衣て出でて、邪宗の偶像の宮を砕き給へり。

   光栄

我が罪悪と諸慾とに由る失望の大いなる鯨は我を呑まんと欲す、女宰よ、急ぎて爾の僕を救ひ給へ。  

   今も

童貞女よ、萬有の神は爾に藉りて人の形を受けて、人々と対話し給へり。我等は其の記されたる像を尊む。

   第九歌頌

イルモス、潔よき童貞女よ、我等爾に依りて救はれし者は爾を実に生神女と承け認めて、無形の軍と偕に爾を崇め讃む。

生神童貞女よ、叡智者は詩賦に於て爾を神の神に封ぜられたる泉及び閉ざされたる園として歌ふ、其の中に生命の樹たるハリストスは身を取りて生れ給へり。

生神女よ、預言者は爾の言ひ難き産を録して、之を封じたる書として預見す、爾の産の秘密は一も悟る者なければなり。

   光栄

我等皆霊の傷感を以て爾に祈る、女宰よ、我が祷りを棄つる勿れ、我等の為に寛容なる覆いと為りて、我が祈願を聴き給へ。

   今も

生神童貞女よ、我爾及び爾の子の聖像の前に伏拝して、之を尊まざる者を斥け、正教の心を抱きて歌頌を終ふ。

次ぎて「常に福にして」聖三祝文。「天に在す」の後に本調の小讃詞。其の他常例の如し、並びに発放詞。

 

主日の朝、夜半課

生命を施す至聖なる三者の規程、其の冠詞は、三者惟一者よ、我爾の僕を救ひ給

へ。ミトロファンの作。第八調。

   第一歌頌

イルモス、昔奇跡を行ふモイセイの杖は、十字形に撃ちて、海を分ち、車に乗りて追ひ来るファラオンを沈め、徒歩にて逃るるイズライリ、神を讃め歌ふ者を救ひ給へり。

附唱、至聖なる三者我等の神よ、光栄は爾に帰す。

我等は三日光の王、萬有の造成者及び摂理者、独り仁慈なる実在の主、神性の惟一なる光栄を有ち給ふ一元の神の前に伏拝して、三聖の歌を奉る。

我等は神の言及び上よりする預言を明らかに記念して、神元の惟一なる性、父、子、及び聖神の三位に於て永在にして同無原なる全功全能の神を讃栄す。

アウラアムは聖にせられし秘密者と為りて、昔奇妙に萬有の造成者・神及び主を三位に於て歓び接けて、三位の惟一なる権柄を悟れり。

   生神女讃詞

至浄なる者よ、爾は婚姻に与らずしてハリストス、我等の為に我が性を受けて、変易せずして二性を保てる主を生み給へり。我に罪過と誘感とを免るるを賜はんことを絶えず彼に祈り給へ。

   第三歌頌

イルモス、始めに智慧にて天を堅め、地を水の上に建てしハリストスよ、爾が誡めの石に我を堅め給へ、爾独人を慈む主の外に聖なる者なければなり。

イサイヤは爾近づき難きう神、光栄の王、高き実座に坐して、ヘルワィム及びセラフィムより絶えざる歌を以て讃栄せらるる惟一にして三位なる主を見たり。

我等は智慧よりするが如く父より生れたる惟一なる言、及び言ひ難く出づる神を、聖書及び之に照さるる思ひに因りて知るを得て、惟一なる三日光の神を尊む。

生れざる父は己の性の輝やきなる子、光よりする光を無形に生み、之と同性の光なる神、全功にして同尊なる主を出し給ふ。

   生神女讃詞

童貞處母マリヤよ、爾は全能と叡智とを以て萬物を造り、之を治め、之を保つハリストスの為に清き殿と顕れたり。爾の母たる祈祷を以て彼を我が為に慈憐なる者と為し給へ。

次ぎて主憐めよ、三次。

   坐誦讃詞、第八調。

我等信者は今三日光の尊貴なる神元の力を崇め讃めん、蓋一の指揮を以て一切天上に天使の品位、地上に教会の聖位を作り給へり、此等をして呼ばしめん為なり、聖、聖、聖なる哉至仁なる神や、光栄と歌頌とは爾の権柄に帰す。

   光栄、今も、生神女讃詞。

変易せざる神を生みし仁慈なる生神女マリヤよ、誘惑者の攻撃に因りて罪と怠りとを以て常に変る吾が心を爾の母たる祈祷を以て固め給へ、我も感謝の情を抱きて爾を讃栄せん為なり、純潔なる者よ、爾が穫たる爾の牧群を憐み給へ。

   第四歌頌

イルモス、主よ、爾は我の固め、我の力なり、爾は我の神、我の喜びなり、爾は父の懐を離れずして、我等の貧しきに臨み給へり。故に預言者アウワクムと共に爾に呼ぶ、人を慈しむ主よ、光栄は爾の力に帰す。

神性の東は暗闇に在る者に現れて、諸慾の暗き夜を全く散じたるに、性に於て単一にして、位に於て三光なる義の日は輝き出でたり。我等常に彼を歌頌して讃栄す。

セラフィムの口に歌頌せらるる性の惟一にして、位の三なる光栄の主を我等は塵に属する口を以て讃栄して呼ぶ、嗚呼萬有の王よ、爾の諸僕に諸罪の赦を与へ給へ。

萬物を保ち給ふ無形にして洪恩、慈憐、仁愛なる三者、尊貴なる神元よ、我爾の僕を全く忘るる勿れ、言ひ難き仁慈に由りて爾の諸僕と立てし約に違ふ勿れ。

   生神女讃詞

純潔なる者よ、無原なる言は古世より独り爾をイアコフの華美なる栄として獲て、慈憐に因りて爾の内に入りて、人の性を新たにし給へり。常に彼に我が凡その憂ひより救はれんことを祈り給へ。

   第五歌頌

イルモス、隠れざる光よ、何ぞ我を爾の顛より退けし、外の闇は憐れなる我を掩へり。祈る、我を返して、我が途を爾の誡めの光に向はしめ給へ。

我等は爾惟一の主を、単一の神性を分たず、同永在の三位を混淆せずして、讃栄して忠信に呼ぶ、神元なる聖三者よ、爾の諸僕を憂ひより救ひ給へ。

我は吾が霊の弱きを大く歎く、如何ぞ欲せさせるに、変じて悪に傾く。故に呼ぶ、生命の元たる聖三者よ、我を善に立たん為に堅め給へ。

神元なる聖三者よ、我罪の居眠りに圧せられ、死の眠りに引かるる者を、爾仁愛、仁慈、慈憐なる主として、宥めて起し給へ。

  生神女讃詞

純潔無てんにして神の恩寵を蒙れる母童貞女よ、爾の祈祷を以て爾の子神及び主を我が為に慈憐なる者と為して、我爾の僕を速に諸慾諸罪より脱れしめ給へ。

   第六歌頌

イルモス、救世主よ、我を浄め給へ、我が不法多ければなり、祈る、我を悪の淵より引き上げ給へ、我爾に呼びたればなり、吾が救ひの神よ、我に聴き給へ。

萬有の惟一の原因たる実在の三者よ、我等は天上の神霊の品位に倣ひて、我が塵に属する口にて三聖の歌を以て爾を讃栄す。

我は爾三位なる神、己の像に循ひて人を造り、叡智を以て萬有を無より成しし主に伏拝して、爾を尊み、歌ひ、崇め讃む。

全能の神、惟一にして像られぬ三日光の主宰よ、言ひ難き仁慈に因りて我の中に入りて、慈憐なる主として我を照して、悟らしめ給へ。

   生神女讃詞

至浄なる者よ、爾は容れ難き神の殿と現れたり。至聖なる女宰よ、爾の祈祷を以て我をも彼の神聖なる恩寵の殿と為して、諸害より護り給へ。

   圭憐めよ、三次。

   坐誦讃詞、第八調。

我等信者は無原なる父、同無原の子、及び神聖なる神、実に混淆なく変易なく合せられたる単一なる聖三者を歌頌して、諸天使と偕に呼ぶ、至聖なる哉父、子、及び尊貴なる聖神や。主宰よ、爾の像に循ひて造りし者を憐み給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞。

潔よき生神女、恩寵を蒙れる者よ、我等常に爾に感謝し、爾を崇め讃め、伏拝して、絶えず爾の産を歌ひて呼ぶ、仁慈慈憐なる童貞女よ、試みの時に我等を救ひ給へ、爾の諸僕が恥を蒙らざらん為なり。

   第七歌頌

イルモス、昔ワワィロンに於て火は神の降臨に愧ぢたり、故に少者は炉に在りて、花園に歩むが如く祝ひて歌へり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

三位にして惟一なる神よ、爾の言ひ難き叡智と仁慈の淵とを以て爾の僕を功なくして憐みを蒙る者と為して、今も古の如く、諸難、諸罪、諸慾より救ひ給へ。二次。

生れざる智慧なる父、彼より生れたる言、及び悟り難く出づる神聖なる神、一元の神、三日光の主よ、我爾に歌ふ、吾が先祖の神は崇め讃めらる。

   生神女讃詞

至浄なる童貞女よ、我殺され、罪の毒を飲ませられたる者は信を以て爾生命の首を生みし者に趨り附く、独り潔よき者よ、爾の祈祷を以て爾の僕を活かして、諸々の誘ひ及び慾より脱れしめ給へ。

   第八歌頌

イルモス、ハルデヤの窘迫者は怒りに堪へずして、敬虔の者の為に炉を七倍熱くしたれども、上の力にて其の救はれしを見て、造物主と救世主に呼べり、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

暮れざる光、三日光、一元にして、性の単畢一なる神、悟り難き全能の主よ、我が昧みたる心を照して、我に光の中に爾を歌ひ、萬世に崇め讃むるを得しめ給へ。

萬善の元たる神、一元にして至聖なる三者よ、神聖なるセラフィム等は爾の悟り難き華美の光栄に勝へずして、聖にせられたる翼を以て敬みて面と足とを蔽ふ、然れども我等も勇みを得て、忠信に爾を歌ひ、世々に崇め讃む。

我が神よ、我忠信を以て、爾無原の原、萬有の由縁、全能至善にして永在なる造成主及び救世主、性に於て惟一にして位に於て三者なる主を世々に崇め讃む。

  生神女讃詞

至浄なる女宰よ、爾の童貞の産に因りて暮れざる日は地上に輝きて、人々を邪宗の暗闇より救へり。故に今も我爾の僕を夫の神元の光線を以て照して護り給へ。

   第九歌頌

イルモス、天は懼れ、地の極は驚けり、神は身にて人々に現れ、爾の腹は天より廣き者と為りたればなり、故に天使と人々の群は爾生神女を崇め讃む。

我等は今爾萬有の王たる神、全功なる無原の性、生命の原因、慈憐仁慈仁愛にして一元なる聖三者を讃栄して、諸罪の赦、世界の為に平安、諸教会の為に同一意なるを求む。二次。

惟一なる三光の主、独一なる三日の神よ、仁慈を以て爾を歌ふ者を容れて之を諸罪及び誘ひより救ひ、仁愛を以て速に諸教会に平安と合一とを予へ給へ。

  生神女讃詞

ハリストス我が救世主よ、爾は童貞女の腹に入り、変易無く混淆なく実に神人として爾の世界に現れ、常に爾の諸僕と偕に在らんことを明らかに約し給へり。故に爾を生みし者の祈祷に因りて、爾の一切の牧群に平安を与へ給へ。

次にグリゴリイ、シナイの聖三讃歌、「爾神言を讃栄するは」、及び其の他夜半課の式。本書の末に載す。

 

主日の早課

六段の聖詠畢りて「主は神なり」、第八調に依りて歌ひ、後主日の讃詞、「恵み深き主よ、爾は高きより降り」、二次。光栄、今も、生神女讃詞、「我等の為に童貞女より生まれ」。次に聖詠経の常例の誦読。

第一の誦文の後に主日の坐誦讃詞。第八調。

萬有の生命よ、爾死より復活せしに、光明なる天使は女達に呼べり、涙を止め、使徒に福音して、歌ひて呼べ、神として人類を救はんことを嘉せしハリストス主は復活し給へり。

句、主我が神よ、起きて爾の手を挙げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。

爾は録されし如く実に墓より復活して、聖なる女達に爾が興きたるを使徒に伝へんことを命じ給へり。速やかにペトルは墓に走り、其の中に光を見て驚き、包み布の置かれて、爾の神聖なる体の無きを見て、信じて呼べり、父の光なるハリストス神よ、光栄は爾に帰す、爾は我が救主、万民を救い

給えばなり。

光栄、今も、生神女讃詞

我等は天の門、約櫃、至聖なる山、光る雲、天の梯、霊智なる楽園、エワの贖ひ、全世界の大いなる実を讃め歌はん、蓋此の中に世界の救いと古の罪の赦しとは成れり。故に我等彼に呼ぶ、敬虔にして爾の至聖なる産を伏し拝む者に罪の赦を賜はんことを爾の子及び神に祈り給へ。

   第二の誦文の後に主日の坐誦讃詞、第八調。

救世主よ、人々が爾の墓を封印せしに、天使は石を其門より移せり。女等は爾が死より興きたるを見て、シオンに於て爾の門徒に爾が、萬有の生命よ、復活し、死の桎梏の解かれたるを福音せり。主よ、光栄は爾に帰す。

句、主よ、我心を尽くして爾を讃め揚げ、爾が悉くの奇跡を伝へん。

葬りの香料を携へし女等は天使の声を墓の中より聞けり、涙を止め、哀しみに代へて喜びを受けて、歌ひて呼べ、神として人類を救はんことを嘉せしハリストス主は復活し給へり。

   光栄、今も、生神女讃詞。坐するにあらずして、立ちて、畏と敬とを以て之を歌ふ。

恩寵を満ち被る者よ、凡その造物、天使の会及び人の族は爾に因りて喜ぶ。爾は聖にせられし宮、霊智なる楽園、童貞女の誉れなり、神は爾より身を取り、世々の先より在す我等の神は嬰児となり給へり、蓋爾の胎を実座と為し、爾の腹を天より廣き者と為せり。恩寵を満ち被る者よ、凡その造物は爾に因りて喜ぶ、光栄は爾に帰す。

   應答歌、第八調。

携香女は生命を賜ふ主の墓の前に立ちて、不死なる主宰を死者の中に尋ねしに、天使より福音の喜びを受けて、使徒等に伝へて云へり、ハリストス神は復活して、世界に大いなる憐みを賜へり。

   品第詞、第八調。第一倡和詞。毎句復唱す。

我が幼なき時より敵は我を誘ひ、逸楽にて我を焦がす、主よ、我唯爾を頼みて之に勝つ。

シオンを憎む者は抜かるる前の草の如し、蓋ハリストスは苦しき切断を以て彼等の首を斬らん。

  光栄

聖神に藉りて萬有は生く、彼は光よりの光にして、大いなる神なり。我等彼を父及び言と偕に崇め歌ふ。    今も、同上。

   第二倡和詞

至りて慈憐なる主よ、願はくは我が心は謙りて、爾を畏るる畏れに覆はれん、高ぶりて爾より離れ落ちざらん為なり。

主に恃みを負はせたる者は、主が火と苦しみとを以て衆を審判せん時に懼れざらん。

    光栄

聖神に藉りて凡その聖者は見、預言し、奇妙に高尚なる事を行ひて、三位に惟一の神を歌ふ、蓋神性は三光なれども独一なり。

    今も、同上。

    第三倡和詞

主よ、我爾に呼べり、聞き納れて、呼ぶ者に爾の耳を傾け、我を此より取らざる先に潔め給へ。

己の母たる地に帰る衆人は復出でん、在世の時に行ひし事に適ひて苦痛或は尊栄を受けん為なり。   

    光栄

聖神に藉りて聖三の惟一者は伝へらる、蓋父は無原なり、子は時なき先に彼より生れ、同一座同一性の神は共に父より輝けり。

   今も、同上。

   第四倡和詞

兄弟睦しく居るは善なる哉、美なる哉、蓋主は此が為に永遠の生命を約せり。

野の百合花を装ふ主は己の衣の為に慮るを要せずと命じ給ふ。

   光栄

聖神は萬物の平安に保たるる惟一の原因なり、蓋彼は神なり、父及び子と一体にして、同宰制の主なり。  
    今も、同上。

    提綱、第八調。

主は永遠に王とならん、シオンよ、爾の神は世々に王とならん。句、我が霊よ、主を讃め揚げよ。我生ける中主を讃め揚げん。

次に「凡そ呼吸ある者」。主日の早課の福音経。「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。及び其の他次第に循ふ。

    主日の規程、第八調。

   第一歌頌

イルモス、昔奇跡を行ふモイセイの杖は、十字形に撃ちて、海を分ち、車に乗りて追ひ来るファラオンを沈め、徒歩にて逃るるイズライリ、神を讃め歌ふ者を救ひ給へり。

附唱、主よ、光栄は爾の聖なる復活に帰す。

我等如何ぞハリストスの全能の神性を奇とせざらん、彼は苦しみより衆信者に苦しみなきと朽ちざるとを流し、聖なる脇より不死の泉を滴らせ、墓より永遠の生命を施し給ふ。

天使は今女等に如何にか美しき者と現れたる、彼は本性の無形の潔浄の光明なる形を具へ、其姿を以て復活の光を示して呼べり、主は復活し給へり。

    生神女讃詞

神言を腹に容れて貞潔を守りし生神女マリヤよ、爾に於て至栄なる事は世々の中に唱へられたり。故に我等皆爾神の次に我が保護者たる者を尊む。

    又十字架復活の規程

イルモス、「イズライリは乾ける地の如く水を過り」。

萬有の性に超ゆる高き者が最と下なる處に降りしを見て、苦痛の門は挙げられ、地獄の門衛は懼れたり。

天使の品位は墜ちたる人の性、地の最下なる處に閉されし者が父の実座に坐せしめられたるを見て驚きたり。

  生神女讃詞

聘女ならぬ母よ、天使の品位及び人々の会は絶えず爾を崇め讃む、爾は彼等の造成主を赤子として爾の手に抱きたればなり。

   又至聖なる生神女の規程

イルモス、「我等其の民をして紅の海を過らせし主に歌はん」。

身を取りし永在なる神の言を性に超えて生みたる至浄なる生神女よ、我等爾を歌ふ。

ハリストスよ、童貞女は爾生を施す葡萄の房、全世界の救ひの甘味を滴らす者を生み給へり。

生神女よ、アダムの族、爾に因りて智慧に超ゆる福楽に上せられたる者は、宜しきに合ひて爾を讃栄す。

   共頌、「我が口を開きて」。

   第三歌頌

イルモス、始めに智慧にて天を堅め、地を水の上に建てしハリストスよ、爾が誡め石に我を堅め給へ、爾独り人を慈む主の外に聖なる者なければなり。

ハリストスよ、食ふ罪に因りて定罪せられしアダムを、爾は己の身の救ひを施す苦しみを以て義と為し給へり、蓋罪なき主よ、爾親を死のみに属せざりき。

吾が神イイススは暗闇に居り死の蔭に坐する者に復活の光を輝やかし、己の神性を以て強き者を縛りて、其の器物を脅かし給へり。

   生神女讃詞

無てんなる生神女よ、爾はヘルワィム及びセラフィムより上なる者と顕れたり、蓋爾は独り容れ難き神を己の腹に受け給へり。故に我等衆信者は歌を以て爾潔よき者を讃揚す。

   又 イルモス、「主、天の穹蒼の至上なる造成者」。

主よ、爾は先に我誡めに背きし者を逐ひて、爾より退けたり、今我が形を受けて、我に順従を教へて、十字架に釘せらるるを以て複我を己に就かしめ給へり。

叡智を以て一切を預知し、智慧を以て地獄を設けし主神の言よ、爾は己の像に循ひて造りし者に爾の寛容に因りて復活するをチ獲しめ給へり。

   生神女讃詞

独り人を愛する主よ、爾は童貞女に入りて、肉体を以て見るに宜しきが如く己を人々に現し、且彼を真の生神女及び信者の助けと為し給へり。

   又 イルモス、「主よ、爾は爾に趨り附く者の固め」。

純潔なる者よ、爾の祈祷を以て我等に援けを与へて、我等を圍む諸敵の攻撃を防ぎ給へり。

生神女よ、爾は世界の為に生命の首たるハリストスを生みて、原母エワの改めと為り給へり。

父の実在の力たる真の神を身にて生みし純潔なる者よ、我に力を帯ばしめ給へ。

   第四歌頌

イルモス、主よ、爾は我の固め、我の力なり、爾は我の神、我の喜びなり、爾は父の懐を離れずして、我等の貧しきに臨み給へり。故に預言者アウワクムと共に爾に呼ぶ、人を慈む主よ、光栄は爾の力に帰す。

慈憐なる救世主よ、爾は敵なる我を甚だ愛せり。爾は驚くべき謙遜を以て地に臨み、我が至極の暴虐を辞せず、爾の至浄なる光栄の高きに在して、我等を辱しめられし者を栄し給へり。

主宰よ、誰か今苦しみにて死の亡ぼされ、十字架にて朽壊の遠ざけられ、死にて地獄の実の奪はるるを見て驚かざらん。人を愛する主よ、爾十字架に釘せられし者の神聖なる力にて行はれしことは奇異なる哉。

   生神女讃詞

聘女ならぬ聘女よ、爾は信者の誉れなり、爾はハリスティアニン等の転達と避所、城垣と港なり。蓋爾は、純潔なる者よ、爾の子に祈祷を献げて、信と愛とを以て爾を潔よき生神女と承け認むる者を苦難より救ひ給ふ。

   又 イルモス、「主よ、我爾が摂理の秘密を聞き」。

ハリストス神よ、法に戻る者の諸子は爾を十字架に釘せり。爾は此を以て、慈憐の主として、爾の苦しみを讃栄する者を救ひ給へり。

爾は墓より復活して、凡そ地獄に在る死者を己と偕に復活せしめ、慈憐なる主として、爾の復活を讃栄する者を照し給へり。

   生神女讃詞

至浄なるマリヤよ、爾が生みし神に爾の諸僕に諸罪の赦を賜はんことを祈り給へ。

   又 イルモス同上

生命を施す穂、世界に永生を与ふる者を生ぜし耕されざる田なる生神女よ、爾を歌ふ者を救ひ給へ。

純潔なる永貞童女よ、我等照されたる者は皆爾を生神女と伝ふ、爾は義の日を生みたればなり。

神よ、罪なき主として、爾を生みし者の祈祷に藉りて、我等の無知に潔浄を、爾の世界に平安を与へ給へ。

   第五歌頌

イルモス、隠れざる光よ、何ぞ我を爾の顛より退けし、外の闇は憐れなる我を掩へり。祈る、我を返して、我が途を爾の誡めの光に向はしめ給へ。

ハリストス救世主よ、爾は辱しめられて、苦しみの前に絳き上袍を衣せらるるを忍びて、始めに造られし者の醜くき裸を掩ひ、裸なる身にて十字架に釘せられて、死の衣を脱ぎ給へり。

ハリストスよ、爾は復活して、我が墜ちたる性を死に属する塵より改め作り、之を老いざる者と為し、之を復王の像として不朽の生命にて輝く者と顕し給へり。

  生神女讃詞

純潔なる者よ、求む、爾の子の前に母の勇みを有つ者として、我等の為に同族に適ふ慮りを為すを厭ふ勿れ、我等信者は独り爾を慈憐なる転達者として主宰に進むればなり。

   又 イルモス、「主よ、爾の誡めを以て我等を照せ」。

仁愛なるハリストスよ、我等爾の前に俯伏す、爾の十字架の力を以て我等を導きて、此を以て我等に平安を与へ給へ。

仁慈仁愛なる神よ、我等爾の復活を歌ふ者の生命を司りて、我等に平安を与へ給へ。  生神女讃詞

婚姻に与らざる至浄なるマリヤよ、爾の子我が神に我等信者に大いなる憐みを降さんことを祈り給へ。

   又 イルモス、「主よ、我等夙に興きて爾に呼ぶ」。

嚮導者及び主たる神を生みし者よ、我が諸慾の耐へ難き嵐を鎮め給へ。

至浄なる生神女よ、天使の品位及び人々の会は爾の産に奉事す。

聘女ならぬ聘女、生神女マリヤよ、諸敵の謀を虚しくして.爾を歌ふ者を楽しましめ給へ。

   第六歌頌

イルモス、救世主よ、我を浄め給へ、我が不法多ければなり、祈る、我を悪の淵より引き上げ給へ、我爾に呼びたればなり、吾が救の神よ、我に聴き給へ。

ハリストスヨ、悪の魁は木を以て激しく我を堕したれども、爾は十字架に上りて、更に激しく彼を堕し、辱しめて、陥りし者を復活せしめ給へり。

ハリストスよ、爾は墓より輝き出でて、憐みをシオンに垂れ、慈憐なるに因りて、爾が神聖なる血を以て、其古きを易へて之を新たにし、今其の中に於て世々の王と為り給へり。

  生神女讃詞

潔よき神の母よ、願はくは我等は爾の祈祷に因りて甚しき罪悪より脱れて、爾至浄の者より・言ひ難く人体を取り給ひし神の子の神聖なる光照を受けん。

   又 イルモス、「我祷りを主の前に灌ぎ」。

ハリストスよ、爾は手を十字架に伸べて、始めて造られし者のエデムに於て不節制に伸べたる手を醫し、甘じて膽を嘗めて、全能の主として、爾の苦しみを讃栄する者を救ひ給へり。

贖罪主ハリストスは死を嘗めて、古えの定罪と朽壊との国を破り、地獄に降りし後復活して、全能の主として、其の復活を歌ふ者を救ひ給へり。

   生神女讃詞

至浄なる生神童貞女よ、我等の為に絶えず祈り給へ、爾は信者の固めなればなり。我等爾を恃むに因りて堅く立ちて、愛を以て爾及び爾より言ひ難く身を取りし主を讃栄す。

   又 イルモス、「光を衣の如く衣る」。

生神女よ、我等信者は爾を神の宮及び約櫃、生ける殿及び天の門としして伝ふ。

神の聘女マリヤよ、神として邪宗を滅す者と為りし爾の産さ父及び聖神と偕に伏拝せらる。

生神女よ、紳の言は爾を地上の者の為に天の梯として示し給へり、爾に縁りて我等に降りたればなり。

   小讃詞、第八調。

大仁慈なる主よ、爾は墓より復活して、死せし者を興し、アダムを復活せしめ給へり。エワは爾の復活を楽しみ、世界の極は爾が死より興きたるを祝ふ。

   同讃詞

地獄のくにを擒にし、死者を復活せしめし恒忍なる救世主よ、爾は携香女に逢ひて、之に哀しみに易へて喜びを賜へり。生命を施す仁慈仁愛なる主よ、爾は使徒に勝利の記号を示して、造物を照し給へり。故に世界は爾が死より興きたるを祝ふ。

   弟七歌頌

イルモス、昔ワワィロンに於て火は神の降臨に愧ぢたり、故に少者は炉に在りて、花園に歩むが如く祝ひて歌へり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

ハリストスよ、爾の光栄なる謙り、爾が貧窮の神妙なる富は諸天使を驚かす、彼等は、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると、信じて呼ぶ者を救はん為に、爾が十字架に釘せらるるを見ればなり。

爾は神聖なる降臨にて地獄に光を満たししに、曾て蔽ひたる暗闇は逐はれたり。故に古世よりの囚人は復活して呼ぶ、吾が先祖の神は崇め讃めらる。

   聖三者讃詞

我等は爾萬有の主、惟一の独生の子の惟一の父を正しく伝へ、又爾より出づる惟一の義なる神、爾と同一性同永在なる者を承け認む。

   又 イルモス、「昔ワワィロンに於てイウデヤより」。

神よ、爾は、預言者の言ひし如く、救を全地の中に為せり、蓋爾は木に挙げられて、信を以て、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると呼ぶ衆人を召し給へり。

洪恩なる主よ、爾は寝りよりするが如く墓より復活して、衆人を朽壊より救ひ給へり、使徒等は復活を伝へて造物に之を信ぜしむ。我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   生神女讃詞

生みし者し同功、同能、同永在なる言は童貞女の胎内に、父及び聖神の善旨に由りて、形づくらる。吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

   又 イルモス同上

爾は童貞女の胎より身を取りて、我等の救の為に現れ給へり。故に我等は爾の母を生神女と識りて、正しく呼ぶ、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

至福なる童貞女よ、爾はイエッセイの根より枝を生ぜり、是れ信を以て爾の子に、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると呼ぶ者の為に救の花を開きて果を結ぶ者なり。

至上者の実在なる叡智よ、信を以て爾に、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらると歌ふ衆人を、生神女に藉りて叡智と神聖なる力とに満て給へ。

   第八歌頌

イルモス、ハルデヤの窘迫者は怒りに堪へずして、敬虔の者の為に炉を七倍熱くしたれども、上の力にて其救はれしを見て、造物主と救世主に呼べり、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

イイススの神性の至りて妙なる力は神に合ふが如く我等の中に輝けり、彼衆人の為に身にて十字架の死を嘗めて、地獄の堅めを破りたればなり。少者よ、常に彼を崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

釘せられし者は起き、高ぶる者は倒れ、陥りて破られたる者は改められ、朽壊は除かれ、不朽は華さけり、死に属する事が生命に呑まれたればなり。少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

   聖三者讃詞

三光の神性、惟一の光明にて輝く者、三位一体の神紳、無原の父、父と一性の言、及び共に王たる一性の聖神を、少者よ、崇め讃めよ、司祭よ、讃め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。

   又 イルモス、「爾の誡めに熱中せし少者は」。

木の上に在りて手を我裸体にせられし者に伸べ、我を召して、己の美しき裸体にて温めんと欲する主を、悉くの主の造物は崇め讃めて、世々に彼を讃め揚げよ。

我陥りし者を最下なる地獄より挙げて、父の高き実座に坐せしむめ光栄を以て尊くせし主を、悉くの主の造物は崇め讃めて、世々に彼を讃め揚げよ。

   生神女讃詞

童貞女よ、爾は陥りしアダムの女にして、我が性を新にせし神の母と現れたり。我等悉くの造物は彼を主として歌ひて、萬世に讃め揚ぐ。

   又 イルモス、「天使の軍の歌ふ所の天の王」。

生神女よ、諸敵の我等に向ひて射る焔の状なる燃ゆる矢を滅し給へ、我等が萬世に爾を歌はん為なり。

童貞女よ、爾は性に超えて造成主及び救主たる神言を生み給へり。故に我等爾を歌ひて、萬世に讃め揚ぐ。

童貞女よ、爾の内に入りたる近づき難き光は爾を萬世の為に金光を放つ光明なる燈灯と為し給へり。

次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が霊は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。

   第九歌頌

イルモス、天は懼れ、地の極は驚けり、神は身にて人々に現れ、爾の腹は天より廣き者と為りたればなり、故に天使と人々の群は爾生神女を崇め讃む。

神の言よ、爾は神の無原なる性にて単一なる者にして、肉体を受くるに因りて合せられたる者と為り、人としては苦しみを受け、神としては苦しみに与らざる者と止まり給へり。故に我等爾を分離なく混淆なき二性を有つ者として崇め讃む。

至上なる主よ、爾は諸僕に降り、其性を以て人と為りしに因りて、己の本性の父を神と名づけ、墓より復活して、地に生るる者の為に本性の神及び主宰を恩寵の父と為し給へり。我等衆彼と偕に爾を崇め讃む。

   生神女讃詞

鳴呼童貞女、神の母よ、爾は天然の法に超ゆる者と顕れて、仁慈なる父が萬世の先に生みし神言を身にて生み給へり。彼は肉体を衣たれども、我等は今彼を悉くの肉体より至りて上なる者と承け認む。

   又 イルモス、「凡の者は神の言ひ難き寛容の事」。

我等爾を本性の神の子、生神女の胎内に孕まれて、我等の為に人と為りし者と承け認め、爾が人の性にて十字架に苦しみを受くるを見て、神として苦しみに与らざる者と崇め讃む。

古の暗闇は破られたり、蓋地獄より義の日ハリストスは光を放ちて出で、地の四極を照し、天の人・地の神として神性の光明を以て輝き給ふ。我等彼を二性に於て崇め讃む。

  生神女讃詞

生神女の子よ、弓を執り、矢を放ちて、我等を滅さんと謀る敵を幣紙斃し給へ。爾の十字架を我等の為に諸敵に勝たれぬ武器と為して、我等の皇帝に勝利を賜へ。

   又 イルモス、「潔よき童貞女よ、我等爾に依りて」。

童貞女よ、爾の記憶は、爾に趨り附きて、敬虔に爾を生神女と承け認むる者を喜びと楽しみとに満てて、彼等に醫治を流す。

恩寵を蒙れる者よ、我等聖詠を以て爾を歌頌して、黙すなく爾に呼ぶ、慶べ、蓋爾は衆人に喜びを流し給へり。

生神女よ、爾は最美しき果を結べり、是れ信を以て爾を讃め揚ぐる者に朽壊にあらずして生命を施す者なり。

共頌の後に小聯祷。次ぎて主我等の神は聖なり。其の後差遺詞。

「凡そ呼吸ある者」に主日の讃頌、第八調。

句、彼等の為に記されし審判を行はん為なり、斯の栄は其の悉くの聖人に在り。

主よ、爾は審判座の前に立ちて、ピラトより審判せられたれども、父と偕に坐して、実座を離れざりき、死より復活して、世界を敵の奴隷より釋き給へり、慈憐にして人を愛する主なればなり。

句、かみを其の聖所に讃め揚げよ、彼を其の有力の大空に讃め揚げよ。

主よ、爾は悪魔に勝つ武器として我等に爾の十字架を賜へり、蓋彼は戦ひ慄きて、其の力を見るに忍びず、其の死者を起こし、死を空しくしたればなり。故に我等爾の葬りと復活とを伏し拝む。

句、其権能に依りて彼を讃め揚げよ、其の至厳なるに依りて彼を讃め揚げよ。

主よ、イウデヤ人は爾を死者の如く墓に蔵めたれども、兵卒は寝ぬる王の如く爾を守れり、生命の実の如く印を以て封じたれども、爾は復活して、我等の霊に不朽を賜へり。

句、喇叭の声を以て彼を讃め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讃め揚げよ。

主よ、復活を伝へし爾の天使は番兵を恐れしめ、女等に呼びて云へり、何ぞ生ける者を死者の中に尋ぬる、彼は神として復活し、世界に生命を賜へり。

   又讃頌、アナトリイの作。同調。

句、鼓と舞とを以て彼を讃め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讃め揚げよ。

仁愛なるハリストス神よ、爾は神性にては苦しみに与らざる者にして、十字架の苦しみを忍びて、三日の葬りを受け給へり、我等を敵の奴隷より釋き、爾の復活に因りて、我等に生命を賜ひて、我等を不死の者と為さん為なり。

句、和声の釟を以て彼を讃め揚げよ、大馨の釟を以て彼を讃め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讃め揚げよ。

ハリストスよ、我爾が墓よりの復活に伏拝し、之を讃栄して歌頌す、爾は之を以て我等を地獄の解き難き枷より釋き、神として世界に永遠の生命と大いなる憐みとを賜へり。

句、主我が神よ、起きて、爾の手を挙げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。

法に悖る民は其り時爾が生命を受けたる墓を守り、番兵を置きて封印したれども、爾は不死なる全能の神として三日目に復活し給へり。

句、主よ、我心を尽くして爾を讃め揚げ、爾が悉くの奇跡を伝へん。

主よ、爾は地獄の門に至りて之を破りしに、俘囚は斯く呼べり、此れ誰ぞや、如何ぞ地の最下なる處に繋がれずして、反りて幕の如く死の獄を破りたる、我は彼を死者として受けて、神として慄く。全能の主よ、我等を憐み給へ。

光栄、福音の讃頌。今も、生神女讃詞、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。大詠頌。

   次ぎて聯祷の讃詞。

主よ、爾は墓より復活して、地獄の鎖を壊り、死の定罪を滅し、衆人を敵の網より救へり。独り大慈憐なる者よ、爾は使徒に顕れて、彼等を伝教に遣し、彼等に依りて爾の平安を世界に賜へり。

   次ぎて聯祷、及び発放詞。

 

聖体礼儀の真福詞、第八調。

ハリストス、世界の救主よ、木に在りて盗賊を憶ひし如く、我等を憶ひ給へ、独り洪恩なる主よ、我等衆に爾の天国を穫しめ給へ。

句、心の清き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。

アダムよ、聞きてエホと偕に喜べ、曾と爾等二人を裸体にして、誘ひを以て擒にせし者がハリストスの十字架にて空しくせられたればなり。

句、和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。

吾が救世主よ、爾は甘じて木に釘せられて、アダムを木に縁る詛ひより脱れしめ、神の像に適ふ楽園の住所をも還し給へり、爾は恵み深き主なればなり。

句、義の為に窘逐せらるる者は福なり、天国は彼等の有なればなり。

今ハリストスは墓より復活して、衆信者に不朽を与へ、苦しみ及び復活の後に携香女に新なる喜びを賜ふ。

句、人我の為に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を偽りて諸々の悪しき言を言はん時は、爾等福なり。

叡智なる携香女よ、慶べ、爾等は先どてハリストスの復活を見、之を全世界の呼び起こしとして使徒に知らせたり。

句、喜び楽しめよ、天には爾等の賞多ければなり。

ハリストスの朋となり、其の光栄に同座せんとする使徒よ、我等が畏れずして彼の前に立たんことを其の門徒として祈り給へ。

   光栄、聖三者讃詞。

無原なる三者、分れざる神性、同座にして光栄の同尊なる惟一者、始めなき生命及び権柄(チカラ)よ、信を以て爾を崇め歌ふ者を救ひ給へ。

   今も、生神女讃詞。

神の宏き住所よ、慶べ、新約の約櫃よ、慶べ、衆人に賜はりたる天のマンナの黄金の壺よ、慶べ。

   提綱、第八調。

主爾等の神に誓いを作して償へよ。句、神はイウデヤに知られ、其の名はイズライリに大いなり。

「アリルイヤ」、来りて主に歌ひ、神我が救の固めに呼ばん。句、讃揚を以て其の顔の前に進み、歌を以て彼に呼ばん。