第二調

 


「スボタ」の小晩課

「主よ、爾によぶ」八調経の主日の讃頌三章を歌ふ、其第一は二次。第二調。

句、我が霊主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

来りて、世の無き先に父より生れし神の言、童貞女マリヤより身を取りし者に伏拝せん。蓋彼は親ら望みし如く、十字架を忍びて、葬に付されたり、死より復活して、我迷へる人を救ひ給へり。

ハリストス吾が救世主は我等を罪する書券を十字架に釘うちて之を抹し、死の権を空しくし給へり。我等其三日目の復活に伏拝す。

我等は天使首と共にハリストスの復活を讃め歌はん。蓋彼は我等の霊の贖罪主及び救世主なり、且畏るべき光栄と勁き能力とを以て還来りて、其造りし世界を審判せん。

   光栄、今も、生神女讃詞、定理歌。第二調。

嗚呼至大なる奥密や、我奇蹟を見て、神性を傳ふ。蓋エムマヌイルは人を愛する主として天性の門を啓き、神として童貞の鑰を壊らざりき。乃聞くに因りて入りし如く、斯く胎内より出でたり、孕まれし如く、斯く人体を取れり、無欲にして入りて、言ひ難く出でたり。預言者の言へる如く、此の門は閉されて、何人も此より入るを得ず、唯独大仁慈なる主イズライリの神は神は入らん。

次ぎて「穏なる光」。提綱主は王たり、彼は威厳を衣たり。三次。句、主は能力を衣、又之を帯にせり。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。司祭聯祷を誦せず、我等直に左の讃頌を歌ふ。

   挿句に主日の讃頌、第二調。

ハリストス救世主よ、爾の復活は全世界を照せり、爾は己の造物を召し給へり。全能の主よ、光栄は爾に帰す。

   又、至聖なる生神女の讃頌、同調。

句.我爾の名を萬世に誌さしめん。

凡ての悲しむ者の喜、侵害せらるる者の転達、貧しき者の養育者、遠人の慰藉、瞽者の杖、弱き者の眷顧、労苦する者の庇蔭及び保護、孤独の者の扶助たる至りて潔き者、至上の神の母よ、祈る、務めて爾の諸僕に救はるるを得しめ給へ。

句、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。

我不當なる者は凡の不法を行ひ、凡の罪を犯して、凡の定罪に當れり。童貞女よ、我に痛悔の心を與へて、我を彼處に定罪せられざる者と為し給へ。蓋我爾を祈祷者として捧げ、爾を転達者として呼ぶ、神の聘女よ、我に辱を得しむる毋れ。

句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。

潔き神の聘女よ、我等には造物主及び主宰の前に於て爾の外に他の避所なし。我が神の母よ、愛を以て爾のおほひの下に趨り附く我等を爾の熱切なる転達より遠ざくる勿れ、我等を辱しむる勿れ。務めて爾の祐助を與へて、我等に臨む怒より救ひ給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞、第二調。

少者・神の聘女よ、爾に因りて成りたる世界の贖罪の為に誰か宜しきにて爾を讃揚し爾を讃美するを得ん。故に我等感謝して爾に呼びて云ふ、アダムを神成し、離れたるを合せし者よ、慶べ、爾の子我が神の輝ける復活にて我が族を照しし者よ、慶べ。蓋我等「ハリスティアニン」の族は断えず爾を讃美す。

次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に主日の讃詞。小聯祷。発放詞。

 

「スボタ」の大晩課

「主よ、爾によぶ」に十句を立てて、八調経の主日の讃頌三章、アナトリイの四章、月課経の三、或は四、或は六章を歌ふ。若し聖人の祭日ならば、光栄、月課経の、今も、調の第一の生神女讃詞。

   主日の讃頌、第二調。

句、我が霊を獄より引き出して、我に爾の名を讃栄せしめ給へ。

来りて、世の無き先に父より生れし神の言、童貞女マリヤより身を取りし者に伏拝せん。蓋彼は親ら望みし如く、十字架を忍びて、葬に付されたり、死より復活して、我迷へる人を救ひ給へり。

句、爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。

ハリストス吾が救世主は我等を罪かる書券を十字架に釘うちて之を抹し、死の顕したればなり空しくし給へり。我等其三日目の復活に伏拝す。

句、主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が声を聴き給へ。

我等は天使首と共にハリストスの復活を讃め歌はん。蓋彼は我等の霊の贖罪主及び救世主なり、且畏るべき光栄と勁き能力とを以て還来りて、其造りし世界を審判せん。

   又讃頌、アナトリイの作。同調。

句、願はくは爾の耳は我が祷の声を聴き納れん。

天使は爾十字架に釘せられて葬られたる主宰を傳へて、女等に言へり、来りて、主の臥したる處を観よ、蓋彼は言ひし如く復活せり、全能者なればなり。故に我等爾惟一不死の者に伏拝す。生命を賜ふハリストスよ、我等を憐み給へ。

句、主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん為なり。

爾の十字架にて木に縁る詛を空しくし、爾の葬にて死の権を滅し、爾の復活にて人類を照し給へり。故に我等爾によぶ、恩主ハリストス吾が神よ、光栄は爾に帰す。

句、我主を望み、我が霊主を望み、我彼の言を恃む。

主よ、死の門は畏懼に因りて爾の為に啓け、地獄の門衞は爾を見て懼れたり、蓋爾は銅の門を破り、鐵の柱を折き、我等を幽闇と死の蔭より引き出し、我等の縛を截り給へり。

句、我が霊主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。

救の歌を歌ひて、口を齋しくしてよばん、皆来りて、主の家に伏拝して曰はん、木の上に釘せられて、死より復活し、父の懐に在す主よ、我等の罪を浄め給へ。

他の讃頌。至聖生神女に捧ぐ、月課経の讃頌の無き所に之を歌ふ。アモレイのパワェルの作。第六調。

句、願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。

倚頼なき者の堅固なる憑恃、罪に陥る者の拯救たる讃め歌はるるマリヤ、潔き生神女よ、我が此の祷を受けて、爾の母たる祈祷を以て我に生涯犯しし諸罪の赦を獲しめ給へ。女宰よ、爾の大なる憐に由りて、我を危難及び将来の定界より救ひ給へ。

句、萬民よ、主を讃め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讃めよ。

我が在世の日は悪し、悪しくして罪悪に充つ、凶悪なるサタナ甚しく我を擾すに因る。神の母よ、爾我を其害より免れしめ、至聖なる者よ、爾我を其口より脱し給へ、我悉くの憑恃を爾に負はせたればなり。爾の熱切なる祈祷を以て我を救ひ給へ。

句、蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の真実は永く存す。

耻を得ざる転達者よ、慶べ、至善なる生神女よ、慶べ、世界のきよめよ、慶べ、悲しむ者の喜、颶風に遭ふ者の停泊よ、慶べ、凡そ危難に在る者の扶助者よ、慶べ。童貞女・純潔なる女宰よ、我をも悉くの苦難より護り給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞。

恩寵来りて、法律の影は去れり。蓋燃ゆる棘の焚けざりし如く、童貞女は生みし後も永く童貞女なり。ほのほの柱の代りに義の日は出でて光る、モイセイの代りに我が霊の救者ハリストスは現れたり。

次ぎて香爐捧持の聖入。「穏なる光」。提綱及び聯祷。

   挿句に主日の讃頌、第二調。

ハリストス救世主よ、爾の復活は全世界を照せり、爾は己の造物を召し給へり。全能の主よ、光栄は爾に帰す。

   又讃頌

句、主は王たり、彼は威厳を衣たり。

救世主よ、爾は木にて木に縁る詛を空しくし、爾の葬にて死の権を滅し、爾の復活にて吾が族を照し給へり。故に我等爾に呼ぶ、生命を施すハリストス我が神よ、光栄は爾に帰す。

句、故に世界は堅固にして動かざらん。

ハリストスよ、爾は十字架に釘せらるる者と顕れて、造物の美しきを変易せり。惟兵卒は残忍にして戈を以て爾の脅を刺し、エウレイ人は爾の権を知らずして知らずして墓を封印せんことを求めたり。慈憐に由りて葬を受け、三日目に復活せし主よ、光栄は爾に帰す。

句、主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。

生命を施すハリストスよ、爾は死に属する者の為に甘じて苦を受けて、有能者として地獄に降り、彼處に爾の降臨を待つ者を強き者の手より奪ひて、地獄に易へて楽園に住むを賜へり。故に爾の三日目の復活を讃揚する我等にも諸罪の潔浄と大なる憐とを與へ給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞。

嗚呼新なる奇跡、古の悉くの奇跡に勝る者者や、誰か夫なき母が萬物を有つ主を生みて、其手に抱くを知りたる、此の産は神の旨なり。至りて潔き者よ、爾が嬰児として己の手に抱きし主の前に母の勇を以て、我等爾を尊む者の霊を憐みて救はんことを常に祈り給へ。

次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、

   主日の讃詞、第二調。

死せざる生命よ、爾死に降りし時、神の性の光にて地獄を殺せり。死せし者を地下より復活せしめし時、天軍皆呼びて曰へり、生命を賜ふ主ハリストス吾が神よ、光栄は爾に帰す。

   生神女讃詞

生神女よ、爾の奥義は皆智慧に超ゆ、皆至栄なり。貞潔の封ぜられ、童貞の守らるるに、爾は実の母と知られて、真の神を生み給へり。彼に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

 

「スボタ」の晩堂課

至聖なる生神女の規程。讒誣憂愁患難に遇ふ者も之を歌ふべし。第二調。

   第一歌頌

イルモス、全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人体を取りし言、讃栄せらるる主は萬の悪を致す罪を滅し給へり、彼厳に光栄を顕したればなり。

凡そ憂に在る者に速に聆き、悲に在る者を助くる至善なる生神女、憂ふる者の歓喜たる女宰よ、畏れずして爾を歌ふ者に恩寵を與へ給へ。

至りて豊なる恩寵を獲たる女宰、憂ふる者の歓喜よ、爾の毅然たる祈祷を以て、我卑微なる爾の僕を諸難より援け給へ。

   光栄
生神女よ、祈る、爾に趨り附く我等を見ゆると見えざる諸敵より援けて、我等に仇する者の凡の謀を破り給へ。 

  今も
生神女よ、爾に祈る、我より人の辱と悪謀者の讒言とを除きて、我に爾が養育せし主を熱切に讃栄せしめ給へ。

   第三歌頌

イルモス、木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植え給へ。

讃美たる生神女よ、諸敵の空しき悪謀を破りて、爾の盡きざる祈祷を以て、爾を讃め歌ふ我等を救ひ給へ。

潔き者よ、爾の慈憐なる眼を以て我を顧みて、見ゆると見えざる諸敵の凡の悪謀より援けて、彼等の眼の眸子を昧まし給へ。

   光栄

童貞女よ、常に我等を滅さんと謀る諸敵の悪しき攻撃、火の如く焚く者を、爾の祈祷の露にて消し給へ。  今も

滅えざる燈、常に輝く暁、光栄の日ハリストスを生みし者よ、憂愁の夜に圍まるる我を爾の祈祷にて照し給へ。

   第四歌頌

イルモス、主よ、我爾の声、爾が野に呼ぶ声と名づけし者を聞けり、爾が多水の上に轟きて、爾の子の事を證せし時、彼は現れし聖神に満てられてよべり、爾はハリストス、神の智慧と能力なり。

神の母よ、我等爾を救の橋、眠らざる祈祷、堅固なる保護として祈る、慈憐を以て我等の勝へ難き悲哀、諸病、諸難、諸慾を見て、之を善に変じて、速に喜悦を與へ給へ。

潔き女宰よ、我等は患難に在りて爾の保護に與らざるなし。故に今も手を舒ぺて、甚しく荒らさるる我等を速に援け給へ。神の母よ、我等の悲哀に慈憐を垂れて、速に喜悦を與へ給へ。 光栄

舒宰よ、不法の者は爾を頼とせずして、傲慢の舌、人の舌、常に嫉妬を流し、不義に隣の血を灑がんと吼ゆる者を頼と為す。潔き者よ、爾彼等の頷を壊り給へ。

   今も
女宰よ、高ぶる仇敵の昂げたる首、其の謀、其の悪しき風習、其の毎日我に向ひて悪を謀る心を低くし給へ。神の母よ、爾を呼ぶ者に能力と勝利とを與へて、速に彼等を喜ばしめ給へ。

   第五歌頌

イルモス、イサイヤにやけ炭として現れし日は童貞女の腹より黒暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。

真なる祈祷者、「ハリスティアニン」等の恃頼、恩寵を蒙れる者よ、我等熱心に爾を呼びて爾に祈る者の祈祷を納れ給へ。

潔き者よ、我等地に生るる者は爾を生命の泉、不死の水を流す者と知りて、爾を讃美す。  光栄

凶悪なる敵は我等を攻めて、舌を以て剣の如くに我等を滅さんと欲す。神の母よ、爾の能力にて我等を護り給へ。  今も

潔き者よ、孰か爾の有力なる保護の多きを数へん、故に我等患難に在る者を速に援け給へ。

   第六歌頌

イルモス、我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。

貞潔の者の守護者たる神の聘女よ、今爾を呼ぶ者に現れて、之を凡の患難危害より脱れしめ給へ。

祝福せられたる至浄の者よ、敵の悪事を毀ち、不義なる讒言を禁めて、罪なき者を憂より救ひ給へ。

      光栄
ハリストス神の母よ、我等は甚しき罪悪に圍まれ、侵撃する諸難に溺らされて、爾の神聖なるおほひの下に趨り附く。

  今も
神の聘女よ、爾は夫に與らずして主を生みて、産の後にも亦童貞女と顕れたり。嗚呼爾の中に行はれたる至栄なる奇跡や。

次に主憐めよ。三次。光栄、今も、

   坐誦讃詞、第二調。

熱心なる祈祷者、破られざる城、慈憐の泉、世界の避所よ、我等熱切に爾に呼ぶ、女宰生神女、独速に転達する者よ、急ぎて我等を患難より脱れしめ給へ。

   第七歌頌

イルモス、ハリストスよ、爾は至栄にして童貞女より生るるを明に預象せんと欲して、少者を爐の中に焚かるるなく護り給へり。彼等は爾を歌頌して歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

潔きキ童貞女よ、嗚呼爾の慈憐や、蓋爾は危難攻撃の中に爾を呼ぶ者の無量なる憂愁及びわざわいを解き給ふ。祝福せられたる者よ、故に今も爾を讃め揚ぐる者を援け給へ。

爾の速なる保護を顕し、爾が神の母として能するを顕し給へ、我等涙を流し、俯伏して、心より爾に呼ぶ、速に爾の諸僕の憂愁を慰め、疾病を醫し給へ。

   光栄
人人の口は猛き獅の如く啓かれて、墓の如く我を呑まんと欲す。祝福せられたる生神女、恃頼なき者の恃頼よ、爾現れて彼等の力を破り給へ。

   今も
諸敵は見て耻づべし、我等を防ぎ護る爾の力を知るべし、祝福せられたる生神女、恃頼なき者の恃頼よ、彼等を地獄の淵に墜し給へ。

   第八歌頌

イルモス、昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其の勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を涼しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讃めよと歌へばなり。

我等の避所、世界の歓喜なる神の母よ、急ぎて慈憐を垂れ、速に爾の恩寵を我等侵害せらるる者に與へ、至善の者よ、爾の諸僕を護り給へ。

不虔者の会は我等に向ひて悪しき謀を設けたり、昔のアヒトフェルの如し。唯我等呼ぶ、生神女よ、爾の祈祷を以て之を破りて、彼等の力を仆し給へ。

   光栄
女宰生神女よ、凡の憂、種種の病、甚しき禍の中に在りて、心より偽なく爾ほ呼ぶ者に速に聴きて、恒に爾の祈祷を以て彼等を助け給へ。

   今も
生神女よ、爾の名の地上に讃栄せられん為に、爾より輝きし主は爾を以て有能なる恃頼及び守護として罪人等に賜へり、蓋爾に因りて凡そ呼吸ある者は神に趨り附く。

   第九歌頌

イルモス、生神女よ、爾の位に合ひて能く爾を讃美する舌なし、天上の智慧も如何に爾を歌頌するを知らず。唯爾、仁慈の者として、我等の信を納れ給へ、我等の熱切なる愛を知ればなり、蓋爾は「ハリスティアニン」等の転達なり、我等爾を崇め讃む。

凶悪の事を謀る凡の舌は閉さるべし、虚偽の口、驕誇と仇するねたみを以て

不義にして義者に不法を帰する口は黙すべし、生神女とハリストスの諸聖人との祈祷に因りてなり。

我等病を負ひ憂を懐く者は皆祈祷に勇ある潔き生神女を頼みて呼ぶ、潔き女宰よ、恒に速に爾の諸僕を其負ふ所の諸病より援け給へ、我等には神に亜ぎて爾の外に他の保護者なければなり。    光栄

生神女よ、爾は失望せし者の大なる避所、颶風に遭ふ者の穏なる停泊なり。故に我等も爾に趨り附きて呼ぶ、真の生命の母よ.願はくは我等耻を得ざらん、願はくは感謝して熱心に爾を崇め讃めん。

  今も
至浄なる少女よ、神聖なる歌を納れて、爾を頼む者に恩寵を報い、常に諸教会に平安、我が皇帝に勝利を降さんことを求め給へ、凡の「ハリスティアニン」の舌が爾を崇め讃めん為なり。

次ぎて「常に福にして」。其他常例の如し、并に発放詞。

 

主日の夜半課

聖三者の規程。ミトロファンの作、其冠詞は、神元の三位の光を歌ふ。第二調。

   第一歌頌

イルモス、全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人体を取りし言、讃栄せらるる主は萬の悪を致す罪を滅し給へり、彼厳に光栄を顕したればなり。

我等歌を以て三位にして一元なる神性を歌頌して言はん、慈憐の汲み盡されぬ実在の淵を有つ神よ、爾に伏拝する者を護りて救ひ給へ、人を慈む主なればなり。

泉及び根たる父、縁由の者として、爾の子と聖神との中に居る神よ、一体の神性の三日の光を我が心に注ぎて、神為の光照に與るを以て我を照し給へ。

   光栄
三光なる神元の惟一者よ、爾の輝ける光線を注ぐを以て、我が諸罪と諸慾との黒暗を散じて、我を爾の近づき難き光栄の宮及び潔き幕と為し給へ。

   生神女讃詞
至浄なる者よ、爾の胎の内に人性を取りし神言は、其仁愛を以て、我が性の古の流、甚しく濁りて穢れたる者を潔めて之を照し、我等に三光なる神元の奥義を教へ給へり。

   第三歌頌

イルモス、爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり、蓋我が神は楽しみて歌へり、吾が神とrとく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。

我同尊なる神元、一性なる三位を讃栄す、蓋生命より生命は生じたれども、爾我等の神は惟一なり。主よ、爾の外に聖なるはなし。

聖三者、分れざる一元よ、爾は天の無形なる品位を爾の美善の鏡として造りて、断えず爾を歌はしむ。求む、今塵に属する我が口の讃美をも納れ給へ。

   光栄
三日の惟一者よ、爾の諸僕の心と意とを信の石に堅く立てて、爾の愛の淵を以て之を弘め給へ、蓋爾は我等の神なり、願はくは我等爾を頼みて耻を受けざらん。

   生神女讃詞
生神女よ、先に凡の造物に存在を賜ひし主は無量の仁慈に因りて爾の胎内に存在を受け、且惟一の神性と権能との三日の光を衆に輝かし給へり。

   坐誦讃詞、第二調。

慈憐なる主よ、爾は始にアダムを造りし時、爾の実性の言に呼べり、我等の肖に循ひて造らんと、造成者聖神も偕に在せり。故に我等爾に呼ぶ、造物主我が神よ、光栄は爾に帰す。

   光栄、今も、生神女讃詞
至浄なる者よ、神は我等に臨まんと定めし時、爾の至りて潔き胎内に入り、爾に依りて人の合成を救ひ、衆に天国を賜へり。故に我等爾に呼ぶ、女宰・潔き生神女よ、慶べ。

   第四歌頌

イルモス、主よ、我爾を歌ふ、蓋風声を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寛容を讃栄す。

惟一者、無原なる三者よ、無形なる天使の品位も爾を悟る能はず、然れども我等塵に属する舌を以て爾の実在の仁慈を歌頌し、信を以て之を讃栄す。

人の性を造りし全能者よ、爾は見ざる所なき主として今我の一切の不能を見る、故に爾の僕を憐みて、復善良なる生命に上せ給へ。

   光栄
我等は本原なる惟一者の混ぜざる三位を讃め歌ひて、位を分ち、其意旨、其光栄、其神性に於て之を合一にして、別れざる者と為す。

   生神女讃詞
生神女永貞童女よ、造成主は古世より独爾を明に無てん純潔なる宮と認めて、之に入り、人を愛する主として人性の形を受け給へり。

   第五歌頌

イルモス、幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈祷を奉ル、爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。

平安し生活とを與ふる爾の摂理の光線を一切の造物に注ぐ平安の王よ、我を爾の平安に護り給へ、爾は萬有の生命及び平安なればなり。

父の言よ、爾は棘の中に火の形を以てモイセイに現れて、天使と名づけられし時、豫め爾が我等に降臨せんことを示せり。此の降臨に由りて爾は衆に明に惟一の神元の三位なる権柄を顕し給へり。

   光栄

神性に属する同永在の光栄を有つ一元なる聖三者よ、信を以て正しく爾を讃め歌ふ者に爾の無原にして惟一なる三日の光の光栄を見るを得しめ給へ。

  生神女讃詞
童貞女母よ、実性の神言、萬世を保つ主は言ひ難く爾の胎内に保たれたり、人人を惟一の権能に召して合一んらしめん為なり。

   第六歌頌

イルモス、我罪の淵に溺れて、爾が憐の畳り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。

慈憐を旨とする三日の神よ、爾を信ずる者を憐みて、爾の諸僕を諸罪、諸慾、諸難より脱れしめ給へ。二次。

   光栄
仁慈の言ひ難き淵に因りて、爾が三光の神性の量り難き光照を以て我を照し給へ。

  生神女讃詞
童貞女よ、至上者は言ひ難く爾に藉りて全き人を衣て人と為りて、三日の光を以て我を輝かし給へり。

   坐誦讃詞、第二調。

憐の淵を有つ慈憐の主、無原なる三位の惟一者よ、我等を納れて、爾を讃栄する人人を顧み、爾に祈る者の歌を受け給へ、蓋我等爾萬有の神を頼みて、罪過の赦を賜はんことを求む。

   光栄、今も、生神女讃詞。

慈憐の泉を生みし生神女よ、爾は仁愛仁慈なる者なり、蓋爾は独信者の保護、爾は憂ふる者の慰藉なり。故に今我等皆爾の助ほ恃みて、信を以て俯伏して、罪過の釋かれんことを求む。

   第七歌頌

イルモス、黄金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、涼しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

独変易なき三位の主よ、爾は天使の軍を立てて、断えず爾を讃栄せしむ。求む、我が心をも常に熱愛を以て爾を讃栄し、敬みて歌頌する者と為し給へ。二次。

   光栄

一元なる三日の神よ、無形の者の品位は爾の光線に照されて、第二の光と為る。求む、光を施す三光者よ、我をも照して、爾の光に與る者と無し給へ。

   生神女讃詞

言ひ難く人を愛するに因りて童貞女の胎内に人と為り、人を神成して、父と偕に光栄の寶座に坐する主よ、我等爾を愛する者を挙げて、天に向はしむることを遺るる勿れ。

   第八歌頌

イルモス、三重に福たる少者は金の像を顧みずして、変易なき活ける神の像を見て、焔の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讃め揚ぐべし。

近づき難き三者、同永在同無原なる神元、萬事に於て変易なき神、萬有の主よ、諸敵の凡の悪謀とデモンの攻撃とを空しくして、常に我を害なく守り給へ。二次。

   光栄
叡智と全能とを以て世界を合成して、之を整齋全備なる秩序に守る形り難き三日の一元よ、我が心に入りて、我に天使の品位と偕に萬世黙さずして爾を歌頌讃栄せしめ給へ。

  今も
父の叡智、測り難く言ひ難き神の言よ、爾は変易なき爾の性を易へずして.慈憐に因りて人の性を受けて、衆に萬世の宰たる惟一の三者を尊まんことを教へ給へり。

   第九歌頌

イルモス、日より前に光り輝きし神、肉体にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讃美たる至浄き生神女よ、我等爾を崇め讃む。

無原の光より同無原の光なる子は輝き、又同性の光なる聖神は出で給へり、我等は神に合ふ言ひ難き不朽の産、又言ひ難き出を信ず。

三日の神性よ、爾の三光の光明を爾に歌頌する者の心に輝かして、彼等に一切を悟る智慧を啓き、彼等に爾の善にして純全なる旨を行ひて、爾を讃美讃栄するを賜へ。

   光栄
神として性に限なき聖三者よ、爾は慈憐の量り難き淵を有ちて、嘗て我等に慈憐を施し給へり。祈る、今も爾の諸僕に慈憐を垂れて、之を罪過と患難と危害より脱れしめ給へ。

   生神女讃詞
三位に於て歌頌せらるる我が神、惟一の神、惟一の全能者よ、我を凡の誘惑及び迫害より救ひ、生神女の祈祷に由りて爾の牧群を守り給へ。

次にグリゴリイ、シナイトの聖三讃歌、「爾神言を讃栄するは」、及び其他夜半課の式。本書の末に載す。

 

主日の早課

「主は神なり」に讃詞、「死せざる生命よ」。光栄、今も、「生神女よ、爾の奥義は」。

   第一の誦文の後に主日の坐誦讃詞、第二調。

尊きイオシフは爾の潔き身を木より下し、浄き布に裹み、香料にて覆ひ、新なる墓に蔵めたり。然れども主よ、爾は三日目に復活して、世界に大なる憐を賜へり。

句、主我が神よ、起きて、爾の手を挙げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。

天使は香料を攜ふる女に墓の側に現れて呼べり、香料は死者に適ふ、ハリストスは朽壊に與らざる者なり、乃よべ、主は復活して、世界に大なる憐を賜へり。

   光栄、今も、生神女讃詞
生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり、我等爾を歌ふ、蓋爾の子の十字架にて地獄は滅され、死は殺され、我等殺されし者は興きて生命を得、復古の楽なる楽園を受けたり。故に我等ハリストス吾が神に感謝して、其権能ありて独大仁慈なるを讃栄す。

   第二の誦文の後に坐誦讃詞、第二調。

墓の石に封印するを禁ぜずして、爾は復活して、信の石を衆に賜へり。主よ、光栄は爾に帰す。

句、主よ、我心を盡して爾を讃め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。

爾の門徒の会は攜香女と偕に同心に喜ぶ。我等も彼等と偕に共與の祭を祝ひ、爾の復活を讃栄尊敬して爾に呼ぶ、人を愛する主よ、爾の民に大なる憐を垂れ給へ。

   光栄、今も、生神女讃詞。

生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり、蓋爾より身を取りし主は地獄を虜にし、アダムを喚び起し、詛を破り、エワを赦し、死を滅し、我等を生かせり。故に我等歌ひて呼ぶ、斯く行ひ給ひしハリブストス神は上がる讃めらる、光栄は爾に帰す。

「ネポロチニ」の後に應答歌、第二調。

ハリストス神よ、苦難の後、女等墓に往きて、爾の身に香料を傅らんとせしに、天使等を墓の中に見て驚けり、蓋彼等の言ふを聴けり、主は復活して、世界に大なる憐を賜へり。

   品第詞、第二調。第一倡和詞。毎句復唱す。

救世主よ、我が心の目を天に爾に挙ぐ、爾の光照にて我を救ひ給へ。

嗚呼吾がハリストスよ、時毎に多く爾に罪を犯せる我等を憐みて、終の前に爾に痛悔する法を與へ給へ。

   光栄
聖神には宰制し、聖を施し、造物を活動せしむること適ふ、父及び子と一性の神なればなり。

   今も、同上。

   第二倡和詞

若し主我等の中にあらずば、誰か敵又殺人者より全うし護らるるに堪へん。

救世主よ、爾の僕を彼等の歯に付す勿れ、蓋我が敵は獅の如く我に向ひ進む。

   光栄

聖神には生命の泉及び尊栄は属す、蓋神として、其力を以て、一切の造物を父の中に、子に因りて守る。  今も、同上。

   第三倡和詞

主を頼む者は聖山に似たり、敢て敵の攻撃に因りて動かざらん。

敬虔に生を送る者は己の手を不法に伸ぶべからず、蓋ハリストスは其嗣業の為に杖を放たず。

   光栄
聖神にて一切の智慧は湧き出さる、是より使徒は恩寵を斟み、致命者は苦に因りて栄冠を冠り、預言者は見る。

   今も、同上

   提綱、第二調。

主我が神よ、起きて、爾が定めし審判ょ行ひ給へ、萬民爾を環らん。句、主我が神よ、我爾を頼む、我を救ひ給へ。

「凡そ呼吸ある者は」。主日の早課福音経。

「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。其他常例の如し。

   主日の規程、第二調。

   第一歌頌

イルモス、全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人体を取りし言、讃栄せらるる主は萬の悪を致す罪を滅し給へり、彼厳に光栄を顕したればなり。

附唱、主よ、光栄は爾の聖なる復活に帰す。

至善なる主よ、世の君、我等が爾の誡に背きて服従せし者は爾の十字架にて定罪せられたり、蓋死に属する者と為して爾に触れて、爾の権能に由りて権を失ひ、弱き者と顕れたり。

爾は人類の贖罪主及び不朽の生命の首として世に来れり、蓋爾の復活を以て死の縲絏を断ち給へり。我等皆之を讃栄す、爾厳に光栄を顕したればなり。

   生神女讃詞
潔き永貞童女よ、爾は見ゆると見えざる一切の造物より至りて上なる者と顕れたり、造成主を生みたればなり、其爾の胎内にをチ取らんと欲せしが如し。彼に勇敢を以て我が霊を救はんことを祈り給へ。

又十字架復活の規程、其冠詞は、生命を施す言に讃美を歌ふ。

   第一歌頌 同調

イルモス、選ばれたるイズライリは曾て履まれぬ、常ならぬ、海の路を足を濡らさずして過りて呼べり、主に謳はん、彼光栄を顕したればなり。

ハリストスよ、爾は肉体の苦に由りて弱き者の能力、陥りし者の提起、死せし者の不朽と為れり、光栄を顕したればなり。

神造成主及び更新者は殺されて、陥りし像に慈憐を施し、壊られし者を興し、衆を生かし給へり、彼光栄を顕したればなり。

又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、生命を施す少女に讃美を歌ふ。

   第一歌頌  同調、同イルモス。

潔き者よ、昔霊現の梯及び奇妙に啓けたる海の路は爾の産を顕せり。我等皆之を歌ふ、其光栄顕はれたればなり。

純潔なる者よ、至上者の力、三者の一位、神の智慧は爾より身を取りて、人人に近づき給へり、其光栄顕れたればなり。

潔き者よ、義の日は爾の閉されたる胎の過られぬ門を過りて、世界に輝けり、其光栄顕れたればなり。

共頌、「我が口を開きて」。

   第三歌頌

イルモス、主よ、荒地の如く実を結ばざる異邦の教会は、爾の来るに因りて百合の如く華さけり、我が心は此に縁りて固められたり。

造物は爾の苦に因りて変じたり、爾神聖なる指麾を以て一切を基づけたる主が卑しき形に於て不法者より辱しめらるるを見たれぱなり。

ハリストスよ、爾は己の像に形りて、爾の手を以て我を塵より造り、復罪の為に地の塵に還されし者を地獄に下りて、己と偕に復活せしめ給へり。

   生神女讃詞
至浄なる者よ、爾の産に因りて天使の品位は驚き、人人の心は懼れたり、故に我等信を以て爾を生神女と尊む。

   

イルモス、ハリストスよ、爾の権能に因りて強き者の弓は折られ、弱き者は力を帯びたり。

萬有より上なるハリストスは肉体の苦を以て天使等の性より少布く遜りたり。

ハリストスよ、爾は死して罪犯者と偕に算へられ、復活して女等に光栄の栄冠を以て輝ける者と顕れたり。

   又 同イルモス

童貞女よ、時の造成者にして凡の時に超ゆる者は甘じて爾に藉りて嬰児と為りたり。

我等は天より宏き腹、アダムに喜びて天に居らしむる者を歌頌せん。

   第四歌頌

イルモス、童貞女に藉りて来りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人体を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光栄は爾の力に帰す。

我が神、審判を諸民に行ふ主宰よ、爾は声を出さずして、審判せらるる者として審判座の前に立つ。ハリストスよ、爾は此の苦にて世界の為に救を立て給へり。

ハリストスよ、爾の苦に因りて敵には武器悉く盡き、爾が地獄に下るに因りて仇の城邑は毀たれ、苦しむる者の狂暴は壊られたり。

   生神女讃詞
女宰生神女よ、我等衆信者は爾を救の湊及び堅固なる城として知る、爾の祈祷にに因りて我等の霊を危難より脱れしめ給へばなり。

   

イルモス、人を愛する主よ、我爾の光栄なる摂理を聞きて、爾の悟り灘き能力を讃栄せり。

ハリストスよ、病なく爾を生みし童貞女は爾が木に釘せられたるを見て、母として病を忍びたり。

死は勝たれ、死者は地獄の門を壊ちたり、蓋衆を呑む者は破られて、天性に超ゆる諸恩は我に賜はりたり。

   又 同イルモス

視よ、主の家の神聖なる山は最高く挙りたり、是れ神の母。天軍に超ゆる者なり。

童貞女よ、爾は独神聖なる召に勝ふる者と為りて、天性に超えて造物を掌る主を生み給へり。

   第五歌頌

イルモス、ハリストス融神よ、爾は神と人との中保者と為れり、主宰よ、我等は爾に依りて、無智の闇より光の原なる爾の父に就くを得たればなり。

主宰ハリストスよ、爾は身にて甘じて松と黄楊樹と柏香木とに挙げられしに因りて、リワンの柏香木を摧く如く、諸民の驕を壊り給へり。

ハリストスよ、彼等爾を気息なき死者として最深き坎に置きたれども、爾は傷つけられて、爾の傷に因りて墓に寝ぬる遺れられたる死者を爾と偕に復活せしめ給へり。

  生神女讃詞
潔き童貞女よ、爾を頼む者を諸敵の攻撃より護りて、之に平安を賜はんことを爾の子及び主に祈り給へ。

   

イルモス、イサイヤにやけ炭として現れし日は童貞女の腹より黒暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。

第一のアダムは齋を辞みて、死を致す木の果を食ふ、第二のアダムは木に釘せられて、其罪を滅す。

無形の神性にて苦に與らざるハリストスよ、爾は人の性にて苦及び死に與りて、殺されし者を不朽の者と為して、地獄の深處より復活せしめ給へり。

   又  同イルモス

雲よ、楽の甘味を地に居る者に注げ、蓋世の先より在す神は童貞女より身を取りて、嬰児として我等に賜はりたり。

末の時に重貞女より種なく身を取りし至上者は我が生命我が肉体に光を輝かして、罪に由る衰弱を除き給へり。

   第六歌頌

イルモス、我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。

義者は犯罪者の如く定罪せられ、犯罪者と偕に木に釘せられて、己の血に由りて罪過ある者に赦を賜ふ。

昔一人のアダムに由りて死は世に入り、又一人神の子に由りて復活は顕れたり。

  生神女讃詞
童貞女よ、爾は夫を識らずして生み、又永遠に重貞女に止まりて、爾の子及び神の真の神性の印象を顕す。

   

イルモス、主宰よ、傷める霊より祈祷の言の声を聞きて、我を諸難より脱れしめ給へ、爾は独我等の救の縁由なればなり。

爾は生命の樹を罪に陥りし者より護らん為にヘルワィムを立てたり、然れども爾を見て門は啓かれたり、爾盗賊を楽園に導きて現れたればなり。

一人の死に藉りて地獄は破られて空しくなれり、其聚めたる多くの富は独ハリストス我等衆の為に之を盡し給へり。

   又 同イルモス

潔き女宰よ、罪に服役する人の性は爾に縁りて自由を獲たり、蓋爾の子は羔の如く衆の為に屠られたり。

我等皆爾真の神の母に呼ぶ、怒に触れたる諸僕を援け給へ、爾独子の前に勇敢を有てばなり。

   小讃詞、第二調
全能の救世主よ、爾墓より復活せしに、地獄は奇蹟を見て慄き、死者は起き、造物は見て爾と偕に喜びアダムは共に楽しみ、我が救世主よ、世界は常に爾を讃め歌ふ。

   同讃詞
救世主よ、爾は昧まされし者の光、爾は衆の復活、人人の生命なり。言よ、爾は死の権を滅し、地獄の門を破りて、衆を己と偕に復活せいめたり。人を愛する主よ、死者は奇跡を見て驚き、萬物は爾の復活の為に喜ぶ。故に我等衆も爾の寛容を讃栄歌頌し、我が救世主よ、世界は常に爾を讃め歌ふ。

   第七歌頌

イルモス、不法なる虐者の神に戻る命令は高き焔を起したれども、讃め歌はるるハリストスは敬虔の少者に属神の露を降し給へり。

主宰よ、爾は慈憐に由りて人の死に苦しめらるるを見るに忍びずして、人と為り、来りて、爾の血を以て之を救は給へり、爾は我が先祖の讃美讃栄せらるる神なればなり。

ハリストスよ、地獄の門衞は爾が復讐の衣を衣たるを見て懼れたり、蓋爾主宰は狂暴の残虐者たる奴隷を殺さん為に来り給へり、爾は我が先祖の讃美讃栄せらるる神なればなり。

   生神女讃詞
無てんなる童貞女、聘女ならぬ母よ、我等爾を独変易なき神を生みし者として、聖者の中に至りて聖なる者なりと識る、蓋爾は神聖なる爾の産にて衆信者に不朽を流し給へり。

     

イルモス、昔少者は智慧深き辯舌者と現れて、至りて敬虔なる霊より口を以て祝讃して歌へり、先祖及び我等の至聖なる神よ、爾は崇め讃めらる。

昔不順はエデムに於て原祖を定罪せり、然れども至聖にして讃美たる先の神は甘じて定罪せらるるを以て誡を犯しし者の罪を釋き給へり。

至聖にして讃美たる先祖の神よ、爾は殺人者の猜忌に因りてアダムに於て其舌にて傷つけられし者を救へり、甘じて得たる傷を爾は甘じて受けたる苦にて醫し給へり。

   生神女讃詞
至聖にして讃美たる先祖の神よ、爾は神性の光明にて暗き地獄を照して、我死の蔭を行く者を光に召し給へり。

   又 同イルモス

イアコフは人体を取り給ふ神を夜間朦朧の中に見たり、爾に由りて至聖にして讃美たる先祖の神は明に彼を歌ふ者に現れ給へり。

潔き者よ、至聖にして讃美たる先祖の神、爾に由りて甘じて人人に合せられし主は、言ひ難く彼等の罪を卸さんしする前兆として、イアコフと角力を為し給ふ。

爾童貞女の子、至聖なる三者の一位を疑なき信を以て傳へず、舌を以て至聖にして讃美たる先祖の神よと呼ばざる人は厭はるべし。

   第八歌頌

イルモス、昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を涼しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讃めよと歌へばなり。

ハリストスよ、天使の品位は爾の肉体の衣が爾の血にて赤みたるを見て慄き、爾の大なる寛忍に驚きて呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讃めよ。

慈憐なるハリストスよ、爾は己の復活を以て我の死に属する性に不死を衣給へり。故に選を蒙りたる民は感謝して爾を讃め歌ひ、楽しみて爾に呼ぶ、実に死は勝に呑まれたり。

   生神女讃詞
至浄なる紳の母よ、爾は父に別れざる者を種なく胎内に孕みて、言ひ難く生み給へり。故に我等は爾を我衆の救と認む。

     

イルモス、三重に福たる少者は金の像を顧みずして、変易なき活ける神の像を見て、焔の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讃め揚ぐべし。

慈憐豊なる仁愛の主よ、爾は十字架に釘せらるる者と見られ、甘じて葬られ、三日目に復活し、衆人を救ひて、信を以て歌はしむ、萬物は主を歌ひて、萬世に讃め揚ぐべし。

神の言ハリストスよ、爾は造りし者を朽壊より救はん為に地獄に降り、爾の神聖なる力にて之を不朽の者と為し、爾の永在なる光栄に與る者と為して呼ばしむ、萬物はハリストスを歌ひて、世世に讃め揚ぐべし。

   又  同イルモス

仁慈能力の比ぶべきなき主は爾に由りて地上に見られ、人人と偕に在せり。我等信者皆彼を歌ひて呼ぶ、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讃め揚ぐべし。

我等は爾潔き者を実に生神女と傳へて讃栄す、蓋爾は三者の一位、身を取りし者を生み給へり。我等皆彼に父及び聖神と偕に歌ふ、萬物は主を歌ひて、萬世に讃め揚ぐべし。

次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が霊は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。

   第九歌頌

イルモス、無原の父の子、神と主は、童貞女より人体を取り、我等に現はれて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讃美たる生神女を崇め歌ふ。

ハリストス救世主よ、爾の至浄なる十字架の三重に尊貴なる木は地堂に於けるが如く髑髏の處に植えられ、神聖なる泉よりするが如く爾の脅の神聖なる血と水とに湿されて、我等の為に生命を生じたり。

全能者よ、爾は十字架に上げられて、有権者を墜し、下に堅固なる地獄に伏したる人の性を挙げて、父の寶座に坐せしめたり。我等父と偕に爾還来らんとする主に伏拝して崇め歌ふ。 
  
  聖三者讃詞

我等信者は三位なる惟一者、一性の三者を真正に歌ひて、分れざる至聖なる性体、三妙の暮れざる日、独一永在にして、光を我等に輝かしし神を讃栄す。

   又 イルモス、「食に縁りて甚しく朽壊に陥りし」。

ハリストスよ、爾は髑髏の處に、定罪せられし者の間に、羔の如く十字架に上げられ、戈にて脅を刺されて、仁慈なる主として、塵に属する我等、信を以て爾の神聖なる復活を尊む者に生命を賜へり。

我等衆信者は己の死を以て死の権を空しくせし神に伏拝せん、古世よりの死者を己と偕に復活せしめて、衆に生命と復活とを與へ給へばなり。

   

イルモス、神の言、童貞女の子、諸神の神、諸聖の至聖者たる主よ、爾は全く冀望、全く甘味なり。故に我等皆爾及び爾を生みし者を崇め讃む。

潔き者よ、爾の胎内に於て能力の杖たる神の言は朽壊の性に與へられて、此の躓きて地獄に陥りし者を復活せしめたり。故に我等爾純潔なる者を生神女として崇め讃む。

主宰よ、慈憐を以て我等の為に祈る爾の母を納れて、衆を爾の仁慈に充たしめ給へ、我等皆爾を恩主として崇め讃めん為なり。

共頌の後に小聯祷。次ぎて主我等の神は聖なり、三次。早課の差遣詞。

「凡そ呼吸ある者」に主日の讃頌、第二調。

句、彼等の為に記されし審判を行はん為なり、斯の栄は其悉くの聖人に在り。

主よ、凡そ呼吸ある者及び悉くの造物は爾を讃栄す、蓋爾は十字架にて死を空しくせり、人人に爾の死よりの復活を顕さん為なり、独人を慈む主なればなり。

句、神を其聖所に讃め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讃め揚げよ。

イウデヤの人言ふべし、如何ぞ王を守る兵卒は之を失ひたる、何ぞ石は生命の石を守らざりし。或は葬られし者を與ふべし、或は復活せし者に伏拝して、我等と偕に云ふべし、吾が救世主よ、光栄は爾の大なる恵に帰す、光栄は爾に帰す。

句、其権能に依りて彼を讃め揚げよ、其至厳なるに依りて彼を讃め揚げよ。

人人よ、喜び楽しめよ、墓の石に坐する天使は我等に福音して云へり、ハリストス・世界の救主は死より復活して、萬有に馨しき香気を満て給へり。人人よ、喜び楽しめよ。

句、角の声を以て彼を讃め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讃め揚げよ。

主よ、天使は爾が未だ孕まれざる先に、恩寵を蒙れる者に慶べよと報じ、天使は又爾の復活の時に、爾が光栄なる墓の石を移せり。彼は悲に代へて楽の徴を示し、此は死に代へて我等に生を施す主宰を傳へたり。故に我等爾に呼ぶ、萬有の恩者なる主よ、光栄は爾に帰す。

   又讃頌、アナトリイの作、第二調。

句、鼓と舞とを以て彼を讃め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讃め揚げよ。

女等は涙と共に香料を爾の墓に注ぎしに、彼等の口は、ハリストス復活せりと言ふ時、歓喜に満てられたり。

句、和声のばつを以て彼を讃め揚げよ、大声のばつを以て彼を讃め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讃め揚げよ。

諸族諸民はハリストス我等の神、甘じて我等の為に十字架を忍びて、地獄に三日在りし主を讃め揚げて、其死よりの復活、世界の四極を照しし者に伏拝すべし。

句、主我が神よ、起きて、爾の手を挙げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。

ハリストスよ、爾き望みし如く、十字架に釘せられ、葬られたり、神及び主宰として、死を滅し、光栄の中に復活して、世界に永遠の生命と大なる憐とを賜へり。

句、主よ、我心を盡して爾を讃め揚ぐ、爾が悉くの奇跡を傳へん。

嗚呼石に封印せし不法者は実に我等に更に多くの奇跡を見るを得しめたり。番兵は今彼が墓より出でたるを知れるに、之に謂ふ、告ぐべし、我等が寝ねたる時、其門徒来りて、彼を竊めりと。誰か死者、殊に裸体なる者を竊まん、彼親ら神として、己の権を以て復活して、墓の中に其斂葬の衣を遺せり。イウデヤ人よ、来りて、観よ、死を滅し、人類に永遠の生命と大なる憐とを賜ひし者は如何にして封印を破らざりし。

光栄、早課の福音の讃頌、今も、生神女讃詞、生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。

   大詠頌。次ぎて復活の讃詞。

主よ、爾は墓より復活して、地獄の鎖を壊り、死の定罪を滅し、衆人を敵の網より救へり。独大慈憐なる者よ、爾は使徒に顕れて、彼等を傳教に遣し、彼等に依りて爾の平安を世界に賜へり。

 

聖体礼儀には、真福詞、第二調。

我等盗賊の声を爾に奉りて祈る、救世主よ、爾の国に於て我等を憶ひ給へ。

句、心の清き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。

人を愛する主よ、爾が我等の為に受け給ひし十字架を爾に奉りて、我が罪過の赦を求む。

句、和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づれられんとすればなり。

人を愛する主宰よ、我等爾の葬と復活とに伏拝す、爾は此等を以て世界を朽壊より脱れしめ給へり。

句、義の為に窘逐せらるる者は福なり、天国は彼等の有なればなり。

主よ、爾の死にて死は呑まれたり、救世主よ、爾は復活を以て世界を救ひ給へり。

句、人我の為に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を偽りて諸の悪しき言を言はん時は、爾等福なり。

爾は墓より復活して、攜香女に遇ひ、彼等に爾の復活を使徒に傳へんことを命じ給へり。

句、喜び楽しめよ、天には爾等の賞多ければなり。

ハリストスよ、黒暗に眠る者は爾地獄の深處に輝きし光を見て復活せり。

     光栄

我等皆信を以て父を讃栄し、子に伏拝し、聖神を歌頌せん。

   今も、生神女讃詞。

火の状の寶座よ、慶べ、聘女ならぬ聘女よ、慶ぺ、神を人人の為に生みし童貞女、慶べ。

   提綱、第二調。

主は我が力、我が歌なり、彼は我が救となれり。

句、主は厳しく我を罰したれども、我を死に付さざりき。

「アリルイヤ」、願はくは主は憂の日に於て爾に聴き、イアコフの神の名は爾を

扞ぎ衞らん。

句、主よ、王を救へ、又我等が爾に呼ばん時、我等に聴き給へ。