クリトの聖アンドレイの大カノン(6調)

月曜日

第1歌頌 

 

詠隊    [イルモス]佑け護る者顕れて、我が救と為れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌わん、彼 厳に光栄を顕したればなり。

        (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我が不当なる度生(どせい)(おこない)を泣くは何より始むるべきか、ハリストスよ、我が今の(なげき)は何を以て起こすべきか、惟求む、爾慈憐なるに因りて、我に罪のを与へ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (わざわい)なる(たましい)よ、体と(とも)に来たりて、萬有の造物主の前に罪を認め、今より後先の無知を斥けて、痛悔の涙を神に献げよ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (いましめ)を犯すを以て(はじ)めて造られしアダムにひて、我が諸罪の為に、己が神と永遠の国と福楽より遠ざけられしを覚へたり。(創世記3:7-11)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   哀しい哉吾が(わざわい)なる(たましい)よ、爾は何為れぞ(はじ)めて造られしエヴァに()たる者と為りし、爾は(よこしま)に視、(はなはだ)しく傷つき、樹に觸れて、敢えて無知の食を食へり。(創世記3:6)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   見るべきエヴァに代へて、見るべからざるエヴァは我の内に起れり、是肉欲の情なり、我に甘きを進むれども、我味わう時常に苦きを覚ゆ。(創世記3:6)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、アダムは爾が一の(いましめ)を守らずして、義に依りてエデムより逐われたり、我は常に爾が生命(いのち)を施す(いましめ)を犯して、何の罰を受くべきか。(創世記3:23、行実7:38

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   永久の三者一性に於て伏拝せらるる者よ、罪の重きを我より(おろし)して、慈憐なるに因りて、我に感涙を与へ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾を歌ふ者の憑恃(たのみ)及び(てん)(たつ)よ、罪の重きに負け我より(おろし)て、(いさぎよ)き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を()れ給へ。

 

第2歌頌

 

詠隊   [イルモス]天よ、聴け、我伝へて童貞女より身を取りて来たりしハリストスを歌わん

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   天よ、聴け、我傳へん、地よ、我が神の前に痛悔して彼を歌ふ声を()れよ。(申命32:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   神吾が救世主よ、爾が慈憐なる目を以て我を()、我が熱心なる告悔を()れ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我衆人に超へて罪を犯し、我(ひとり)爾の前に罪を犯せり、然れども爾神なるに因りて、爾の造物を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我諸慾の醜きを我が中に写し、快楽の(ほしいまま)にして智恵の美しきを(そこな)へり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   慈憐なる主よ、諸悪の烈風は我を(めぐ)れり、然れども爾ペトルに於けるが如く、我にも手をべ給へ。(マタイ14:31)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我が肉体の衣を汚し、爾の像と肖に因りて造られしものを(くろ)ませり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我諸慾の楽にて霊の美しきを(くら)くし、吾が智恵を全く塵と為せり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我は我が初めの衣、造物主が始めに我が為に織りし者を裂けり、故に裸体にて臥す。(創世3:7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                             

司祭   我は襤褸(つまれ)の衣、蛇が(いつわ)を以て我が為に織りし者を着て自ら耻ず。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   仁慈なる者よ、我も淫婦(いんぷ)の如く涙を流す、救世主よ、爾の慈憐に因りて我を憐み給へ。(ルカ7:38)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                                

司祭   我樹の美しきを見て、心惑へり、故に裸体にして臥して、自(はじ)ず。(創世3:6-7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   諸慾の(かしら)は悉く我が背に耕して、我が身に其不法を穿(うが)てり。(聖詠128:3詩篇129:3)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾三位にして惟一なる万有の神、父と子と聖~゚(しん)を歌ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる生神・童貞女、(ひとり)衆人に讃頌せらるる者よ、我等が救ひを得んことを切に祈り給へ。

 

第3歌頌

 

詠隊   [イルモス]ハリストスよ、爾が(いましめ)の動かざる石に我が意思を固め給へ

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   主は昔主より日を降らして、ソドムの地を()けり。(創世19:24)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   霊よ、彼のロトの如く、山に遁れ、急ぎてシゴルに(かく)れよ。(創世19:22)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   霊よ、焔を避けよ、()かるるソドムを避けよ、神の火に滅さるるを避けよ。(申命4:24、ヘブル12:29)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。         

司祭   ハリストス救世主よ、我(ひとり)爾の前に罪を犯し、衆人に超へて罪を犯せり、我を棄つる勿れ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   爾は善き牧者なり、我(こひつじ)なる者を尋ねよ、我迷ひし者を棄つる勿れ。(ヨハネ10:11、ルカ15:4-6)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   爾は慕ふべきイイスス、爾は我の造物主なり、救世主よ、我爾に依りて義とせらるるを得ん。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我爾の前に罪を認む、我罪を犯せり、爾の前に罪を犯せり、然れども爾慈憐なるに因りて、我を(なだ)め、我を(ゆる)し給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   鳴呼、三者惟一者、神よ、我等を誘惑と試誘と危難より救ひ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神を容れし腹よ、慶べ、主の宝座よ、慶べ我が生命(いのち)の母よ、慶べ。

 

第4歌頌

 

詠隊   [イルモス]主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人々に顕れんと欲するを(おそ)れたり、主よ、光栄は爾の力に帰す。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   義なる審判者よ、爾の造工(しわざ)を斥くる毋れ、爾の造物を()つる毋れ、蓋我(ひとり)人として衆人に超へて罪を犯したれども、爾人を愛する者よ、万有の主として、罪を(ゆる)す権を有ち給ふ。(マルコ2:10)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                           

司祭   霊よ、終りは近づく、近づけども爾は慎まず、己を備へず、時は(ちぢ)まる、興きよ、審判者は已に近し、門に及べり、生命(いのち)の日の過ぐるは夢の如く、花の如し、我等何為れぞ徒に心を煩わす。(マタイ24:33、聖詠38:7詩篇39:7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭  鳴呼我が霊よ、醒めよ、爾が行ひし所為を想ひ、之を爾が目の前に立てて、爾が涙の滴を注げ、勇て爾の(おこない)と思とをハリストスに告げて、義とせられよ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、凡そ世にある罪、或は行為、或は悪は我思と(ことば)と希望にて與からざるなく、即ち志を以て、意念を以て、(おこない)を以て、犯ししこと衆人に超へたり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   故に我罪せらる、我(わざわい)なる者は己の良心にて定罪せらる、世界に此より厳しきはなし、吾が 審判者、贖罪者、及び明察者よ、我爾の僕を(なだ)め、釈き、救ひ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が霊よ、昔太祖の(おおい)なるものが見たる(かけはし)は、(おこない)を以て登り、知識を以て上る表なり、故に(おこない)と知識と明悟とを以て住わんと欲せば、自ら改まれ。(創世28:12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   太祖は必要に因りて、昼の暑さを堪へ、夜の寒さを凌ぎて、日々に利を求め、群を牧し、労を取り、勤を盡せり、二人の妻を獲ん為なり。(創世29:16-30、30:31-3、31:38-41)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   二人の妻が(おこない)明悟(さtpり)の知識とを示すを知れ、リヤは多くの子ある者として(おこない)を示し、ラヒリは多くの苦労を以て獲られし者として知識を示す、蓋(たましい)よ、苦労に非ずしては、(おこない)も明悟も成らず。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に(おおい)なる歌、最高き居所に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。(イザヤ6:3、黙示4:8)

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」                            

司祭   爾は生むにも、童貞を守るにも、二つながら天性の童貞女なり、爾より生まれし者は天性の法を改め、生まざる腹を生む、神の欲する所には天性の順序()へらる、彼欲することを行ばなり。

 

第5歌頌

 

詠隊   [イルモス]人を愛する主よ、祈る、夜より()むる者を照し、我をも爾の(いましめ)に導き、救世主よ、 我に爾の旨を行を訓へ給へ。

 

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我常に我が生命(いのち)を夜の中に送れり、蓋罪の夜は我が為に闇冥(くらやみ)と深き霧たりき、然れども救世       主よ、我を顕して昼の子となし給へ。(エペソ5:8、テッサロニキ5:5)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我不当の者はルヴィムの如く、至浄なる神の前に不法にして道に悖ることを行ひ、我が(とこ)を汚ししこと彼が父の榻を汚ししが如し。        (創世35:22、49:4)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ハリストス王よ、我爾の前に痛告す、我罪を犯し、昔潔浄と貞潔との結果たるイオシフを賣りし兄弟の如くに罪を犯せり。 (創世37:27-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   義なる(たましい)は親族に縛られ、愛すべき者は主を象りて奴隷に賣られたり、惟爾(たましい)よ、自ら己を全く罪悪に賣れり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (わざわい)なる不当の(たましい)よ、義なるイオシフ及び其貞潔の智恵に(なら)ひて、己を汚す毋れ、無知なる思ひを以て常に不法を行ふ毋れ。     (創世39:7-20)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 主宰よ、昔イオシフは穽に在りたれども、爾の(ほうむり)と復活とを象れり、我は(いずれ)の時に何をか斯くの如きを爾に献げん。      (創世37:24)

詠隊    光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭 三者よ、我等爾惟一の神を讃詠す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖~゚(しん)、単一の性、永遠に伏拝せらるる惟一者や。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   無玷(むてん)にして夫を知らざる母童貞女よ、世々を造りし、神は爾の中に於て我が霊体を衣て、人性を己に合せ給へり。

 

第6歌頌

 

詠隊   [イルモス]我心を盡して仁慈なる神に()べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命(いのち)を亡滅より援け給へり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   救世主よ、我切に我が目の涙と中心の歎とを爾に献げて呼ぶ、神よ、我爾の前に罪を犯せり、 我に憐みを垂れ給へ。 (ルカ18:13)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾はダファン及びアヴィロンの如く爾の主に離れたり、然れども最深き地獄より(なだ)め 給へと呼べ、地の淵が爾を覆わざらん為なり。 (民数16:32)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は牝牛の如くに暴れて、エフレムに似たる者と為れり、鹿の如く爾の生命(いのち)を網より救ひ、(おこない)と明悟とを以て智恵の翼とせよ。 (ホセア10:11)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、モイセイの手は神が如何にして能く癩病の生命(いのち)を白くし潔くするを我等に信ぜしむべし、爾癩病を患ふと雖も、自ら望を失ふ毋れ。 (出エジプト4:6-8)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我は単一にして分かれざる三者、位に於て分かれたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖~゚(しん)之を言ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾の腹は我等の為に我が形を受けし神を生めり、其万有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈祷に依りて義とせらるるを得ん為なり。

      主憐めよ(3次)、光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、今も何時も世々に、「アミン」

 

詠隊   [コンダク] 我が(たましい)よ、我が(たましい)よ、起きよ、何ぞ眠る、終わりは迩づく、爾擾れん、故に寤めよ、在らざる所なく充たざる所なきハリストス神を(なだ)めん為なり。

 

第7歌頌

 

詠隊   [イルモス]列祖の神よ、我等罪を犯し不法を行ひ、不義を爾の前に為し、爾が我等に(いましめ)しことを守らざりき、行わざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我罪を犯し、不法を行ひ、爾の(いましめ)に背けり、蓋我罪の中に生れ、且我が(きず)に復(きず)を加へたり、 然れども爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我我が心の秘密を爾我が審判者の前に顕せり、我が(へりくだり)を視、我が憂を視よ、我が今己を罪するを顧みて、爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔サウルは其父の(うさぎうま)を亡いて、是に関する音信(おとずれ)と偕に俄に国を獲たり、(たましい)よ、慎め、己を忘れて、畜類の慾を重んずること、ハリストスの国に超ゆる毋れ。 (サムエル上9:3、10:1-2)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔神の先祖ダヴィドは姦淫の矢に傷つけられ、且残忍なる殺害の槍を用ひて、二倍の罪を犯せり、然れども爾我が(たましい)よ、自ら(ほしいまま)なる慾を疾むこと、此の行ひよりも甚だし。(サムエル下11:2-17

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                      

司祭   昔ダヴィドは不法に不法を加へたり、蓋殺害に姦淫を合わせたり、然れども彼は速に二倍の痛悔を為せり、(たましい)よ、爾は猶(おおい)なる罪を行ひて、未だ神の前に痛悔せざりき。(サムエル下12:13

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                     

司祭   昔ダヴィドは画を描くが如くに歌を記し、其中に己が犯しし(おこない)を顕して呼べり、我を憐み給へ、蓋我爾(ひとり)萬有の神の前に罪を犯せり、親ら我を浄め給へ。(聖詠50:3、6:11詩篇51:3、6:11)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、                 

司祭   単一にして分かれざる一体の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌わる、(たましい)よ、爾も三一の生命(いのち)なる万有の神を歌ひ讚め揚げよ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讚め、爾に伏拝す、蓋爾は分かれざる三者の一なるハリストス神を生みて、親ら我等地に居る者の為に天の住所(すまい)を開き給へり。

 

第8歌頌

 

詠隊   [イルモス]凡そ呼吸(いき)ある者と造物は、天軍の讚揚し、ヘルヴィムとセラフィムの戦く者を歌ひ、崇め讚めて、世々に讚め揚げよ。

 

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   救世主よ、我罪人を憐み給へ、我が智恵を起して正しきに反らせ、悔ゆる者を容れ、呼ぶ者に慈憐を垂れ給へ、我爾の前に罪を犯せり、我を救ひ給へ、我不法にして世を送れり、我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   車に乗るイリヤは昔諸徳の車に上りて、天に擧げらるるが如く、地の一切の物より上に升れり、我が(たましい)よ、彼の升しことを思へ。  (列王下2:11

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔エリセイはイリヤの衣を受けて、主より二倍の恩寵を獲たり、然れども爾我が(たましい)よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。   (列王下2:9、13)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔エリセイはイリヤの衣を以てイオルダンの流を左右に分かてり、然れども爾我が(たましい)よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。   (列王下2:14)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔ソマンの(おんな)は誠心を以て義人を饗せり、爾(たましい)よ、他邦の者をも旅行する者をも爾の家に入れざりき、故に哀哭して婚筵の宮より逐われん。 (列王下4:8、マタイ22:11)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   不当なる(たましい)よ、爾は常にギエジイの不潔の風に(なら)へり、已に老ゆるに及びても彼の貪を去れ、爾の悪業を離れて、地獄の火を脱れよ。      (列王下5:21-7)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   無原の父同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる(しん)(ことば)の父、無原の父の(ことば)、生活にして造成する(しん)、三者惟一者よ、我を憐み給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる者よ、紅の組織を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉体は爾が腹の中に織られたり、故に我等実に爾を生神女として尊み崇む。

 

第9歌頌

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む

 

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   智恵は傷つけられ、肉体は衰へ、(たましい)魂は()み、(ことば)は弱り、生命(いのち)は殺され、終わりの門にあり、我が(わざわい)なる(たましい)よ、審判者来たりて爾の(おこない)を糾さん時爾何をか為さん。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、我爾にモイセイが創世の伝を示し、之に次て義者と不義者との事を述ぶる聖約の諸を悉く示せり、吁(たましい)よ、爾は此の中前の者に(なら)わず、後の者に(なら)ひて、神の前に罪を犯せり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾の為に律法は力なく福音経は效なく、悉の聖書は益なく、預言者と凡そ義人の事を述ぶる(ことば)とは徒然なり、爾の(きず)(いよいよ)加わりて此を療す医師なし。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、我新約の書より爾の傷感を起こす(たましい)を引く、故に義人に(なら)ひ、罪人を避け、祈祷、禁食、潔浄、無玷(むてん)を以てハリストスの憐みを迎へよ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ハリストスは人と為りて、盗賊と淫婦とを痛悔に招けり、(たましい)よ、痛悔せよ、国の門は已に啓けて、痛悔するファリセイと税吏と姦淫者とは爾に先ちて此に入る。(マタイ9:13、21:31ルカ15:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。 

司祭   ハリストスは我が肉体を取りて人と為り、罪の外は凡そ人性に適ふことを自由に試みて、(たましい)よ、爾に己の寛容の(たましい)と表式とを示せり。(ヘブル4:15

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ハリストスは博士を救ひ、牧者を召し、衆くの嬰児を致命者と為し、翁と老いたるやもめとの栄を顕せり、(たましい)よ、爾は彼等の(おこない)生命(いのち)とに(なら)わず、(ああ)審判に逢わん時爾(わざわい)なる哉。(マタイ2:12、2:16、ルカ2:9-12、2:25-38)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主は四十日野に斎し、遂に飢へて、己の中に人の性を顕せり、(たましい)よ、敵爾を攻めば、怠る毋れ、乃祈祷と斎とを以て是を爾の足下より退かしめよ。(マタイ4:2、17:2)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我等父を讚め揚げ、子を崇め歌ひ、信を以て聖~゚(しん)を尊み拝み、分れざる三者、性に於て惟一なるもの、一光と三光、三一の生命(いのち)、四極に生命(いのち)を施して之を照す者を崇め讚めん。 

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至りて潔き神の母よ、爾の城邑(まち)を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡その(いざない)に勝ち、諸敵を敗りて之を従わしむ。

[聖アンドレイ讃詞]

詠隊 克肖なる~゚(しん)父アンドレイよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   尊きアンドレイ、至りて福たる~゚(しん)父クリトの牧者よ、爾を讚め歌ふ者の為に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊むものを忿怒(いかり)と、憂愁(うれい)傷害(そこない)と、数へ難き罪過より脱れしめ給 へ。

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。(叩拝1次)

 

火曜日

第1歌頌

 

詠隊   [イルモス]佑け護る者顕れて、我が救と為れり、彼は我が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み(うた)わん、彼厳に光栄を顕したればなり。

        (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我カインの殺害に逾へたり、蓋我自由にして罪悪の肉体を生かし。我が悪業を以て(たましい)を撃ちて、之を殺す者となれり。(創世4:8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   イイススよ、、我アヴェリ(アベル)の義徳に(なら)わず、爾に何時も、容れらるべき献物をも、神を悦ばす(おこない)をも、潔き祭をも、無玷の生命(いのち)をも献ぜざりき。(創世4:4

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (わざわい)なる(たましい)よ、我等もカインの如く萬有の造物主に罪悪の祭、即ち不潔の(おこない)不当の生命(いのち)とを献げたり、故に我等定罪せられたり。(創世4:5)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   爾は陶工(すえものし)の如く土を形づくりて、我に肉と骨、呼吸と生命(いのち)を賜へり、我が造物主、我が贖罪主及び審判者よ、我痛悔する者を容れ給へ。(創世2:7、エレミヤ18:1-10、ロマ9-21)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我は我が行ひし諸罪及び殺害を為す、心中の思が盗賊の如く我に負わせし我が(たましい)と体との傷を爾の前に顕す。(ルカ10:30)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我罪を犯せりと雖も、爾が人を愛する者なるを知る、爾は慈憐を以て罰し、熱愛を以て憐み、泣く者を顧み、父の如く走りて放蕩の者を召す。 (ルカ15:20)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   永久の三者一性に於て伏拝せらるる者よ、罪の重きを我より(おろし)して、慈憐なるに因りて、我に感涙を与へ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾を歌ふ者の憑恃(たのみ)及び(てん)(たつ)よ、罪の重きに負け我より(おろし)て、潔き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を()れ給へ。

 

第2歌頌

 

詠隊   [イルモス]天よ、聴け、我伝へて童貞女より身を取りて来たりしハリストスを歌わん。

 

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   罪は我より神が先に織りし衣を剥ぎて、我が為に(かわごろも)を縫ひたり。(創世3:21

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我は無花果の葉の如くに羞の衣を衣て、我が(ほしいまま)なる諸慾の標と為せり。(創世3:7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   邪侈(じゃし)にして快楽なる度生の不潔を以て汚され、且血に塗れたる辱づべき衣を衣たり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我諸慾の苦と物体の(やぶれ)とに従へり、故に今敵は我を攻む。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我世物を好み、財を貪ることを無慾より重んじて、今重き任に(あつ)せらる。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我汚れたる思ひの彩れる衣を以て肉体の偶像を飾れり、故に定罪せらる。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我唯外面の飾に心を盡して、神の像に依りて造られたる内幕(ないまく)を軽んぜり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我初めの像の美しきを諸慾の中に埋めたり、爾彼の「ダラフマ(ドラクマ)」の如く、尋ねて之を得よ。 (ルカ15:8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我淫婦の如く爾に呼ぶ、我罪を犯せり、我(ひとり)爾の前に罪を犯せり、救世主よ、我よりも香膏(においあぶら)の如く涙を()れ給へ。 (ルカ7:37-50)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我税吏の如く爾に呼ぶ、救世主よ、我を憐み、我を憐み給へ、蓋アダムの子孫の中何人も我の如く爾の前に罪を犯しし者なし。 (ルカ18:13)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾三位にして惟一なる萬有の神、父と子と聖~゚(しん)を歌ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる生神・童貞女、(ひとり)衆人に讃頌せらるる者よ、我等が救ひを得んことを切に祈り給へ。

 

第3歌頌

 

詠隊   [イルモス]主よ、爾の(いましめ)の石に我が動ける心を固め給へ、爾(ひとり)り聖にして主なればなり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我爾死を滅ぼす者の中に生命(いのち)の泉を得て、終わりに(さきだ)ちて、我が中心より爾に呼ぶ、我罪を犯せり、我を憐みて救ひ給へ。 (聖詠35:10詩篇36:10、ヨハネ4:14、7:37)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主よ、我罪を犯せり、爾の前に罪を犯せり、我を憐み給へ、蓋人の中には我が罪過を以て()えざりし罪人なし。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我ノイの時の放蕩の者に(なら)ひて、彼等が洪水に溺るる定罪を継ぎたり。(創世6:5-13、マタイ24:37-9)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。 

司祭 (たましい)よ、爾彼の殺父者(ちちころし)ハムに(なら)ひて、面を避けて隣の裸体を(おお)ふことをせざりき。(創世9:20-7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、罪の焔をロトの如く避けよ、ソドムとゴモラを避けよ、凡そ無知の望みの火を避けよ

(創世19:17-25)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主よ、我爾に呼ぶ、我を憐み爾の天使等と偕に来たりて、衆人に其(おこない)に循ひて報ひん時我を憐み給へ。     

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   単一にして造られざる三者、無原にして三位に歌わるる性よ、我等信を以て爾の権柄(けんぺい)に伏拝する者を救ひ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、爾は時の外に父より生まれし子を時の内に夫なくして生めり、異なる哉奇跡や、乳を以て養ひて、童貞女に止まれり。

 

第4歌頌

 

詠隊   [イルモス]主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人々に顕れんと欲するを懼れたり、主よ、光栄は爾の力に帰す。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我が(たましい)よ、警醒せよ、古の太祖の(おおい)なる者の如く勇め、然らば爾(おこない)と智恵とを得、神を見る知識と為り、明悟を以て近づき難き闇冥(くらやみ)を貫き、(おおい)なる宝を受けん。(創世32:28-30

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、太祖の(おおい)なる者は十二の太祖を生みて、爾の為に行ひを以て登べき(かけはし)を奥密に顕して、子を以て階級を(しる)し、己が此の階級にいく歩を以て上に登るを兆せり。(創世28:12-14、35:22)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                 

司祭   (わざわい)なる(たましい)よ、爾は憎むべきイサフ(エサウ)に(なら)ひて、家子の業、即ち始の美を以て爾の誘惑者に與へて、父の祝福を失ひ、(おこない)と智恵とを以て再び(つまづ)けり、故に今痛悔せよ。(創世25:31-33、27:36)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                   

司祭   イサフは恋愛に(ふけ)るに因り、「エドム」と名づけられたり、彼は常に快楽に()かれ、邪慾に汚されて、「エドム」と称えられたり、之を解けば罪を好む(たましい)の燃ゆるなり。(創世25:30

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾は塵芥(ちりあくた)の中に坐して義とせられしイオフ(ヨブ)の事を聞きて、彼の勇みに(なら)わざりき、凡そ爾が知る所、見る所、試る所に於て堅固なる旨を守らずして、忍耐なきを顕せり。(ヨブ2:8-10)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   先に宝座に在りし者は今塵芥(ちりあくた)の中に坐し、裸体にして全身に瘡痍(かさ)を被れり、多くの子を有ち、名の著れし者は俄に子なく家なき者と為れり、彼は塵芥(ちりあくた)を其宮と為し、瘡痍(かさ)を宝石と為せり。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾、同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に(おおい)なる歌、最高き居所に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。(イザヤ6:3、黙示4:8)

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」   

司祭   爾は生むにも、童貞を守るにも、二つながら天性の童貞女なり、爾より生まれし者は天性の法を改め、生まざる腹を生む、神の欲する所には天性の順序()えらる、彼欲することを行ばなり。

 

第5歌頌

 

詠隊   [イルモス]人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の(いましめ)に導き、救世主よ、我に爾の旨を行を訓へ給へ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

                                       はこ                      ただよ

司祭 (たましい)よ、爾は昔モイセイの置かれたる(はこ)が宮に在る如く河の波に(ただよ)はされて、ファラオンの謀の哀しむべき迹を遁れしを聞けり。 (出エジプト1:22-2:3)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   不当なる(たましい)よ、爾昔貞潔の例たる新生の男子を殺しし産婆の事を聞きしならば、今(おおい)なるモイセイの如く智恵を吸う者と為れ。  (出エジプト1:16、2:9)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

                                            たお

司祭  不当なる(たましい)よ、爾はエギペト人を殴ち、斃しし(おおい)なるモイセイの如くに「エギペト」の智恵を殺さざりき、然らば謂ふべし、爾如何ぞ欲を脱れて、痛悔を以て野に居るを得ん。(出エジプト2:12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。 

司祭   (おおい)なるモイセイは野に居りき、(たましい)よ、爾も往きて彼の度生に(なら)へ、爾も(いばら)の中に神の顕るるを見ん為なり。 (出エジプト3:1-6)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾海を撃ちて淵を固むるモイセイの杖を思へ、是れ神聖なる十字架の(しるし)たりき、此を以て爾も(おおい)なる事を行ふを得べし。 (出エジプト14:16)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

                          まじり

司祭   アアロンは浄くして(まじり)なき火を神に献げたり、然れどもオフニ及びフィネエスは、(たましい)よ、爾の如く神に(うと)き不潔なる度生を献げたり。 (民数16:1-40、サムエル上2:12-34)

詠隊  光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭 三者よ、我等爾惟一の神を讃詠す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖~゚(しん)、単一の性、永遠に伏拝せらるる惟一者や。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   無玷(むてん)にして夫を知らざる母童貞女よ、世々を造りし、神は爾の中に於て我が霊体を衣て、人性を己に合せ給へり。

 

第6歌頌

 

詠隊   [イルモス]我心を盡して仁慈なる神に()べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命(いのち)を亡滅より援け給へり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   救世主よ、我が諸罪の波は紅の海の波の如く転じて俄に我を覆へり、昔エギペト人と其騎兵とを覆ひしが如し。 (出エジプト14:21-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾の望は(いにしえ)のイズライリの如くに無智なり、蓋爾は(おろか)にして、諸慾の快楽に飽くことを神聖なる「マンナ」より重んぜり。 (出エジプト16:15、民数21:5)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾はハナネィの思ひの井を泉ある石より重んぜり、此の泉より出づる智恵の河は器の如く神学の流れを注ぐ。(出エジプト17:6、民数20:8、サムエル下22:2、1コリント10:4)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾はの肉と釜とエギペトの糧とを天の糧より重んぜり、古の無智なる民の野に在るが如し。 (出エジプト16:3、民数11:4-7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、爾の僕モイセイは杖を以て石を撃ちて奥密に爾が生命(いのち)を施す脇を象れり、我等皆是より生命(いのち)の飲料を汲む。 (出エジプト17:6、民数20:8、ヨハネ19:34、1コリント10:4)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、イイススナウィン(ヌンの子ヨシュア)の如く約地を探り其如何なるを視て、法に適ふ(おこない)を以て此の中に住所(すまい)を定めよ。 (民数13:21-25、14:30、ヨシュア2:1)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我は単一にして分かれざる三者、位に於て分かれたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖~゚(しん)之を言ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾の腹は我等の為に我が形を受けし神を生めり、其万有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈祷に依りて義とせらるるを得ん為なり。

      主憐めよ(3次)

光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、今も何時も世々に、「アミン」

 

詠隊   [コンダク] 我が(たましい)よ、我が(たましい)よ、起きよ、何ぞ眠る、終わりは迩づく、爾擾れん、故に寤めよ、在らざる所なく充たざる所なきハリストス神を(なだ)めん為なり。

 

第7歌頌

 

詠隊 [イルモス]列祖の神よ、我等罪を犯し不法を行ひ、不義を爾の前に為し、爾が我等に(いましめ)しことを守らざりき、行わざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   約匱が車に牽かれて、牛路(うしみち)を失ひし時彼のオザは惟之に觸るるに依りて神の怒を蒙れり、(たましい)よ、爾彼の慎なきを避けて、正しく神聖なる事を恭へ。 (サムエル下6:6-7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾はアヴェサロムが如何にして天性に背きしを聞けり、爾は其醜き(おこない)、即ち彼が如何にして父ダヴィドの榻を汚ししを知る、然れども爾自を彼の邪慾と快楽との情に倣へり。(サムエル下6:21-22)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。             

司祭 (たましい)よ、爾は己の奴隷ならざる位を爾の肉体に従わしめたり、蓋爾は他のアヒトヘルを敵の中に獲て、其謀を聴けり、然れどもハリストス親ら之を敗りて爾に救を得易からしむ。(サムエル下16:23)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給え。  

司祭   奇異なるソロモンは智恵の恩寵に満たさるれども、曾て神の前に悪を行ひて、彼より離れたり、(たましい)よ、爾自らを詛わるべき生命(いのち)を以て之に似たる者と為れり。(列王上11:1-10)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (ああ)智恵を愛する者は快楽の慾に惹かれて淫婦に溺れ、神に離れて汚れたり、(たましい)よ、爾自ら心中に()づべき邪慾を懐きて、彼に倣へり。 (列王上3:12、11:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は父の諭を聴かざりしロヴォアム、又昔の反逆者たる極悪の僕イエロヴォアムに齊しき者となれり、然れども彼等に倣ふを避けて、神に呼べ、我罪を犯せり、我に憐みを垂れ給へ。 (列王上11:26-40、12:1-33)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   単一にして分かれざる一体の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌わる、(たましい)よ、爾も三一の生命(いのち)成る万有の神を歌ひ讚め揚げよ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讚め、爾に伏拝す、蓋爾は分かれざる三者の一なるハリストス神を生みて、(みずか)ら我等地に居る者の為に点の住所(すまい)を開き給へり。

 

第8歌頌

 

詠隊   [イルモス]凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚揚し、ヘルヴィムとセラフィムの戦く者を歌ひ、崇め讚めて、世々に讚め揚げよ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭 (たましい)よ、爾オジヤに(なら)ひて彼に倍する癩病を受けたり、不当の事を思ひ、不法の事を行へばなり、爾に有る所を棄てて、痛悔に(はし)り附け。 2歴代誌26:19)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は麻を着、灰を蒙りて、神の前に痛悔せしニネヴィア人の事を聞けり、然れども爾は彼等に(なら)わずして、頑なること、凡そ律法の前及び律法の後の罪人に超へたり。(ヨナ3:5)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。          

司祭 (たましい)よ、爾は如何にイエレミヤが不潔の(おとしあな)に在りて、シオン城の為に悲しみ歎きて、涙を求めしを聞けり、彼が悲歎の生命(いのち)に倣へ、然らば救を獲ん。 (エレミヤ38:6、9:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   イオナはニネヴィヤ人の悔改を預知して、ファルシス(タルシシュ)に遁れたり、蓋彼は預言者として、神の憐みを知りて、預言が偽りにならざらん為に熱中せり。(ヨナ1:3)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は如何にダニイルがおとしあなに在りて猛獣の口を塞ぎしを聞けり、如何にアザリヤと偕にありし少者が信を以て(いろり)の燃ゆる焔を滅ししを知れり。  (ダニエル6:16-22、3:23-25

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、我旧約より爾の為に悉くの例を引けり、義人が神を喜ばしむる(おこない)(なら)ひ、悪人の罪を是より避けよ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   無原の父、同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる~゚(しん)(ことば)の父、無原の父の(ことば)、生活にして造成する~゚(しん)、三者惟一者よ、我を憐み給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる者よ、紅の組織(おりたて)を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉体は爾が腹の中に織られ足り、故に我等実に爾を生神女として尊み崇む。

 

第9歌頌

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ハリストスは試みられ、悪魔は試み、石を示して餅と為さんことを勧め、山に上せて、一瞬の間に世界の万国を示せり、鳴呼(たましい)よ、誘惑を畏れて、(けい)(せい)して常に神に祈れ。(マタイ4:3-9、26:41)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。         

司祭   野に居るを慶ぶ鴿(はと)、呼ぶ者の声、ハリストスの(ともしび)は痛悔を伝へて呼べり、此の時イロドはイロディアダと共に不法を行へり、我が(たましい)よ、謹みて不法者の網に陥る毋れ、乃痛悔を愛せよ。

(聖詠54:7詩篇55:7、ヨハネ5:25、イザヤ40:3マタイ3:2-3、聖詠123:7詩篇124)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   恩寵の前駆は野に居り、イウデヤ及びサマリヤの人皆(はし)り附きて彼に聴き、己の罪を告げて、熱心にして洗を受けたり、惟爾(たましい)よ、彼等に倣わざりき。 (マタイ3:5-6

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   婚姻は貴く、牀は(けがれ)なし、蓋、ハリストスはカナの婚姻に於て身にて食を食ひ、水を酒に変ずるを以て之を祝福せり、(たましい)よ、彼が此の首の奇迹を顕ししは、爾が変易せん為なり。(ヘブル13:4、ヨハネ2:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。            

司祭   ハリストスは癰瘋(なんぷう)者を固めて、之に(とこ)を取らしめ、(やもめ)の子たる少者を死より起こし、百夫長の僕を医し、サマリヤの(おんな)に己を顕して、(たましい)よ、爾の為に~゚(しん)を以て神に務むるべきを象れり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。(マタイ9:2-7、ルカ7:11-15、マタイ8:6-13、ヨハネ4:24

司祭   主は血漏の(おんな)を其衣に觸るるに因りて医し、癩病者を潔くし、瞽者(めしい)に見るを賜ひ、跛者(あしなえ)聾者(みみしい)唖者(おうし)とを治し、(かが)みたる(おんな)(ことば)にて医せり、(わざわい)なる(たましい)よ、是爾が救を得ん為なり。(マタイ9:20-2、11:15、ルカ13:11-13)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、   

司祭   我等父を讚め揚げ、子を崇め歌ひ、信を以て聖~゚(しん)を尊み拝み、分れざる三者、性に於て惟一なるもの、一光と三光、三一の生命(いのち)、四極に生命(いのち)を施して之を照す者を崇め讚めん。 

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至りて潔き神の母よ、爾の城邑(まち)を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡その(いざない)に勝ち、諸敵を敗りて之を従わしむ。

 [聖アンドレイ讃詞]

詠隊 克肖なる~゚(しん)父アンドレイよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   尊きアンドレイ、至りて福たる~゚(しん)父クリトの牧者よ、爾を讚め歌ふ者の為に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊むものを忿怒(いかり)と、憂愁(うれい)傷害(そこない)と、数へ難き罪過より脱れしめ給へ。

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。(叩拝1次)

 

水 曜 日

 

第1歌頌

 

詠隊   [イルモス]佑け護る者顕れて、我が救と為れり、彼は我が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌わん、彼厳に光栄を顕したればなり。

        (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   救世主よ、我幼少より爾の(いましめ)に背き、生涯諸慾に(ふけ)り、怠りて世を度れり、故に救世主よ、 爾に呼ぶ、終りの時に於いても我を救ひ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我爾が門の前に俯伏する者を老ゆる時に於いても不当の者として地獄に堕す毋れ、乃人を愛する主なるに因りて、終の前に我に謝罪の(ゆるし)を與へ給へ。(ルカ16:20、聖詠54:16、70:9詩篇55:16、71:9)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我は我が富を放蕩に費やして、敬虔の果を(たも)たず、乃飢を覚へて呼ぶ、憐み深き父よ、急ぎて我に憐を垂れ給へ。 (ルカ15:11-20)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我は我が思ひを以て盗賊に遇ひし者なり、今全身彼等に打たれて、傷にわれたり、ハリストス救世主よ、爾親ら臨みて我を医し給へ。 (ルカ10:30)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   司祭は我を見て過ぎ、レヴィトも我が(わざわい)の中に於て裸体なるを見て()てたり、マリヤより光しイイススよ、爾臨みて我に憐みを垂れ給へ。 (ルカ10:30-33)

詠隊    (附唱)克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ、神の照管(しょうかん)に依りて上より爾に降されし輝ける恩寵を我に與へて我に諸欲の(くら)(やみ)を逃れ、熱心に爾が生命(いのち)の美しき行実を歌わしめ給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   永久の三者一性に於て伏拝せらるる者よ、罪の重きを我より(おろし)て、慈憐なるに因りて、我に感涙を与へ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾を歌ふ者の及び(てん)達よ、罪の重きに負け我より(おろし)て、潔き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を()れ給へ。

 

第2歌頌

 

詠隊   [イルモス]天よ、聴け、我伝へて童貞女より身を取りて来たりしハリストスを歌わん。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我節制なきに依りて、ダヴィドの如く罪に陥りて汚れたり、救世主よ、我をも涙にて滌ひ給へ。 2サムエル11:2-4)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我には涙も悔も傷感もなし、救世主よ、爾(みずから)ら神として我に此を與へ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我は始めて造られたる我が美しきと華やかなるとを失ひ、今裸体にして臥して羞ず。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主よ、主よ、其時爾の門を我が為に閉ざす毋れ、乃我爾の前に悔ゆる者の為に之を開き給へ。(マタイ25:11)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。 

司祭   主よ、我が(たましい)の嘆息を聆き、我が目の(なみだ)()れて我を救ひ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   衆人の救ひを臨む仁愛の主よ、我を召し、慈憐なるに因りて我悔ゆる者を()れ給へ。1テモテ2:4)

詠隊    (附唱)至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。            

司祭   至浄なる生神童貞女、(ひとり)衆人に讃頌せらるる者よ、我等が救を得んことを切に祈り給へ。

 

詠隊   [イルモス]見よ、見よ、我は神昔我が一の右の手及び力にて我が民の為に野に「マンナ」を降らし、石より水を出しし者なり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   見よ、見よ、我は神なりと、我が(たましい)よ、此を呼ぶ主に聴き、先の罪に離れて主を懼れよ、其 義にして且審判者及び神なるを以てなり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   多罪の(たましい)よ、爾は始めカイン及び彼のラメフ(ラメク)と等しくなりしに非ずや、蓋悪事を以て甚しく肉体を傷め、無智の情を以て智恵を殺せり。(創世4:8、23)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   鳴呼(たましい)よ、爾は凡そ律法の前に在りし者を目前に置きて、シフ(セト)に(なら)わず、エノスに遵わず、移住を以てエノフ(エノク)に(なら)わず、ノイ(ノア)に遵わず、乃義人の生命(いのち)に遠ざかれり。(創世5:3、6:21-24、6:9)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。      

司祭   我が(たましい)よ、爾は(ひとり)爾が神の怒りの淵を開き、地の如くに全身と業事と生命(いのち)とを溺らして、救ひの舟の他に止まれり。(創世7:11-13)

詠隊    (附唱)克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   爾は先の罪の道を離れ、心を盡して、ハリストスに(はし)り附き、過られぬ野に住ひ、潔浄にして其神聖なる戒を行へり。

詠隊 光栄は父と子と聖神に帰す、

司祭   無原にして造られざる三者、別れざる惟一者よ、我悔ゆる者を()れ、罪を犯しし者を救ひたまへ、我は爾の造物なり、祈る我を捨つる毋れ、乃我を(なだ)めて、永火の定罪を免れしめ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる神の母、爾に(はし)り附く者の憑恃(たのみ)、暴風に遭ふ者の(みなと)よ、爾の祈祷を以て慈憐なる造物主、爾の子に其慈憐を我にも垂れしめ給へ。

 

第3歌頌

詠隊   [イルモス]主よ、爾の(いましめ)の石に我が動ける心を固め給へ、爾(ひとり)聖にして主なればなり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   (わざわい)なる(たましい)よ、爾はシム(セム)の幸福を嗣がざりき、謝罪の地に於てイアフェト(ヤペテ)の如広き領所を得ざりき。(創世記9:26-7)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、ハルランの地たる罪より離れて、アウラアムが嗣ぎし永生の不朽を流す地に往け。

(創世13:31-12:1、出エジプト3:8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。       

司祭   我が(たましい)よ、爾昔アウラアムが如何に父祖の地を離れて旅人となりしを聞けり、其決心に(なら)へ。

(創世12:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                

司祭   太祖(ヤコブ)はマムブリイ(マムレ)のかしの木の下に天使等を饗応して、老年に於て契約を獲物の如くに得たり。 (創世18:1-15)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。       

司祭   憫なる我が(たましい)よ、爾はイサアクが新たなる燔祭として奥密に主に献ぜられしを知りて、其決心に(なら)へ。 (創世22:1-14)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾はイズマイルが婢より生まれし者として遠ざけられしを聞けり、慎め、恐くは爾も逸楽の為に此くの如きことに逢わん。 (創世21:10)

    [エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊 克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   母よ、我は諸罪の(おおい)風と激浪とに囲まれたり、爾いま(みずから)ら我を救ひて、神聖なる痛悔の(みなと)に送り給へ。

詠隊  克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   克肖なる者よ、今も熱心の祈りを慈憐なる生神女に献りて、爾の祈祷を以て我が為に神に入る門を啓き給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖神に帰す、

司祭   単一にして造られざる三者、無原にして三位に歌わるる性よ、我等信を以て爾の権柄(けんぺい)に伏拝する者を救ひ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、爾は時の外に父より生まれし子を時の内に夫なくして生めり、異なる哉、奇迹や、乳を以て養ひて、童貞女に止れり。

 

第4歌頌

 

詠隊   [イルモス]主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人々に顕れんと欲するを懼れたり、主よ、光栄は爾の力に帰す。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   我身を汚し、(たましい)を穢し、全体に(きず)を被らざるはなし、ハリストスよ、爾医師として我が痛悔に依りて両のものを(いや)し、之を洗ひ、之を浄め、我が救世主よ、之を雪より潔き者と顕し給 へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (ことば)よ、爾釘せられて、爾の体爾の血を祭として衆人の為に献じたり、体を献ずるは我を改めん為なり、血を献ずるは我を滌わん為なり、(たましい)をも付せり、我を爾の父に導かん為なり。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   仁慈なる者よ、爾は救を地の中に作せり、我等の救われん為なり、爾は甘んじて木に釘せられたり、閉ざされしエデンは開かれたり、上なる者、下なる者、造物、凡そ救われし諸民は 爾に伏拝す。 (聖詠73:12、詩篇74:12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (ことば)よ、願くは爾の脅より出でたる血は我を洗ふ者と為り、共に流れたる水は謝罪の飲料と為らん、我内外浄められて、爾が生活を施す(ことば)傳料(つくるもの)及び飲料として、之を傳けられ之を飲まん為なり。

(ヨハネ19:34、6:55)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が救世主よ、爾が生活を施す脅は教会の為に(さかずき)と為れり、此より我等の為に二様の流れは出でたり、是れ謝罪及び明智なり、旧新両約を象れる者なり。(出エジプト24:8、マタイ26:28、ヨハネ19:34)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。       

司祭   我婚宴の宮の外に在りて婚宴と晩餐とに與るを得ず、(ともしび)は油なくして()へ、我が寝れる時に宮は閉ざされ、晩餐は(おわ)れり、我手足を縛られ外に投げられたり。(マタイ25:1-13、22:11-13)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に(おおい)なる歌、最高き居所(すまい)に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。(イザヤ6:3、黙示4:8)

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」                         

司祭   爾は生むにも、童貞を守るにも、二つながら天性の童貞女なり、爾より生まれし者は天性の法を改め、生まざる腹を生む、神の欲する所には天性の順序()えらる、彼欲することを行ば なり。

 

第5歌頌

 

詠隊   [イルモス]人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の(いましめ)に導き、救世主よ、我に爾の旨を行を訓へ給へ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭 主宰よ、我頑なるに依りて頑なるファラオンの如くなれり、(たましい)と体とに於いては我イアンイイ及びイアムブリイなり、智恵に於いては失われし者なり、祈る、我を援け給へ。(出エジプト7:11、2テモテ3:8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我不当の者は我が智恵を汚せり、主宰よ、爾に祈る、我が涙の浴盤に我を滌ひて、我が肉体の衣を雪の如く白くならしめ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我我が(おこない)を省みる時、我罪を以て衆人に超えたるを見る蓋我知識ありて罪を犯せり、無知に由るに非ず。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主よ、爾の造物を(なだ)め、(なだ)めよ、我罪を犯せり、我を(ゆる)し給へ、蓋爾は独性の浄き者にして、爾の外に不潔ならざる者なし。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、爾は神にして我がために我が形を受け奇迹を行ひ、癩者を医し、なん瘋者を固め、 血漏の(おんな)の爾の衣に觸るるを以て、其血を止め給へり。(ピリピ2:6-7、マタイ4:24、ルカ17:12-14、5:18、8:43-44)

    [エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊 克肖なる母マリヤよ、我等の為に祈り給へ。

司祭   克肖なる者よ、爾はイオルダンの流を渡りて、疾なき安息を得たり、肉体の逸楽を逃れたればなり、爾の祈祷を以て我等にも是を逃れしめ給へ。

詠隊  光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭 三者よ、我等爾惟一の神を讃詠す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖~゚(しん)、単一の性、永遠に伏拝せらるる惟一者や。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   無玷(むてん)にして夫を知らざる母童貞女よ、世々を造りし、神は爾の中に於て我が霊体を衣て、人性を己に合せ給へり。

 

第6歌頌

 

詠隊   [イルモス]我心を盡して仁慈なる神に()べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命(いのち)を亡滅より援け給へり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 起ちて、イイススがアマリクを破りし如く肉体の慾を破り常にガワオン(ギベオン)の者たる(いざない)の思ひにも勝てよ。 (出エジプト17:8-13、ヨシュア9:3-27)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、昔約櫃(やくひつ)がイオルダンを渡りし如く、性に依りて流るる時を渡りて、約地を領する者と為れ、神之を命ず。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、爾曾て呼びたるペトルを救ひし如く我にも速に救ひ給へ、爾の手をのべて、我を猛獣より脱れしめ、罪の淵より引き出し給へ。(マタイ14:30-31、ダニエル7:11、黙示13:1)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主宰、主宰ハリストスよ、我爾を見て穏なる湊と為す、祈る、速に我を罪と失望との渡り難き淵より脱れしめ給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我は単一にして分かれざる三者、位に於て分かれたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖~゚(しん)之を言ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾の腹は我等の為に我が形を受けし神を生めり、其万有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈祷に依りて義とせらるるを得ん為なり。

       主憐めよ(3次)

       光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、今も何時も世々に、「アミン」

 

詠隊   [コンダク] 我が(たましい)よ、我が(たましい)よ、起きよ、何ぞ眠る、終わりは迩づく、爾擾れん、故に寤めよ、在らざる所なく充たざる所なきハリストス神を(なだ)めん為なり。

 

第7歌頌

 

詠隊   [イルモス]列祖の神よ、我等罪を犯し不法を行ひ、不義を爾の前に為し、爾が我等に(いましめ)しことを守らざりき、行わざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は慾を以て偶像と為し、益憎むべきことを行ひて、甘んじてマナッシヤ(マナセ)の罪悪を己に属せしめたり、然らば亦切に彼の痛悔に(なら)ひて、傷感の情を獲よ。

(列王下21:1-16、2歴代33:11-13マナシアの祝文)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾は憎むべきことを以てアハフに(なら)へり、噫爾は肉体の不浄の住所(すまい)及び諸慾の()ずべき器と為れり、然らば爾の深衷より歎息して、爾の罪を神に告げよ。(列王上16:30)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、天は爾の為に閉ざされ、飢饉は神より爾に遣されたり、昔アハフに其フェスワ(ティシュ ベ)のイリヤの(ことば)を聴かざるが為に行われしが如し、然らば爾サレプタのやもめに(なら)ひて、預言 者の(たましい)を養へ。(列王上17:1、9、ルカ4:25)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   昔イリヤは再びイエザヴェリ(アハズヤ)の僕役五十人を()き、アハフを戒めん為に、其不潔の預言者を亡せり、然らば(たましい)よ、慎みて嗣の二人に(なら)ふ毋れ、乃節制せよ。(列王下1:10-15:3、列王上18:40)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、                 

司祭   単一にして分かれざる一体の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌わる、(たましい)よ、爾も三一の生命(いのち)成る萬有の神を歌ひ讚め揚げよ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讚め、爾に伏拝す、蓋爾は分かれざる三者の一なるハリストス神を生みて、(みずから)ら我等地に居る者の為に天の住所(すまい)を開き給へり。

 

第8歌頌

詠隊   [イルモス]凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚揚し、ヘルヴィムとセラフィムの戦く者を歌い、崇め讚めて、世々に讚め揚げよ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   義なる審判者、救世主よ、我を憐みて、我が審判の時に義に(したが)ひて定められんとする火及び罰より逃れしめ、終りの前に我を(ゆる)して、我に徳行と痛悔とを與へ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我盗賊の如く爾によぶ、我を(おも)ひ給へ、ペトルの如く痛く()く、税吏の如く呼ぶ、救世主よ、我を(ゆる)し給へ、罪婦の如く(なみだ)を流す、我が痛哭を()れ給へ、昔ハナアンの(おんな)より()れしが如し。(ルカ23:42、マタイ26:75、ルカ18:13、7:37-8、マタイ15:22-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 救世主、惟一の医師よ、我が卑微なる(たましい)の朽つるを医し、我に膏薬(つけぐすり)と油と酒、即ち痛悔の(おこない)と、傷感と涕涙(なみだ)とを施し給へ。 (ルカ10:34)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我ハナアン(カナン)の(おんな)(なら)ひてダヴィドの子に呼ぶ我を憐み給へ、我其衣に(さわ)ること、血漏の(おんな)の如く、我泣くことマルファとマリヤのラザリの為にせしが如し。(マタイ15:22、ルカ8:43-44、ヨハネ11:33)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、                   

司祭   無原の父同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる~゚(しん)、神(ことば)の父、無原の父の(ことば)、生活にして造成する~°、三者惟一者よ、我を憐み給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる者よ、紅の組織を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉体は爾が腹の中に織られ足り、故に我等実に爾を生神女として尊み崇む。

 

第9歌頌

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ハリストス(ことば)は諸病を医して、貧しき者に福音を傳へ、不具の者を(いや)し、税吏と食ひ、罪人と語り、手の捫るを以て既に離れたイアイルの女の(たましい)を返し給へり。(ルカ4:17-19、5:27-30、マタイ11:5、マルコ5:41-42)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   税吏は救を獲、淫婦は貞潔の者と為り、傲慢なるファリセイは罪に定められたり、蓋其一は呼べり、我を憐み給へ、其二は、我を浄め給へ、其三は誇りて呼べり、神よ、爾に感謝すと、 その他無智の(ことば)を発せり。 (ルカ7:36-5、18:9-13)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   ザクヘイは税吏たれども救を得たり、シモンファリセイは迷いたれども、淫婦は罪を(ゆる)す権を有てる者より、確なる(ゆるし)を得たり、(たましい)よ、爾も務めて彼に(なら)へ。 (ルカ19:1-10、7:36-50

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   鳴呼我が不当なる(たましい)よ、爾は淫婦が香料を盛れる器を執り、涙を流して、之を其前罪の書券(かきつけ)を破りし救世主の足に塗り、(こうべ)の髪にてこれを拭ひしに(なら)わざりき。(ルカ7:37-38、コロサイ2:14)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾は如何にハリストスが福音を傳へし城邑(まち)の詛われしを知る、此の例に畏れよ、 爾も彼等の如くならざらん為なり、蓋主宰は彼等をソドムの民に比へて、地獄に定め給へり。(ルカ10:13-15)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。   

司祭   鳴呼我が(たましい)よ、爾失望を盛ってハナアンの(おんな)に下る者と顕るる毋れ、爾は其信の為に、神の(ことば)に依りて其女の(いや)されしを聞けり、爾も彼の如く深き心よりハリストスに呼べ、ダヴィド の子よ、我を救い給へ。 (マタイ15:22)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我等父を讚め揚げ、子を崇め歌ひ、信を以て聖~゚(しん)を尊み拝み、分れざる三者、性に於て惟一なるもの、一光と三光、三一の生命(いのち)、四極に生命(いのち)を施して之を照す者を崇め讚めん。 

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至りて潔き神の母よ、爾の城邑(まち)を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡その(いざない)に勝ち、諸敵を敗りて之を従わしむ。

 [聖アンドレイ讃詞]

詠隊 克肖なる~゚(しん)父アンドレイよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   尊きアンドレイ、至りて福たる~゚(しん)父クリトの牧者よ、爾を讚め歌ふ者の為に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊むものを忿怒(いかり)と、憂愁(うれい)傷害(そこない)と、数へ難き罪過より脱れしめ給 へ。

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。(叩拝1次)

 

木 曜 日

第1歌頌

詠隊   [イルモス]佑け護る者顕れて、我が救と為れり、彼は我が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌わん、彼厳に光栄を顕したればなり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   衆人の罪を荷ひし神の(こひつじ)よ、罪の重きに負を我より(おろし)して、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。 (ヨハネ1:29)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   イイススよ、爾に伏し拝む、我爾の前に罪を得たり、我を憐み給へ、罪の重き負を我より(おろし)して、爾が慈憐なるに因りて我に感涙を與へ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   全能者よ、我と訟を為して、我が(おこない)を量り、(ことば)を糾し、思を責むる毋れ、乃爾の仁慈に因りて、我が悪事を顧みずして我を救ひ給へ。 (聖詠142:2詩篇143:2)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   痛悔の時至れり、我爾我が造物主に来る、罪の重き負を我より(おろし)て、爾が慈憐なるに因りて、我に感涙を與へ給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (たましい)の富を罪中に費して、聖なる諸徳に乏し、乃飢を覚へて呼ぶ、憐みの泉たる主よ、我を救ひ給へ。 (ルカ15:11-20)

 [エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    (附唱)克肖なる母マリヤよ、我等の為に祈り給へ。

司祭   爾はハリストスの神聖なる法に服して専ら之に遵へり、逸楽を貪る情を断ちて、敬虔を盡して萬徳を一の如くに行へり。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   永久の三者一性に於て伏拝せらるる者よ、罪の重きを()て我より(おろし)て、慈憐なるに因りて、我に感涙を与へ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾を歌ふ者の憑恃(たのみ)及び(てん)達よ、罪の重きに()て我より(おろし)て、潔き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を()れ給へ。

 

第2歌頌

詠隊   [イルモス]見よ、見よ、我は神昔我が一の右の手及び力にて我が民の為に野に「マンナ」を降らし、石より水を出しし者なり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   ラメフ(ラメク)は嘆きて呼べり、我が(きず)の為に人を殺し、我が傷の為に童子を殺せりと、然れども爾我が(たましい)よ、肉体を汚し、智恵を(くら)まして戦かず。 (創世4:23

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   鳴呼(たましい)よ、爾は己の慾を以て塔を建て、城を築くことを企てたり、然れども造物主は爾の謀を止め、爾の造る所地に(たお)せり。 (創世11:3-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   噫我何ぞ、古の殺人者ラメフに(なら)ひたる、蓋我(たましい)を人の如くに殺し、智恵を童子の如くに殺せり、又殺人者カインに(なら)ひて、快楽の情を以て我が体を兄弟の如くに殺せり。(創世4:23、4:6-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。  

司祭   昔主は主より火を雨らして、怒を起こすソドム人の不法を()けり、然れども爾(たましい)よ、「ゲエ       ンナ」の火を燃せり、其中に爾()かれん。  (創世19:24、マタイ5:22)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (きず)つけられたり、傷われたり、視よ、之我が(たましい)と体とを射たる敵の矢なり、視よ、之(きず)膿汁(うみ)毀傷(きず)とは我が恣なる諸慾の我を撃ち足ることを證して呼ぶ。

詠隊    (附唱)克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ、爾悪の淵に溺るる時爾の手を仁慈なる神に伸べたり、彼は甚爾の反正(はんせい)を望みて、 ペトルに於けるが如く、慈憐を以て爾に其神聖なる手を授け給へり。(マタイ14:31)

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   無原にして造られざる三者、別れざる惟一者よ、我悔ゆる者を()れ、罪を犯しし者を救ひたまへ、我は爾の造物なり、祈る我を捨つる毋れ、乃我を(なだ)めて、永火の定罪を免れしめ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる神の母、爾に(はし)り附く者の、暴風に遭ふ者の湊よ、爾の祈祷を以て慈憐なる造物主、爾の子に其慈憐を我にも垂れしめ給へ。

 

 第3歌頌

詠隊   [イルモス]主よ、爾の(いましめ)の石に我が動ける心を固め給へ、爾(ひとり)聖にして主なればなり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 (たましい)よ、爾は古のエギペトの(おんな)アガリ(ハガル)に(なら)ひて、己の心にて婢となり、新たなるイズマイルたる強暴を生めり。 (創世16:3、15)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が(たましい)よ、爾はイアコフに示されたる(かけはし)、地より天に至る者を知れり、何為ぞ無難の上升(のぼり)たる敬虔を擇ばざりし。 (創世28:12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   世上に於て人々の間にハリストスの度生を象れる、神の司祭たる(ひとり)の王(メルヒセデク)に(なら)へ。   (創世14:18、ヘブル7:1-3)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   不当なる(たましい)よ、生命(いのち)の宴未だ終らず、主が宮の門を未だ閉ざさる先に爾悔改して嘆息せよ。(マタイ25:12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。 

司祭 (たましい)よ、爾復帰りて、しお柱と為る毋れ、ソドム人の(たましい)は爾を畏れしむべし、上なるシゴルに逃よ。  (創世19:23、26)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 主宰よ、爾を崇め歌ふ者の祈りを斥くる毋れ、人を愛する主よ、憐みを垂れ信じて求むる者に(ゆるし)を與へ給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   単一にして造られざる三者、無原にして三位に歌わるる性よ、我等信を以て爾の権柄(けんぺい)に伏拝する者を救ひ給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、爾は時の外に父より生まれし子を時の内に夫なくして生めり、異なる哉、奇迹や、乳を以て養ひて、童貞女に(とどま)れり。

 

第4歌頌

詠隊   [イルモス]主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人々に顕れんと欲するを懼れたり、主よ、光栄は爾の力に帰す。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が生命(いのち)の時は短くして、苦労と悪事にて盈つ、祈る我が痛悔を()れ我を真理に召して、我に敵の獲物及び食と為るを免れしめよ、救世主よ、爾(みずから)ら我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   王の位を有ち、栄冠と紫衣(むらさき)とを着し、多くの産を有し、且義にして、財宝及び畜群に富みたる人は(にわか)に富と栄とを失ひて、貧しき者と為れり。 (ヨブ1:1-22)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   若し彼衆人に超へて、義にして無玷なる人が誘惑者の悪謀と網とを避けざりしならば、爾罪を愛する不当の(たましい)よ、(はか)らざること爾に来たらば、何をか為さん。 (ヨブ2:3-6

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我今(いたずら)に虚しくして(ことば)は驕慢、心は強暴なり、(ひとり)慈憐にして義なる審判者よ、我をファリセイと共に罪する毋れ、(すなわち)我に税吏の謙遜を賜ひて、我を彼の列に加へ給へ。(ルカ18:9-14)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   慈憐なる者よ、我罪を犯して、我が肉体の器を汚ししを知る、祈る我が痛悔を()れ、我を真理に召して、我に敵の獲物及び食となるを免れしめよ、救世主よ、爾(みずから)ら我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   慈憐なる者よ、我己を偶像と為して、諸慾を以て我が(たましい)を害へり、祈る我が痛悔を()れ、我を真理に召して、我に敵の獲物及び食と為るを免しめよ、救世主よ、爾(みずから)ら我を憐み給へ。

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我爾の声を聞かざりき爾律法者の書を犯せり、祈る我が痛悔を()れ、我を真理に召して、我に敵の獲物及び食と為るを免しめよ、救世主よ、爾(みずから)ら我を憐み給へ。

[エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   克肖なる者よ、爾は肉体に在りて、肉体なき者の度生(どせい)を為して、実に神より(おおい)なる恩寵を得       たり、爾は切に爾を尊む者の為に(てん)達し、故に我等爾に祈る、爾の祈祷を以て我等を悉くの(いざない)より救ひ給へ。

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ、爾は大罪の淵に陥りたれども、其中に溺れざりき、乃善心を以て、(おこない)に依りて誠に全備なる徳に升り、(おおい)に天使等の性を驚かせり。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我爾同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に(おおい)なる歌、最高き居所(すまい)に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。(イザヤ6:3、黙示4:8)

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」                              

司祭   爾は生むにも、童貞を守るにも、二つながら天性の童貞女なり、爾より生まれし者は天性の法を改め、生まざる腹を生む、神の欲する所には天性の順序()えらる、彼欲することを行へばなり。

 

第5歌頌

 

詠隊   [イルモス]人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の(いましめ)に導き、救世主よ、我に爾の旨を行を訓へ給へ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

              かが

司祭 (たましい)よ、僂みたる(おんな)(なら)ひ、来たりてイイススの足下に俯伏せよ、彼爾を直くして爾正しく主の道を行くを得ん為なり。 (ルカ13:11-13)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 主宰よ、爾深き井ならば、我が為に爾の至浄なる脅より流水出せ、我サマリヤの(おんな)の如くこれを飲みて復渇かざらん為なり、蓋爾は生命(いのち)の流れを出し給ふ。(ヨハネ4:13-15)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   主宰、主よ、願くは我が涙は我が為にシロアムと為らん、我心の目を滌ひて、中心に爾永遠の光を覩ん為なり。  (ヨハネ9:7)

[エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   至りて福なる者よ、爾は比なき愛を以て生命(いのち)の樹に伏拝せんことを願ひて、其望みの適ふを得たり、祈る、我をも上の(さかえ)を受くるに堪へふる者と為し給へ。

詠隊    光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭 三者よ、我等爾惟一の神を讃詠す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖~゚(しん)、単一の性、永遠に伏拝せらるる惟一者や。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   無玷(むてん)にして夫を知らざる母童貞女よ、世々を造りし、神は爾の中に於て我が(たましい)体を衣て、人性を己に合せ給へり。

 

第6歌頌

詠隊   [イルモス]我心を盡して仁慈なる神にべり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命(いのち)を亡滅より援け給へり。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

 

司祭   救世主よ、我は爾が昔失ひし王の像ある「ダラフマ(ドラクマ)」なり、(ことば)よ、(ともしび)たる爾の前駆を燃して、爾の像を尋ねて之を獲よ。(ルカ15:8、ヨハネ5:35)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭 起ちて、イイススがアマリクを破りしが如く、肉体の慾を破り、常にガワオン(ギベオン)の者たる(いざない)の思にも勝てよ。(出エジプト17:8-13、ヨシュア9:3-27)

[エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ爾は慾の焔を熄さん為に霊にて燃えて、常に涙の流れを注げり。祈る、此の恩寵を我爾の僕にも与へ給へ

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   母よ、爾は地上に於て高尚なる度生を以て天の無慾を得たり、故に(てん)達して、爾を讚め揚ぐる者に爾の祈祷に依りて、諸慾より免るるを得しめ給へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我は単一にして分かれざる三者、位に於て分かれたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖~゚(しん)之を言ふ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   生神女よ、爾の腹は我等の為に我が形を受けし神を生めり、其万有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈祷に依りて義とせらるるを得ん為なり。

       主憐めよ(3次)

       光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、今も何時も世々に、「アミン」

 

詠隊   [コンダク] 我が(たましい)よ、我が(たましい)よ、起きよ、何ぞ眠る、終わりは迩づく、爾擾れん、故に寤めよ、在らざる所なく充たざる所なきハリストス神を(なだ)めん為なり。

 

第7歌頌

詠隊   [イルモス]列祖の神よ、我等罪を犯し不法を行ひ、不義を爾の前に為し、爾が我等に(いましめ)しことを守らざりき、行わざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我が日は過ぎしこと覚むる者の夢の如し、故に我エゼキアの如く我がに泣きて、我が生命(いのち)の年の述べられんことを願ふ、然れども(たましい)よ、万有の神に非ずば、何のイサイヤか爾の前に立たん。

(聖詠72:20、4詩篇73:20、4、列王下20:1-6、イザヤ38:1-8)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   我爾に俯伏して、涙と共に我が(ことば)を爾に献ず、我罪を犯ししこと淫婦の罪に勝り、不法を行ひしこと地上の衆人に勝れり、然れども主宰よ、爾の造物を憐みて、我を起し給へ。(ルカ7:37)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                     

司祭   我爾の像を埋み、爾の(いましめ)を破れり、我が美麗は昏くなり、(ともしび)は慾に因りて()えたり、然れども救世主よ、憐みを垂れて、ダヴィドの歌ふ如く、救の喜びを我に還し給へ。(聖詠50:14)(詩篇51:14)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。                               

司祭 悔改し、痛告し、秘なる事を顕し、知らざる所なき神に告げよ、惟一なる救世主よ、爾は我が秘密を知る、然れどもダヴィドの歌ふ如く、爾の憐みに因りて、(みずから)ら我を憐み給へ。(聖詠50:3、詩篇51:3)

[エギペトの聖マリヤ讃詞]                     

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   爾は至浄なる神の母に呼びて、前の甚しく暴れたる諸慾の猛烈を制し、(いざない)を為す敵を辱めたり、祈る、今我爾の僕にも、(うれい)に於て助を與へ給へ。

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   克肖者よ、爾はハリストスを愛し、彼を慕ひ、彼の為に身を捨てたり、今彼に爾の僕婢の為に祈り給へ、彼が我等衆人に憐を垂れて、彼を尊む者に平安を賜わん為なり。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   単一にして分かれざる一体の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌わる、(たましい)よ、爾も三一の生命(いのち)成る万有の神を歌ひ讚め揚げよ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讚め、爾に伏拝す、蓋爾は分かれざる三者の一なるハリストス神を生みて、(みずから)ら我等地に居る者の為に天のを開き給へり。

 

第8歌頌

詠隊   [イルモス]凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚揚し、ヘルヴィムとセラフィムのく者を歌ひ、崇め讚めて、世々に讚め揚げよ。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、我香料の如く涙の器を爾の首に傾けて、憐を求むる淫婦の如く爾に呼ぶ、我祈り       を奉りて、(ゆるし)を賜わんことを願ふ。 (マタイ26:7、ルカ7:37-38)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   仁慈なる救世主よ、爾の前に罪を犯ししこと我より多き者なし、然れども祈る、我をも()れ給へ、蓋我畏れて悔い、愛を以て呼ぶ、我爾(ひとり)爾の前に罪を犯せり、憐み深き者よ、我を憐み給へ。 

(聖詠50:6詩篇51:6)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   救世主よ、爾の造物を(なだ)め、牧者として失ひし者を尋ね、迷ひし者を導き、狼より奪ひて、我を爾が羊の草場の(こひつじ)と為し給へ。(聖詠118:176詩篇117:176、ルカ15:4、イオアン10:11-12)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   仁慈なる救世主よ、爾が審判者として座して、爾の畏るべき光栄を顕さん時、鳴呼其時如何なる畏あらんか、爐は燃え、悉くの者は爾の審判座の威厳の前に戦かん。(ダニエル7:9-10、ヨハネ5:22、マタイ24:30)

[エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ、入らざる光の母は爾を照らして諸慾の闇冥(くらやみ)より出せり、故に爾聖~゚(しん)の恩寵を受けて、中心に爾を讚め揚ぐる者を照らし給へ。

詠隊   克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   母よ、神聖なるゾシマは爾に於て実に新たなる奇迹を見て、之を奇とせり、蓋肉体に於て天使を見、其心(おおい)に驚きて、ハリストスを世々に讚め歌へり。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   無原の父同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる~゚(しん)(ことば)の父、無原の父の(ことば)、生活にして造成する~゚(しん)、三者惟一者よ、我を憐み給へ。

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至浄なる者よ、紅の組織を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉体は爾が腹の中に織られたり、故に我等実に爾を生神女として尊み崇む。

 

第9歌頌

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。

(附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   (ことば)を以て悪魔に憑らるる者を医ししダヴィドの子よ、憐を垂れて我を救ひ、我を(なだ)め、盗賊に於けるが如く、我に慈憐なる(ことば)を告げて云へ、誠に爾に語ぐ、我我が光栄を以て来たらん 時、爾我と偕に楽園に在らん。(マタイ15:22-8、ルカ9:38-42、23:43)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   二の盗賊が共に十字架に懸れる時、一は爾を(そし)り、一は爾を神と承け認めたり、至りて慈憐なる者よ、信ぜし盗賊、爾が神たるをりし者に於けるが如く、我にも爾が光栄の国の門を 啓き給へ。 (ルカ23:32、39:43)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。

司祭   イイススよ、爾が十字架に懸るを見て造物は戦き、山と石とは畏れて裂け、地は震ひ、地獄は空しくせられ、光は爾が身にて釘うたるるを見て、日中昏まされたり。(マタイ27:51-53、ルカ23:44-45)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。          

司祭   惟一の救世主よ、我に悔改に応う果を促す毋れ、蓋我が力は我の中に盡きたり、我に常に痛悔の心と謙遜の(たましい)を與へ給へ、我が之を嘉き祭として爾に献げん為なり。(マタイ3:8、5:3、聖詠50:19詩篇51:19)

詠隊    (附唱)神よ、我を憐み、我を憐み給へ。          

司祭   我を知る我が審判者よ、爾が全世界を審判せん為に天使等と偕に還来たらん時、爾の憐の目を以て我を視、イイススよ、我悉くの人より多くの罪を犯しし者を(なだ)めて憐み給へ。

[エギペトの聖マリヤ讃詞]

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   マリヤよ、爾が奇妙なる行実に依りて、天使の群も人の会も驚かざるなし、蓋爾は天性に勝ち、物体なき者に(なら)ひて度生せり、故に爾は肉体なき者の如く爾の足にイオルダンを渡れり。

詠隊    克肖なる母マリヤよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   克肖なる母よ、造物主の憐を爾を讚め揚ぐる者に垂れしめて、我等を四方より攻むる(わざわい)及び憂より脱れしめ給へ、我等が(いざない)を脱れて常に爾の光栄を著しし主を崇め讚めん為なり。

 [聖アンドレイ讃詞]

詠隊 克肖なる~゚(しん)父アンドレイよ、我等の為に神に祈り給へ。

司祭   尊きアンドレイ、至りて福たる~゚(しん)父クリトの牧者よ、爾を讚め歌う者の為に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊むものを忿怒(いかり)と、憂愁(うれい)傷害(そこない)と、数へ難き罪過より脱れしめ給 へ。

詠隊 光栄は父と子と聖~゚(しん)に帰す、

司祭   我等父を讚め揚げ、子を崇め歌ひ、信を以て聖~゚(しん)を尊み拝み、分れざる三者、性に於て惟一なるもの、一光と三光、三一の生命(いのち)、四極に生命(いのち)を施して之を照す者を崇め讚めん。 

詠隊 今も何時も世々に、「アミン」

司祭   至りて潔き神の母よ、爾の城邑(まち)を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡その(いざない)に勝ち、諸敵を敗りて之を従わしむ。

 

詠隊   [イルモス]種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讚む。