24.復 活 祭

夜半課

 司祭はエピタラヒリをつける。王門とカーテンは閉じておく。司祭はソレヤにおいて、高声「我等の神は崇め讚めらる、今も何時も世世に」 誦経者「アミン」、聖三、至聖、天主」(注:天の王は読まない)「来たれ」。司祭は至聖所に入り、誦経は50聖詠を読む。このあとカノンを歌う。「昔逐ひつめし、窘迫者を海の波にて・・・」複数の司祭がいる場合は、就寝聖像の歌頌の讃詞を司祭等が歌う。第3歌頌に続いてカフィズマを読む。第6歌頌の後、聖大土曜日のコンダクとイコス。第9歌頌の始めにカーテンと王門を開く。今度は、司祭(輔祭)は完装し、王門を通って至聖所から出て、墓(柩案)上の就寝聖像に炉儀3回。第9歌頌のカタワシャが歌われる。「蓋、我起きて」の詞の時に、司祭は就寝聖像を墓から持ち上げ、王門を通り宝座に安置する。輔祭は司祭の正面を歩き、就寝聖像に炉儀。就寝聖像はパスハのアポドシスまで、このまま。
 奉神礼指示書には、教区教会では「宝座用就寝聖像」(就寝聖像の形が広い平面になっているもの)を別に持つことを勧めている。十字行や墓に安置するための飾り付きの就寝聖像を宝座の上に置くと、ポティールやディスコスを置く場所がなかったり、あっても狭くて、ひっくり返したりこぼしたりする危険がある。
 就寝聖像が2つある場合は、夜半課の終わりに2つめの就寝聖像を宝座に載せ、飾り付きの就寝聖像ととりかえる。飾り付きの就寝聖像は平常の安置場所に戻す。就寝聖像は次の年の聖大金曜日まで、他の十字行の際に持ち出さないこと。
 就寝聖像を宝座に安置した後、王門とカーテンを閉じる。カノンの終わりに、誦経者は「聖三」「至聖」「天主」を読み、聖歌隊は「アミン」のあとトロパリ2調「死せざる生命や爾死に降りし時」を歌い、続いてソレヤにおいて短い重連祷(早課の始めと同じ)。司祭はソレヤにおいて小発放詞「ハリストス我等の真の神は其の至浄なる....」

早 課

 教役者は復活祭の白の祭服を着用し早課に備える。十字行の準備は静かに行うこと。聖堂は半ば暗くし、謹みと畏れをもって「大いなる時」を待つ。十字行の列が整うまでに、奉献礼儀の準備を終えること。
 司祭は会衆を聖堂中央に整列させる指揮係りをあらかじめ指名しておく。真夜中が近づいたら、信徒は十字行に用いるロウソクに火をつける。大ロウソクが行進を先導する。
1. 堂役の持つランプ、あるいは灯明。
2. 行進用の十字架を堂役またはステハリをつけた敬虔な信徒が持つ。
3. 行進用の生神女のイコン。(通常は至聖所のイコンの台に据え付けられており、十字架と同じように長い柄がついている)敬虔な女性信徒(例えば女子修道院長など)が持つ。
4. 対になった旗(凱旋旗)教会にあるだけ全部。
5. 行進用のロウソクをもつ堂役(2人一組)
6. 聖歌隊(2列)
7. 輔祭、香炉も持つ。首位の輔祭が輔祭用大ロウソク。
8. 司祭(2列)下位の司祭から。福音経は高位の司祭の一人が布を敷いて持つ。アルトスはまだ祝福されていないので、この時は持ち出さないが、復活祭後の十字行では持ち出す。司祭が一人の場合は、福音経と復活のイコンは布を敷いて、ステハリ着用の敬虔な信徒が持つ。復活のイコンは福音経の左側になるようにして、2列で歩く。
9. 司祷者は三燭灯を持ち、左手に十字架、右手に香炉を持つ。
10.参祷者全員。ロウソクを持つ。

 司祷者と輔祭は、向き合って宝座の周りを3度炉儀。真夜中になったら、至聖所の神品はスティヒラ6調「ハリストス救世主や、諸天使は天に於いて爾の復活を歌う」を歌う。 カーテンが開かれ神品は至聖所内で2回目を歌う。王門が開き神品はソレヤに出て3度目を「ハリストス救世主や、諸天使は天に於いて爾の復活を歌う」まで歌い、聖歌隊と会衆は「我等にも地に於いて潔き心を以て爾を讃詠するに堪えさせ給え」と結ぶ。スティヒラを歌う間に、聖堂内の明かりを徐々にともし、王門が開くときに全部に点灯する。聖歌隊と会衆は、行列全部が聖堂を3周し終わるまでスティヒラを繰り返し歌う。行列が閉じた門の前に止まるまでトレズボン(多鐘)を打ち続ける。進行方向は聖堂を西に出て、左折して南方に向かい、聖堂の角を曲がって東へ向かい来た西へまわる。十字行は常にこの方角で行う。最後の一人が聖堂を出たら聖堂の門を一旦閉じる。十字行の間に、聖堂委員会の「片付け係り」は聖所中央の墓を動かし、必要なことを行う。花を建物のまわりに置く。鉢植えは至聖所に持ち込んではならない。(ティピコン花の項参照)
 3周目が終わると、諸聖物を持った人は、閉じた聖堂の門の前(ポーチの上で、中に入らない)で、門を背にして次の順序で並ぶ。

1. 十字行用の十字架は門を背にして中央に。
2. 十字行用ランプ(灯明)は十字架の左(会衆から見ると向かって右)
3. 生神女のイコンは十字架の右
4. 復活のイコンは十字架の前(会衆の側)
5. 福音経はランプの前(会衆からみるとイコンの右)
6. 旗は十字架の両側に対で。
7. ロウソクは旗の両側。
8. 陪祷の司祭は司祷者と1.から7.の列の間に並んで聖堂の門の方を向いて立つ。
9. 大ロウソクをもった首位の輔祭は聖堂の門に向かって立つ。司祷者の右の前あたり。
10.司祷者は門に向かって中央に立つ。
11.聖歌隊は門に向かって司祷者のすぐ後ろ。
12.信徒は聖歌隊の後ろ。門に向かって東向きに立つ。


 鐘が止み、司祷者は十字架、イコン、福音経、旗、陪祷者、会衆を炉儀し、香炉を首位の輔祭に渡し、輔祭は司祷者に炉儀1回(司祭に向かって香炉を3回ふる。他の人へは振らない)香炉を司祷者に返す。輔祭は「君や、祝讃せよ」を言わない。最初のことば司祷者から。
 司祷者は右手で香炉を高く掲げ、十字を3回描く。(いつものように1回ではない)
高声にて「光栄は一性にして生命を施す分かれざる聖三者に帰す、今も何時も世世に、」「アミン」の応答の後、
神品はパスハのトロパリ「ハリストス死より復活し」3回歌う。
聖歌隊と会衆はパスハのトロパリ3回
神品 第1句「神は興き、其の仇は散るべし」を歌う。
聖歌隊 パスハのトロパリ「ハリストス死より」で答える。通常早いテンポで。
神品 第2句「煙の散るが如く」
聖歌隊 パスハのトロパリ
神品 第3句「蝋が火に因りて融くるが如く」
聖歌隊 パスハのトロパリ、
神品「主はこの日を創れり・・・」
聖歌隊 パスハのトロパリ、
神品 「光栄は父と子と聖神に帰す」
聖歌隊 パスハのトロパリ、
神品 「今も何時も世世に、アミン」
聖歌隊 パスハのトロパリ
神品 「ハリストス死より復活し死を以て死を滅ぼし」(終わりを示すように高めのピッチで歌う)
聖歌隊 「墓に在る者に生命を賜へり」

 司祷者は会衆に向きなおり炉儀し、「ハリストス復活!」と叫ぶ。会衆は「実に復活」と答える。これを3回繰り返す。(これについてはティピコンに指示があるわけではないが、伝統的に行われている。)聖歌隊がパスハのトロパリを歌い終わったら門を開き、灯明と首位輔祭に先導されて司祷者が聖堂に入り、陪祷者、十字行の残りの人々、聖歌隊会衆が入る。聖歌隊は全員が聖堂に入り終わるまで、パスハのトロパリを歌い続ける。神品はそのまま至聖所に入る。輔祭はソレヤで大連祷を唱え、司祭の高声「蓋、凡そ光栄尊貴伏拝は爾父と....」司祷者は会衆を炉儀、「ハリストス復活」「実に復活」の応答3度。カノンの小連祷ごとにこれを繰り返す。
 習慣によって、各歌頌の始まりのイルモスの最初の部分を神品が歌い、聖歌隊は後半を歌う。各歌頌の讃詞の前に「ハリストス死より復活し」という附唱がつく。歌頌の最後の讃詞の後は、附唱をつけずにカタワシャとしてイルモスを再び歌う。第9歌頌には特別の附唱がつく。
 カノンの始めに司祷者は全堂炉儀。輔祭は左手にロウソクを持って先導し、司祷者は三燭灯を持つ。既成の習慣に従えば、複数の司祭がいる場合は、司祭が順番に三燭灯を持つ。炉儀は第3から第8歌頌の間行う。小炉儀でよい。輔祭が連祷、炉儀等のために王門から出るとき、必ず左手にロウソクを持つ。
 第8歌頌の終わりに、首位輔祭が至聖所、続いてイコノスタスに炉儀。高声の後、生神女のイコンの前で第9歌頌のイルモスの附唱「我が霊は3日目に墓より復活せしハリストス生命を賜う主を讚め揚ぐる」を歌う。それからイコノスタス、司祭、会衆、堂内全体を炉儀。第1歌頌の終わり、及び各歌頌のカタワシャのあと「ハリストス死より復活し」を3度歌う。続いて小連祷、高声「蓋、権柄及び国と権能と光栄は爾父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に」各歌頌のカタワシャの度に小連祷を唱える。
第3歌頌後の小連祷の高声「蓋、爾は我等の神なり、我等....」
続いてイパコイ4調「マリヤと偕に在りし女等は黎明より・・・・」
第4歌頌後の小連祷の高声「蓋、爾は善にして人を愛する・・・・」
第5歌頌後の小連祷の高声「蓋、父と子と聖神の至聖なる・・・・」
第6歌頌後の小連祷の高声「蓋、爾は平安の王及び我が霊の救主なり。....」
続いてコンダク8調「死せざるハリストス神よ、爾は墓に降れども地獄の力を破り、勝つ者として復活せり、攜香女に慶べよと言ひ、爾の使徒に平安を與へ、亡びし者に復活を賜へり。」
イコス8調「曾て日より先に柩に入りし日を、朝に先だちて晝の如く尋ねし攜香の處女は互に呼べり、嗚呼友よ、来りて、香料を以て生活を施す瘞られたる体、墜ちたるアダムを復活せしめし主の躯、墓に臥せる者に傅らん、往きて、急ぎて、博士の如く伏拝し、香料を体物の如くに、襁褓にあらずして布に裹まれたる者に獻げ、且泣きて籲ばん、嗚呼主宰、墜ちたる者に復活を与ふる主よ、起き給へ。」(ロシア教会の伝統では神品がコンダクを歌い、聖歌隊がイコスを歌う)
続いて「預め言ひし如く、イイスス墓より復活し我等に永遠の生命と大いなる憐みを賜えり」を6調で3回歌う。
第7歌頌後の小連祷の高声「願わくは父と子と聖神の国の権柄は・・・・」
第8歌頌後の小連祷の高声「父と子と聖神の至聖なる名は・・・・」
第9歌頌後の小連祷の高声「蓋天の衆軍爾を讚揚す、我等も光栄を....」

エクサポスティラリー3回「王及び主よ、爾は身にて死者の如く寝ねて、三日目に復活し、アダムを腐敗より起し、死を虚しくせり、不朽のパスハ、世の救ひなり。」
アイノイ(讚揚歌)「凡そ呼吸ある者」1調、主日の復活スティヒラ1調から3スティヒラ、続いてパスハのスティヒラ5調、句は「神は興きその仇は散るべし」スティヒラ「聖なるパスハは今我等に現れたり」
パスハの「喜びの接吻」はスティヒラの後行う。しかし伝統的に、第4スティヒラの「びて互に相抱くべし」のことばの時に行う。この『儀式』は次のように行われる。司祷者が手持ち十字架を持ってソレヤに行き人々の方を向く。右側に陪祷者が立つ。最初の人が福音経を持ち、他の司祭はイコンを持つ。陪祷教役者は司祷者に近づき、十字架と司祷者に接吻しながら「ハリストス復活」、「実に復活」と堪える。全員が司祷者に挨拶すると、互いにキスを交わす。パスハのキスが終わると司祷者は聖金口イオアンの啓蒙説教を行う。
説教の後、聖歌隊は金口イオアンのトロパリ8調「爾が口の恩寵は火の光の如く輝きて、全地を照し、世界の為に無慾の寶を得、我等の為に謙遜の高きを顕せり。神゜父金口イオアンよ、猶爾の言を以て訓へて、言なるハリストス神に我等の霊の救はれんことを祷り給へ」を歌う。
続いて連祷二つ。重連祷「神や爾の大なる憐みに因りて」増連祷「我等主の前に朝の祈りを」輔祭「睿智」聖歌隊「福を降せ」司祭「永在の主ハリストス我等の神は....」聖歌隊「アミン、我国の天皇と正教会の教えと....」司祭は手持ち十字架を持って、「ハリストス死より復活し、死を以て死を滅ぼし」と歌い、聖歌隊は「墓に在る者に生命を賜えり」と結ぶ。(司祭は「ハリストス神....」は言わない)
司祭は手持ち十字架で会衆を祝福し発放詞を唱える。(三燭灯は持たない)発放詞「死より復活し、死を以て死を滅ぼし....」(この発放詞は光明週間の間毎日同じ。)
司祭は3方向に向かって祝福し「ハリストス復活」会衆「実に復活」聖歌隊はトロパリ「ハリストス死より復活し」を3回歌い、続いて結句「我等にも永遠の生命を賜えり、主の三日めの復活を拝む」を歌う。
萬壽詞を歌う。

時 課

 早課の萬壽詞に引き続き、司祭は時課の始まりの祝福「我等の神は崇め讚めらる」と唱え、聖歌隊「ハリストス死より復活し」(3回)、続いて「ハリストス復活を見て」(3回)、イパコイ「マリヤと偕に」(1回)、コンダク「死せざるハリストス神よ」(1回)。
 続いてトロパリ「像り難きハリストス、爾は体にて墓に在り、霊にて」
「光栄は」「ハリストス我等の復活の源たる爾の墓は」
「今も」生神女讃詞「至上者の聖せられたる神妙の住居よ、慶べ」
「主憐めよ」(40回)
「光栄」「今も、アミン」
「ヘルビムより尊く」
「主の名に依りて福を降せ」
司祭「主イイススハリストス我等の神よ、我が諸聖神父の・・・・」
聖歌隊「アミン」「ハリストス死より復活し」(3回)「主憐めよ」(3回」「福を降せ」司祭発放

 時課の間に奉献礼儀(プロスコミディヤ)を行い、炉儀もすませる習慣がある。時課に続いて聖体礼儀を行う。

聖体礼儀

 始まりは通常の聖体礼儀と同じ。輔祭「君や祝讃せよ、」司祭「父と子と聖神の国は」聖歌隊「アミン」 司祭は左手に三燭灯を、右手に香炉を持つ。輔祭はロウソクを左手に持って司祭の反対側に(高所)向き合って立つ。「アミン」のあと神品は「ハリストス死より復活し」3回歌う。次に聖歌隊「ハリストス死より」3回歌う。
神品第1句「神は興き」を歌う。聖歌隊「ハリストス死より」1回。司祭は宝座の右側へ行き、炉儀。(輔祭は反対方向へ移動)
第2句「煙が散るが如く」聖歌隊「ハリストス死より」1回。司祭は高所へ行き宝座に炉儀。
第3句「蝋の融くるが如く」聖歌隊「ハリストス死より」1回。司祭は宝座の左側へ行き炉儀。向きを変え、奉献台に炉儀。それから輔祭を伴ってソレヤに出て、イコノスタスの救主と生神女のイコンに炉儀。
この時第4句「主はこの日を作れり」を歌う。聖歌隊「ハリストス死より」1回。
神品「光栄は父と子と聖 に帰す」聖歌隊「ハリストス死より」1回
神品「今も何時も世世に、アミン」聖歌隊「ハリストス死より」1回
司祭と輔祭は向きを変えて会衆に炉儀。
司祭「ハリストス復活!」(3回)
神品は宝座の方を向いて、歌う「ハリストス死より復活し、死を以て死を滅ぼし」
聖歌隊「墓に在る者に生命を賜えり」
 光明週間中は、輔祭は炉儀の時、左手にロウソクを持つ。

 引き続き金口イオアンの聖体礼儀を行う。 

アンティフォンを歌う。小聖入の際、輔祭「睿智、謹みて立て。イズライリの源より出づる者よ、教会に於いて主、神を崇め讚めよ」聖歌隊「ハリストス死より」イパコイに続いて「光栄」「今も、アミン」のあとコンダクを歌う。聖三讃詞の代わりに「ハリストスに依って洗を受けし者」使徒行実の第1章、福音はイオアン伝第1章(様々な言語で読む)。福音の読まれるとき大鐘を鳴らす。通常は1節ごとに鐘を鳴らし、最後に短くトレズヴォン(多鐘)を鳴らす。
 「常に福」の代わりに「神の使い」と第9イルモス「新たなるイエルサリム」
 キノニクは「ハリストスの聖体を受け」
「既に真の光を」と「願わくは我が口は賛美に」の代わりに、それぞれ「ハリストス死より」を歌う。
 昇壇外の祝文の後にアルトスを祝福する。アルトスはソレヤの上に小さなテーブルに載せて置く。テーブルの周囲を炉儀。輔祭(司祭)「主に祈らん」司祭はアルトスに降福する祝文を読む(奉事経から)祝文の終わりに「此のアルトスは斯の聖水の注がるるを以て降福し成聖せらる。父及び子及び聖神の名に因りてなり、アミン」聖歌隊「ハリストス死より」 「願わくは主の名は」の代わりに「ハリストス死より」3回。
 司祭は「ハリストス神我等の恃」の代わりに「ハリストス死より(前半)」聖歌隊は「墓に在る者に....」
 終わりのやり方は早課を参照のこと。

 王門及び輔祭門は光明週間中は通常開け放しておく。いかなる時も開けておく。神品領聖中も閉めない。光明週間の土曜日の9時課の前に閉める。

注意事項:聖体礼儀について

 降誕祭の聖体礼儀を真夜中に行いながら、復活大祭の早課を土曜日の10時か11時に行い、聖体礼儀を忘れてしまって翌朝の9時か10時にする教会があるが、この様な方法は正教会の神学的な側面を全く誤解している。可能な限り最も早い時間にbreakfast(斎を明ける)ということから、時間的要素において最も早い時間に聖体礼儀を行うことは、復活祭の聖体礼儀が1年の他のすべての聖体礼儀を超越していることを表している。それは最大の祭、祭の中の祭で、聖体礼儀によって「すべての」斎を終えることbreakfastによってすべての準備を完結し真の祝いを可能にする。従って早課時課に続いて復活祭の聖体礼儀を行うという確立された標準から逸脱することは正教会の精神性から逸脱することである。
 条件が揃って第2の聖体礼儀を行うことが許され可能なときも、復活祭の主日の朝の早い時間に行われなければならない。
 午後4時か5時に行われる復活祭の主日晩課は、多くの地域で「忘れられた祈祷」になってしまっているが、復活祭晩課は午前11事頃に十字行に引き続いて行うとよい。

<晩 課>
 九時課のあと、司祭は聖体礼儀の時と同じ祭服を完装する。左手に三燭灯を持ち、宝座で香炉で十字を描き、「我等の神は....」。聖体礼儀の始まりと同じ。
 晩課も誦したり読んだりせず歌う。
 小聖入は福音経を持つ。司祭は会衆の方を向いてイオアン伝65端を読む。
 挿句のスティヒラは早課の讚揚歌のあとのパスハの復活スティヒラ。最後のスティヒラのあと「睿智」「神父や主の名に依りて福を降せ」「永在の主」「アミン、神や我国の」等早課と同じ。司祭は十字架を持ち、十字架接吻。

*     *     *
 光明週間には、早課と一時課のあと十字行を行うように定められているが、実際には聖体礼儀の後行われている。十字行用の灯明、十字架、凱旋旗、福音経、復活のイコン、生神女のイコンを持ち、パスハのカノンを歌う。カノンは時間に応じて、イルモスのみ、または全部。


 光明週間中の晩課には以下のような例外がある。福音経は読まれず、聖入は炉儀とともに行われる。「主や爾」は月曜日3調、火曜日4調、水曜日5調、木曜日6調、金曜日8調で歌う。大プロキメンは毎日変わる。