6.聖大土曜日

<早 課>

 ティピコンの第1時(現在の午後7時)に打鐘。ロシア教会では、金曜日の晩に早課を行った後、土曜日の朝早課を再び行う習慣がある。

 司祷者はエピマニキア、エピタラヒリ、フェロンをつけ、宝座に立つ。香炉で十字を描き、高声「我等の神は恒に崇め讃めらる、今も何時も世々に」、カーテン開く。誦経者「アミン、我の神や、光栄は爾に帰す」「天の王」、第19、20聖詠、聖三など、トロパリ「主や爾の民を救い」、「光栄は」コンダク「甘んじて十字架に挙げられし」「今も」「威厳にして恥じを得しめざる転達」短い重連祷、輔祭がいる場合は柩案の前で、司祭のみの場合は宝座で唱える。高声「蓋、爾は仁慈にして人を愛する主なり・・・」「アミン、神父や主の名に依りて」「光栄は一体にして生命を施す」「アミン」「至高き」(2回)「主や我が唇を啓け」(1回)六段の聖詠、読み手は堂の中央に立つこと。司祭は始めの3聖詠の時宝座の前で早課祝文を読む。残りの3聖詠の間就寝聖像の前に立って祝文を読み終える。通常ソレヤで行うことはすべて就寝聖像の前で行う。大連祷も就寝聖像の前で。高声に続いて「主は神なり」2調、4句と「主は神なり」4回。句「工師が捨てたる」のあとトロパリ「尊きイオシフ」
「光栄は」「死せざる生命よ、爾死に降りし時」(2調復活トロパリ)「今も、アミン」「天使は香料を携ふる女に」
大連祷の高声のあと司祭は至聖所に入り王門を開き、輔祭が「主は神なり」を唱えるとき、陪祷司祭とともに就寝聖像前まで来る。輔祭がいない場合は、4句目「工師が捨てたる」を唱えた後至聖所に入り王門を開き就寝聖像まで来る。そこで陪祷司祭(いれば)にロウソクを渡し、参祷者に火をわたす。ロウソクを持って就寝聖像、宝座、イコノスタス、会衆、堂内全体に炉儀。奉事規程にはネポロチニ(「道にきずなくして」)を歌うとき炉儀すると示されているが、司祭はネポロチニの讃美詞を唱えなければならないので実際的ではない。炉儀はトロパリとコンダクを歌うときに行う。(Bogosluzhebnye Ukazaniya, Moscow)

ネポロチニ
第1段
第17カフィズマ(118聖詠)の1〜72節、各句を唱える(歌う)ごとに、司祭が讃美詞(ポフワラ)を歌う。聖歌隊が最初の節「主や爾は崇め讚めらる、爾の律を我に教え給え」と「道にきずなくして主の律法を」(118:1)を歌う。司祭(讃美詞・ポフワラ)「ハリストスよ、爾は生命にして柩に置かれ給へり、天軍驚き懼れて、爾の謙遜を讃栄せり」聖歌隊「主の啓示を守り心を盡して....」司祭「生命よ、如何に死し、如何に柩に居るか、亦死の国を壞り、死せし者を地獄より起すか」・・・・聖歌隊が「光栄は」と讃美詞「言よ、我等は爾万有の神....」「今も、アミン」「潔き生神女よ、我等爾を讚め揚げ....」を歌い、最初の讃美詞「ハリストスよ、爾は生命にして柩に置かれ給へり、天軍驚き懼れて、爾の謙遜を讃栄せり」繰り返して歌う。
小連祷 高声「蓋、父と子と聖神の名は讃揚せられ、爾の国は」司祭炉儀、就寝聖像と宝座(ただしソレヤの立つ位置から)、イコノスタス、会衆(小炉儀)。高声後の「アミン」のあと、第2段を始める。聖歌隊5調で、「爾生命を施す主、十字架に手を舒べて、敵の權柄を敗りし者を讃栄するは誠に當れり」「爾の手我を造り、我を設けたり、我に悟らせ給へ、然せば我爾の誡を學ばん(118:73)」司祭は続けて讃美詞を唱え、聖歌隊は聖詠の句を唱える。・・・・・聖歌隊「光栄は」「無原の神、常に偕にする言、及び聖神よ、吾が皇帝の権柄を固め給へ、爾至善なるに因る」「今も」(生神女讃詞)「生命を生みし無?至淨なる童貞女よ、教会の誘惑を防ぎて、平安を与へ給へ、爾至善なるに因る」第一の讃美詞「爾生命を施す主、十字架に手を舒べて、敵の權柄を敗りし者を讃栄するは誠に當れり」を繰り返す。次に小連祷。高声、「蓋爾我等の神、ヘルワィムの光栄の座に息ふ者は聖なり、我等光栄を爾と、爾の無原の父と、至聖至善生命を施す爾の神とに獻ず、今も何時も世世に」小炉儀、実際的な注意として、慌てないように連祷の間か少しそれより前に炉儀を始めた方がよい。
第3段、聖歌隊3調で歌う。「吾がハリストスよ、萬族は爾のほうむりに歌を献る」「我を顧み、我を憐み、爾の名を愛する者に行ふが如くせよ(118:132)」司祭「アリマフェヤの人は爾を木より下し、布に裹みて墓に葬る」

聖詠75句のあと、聖歌隊が「朝来たりし携香女は香料を柩に傾けり」を歌うとき就寝聖像や会衆にバラ水をふりかける習慣を行うところもある。聖歌隊続けて、「我は亡はれたる羊の如く迷へり、爾の僕を尋ね給へ、蓋我爾の誡を忘れざりき」「爾の起くるを以てヘ會に平安、爾の民に救を與へ給へ」「光栄」「鳴呼三者、吾が神、父、子、聖神よ、世界を憐み給へ」「今も」「童貞女よ、爾の諸僕を爾の子の復活を瞻るに耐ふる者と為し給へ」
第3段では最初の讃美詞は繰り返さえず、直ちに「童貞女よ、爾の諸僕」に引き続き、復活エフロジタリアと附唱「主や爾は崇め讚めらる・・・天使の軍は・・・(5調)」を歌う。司祷者は輔祭を伴って全堂炉儀。小連祷、高声「蓋ハリストス我等の神よ」

セダレン1調 
聖歌隊「イオシフは尊き屍をピラトより求め得て、潔き布に裹み、神聖なる香料を傳り、新なる墓に藏めたり。故に攜香女は朝早く來りてよべり、ハリストスよ、預言せし如く、我等に復活を示し給へ。」
セダレンを歌う間に司祭は至聖所へ行き、王門を閉める。司祷者は聖体礼儀の時と同じように祭服完装。規則では讚揚歌(凡そ呼吸ある者)の時に着ると書かれるが、着替えにかかる時間を自分で判断すること。
セダレンのあと第50聖詠を読む。聖大土曜日のカノン6調 (または特別のメロディで)
「昔逐ひつめし、窘迫者を海の波にて....」、カノンの附唱は「我等の神や光栄は爾に帰す、光栄は爾に帰す」

第3歌頌の後、小連祷、高声「蓋爾は我等の神なり....」
セダレン1調「救世主よ、現れて女等に復活を....」

第6歌頌の後 、小連祷、高声「蓋爾は平安の王及び我が霊の....」
コンダク6調「淵を閉ぢし者は死者として見られ、死せざる者は死すべき者の如く没藥及び布に裹まれて、墓に置かる。女等は之に香料を傳らん為に來りて、痛く泣きてよべり、此の「スボタ」は至りて讃美たる日なり、此の中にハリストスは寢ねて、三日目に復活せん。」続いてイコス「万有を保つ者十字架に挙げられ....」を歌う。

第8歌頌の後小炉儀。「ヘルビム尊く」は歌わない。輔祭(司祭)は第9歌頌の始めの節を唱える。「母よ、我爾が種なくして孕みし子の柩にあるを見て泣く毋れ」聖歌隊はイルモスを続けて「蓋、我起きて....」以下を歌う。

第9歌頌に続いて小連祷、高声「蓋天の衆軍・・・」エクサポスティラリー2調で3回。「主我等の神は聖なり」、続いて讚揚歌「凡そ呼吸ある者」2調、4句立てて、
句「その権能に因りて....」のあとからスティヒラ
「今日柩は手に造物を保つ者を保ち、石は徳にて天を覆ふ者を覆ひ、生命は寢ね、地獄は戰き、アダムは縛より釋かる。神よ、光栄は爾の定制に帰す、爾は此を以て萬事を成し畢へて、我等に永遠の安息として、爾の至聖なる死よりの復活を賜へり。」
句「角の声を以て彼を讚め揚げよ」
「観る所の現は何ぞや、今の安息は何ぞや、世世の王は苦を以て定制を成し畢へて、柩に安息し、我等に新なる安息を賜ふ。我等彼によばん、地を裁判する神よ、起きよ、蓋爾量り難き大仁慈を有つ者は世世に王たり。」
句「鼓と舞とを以て....」
「来たりて、我等の生命が、柩に臥す者を生かさん為に、柩に臥すを見ん。來りて、今イウダより出づる者の寢ぬるを見て、預言者の如く彼によばん、臥して寢ぬること獅の如し、王よ、誰か敢て爾を起さん。然れども爾、我等の為に甘じて己を付しし者は、己の意に従いて起きよ。主よ、光栄は爾に帰す。」
句「和声のばつを以て」
「(6調)イオシフはイイススの屍を求め得て、之を其新なる墓に置けり、蓋彼には宮より出づるが如く墓より出づること適へり。死の権を敗りて、人人の為に楽園の門を啓きし主よ、光栄は爾に帰す。」
「光栄は」6調「大なるモイセイは此の日を奥密に前兆して曰へり、神は第七日を祝せりと、蓋此は祝せられし「スボタ」、此は安息の日なり。此の日に神の独生子は其悉くの工を竣へ、嘗て定めし死に藉りて、肉体にて安息せり。復活を以て彼は旧の姿に囘りて、我等に永遠の生命を賜へり、独仁慈にして人を愛する主なればなり」
「今も、アミン」2調「生神童貞女よ、爾は至りて....」

この時、王門が開き、司祭等は王門を通って就寝聖像のところへ進む。司祷者「光栄は爾我等に光を顕しし主に帰す。」聖歌隊は大頌詠を歌う。司祷者と輔祭は柩案の周りを3周して就寝聖像に炉儀。大頌詠の間ペレズヴォン(鐘をひとつひとつ順に鳴らす)を十字行が聖堂に戻るまで続ける。司祭から就寝聖像に三度伏拝。大頌詠のあとの「聖なる神」は埋葬式のメロディで歌う。司祷者は就寝聖像を柩案から持ち上げ、頭の上にかかげる。陪祷司祭があれば就寝聖像をかつぐのを手伝うが、司祭がひとりの場合は信徒の敬虔な者に頼む。悪天候の場合は堂内で十字行を行う。司祷者は就寝聖像の下を歩き、小福音書を頭上にのせる。
 行進は柩案からまっすぐ聖堂の入り口に進み、左にまわり聖堂をまわる。行進の順序は次の通り。

1.十字行用のたいまつ(灯明)が先頭
2.ロウソク持ち、二人一組(堂役)
 3.十字行用十字架
 4.輔祭、就寝聖像にゆっくり炉儀。堂役が香炉を持ってもよいが振らないこと。
 5.就寝聖像
 6.聖歌隊
 7.会衆(大頌詠の始まりにロウソクを点灯し、それを持って進む)

 聖歌隊は十字行の間埋葬式のメロディで「聖なる神」を繰り返す。1957年の奉神礼指示書(Bogosluzhebnye Ukazania)によれば、十字行は聖堂一周であるが、どうしても3周したいという熱心な希望があれば3周しても差し支えないとしている。
 聖堂に戻り就寝聖像をソレヤの上王門の前へ持って行く。一呼吸して、
司祷者「睿智、謹みて立て」と唱える。
聖歌隊はこれに答えてトロパリ「尊きイオシフ」を1度歌う。トロパリの間に就寝聖像を柩案に戻す。足が先。聖像の上に福音書をのせる。トロパリに続いて、聖歌隊は預言のトロパリ2調を歌う。
「ハリストスよ、爾は地極を保つ者にして、甘じて柩に保たれたり、人類が地獄に呑まるるを脱れしめん為、又不死の神なるに因りて、復活して我等を生かさん為なり」
「光栄、今も、アミン」
「ハリストスよ爾は地極を....」預言のトロパリを繰り返す。
就寝聖像を柩案に戻してから、炉儀1周。トロパリが終わったら
輔祭「謹みて聴くべし」誦経「ポロキメン、第4の調、主よ、起きて我等を佑けよ、爾の憐みに因りて我等を救い給え」(句)主よ、我等は己の耳にて聞けり、我が列祖は我等に述べたり」
輔祭「睿智」、誦経「イエゼキリの預言書の読み」、輔祭「謹みて聴くべし」、誦経イエゼキリ(37:1〜4)を読む。

輔祭「謹みて聴くべし」誦経「主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ」(句)「主よ、我心を盡して爾を讃め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん」輔祭「睿智」、誦経「聖使徒パウエルがコリンフ人に達する書の読み」輔祭「謹みて聴くべし
誦経「兄弟よ、僅かなる....」(コリンフ前113端 5:6−8から飛んでガラテア206端3:13・14)。

アリルイヤ(5調)
誦経「アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ、神は興きその仇は散るべし...」.
聖歌隊 「アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ」
誦経(句)煙の散るが如く爾彼等を....
聖歌隊「アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ」
誦経(句)鑞が火に因りて融くるが如く....
聖歌隊「アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ」
輔祭(司祭)「我等に聖福音経を聴くを賜うを主神に祈らん」、聖歌隊「主憐めよ」3回、輔祭「睿智、謹み立て、聖福音経を聴くべし」司祭「衆人に平安」聖歌隊「爾の神にも」輔祭「マトフェイによる聖福音経の読み」(114端27:62〜66)、聖歌隊「主や光栄は爾に帰し、光栄は爾に帰す」

就寝聖像の前で連祷2つ。重連祷、増連祷。早課の終わり。アンボンで発放。「我等人々のため及び我等の救いの為に、畏るべき苦しみと生命を施す十字架と自由の葬りを身にて受け給いしハリストス我等の真の神は・・・」
聖歌隊は続けて「来たりて恒に記憶すべきイオシフ....」を歌う。司祭発放の後「アミン」は必要ない。就寝聖像に接吻す
る間歌い続ける。

スティヒラが終わったら一時課を誦す。トロパリとコンダクは三歌斎経。発放は「ハリストス我等の真の神。」

[注意]
 聖大土曜日には、早課、時課、晩課において、通常ソレヤで読まれる祈り(たとえば入堂祝文、連祷、使徒経、福音経、大聖入など)はすべて就寝聖像の前で行う。領聖は就寝聖像の前でなく王門前で行う。

○福音経
 十字行の時司祷者が就寝聖像の下で福音書を運ぶのは、彼すなわち言(ロゴス)である者が死に装束に包まれていながらも生ける言であることを表す。(イオアン1:1)

○かぶりもの、帽子について 
 十字行の時、聖務者は、ミトラ、カミラフカ、スクフィヤなどの帽子をかぶらない。

○凱旋旗
 就寝聖像を戴いて聖堂の周りを行進するのはハリストスの葬りを象る。旗はキリスト教の勝利の祝いを表すので、この十字行では持ち出さない。

○就寝聖像の運び方について
 就寝聖像を運ぶとき持ちやすく、曲がったり破れたりしないために持ち手のついた台があるとよい。台は軽い合板で作り四隅に持ち手をつける。(保管を考えて折り畳めるとよい)司祭はこの台に就寝聖像をのせて運べば、扱い易くしかも正しく十字行を行うことができる。たいていの教区教会では就寝聖像を運ぶのを手伝う教役者がいないので、信仰深い信徒の中からこれを選ぶ。これに選ばれることは神に仕える儀式に参加する栄誉と特権を与えられることだ。同様に堂役の数が足りない場合は十字架を運ぶ人も指名する。

○パトリアルフの大聖堂
モスクワの総主教座神現聖堂では古い形の行進を見ることができる。讚揚歌の始まりに王門が開き聖務者全員が至聖所を出て就寝聖像のところまで進む。司祷者は輔祭を伴い、柩案を一周して炉儀。全教役者伏拝3回。司祭は司祷者が就寝聖像を王門を通って宝座に運ぶのを手伝う。
 大頌詠を歌うとき司祷者は宝座を3周して就寝聖像に炉儀。「聖なる神」を歌うとき、教役者は伏拝3回。司祭は就寝聖像を宝座から持ち上げ、司祷者の頭上に掲げる。司祷者は頭に小福音書をのせ、宝座の右からソレヤをとおり、北輔祭門から至聖所を出る。大聖堂の正門を出て、建物の外をまわる。

<時課とティピカ>

 時課を始める前に、司祭は就寝聖像の前で入堂祝文を唱える。奉献礼儀は時課の間に行う。(聖大木曜日と同じ) ティピコンには「小鐘を午前10時に打ち、三、六、九時課を行う」としている。
 三、六、九時課、ティピカは就寝聖像の前で行う。ティピカは歌わず読む。小発放を用い、聖歌隊は「主憐れめよ」3回

<晩課と聖大ワシリーの聖体礼儀>

 ティピコンには祈祷の始まりを知らせる鐘を打つ時刻が示されており、第10時(現在の時間で午後4時頃)に大鐘を打つこととなっている。1966年に編纂されウエンドランドの府主教イオアンが認可した「ティピコン略」によれば、「この祈祷の開始時間は『奉神礼的な斎』が第3日に明けること、即ち復活の最初の聖体礼儀であることを示すために、午前中のできるだけ遅い時間に始める」と指示していることから、午前11時頃が望ましいだろう。これは神品の一致した意見であり、ティピコンの編集者は、聖体礼儀を含む晩課の開始時間は教区の状態や必要性、祈祷に携わる者(たいていは司祭と聖歌者であるが)の能力に応じて決めるべきだとしている。しかしながら、この祈祷は午前11時以前にはじめるべきではなく、できればもっと遅い時間が望ましい。

 カーテンを開き、司祭は宝座で高声「父と子と聖神の国は....」通常の聖体礼儀と同じく福音経でアンティミンス上に聖号を描く。誦経「アミン」「我等の神よ、光栄は爾に帰す」.(聖大木曜日と同じ)103聖詠、就寝聖像の前で大連祷を唱える。カフィズマなし。

「主や爾によぶ」1調、8スティヒラ。最初の3スティヒラは聖大土曜日の大晩課から(八調経の1調)(句)「我深き處より爾によぶ・・・」スティヒラ「聖なる主よ、我が晩の祈を....」から、四番目のスティヒラは聖大土曜日の大晩課の挿句のスティヒラからとる。1調「ハリストスよ我等は爾の苦しみに....」 第5から第8のスティヒラ 三歌斎経(第5のスティヒラを2回歌う)、「光栄は」6調、三歌斎経のスティヒラ、「今も」生神女ドグマティク 1調「人より生まれて主催を生みし」この間に司祭と輔祭は奉献礼儀を終える。「今も、アミン」で王門を開く。聖入は福音経をもって就寝聖像の前まで進み、そこで「睿智、謹みて立て」「聖にして福たる」プロキメンなし。
輔祭「睿智」、誦経「創世記の読み」輔祭「謹みて聴くべし」
誦経  
(1)創世記(1:1〜13) 以下のパレミアの前も同様
(2)イサイヤの預言書の読み(60:1〜16)
(3)エギペトを出づる記の読み(12:1〜11)
(4)イオナの預言書の読み(全文1:1〜4:11)
(5)イイスス・ナヴィンの記の読み(5:10〜15)
(6)エギペトを出づる記の読み(13:20〜22、14:1〜32、15:1〜19)
誦経 「曰く、主に謳わん」 王門開く
聖歌隊 「彼厳かに光栄を顕したればなり」

|(受難週略P.810)
誦経 「今も何時も世世に、アミン」「主に謳わん」
誦経歌う「彼厳かに光栄を顕したればなり」

王門開く
輔祭 「睿智」
誦経 「ソフォニヤの預言書の読み」
輔祭 「謹みて聴くべし」以下のパレミアの前も同様

(7)ソフォニヤの預言書の読み(3:8〜15)
(8)「列王記の読み」(V17:8〜24)
(9)「イサイヤの預言書の読み」(6:10〜11、62:1〜5)
(10)「創世記の読み」(22:1〜8)
(11)「イサイヤの預言書の読み」(61:1〜9)
(12)「列王記の読み」(W4:8〜37)
(13)「イサイヤの預言書の読み」(63:11〜19、64:1〜5)
  (読みは11節めからであるが冒頭が省かれており、代わりに主是くの如く言う」が入る。)
(14)「エレミヤの預言書の読み」(31:31〜34)「主是くの如く言う」が入る。
(15)「ダニイルの預言書の読み」(3:1〜88)
終わりの『祈祷』の時はひざまずく。祈祷が終わったら立ち上がり、

誦経歌う 「主を歌いて、世々に讚め揚げよ」
聖歌隊 「主を歌いて、世々に讚め揚げよ」
誦経 (句)「主の悉くの造物は主を崇め讚めよ」
聖歌隊 「主を歌いて、世々に讚め揚げよ」
誦経 「主の諸天使は主を崇め讚めよ」
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誦経 「今も、アミン」
聖歌隊 「主を歌いて、世々に讚め揚げよ」
誦経 「我等主を尊み、崇め讚め彼に伏拝し、歌いて無窮の世に讚め揚ぐる」

小連祷、高声「蓋我が神よ、爾は聖なり....」聖三の歌の代わりに「ハリストスによって洗を受けし者」を歌う。
使徒経の前のプロキメン5調
「至上者よ、願わくは全地は爾に叩拝し、爾を歌い、爾の名に歌わん」
(句)全地よ、神に歓びて呼び、其の名の光栄を歌えよ

使徒経 ロマ書 91端(6:3〜11)

アリルイヤのかわりに以下の通り
司祭 「爾に平安」
誦経 「爾の神°にも」
「神よ、起きて地を裁判せよ、爾万民を継がんとすればなり」7調
聖歌隊 「神よ、起きて地を裁判せよ、爾万民を継がんとすればなり」
誦経 (句)神よ諸神の会に立ち、諸神の中に裁判を行えり
聖歌隊 「神よ、起きて地を裁判せよ、爾万民を継がんとすればなり」

|(受難週略P.844)
誦経 「神よ起きて地を裁判せよ、爾万民を継がんとすればなり」

このアリルイヤの代わりを歌うとき、司祭、輔祭、(堂役)は暗い色の祭服、宝座、アナロイの覆いを復活祭の白に替える。
福音の読み マトフェイ115端と116端(28:1〜20)を就寝聖像の前で読む。
以下ワシリーの聖体礼儀を行う、いつもと異なる点は以下の通り。

ヘルビムの歌の代わりに「人の肉体は....」を晩課の8調で歌う。大聖入は就寝聖像の前に進み、
司祭 「願わくは主神は其の国において我等の....」
「願わくは主神は其の国において爾衆ハリスティアニン等を....」
日曜日や祭日の聖体礼儀とは異なり、大聖入の時この二つ以外のことは言わない。
聖歌隊 「アミン、天軍は諸の主制と権柄と共に....」

「常に福」に代えて第9イルモス「母よ我爾が種なくして....」
キノニクは4調「主は寝ぬる者の覚むるが如く....」

昇壇外の祝文は就寝聖像の前で読む。聖歌隊は通常の調で、トロパリ(ふつうの2調で)「尊きイオシフ」「光栄」「死せざる生命よ、爾死に降りし....」「今も」「天使は香料を携ふる女に....」司祭は5つのパンとぶどう酒をのせた皿をおいたテーブル(油と小麦は用いない、祝文から油と麦という言葉を省く)を炉儀。
輔祭 「主に祈らん」
聖歌隊 「主憐れめよ」
司祭 パンとぶどう酒を祝福する
聖歌隊 「アミン、願わくは主の名は(3回)」
発放はアンボン(ソレヤ)で行う。「死より復活せしハリストス我等の真の神・・・」

 覆いの交換や飾り付けなど必要な聖堂準備を終えた後、司祭は使徒行実の誦経者に祝福を与える。誦経者「君や、聖使徒行実に祝福せよ」司祭「聖使徒の祈祷によりて主イイスス・ハリストス我等の神よ我等を憐み給え」続いて使徒行実を読み始める。使徒行実は全章読むこと。使徒行実は夜半課が始まるまで、あるいはその直前まで続け、何人かで交替して読む。使徒経はアナロイの上にのせソレヤの近くに就寝聖像の正面でなく、少し離しておく。

 復活祭の食物の祝福は真夜中のパスハの早課の前に行うべきである。パスハのトロパリ「ハリストス死より....」は歌わないこと。復活トロパリ2調を「死せざる生命よ」を歌う。肉は聖堂内に持ち込まない。食べ物は前院(啓蒙所)か信徒会館で祝福されるべきである。

夜半課の始まる前に、司祭は輔祭を伴い奉献礼儀のための入堂式を行う。奉神礼指示書には大祭のための準備が落ちついてできるように、夜半課は土曜日の午後11時20分頃から始めるように勧めている。
悔い改めの期間は祈祷の大部分が誦読やチャントでおこなわれてきたが、それと対照的に祭は歌であらわす。復活祭では祝文もトロパリも歌頌も、年間他の祈祷では通常読まれるものもすべて歌われる。夜半課は三歌斎経の終わりと五旬経の始まりの橋渡しの役目をはたしており、移行的な祈祷と考えられる。

ハリストスの復活を通して私たちが頂いた豊かな恩寵を顕すために、早課の前に聖堂を香気で満たす。香炉の器を2つ用意し、一つは聖堂中央、もうひとつを至聖所に置き、火を興した炭のうえに乳香をたっぷりのせる。(パスハのティピコン)