2・大帯(オラリ) 

 オラリは副輔祭以上の教役者が身につけるもので、日本語では「大帯」、「聖帯」と訳される。その名の通り、人の身長の二倍ほどもある長い帯である。
 ステハリは、アルタリに入るための神恩を受けていることの証であったが、オラリは祈りを通して神に働きかけるために使用されるものである。オラリの語源であるギリシャ語の“オラリオン”は、「祈る。口で唱える」を意味し、天上の宝座の周りで絶えず神への賛美を捧げている、神使セラフィムの翼を象ったものである(イサイヤ6:1-3)。このことから、これを着用する者が神の傍らで奉仕できる、高位の神使の如き立場にあることを表している。
 オラリは輔祭にとって、文字通りその聖職を表す翼であって、オラリなくして輔祭は聖務に携わることはできない。このことは副輔祭も同様だが、副輔祭のオラリは体にたすき形に巻きつけて使用される。これは、光栄の司祭長イイスス・ハリストスの両脇で翼をたたんで跪いている神使を象っており、このことから副輔祭は司祭長(主教品)のそばで勤めを果たす者となった。又、オラリはステハリを着ずして着用されることはない。このことは、輔祭と副輔祭は神恩の担い手ではなく、祝福を受けて始めてその責務を十全に全うすることができる立場にあることを示している。
 尚、主教と司祭が身につけるエピタラヒレもオラリの変形とされるが、さらに別の意味が加味される。