§質問§

 「キリスト教」を名乗るいろいろな信仰宗教がありますが、彼らと「正統派」のキリスト教はどこが違うのですか?また、どう対処すればいいのでしょう?

<答え>


「狭い意味での正統派」は正教会のみ

 驚かれるかもしれませんが、厳密に言うとカトリック教会もプロテスタント諸教会も「異端」の教会です。これらから改宗して正教徒になる場合、「異端者帰正式」が適用されます。カトリック教会の、教会論(「キリストの代理人」としてのローマ法王の首位権)と、信仰箇条の改ざん(ニケア・コンスタンティノープル信経の聖神(せいしん,聖霊)の条項への追加)は、使徒的伝統を逸脱した誤りです。プロテスタント教会は中世ヨーロッパのカトリック教会の改革を訴えた人々が結果的に分離した教会ですが、「聖書のみ」が信仰の規範という考えに立ち、教会の諸伝承を「後世付け加えられたもの」として軽視し、使徒たちからの伝承も一緒くたに、ほとんどはぎ取ってしまい、混迷を深めました。

「広い意味での正統派」とは

 しかし、両教会とも、多くの違いにかかわらずキリスト教信仰の根本は正教会と分かち合っているので、普通私たちが「正統派」と言う場合、カトリック教会とプロテスタント諸派の大部分を含めます。
 その場合の「正統派」の基準は、私たちが聖体礼儀で必ず唱えている「ニケア・コンスタンティノープルの信経」を、451年のカルケドン全地公会議で確認された「定理」の考え方で理解し、承認していることにあります。その詳しい内容は別に機会を設けて解説しますが、要するに神は「至聖三者」、父と子と聖神(しん)一体にして三者なるお方であり、かつハリストスは、完全な人であり、同時に完全な神であるということです。この教義を正教徒は十字をかくときの右手の形で信仰告白しています。合わせられた親指・人差し指・中指の三本は「至聖三者・三位一体」を、折り曲げられた薬指・小指の二本はハリストスの神性と人性をあらわしています。

現代の異端への対応

 「エホバの証人」「統一教会」「モルモン教」等は「キリスト教」ないし「聖書に基づく教え」を標榜し大きな勢力を持っていますが、いずれも「至聖三者・キリストの神人二性」を真っ向から否定します。またプロテスタント諸派には正統性が曖昧なものが多くあります。
 他の教派の人々とは以上のような意味での「正統派」であれば尊敬し励ましあい、互いの伝統を重んじることを通じ、いつか主のご意志として一致が実現することを祈り、「非正統派」であれば、一日も早く迷妄から救われ、その熱心でまじめな姿勢が、「正統派」の中に立ち帰ることを、愛を以て祈らねばなりません。(詭弁で説き伏せることを訓練されている彼らと議論するのは無駄で危険です。避けること)。